特許第6574446号(P6574446)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6574446包装材料のウェブにおけるテンションを制御するためのデバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6574446
(24)【登録日】2019年8月23日
(45)【発行日】2019年9月11日
(54)【発明の名称】包装材料のウェブにおけるテンションを制御するためのデバイス
(51)【国際特許分類】
   B65H 23/26 20060101AFI20190902BHJP
   B65H 23/10 20060101ALI20190902BHJP
【FI】
   B65H23/26
   B65H23/10
【請求項の数】9
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-568600(P2016-568600)
(86)(22)【出願日】2015年5月13日
(65)【公表番号】特表2017-515770(P2017-515770A)
(43)【公表日】2017年6月15日
(86)【国際出願番号】EP2015060578
(87)【国際公開番号】WO2015177018
(87)【国際公開日】20151126
【審査請求日】2018年5月8日
(31)【優先権主張番号】1450578-8
(32)【優先日】2014年5月19日
(33)【優先権主張国】SE
(73)【特許権者】
【識別番号】391053799
【氏名又は名称】テトラ ラバル ホールディングス アンド ファイナンス エス エイ
(74)【代理人】
【識別番号】100151105
【弁理士】
【氏名又は名称】井戸川 義信
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・ペッテション
(72)【発明者】
【氏名】イングヴァル・アンデション
(72)【発明者】
【氏名】ペーテル・エーマン
【審査官】 大山 広人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−027814(JP,A)
【文献】 特開平02−123060(JP,A)
【文献】 特開2010−042898(JP,A)
【文献】 実開昭55−027671(JP,U)
【文献】 米国特許第03338489(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 19/00−21/02
B65H 23/00−23/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のリールから第2のリールへと巻回される包装材料のウェブに作用する長手方向の力を制御するための装置であって、前記装置は、第1の回転軸線を有する第1のローラーと、第2の回転軸線を有する第2のローラーと、を備え、前記第1の回転軸線は固定され、
前記第2のローラーは、前記第1のローラーの第1の側に配置され、前記第1の側において、前記第1のローラーと前記第2のローラーは接触しておらず、
前記第2のローラーが前記第1の側と反対の側にある前記第1のローラーの第2の側に配置されるように、前記第2の回転軸線が直線経路及び円形経路に沿って移動可能であることを特徴とする装置。
【請求項2】
第1のリールから第2のリールへと巻回される包装材料のウェブに作用する長手方向の力を制御するための装置であって、
第1の回転軸線を有する第1のローラーと、
第2の回転軸線を有する第2のローラーと、を備え、
前記第2のローラーは、円形経路に沿って作動ポジション(P1)及び係合ポジション(P2)の間を移動可能であり、かつ前記円形経路に沿って前記係合ポジション(P2)及び廃棄ポジション(P3)の間を移動可能であり、前記第2のローラーは、前記作動ポジション(P1)から前記廃棄ポジション(P3)の移動中に前記第1のローラーと接触し、
前記第2のローラーは、さらに、直線経路に沿って前記係合ポジション(P2)及び装填ポジション(P4)の間を移動可能であり、前記第2のローラーは、前記装填ポジション(P4)において前記第1のローラーと接触しない、
ことを特徴とする装置。
【請求項3】
前記円形経路は、円形アーチの一区間を含む、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記円形アーチの中心点は前記第1の回転軸線と一致する、請求項に記載の装置。
【請求項5】
前記円形アーチの半径は、前記第1のローラーの半径と、前記第2のローラーの半径と、任意選択で包装材料の前記ウェブの厚みと、のおおよその和に対応する、請求項に記載の装置。
【請求項6】
前記直線経路は、前記第1の回転軸線から延びる半径に沿った延長部を有する、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の装置を備えたウェブ処理ラインであって、前記ウェブは、装填ポジションにおいては、前記装置を通過する直線経路をたどるように構成され、作動ポジションにおいては、前記ウェブは前記装置と係合するように構成され、前記装填ポジションから前記作動ポジションへの切り替えは、前記装置によって、すなわち前記第2のローラーの移動によって可能とされる、ウェブ処理ライン。
【請求項8】
前記ウェブ処理ラインはウェブドクター処理ラインである、請求項7に記載のウェブ処理ライン。
【請求項9】
ウェブ処理ラインの作動中に、請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の装置を制御するための方法であって、
前記第2のローラーを前記第1のローラーの第1の側に、ローラー同士が接触しないように配置することと、
前記第1のローラーと前記第2のローラーとの間を通過する直進経路をたどるように包装材料のウェブを配置することと、
前記第2のローラーが、前記第1の側とは反対の側にある前記第1のローラーの第2の側に配置されるように、直線経路および円形経路に沿って前記第2の回転軸線を並進移動させることと、
を備える方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェブハンドリングの分野に関し、特に、包装材料のウェブを処理する機械において用いられるような包装材料のウェブのテンションの制御に関する。本開示は、デバイスならびに当該制御のための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
包装技術の分野では、しばしば一回の使用のために構成された消費者パッケージが使用される。このような包装容器は、紙または厚紙コアと、ポリエチレンなどのプラスチックの外側保護層またはコーティングとを含む積層包装材料から製造することができる。プラスチック層は、包装容器の内部の製品から、または包装容器の外部から発生する湿気からコアを保護する。包装ラミネートはまた、酸素のようなガスの通過に対するバリア、または光の通過に対するバリアを提供するように適合された、さらなる層を含むことがある。一つのそのようなさらなる層は、コアと湿気バリアの少なくとも一つとの間に配置された金属フォイルであってもよい。アルミニウムフォイルが一般に使用される。任意選択でコアは非セルロース材料で置き換えられることがある。包装ラミネートの領域は継続的に発展する研究の分野であり、本開示はそうした包装ラミネートに関するものではないので、これ以上は検討しないことに留意されたい。本開示の適用は所与の例に限定されるべきではなく、むしろ本発明は包装ラミネートの処理において利用され得る。
【0003】
包装ラミネートから製造された包装容器は、ほとんどの人にとって周知の製品である。現代の加工ラインでは、そのような包装容器が製造され、そして包装ラインまたは充填ラインにおいて充填され、ここでリールからのあるいは個々のブランクの形態の包装ラミネートがその一端において機械に供給され、そして包装ラミネートから形成された充填済容器が他端において出てくる。充填ラインでは、長いストーリーを短くするために、包装用ラミネートが形成され、充填され、そして密封される。包装ラミネートに関しては事実であるように、充填ラインの分野はそれ自体広大な領域であり、本開示のための主要な問題ではない。さらに、一例では、包装材料のウェブが充填機械に供給される。充填機械において、ウェブはチューブ状に形成され、その長手方向縁部が互いにシールされ、長手方向シールを有する中空筒体が形成される。この中空筒体は流動性製品で徐々に充填され、チューブ内の製品レベルの下で横方向シールを行うことによって、ピロー状の充填された包装容器のチェーンが形成される。続いてチェーンは個々の包装容器へと切断されるが、これは例えば平行六面体形状を有する包装容器へと形成される。そうした容器の例はTetra Brikである。全てのその他の横方向シールが90°シフトされる場合、有名な容器Tetra Classicが形成される。別なコンセプトでは、リールから供給される包装材料のウェブではなく、個々のブランクが充填ラインに供給される。マガジンはブランクを一つずつ充填ラインに送り、そこで各ブランクは一端が封止された包装容器に折り畳まれる。包装容器が充填された後、それは密封され、その他端において折り曲げられる。このコンセプト内に典型的な包装容器はTetra RexおよびTetra Topである。
【0004】
本発明の分野にさらに近づと、上述したタイプの積層包装材料または包装ラミネートは、ロール状に成形された紙のウェブまたはカートンから工業規模で製造される。ウェブ(すなわちロールの自由端)は、第1の処理ステーションに案内され、そこで、その一方の面には、少数の適切な印刷技術を使用して、美的または有益な文字の繰り返し装飾またはパターンが設けられる。同じ処理ステーションまたは隣接する処理ステーションにおいては、ウェブには同様に反復パターンの弱化ラインが設けられる。弱化ラインまたは折り目線の目的は、後の段階で包装材料から形成された包装容器の折り畳みを容易にすることである。成形された包装容器が同じ外観を有するためには、装飾および折り目線のパターンは、もちろん、互いに一致していなければならない。
【0005】
後続の処理ステーションでは、ウェブにはプラスチックおよび/またはフォイルのバリア層が設けられる。
【0006】
処理ステップの順序は入れ替わってもよい。一例を挙げると、あるコンセプトではバリア層が配置された後に印刷が行われる。
【0007】
プロセスのこの段階では、ウェブは複数の包装容器に対応する幅を有し、このウェブは、後に充填ラインで使用するためにロール状に巻かれた「ワンパッケージ幅ウェブ」またはサブウェブへと長手方向に分割される。以下では、「ウェブ」という用語は、主に、これらのサブウェブを意味するが、一般的な原理として、開示される技術は、同様に、本来のより大きなウェブに、または異なるウェブ全体に適用されてもよい。
【0008】
プロセス全体の間、包装ラミネートの品質が監視され、物理的また装飾的なエラーが明らかにされ得る。それぞれの深刻な欠陥が登録され、別個のプロセスでは、包装材料のウェブが「ドクター処理」されるが、これは、ウェブの欠陥セグメントが除去され、その後、形成された自由端が連続ウェブの形成のために互いに接合されることを意味する。このようにして、包装材料のウェブを使用する充填ラインでの後の問題のリスクが低減される。
【0009】
従来の設計の上記の目的のために使用されるドクター処理ラインは、その一端に、第1の水平回転シャフトと、その他端に、対応する第2の水平回転シャフトとを有する。包装材料のウェブは、第1の端部で回転シャフト上のリール上に配置され、ドクター処理ラインを通って案内され、第2の回転可能シャフト上に配置されたリールに巻き取られる。ドクター処理ラインには、検出されたエラーを突き止め、ウェブのセグメントを除去すると共に形成された自由端を一つに結合するように配置された設備が存在する。ウェブは、第1のリールから第2のリールに巻き取られ、エラーが検出されたときウェブは停止させられてドクター処理シーケンスが開始され、その後、巻き取りが開始される。包装ラミネートの単一のロールについては、ドクター処理シーケンスを繰り返して実施されることがあり、各ドクター処理シーケンスにおいてウェブのセグメントが廃棄される。
【0010】
ドクター処理ラインは、たいてい、ロールおよびリール、ならびにウェブが通過するためのニップおよびブレーキの複雑な構造であり、第1のリール上に新しい包装材料のロールが配置されたとき、ウェブの先端はドクター処理ラインを通って装填されなければならない。
【0011】
ドクター処理ラインの一つのセクションが「プル・ブレーキ」装置である。プル・ブレーキ装置の一つの目的はウェブの速度を制御することによってウェブの搬送を指揮することである。既存のプル・ブレーキ装置を図8に示す。この装置は四つのローラーを備え、そのうちの三つは固定された回転軸線を有する。第1および第2のローラーは同じ高さに配置され、一方、第2のローラーは第1および第3のローラー間の中心線上で下方にシフトされる。一つの先行技術装置の理解を容易にするために、顕著かつ明白に、上下、左右等は単なる例として与えられている。ウェブは、第1のローラーの上に、第2のローラーの下に、そして第3のローラーの上に装填され、本質的にU字形状とされる。第2のローラーの下に第4のローラーが配置される。第4のローラーは上下方向に移動可能であり、それは、第2のローラーと第4のローラーとの間に包装材料ウェブを可変力でクランプするために使用される。力の変化により、包装材料ウェブのテンションを制御することができる。容易に理解されるように、そうしたプル・ブレーキ装置の装填は複雑な手順であり、包装材料のロール毎に少なくとも一度この操作を実行する必要があるので、かなりの労力がそれに投入される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の一つの目的は、ドクター処理ライン、あるいは少なくともそのプル・ブレーキ装置の装填を容易にする改良されたプル・ブレーキ構成を提供することである。そのいくつかの実施形態による新規な装置の効果は、ドクター処理工程で生じる廃棄物の取り扱いが著しく簡素化されることである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、その一態様によれば、第1のリールから第2のリールへと巻回される包装材料のウェブに作用する長手方向の力を制御するための装置に関し、当該装置は、第1の回転軸線を有する第1のローラーと第2の回転軸線を有する第2のローラーとを備える。当該装置において、第1の回転軸線は固定され、一方、第2の回転軸線は移動可能であり、以下でだけでなく詳細な説明においてさらに説明する、さまざまな有利な効果がもたらされる。
【0014】
一つ以上の実施形態では、第2の回転軸線は円形アーチの一区間に沿って移動可能であってもよく、さらに別の関連する実施形態では、円形アーチの中心点は第1の回転軸線と一致してもよい。これによって、第2のローラーが第1のローラーの周りの対称路における円形アーチに沿って移動することが可能となる。一つ以上の実施形態では、円形アーチの半径は、第1のローラーの半径と、第2のローラーの半径と、任意選択で包装材料のウェブの厚さのおおよその和に対応する。これによって、第2のローラーを第1のローラーと接触しているときには常に移動させることが、あるいは第1のローラーをその外周周りの複数のポジションにおいて第2のローラーと接触状態とすることが可能となる。
【0015】
一つ以上の実施形態では、第2の回転軸線はまた直線経路に沿って移動可能であってもよい。これにより、第2のローラーが第1のローラーとの接触あるいは係合状態を脱するように、あるいは接触あるいは係合状態となるように移動することが可能になる。一つ以上の関連する実施形態では、直線経路は、第1の回転軸線から延びる半径に沿った延長部を有していてもよい。
【0016】
上記機能の一つ以上は、機構上の直線経路に沿って移動させられるように第2のローラーを懸架することによって可能とされ、当該機構は、今度は、第1の回転軸線を中心として回転可能であるように配置される。このようにして円状および直線状それぞれの二つの動きが分離されかつ容易に達成され得る。
【0017】
第2のコンセプトによれば、本発明は、上記装置を備えたウェブ処理ラインに関し、ウェブは、装填ポジションにおいては、当該装置を通過する直線経路をたどるように構成され、一方、作動ポジションにおいては、ウェブは当該装置と係合するように構成され、装填ポジションから作動ポジションへの切り替えは、当該装置によって、すなわち第2のローラーの移動によって可能とされる。一つ以上の実施形態では、ウェブ処理ラインはドクター処理ラインである。
【0018】
第3のコンセプトによれば、本発明は、ウェブ処理ラインの動作中、先のまたは以下の記載の装置を制御するための方法に関する。当該方法は、第2のローラーを第1のローラーの第1の側に、ローラー同士が接触しないように配置することと、第1のローラーと第2のローラーとの間を通過する直進経路をたどるように包装材料のウェブを配置することと、第2のローラーが、第1の側とは反対の側にある第1のローラーの第2の側に配置されるように直線経路および円形経路に沿って第2の回転軸線を並進移動させることとを備える。ここで、第1および第2のローラーは作動ポジションに配置される。本方法はいかなる順序で実施されてもよく、例えば、直進移動は、円形経路に沿った移動の前、その途中またはその後に実施されてもよく、そして事象の順序は逆であっても、すなわち作動ポジションから装填ポジションへの移動でもよく、逆の場合も同じである。詳細な説明には廃棄ポジションの開示も存在するが、これはまた特許請求の範囲に記載された本発明の一実施形態の一部を形成し得る。
【0019】
全図が本発明の動作原理を説明するための概略図である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】その巻取りモードでの、本発明の第1実施形態に係るプル・ブレーキ装置を有するドクター処理ラインの側面図である。
図2】第1実施形態に係るプル・ブレーキ装置の独立した側面図である。
図3】その装填モードでの、本発明の第1実施形態に係るプル・ブレーキ装置を有するドクター処理ラインの側面図である。
図4】その廃棄モードでの、本発明の第1実施形態に係るプル・ブレーキ装置を有するドクター処理ラインの側面図である。
図5図1のモードでのプル・ブレーキ装置の拡大図である。
図6図3のモードでのプル・ブレーキ装置の拡大図である。
図7図4のモードでのプル・ブレーキ装置の拡大図である。
図8】従来技術によるプル・ブレーキ装置の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
ドクター処理ライン100が図1に示されている。ドクター処理ラインは、第1の回転シャフトまたはリール102と、第2の回転シャフトまたはリール104とを有する。包装材料のウェブ106が第1のリール102から第2のリール104へと巻き取られ、そして矩形108によって示されるドクター処理ステーションにおいて適切な方法で潜在的な欠陥を除去することができる。どのようにしてドクター処理が実施されるかは本明細書では詳しく説明しないが、ささいな貢献が本発明のいくつかの実施形態によって可能となるであろう。
【0022】
本プル・ブレーキ装置110は第1のローラー112および第2のローラー114を備え、いずれも、それぞれ第1の回転軸線116および第2の回転軸線118の周りで回転するように配置されている。ドクター処理プロセスの間、装置110の作動ポジションは、ウェブが当該装置を通るS字状経路に沿って案内されるようなものである。本構成では、第1のローラー112は第2のローラー114の上方に配置される。ウェブは、ドクター処理ステーションおよび第2のリールに向って続いて行く前に、その周囲の約半分の周りで第2のローラーをたどる前に、第1のリール102から見たとき、その遠くの側において第2のローラーの約半分の下方および周りで案内される。
【0023】
装置110の上流およびその下流のウェブの経路は、それが第2のローラー114のためでなければウェブが第1のローラーの第1の側を通過し、一方、第2のローラー114は、作動ポジションでは、ローラーの第1の側とは反対側の第2の側に配置され、これによってS字経路を可能にするものである。
【0024】
第1のローラー112の回転軸線、すなわち第1の回転軸線116は、静止状態で配置されてもよく、一方、第2のローラー114の回転軸線、すなわち第2の回転軸線118は移動可能に配置されてもよい。第2の回転軸線の移動、すなわち第2のローラーの移動について、図2の詳細図を参照して説明する。
【0025】
図2には、第1のローラー112が実線で、そして第2のローラー114のさまざまなポジションが破線で示されることが図示されている。図1に示すようなポジション、すなわち作動ポジションに対応するポジションP1が存在する。別なポジション間で移動する際に通過するそれ以外のポジションである「係合ポジション」に対応するポジションP2が存在する。装置が、通過するウェブを下方に案内する「廃棄ポジション」P3が存在する。単に直線経路をたどることによって装置110を通ってウェブを都合よく配置(または装填)することができるように、第2のローラー114が第1のローラー112と完全に係合解除される「装填ポジション」も存在する。第1のローラー112は、第1の軸線116を中心に回転するように配置され、半径R1を有する。第2のローラー114は、第2の軸線118を中心に回転するように配置され、半径R2を有する。第1および第2のローラーは平行に配置され、平行な回転軸線を有する。一つ以上の実施形態では、両方のローラーはその一方側の軸のみから懸架されるが、これは、基本的に、構造的装置に対して取り付けられた一端を有する各ローラーの回転軸線に対応し、一方で第2の端部は自由である。
【0026】
再び図2を参照すると、第2のローラーは、第2の回転軸線がアーチ経路120を、すなわち円形経路の一区間をたどることを単に可能とすることによって、それがポジションP1からポジションP2まで回転可能であるように移動可能に配置される。ポジションP2から第2のローラーはポジションP3へとさらに回転させられてもよく、あるいはそれは直線経路122に沿ってポジションP4まで直線方向に移動させられてもよい。
【0027】
そうした動作パターンを可能にする一つの便利な方法は、プレートまたはレール上で直線方向に沿って並進運動を行うように構成されたソリ(図示せず)上に第2のローラーの一端を配置することであり、それは、今度は、回転軸線を中心として回転するように配置される。並進動作は、サーボモータによって、空気圧シリンダ、油圧シリンダ、またはその他の適切な装置によって実施されてもよい。プレートまたはレールの回転動作は、回転軸線に直接作用するかまたは適切なリンクを介して間接的に作用する適切な駆動装置によって実施されてもよい。どのようにして、そうした装置が動作パターンを可能にすることができるかが図2に示されていることは容易に理解される。プレートまたはレールの回転軸線が第1の回転軸線と一致する場合、動作は単純化される。それに沿って第2のローラーが移動する経路の半径R3は、第1のローラーの半径R1と第2のローラーの半径R2との和に、少なくとも適正な近似に対応する。しかしながら、第1のローラーが第1のポジションP1から第4のポジションP4まで移動させられる状況では、半径方向の動作は、別の半径を与える回転動作に先立って行われてもよい。
【0028】
第2の軸線の並進運動を可能にする駆動装置がまた、第2のローラーが第1のローラーに向かって押圧される力を変化させるために使用されてもよい。
【0029】
図3は、装填作業における、すなわち包装材料のウェブの自由端が、特に最初に、ドクター処理装置およびプル・ブレーキ装置を通って案内される際の第2のローラーのポジションを示している。装填に先立って、第2のローラーはポジションP4へと移動させられる。ポジションP4に配置されたとき、直進経路に沿って装置を通って包装材料のウェブを引っ張ることが可能となる。第2のローラーが作動ポジションP1にあった場合、装填操作はより煩雑になるであろうことは容易に理解される。ウェブが装置を通って引っ張られた後、第2のローラーをポジションP2まで移動させ、第1のローラーと第2のローラーとの間でウェブをクランプすることができる。その後、第2のローラーを作動ポジションP1まで下方に回転させることができ、これによって装填作業が完了する。
【0030】
図4では、第2のローラーが廃棄ポジションP3に配置されている。このポジションでは、第2のローラーはウェブ106を挟んで第1のローラーと接触し、そして接点の接線は下方に向けられており、別な方向へのウェブの案内を可能にする。この実施形態では、ウェブは、リサイクルビンによって大まかに示される廃棄アセンブリに向けられる。包装材料の廃棄は、ウェブの装填後の最初の作業であってもよい。これは、第1のローラーがポジションP4からポジションP2へと、続いて廃棄ポジションP3へと移動させられることを意味する。一つの別な例は、第2のローラーが第1のポジションP1から廃棄ポジションP3へと直接移動させられることであろう。シナリオにかかわらず、本装置は、それでもやはり第2のローラーがポジションP3を取ることを可能にする。
【0031】
関連する効果としてのいくつかの特徴を図面を参照して詳しく説明した。説明は詳細になされたが、特許請求の範囲によって規定される本発明の一般的なコンセプトに対する限定として解釈されるべきではない。当業者であれば、有効な実施形態および関連する説明から、特許請求の範囲から逸脱することなく、説明された実施形態に対する新しい実施形態を創出することができる。
【符号の説明】
【0032】
100 ドクター処理ライン
102 第1のリール
104 第2のリール
106 ウェブ
108 矩形
110 プル・ブレーキ装置
112 第1のローラー
114 第2のローラー
116 第1の回転軸線
118 第2の回転軸線
120 アーチ経路
122 直線経路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8