(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記調整力ブロック抽出手段は、蓄電装置に対する充放電制御が行われなかった場合の予測消費電力の時経に従った変化を、電力及び時間を二軸とする平面上のベースラインとして設定し、設定された前記ベースラインに接しないように、前記調整力ブロックを、前記ベースラインの上方又は下方において画定することを特徴とする請求項1に記載の電力供給システム。
前記調整力ブロック抽出手段は、蓄電装置に対する充放電制御が行われなかった場合の予測消費電力の時経に従った変化を、電力及び時間を二軸とする平面上のベースラインとして設定し、
前記調整力ブロックの前記ベースライン側となる上辺又は下辺に近接して配列されたドットを時間軸方向に解析していき、配列されたドットの信頼度に応じて調整力ブロックの前記ベースライン側となる上辺又は下辺の値、長さ又は位置を変化させて、最適な調整力ブロックを画定する
ことを特徴とする請求項3に記載の電力供給システム。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(電力供給システムの全体構成)
以下に添付図面を参照して、本発明に係る電力供給システムの実施形態を詳細に説明する。
図1は、本実施形態に係る電力供給システムの全体構成を示す概念図であり、
図2は、本実施形態に係る電力供給システムを構成する各装置の内部構成を示すブロック図である。また、
図3は、本実施形態に係る電力供給システムの構成及び動作を示すブロック図である。
【0016】
図1に示すように、本実施形態に係る電力供給システムは、第1及び第2の発電所に接続された電力系統を通じて各需要単位に電力を供給する電力供給システムであり、本実施形態では、第1の発電所として電力会社2が運用する資源エネルギー利用発電所と、第2の発電所として発電事業者3が運用するメガソーラ等の再生可能エネルギー発電所とが含まれる。また、本実施形態では、需要単位5として、産業用蓄電システムを備えた大規模施設54及び中規模施設51と、住宅用蓄電システムを備えた一般住宅52と、電気自動車(EV:Electric Vehicle)531を有するEVパワーステーション53等が含まれている。
【0017】
また、発電事業者3と、各需要単位5を統合的に管理するアグリゲーター4が配置されており、電力会社2からの出力制御を、アグリゲーター4で取得し、アグリゲーター4の管理システムによって需要単位5に対する蓄電制御と、発電事業者3に対する出力制御を行う。本実施形態では、電力会社2は、火力発電などの資源エネルギー発電により電力を供給しており、翌日の電力消費量を予測して、急激な電力需要の変動が生じる可能性がある場合に、発電事業者3に対して、電力供給を制限する出力制御を配布する。
【0018】
本実施形態では、従来発電事業者3が直接、電力会社2から受けていた出力制御を、アグリゲーター4で受け取り、出力制御が必要な容量V1を、本システムの蓄電制御により出力制御に必要な容量V1の一部である容量V2分を、システム内の各蓄電装置に負担させ、この容量V2分を差し引いた残余の容量V3分を、書き換えられた出力制御として、アグリゲーター4から発電事業者3に配布する。アグリゲーター4は、電力会社2からの出力制御V1の内容に応じて、翌日の太陽光による発電量を吸収できる分を、システム内の各蓄電池を予め放電させて確保するように制御する。
【0019】
具体的に電力会社2には、
図2に示すように、電力サーバー21が備えられており、この電力サーバー21によって電力会社2の発電が管理されている。電力サーバー21は、通信ネットワーク63を介してアグリゲーター4と接続されている。アグリゲーター4は、アグリゲーターシステム用サーバー41と、蓄電システム用サーバー42とを備えている。
【0020】
アグリゲーターシステム用サーバー41は通信ネットワーク63を介して電力会社の電力サーバー21に接続されている。また、アグリゲーターシステム用サーバー41は通信ネットワーク61を介して発電事業者3に接続されている。発電事業者3は、太陽光発電パネル32と、太陽光発電パネル32を制御・管理する監視端末31を備えている。一方、アグリゲーター4の蓄電システム用サーバー42は、通信ネットワーク62を介して、各需要単位5の各制御装置接続されている。
【0021】
なお、これらアグリゲーターシステム用サーバー41及び蓄電システム用サーバー42は、通信機能やCPUを備えた情報処理端末であり、一般的なサーバーコンピューターで実現することができる。このサーバーコンピューターは、各種アプリケーションソフトをインストールすることにより様々な機能が実装可能であり、本実施形態では、アプリケーションをインストールして実行することによって、アグリゲーター用アグリゲーションロジックや蓄電システムの遠隔制御等の機能を実装させる。
【0022】
具体的にアグリゲーターシステム用サーバー41及び蓄電システム用サーバー42としてのサーバーコンピューターは、
図4に示すように、CPU402と、メモリ403と、入力インターフェース404と、ストレージ装置401と、出力インターフェース405と、通信インターフェース406とを備えている。なお、本実施形態では、これらの各デバイスは、CPUバスを介して接続されており、相互にデータの受渡しが可能となっている。
【0023】
メモリ403及びストレージ装置401は、データを記録媒体に蓄積するとともに、これら蓄積されたデータを各デバイスの要求に応じて読み出す装置であり、例えば、ハードディスクドライブ(HDD)やソリッドステートドライブ(SSD)、メモリカード等により構成することができる。
【0024】
入力インターフェース404は、キーボードやポインティングデバイス、タッチパネルやボタン等の操作デバイスから操作信号を受信するモジュールであり、受信された操作信号はCPU402に伝えられ、OSや各アプリケーションに対する操作を行うことができる。出力インターフェース405は、ディスプレイやスピーカー等の出力デバイスから映像や音声を出力するために映像信号や音声信号を送出するモジュールである。
【0025】
通信インターフェース406は、他の通信機器とデータの送受信を行うモジュールであり、通信方式としては、例えば、電話回線やISDN回線、ADSL回線、光回線などの公衆回線、専用回線、WCDMA(登録商標)及びCDMA2000などの第3世代(3G)の通信方式、LTEなどの第4世代(4G)の通信方式、及び第5世代(5G)以降の通信方式等の他、Wifi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)などの無線通信ネットワークが含まれる。
【0026】
CPU402は、各部を制御する際に必要な種々の演算処理を行う装置であり、各種プログラムを実行することにより、CPU11上に仮想的に各種モジュールを構築する。このCPU402上では、OS(Operating System)が起動・実行されており、このOSによって各サーバーコンピューターの基本的な機能が管理・制御されている。また、このOS上では種々のアプリケーションが実行可能になっており、CPU402でOSプログラムが実行されることによって、種々の機能モジュールがCPU上に仮想的に構築される。
【0027】
そして、
図2及び
図3に示すように、電力会社2の電力系統60に、発電事業者3の太陽光発電所及び各需要単位51〜54が接続され、電力会社2及び発電事業者3から、各需要単位5に対して電力が供給される。また、制御に関するデータは、電力会社2からアグリゲーターシステムを通じて、発電事業者3及び各需要単位5の制御装置に送信されるとともに、発電事業者3や需要単位5からの情報がアグリゲーター4に集積されるようになっている。
【0028】
(各装置の構成)
次いで、上述した各装置の構成について説明する。なお、説明中で用いられる「モジュール」とは、装置や機器等のハードウェア、或いはその機能を持ったソフトウェア、又はこれらの組み合わせなどによって構成され、所定の動作を達成するための機能単位を示す。
【0029】
(1)アグリゲーター側の装置構成
上述したようにアグリゲーター4は、アグリゲーターシステム用サーバー41と、蓄電システム用サーバー42とを備えている。アグリゲーターシステム用サーバー41は、
図2に示すように、制御指示スケジュールダウンロード部411と、スケジュール書換部412と、データ取得部413と、管理データベース414と、充放電指示部415と、解析部416とを備えている。一方、蓄電システム用サーバー42は、アグリゲーターシステム用サーバー41で生成されたスケジュールに従って制御を行うサーバー装置であり、データ取得部421と、蓄電池制御部422とを備えている。
【0030】
制御指示スケジュールダウンロード部411は、電力会社2から発電事業者3に対して送出される制御指示を、発電事業者3に代わって取得する制御指示取得部であり、具体的には、定期的に電力サーバー21から制御指示スケジュールをダウンロードする。このダウンロードされた制御指示スケジュールは、解析部416に受け渡される。
【0031】
アグリゲーターシステム用サーバー41側のデータ取得部413は、管理対象となっている発電事業者3の発電状況を発電実績情報として取得するモジュールであり、このデータ取得部413で取得された実績情報は、管理データベース414に蓄積される。一方、蓄電システム用サーバー42側のデータ取得部421は、各需要単位に備えられた各蓄電装置の充電及び放電の状況を実績情報として取得する実績情報収集手段であり、このデータ取得部413で取得された実績情報は、管理データベース414に蓄積される。
【0032】
管理データベース414は、複数の制御装置に関する情報を、その属性に従い各制御装置を所定のグループに分類して蓄積する管理データベースである。管理データベース414では、グループ毎に優先度が付与されているとともに、各需要単位の属性には各蓄電装置の充放電速度の能力に応じたカテゴリー等が含まれている。この管理データベース414に蓄積されるデータとしては、
図4に示すように、発電所用のスケジュール情報DB414aと、各需要単位用のスケジュール情報DB414cと、グループに関するブロックIDDB414dと、サイトマスタDB414eと、各需要単位に備えられた蓄電池や設備に関する情報である蓄電池マスタDB414f及び製品マスタDB423hとが含まれる。なお、サイトマスタDB414e及び蓄電池マスタDB414fは、マスタ管理画面415aから管理が可能となっている。
【0033】
本実施形態において、これら管理データベース414に蓄積されるデータは、時間帯、居住タイプ、過去の電力使用状況、現在の電力使用状況、天候、充電池の空き状況、充電速度などの条件を考慮した予測及びリアルタイムでの補正により論理的にグループ分け及び優先度が付与されており、これにより効率的なリソースの配分が可能となっている。また、これらのデータは、地域的なグルーピングに留まらず、個別の蓄電池及び個別の発電所を自由にかつ複数のグルーピングを行うことができるようになっており、地域に点在する複数の蓄電池をあたかも1つ乃至複数の巨大な蓄電池としてみなすとともに、1つ乃至複数の巨大な蓄電池を複数の点在する小型蓄電池としてみなして群制御を行うこともでき、多様なグルーピングを自在に行えるようになっている。
【0034】
また、管理データベース414には、管理対象となっている発電所や需要単位からアップロードされる実績情報を集積する発電所実績DB414b及び蓄電池実績DB414gも含まれる。
【0035】
解析部416は、制御指示の内容に応じて、管理データベース414を参照して、蓄電先を選定するために、所定のグループ単位で蓄電装置の充電又は放電のスケジュールを作成し、スケジュールに従って制御を行うモジュールである。具体的に解析部416は、管理データベース414に蓄積された実績情報を集計し、集計された実績情報に基づいて解析を行う。この解析は、所定のアグリゲーションロジック416aに従って実行され、その解析結果に基づいて、スケジュール書換部412にスケジュールの書換が実行される。スケジュール書換部412は、解析部416による解析結果に基づいてスケジュールの書き換えを行うモジュールであり、書き換えられたスケジュールを充放電指示部415に受け渡す。本実施形態では、解析部416は、各蓄電装置の単位時間あたりの充放電量に基づいて制御を行う。
【0036】
詳述すると、この解析部416は、管理データベース414に蓄積されている太陽光発電設備情報と蓄電池設備情報を取得し、これらの情報に含まれる設定項目を参照して、各施設に対して指示を送出して制御を実行する。太陽光発電設備情報としては、優先順位、付加サービスの有無、保証容量及びエリアコードが含まれ、蓄電設備情報には、アグリゲーター制御対象、エリアコード、グループIDとが含まれる。
【0037】
そして、これらの太陽光発電設備情報と蓄電池設備情報とを用いて、先ず、対象エリアの保証容量の合計と蓄電池の状況を確認する。この確認の結果、付加サービス設定や優先順位順に蓄電池のグループ順に全体容量から保証容量分の割当を行う。そして、残分を優先順位順に全体へ配分する。例えば、同一抑制対象内において、グループ単位で指示をする優先度を決定し、保証分を優先度の高い蓄電池を選択し、ベース分については、所定の蓄電池というように、順次割り振られる。
【0038】
また、本実施形態において解析部416は、実績情報に基づいて集計を再実行してグループ単位での制御を行う再計算機能を有しており、この再計算に基づいてスケジュール書換部412にスケジュールを書き換えさせる。
【0039】
充放電指示部415は、スケジュール書換部412によって生成されたスケジュールに基づいて各蓄電システム用サーバー42の蓄電池制御部422を通じて各蓄電池の制御を行う。蓄電池制御部422は、充放電指示部415に従って、通信ネットワーク62を通じて、各需要単位の制御部に対して制御指示を送出するモジュールである。
【0040】
(2)調整力ブロック抽出モジュール
上記アグリゲーターシステム用サーバー41のアグリゲーションロジック416aは、調整力抽出モジュールを備えている。
図5は、本実施形態に係るアグリゲーションロジックの調整力抽出モジュールを示すブロック図である。
【0041】
同図に示すように、調整力ブロック抽出に係るモジュールとしては、信頼度算出部417と、調整力ブロック抽出部418と、学習部419とを備えている。
【0042】
信頼度算出部417は、実績情報収集手段であるデータ取得部421が収集した実績情報を解析するモジュールであり、具体的には、ドット設定部417aと、差分比較部417bと、予測部417cとを有している。
【0043】
ドット設定部417aは、電力及び時間を二軸とする平面上におけるドットとして設定するモジュールであり、設定されたドットに関する情報は差分比較部417bに入力され、差分比較部417bにおいて、実際の消費電力が予測消費電力となる単位計測期間毎の信頼度が、ドット毎に設定される。
【0044】
なお、本実施形態においてドットとは、調整力ブロックを構成する最小単位であり、1W/1分で分割される。
【0045】
差分比較部417bは、実際の消費電力が予測消費電力と合致する単位計測期間毎の信頼度を需要単位毎に算出するモジュールであり、予測部417cが算出した予測消費電力と、実際の消費電力との差分に基づいて、信頼度を需要単位毎に計算する。この差分比較部417bで算出された信頼度は、ドット毎のデータとして調整力ブロック抽出部418に出力される。
【0046】
予測部417cは、前記実績情報収集手段が収集した実績情報を解析して、 各時間帯における消費電力の単位計測期間毎の予測消費電力を算出するモジュールである。この予測部417cにおける消費電力量および標準偏差値の予測処理では、学習部419に問合せ、機械学習により算出された候補を取得する。
【0047】
調整力ブロック抽出部418は、最適な消費電力量、時間帯及び時間長のブロックを調整力ブロックとして抽出するモジュールであり、本実施形態では、ベースライン設定部418aと、調整力ブロック画定部418bと、パラメータ設定部418cとを有している。
【0048】
ベースライン設定部418aは、予測部417cが予測した蓄電装置に対する充放電制御が行われなかった場合の予測消費電力の時経に従った変化を、電力及び時間を二軸とする平面上のベースラインとして設定するモジュールであり、調整力ブロック画定部418bは、このベースライン設定部418aが設定したベースラインに基づいて、調整力ブロックのベースライン側となる上辺又は下辺に近接して配列されたドットを時間軸方向に解析していき、配列されたドットの信頼度に応じて調整力ブロックのベースライン側となる上辺又は下辺の値、長さ又は位置を変化させて、最適な調整力ブロックを画定する。
【0049】
パラメータ設定部418cは、ベースライン設定部418aや調整力ブロック画定部418bにおける処理で必要なパラメーターを学習部に問合せ、各パラメータの候補を取得して、各モジュール418a,418b及び418dに入力するモジュールである。具体的には、パラメータ設定部418cは、信頼度算出部417において予測消費電力の時経変化を予測する際に必要な各パラメーターの候補を学習部419に問い合わせ、検索された候補をベースライン設定部418aに入力する。また、パラメータ設定部418cは、調整力ブロック出力部418dにおいてブロックを画定したり調整力ブロックを抽出する際に必要な矩形状のブロックの上辺又は下辺の値(消費電力)、位置(時間帯)、長さ(時間長)等のパラメーターの候補を学習部419に問い合わせ、検索された候補を調整力ブロック出力部418dに入力する。
【0050】
調整力ブロック画定部418bは、各ブロックに含まれる単位計測期間毎の予測消費電力及び信頼度とに基づいて、最適な消費電力量、時間帯及び時間長のブロックを調整力ブロックとして抽出するモジュールである。本実施形態において調整力ブロック画定部418bは、同一の消費電力が継続する時間長に基づいて累積される電力量を、消費電力及び時間長を一辺とする矩形状のブロックとして、それぞれの消費電力、時間帯及び時間長を変化させて定義し、画定する。
【0051】
この際、調整力ブロック出力部418dは、電力及び時間を二軸とする平面上におけるドットに従って画定するとともに、ベースライン設定部418aで設定されたベースラインに接しないように、調整力ブロックを、ベースラインの上方又は下方において画定し、さらに、ブロックのベースライン側となる上辺又は下辺に近接して配列されたドットを時間軸方向に解析していき、配列されたドットの信頼度に応じて調整力ブロックのベースライン側となる上辺又は下辺の値、長さ又は位置を変化させて、最適なブロックを調整力ブロックとして設定する。
【0052】
学習部419は、
機械学習機能によって、すべての実績情報(ディマンドリスポンスの要請の有無両方を含む。)と、各時点における時刻情報、気象情報などの電力消費に影響を与え得る情報源との相関について学習を行うモジュールである。具体的にこの学習部419は、フィードバック収集部419aと、教師データ抽出部419bと、相関解析部419cと、検索条件取得部419dと、類似検索部419eと、検索結果出力部419fと、各種データを蓄積する蓄積部419gとを備えている。
【0053】
フィードバック収集部419aは、各需要単位から実績情報を収集するモジュールであり、ここで収集された実績情報を教師データ抽出部419bによって分類し、分類された情報を教師データとして、相関解析部419cで機械学習等の学習処理が実行される。教師データ抽出部419bは、例えば、ディマンドリスポンスの要請がなかったときの実績情報と、要請があったときの実績情報を分類し、要請がなかったときを教師データとして相関解析部419cに学習させたりする。
【0054】
相関解析部419cは、非線形回帰分析器であり、複数種の予測値の特徴によりガウス分布を設定され、フィードバック収集部419aによって収集され、教師データ抽出部419bによって分類された実績情報を解析し、多数の実績情報
上記検索条件取得部419dは、信頼度算出部417の予測部417c及びパラメータ設定部418cから検索条件となる実績情報のドット毎の分布や、ベースラインを予測するために必要なパラメーターを取得し、類似検索部419eに入力するモジュールである。
【0055】
類似検索部419eは、相関解析部419cが蓄積した、実績情報毎の特徴点の階層的な組合せパターンを含む相関情報を参照して、ドット毎の信頼度や、ベースライン予測値に対し、特徴点の組合せパターンとの合致度に応じた識別確率を算出し、その算出結果に応じて予測値を抽出し、ドット毎の信頼度やベースラインや調整力ブロックを算出し、検索結果出力部419fを通じて、予測部417c及びパラメータ設定部418cに出力する。
【0056】
(3)太陽光発電所側の装置構成
発電事業者3の太陽光発電所は、本実施形態では太陽光発電所であり、
図3に示した例では、監視端末31と、太陽光パネル(PV:Photovoltaic)32と、パワーコンディショナー(PCS:Power Conditioning System)33とキュービクル34とを備えている。
【0057】
監視端末31は、アグリゲーターシステム用サーバー41から制御指示d11を取得してその制御指示スケジュールに従って、発電のオン・オフや発電量を制御するとともに、その発電の実績を実績情報d12としてアグリゲーターシステム用サーバー41に送信する制御装置である。
【0058】
太陽光発電パネル32は、太陽電池を用いて直接的に太陽光を電力に変換する発電装置であり、監視端末31による制御によって、発電のオン・オフや発電量を調節できるようになっている。パワーコンディショナー33は、太陽光発電パネル32で発電された電気を家庭などの環境で使用できるように変換する変電装置であり、太陽光発電パネル32から流れる直流電流を交流電流に変換する。キュービクル34は、パワーコンディショナー33から受電した電気を所定の電圧に変圧し、電力系統60を通じて各需要単位に供給する変電設備である。
【0059】
(4)需要単位側の装置構成
一般住宅52は、太陽光発電設備を備えた一般家庭規模の需要施設であり、
図4に示した例では、制御装置521と、HUB52aと、エネルギー計測表示ユニット(EIG)52bと、電力線通信(PLC:Power Line Communication)52cと、太陽光パネル(PV:Photovoltaic)52cと、パワーコンディショナー(PCS:Power Conditioning System)52d,52eと、分電盤522と、蓄電池523とを備えている。
【0060】
制御装置521は、各家庭内の発電、蓄電及び電力消費負荷を管理・制御するモジュールであり、需要単位(ここでは各家庭)毎に設けられ、蓄電池523の充電又は蓄電装置から各負荷に対する放電の制御を行う。この制御装置は、通信ネットワーク62を通じて蓄電システム用サーバー42に接続されており、通信ネットワーク62を通じて蓄電システム用サーバー42との間でデータを送受信し、例えば蓄電システム用サーバー42から指示制御を受信したり、各家庭での実績情報を送信する。制御装置521は、HUB52aを通じて制御信号をEIG52bやPLC52cに送信するとともに、これらEIG52bやPLC52cからの情報を収集する。
【0061】
蓄電池523は、電気を蓄えたり使ったりできる蓄電装置のことであり、充放電を繰り返し行うことができる。ここでは、パワーコンディショナー52eを介して分電盤522及び制御装置521に接続され、制御装置521の制御に従って、分電盤522に対する入出力が切替られ、充放電が制御される。パワーコンディショナー52dは、太陽光発電パネル52cで発電された電気を一般家庭の環境で使用できるように変換する変電装置であり、パワーコンディショナー52eは、蓄電池523で充放電される電気を一般家庭の環境で使用できるように変換する変電装置であり、EIG52bやPLC52cからの制御信号に基づいて制御されるとともに、これらEIG52bやPLC52cに対して電力の変換実績に関する情報を出力する。分電盤522は、配線用遮断器や漏電遮断器などの各種ブレーカー、電力量計(電力メーター)、リモコンリレーやタイマーなどの制御装置を収容した装置であり、PCS52d,52e、電力系統60などから供給される幹線を、分岐ブレーカーで細かく分け、宅内の負荷に分配する。
【0062】
エネルギー計測表示ユニット(EIG:Energy Intelligent Gateway)52bは、施設全体の発電と消費状況を計測し管理する装置である。電力線通信(PLC:Power Line Communication)52cは、電力線を使って通信する設備であり、パワーコンディショナー52eや制御装置521との間で、既設の電力線を通じてデータの送受信を行い、制御装置521を通じて、電力の使用量や発電量を蓄電システム用サーバー42に通知する。太陽光パネル(PV:Photovoltaic)52cは、家庭用の太陽光発電設備であり、制御装置521による制御に基づいて、発電された電力は分電盤522を通じて電力消費負荷524に供給される。
【0063】
EVパワーステーション53は、電気自動車(EV)を充電するEVパワーステーションを有する施設であり、
図3に示した例では、制御装置531と、室内リモコン53bと、無線ルーター53aと、送受信ユニット53cと、中継ボックス53dと、給電装置(V2H:Vehicle to Home)53eと、分電盤532と、蓄電池としての電気自動車(EV)533とを備えている。
【0064】
制御装置531は、各家庭内の発電、電気自動車の蓄電及び電力消費負荷を管理・制御するモジュールであり、需要単位(ここでは各家庭)毎に設けられ、蓄電装置である電気自動車533の充電又は蓄電装置から各負荷に対する放電の制御を行う。この制御装置531は、通信ネットワーク62を通じて蓄電システム用サーバー42に接続されており、通信ネットワーク62を通じて蓄電システム用サーバー42との間でデータを送受信し、例えば蓄電システム用サーバー42から指示制御を受信したり、電気自動車533の使用状況や蓄電状況、各家庭での実績情報を送信する。制御装置531は、制御信号を無線ルーター53a及び送受信ユニット53cを通じて中継ボックス53dに送信するとともに、中継ボックス53dからの情報を収集する。送受信ユニット53cは、中継ボックス53dと、室内リモコン53b及び制御装置531とを相互に接続するデータ中継器であり、制御装置531による制御や、室内リモコン53bによる遠隔操作を中継ボックス53dに送信する。
【0065】
給電装置53eは、電力系統60からの電力を電気自動車533に供給するとともに、電気自動車533から宅内の電力消費負荷534への電力供給を行う装置である。電気自動車533は、電力で走行する自動車であり、蓄電池を搭載しており、この蓄電池に電気を蓄えたり、蓄電された電力を宅内で使ったりできる。ここでは、給電装置53eを介して分電盤522及び制御装置521に接続され、制御装置521の制御に従って、分電盤522に対する入出力が切替られ、車載された蓄電池の充放電が制御される。分電盤532は、配線用遮断器や漏電遮断器などの各種ブレーカー、電力量計(電力メーター)、リモコンリレーやタイマーなどの制御装置を収容した装置であり、給電装置53e及び電力系統60などから供給される幹線を、分岐ブレーカーで細かく分け、宅内の負荷に分配する。
【0066】
中規模施設51は、中規模の需要施設であり、
図3に示した例では、制御装置511と、蓄電池513と、分電盤512とを備えている。
制御装置511は、施設内の発電、蓄電及び電力消費負荷を管理・制御するモジュールであり、蓄電池513の充電又は蓄電装置から各負荷に対する放電の制御を行う。この制御装置511は、通信ネットワーク62を通じて蓄電システム用サーバー42に接続されており、通信ネットワーク62を通じて蓄電システム用サーバー42との間でデータを送受信し、例えば蓄電システム用サーバー42から指示制御を受信したり、施設内での実績情報を送信する。制御装置511は、制御信号を蓄電池513に送信するとともに、蓄電池513からの情報を収集する。
【0067】
蓄電池513は、電気を蓄えたり使ったりできる中規模の蓄電装置であり、ここでは、パワーコンディショナー(PCS)を内蔵しており、蓄電された電気を一般家庭の環境で使用できるように変換して分電盤512に出力できるようになっている。分電盤512は、配線用遮断器や漏電遮断器などの各種ブレーカー、電力量計(電力メーター)、リモコンリレーやタイマーなどの制御装置を収容した装置であり、蓄電池513及び電力系統60などから供給される幹線を、分岐ブレーカーで細かく分け、施設内の負荷に分配する。
【0068】
大規模施設54は、大規模の需要施設であり、
図3に示した例では、制御装置541と、HUB54aと、エネルギーマネジメントシステム(EMS)54bと、蓄電制御システム(FBCS:Front Battery Control System)54cと、パワーコンディショナー(PCS:Power Conditioning System)54dと、分電盤542と、複数の蓄電池543とを備えている。
【0069】
制御装置541は、施設内の発電、蓄電及び電力消費負荷を管理・制御するモジュールであり、複数の蓄電池543の充電又は蓄電装置から各負荷に対する放電の制御を行う。この制御装置541は、通信ネットワーク62を通じて蓄電システム用サーバー42に接続されており、通信ネットワーク62を通じて蓄電システム用サーバー42との間でデータを送受信し、例えば蓄電システム用サーバー42から指示制御を受信したり、施設内での実績情報を送信する。制御装置541は、HUB54aを通じて制御信号をEMS54bやFBCS54cに送信するとともに、これらEMS54bやFBCS54cからの情報を収集する。EMS54bは、当該施設内におけるエネルギー管理システムであり、FBCS54cは、蓄電池群とPCSとを統括的に管理・制御する設備である。
【0070】
蓄電池543は、電気を蓄えたり使ったりできる複数の蓄電装置であり、EMS54b及びFBCS54Cによって統括的に制御され、充放電を繰り返し行うことができる。ここでは、パワーコンディショナー54dを介して分電盤542及び制御装置541に接続され、制御装置541の制御に従って、分電盤542に対する入出力が切替られ、充放電が制御される。パワーコンディショナー54dは、蓄電池543に蓄電された電気を当該施設の環境で使用できるように変換する変電装置である。分電盤542は、配線用遮断器や漏電遮断器などの各種ブレーカー、電力量計(電力メーター)、リモコンリレーやタイマーなどの制御装置を収容した装置であり、PCS54d、電力系統60などから供給される幹線を、分岐ブレーカーで細かく分け、宅内の負荷に分配する。
【0071】
(電力供給システムの動作)
以上説明した電力供給システムを動作させることによって、本発明の電力供給方法を実施することができる。
【0072】
(1)全体的動作
先ず、第1の発電所である電力会社2から発電事業者3に対して送出される制御指示を制御指示スケジュールダウンロード部411によって取得する(S01)。この制御指示スケジュールダウンロード部411による制御指示の取得は、アグリゲーションロジックに基づいて実行される。
【0073】
この電力会社2からの制御指示は、リアルタイムに解析部416のアグリゲーションロジック416aで解析され(S02)、各需要単位の調整力ブロックを積み上げて、一定でより高い電力をより長く持続できる信頼性の高いリソースを確保し、この調整力ブロックを反映させた、発電事業者3及び各需要単位5に対するスケジュールが生成される。生成された発電所用のスケジュールはスケジュール情報414aに蓄積され、需要単位用のスケジュールはスケジュール情報DB414cに蓄積される。
【0074】
ステップS03では、DB414aに蓄積された発電所用スケジュールは、スケジュール書換部412によって、各発電所のフォーマットに合わせた制御指示d11に周期的(例えば6秒間隔)に変換され(S031)、各発電所の監視端末31に送信される(S04)。この制御指示の送信は、例えば1分間隔といったように周期的に実行される。制御指示d11を受けた発電事業者3では、制御指示に従ってリアルタイムに発電設備を制御し(S05)、発電された電力を電力系統60に供給する(S06)。
【0075】
詳述すると、発電事業者3では、監視端末31が、アグリゲーターシステム用サーバー41から制御指示d11を取得してその制御指示スケジュールに従って、発電のオン・オフや発電量を制御する。この監視端末31による制御に従って、太陽光発電パネル32は、発電のオン・オフや発電量を調節し、パワーコンディショナー33によって太陽光発電パネル32から流れる直流電流を交流電流に変換し、キュービクル34によって電気を所定の電圧に変圧した後、電力系統60を通じて各需要単位に供給する。この電力供給の実績は、監視端末31によって実績情報d12としてアグリゲーターシステム用サーバー41に送信される、発電所実績DB414bに取り込まれる(S032)。
【0076】
一方、ステップS03において、DB414cに蓄積された需要単位用スケジュールは、蓄電システム用サーバー42に取得された後、スケジュール書換部412によって各需要単位のフォーマット(ここではCSVファイル形式)に合わせた制御指示d21に変換される(S033)。このとき、解析部416により、制御指示の内容に応じて、管理データベース414内の各データを参照して、所定のグループ単位で、電力使用量の制限をかけたり、蓄電池の充電又は放電を制御したりするスケジュールが作成され、各グループ単位での制御指示に変換される。作成された各制御指示は各需要単位の制御装置に送信され(S04)、制御指示d21を受けた各需要単位5では、制御指示に従って、電力使用量の上限を設定したり、各蓄電池の充電又は放電を制御する(S05及びS06)。
【0077】
なお、このステップS03では、各データベース414a〜g、及びデータベース423c〜hに蓄積されるデータを参照する。これらの各データベース内のスケジュール等のデータは、時間帯、居住タイプ、過去の電力使用状況、現在の電力使用状況、天候、充電池の空き状況、充電速度などの条件を考慮した予測及びリアルタイムでの補正により論理的にグループ分け及び優先度が付与されており、これにより効率的なリソースの配分が可能となっている。また、これらのデータは、地域的なグルーピングに留まらず、個別の蓄電池及び個別の発電所を自由にかつ複数のグルーピングを行うことができ、地域に点在する複数の蓄電池をあたかも1つ乃至複数の巨大な蓄電池としてみなすとともに、1つ乃至複数の巨大な蓄電池を複数の点在する小型蓄電池としてみなして群制御を行うなど、多様なグルーピングが行われる。
【0078】
このステップS05及びS06について詳述すると、一般住宅52では、制御装置521が、通信ネットワーク62を通じて蓄電システム用サーバー42から指示制御を受信し、制御信号をHUB52aを通じてEIG52bやPLC52cに送信し、家庭内の発電、蓄電及び電力消費負荷を管理・制御する。蓄電池523は、制御装置521の制御に従って、分電盤522に対する入出力が切替られ、充放電が制御される。分電盤522は、PCS52d,52e、電力系統60などから供給される幹線を、分岐ブレーカーで細かく分け、宅内の負荷に分配する。また、一般住宅52内の太陽光パネル(PV:Photovoltaic)52cでは、制御装置521による制御に基づいて、発電された電力は分電盤522を通じて電力消費負荷524に供給される。
【0079】
このとき、一般住宅52では、エネルギー計測表示ユニット(EIG:Energy Intelligent Gateway)52bによって、施設全体の発電と消費状況が計測され管理され、電力線通信(PLC:Power Line Communication)52cによって、電力線を通じて、パワーコンディショナー52eや制御装置521との間で、データの送受信を行い、電力の使用量や発電量が制御装置521を通じて、実績情報d22として蓄電システム用サーバー42に通知される。この蓄電システム用サーバー42に通知された実績情報d22は、サイトマスタDB423e、蓄電池マスタDB423f及び製品マスタDB423hと対応付けられるとともに、所定のデータ形式に変換され(S034)、蓄電池実績DB423gに蓄積される。なお、蓄電システム用サーバー42側のデータベースは、アグリゲーターシステム用サーバー41側のデータベースと同期されており、蓄電システム用サーバー42側の各データベースに蓄積されたデータは、アグリゲーターシステム用サーバー41側で対応する各データベースに反映される。
【0080】
EVパワーステーション53では、制御装置531が、通信ネットワーク62を通じて蓄電システム用サーバー42から蓄電システム用サーバー42から指示制御を受信し、送受信ユニット53c及び中継ボックス53dを通じて給電装置53e及び分電盤532が制御され、給電装置53eによる充放電及び分電盤522に対する入出力が切替られ、車載された蓄電池の充放電が制御される。分電盤532は、給電装置53e及び電力系統60などから供給される幹線を、分岐ブレーカーで細かく分け、宅内の負荷に分配する。このとき、制御装置531からの制御内容を室内リモコン53bにメッセージ等で表示し、ユーザー自身よる遠隔操作を促すようにしてもよい。このとき、EVパワーステーション53では、制御装置531によって、送受信ユニット53cを通じて中継ボックス53dからの情報を収集し、電気自動車533の使用状況や蓄電状況、家庭での実績情報としてアグリゲーターシステム用サーバー41に送信する。
【0081】
中規模施設51では、制御装置511が、通信ネットワーク62を通じて蓄電システム用サーバー42から指示制御を受信し、制御信号を直接蓄電池513及び分電盤512に送信し、蓄電池513による充放電を制御するとともに、分電盤512を切り替えることにより、蓄電池513及び電力系統60などから供給される幹線を、分岐ブレーカーで細かく分け、施設内の負荷に分配する。これと併せて、中規模施設51では、制御装置511によって、送受信ユニット53cを通じて中継ボックス53dからの情報を収集し、電気自動車533の使用状況や蓄電状況、家庭での実績情報としてアグリゲーターシステム用サーバー41に送信する。
【0082】
需要単位54では、制御装置541が、通信ネットワーク62を通じて蓄電システム用サーバー42から指示制御を受信し、HUB54aを通じて制御信号をEMS54bやFBCS54cに送信する。この制御装置541からの制御を受けて、EMS54bは当該施設内におけるエネルギー管理を行い、FBCS54cは蓄電池群とPCSとを統括的に管理・制御する。蓄電池543は、EMS54b及びFBCS54Cによる制御に従って、分電盤542に対する入出力が切替られ、充放電が制御され、分電盤542では、PCS54d、電力系統60などから供給される幹線を分岐ブレーカーで細かく分け施設内の負荷に分配する。これと併せて、需要単位54では、制御装置541によって、EMS54bやFBCS54cからの情報を収集し、施設での実績情報としてアグリゲーターシステム用サーバー41に送信する。
【0083】
(2)調整力ブロックの抽出処理
ここで、上述した解析部416のアグリゲーションロジック416aでの解析における調整力ブロックの抽出処理について詳述する。
図8は本実施形態に係る調整力ブロックの抽出処理の手順を示し、
図9は信頼度予測値の算出処理の手順を示す。
【0084】
(2−1)調整ブロック抽出の全体処理
図8に示すように、先ず、過去の実績データに基づいて現在から所定の期間までのベースライン予測値を算出する(S101)。
【0085】
次いで、過去の実績データに基づいてドット単位の信頼度予測値を算出する(S102)。この信頼度予測値の算出では、実績情報収集手段であるフィードバック収集部419aが収集した実績情報を解析して、各時間帯における消費電力の単位計測期間毎の予測消費電力と、実際の消費電力が予測消費電力となる単位計測期間毎の信頼度とを、各需要単位毎に算出する。
【0086】
特に、本実施形態では、実際の消費電力が予測消費電力となる単位計測期間毎の信頼度を、電力及び時間を二軸とする平面上におけるドットとして算出し、調整力ブロックの抽出は、
図6に示すような、ドットに従って最適な消費電力量、時間帯及び時間長のブロックを調整力ブロックとして画定する。
【0087】
そして、算出したベースライン予測値に基づいて、信頼度予測値を調整する(S103)とともに、エネルギーリソースの残容量、ベースライン及び信頼度予測値に基づいて調整力ブロックを抽出する(S104)。
【0088】
この調整ブロックの抽出では、
図6及び
図7に示すように、同一の消費電力が継続する時間長に基づいて累積される電力量を、消費電力及び時間長を一辺とする矩形状のブロックとして、それぞれの消費電力、時間帯及び時間長を変化させて定義し、定義されたブロックに含まれる単位計測期間毎の予測消費電力及び信頼度とに基づいて、最適な消費電力量、時間帯及び時間長のブロックを調整力ブロックB1及びB2として抽出する。
【0089】
特に、この調整力ブロックの抽出では、蓄電装置に対する充放電制御が行われなかった場合の予測消費電力の時経に従った変化を、電力及び時間を二軸とする平面上のベースラインL1及びL2として設定し、設定されたベースラインL1及びL2に接しないように、調整力ブロックB1及びB2を、ベースラインL1及びL2の上方又は下方において画定する。
【0090】
また、調整力ブロックのベースライン側となる上辺又は下辺に近接して配列されたドットを時間軸方向に解析していき、配列されたドットの信頼度に応じて調整力ブロックのベースライン側となる上辺又は下辺の値、長さ又は位置を変化させて、調整力ブロックを調整することも可能である。
【0091】
(2−3)信頼度予測値の算出処理
図9に示すように、先ず、ベースライン予測値を算出する(S201)。本実施形態では、家庭内負荷値を基準に契約電力を上限とした充放電可能電力値帯を、
図7に示すような信頼度ランクにそれぞれ分類する。
【0092】
次いで、累積された過去データに基づいて機械学習によりモデルを構築する。そのモデルとベースライン予測値および天候など外部条件により機械学習を行い単位時間あたりの標準偏差を参照する(S202)。さらに、ベースライン予測値と標準偏差から信頼度のランクが設定される(S203及びS204)。
【0093】
(2−4)信頼度予測値の調整処理
以上のように設定された信頼度予測値は、調整力ブロックの上辺又は下辺に近接して配列されたドットを水平方向に解析していき、そこに配列されたドットについて、
図7に示すように、信頼度が高いランクのドットの出現頻度の割合や連続性、或いは各ランクとその電力量とに基づく期待値を計算する。そしてこれらの割合や期待値がより高くなるように、調整力ブロックの上辺又は下辺の値(電力量)を上下させるか、或いは上辺又は下辺の長さ(時間長)及び位置(時間帯)を変化させて、最適な調整力ブロックを再画定する。
【0094】
(3)学習処理
なお、本実施形態におけるベースライン予測値や信頼度予測値の算出は、機械学習等の機械学習処理によって向上される。この機械学習認識処理では、各需要単位の実績情報や気候情報等との相関である相関情報を算出し、各情報の特徴点と合致する相関情報を抽出し、相関情報に紐付けられた蓄積情報を参照して、ベースライン予測値や信頼度予測値を算出する。
【0095】
詳述すると、本実施形態では、各需要単位から収集された実績情報のうち、充放電制御(ディマンドリスポンスの要請がなかった)が行われなかった(ディマンドリスポンスの要請がなかった)場合の実績情報、及び放電制御が行われた場合の実績情報、及びこれらの差分を教師データとして、そのときの気象状況やその他の事象の特徴点を階層的に複数抽出し、抽出された特徴点の階層的な組合せパターンを学習情報として学習情報データベースである蓄積部419gに蓄積する。そして、ベースライン予測値や信頼度予測値を算出する際には、蓄積された実績情報について、学習情報データベースである蓄積部419gに蓄積された学習情報を参照して、各予測値を算出する。
【0096】
相関解析部419cは、非線形回帰分析器であり、複数種の予測値の特徴がパターンとして設定され、フィードバック収集部419aによって収集され、教師データ抽出部419bによって分類された実績情報を解析し、多数の実績情報の中から特定の特徴点を検出する。本実施形態に係る相関解析部419cは、入力ユニット(入力層)607、第1重み係数608、隠れユニット(隠れ層)609、第2重み係数610、及び出力ユニット(出力層)611を有する。
【0097】
そして、類似検索部419eは、相関解析部419cが蓄積した、実績情報毎の特徴点の階層的な組合せパターンを含む相関情報を参照して、ドット毎の信頼度や、ベースライン予測値に対し、特徴点の組合せパターンとの合致度に応じた識別確率を算出し、その算出結果に応じて予測値を抽出し、ドット毎の信頼度やベースラインや調整力ブロックを算出し、検索結果出力部419fを通じて、予測部417c及びパラメータ設定部418cに出力する。
【0098】
(電力供給プログラム)
なお、上述した本発明に係る電力供給システムや電力供給方法は、所定の言語で記述された本発明の電力供給プログラムをコンピューター上で実行することにより実現することができる。すなわち、本発明の電力供給プログラムを、サーバーコンピューター等の汎用コンピューターのICチップ、メモリ装置にインストールし、CPU上で実行することにより、上述した各機能を有する電力供給システムを構築し実行することによって、本発明に係る電力供給方法を実施することができる。
【0099】
また、本発明の電力供給プログラムは、例えば、通信回線を通じて配布することが可能であり、また、コンピューターで読み取り可能な記録媒体に記録することにより、スタンドアローンの計算機上で動作するパッケージアプリケーションとして譲渡することができる。この記録媒体として、具体的には、フレキシブルディスクやカセットテープ等の磁気記録媒体、若しくはCD-ROMやDVD-ROM等の光ディスクの他、RAMカードなど、種々の記録媒体に記録することができる。そして、この電力供給プログラムを記録したコンピューター読み取り可能な記録媒体によれば、汎用のコンピューターや専用コンピューターを用いて、上述したシステム及び方法を簡便に実施することが可能となるとともに、プログラムの保存、運搬及びインストールを容易に行うことができる。
【0100】
(作用・効果)
以上説明した実施形態によれば、電力会社2から発電事業者3に対して送出される制御指示の内容に応じて、アグリゲーター4で、電力の需要単位毎に設置された複数の蓄電装置を所定のグループ単位で蓄電池の充電又は放電のスケジュールを作成し、スケジュールに従って遠隔的に制御を行うことができる。これにより、点在する複数の蓄電池をあたかも1つ乃至複数の巨大な蓄電池としてみなし使うことができ、急激な電力需要の変動が生じる場合には、その変動分の電力需要を、このグループ単位での蓄電池装置に充放電することで吸収し、発電事業者3に対する出力制御を回避することができる。
【0101】
特に、本実施形態では、各需要単位に分散配置された複数の蓄電池をVPPのリソースとして最大限有効利用するために個々の蓄電池及び積上げの充放電値を算出するアルゴリズムを構築することができる。すなわち、本実施形態では、出力抑制回避、デマンド抑制、発電所運転予備力として各拠点に点在する蓄電池をあたかも1つないし複数の巨大な蓄電池としてみなし利用することができるとともに、調整力ブロックを抽出することによって、一定でより高い電力をより長く持続できる信頼性の高いリソースを確保でき、各需要単位の調整力ブロックを無駄なく積上げることができ、各拠点の電力負荷や契約電力により変動する充放電値について的確に予測し、複数の蓄電池を束ねた時の充放電値を安定させることができる。
【0102】
また、本実施形態では、機械学習により予測値及び算出ロジックの精度を向上できるため、出力抑制回避、デマンド抑制、発電所運転予備力として需要家毎に点在する蓄電池を効率的に割り当てて、最大限に活用することができる。
以上の結果、本実施形態によれば、発電所に接続された電力系統を通じて電力を供給するとともに、複数の蓄電池を群制御する電力供給システムにおいて、蓄電池の充放電値をより的確に予測し、一定でより高い電力をより長く持続できる信頼性の高い安定した蓄電リソースを確保できる。