(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
弁室を有する弁座(30)と、前記弁座(30)の上端に設けられたモータ(10)と、スクリュー(312)とを備え、前記スクリュー(312)は螺合によりナット(41)が連結されており、前記ナット(41)に弁コア(42)が連結されている直動式電動弁において、
前記モータ(10)のロータ(12)と前記弁座(30)の軸方向位置が相対的に固定されて、前記スクリュー(312)の上端と前記ロータ(12)が固定接続されており、前記弁コア(42)が前記ナット(41)の協働で前記弁室の軸方向に移動して前記弁座(30)に設けられた弁口(30a)を開閉するように配置され、前記弁コア(42)はバランス通路を有する筒状構造であり、その外周に、前記弁室を2つの独立したチャンバに分割するシール部材が設けられ、
前記直動式電動弁は、弁コアユニット(400)と、下弁座ユニット(302)と、上弁座ユニット(301)とを備え、前記上弁座ユニット(301)は、上弁座(31)と、スクリュー(312)と、モータ(10)のロータ(12)とを備え、前記上弁座(31)は、前記下弁座ユニット(302)の下弁座(32)と固定接続され、かつ両者の内室が連通し、前記ロータ(12)は前記上弁座(31)の上端に外嵌すると共に、前記上弁座(31)の軸方向位置と相対的に固定され、前記スクリュー(312)の上端は前記上弁座(31)を貫通して前記ロータ(12)と固定接続されており、下端は前記弁コアユニット(400)のナット(41)と螺合されて、前記弁コアユニット(400)の弁コア(42)は、前記ナット(41)の協働で前記下弁座(32)の内室に沿って軸方向に移動して、前記下弁座(32)に設けられた弁口(30a)を開閉するように構成されていることを特徴とする直動式電動弁。
前記スクリュー(312)は、環状接続ピース(315)を介して前記ロータ(12)に溶接固定されており、前記環状接続ピース(315)の貫通穴の周辺には軸方向に沿って延在して突出部を形成するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の直動式電動弁。
前記ロータ(12)は永久磁石ロータであり、前記ロータ(12)の外径と前記弁口(30a)の直径との比は0.8〜1.8であることを特徴とする請求項1に記載の直動式電動弁。
前記上弁座(31)にハウジング(20)が外嵌されており、前記ハウジング(20)に前記モータ(10)のコイル部材(11)が外嵌されるとともに、前記ハウジング(20)に被せて設けられている固定ホルダー(21)により支持されており、前記コイル部材(11)の軸方向中心線と、前記軸受(311)の軸方向中心線及びロータ(12)の軸方向中心線が重なり合うように構成されていることを特徴とする請求項4に記載の直動式電動弁。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明は、小型化及び大容量化を図るために、小型モータで大径の弁口を開閉するように
弁コアを駆動することができる直動式電動弁を提供する。
【0026】
当業者に本発明に係る技術案をより効果的に理解させるために、以下で、図面及び具体的
な実施形態を参照しながら、本発明についてさらに詳しく説明する。
【0027】
本文に言及される上と下などの方位語は、
図1ないし
図11における部品が図中にある位
置及び部品同士間の位置関係によって定義され、技術案を明確に表現するものに過ぎない
。本文に使われている方位語は、係る請求項を限定するものとして理解されるべきではな
い。
【0028】
図1〜2を参照し、
図1は、本発明に係る直動式電動弁の具体的な実施形態を示す断面図
であり、弁コアが全開状態のときの構造を示している。
図2は、本発明に係る直動式電動
弁の具体的な実施形態を示す断面図であり、弁コアが全閉状態のときの構造を示している
。
【0029】
この実施例において、直動式電動弁は、弁室を有する弁座30と、弁座30と接続された
ハウジング20と、弁座30の上端に設けられたモータ10と、スクリュー312とを備
え、スクリュー312は螺合によりナット41が連結されて、ナット41に弁コア42が
連結されたる。モータ10のロータ12はハウジング20内に設けられ、弁座30の軸方
向位置と相対的に固定されて、コイル部材11はハウジング20に外嵌しており、スクリ
ュー312の上端とロータ12が固定接続されており、弁コア42はナット41の協働で
前記弁室の軸方向に移動して、弁座30上に設けられた弁口30aを開閉するように配置
されている。ここで、弁コア42は、バランス通路を有する筒状構造であり、その外周に
前記弁室を2つの独立したチャンバに分割するシール部材が設けられている。
【0030】
直動式電動弁は、弁コアユニット400と、下弁座ユニット302とを備える。ここで、下弁座ユニット302は、下弁座32と、下弁座32の内室に設けられた弁座コア321とを備える。弁コアユニット400は、ナット41と、ナット41と接続された弁コア42とを備える。また、上弁座ユニット301を備え、さらに、上弁座31と、スクリュー312とモータ10のロータ12とを備える。上弁座31と下弁座32は固定接続され、かつ両者の内室が連通している。ロータ12は上弁座31の上端に外嵌されるとともに、上弁座31の軸方向位置と相対的に固定されている。スクリュー312の上端は上弁座31を貫通してロータ12と固定接続されており、下端はナット41と螺合し、弁コア42はナット41の協働で弁座コア321のコアチャンバに沿って軸方向に移動して、下弁座32に設けられた弁口
30aを開閉するように構成されている。
【0031】
この直動式電動弁は以下のような技術的効果を有する。すなわち、モータ10のロータ12と上弁座31の軸方向位置が相対的固定され、かつスクリュー312がロータ12と固定接続されている。作動時に、モータ10は直接的にスクリュー312を回動させるように駆動し、スクリュー312と螺合するナット41は、スクリュー312の回動を軸方向移動に変換することにより、弁コア42を軸方向に移動させて弁口
30aを開閉するようにしている。これにより、ギヤシステムを無くしたため、不要な伝動を低減させ、動力損失を小さくすることができ、反応が直接的且つ確実となる。
【0032】
モータ10のロータ12と上弁座31の軸方向位置が相対的固定されているため、ロータ
12とモータ10のコイル部材11との間の相対的な位置が固定されている。作動時に、
モータ10の駆動トルクは弁コア42の軸方向移動に伴い変わることはないため、前述し
た構造と組み合せると、モータ10のサイズを効果的に低減させることができる。
【0033】
ここで、上弁座31にハウジング20が外嵌されており、ハウジング20にモータ10の
コイル部材11が外嵌されるとともに、ハウジング20に外嵌された固定ホルダー21に
より支持されている。
【0034】
こうすると、作動時に、モータ10のコイル部材11はロータ12を回動させるように駆
動し、ロータ12と弁座30の軸方向位置が固定され、かつスクリュー312はロータ1
2と固定接続されているため、ロータ12はスクリュー312のみを回転させ、スクリュ
ー312と螺合するナット41は、スクリュー312の回動を軸方向移動に変換すること
により、弁コア42を軸方向に移動させて弁口30aを開閉するようにしている。前記構
造はギヤシステムを無くしたため、不要な伝動を低減させ、動力損失を小さくすることが
でき、反応が直接的且つ確実で敏感となる。また、ロータ12と弁座30の軸方向位置が
相対的に固定され、即ち作業中にロータ12とコイル部材11との相対的な位置が固定さ
れているため、モータ10の駆動力は弁コア42の軸方向移動に伴って変化することがな
い。明らかなように、同一サイズを有する弁口30aに対して、本技術案に係るモータの
サイズが先行技術よりも小さくなるため、弁体の小型化と大容量化の要求を両立させるこ
とが可能となる。
【0035】
好ましい方案において、ロータ12の軸方向中心線とコイル部材11の軸方向中心線とは
、重なり合うように構成されている。好ましい方案において、コイル部材11の軸方向中
心線、軸受311の軸方向中心線及びロータ12の軸方向中心線は重なり合うように構成
されている。これによって、モータ10の駆動力を最大化することができる。
【0036】
この実施例において、弁座30は上弁座31と下弁座32とを備え、両者は固定接続され
ている。ここで、弁口30aは下弁座32に配置されている。
【0037】
図4〜6を参照し、
図4は、
図1における上弁座ユニットの構造概略図であり、
図5は、
図1における上弁座ユニットの断面概略図であり、
図6は
図5の平面図である。
【0038】
図示されるように、上弁座31は、ロータ12の内部に挿し込まれる小径部と大径部とを
備え、スクリュー312は上弁座31の内室を貫通してロータ12と固定接続されている
。
【0039】
具体的な方案において、スクリュー312は環状接続ピース315を介してロータ12と溶接固定されている。環状接続ピース315は環状をなし、中間に貫通穴を開け、スクリュー312に外嵌することができる。環状接続ピース
315の外側とロータ12とが溶接固定され、これによって、スクリュー312とロータ12の接続強度を確保することができる。
【0040】
さらに、環状接続ピース315の貫通穴の周辺には軸方向に延在して突出部を形成するよ
うに構成されている。これによって、この突出部をスクリュー312に外嵌すると、環状
接続ピース315とスクリュー312との接触面積を増加させることができるため、スク
リュー312とロータ12との間の接続強度を補強し、スクリュー312がロータ12の
回転に伴い回動することが確保できるようになる。
【0041】
具体的な方案において、実装を手軽に利用できるように、環状接続ピース315はロータ
12と一体に設けられている。
【0042】
上弁座31の内室は 環状板によって上側室と下側室とに分割されており、該環状板は上
弁座31と一体に設けられている。前記上側室の内部に軸受311が設けられており、こ
の軸受311の内輪はスクリュー312の外周壁と接合し、外輪は前記上側室の内壁と接
合するように設けられている。これによって、スクリュー312は軸受311を介して上
弁座31との軸方向位置が相対的に固定されるため、ロータ12と上弁座31の軸方向位
置が相対的に固定される。即ち上弁座31の前記構造では、軸受311と、スクリュー3
12と、ロータ12との三者の相対的な位置が定められる。
【0043】
ここで、上弁座31の周壁に平衡孔31dをさらに開設してもよい。この平衡孔31dは
圧力のバランスをとりつつ、スクリュー312の回動抵抗力を低下させるために、上弁座
31の小径部に設けられる。
【0044】
さらには、軸受311の上端にブッシュ313をさらに設けていてもよい。ブッシュ31
3はスクリュー312に外嵌するとともに、スクリュー312と溶接固定される。これに
よって、軸受311の内輪は軸方向から力を受けて軸受311の外輪から離脱するのを防
止することができる。なお、ブッシュ313の上にスペーサ314をはめ込むように設け
、スペーサ314を上弁座31の上部に溶接することで、軸受311の内輪と外輪が互い
に離脱するのを更に防止することが可能となる。
【0045】
上弁座31、軸受311、スクリュー312及びロータ12は、上弁座ユニットと称する
。
【0046】
ここで、前記記述は例として、ロータ12と弁座30の軸方向位置を特定する形態を与え
るものに過ぎず、実際に、他の方式によってロータ12と弁座30の軸方向位置を特定す
ることもできるように理解されるべきである。
【0047】
図12に示すように、上弁座31の環状板の上端に、段差面が軸受311に向く環状段差
31fが設けられている。これによって、軸受311の内輪が回動するとき、環状板と直
接的に接触し摩擦が生じるのを回避することが可能となる。
【0048】
スクリュー312のねじ部は、上弁座31の下側室に設けられており、前記下側室は、ス
クリュー312と螺合して接続されたナット41をガイドするための小径チャンバ31a
と、下弁座32の内室と組み合わされて弁室を形成する大径チャンバ31bと備える。つ
まり、上弁座31の下側室は、ナット41と弁コア42とからなる弁コアユニット400
を軸方向に移動させるスペースを提供し、上弁座31の構成では、弁の軸方向寸法が小さ
くなるため、弁の小型化の設計に寄与する。
【0049】
また、
図7〜
図9を参照し、
図7は、
図1における弁コアユニットの構造概略図であり、
図8は、
図1における弁コアユニットの断面概略図であり、
図9は、
図8の平面図である
。
【0050】
弁コアユニット400は、ナット41と弁コア42とを備える。前記ナット41はスクリ
ュー312と螺合する小径部41aと大径部41bを備える。弁コア42の上端に大径部
41bを収容する収容チャンバがあり、前記収容チャンバの内壁上端に、段差面がロータ
12に向く環状段差が設けられており、その環状段差の上に、ナット41と弁コア42の
軸方向における相対的な位置を制限するようにナット蓋板411が配置されている。
【0051】
ロータ12は回転し、スクリュー312を回動させると共に、ナット41を上側に移動さ
せると、ナット41の大径部41bの端部はナット蓋板41と干渉するので、弁コア42
と共に上方に移動させることができるため、ナット41が弁コア42から離脱するのを防
止することができる。
【0052】
ロータ12は回転し、スクリュー312を回動させると共に、ナット41を下側に移動さ
せると、ナット41は、弁口30aが閉じるまで、弁コア42を下側に移動させるように
直接に動かすことができる。
【0053】
ここで、モータ10のロータ12は、コイル部材11の駆動により時計回りに回転するか
、反時計回りに回転するようにして、ナット41を上方側、或いは下方側に移動させるこ
とができる。実際の設置に際して、ロータ12が時計回りに回転するとき、ナット41を
上方側に移動させるように設定してもよいし、ロータ12が反時計回りに回転するとき、
ナット41を下方側に移動させるように設定してもよいし、ロータ12が時計回りに回転
するとき、ナット41を下方側に移動させるように設定してもよいし、ロータ12が反時
計回りに回転するとき、ナット41を上方側に移動させるように設定していてもよい。
【0054】
ナット41の小径部41aは、上弁座31の下側室の小径チャンバ31aに延びており、
スクリュー312の駆動によって、ナット41の小径部41aは前記小径チャンバ31a
の軸方向に沿って移動する。この小径チャンバ31aがナット41の軸方向移動をガイド
する役割を果たすことにより、ナット41は軸方向に移動するときに歪みが生じ、弁コア
42の弁口30aに対する封止性を妨げるのを避けることができる。
【0055】
明らかなように、ナット41によりスクリュー312の回動を軸方向移動に変換して、弁
コア42を軸方向に移動させるために、ナット41の周方向回動を制限する位置リミット
部材がさらに配置されている。
【0056】
位置リミット部材を設ける形態は種々があり、具体的に、本技術案では、ナット41の小
径部41aを、横断面が非円形のコラム構造、例えば
図7に示す四角柱とすることができ
る。これに応じて、上弁座31の小径チャンバ31aを前記四角柱と適合させるように設
けている。当然ながら、実際の設置に際して、ナット41の小径部41aを、横断面が非
円形の他のコラム構造、例えば五角形などとして設置することもできる。これに応じて、
小径チャンバ31aをこれと適合させるように設けている。また、小径チャンバ31aの
内壁にリテーナリングを設け、リテーナリングの内孔を非円形とし、ナット41の小径部
41aを該リテーナリングと係合し、横断面が非円形のコラムとして設置することもでき
る。これ以外に、さらに、前記収容チャンバの底部に周方向制限溝を設け、ナット41の
大径部41bの底部に、周方向制限溝と係合する周方向制限突起を設けることもできる。
以上の幾つかの例は、ナット41の周方向の回動を制限する位置リミット部材を例示する
ものに過ぎない。
【0057】
さらに、
図13に示すように、上弁座31の小径チャンバ31aの横断面を円形とし、小
径チャンバ31aのチャンバ壁の下端に環状溝を設け、この環状溝の内部にリテーナリン
グ316を設け、このリテーナリング316の内孔を非円形孔としている。
図14に、リ
テーナリング316の内孔が四角形孔とされる構造を示している。ナット41の小径部4
1aの横断面はリテーナリング316の内孔と適合させるように配置され、これによって
、ナット41の周方向の回転を制限することができる。
【0058】
また、
図10〜11を併せて参照し、
図10は、
図1にお
ける弁座コアの構造概略図であり、
図11は、
図1における下弁座の構造概略図である。
【0059】
下弁座32内に、弁座コア321が固着されて設けられており、弁座コア321はコアチ
ャンバを有すると共に、周壁に1つまたは複数の流量調節溝321aが配置されているい
る。弁座コア321は弁室を第1のチャンバと、第1のチャンバを囲繞する第2のチャン
バとに分割しており、明らかなように、2つのチャンバは流量調節溝321aによって連
通されている。ここで、前記第1のチャンバは弁座コア321のコアチャンバと理解され
るべきである。第2のチャンバは第1の接続管と連通し、第1のチャンバは弁口30aを
介して第2の接続管と連通している。
【0060】
冷媒の流量調整工程において弁座コア312に付加する力の安定性を確保するために、複
数の流量調節溝321aは弁座コア321の周壁に沿って均一に分布するように配置され
てもよい。
【0061】
さらに、流量調節溝321aは、弁座コア321の軸方向に沿ってその周方向長さが下側
に向けて漸縮する構造とされてもよい。
図10に示すように、この構成では、小流量範囲
の冷媒の流量調節をより一層正確に行うことができる。当然ながら、実際の設置に際して
、流量調節溝321aを他の構造、例えば四角形、円形又は楕円形の構造として設置して
もよい。但し、前述した構造に比べて、小流量範囲内で調整精度が低くなる。
【0062】
ナット41と接続された弁コア42は弁室内に設けられ、具体的には前記第1のチャンバ
内に設けられている。弁コア42が全閉状態とされ、弁口30aが閉じられると、弁コア
42の側壁は流量調節溝321aを塞ぐことができるため、第1のチャンバと第2のチャ
ンバとの連通を切断することができる。また、弁コア42がナット41の移動により上方
側に移動されると、流量調節溝321aを漸次的に打開すると共に、流量調節溝321a
の流通面積を変更することにより、第1のチャンバと第2のチャンバとを連通させ、冷媒
の流量を調節することができる。明らかなように、弁コア42と弁座コア321の間を封
止することが要求される。
【0063】
図3を参照しながら見ると、具体的な方案においては、弁座コア321のコアチャンバを段差孔として設置し、この段差孔は上弁座31に向く段差面を形成する。弁座コア321の上端に上部リミットスリーブ421が差し込まれるように実装されており、この上部リミットスリーブ421の上端に環状の径方向ボスを有し、この径方向ボスは、弁座コア321の上弁座31に向く上端面に当接されている。このように、上部リミットスリーブ421の下端面である弁口30aに向く端面と、弁座コア
321の内側壁及び前記弁座コア321の段差面は実装溝を形成し、この実装溝の内部にシールガスケット423を配置することができる。
【0064】
さらに、シールガスケット423と前記弁座コア321の段差面の間に、下部リミットス
リーブ422を設けてもよい。弁口30aに対する封止性を確保するため、通常、弁コア
42は上部が小さく、下部が大きい構造とされており、弁コア42の実装上の要求を満た
すために、弁座コア321の小径貫通穴と弁コア42との間には実装用ギャップが存在し
ている。下部リミットスリーブ422の設置によって、実装用ギャップの存在によりシー
ルガスケット423が弁コアの往復移動中に前記実装溝から離脱するのを回避することが
できる。
【0065】
さらには、シールガスケット423の外周面にスライド支援部材423aが設けられてい
る。このスライド支援部材423aをシールガスケット423と一体に設けることができ
、即ち、スライド支援部材423aをシールガスケット423の外周に被覆してもよく、
それ自体を単独に設けることもできる。前記第1のチャンバと前記第2のチャンバの間に
圧力差が存在するとき、圧力によってシールガスケット423が押圧され変形される。ス
ライド支援部材423aはシールガスケット423の外周に被覆されているため、シール
ガスケット423の押圧力を容易に捕捉することができ、弁コア42の外周壁と密着して
封止性を確保することができる。また、スライド支援部材423aの設置によって、弁コ
ア42の軸方向移動時における摩擦抵抗力を低減することもできる。
【0066】
前記上部リミットスリーブ421は、さらに、弁座コア321との相対的な固定を維持
するように設けられている。この実施例において、上弁座31の大径部の底部に軸方向ボスを配置し、下弁座32に向く環状段差面を形成することができる。上弁座31はこの軸方向ボスを介して下弁座32に挿入実装され、その環状段差面は下弁座32の上端面と密着し、前記軸方向ボスの下端は上部リミットスリーブ421を弁座コア321の上端面に押し付けるように設けられている。また、上弁座31のこのような構造の設置によって、下弁座32との同軸度を容易に確保することもできる。当然ながら、その他の方式、例えば溶接やねじ連接などの方式によって、上部リミットスリーブ421と弁座コア321とを固定することもできる。
【0067】
弁コア42は全閉状態の時に、その弁口30aとの間の封止性が確保されなければならな
い。
【0068】
この実施例においては、弁コア42の底部には、シールリング425がかしめ接続された
軸方向ボス部を備える。弁コア42が完全に閉じられた状態になると、シールリング42
5の下端面が弁口30aの端面に密着し封止するように構成されている。明らかなように
、シールリング425の外端部の直径は弁口30aの直径よりも大きく設定されている。
【0069】
さらに、この直動式電動弁のモータ10のロータ12は永久磁石ロータであり、具体的に、ネオジ
ム鉄ボロン系焼結磁石材料又は各異方性フェライト材料から作製されている。これによって、弁コア42が全閉状態になると、モータ10が電源オフとされ、このとき、ロータ12は永久磁石ロータであるため、モータ10は電源オフ状態において位置決めトルクを有し、スクリュー312とナット41との間の相対的な位置を確保し、両者の滑りや変位を避けることができる。したがって、モータ10が電源オフの状態において、弁コア42と弁口30aとの間の封止性がさらに確保され、内部漏れの発生を回避することが可能となる。
【0070】
モータ10に一定の位置決めトルクを具備させるために、ロータ12の外径と弁口30a
の直径との比は0.8〜1.8であることが好ましい。
【0071】
さらには、弁コア42は前記収容チャンバと貫通する軸方向貫通穴を有し、ナット41の
周壁に通気溝41cを有し、すなわち弁コア42のバランス通路は、前記収容チャンバと
、前記収容チャンバと貫通する軸方向貫通穴と、ナット41の周壁に設けられた通気溝4
1cとを備える。これによって、弁コア42が全閉状態にされると、弁コア42の上下端
の圧力のバランスが取られる。
図3を参照しながら見ると、
図3は、弁口の全閉状態にお
ける下部弁コアユニットの上下端での圧力バランスを示す構造概略図である。図中の矢印
に示すように、第2の接続管323は弁口30aを介して弁コア42の軸方向貫通穴と連
通すると共に、ナット41の通気溝41cを介して上弁座31の大径チャンバ31bと連
通している。このとき、弁コア42に付勢する圧力が小さいため、弁口30aを開くとき
に、僅かに小さな駆動力だけで済む。即ち、小型のモータ10だけで大きな弁コア42を
駆動することができるため、さらに直動式電動弁の小型化を図ることができる。
【0072】
さらには、弁コア42の軸方向貫通穴の内壁の下端には、内部にストレーナー424が配
置された環状溝が設けられている。ストレーナー424の設置によって、冷媒が流れると
きに不純物を弁コア42の軸方向貫通穴に持ち込まれることによる、スクリュー312と
ナット41との噛み合わせねじの潰れを防止することができる。
【0073】
また、この直動式電動弁の上弁座31の下側室の小径チャンバ31aと大径チャンバ31
bとが連通する部位に、弁口30aに向く段差端面31cが形成されており、この段差端
面31cと弁口30a間の距離によって、弁コア42の軸方向移動距離が定められる。図
1に示すように、弁コア42が全開状態になると、流量調節溝321aが全開にされ、第
1の接続管322は流量調節溝321aを介して第2の接続管323と連通し、このとき
、弁コア42の上端面は段差端面31cと当接する。
図2に示すように、弁コア42が全
閉状態にあると、そのシールリング425が弁口30aに密着して封止され、第1の接続
管322は第2の接続管323と連通せず、冷媒の流通が完全に切断されるようになる。
【0074】
この直動式電動弁は双方向の流通を実現することができる。
図1及び
図2を組み合わせて
みると、
図1及び
図2における矢印は、冷媒の流れを示している。ここで、実線矢印は、
冷媒が第1の接続管322から流入し、第2の接続管323から流出することを示してお
り、破線矢印は、冷媒が第2の接続管323から流入し、第1の接続管322から流出す
ることを示している。
【0075】
図15は、直動式電動弁を実装するプロセス概略図を示している。前記直動式電動弁の実
装方法において、組み立てられた弁コアユニット400を、組み立てられた下弁座ユニッ
ト302に取り付けるステップと、
組み立てられた上弁座ユニット301のスクリュー312を前記弁コアユニット400の
ナット41にねじ込ませるとともに、上弁座ユニット301の上弁座31を下弁座ユニッ
ト302の下弁座32に溶接固定させるステップと、
ハウジング20と固定ホルダー21を押圧して実装すると共に、モータ10のコイル部材
11を組み立てるステップとを含む。
【0076】
ここで、上弁座ユニット301の実装プロセスは、
図16を参照して、以下のステップを
含む。すなわち、
スクリュー312と、軸受311と、上弁座31を押圧して実装するステップと、
スペーサ314を軸受311の上端に取り付けて、上弁座31とかしめ接続又は溶接させ
るステップと、
ブッシュ313をスクリュー312とスペーサ314との間に介在させ、軸受311の上
端と当接させると共に、スクリュー312と溶接固定させるステップと、
モータ10のロータ12を上弁座31の上端に外嵌するとともに、スクリュー312と固
定接続させるステップとを含む。
【0077】
弁コアユニット400の実装プロセスは、
図17を参照して、以下のステップを含む。すなわち、
シールリング425と
シールガスケット423を弁コア42の底部の軸方向ボス部にかしめ接続させるステップと、
ナット41の大径部41bを弁コア42の収容チャンバに押圧し実装するステップと、
ナット蓋板411を弁コア42と溶接固定させるステップと、
ストレーナー424とクランプ部材426とを組み立てるステップとを含む。
【0078】
本発明が提供する直動式電動弁は、前記直動式電動弁の実装方法を採用している。前記直
動式電動弁は前記技術的効果を奏するので、前記直動式電動弁を実装する実装方法も相応
する技術的効果を具備するはずである。ここでは、繰り返さない。
【0079】
以上にて、本発明が提案される流量調節弁について詳細に説明した。本文には、具体的な
例を挙げて本発明の主旨や実施形態について述べたが、以上の実施態様の説明は、本発明
の方法及び基本的な構想を効果的に理解するためのものに過ぎない。本発明の趣旨から逸
脱することなく、本発明に対して種々の変更や修飾を実施できることは、当業者には明白
であろう。これらの変更や修飾も、本出願の範囲内に含まれるべきであることは意図され
るべきである。