(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6574486
(24)【登録日】2019年8月23日
(45)【発行日】2019年9月11日
(54)【発明の名称】金属層形成方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/302 20060101AFI20190902BHJP
H01L 21/3065 20060101ALI20190902BHJP
H01L 21/3213 20060101ALI20190902BHJP
H01L 21/768 20060101ALI20190902BHJP
H01L 21/3205 20060101ALI20190902BHJP
H01L 23/532 20060101ALI20190902BHJP
【FI】
H01L21/302 201A
H01L21/302 104C
H01L21/88 D
H01L21/88 R
【請求項の数】18
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-541836(P2017-541836)
(86)(22)【出願日】2015年2月15日
(65)【公表番号】特表2018-506854(P2018-506854A)
(43)【公表日】2018年3月8日
(86)【国際出願番号】CN2015073088
(87)【国際公開番号】WO2016127425
(87)【国際公開日】20160818
【審査請求日】2018年1月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】510005650
【氏名又は名称】エーシーエム リサーチ (シャンハイ) インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】特許業務法人梶・須原特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジャ ヂャオウェイ
(72)【発明者】
【氏名】ワン ジェン
(72)【発明者】
【氏名】ワン フゥイ
【審査官】
鈴木 聡一郎
(56)【参考文献】
【文献】
特開平02−250323(JP,A)
【文献】
特表2012−500480(JP,A)
【文献】
特表2009−545881(JP,A)
【文献】
特開2007−150305(JP,A)
【文献】
特開平02−298027(JP,A)
【文献】
特表2013−506284(JP,A)
【文献】
特開2014−022533(JP,A)
【文献】
特開2011−134771(JP,A)
【文献】
特開2013−149944(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/302
H01L 21/3065
H01L 21/3205−21/3213
H01L 21/461
H01L 21/768
H01L 23/522
H01L 23/532
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に積層された少なくとも一層の誘電層及びハードマスク層に溝部を形成した後に、前記ハードマスク層上、前記溝部のサイドウォール、および、前記溝部の底部を覆うバリア層を形成し、さらに前記溝部内に金属層を形成する工程と、
希ガス−ハロゲン複合ガス及びキャリアガスを前記基板が配置されたエッチング室に導入し、前記エッチング室において熱気相エッチング処理を開始する工程と、
前記ハードマスク層が除去されたことが検出されるまで前記熱気相エッチング処理を続行する工程と、
前記ハードマスク層が除去されたことが検出されると、前記希ガス−ハロゲン複合ガスおよび前記キャリアガスの前記エッチング室への導入を停止する工程とを備えることを特徴とする金属層形成方法。
【請求項2】
前記キャリアガスと前記希ガス−ハロゲン複合ガスの流量は1:1〜50:1であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記希ガス−ハロゲン複合ガスの分圧は0.01〜5Torrであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記キャリアガスの分子量は前記希ガス−ハロゲン複合ガスの分子量よりも大きい事を特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記希ガス−ハロゲン複合ガスは、XeF2、XeF4、XeF6、KrF2の一つであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記希ガス−ハロゲン複合ガスは、XeF2、XeF4、XeF6、KrF2のうちの少なくとも二つの混合物であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記キャリアガスは不活性ガスであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記不活性ガスはXe、Kr、Ar、Ne、Heのうちの一つであることを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記不活性ガスは、Xe、Kr、Ar、Ne、Heのうちの少なくとも二つの混合物であることを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記キャリアガスはN2であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記バリア層の材料は、Ta、TaN、Ti、TiN、Ru、Co、W、WN、または、Hfの層であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記熱気相エッチング処理における前記基板の温度は20〜500℃であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記エッチング室の圧力は0.01〜50Torrであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記ハードマスク層が除去されたことを、エリプソメータによって検出された屈折率に基づいて検出することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記ハードマスク層が除去されたことを、エリプソメータを使用して前記溝部の外でリアルタイムで検出された前記ハードマスク層の厚さに基づいて検出することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記キャリアガスを前記エッチング室に導入する前に、前記希ガス−ハロゲン複合ガスを所定時間前記エッチング室に導入することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記熱気相エッチング処理が終点に近づくと、前記キャリアガスの流量を増加させることを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記希ガス−ハロゲン複合ガスの前記エッチング室への導入を停止した後、前記エッチング室への前記キャリアガスの導入を所定時間継続し、その後前記エッチング室への前記キャリアガスの導入をストップすることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体の製造一般に関し、特に
金属層形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
有名なムーアの法則によれば、集積回路のトランジスタの数は18ヶ月ごとに倍増し集積回路の性能もまた倍増することになる。ライン幅及び間隔が減少しトランジスタの密度が上がり、銅および低誘電率材料が徐々に相互接続構造の主流な技術になりつつある。しかしながら、銅と低誘電率材料とを統合するには、実際の応用においてバリア層除去の問題等のように解決すべきいくつかの技術的問題がある。バリア層は、相互接続構造において銅が低誘電率材料に拡散するのを防止するために使用されることが知られている。相互接続構造の非溝部上に形成されたバリア層は、相互接続構造の非溝部上に形成された銅が除去された後に除去される必要がある。
【0003】
現在、従来からのバリア層除去方法にはCMP法(化学機械研磨:Chemical Mechanical Polishing)が用いられている。しかし、CMP法は比較的強い機械力を伴うため、相互接続構造の基礎構造に多少の悪影響を与える。特に、誘電材料のk値(誘電率)が次第に減少するなか、機械的な力が誘電材料に永久的な損傷を与える可能性がある。すなわち、CMPによって、誘電材料に傷がつくことがある。
【0004】
前記CMPの欠点を克服するために、より発展した技術である熱気相エッチング(thermal gas phase etching)技術が、バリア層を除去するのに用いられる。熱気相エッチング技術は、特定の温度および圧力でバリア層と反応する化学ガスを利用する。熱気相エッチングの詳細については、特許出願番号PCT/CN2008/072059を参照されたい。エッチング工程全体に亘って機械応力が発生しないため、低誘電率材料に損傷を与えることがない。しかし、ライン幅が徐々に減少し、コバルト、ルテニウム等の新しいバリア層の材料がTa、TaN、Ti、TiN等の従来のバリア層の材料に取って代わり、バリア層の厚みがより薄くなる状況下で熱気相エッチングが困難になりつつある。熱気相エッチング処理中に、終点を正確に制御できないと、非溝部上のバリア層以外に、溝部におけるサイドウォールのバリア層もエッチングされる可能性がある。溝部けるサイドウォールのバリア層をオーバエッチングすると、溝部の銅が低誘電率材料に拡散してしまう。
【0005】
図1a及び
図1bを参照すると、
図1a及び
図1bには、純粋なXeF
2ガスを導入して相互接続構造における非溝部のバリア層およびハードマスク層を気相エッチングする様子の断面図を示している。例示的な実施形態において、前記相互接続構造は、基板101と、前記基板101上に形成された絶縁層102と、前記絶縁層102上に形成された第一誘電層103と、前記第一誘電層103上に形成された第二誘電層104と、前記第二誘電層104上に形成されたハードマスク層105と、前記ハードマスク層105、前記第二誘電層104、前記第一誘電層103、および、前記絶縁層102に形成された溝部108と、前記ハードマスク層105、前記溝部108のサイドウォール、および、前記溝部108の底部に形成されたバリア層106と、前記バリア層106上に形成され前記溝部108を埋める金属層107とを有している。本実施形態において、非溝部に形成された金属層107は除去され、溝部108の金属層107の上面は最も好ましくは第二誘電層104の上面と同一面となる。次に、非溝部に形成されたバリア層106は熱気相エッチング法によって除去される。熱気相エッチング法は、純粋なXeF
2ガスを利用してバリア層を除去する。
図1aに示すように、前記相互接続構造が載置されたエッチング室に純粋なXeF
2ガスが導入される。ある温度と圧力で、XeF
2ガスは相互接続構造の表面に吸着する。その後、XeF
2はF原子に分解する。F原子はバリア層と反応し、気相の副生成物を生成する。前記副生成物はエッチング室から排出される。熱気相エッチングの開始時には、前記相互接続構造の非溝部上のバリア層の量が多いため、XeF
2ガス分子は主に相互接続構造の非溝部に集中し、相互接続構造の非溝部におけるバリア層が容易に除去される。さらに、ハードマスク層105の材料としては、一般的に、XeF
2熱気相エッチングによって除去可能なTiN、TaN等を選択が選択される。相互接続構造の非溝部上に形成されたバリア層を除去後、続いてハードマスク層105が除去される。ハードマスク層105をXeF
2で熱気相エッチングするときに、終点の制御を正確に行わないと溝部108のサイドウォール上のバリア層106がオーバエッチングされる。
図1bに示すように、ハードマスク層105を完全に除去後、XeF
2ガス分子は主に溝部108のサイドウォールに集中し、溝部108のサイドウォール上のバリア層106をオーバーエッチングする。サイドウォール凹部109は、金属層107と第二誘電層104および第一誘電層103との間に形成される。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、
金属層形成方法であって、基板上に積層された少なくとも一層の誘電層及びハードマスク層に溝部を形成した後に、前記ハードマスク層上、前記溝部のサイドウォール、および、前記溝部の底部を覆うバリア層を形成し、さらに前記溝部内に金属層を形成する工程と、希ガス−ハロゲン複合ガス及びキャリアガスを
前記基板が配置されたエッチング室に導入し、前記エッチング室において熱気相エッチング処理
を開始する工程と、
前記ハードマスク層が除去されたことが検出されるまで前記熱気相エッチング処理
を続行する工程と、
前記ハードマスク層が除去されたことが検出されると、前記希ガス−ハロゲン複合ガスおよび前記キャリアガスの前記エッチング室への導入を停止する工程とを備える。
また、本明細書の開示は、サイドウォール凹部を最小化するバリア層除去方法を提供する。前記方法は、希ガス−ハロゲン複合ガス及びキャリアガスをエッチング室に導入し、前記エッチング室において熱気相エッチング処理を行い相互接続構造の非溝部におけるバリア層をエッチングするステップと、前記熱気相エッチング処理の終点の検出を行い、前記熱気相エッチング処理が終点に到達すれば、次のステップを実行し、熱気相エッチング処理が終点に到達していなければ前のステップに戻るステップと、前記希ガス−ハロゲン複合ガスおよびキャリアガスの前記エッチング室への導入を停止するステップとを含む。
【0007】
上述した通り、本発明
に係る金属層形成方法により、サイドウォール凹部の問題を改善または解決することさえ可能とする。
本発明は、添付の図面および以下の実施形態の説明を参照することによって、当業者に明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1a】相互接続構造の非溝部上におけるバリア層およびハードマスク層をエッチングするために純粋なXeF
2ガスを導入する様子を示す断面図である。
【
図1b】相互接続構造の非溝部におけるバリア層およびハードマスク層をエッチングするために純粋なXeF
2ガスを導入する様子を示す断面図である。
【
図2a】相互接続構造の非溝部におけるバリア層およびハードマスク層をエッチングするためにXeF
2ガスおよびキャリアガスを導入する様子を示す断面図である。
【
図2b】相互接続構造の非溝部におけるバリア層およびハードマスク層をエッチングするためにXeF
2ガスおよびキャリアガスを導入する様子を示す断面図である。
【
図3】(a)は純粋なXeF
2ガスを導入することによって相互接続構造の非溝部におけるバリア層およびハードマスク層をエッチングした後の様子を示す上面図である。(b)は純粋なXeF
2ガスを導入することによって相互接続構造の非溝部におけるバリア層およびハードマスク層をエッチングした後の様子を示す断面図である。(c)は
図3(a)に示す領域AのEDX図である。
【
図4】(a)はXeF
2ガスおよびキャリアガスを導入することによって相互接続構造の非溝部におけるバリア層およびハードマスク層をエッチングした後の様子を示す上面図である。(b)はXeF
2ガスおよびキャリアガスを導入することによって相互接続構造の非溝部におけるバリア層およびハードマスク層をエッチングした後の様子を示す断面図である。(c)は
図4(a)に示す領域BのEDX図である。
【
図5】サイドウォール凹部を最小化するためのバリア層除去方法を示すフローチャートである。
【
図6】サイドウォール凹部を最小化するための別のバリア層除去方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
背景にある技術的課題を解決すべく、本発明は、サイドウォール凹部を最小化するバリア層除去方法を提供する。前記方法は、エッチング室に配置された相互接続構造の非溝部におけるバリア層を熱気相エッチングするために希ガス−ハロゲン複合ガス及びキャリアガスを前記エッチング室に導入することを含む。
【0010】
図2a及び
図2bを参照すると、
図2a及び
図2bには、希ガス−ハロゲン複合ガスおよびキャリアガスを導入して相互接続構造における非溝部のバリア層およびハードマスク層をエッチングする様子を示す断面図が示されている。例示的な実施形態において、前記相互接続構造は、基板201と、前記基板201上に形成された絶縁層202と、前記絶縁層202上に形成された第一誘電層203と、前記第一誘電層203上に形成された第二誘電層204と、前記第二誘電層204上に形成されたハードマスク層205と、前記ハードマスク層205、前記第二誘電層204、前記第一誘電層203、および、前記絶縁層202に形成された溝部208と、前記ハードマスク層205、前記溝部208のサイドウォール、および、前記溝部208の底部に形成されたバリア層206と、前記バリア層206上に形成され前記溝部208を埋める金属層207とを有している。前記絶縁層202はSiCNであってよい。前記第一誘電層203は低誘電率層であってよい。前記第二誘電層204はTEOSであってよい。前記ハードマスク層205は、TiN、TaN、W、または、WNであってよい。前記バリア層206は、Ta、TaN、Ti、TiN、Ru、Co、W、WN、Hfであってよい。前記金属層207は銅であってよい。本実施形態において、相互接続構造の非溝部に形成された金属層207は除去され、溝部208の金属層207の上面は第二誘電層204の上面と同一面であることが最も好ましい。続いて、相互接続構造の非溝部上に形成された前記バリア層206を除去する。前記ハードマスク層205の材料は熱気相エッチングによって除去可能であるため、実際の応用では、前記相互接続構造の非溝部におけるバリア層206を除去した後、続いてハードマスク層205をエッチング室において除去する。
【0011】
前記相互接続構造の非溝部に形成されたバリア層206を除去するために、相互接続構造が載置されているエッチング室に希ガス−ハロゲン複合ガスおよびキャリアガスを導入する。XeF
2およびN
2を例に挙げると、熱気相エッチング処理中、エッチング室にXeF
2を導入すると同時に、一定の量のN
2もエッチング室に導入し、エッチング室の圧力を上げる。実験データによると、N
2の流れがXeF
2の9倍であれば、エッチング速度は、純粋なXeF
2ガスの場合と比較して18%下がる。このエッチング速度の低下は、N
2分子およびXeF
2分子との間のガスの分子衝突に起因する可能性がある。前記ガスの分子衝突は、非溝部のバリア層206を除去する際に、溝部208のサイドウォールのバリア層206がオーバエッチングされることを防止する。また、エッチング室の圧力をあげてもよい。エッチング室の圧力が高いと、ガスの分子衝突によって各ガスの平均自由行程が短くなる。従って、溝部208のサイドウォールにXeF
2ガスが入りにくくなり、溝部208のサイドウォール上のバリア層206がオーバエッチングされることを回避できる。
【0012】
前記希ガス−ハロゲン複合ガスは,XeF
2、XeF
4、XeF
6、KrF
2の何れか一つであればよい。或いは、希ガス−ハロゲン複合ガスは、XeF
2、XeF
4、XeF
6、または、KrF
2の任意の組み合わせの混合物であってよい。前記キャリアガスは、Xe、Kr、Ar、Ne、Heのいずれか、または、Xe、Kr、Ar、Ne、または、Heの任意の組み合わせによる混合物等の不活性ガスから選択してよい。Xeは最も大きな分子量を有しており、希ガス−ハロゲン複合ガスに溝部208のサイドウォールへの押圧力を与えることができるため、Xeが最も効果的である。別の実施形態では、キャリアガスをN
2として選択することもできる。
【0013】
上記説明によれば、キャリアガスの分子量は希ガス−ハロゲン複合ガスの分子量よりも大きいことが好ましく、キャリアガスはバリア層206と反応しないことが好ましい。キャリアガスの分子量が大きければ大きいほど、バリア層のオーバエッチング制御効果が良くなる。現在のところ、不活性ガスの分子量は希ガス−ハロゲン複合ガスの分子量よりも小さいが、XeまたはKrはより良い選択肢である。一方、Xe、又は、Krの分子量は希ガス−ハロゲン複合ガスの分子量に近くて大きいため、希ガス−ハロゲン複合ガスに溝部208のサイドウォールへの押圧力を提供可能である。一方、反応生成物の一つとしてのXe、又は、Krは、バリア層と希ガス−ハロゲン複合ガスとの反応を抑制することができる。バリア層のエッチング速度は低下するものの、溝部のサイドウォール上におけるバリア層のオーバエッチングの問題は解決する。
【0014】
本発明の良好な比較結果を示す二つの実験がある。前記二つの実験では、ハードマスク層は、熱気相エッチングによって除去される。
実験1
【0015】
サンプルをエッチング室に載置する。キャリアガスを含まない純粋なXeF
2ガスをエッチング室に導入する。純粋なXeF
2ガスの流量は6sccmである。エッチング室の圧力は0.8Torrである。エッチング時間は80sである。Taからなるバリア層のエッチング速度は170Å/minであり、熱気相エッチング後の上面図を
図3(a)に示す。
図3(b)は、熱気相エッチング後の断面図である。
図3(c)は
図3(a)に示す領域AのEDX図である。
図3(c)から明らかなように、ハードマスク層の成分であるTi元素が検出されているので、ハードマスク層がまだ残っている。
図3(b)から、溝部のサイドウォール上におけるバリア層がオーバエッチングされていることがわかる。もしハードマスク層全体が完全に除去されたなら、溝部のサイドウォール上におけるバリア層がもっとエッチングされていることが想像できる。
実験2
【0016】
別のサンプルをエッチング室に載置する。XeF
2ガスとN
2ガスをエッチング室内に導入する。XeF
2ガスの流量は6sccmである。N
2ガスの流量は54sccmである。エッチング室の圧力は4Torrである。エッチング時間は97sである。Taからなるバリア層のエッチング速度は140Å/minである。前述の実験1と同じバリア層のエッチング量を確保するために、実験2のエッチング時間は実験1のエッチング時間よりも長い。
図4(a)は、熱気相エッチング後の上面図を示す。
図4(b)は、熱気相エッチング後の断面図である。
図4(c)は、
図4(a)に示す領域BのEDX図である。
図4(c)から明らかなように、ハードマスク層の材料の元素が検出されていないので、ハードマスク層は残っていない。従って相互接続構造の非溝部上に形成されたバリア層、および、ハードマスク層が完全に除去されている。
図4(b)からわかるように、溝部のサイドウォールのバリア層はよく保護されており、溝部のサイドウォールのバリア層は殆どエッチングされてサイドウォール凹部を形成している部分は殆どない。サイドウォールの凹部は小さく、キャップ層(Co)堆積ステップのような次の処理工程で覆う事が可能となる。
【0017】
実験1および実験2の結果を比較すると、相互接続構造の非溝部におけるバリア層およびハードマスク層を熱気相エッチングする際に、希ガス−ハロゲン複合ガスを導入すると同時にキャリアガスを導入することによって、溝部のサイドウォールにおけるバリア層に対するオーバーエッチングの問題を改善或いは解決することさえ可能となることがわかる。エッチング速度は低下するが、サイドウォール凹部の問題は解決される。
【0018】
また実験から、熱気相エッチングのエッチング速度が、希ガス−ハロゲン複合ガスの分圧に比例することもわかる。エッチング室内のガスの総量に対する希ガス−ハロゲン複合ガスの割合が、希ガス−ハロゲン複合ガスの分圧を決定する。例えば、AとBの二種類のガスがエッチング室内に同時に導入される。エッチング室の圧力をCとし、ガスAの流量をaとする。また、ガスBの流量はbとする。ガスAの分圧は、c*a/(a+b)となる。
【0019】
本発明では、熱気相エッチングの終点制御も重要である。尚、ハードマスク層205は除去する必要があるが、ハードマスク層205の材料は一般的にTiNが選択されるため、相互接続構造の非溝部におけるバリア層206およびハードマスク層205がエッチング室内での熱気相エッチングによって除去可能である。熱気相エッチング処理において、ハードマスク層205が完全に除去されるまで、終点の検出が続けられる。
【0020】
本発明は、熱気相エッチング処理の終点を検出する方法として二つの方法を提供する。そのうちの一つは、エリプソメータを用いてハードマスク層205および第二誘電層204の屈折率を検出する方法である。TiNおよびTEOSを例に挙げると、TiNとTEOSの屈折率は異なる。TiNの屈折率が1.8である一方、TEOSの屈折率は1.5である。エリプソメータによって検出される屈折率が1.8から1.5に変化すると、熱気相エッチング処理が終点に達したこととなる。そのとき、希ガス−ハロゲン複合ガスおよびキャリアガスの導入が停止され、希ガス−ハロゲン複合ガスおよびキャリアガスがエッチング室に導入されなくなる。
【0021】
別の方法は、エリプソメータを使用して、相互接続構造の非溝部におけるバリア層206およびハードマスク層205の厚さを検出する方法である。ハードマスク層205の厚みが0Åまで減少すると、熱気相エッチング処理が終点に達したこととなる。そのとき、希ガス−ハロゲン複合ガスおよびキャリアガスの導入が停止され、希ガス−ハロゲン複合ガスおよびキャリアガスがエッチング室に導入されなくなる。
【0022】
図5を参照して、サイドウォール凹部を最小化するバリア層除去方法について説明する。前記方法は、以下のステップを含む。
ステップ501:希ガス−ハロゲン複合ガスおよびキャリアガスをエッチング室へ導入する。相互接続構造の非溝部におけるバリア層をエッチングするために、エッチング室において熱気相エッチング処理が行われる。
ステップ502:前記熱気相エッチング処理の終点の検出が行われる。前記熱気相エッチング処理が終点に達するとステップ503が行われる。前記熱気相エッチング処理が終点に達して居なければステップ501が繰り返される。
ステップ503:前記希ガス−ハロゲン複合ガスおよびキャリアガスの前記エッチング室への導入をストップする。
【0023】
前記キャリアガスと希ガス−ハロゲン複合ガスの流量は1:1〜50:1である。
【0024】
希ガス−ハロゲン複合ガスの分圧は0.01〜5Torrである。
【0025】
希ガス−ハロゲン複合ガスは、XeF
2、XeF
4、XeF
6、または、KrF
2、或いは、XeF
2、XeF
4、XeF
6、または、KrF
2の任意の組み合わせの混合物である。
【0026】
前記キャリアガスは、Xe、Kr、Ar、Ne、Heのいずれか、または、Xe、Kr、Ar、Ne、または、Heの任意の組み合わせによる混合物等の不活性ガスである。別の実施形態では、キャリアガスはN
2である。
【0027】
前記バリア層の材料は、Ta、TaN、Ti、TiN、Ru、Co、W、WN、または、Hfである。
【0028】
一実施形態において、相互接続構造は、ハードマスク層および少なくとも一層の誘電層とを含み、前記ハードマスク層は熱気相エッチング処理によって除去され、前記熱的気相エッチング工程の終点を検出するステップは、エリプソメータを使用してハードマスク層および誘電層の屈折率を検出し、エリプソメータによって検出された屈折率に基づいて前記熱気相エッチング処理が終点に達したか否かを判断する工程を含んでいる。
【0029】
別の実施形態において、相互接続構造は、ハードマスク層を含んでおり、前記ハードマスク層は熱気相エッチング処理によって除去され、前記熱的気相エッチング工程の終点を検出するステップは、エリプソメータを使用して前記相互接続構造の非溝部における前記バリア層およびハードマスク層の厚さをリアルタイムで検出し、前記エリプソメータによって検出された前記ハードマスク層の厚さに基づいて前記熱気相エッチング処理が終点に達したか否かを判断する工程を含んでいる。
【0030】
前記相互接続構造は基板上に形成されている。前記基板の温度は20〜500℃に制御される。
【0031】
前記エッチング室の圧力は0.01〜50Torrである。
【0032】
キャリアガスの分子量は希ガス−ハロゲン複合ガスの分子量よりも大きい。
【0033】
一実施形態において、前記エッチング室への前記希ガス−ハロゲン複合ガスの導入が停止されたあと、前記キャリアガスの前記エッチング室への導入は一定時間継続され、その後前記キャリアガスの前記エッチング室への導入も停止される。また、一実施形態において、前記熱気相エッチング処理の完了後、前記エッチング室への前記希ガス−ハロゲン複合ガスの導入が停止されるが、前記キャリアガスの前記エッチング室への導入は一定時間継続することによって、前記エッチング室を浄化し前記相互接続構造の表面から副生成物を除去する。
【0034】
図6を参照して、サイドウォール凹部を最小化する別のバリア層除去方法について説明する。前記方法は、以下のステップを含む。
ステップ601:希ガス−ハロゲン複合ガスをエッチング室へ導入する。相互接続構造の非溝部におけるバリア層をエッチングするために、エッチング室において熱気相エッチング処理が行われる。
ステップ602:エッチング室にキャリアガスを導入する一方、エッチング室に希ガス−ハロゲン複合ガスを継続して導入する。相互接続構造の非溝部におけるバリア層をエッチングする熱気相エッチング処理が、エッチング室において継続される。
ステップ603:前記熱気相エッチング処理の終点の検出が行われる。前記熱気相エッチング処理が終点に達するとステップ604が行われる。前記熱気相エッチング処理が終点に達して居なければステップ602が繰り返される。
ステップ604:前記希ガス−ハロゲン複合ガスおよびキャリアガスの前記エッチング室への導入をストップする。
【0035】
熱気相エッチング処理が終点に近づくと、キャリアガスの流量を増加させる。
【0036】
一実施形態において、キャリアガスをエッチング室に導入する前に、希ガス−ハロゲン複合ガスを所定時間エッチング室に導入することにより、エッチング効率が向上し得る。
【0037】
本発明の前述の説明は、例示および説明のために提示されたものである。本発明の正確な開示として限定または網羅するものではなく、上記の教示内容に鑑みて多くの修正および変形が可能であることは自明である。当業者に自明な改変および変形は、添付の特許請求の範囲に記載される本発明の範囲内に含まれる。