特許第6574504号(P6574504)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6574504
(24)【登録日】2019年8月23日
(45)【発行日】2019年9月11日
(54)【発明の名称】有機性廃棄物燃焼プラントの制御方法
(51)【国際特許分類】
   F23G 5/46 20060101AFI20190902BHJP
   F23G 5/50 20060101ALI20190902BHJP
   F23G 5/02 20060101ALI20190902BHJP
   F22G 5/12 20060101ALI20190902BHJP
   F01K 27/02 20060101ALI20190902BHJP
   F01K 25/10 20060101ALI20190902BHJP
   C02F 11/06 20060101ALI20190902BHJP
   C02F 11/12 20190101ALI20190902BHJP
   B01D 53/40 20060101ALI20190902BHJP
   B01D 53/78 20060101ALI20190902BHJP
【FI】
   F23G5/46 A
   F23G5/50 N
   F23G5/02 B
   F23G5/50 Q
   F23G5/50 G
   F23G5/50 A
   F22G5/12 Z
   F01K27/02 C
   F01K25/10 F
   C02F11/06 A
   C02F11/12
   B01D53/40 200
   B01D53/78
【請求項の数】4
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2018-46349(P2018-46349)
(22)【出願日】2018年3月14日
(62)【分割の表示】特願2014-113280(P2014-113280)の分割
【原出願日】2014年5月30日
(65)【公開番号】特開2018-155484(P2018-155484A)
(43)【公開日】2018年10月4日
【審査請求日】2018年3月14日
(31)【優先権主張番号】特願2013-115560(P2013-115560)
(32)【優先日】2013年5月31日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】507214083
【氏名又は名称】メタウォーター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000774
【氏名又は名称】特許業務法人 もえぎ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木村 英人
(72)【発明者】
【氏名】井上 益男
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 正人
(72)【発明者】
【氏名】三島 俊一
【審査官】 渡邉 聡
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−174845(JP,A)
【文献】 特開2011−174652(JP,A)
【文献】 特開2014−047632(JP,A)
【文献】 特開平09−079556(JP,A)
【文献】 特開2008−309046(JP,A)
【文献】 特開2005−098552(JP,A)
【文献】 特開2013−213658(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23G 5/46
B01D 53/40
B01D 53/78
C02F 11/06
C02F 11/12
F01K 25/10
F01K 27/02
F22G 5/12
F23G 5/02
F23G 5/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機性廃棄物を燃焼手段によって焼却する有機性廃棄物焼却ステップと、
前記燃焼手段から排出された焼却排ガスを熱交換手段によって空気と熱交換する高温熱回収ステップと、
前記熱交換後の焼却排ガスを前記排ガス洗浄手段によって洗浄する焼却排ガス洗浄ステップと、
前記焼却排ガス洗浄ステップから得られた洗浄排水を用いて発電装置のタービンを駆動させる作動流体を蒸発器によって気化蒸発させ、前記高温熱回収ステップから得られた高温空気を用いて前記気化蒸発させた蒸気を蒸気過熱器によって過熱し、当該過熱蒸気を前記発電装置のタービンに供与して発電する発電ステップと
を備えた有機性廃棄物燃焼プラントの運転方法であって、
前記発電装置のタービン入り口の過熱蒸気の温度及び前記排ガス洗浄手段に導入される洗浄排ガスの温度を測定し、前記過熱蒸気の測定温度が所定の上限値に達しておらず前記測定された洗浄排ガスの温度が所定の下限値を上回っている場合、前記洗浄排ガスの測定温度が、所定の下限値に近づくように前記高温熱回収ステップにおける熱交換用の空気の流量を増加させることを特徴とする有機性廃棄物燃焼プラントの運転方法。
【請求項2】
前記蒸気過熱器の高温空気出口温度を更に測定し、前記過熱蒸気の測定温度が所定の上限値に達しおり、前記蒸気過熱器の高温空気出口の測定温度が所定の下限値を上回っており、前記洗浄排ガスの測定温度が所定の上限値に達していない場合、前記洗浄排ガスの測定温度が所定の上限値に近づくように前記高温熱回収ステップにおける熱交換用の空気の流量を減少増加させることを特徴とする請求項1に記載の有機性廃棄物燃焼プラントの運転方法。
【請求項3】
請求項1に記載の有機性廃棄物燃焼プラント運転方法において、前記有機性廃棄物焼却ステップの前段に更に有機性廃棄物の低含水化手段で前記有機性廃棄物を設定含水率に脱水処理する有機性廃棄物脱水処理ステップを備え、
前記過熱蒸気の測定温度が所定の上限値を下回っており、前記設定含水率が所定の下限値を上回っている場合、前記有機性廃棄物の含水率が所定の下限値に近づくよう再設定し、前記再設定の含水率に基づいて、前記前記低含水化手段の運転条件を調整することを特徴とする有機性廃棄物燃焼プラントの運転方法。
【請求項4】
請求項2に記載の有機性廃棄物燃焼プラント運転方法において、前記有機性廃棄物焼却ステップの前段に更に有機性廃棄物の低含水化手段で前記有機性廃棄物を設定含水率に脱水処理する有機性廃棄物脱水処理ステップを備え、
前記過熱蒸気の測定温度が所定の上限値に達しており、前記蒸気過熱器の高温空気出口の測定温度が所定の下限値を上回っており、前記設定含水率が所定の上限値に達していない場合、前記有機性廃棄物の含水率を所定の上下限値に近づくよう再設定し、当該再設定の含水率に基づいて前記前記低含水化手段の運転条件を調整することを特徴とする有機性廃棄物燃焼プラントの運転方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機性廃棄物の燃焼手段、燃焼手段からの排ガスを洗浄する手段、及び排ガスの廃熱を利用する発電装置を備えた有機性廃棄物燃焼プラントにおいて、前記発電装置の発電量が最大となる制御方法、及び係る制御手段を備えたプラントに関する。
【背景技術】
【0002】
下水処理施設からの汚泥や都市廃棄物は毎年大量に発生しており、温室効果ガス削減の観点から、処理施設で発生する廃熱を如何に効率よく回収できるかが課題となっている。
【0003】
下水処理施設からの汚泥や都市廃棄物は、有機物の含有量が多いので、焼却処理されることが多い。しかし、焼却炉排ガス中には硫黄酸化物や塩化水素などの有害ガスが含まれるため、湿式洗浄され、有害ガスが除去された排ガスが大気中に放出される。
洗浄時に排ガスは約40℃に冷却されるので、洗浄水は高温の排ガスとの接触により昇温され、また、排ガスに含まれる水蒸気の大部分がここで凝縮されその潜熱が洗浄水に吸収されるため、洗浄工程で用いられた洗浄水は、60〜80℃の温排水として多量に排出され、燃焼炉排ガスに含まれる熱エネルギーの大部分は、かかる多量の温排水に潜熱として移行する。
【0004】
このような比較的低温度の温排水を熱源として用い、電気のような利用可能エネルギーに変換するため、特許文献1では、液体アンモニアなどの低沸点物質を作動流体としてタービンを駆動する発電装置を使用することが提案され、注目されている。
【0005】
上記のような発電装置を使用することにより、被処理物である汚泥や都市廃棄物が保有するエネルギーの回収率は飛躍的に向上したが、処理コストの削減のためにより一層の効率化が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平09−32513号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、下水処理施設からの汚泥や、都市廃棄物などの有機性廃棄物を焼却やガス化処理するプラントにおいて、システム全体として発生する廃エネルギーを最大限に回収するよう、システムの廃熱を利用する発電装置の発電量を最大とする制御方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、有機性廃棄物燃焼手段からの高温排ガスを洗浄する排ガス洗浄手段から排出される洗浄排水を低温熱源とし、当該排ガス洗浄手段の前段において、前記有機性廃棄物燃焼手段からの高温排ガスと熱交換した高温空気を高温熱源として利用する複数熱源発電装置において、当該発電装置に持ち込む前記低熱源の熱量と前記高熱源の熱量の総量が一定の場合、発電量を最大とするためには、前記低温熱源と高温熱源の熱源分配比率を調節し、最適な熱源配分比率とすることが重要であることを突き止めた。ここで、最適な熱源配分とは、タービン入口蒸気の流量と過熱度のバランスが取れた状態における低温熱源と高温熱源の熱源配分比率をいう。
【0009】
上記複数熱源発電装置において、低温熱源はタービン入口蒸気の流量を、高温熱源は蒸気の過熱度を決める要素である。そして、低温熱源と高温熱源の熱量配分は、有機性廃棄物燃焼手段に投入する有機性廃棄物の含水率、及び有機性廃棄物の燃焼手段から排出される高温排ガスが前記排ガス洗浄手段に到達するときの排ガス温度で決まる。
【0010】
すなわち、前記有機性廃棄物燃焼手段に投入する有機性廃棄物の含水率が大きければ、前記有機性廃棄物燃焼手段から排出される排ガス中の水蒸気量が多くなり、これらの水蒸気は前記排ガス洗浄手段で凝縮し洗浄排水として排出されるので低温熱源の量が多くなる。また、有機性廃棄物の燃焼炉から排出される高温排ガスと熱交換する流体、例えば燃焼用空気、流動焼却炉における流動用空気又は白煙防止用空気の流量を増加させれば、高温空気量が増加して高温熱源の熱量が増加する一方、前記排ガス洗浄手段に到達する排ガス温度は低下するので低熱源の熱量は減少し、逆に、前記燃焼用空気又は白煙防止用空気の流量を減少させれば、高温空気量が減少して高温熱源の熱量が減少する一方、前記排ガス洗浄手段に到達する排ガス温度は上昇するので低熱源の熱量は増大する。
【0011】
本発明では、排ガス洗浄手段に到達するときの排ガス温度を調整するか、及び/又は、有機性廃棄物燃焼手段に投入する有機性廃棄物の含水率を調整することによって、複数熱源発電装置に持ち込む高温熱源と低温熱源の分配を最適化し、複数熱源発電装置の発電量が最大となるようにしている。
【0012】
本発明の制御は以下のような原理に基づいている。
(i)複数熱源発電装置に用いられるエネルギーは、すべて燃焼排ガスに含まれる熱量からである。
(ii)燃焼排ガスに含まれる熱量は2つ部分からなる。
燃焼排ガスに含まれる顕熱と、燃焼排ガス中の水蒸気に含まれる潜熱である。
(iii)燃焼排ガスに含まれる熱量が一定で、廃棄物の含水率が高い場合、水分が蒸発する際に水蒸気に使用される熱(潜熱)が多くなるため、燃焼排ガスに含まれる顕熱が少なくなる廃棄物の含水率が低い場合、その逆である。
(iv)燃焼排ガスに含まれる顕熱は、複数熱源発電装置の高温熱源、又は低温熱源として利用可能である。
(v)燃焼排ガス中の水蒸気に含まれる潜熱は、複数熱源発電装置の低温熱源としてしか利用できない。
(vi)複数熱源発電装置の発電量は、タービン入口蒸気の過熱度と流量によって決められる。
(vii)複数熱源発電装置のタービン入口蒸気の過熱度は高温熱源によって決められ、タービン入口蒸気の流量は低温熱源によって決められる。
(viii)タービン入口蒸気の過熱度の複数熱源発電装置の発電量への影響は、タービン入口蒸気の流量の複数熱源発電装置の発電量への影響より大きい。このため、高温熱源と低温熱源の分配制御において、高温熱源のほうが優先的に確保し、余った熱量があれば、低温熱源へ移行させ、低温熱源を増やす。
【0013】
本発明の実施態様は、以下のとおりである。
(1)有機性廃棄物の燃焼手段、該燃焼手段からの排ガスを洗浄する排ガス洗浄手段、並びに該排ガス洗浄手段からの洗浄排水から回収される低温熱源及び該排ガス洗浄手段の上流側の排ガスから回収される高温熱源を利用する複数熱源発電装置、を備えた有機性廃棄物燃焼プラントにおいて、タービン前後の作動流体の有効熱落差が最大となるよう、前記排ガス洗浄手段に導入される排ガス温度を調整するか、及び/又は、前記燃焼手段の前段に備えられた有機性廃棄物の低含水化手段の含水率を調整する、ことを特徴とする有機性廃棄物燃焼プラントの制御方法。
(2)排ガス洗浄手段に導入される排ガス温度として、該排ガス洗浄手段の直前に設けられた乾式除塵装置に導入される排ガス温度を採用する(1)に記載の有機性廃棄物燃焼プラントの制御方法。
(3)高温熱源として排ガス洗浄手段の上流側の排ガスの排熱との熱交換によって得られた白煙防止用高温空気を利用する(1)又は(2)に記載の有機性廃棄物燃焼プラントの制御方法。
(4)有機性廃棄物の燃焼手段、該燃焼手段からの排ガスを洗浄する排ガス洗浄手段、該排ガス洗浄手段からの洗浄排水から回収される低温熱源及び該排ガス洗浄手段の上流側の排ガスから回収される高温熱源を利用する複数熱源発電装置、タービン前後の作動流体の有効熱落差測定手段、前記複数熱源発電装置における蒸気過熱器出口空気の温度測定手段、前記有効熱落差測定手段の測定値に基づいて、排ガス洗浄手段に導入される排ガス温度を調整する制御手段、及び/又は、低含水化手段における含水率を調整する制御手段、を備えた有機性廃棄物燃焼プラント。
(5)排ガス洗浄手段に導入される排ガス温度を調整する制御手段、及び/又は、低含水化手段における含水率を調整する制御手段が、前記有効熱落差測定手段の測定値及び前記蒸気過熱器出口空気の温度測定手段の測定値に基づいて制御する手段である(4)の有機性廃棄物燃焼プラント。
(6)排ガス洗浄手段に導入される排ガス温度として、該排ガス洗浄手段の直前に設けられた乾式除塵装置に導入される排ガス温度を採用する(4)又は(5)の有機性廃棄物燃焼プラント。
(7)高温熱源として排ガス洗浄手段の上流側の排ガスの排熱との熱交換によって得られた白煙防止用高温空気を利用する(4)ないし(6)のいずれかの有機性廃棄物燃焼プラント。
【0014】
本発明でいう「有機性廃棄物」とは、下水処理施設からの汚泥、家庭からの生活廃棄物、製材所や木材加工業から排出される木質チップなどの可燃性産業廃棄物や、レストランなどの飲食産業や食品加工業などからの廃棄物などであり、有機物の含有量が多い廃棄物をいう。
【0015】
本発明でいう「低含水化手段」とは、有機性廃棄物の含水量を低減できるものであれば種類を問わず、公知の脱水機や乾燥機を用いることができる。一般的には、凝集剤と脱水機を組み合わせて低含水化することが多い。また、もともと含水率が低く、自燃可能な有機性廃棄物の場合は、低含水化手段を省略することも可能である。
【0016】
本発明でいう「有機性廃棄物の燃焼手段」には、有機性廃棄物の安定化や減量化のための焼却炉やガス化炉が含まれる。例えば、有機性廃棄物の中でも汚泥のように含水率が高いものは流動焼却炉が用いられることが多く、また、近年、様々な形態の有機性廃棄物を比較的均一なガス(H2,CO,CO2など)と炭化物に分解するガス化炉も実用化されている。何れの排ガスも粉塵や有害ガスを含むため、除塵やガス洗浄処理が不可欠である。
【0017】
本発明でいう「排ガス洗浄手段」とは、排ガス中の有害ガスを洗浄水との接触により吸収除去するもので、スプレー、棚段、充填層、あるいはこれらを組み合わせた、公知の気液接触手段が利用できる。
【0018】
本発明でいう「複数熱源発電装置」は、タービンを駆動させる作動流体を気化蒸発させるための比較的低温の熱源と、気化された作動流体の過熱度を高める比較的高温の熱源を利用して発電する装置をいうが、夫々の熱源として2以上の異なる温度の熱源を利用することができる。
本発明では、排ガス中の水分が冷却されて生じた凝縮水や、排ガスの洗浄排水を前記比較的低温の熱源として利用することから、前記作動流体としてはアンモニアなどの低沸点流体を利用することが好ましい。
【0019】
本発明でいう「乾式除塵装置」とは、バクフィルタやセラミックフィルタなどの乾式の固気分離手段をいうが、耐熱性と分離効率の点からセラミックフィルタ又は冷却塔とバグフィルタとの組み合わせが好適に使用できる。
【0020】
本発明でいう「有効熱落差」とは、タービン前後の断熱熱落差にタービン効率をかけたものである。また、タービン前部での温度変動に比べタービン後部での温度変動は小さくタービン入口での蒸気温度を測定すれば、断熱熱落差を推定することができるので、本発明でいう「タービン前後の作動流体の有効熱落差の測定手段」とは、タービン入口の温度の測定手段を含む。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、有機性廃棄物の燃焼手段から排出される高温排ガスに含まれる熱エネルギーの回収率を最大限に引きだし、有機性廃棄物燃焼プラント全体の操業コストを低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明のプラントのフロー図
図2】本発明の発電装置のフロー図
図3】本発明の制御ブロック図(セラミックフィルタの入口設定温度を調整)
図4】本発明の制御ブロック図(脱水機の脱水率を調整)
図5】本発明の制御ブロック図(両者を組み合せて調整)
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の好ましい実施例を下水処理設備から排出される汚泥の焼却プラントで説明するが、本発明がこの実施例に限定されるものでないことは、当業者にとって自明である。
【0024】
図1は、下水処理設備から排出される汚泥の焼却プラントのフロー図で、本実施例のプラントは、脱水機1、流動焼却炉2、流動空気予熱器3、白煙防止用空気加熱器4、ろ過式除塵機5、排ガス洗浄塔6、複数熱源発電装置7を備える。
【0025】
下水設備(図示せず)からの含水率約98%の汚泥は脱水機1内に投入され、凝集剤が添加され含水率70〜80%程度に脱水される。脱水化された汚泥は、流動焼却炉2に搬送され焼却される。流動焼却炉の流動用ガスには、流動空気予熱器3によって焼却炉直後の高温燃焼排ガスと熱交換した高温空気が使用される流動空気予熱器3によって熱交換した後の燃焼排ガスは、更に白煙防止用空気加熱器4によって、白煙防止用空気を加熱する。焼却炉から排出される高温排ガスには硫黄酸化物や塩化水素などの有害ガスや粉塵を含んでいるので、前記熱交換により、所定温度まで低下した燃焼排ガスはろ過式除塵機5で除塵した後に排ガス洗浄塔6に送られ、有害ガスが除去され、煙突8を通して大気へ放出される。
【0026】
焼却炉2から排出される排ガスは、800〜850℃程度の高温で、流動用空気や白煙防止用空気と熱交換しても約250〜350℃の高温なので、本実施例ではろ過式除塵機5としては耐熱性に優れたセラミックフィルタを使用している。
なお、ろ過式除塵機5は、排ガス洗浄をする洗浄塔6の直前に設けられ、ろ過式除塵機5前後の排ガスの温度変化は小さいので、排ガス洗浄手段である排ガス洗浄塔6で洗浄される洗浄排ガスの温度を測定する代わりに、本実施例では該ろ過式集塵機5の入口温度で代用している。そして、ろ過式除塵機5の入口温度は、前記白煙防止用空気加熱器4に導入する加熱用空気の流量を調節することによって、設定温度になるよう制御することができる。
【0027】
本実施例の排ガス洗浄手段としての排ガス洗浄塔6は、燃焼排ガス中に含まれる有害成分の大部分を除去する第1スプレー塔部61、当該排ガスを冷却し、熱を回収する充填層部62、最終的に当該排ガスを洗浄・冷却する第2スプレー塔部63からなる。
【0028】
第1スプレー塔部61では、アルカリ洗浄水が燃焼排ガスにスプレーされ、排ガス中の有害ガスを吸収除去する。第1スプレー塔部61では、洗浄水は循環使用され、図示されていないが、洗浄水中に蓄積される有害成分は塩として引抜排水とともに排出され、新鮮な洗浄水を補給することで循環水中の塩濃度が一定に保たれる。
【0029】
熱を回収する充填層部62では洗浄水が、燃焼排ガスと気液接触して当該排ガスが保有する熱エネルギーを回収して洗浄水を昇温し、温排水として回収される。当該温排水は、後述する複数熱源発電装置7の蒸発器73に送られ、該発電装置7の作動流体の蒸発させるための低温熱源として、前記温排水が保有する熱エネルギーが回収される。複数熱源発電装置7で熱エネルギーが回収されて温度が低下した温排水は充填塔部62に還流され、再び洗浄水として利用される。
【0030】
第2スプレー塔部63には新鮮な洗浄水が供給され、前記第1スプレー塔部61で大部分の有害ガスが除去され、前記充填層部62で大部分の保有熱が回収された排ガスをここでさらに冷却洗浄して、更に排ガス温度を低下させるとともに残留する微量の有害成分を除去し、最終的に有害ガスの含有量を排出基準まで低下させ、排ガス洗浄塔6から排出させる。
【0031】
排ガス洗浄塔6で有害ガスが除去された燃焼排ガスは、約40℃程度に冷却されるが、水蒸気量が飽和であるためそのまま煙突8から放出すると白煙が発生する。これを防止するためには、排ガス洗浄塔6から排出される燃焼排ガスに高温空気などを混合し、その湿度を下げる必要があり、当該高温空気として流動燃焼炉から排出される高温排ガスと熱交換させて得られる高温空気が利用可能である。
【0032】
本実施例では、前記白煙防止用高温空気として、前記白煙防止用空気加熱器4において焼却炉から排出される高温排ガスと熱交換して得られる約400℃の高温空気の一部又は全部であって、後述する複数熱源発電装置7の蒸気過熱器75に作動流体の過熱のための高温熱源として供給され、約100℃まで降温した空気が排ガス洗浄塔で約40℃程度に冷却された前記排ガスに混合される。
【0033】
なお、前記白煙防止用空気加熱器4に導入される空気の流量は、セラミックフィルタ5の入口部に設けた温度計T3により測定される実測値と制御部TCに入力されたセラミックフィルタ5入口部の設定温度に基づいて制御弁9により制御される。また、上記過熱器で昇温し、タービン発電機76に導入される蒸気の温度は温度計T1で測定される。
【0034】
図2は、本実施例の複数熱源発電装置7のフロー図を示す。本実施例の複数熱源発電装置7は、ポンプ71、再生器72、蒸発器73、分離器74、蒸気過熱器75、タービン発電機76、吸収器77、凝縮器78、タンク79を備え、蒸気加熱器75とタービン発電機76の配管には、温度計T1が設けられ、上記過熱器75の出口空気の配管には温度計T2が設けられている。
本実施例では、作動流体として沸点が−33℃の液体アンモニアと水との混合流体を使用している。
【0035】
タンク79内の液体アンモニアと水との混合流体は、ポンプ71により高圧で蒸発器73に供給され、前記排ガス洗浄塔6の充填層部62から排出される温排水と熱交換し、当該温排水が保有する熱エネルギーにより加熱され、前記液体アンモニアと水との混合流体一部が蒸発する。未蒸発の低濃度のアンモニアを含む前記液体アンモニアと水との混合流体中の液体分は分離器74にてアンモニアガスと分離され回収される。
【0036】
一方、前記蒸発器73で蒸発したアンモニア蒸気は、更に蒸気過熱器75に供給され、前記白煙防止用高温空気加熱器4において焼却炉2から排出される高温ガスと熱交換して得られた約400℃の高温空気から熱を回収し、さらに昇温され過熱度が上昇した状態でタービン発電機76に導入され、タービンを作動させてアンモニア蒸気の保有熱エネルギーを電気エネルギーに変換する。
【0037】
タービン発電機76から排出される、温度及び圧力が低下したアンモニア蒸気は前記分離器74にて回収された未蒸発の液体アンモニアと吸収器77にて混合され、凝縮器78で冷却されて凝縮し液体アンモニアとなり、タンク79に戻される。
【0038】
本実施例では、蒸発器73に供給される液体アンモニアと水との混合流体は、分離器74から回収された未蒸発液体アンモニアを含む液体分と再生器72にて熱交換させて予熱している。
また、蒸気過熱器75出口部の高温空気の温度は、蒸気過熱器75の出口部に設けられた温度計T2により測定される。
【0039】
以上説明したようなプラントにおいて、複数熱源発電装置7の発電量を最大化するための、具体的な制御方法を以下、説明する。
【実施例1】
【0040】
図3は、セラミックフィルタ入口温度の設定温度を調整してタービンの発電量を最大にする制御ブロック図である。具体的には、まずタービンの発電量が最大となっているか否かを判断する。ここで、タービンの最大発電量は、(発電装置の容量)×(冷却水温度より算出される季節変動率)×(最大焼却量に対する負荷率)で計算される値である。
タービンの発電量が最大値を下回っている場合、温度計T1で測定されるタービン入口蒸気温度(実測値:PV1)がタービン入口蒸気設定温度の上限値に達しているか否かを判断する。本実施例において、タービン入口蒸気設定温度上限値とは、タービンの耐熱限界温度である。
【0041】
タービン入口蒸気温度(PV1)がタービン入口蒸気の設定温度の上限値に達していない場合は、温度計T3で測定されるセラミックフィルタ入口の排ガス温度(実測値:SV1)がセラミックフィルタ入口における排ガスの設定温度の下限値となっているか否かを判断する。セラミックフィルタ入口の排ガス温度(SV1)が、その設定温度の下限値を上回っている場合、前記前記セラミックフィルタ入口の排ガス温度(SV1)が、その設定温度の下限値に近付く方向にα℃だけ低くなるように、制御弁9の開度を大きくし、前記白煙防止用空気加熱器4に供給する空気の流量を増加させる。この操作を、タービン入口蒸気温度(PV1)がその設定温度上限値となるまで繰り返す。上記の操作により、複数熱源発電装置7の蒸気過熱器75に供給される白煙防止用空気の流量、すなわち高温熱源が増加するので、作動流体(アンモニア蒸気)の過熱度が増加し、タービン前後の作動流体の有効熱落差も増加し、セラミックフィルタ入口設定温度範囲内でタービンの耐熱温度を維持したまま発電量を最大とすることができる。
【0042】
また、セラミックフィルタ入口における排ガスの設定温度とは、上限値がセラミックフィルタの耐熱温度、下限値が酸露点防止温度であり、セラミックフィルタ入口の排ガス温度(SV1)が、その設定温度下限値を下回る場合には、セラミックフィルタ入口の排ガス温度がセラミックフィルタ入口における排ガスの設定温度下限値となるよう、前記白煙防止用空気加熱器4に供給する空気の流量弁9を絞る必要がある。
【0043】
一方、タービン入口蒸気の温度(PV1)がタービン入口蒸気の設定温度の上限値となっている場合、あるいは上記操作によりタービン入口蒸気の温度(PV1)がタービン入口蒸気の設定温度の上限値となった場合、温度計T2で測定される蒸気過熱器75の高温空気出口温度(PV2)が前記蒸気過熱器高温空気出口設定温度の下限値となっているか否かを判断する。なお、蒸気過熱器75の出口の白煙防止用空気温度の下限値は、本実施例では、該空気が白煙防止に使用されることから100℃としている。
【0044】
蒸気過熱器75の高温空気出口温度(PV2)が蒸気過熱器高温空気出口の設定温度の下限値を上回っている場合、セラミックフィルタ入口の排ガス温度(SV1)が、その設定温度の上限値であるか否かを判断する。セラミックフィルタ入口の排ガス温度(SV1)が、その設定温度の上限値未満であれば、前記セラミックフィルタ入口の排ガス温度(SV1)が、その設定温度の上限値に近付く方向でα℃だけ高くなるよう、制御弁9を絞り前記白煙防止用空気加熱器4に供給する空気の流量を減少させる。すると、焼却炉2から排出される高温排ガスから白煙防止用空気加熱器4によって回収される熱量が減って、当該高温排ガスの排ガス洗浄塔入口温度は高くなり、排ガス温度を設定温度まで下げるためには充填層部62の洗浄水量を増加させなければならず、その結果、複数熱源発電装置7の蒸発器73に低温熱源として供給される洗浄排水に含まれ作動流体へ伝熱可能な熱エネルギーが増加し、作動流体の蒸発量が増加し、タービン76に供給される過熱アンモニア蒸気の量も増加することから、タービンによる発電量が増加する。この操作は、蒸気過熱器75の高温空気出口温度(PV2)が蒸気加熱器75の高温空気出口設定温度の下限値となるか、セラミックフィルタ入口における排ガスの設定温度の上限値となるまで繰り返す。この操作条件は、タービン入口蒸気の過熱度が最大化できたうえ、高温熱源がまだ余った場合(過熱器の出口の空気温度がその設定温度の下限値を上回っていること)に相当し、余った部分の熱源を低温熱源として利用することにより、タービン前後の作動流体の有効熱落差が増加し、セラミックフィルタ入口設定温度範囲内でタービンの耐熱温度を維持したままタービン発電量を最大にすることができる。
【実施例2】
【0045】
図4は、脱水機1の脱水率を調整してタービンの発電量を最大にする制御ブロック図である。ここで、図4に表示される「脱水機含有率」とは、脱水機で脱水された有機廃棄物の含水率を意味する。
具体的には、まずタービンの発電量が最大となっているか否かを判断する。タービンの発電量が最大値を下回っている場合、温度計T1で測定されるタービン入口蒸気温度(PV1)がタービン入口蒸気の設定温度の上限値に達しているか否かを判断し、もしタービン入口蒸気温度(PV1)がタービン入口蒸気の設定温度の上限値に達していない場合は、脱水機1による脱水有機廃棄物の含水率(SV2)がその設定含水率の下限値か否かを判断し、脱水機1による脱水有機廃棄物の含水率(SV2)がその設定含水率の下限値より高い場合は、脱水機1による脱水有機廃棄物の含水率がその設定含水率の下限値に近付く方向にβ%だけ低くなるように脱水機1の運転条件を調整する。脱水処理された有機廃棄物の含水率が低くなると排ガス中の水蒸気量が減り、流動燃焼炉2から排出される排ガス温度が高くなるので、温度計T1型の検出信号に基づいて制御弁9の開度が広げられ、白煙防止用空気の流量が増加し、複数熱源発電装置7の蒸気過熱器75の伝熱量が増加し、タービンの発電量も増加する。この操作を、タービン入口蒸気温度(PV1)が、その設定温度の上限値となるか、脱水機1による脱水有機廃棄物の含水率がその設定含水率の下限値となるまで繰り返す。このような操作により、有機廃棄物の含水率を低くし、燃焼排気ガスに含まれる顕熱量を増し、高温熱源を増やすことができるので、タービン前後の作動流体の有効熱落差が増加し、脱水機の能力の範囲内でタービンの耐熱温度を維持したまま発電量を最大にすることができる。
【0046】
ここで、脱水有機廃棄物の設定含水率とは、上限が焼却炉の受け入れ含水率の上限、下限が脱水機の最大能力で達成される脱水率である。また、脱水機による有機廃棄物の含水率は、薬品注入率、回転数などを変更することで調整する。
【0047】
一方、タービン入口蒸気の温度(PV1)がタービン入口蒸気の設定温度の上限値に達している場合、又は上述の調整によって、タービン入口上記の温度がその設定温度の上限に達した場合は、さらに、蒸気過熱器75の出口空気の現状温度(PV2)が蒸気加熱器75の出口空気温度がその設定温度の下限値となっているか否かを判断し、もし蒸気過熱器75の出口空気温度(PV2)が蒸気加熱器75の出口空気の設定温度の下限値を上回っている場合、脱水機1による有機廃棄物の含水率がその設定含水率の上限値に達しているか否かを判断し、脱水機1による有機廃棄物の含水率がその設定含水率上限値より低い場合は、脱水機1による有機廃棄物の含水率がその設定含水率に近づく方向にβ%だけ高くなるよう、脱水機の運転条件を調整する。脱水処理された汚泥の含水率が高くなると燃焼排ガス中の水蒸気量が増え、排ガス洗浄塔6から排出される温廃水量が増加し、その保有熱エネルギー(低温熱源)も増加するので、複数熱源発電装置7の蒸発器73において作動流体への伝熱量が増加し、作動流体の蒸発量が増えるので、焼却炉の受け入れ可能な含水率の範囲内でタービン入口温度の上限値を維持したまま、タービンの発電量を最大にすることができる。この調整は、上記過熱器の出口空気温度がその設定値の下限値となるか、脱水機による有機廃棄物の含水率がその設定含水率の上限値になるまで繰り返す。
本操作条件は、タービン入口蒸気の過熱度が最大化し、高温熱源がまだ余った場合(過熱器の出口の空気温度がその設定温度の下限値を上回っていること)に相当し、含水率を上方に調整することによって、排ガスに含まれる熱量(顕熱)を水蒸気(潜熱)に移動させる量を増やし、低温熱源を増やすことができる。
【実施例3】
【0048】
図5は、上記図3図4の制御を組み合わせた方法である。ここで、図5に表示される「脱水機含有率」とは、脱水機で脱水された有機廃棄物の含水率を意味する。
具体的には、まずタービンの発電量が最大となっているか否かを判断し、タービンの発電量が最大値を下回っている場合、温度計T1で測定されるタービン入口蒸気温度(PV1)がタービン入口蒸気設定温度の上限値に達しているか否かを判断する。
タービン入口蒸気温度(PV1)がタービン入口温度設定温度の上限値に達していない場合は、温度計T3で測定されるセラミックフィルタ入口の排ガス温度(SV1)がセラミックフィルタ入口設定温度の下限値となっているか否かを判断する。
セラミックフィルタ入口の排ガス温度(SV1)がセラミックフィルタ入口における排ガスの設定温度の下限値を上回っている場合、前記前記セラミックフィルタ入口の排ガス温度(SV1)が前記セラミックフィルタ入口における排ガスの設定温度の下限値に近付く方向にα℃だけ低くなるように、制御弁9の開度を大きくし、前記白煙防止用空気加熱器4に供給する空気の流量を増加させる。この操作を、タービン入口蒸気温度(PV1)が、その設定温度の上限値になるか、セラミックフィルタ入口温度がその設定温度の下限値になるまで繰り返す。
前記白煙防止用空気加熱器4に供給する空気の流量を増加させることにより、セラミックフィルタ入口の排ガス温度がその設定温度の下限値になっても、タービン入口蒸気温度(PV1)が、その設定温度上限値に達していない場合、さらに、脱水機1による脱水有機廃棄物の含水率(SV2)がその設定含水率の下限値か否かを判断し、脱水機1による脱水有機廃棄物の含水率(SV2)がその設定含水率の下限値より高い場合は、脱水機1による脱水有機廃棄物の含水率が、その設定含水率の下限値に近付く方向にβ%だけ低くなるように、脱水機1の運転条件を調整する。脱水処理された汚泥の含水率が低くなると排ガス中の水蒸気量が減り、流動燃焼炉2から排出される排ガス温度が高くなるので、温度計T3の検出信号に基づいて制御弁9の開度が広げられ、白煙防止用空気の流量が増加し、複数熱源発電装置7の蒸気過熱器75の伝熱量が増加し、タービンの発電量も増加する。この調整を、タービン入口蒸気温度(PV1)が、その設定温度の上限値になるか、脱水機による脱水有機廃棄物の含水率(SV2)がその設定含水率の下限値になるまで繰り返す。このような調整により、脱水機の能力の範囲内、且つセラミックフィルタ入口設定温度範囲内で、タービン入口温度の上限値を維持したまま、発電量を最大にすることができる。
【0049】
また、タービン入口蒸気温度(PV1)がその設定温度の上限値に達している場合、又は上述の調整によりタービン入口蒸気温度(PV1)がその設定温度の上限値になった場合、であって、なお発電量が最大になっていない場合、蒸気過熱器75の出口の白煙防止用空気温度(PV2)が蒸気加熱器75の高温空気出口設定温度の下限値を上回っているか否かを判断する。
蒸気加熱器75の高温空気出口温度(PV2)がその設定温度の下限値を上回っている場合、さらに、セラミックフィルタ入口の排ガス温度がその設定値の上限に達しているか否かを判断する。
セラミックフィルタ入口の排ガス温度(SV1)がセラミックフィルタ入口における排ガスの設定温度の上限値に達していない場合、前記セラミックフィルタ入口の排ガス温度(SV1)がその設定温度の上限値に近付く方向でα℃だけ高くなるよう、制御弁9を絞り前記白煙防止用空気加熱器4に供給する空気の流量を減少させる。この調整は、蒸気加熱器75の高温空気出口温度がその設定温度の下限値になるか、セラミックフィルタ入口の排ガス温度(SV1)が、その設定温度の上限値になるまで繰り返す。
【0050】
セラミックフィルタ入口の排ガス温度(SV1)がその設定温度の上限値に達している場合、又は上述した調整によりセラミックフィルタ入口の排ガス温度(SV1)がその設定温度の上限値に達した場合、さらに、脱水機1による脱水有機廃棄物の含水率(SV2)がその設定含水率の上限値に達しているか否かを判断し、脱水機1による脱水有機廃棄物の含水率(SV2)がその設定含水率の上限値より低い場合は、脱水機1による脱水有機廃棄物の含水率(SV2)がその設定含水率の上限値に近付く方向にをβ%だけ高くなるよう脱水機の運転条件を調整する。脱水処理された有機廃棄物の含水率が高くなると燃焼排ガス中の水蒸気量が増え、排ガス洗浄塔6から排出される温排水量が増加し、その保有熱エネルギーも増加するので、複数熱源発電装置7の蒸発器73において作動流体への伝熱量が増加し、作動流体の蒸発量が増える。この調整は、蒸気加熱器75の高温空気出口温度がその設定温度の下限値になるか、脱水機1による脱水有機廃棄物の含水率がその設定含水率の上限値になるまで繰り返す。
上記のような調整により、焼却炉の受け入れ可能な含水率の範囲内、且つセラミックフィルタ入口設定温度範囲内で、タービン入口温度の上限値を維持したまま、タービンの発電量を最大にすることができる。
【0051】
本実施例によれば、セラミックフィルタ入口の設定温度が上限値あるいは下限値となった場合、さらに、脱水機の含水率の設定値を調整することにより発電量を増加でき、制御の幅が広がるというメリットを有する。
【0052】
上記制御方法は、手動で実施することができるが、予めプログラムを組み込んだコンピュータを利用し自動化させることも可能である。
【符号の説明】
【0053】
1 脱水機
2 燃焼炉
3 流動空気予熱器
4 白煙防止用空気加熱器
5 ろ過式除塵機
6 排ガス洗浄塔
7 複数熱源発電装置
8 煙突
9 制御弁
61 第1スプレー塔
62 充填層部
63 第2スプレー塔
71 ポンプ
72 再生器
73 蒸発器
74 分離器
75 蒸気過熱器
76 タービン発電機
77 吸収器
78 凝縮器
79 タンク
T1、T2、T3 温度計
図1
図2
図3
図4
図5