(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6574523
(24)【登録日】2019年8月23日
(45)【発行日】2019年9月11日
(54)【発明の名称】医療用フィルムを骨に貼り付けるための、仮止め用ネイルのための小分けカートリッジ
(51)【国際特許分類】
A61B 17/88 20060101AFI20190902BHJP
A61B 17/86 20060101ALI20190902BHJP
【FI】
A61B17/88
A61B17/86
【請求項の数】13
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-522052(P2018-522052)
(86)(22)【出願日】2016年8月30日
(65)【公表番号】特表2018-535000(P2018-535000A)
(43)【公表日】2018年11月29日
(86)【国際出願番号】EP2016001461
(87)【国際公開番号】WO2017071786
(87)【国際公開日】20170504
【審査請求日】2018年6月20日
(31)【優先権主張番号】102015118645.4
(32)【優先日】2015年10月30日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】506233025
【氏名又は名称】デンツプライ インプランツ マニュファクチュアリング ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シュルツ,ゲラルティーネ
【審査官】
宮下 浩次
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2002/0121539(US,A1)
【文献】
米国特許第06402759(US,B1)
【文献】
欧州特許出願公開第00867193(EP,A2)
【文献】
欧州特許出願公開第00733346(EP,A1)
【文献】
米国特許第05741268(US,A)
【文献】
独国特許出願公開第102014003398(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/00 − 17/94
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用フィルム、より詳細には、顎骨の骨の欠陥をカバーするための薄膜フィルムを骨に貼り付けるための、仮止め用ネイル(100)のための小分けカートリッジ(1)にして、各仮止め用ネイル(100)が、広げられたネイルヘッド(102)と、ネイルヘッド(102)から離れるように延びるネイル軸(104)と、ネイル軸(104)に隣接した、広げられた矢印状のエリア(106)とを示し、この矢印状のエリア(106)が、先端(108)に向かってテーパが付されており、ネイル(100)がフィルムを通し、骨内に押し込まれると、かえしとして作用し、少なくとも1つのスロット状の開口(4)が形成されたベース本体(2)を備え、スロット状の開口(4)内にネイル軸(104)を有するネイル(100)を挿入することができる小分けカートリッジ(1)であって、
ベース本体(2)がグリップエリア(2a)およびこのグリップエリア(2a)に隣接した台状エリア(2b)を有することと、
スロット状の開口(4)が台状エリア(2b)に形成され、ネイル軸(104)の直径(d)よりわずかに小である幅(b)を有し、それにより、ネイル軸(104)が、スロット状の開口(4)内にしっかりと挟持されるようになっていることと、
スロット状の開口(4)の両側に延びる溝状凹部(6)が、台状エリア(2b)の頂部側に形成され、溝状凹部(6)の深さ(T)が、ネイルヘッド(102)の高さ(H)を超え、および溝状凹部(6)の幅(B)が、ネイルヘッド(102)の直径(D)を超えていることと、
支持エリア(8)が台状エリア(2b)の下に配置されており、スロット状の開口(4)内に挿入される仮止め用ネイル(100)のネイルヘッド(102)に圧縮力が加えられる際に、支持エリア(8)に対して、ベース本体(2)が支持されることと、
を特徴とする、小分けカートリッジ(1)。
【請求項2】
スロット状の開口(4)の壁表面(4a)が、スロット状の開口(4)の縁部側の端部(10)のエリアに正面開口(12)を示し、この正面開口(12)を通して、仮止め用ネイル(100)が、位置決め器具によりスロット状の開口(4)に沿ってグリップされた後に、スロット状の開口(4)から出されて、台状エリア(2b)の側方縁部(14)を超えてベース本体(2)から取り出すことができること
を特徴とする、
請求項1に記載の小分けカートリッジ。
【請求項3】
スロット状の開口(4)が、正面開口(12)のエリアにおいて、口のように広がっていること
を特徴とする、
請求項2に記載の小分けカートリッジ。
【請求項4】
スロット状の開口(4)が、連続した周方向の壁表面(4a)によって境界が形成されていることと、スロット状の開口(4)が、開口(4)の縁部側の端部(10)のエリアにおける広げられたセクション(16)を示しており、セクション(16)の直径が、ネイルヘッド(102)の直径より小であるとともに、矢印状エリア(106)の直径より大であり、それにより、位置決め器具でグリップした後に、仮止め用ネイル(100)が最初に、スロット状の開口(4)に沿って広げられたセクション(16)まで直線的に移動され、広げられたセクション(16)を通して上方向にベース本体(2)から引き出されることができることと、
を特徴とする、
請求項1に記載の小分けカートリッジ。
【請求項5】
仮止め用ネイル(100)の広げられた矢印状のエリア(106)のための受領セクション(18)が、ベース本体(2)のスロット状の開口(4)の下に形成されており、スロット状の開口(4)が側方の保護壁(20)によって境界が形成されており、保護壁(20)が、スロット状の開口(4)の底部側から離れるようにベース本体(2)の支持エリア(8)に向かう方向に、スロット状の開口(4)に収容された前記仮止め用ネイル(100)の先端(108)を越えて延びていること
を特徴とする、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の小分けカートリッジ。
【請求項6】
受領セクション(18)の側方の保護壁(20)が支持エリア(8)まで延び、支持壁としての役割を果たし、この支持壁により、仮止め用ネイル(100)のヘッド(102)に加えられる圧縮力が支持エリア(8)に導入されること
を特徴とする、
請求項5に記載の小分けカートリッジ。
【請求項7】
ベース本体(2)が、医療用プラスチックで構成された、射出成形部品であること
を特徴とする、
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の小分けカートリッジ。
【請求項8】
ベース本体(2)が、医療用プラスチックで構成されたCAD/CAM構成要素であるか、医療用プラスチックで構成された高速試作構成要素であること
を特徴とする、
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の小分けカートリッジ。
【請求項9】
台状エリア(2b)が、グリップエリア(2a)に対して高くなっており、支持エリア(8)が、グリップエリア(2a)の底部側でグリップエリアおよび台状エリア(2b)上に延びていること
を特徴とする、
請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の小分けカートリッジ。
【請求項10】
台状エリア(2b)の下のベース本体(2)の外側縁部(22)のエリアが、グリップエリア(2a)に隣接した、連続した周方向の外壁セクション(24)を有しており、これにより支持エリア(8)の一部を形成し、ベース本体(2)がフラットなサブストレート上に置かれている場合に、台状エリア(2b)を支持すること
を特徴とする、
請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の小分けカートリッジ。
【請求項11】
グリップエリア(2b)の頂部側および/または底部側に、ノブ状または波状の突起(26)が設けられていること
を特徴とする、
請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の小分けカートリッジ。
【請求項12】
ベース本体(2)が基本的に、上から見て円形形状であることと、台状エリア(2b)に、合計で3つのスロット状の開口(4)が組み込まれており、スロット状の開口(4)の各々に、溝状凹部(6)が両側に並んでいることと、
を特徴とする、
請求項1から請求項11のいずれか一項に記載の小分けカートリッジ。
【請求項13】
請求項1から請求項12のいずれか一項に記載の小分けカートリッジ(1)を備えた、菌に対して非浸透性であり、ガンマ線に耐性があるプラスチックパッケージ(200)であって、
プラスチックパッケージ(200)が、グリップエリア(2a)と台状エリア(2b)との間にステップ状のセクション(210)が配置され、プラスチックパッケージ(200)内に収容されたベース本体(2)が回転することを防止している、ベース本体(2)の形状に適合した形状を有すること
を特徴とする、
プラスチックパッケージ(200)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブルによる、医療用フィルム、より詳細には、顎骨の骨の欠陥をカバーするための薄膜フィルムを骨に貼り付けるための、仮止め用ネイルのための小分けカートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
歯科患者の顎骨における歯科インプラントを使用する場合、開口が最初に顎骨に導入され、この開口内に、インプラント本体が挿入される。たとえば、インプラント本体は、対応するネジセクションでねじ込まれる。インプラント本体が挿入された後は、顎骨と、覆っている歯肉とに形成された傷が付いた開口が、カバーフィルムによって一時的に閉じられる。このカバーフィルムは、たとえばチタンで構成されたインプラント本体を癒合し、組織細胞の分離および柔らかい組織の侵入に対して開口を保護し、一方、同時に、傷が付いた開口と口腔との間で物質の行き来を可能にするための膜として作用する。たとえば、本出願では薄膜フィルムとも呼ばれるそのようなカバーフィルムは、欧州特許第0867193号明細書から既知である。
【0003】
ここで、薄膜フィルムを顎骨に、傷付いた開口を覆って貼り付けるために、薄膜フィルムは、仮止め用ネイルで定位置に固定される。仮止め用ネイルは、ネイルヘッドからネイル先端に延びる軸部を示し、次いで、ネイルがフィルムを通って顎骨内に押し込まれた後にかえしとして作用する厚みのあるエリアがある。以下に薄膜ネイルとも呼ばれる、仮止め用ネイルを顎骨内に押し込むための付随する位置決め器具を伴う、そのような仮止め用ネイルは、たとえば欧州特許出願公開第0733346号明細書に説明されている。
【0004】
薄膜ネイルの挿入時には、薄膜ネイルをネイルヘッドにより、位置決め要素でグリップして、一定のレベルの力を加えることによりツールの受領ヘッドに押し込まなければならないことが、ここで問題になる。薄膜ネイルを配置する間に、口腔内の感染症の危険を可能な限り防止するために、ネイルは、できるだけ離れたところで、対象と、予め殺菌されたツールとにのみ、接触しなければならない。このことは、歯科医への輸送の間のネイルの取扱い、および、位置決め器具内への挿入を、比較的複雑にし、歯科医がネイルを無菌の輸送パッケージから取り出し、次いでネイルを位置決め器具内に挿入することを補助するための別のアシスタントを概して必要とする。
【0005】
このため、ネイルは特別な金属ディスペンサ内で輸送される。この金属ディスペンサ内には、分かれた穴に上から導入されており、この穴内に、ネイルが個別に挿入されている。それにより、ネイルを挿入器具で、ネイルヘッドをグリップし、垂直方向に穴から引き出すことができる。
【0006】
これに関して、本発明の出願人は、プラスチック材料で構成されたストリップ形状のベース本体に成形された小分けデバイスを使用する。このデバイスでは、ベース本体は次いで、ガラス管内に挿入される。ここで、ストリップ形状のベース本体がネイルの長さより小である高さを示すのみであることから、ストリップ形状のベース本体の頂部側と底部側とを越えてネイルヘッドが突出する問題が生じる。上述の小分けデバイスに関連する別の問題は、ネイルを収容するためのベース本体を、底部側に適切な支持表面がないサブストレート上に置くことができず、むしろ、位置決め要素がネイルヘッドに押し付けられ、それにより、ネイルヘッドを位置決めデバイス内に機械的に留めるようにされる場合、歯科医または別の者によって自在に保持されなければならないことである。ネイルを留めるのに必要な力がかなり大きいことがあることから、ここでは、位置決めデバイスがスライドして外れ、内部にネイルを収容するベース本体が不注意に、殺菌されていない対象、または身体の一部にさえ、接触する危険がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】欧州特許第0867193号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第0733346号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、本発明の目的は、医療用フィルムを骨に貼り付けるための、仮止め用ネイルのための小分けカートリッジであって、この小分けカートリッジ内で、外部のパッケージパーツと接触することなく、複数の仮止め用ネイルを輸送および貯蔵することができ、これにより、位置決め器具による仮止め用ネイルの殺菌された容易な取出しを可能にする、小分けカートリッジを提供することである。
【0009】
この目的は、請求項1の特徴を有する小分けカートリッジにより、本発明に従って達成される。本発明のさらなる特徴は、従属請求項に記載されている。
【0010】
本発明の別の目的は、上述の小分けカートリッジのための、菌に対して非浸透性の保護パッケージを形成することである。このパッケージでは、複数の仮止め用ネイルが内部に収容されたそのような小分けカートリッジを、殺菌された方式で輸送することができる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明による小分けカートリッジは、医療用プラスチックで構成されるか、金属で構成さえされることが好ましいベース本体を示している。このベース本体は、上から見ると、好ましくは円形形状を示し、ベース本体の2分の1は、ノブが設けられていることが好ましい、より深い位置にあるグリップ表面として構成されている。グリップ表面に隣接しているのは、台の形状のエリアであり、3つの溝が好ましくは組み込まれている。これら溝は、台状エリアの中心から径方向外側に、互いに対して好ましくは35度、または45度でさえある角度で延びている。各溝のベースは、スロット状の開口、すなわち、受領用スロットを組み込んでいる。このスロット状の開口の幅は、ネイル軸の直径よりわずかに大である。次いで、スロット状の開口の下には、このスロット状の開口に対して広げられた下層セクションが形成されている。下層セクションは、仮止め用ネイルが受領用スロット内に挿入された際に、仮止め用ネイルの広げられた矢印状のエリアを包含する。スロット状の開口は、ここでは、ネイル軸の直径よりわずかに小である幅を有し、それにより、ネイル軸が、医療用プラスチック材料の弾性の結果として、スロット状の開口内にしっかりと挟持されるようになっている。台状エリアの下では、ベース本体が支持エリアを有しており、スロット状の開口内に挿入される仮止め用ネイルのネイルヘッドに圧縮力が加えられる際に、ベース本体は、支持エリアとともに、ベース本体自体を支持表面上で支持することができる。
【0012】
本発明の利点は、いくつかの仮止め用ネイルを列に沿って、信頼性のある方式でスロット状の開口内に準備し、不注意に脱落しないようにしっかりと固定され、それにより、ネイルヘッドまたはネイル軸が輸送中に汚染表面と接触し得るリスク無しに、位置決め器具によって直接取り出すことができるようになっている。本発明の別の利点は、小分けカートリッジが人間工学的に、歯科医により、グリップエリアと台状エリアとに分かれた小分けカートリッジのベース本体を介して1つの手でグリップすることができることである。小分けカートリッジの底部側は、必要な場合は他方の手で保持された位置決め器具によってネイルを取り出すために、表面上に置くことができ、それにより、ネイルヘッドがスライドして落ちるリスク無しに、高い圧力でネイルヘッドに対してターゲットとする方式で、位置決め器具を押し込むようになっている。この場合も、本発明による特定の構成により、常に、取り出された仮止め用ネイルが殺菌されていることを確実にしている。
【0013】
本発明は、2つの好ましい実施形態に基づく図面を参照して以下に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】スロット状の開口が縁部に向かって続いている、本発明による小分けカートリッジの第1の実施形態の頂部側の空間的な斜視図である。
【
図3】
図1の実施形態の底部側の空間的な概略図である。
【
図4】スロット状の開口が縁部に向かって続いていない、本発明による小分けカートリッジの第2の実施形態の頂部側の空間的な斜視図である。
【
図5】小分けカートリッジが内部に含まれた菌非浸透性のプラスチックパッケージの空間的な概略図である。
【
図6】本発明による小分けカートリッジに収容される仮止め用ネイルの概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1に示すように、
図6に示す仮止め用ネイル100のための小分けカートリッジ1は、ベース本体2を包囲している。このベース本体2には、少なくとも1つであるが、好ましくは少なくとも3つのスロット状の開口4が形成されている。スロット状の開口4内には、ネイル100を、ネイル100のネイル軸104と共に挿入することができる。
図6の描写からさらに確認することができるように、各仮止め用ネイル100は、直径D、高さHの、広げられたネイルヘッド102と、ネイルヘッド102から離れるように延びる、直径dのネイル軸104と、ネイル軸104に隣接した、広げられた矢印状のエリア106とを有している。この矢印状のエリア106は、先端108に向かってテーパが付されており、ネイル100が骨内に押し込まれると、かえしとして作用する(詳細には示されていない)。
【0016】
図1から
図5の描写によれば、ベース本体2は、グリップエリア2aと、このグリップエリア2aに隣接した台状エリア2bとを有している。グリップエリア2aと台状エリア2bとの間には、ある角度、たとえば45度で傾斜した移行表面3が配置されている。移行表面3は、本発明による小分けカートリッジ1を使用する際に、ベース本体2が親指と人差し指との間に保持される場合、人間の親指のための支持および接触表面としての役割を果たす。移行表面3は、好ましくは、
図1に示すような弧状の構成を有しており、グリップの安全性を有利に増大させている。さらに、トルク、たとえば、ネイル100を収容している間にスロット状の開口を横断して加えられる圧縮力によって生じるトルクが、有利に親指表面に導入され、これにより、ベース本体による不注意な横方向の旋回またはスライドのリスクを低減している。
【0017】
台状エリア2bに形成されたスロット状の開口4の各々は、幅b(
図2を参照)を有している。この幅bは、ネイル軸104の直径dよりわずかに小であり、それにより、仮止め用ネイル100のネイル軸104が、スロット状の開口4内に導入された後は、そのスロット状の開口4内にしっかりと挟持されるようになっている。言葉の単純化の目的のために、本発明は以下で、単一のスロット状の開口のみを参照して説明される。
【0018】
好ましくはフラットに構成された台状エリア2bの頂部側に形成され、スロット状の開口4の両側に延びるのは、溝状凹部6である。この溝状凹部6の深さTおよび高さH、ならびに溝状凹部6の幅Bは、ネイルヘッド102の直径Dを超えている。さらに、台状エリア2bの下に配置されているのは、支持エリア8である。スロット状の開口4内に挿入された仮止め用ネイル100のネイルヘッド102に圧縮力が加えられる際に、この支持エリア8に対して、ベース本体2が支持されている。
【0019】
図1から
図3の描写から確認することができるように、本発明による小分けカートリッジ1の第1の実施形態のスロット状の開口4の壁表面4aは、スロット状の開口4の縁部側の端部10のエリアに正面開口12を示している。この正面開口12を通して、仮止め用ネイル100が、位置決め器具により、スロット状の開口4に沿ってグリップされた後に、スロット状の開口4から出され、台状エリア2bの側方縁部14を超えてベース本体2から取り出すことができる。
【0020】
ここで、縁部側の端部10から正面開口12への仮止め用ネイル100の取出しおよび導入を促進するために、スロット状の開口4は、正面開口12のエリアにおいて、口のように開いている。
【0021】
図4に示す本発明の別の実施形態では、スロット状の開口4は代替的に、連続した外周の壁表面4aによって境界が形成され得る。壁表面4aは、止め部としての役割を果たし、位置決め器具でグリップした後に、仮止め用ネイル100が径方向外側に、横方向に移動することを防止する。仮止め用ネイル100を取り出すことを可能にするために、本発明のこの実施形態におけるスロット状の開口4は、開口4の縁部側の端部10のエリアにおける広げられたセクション16を示している。このセクション16の直径は、ネイルヘッド102の直径より小であるとともに、矢印状エリア106の直径より大である。それにより、位置決め器具でグリップした後に、仮止め用ネイル100は最初に、スロット状の開口4に沿って壁表面4aまで直線的に移動しなければならない。壁表面4aは、仮止め用ネイル100が次いで、スロット状の開口から上方向に、広げられたセクション16を通して引き出され得る前に、止め部として作用する。
図1から
図3で上述した実施形態と比較すると、このことは、ネイルが外にスライドすることに対するさらなる安全装置を提供し、あるいは、挟持されるかスロット状の開口内に装填された後に、高いレベルの力にさらされる間に位置決め器具によって仮止め用ネイルが制御不能な状態でスロット状の開口から外に出た際に、および、たとえばユーザの指などの身体の一部と接触するプロセスにおいて、生じる損傷のリスクに対する、さらなる安全装置を提供する。
【0022】
本発明の下にある別のアイデアでは、上述の本発明の2つの実施形態は、ベース本体2に、スロット状の開口4の下に形成された、仮止め用ネイル100の広げられた矢印状のエリア106のための受領セクション18を有することができる。受領セクション18は、
図3に示すように、側方の保護壁20によって境界が形成されている。保護壁20は、スロット状の開口4の底部側から離れるようにベース本体2の支持エリア8に向かう方向に、スロット状の開口4に収容された仮止め用ネイル100の端部を越えるまで延び、小分けカートリッジ1を台状エリア2bの底部側でグリップする際に、仮止め用ネイル100のネイル軸104と先端108とが身体の一部、特に指と接触し得ないような利点をもたらしている。好ましくはベース本体2が製造されるプラスチック材料の射出成形のプロセスにおける、高品質のプロセスおよび短いサイクルタイムの観点から、受領セクション18の側方の保護壁20が支持エリア8まで延び、同時に支持壁としての役割を果たす場合、支持壁により、仮止め用ネイル100のヘッド102に加えられる圧縮力が支持エリア8に導入されることが、ここでは特に有利である。このことは、液体プラスチック材料が、付随する射出型内に注入された後に、著しく速く、より一様に冷却される事実によって説明される。さらに、ベース本体2の底部側全体を固体プラスチック材料または金属からさえ形成することが可能であり、スロット状の開口4、溝状凹部6、および受領セクション18を固体材料から成形加工のみで行うこと、特に、ミリング加工のみで行うことが可能である。射出成形に対する代替形態として、ベース本体2をCAD/CAM構成要素として医療用プラスチックから、高速試作または3D印刷を介して製造することが同様に可能である。このために、ベース本体は、好ましくは支持エリアの材料の各ポイントを順次結合することによって構築される。
【0023】
しかしながら、本発明の好ましい実施形態では、ベース本体2は、医療用のプラスチックから射出成形を介して射出成形部品として、既知の方式で形成され、本発明によるベース本体を成形する利点は、この目的のために使用される射出型が、さらなるスライダを必要とする切り取り部を生じないことである。このさらなるスライダは、各射出成形プロセスの間、複雑な方式で射出型に出入りするように移動しなければならない。
【0024】
図1から
図5の描写からさらに確認することができるように、台状エリア2bは、グリップエリア2aに対して高くなっており、30mmの直径のベース本体に与えられた台状エリア2bの頂部側と、グリップエリア2aの頂部側との間の高さの差は、たとえば、3mmから6mmの寸法を取ることができる。仮止め用ネイルを取り出す間にベース本体を確実に支持する観点から、グリップエリア2aの底部側の支持エリア8が、グリップエリアおよび台状エリア2b全体にわたる平面に沿って延びることが特に有利である。
【0025】
図1から
図5の描写によってさらに示されているように、台状エリア2bの下のベース本体2の外側縁部22のエリアは、連続した周方向の外壁セクション24を有している。この外壁セクション24は、好ましくは、グリップエリア2aに隣接しており、支持エリア8の一部を形成する。支持エリア8は、ベース本体2がフラットなサブストレート上に置かれている場合、台状エリア2bを支持する。
【0026】
親指と人差し指との間に、位置決めデバイスでベース本体2を保持して、仮止め用ネイル100を取り出す際のグリップの安全性をさらに高めるために、ノブ状、具体的には、ドーム状またはさらに波状の突起26が、他の部分がフラットな表面のグリップエリア2bの頂部側および/または底部側に適用される。突起26は、0.1mmから0.2mmの高さを有し得、また、台状エリア2bと一体に形成されている。
【0027】
最後に、
図1から
図5の描写からさらに確認することができるように、ベース本体2は、好ましくは、上から見て、基本的に円形形状を示し、好ましくは直径が30mmである。すでに前述したように、台状エリア2bには、合計で3つのスロット状の開口4が組み込まれており、スロット状の開口4の各々が、溝状凹部6が両側に並んでおり、各々が互いに対して、たとえば35度だけ角度が付されている。
【0028】
図5の描写では、3つの仮止め用ネイルが例を挙げて示されている、内部に仮止め用ネイル100が組み込まれた本発明による小分けカートリッジ1が、菌に対して非浸透性であり、好ましくは、ガンマ線に対して耐性がある、プラスチックパッケージ200内に、輸送のために収容されている。プラスチックパッケージ200は、ここでは、フラットなベース205を示しており、このベース205上に、ベース本体2の底部側が置かれている。フラットなベース205は、プラスチック材料で構成されるか、やはり、たとえばラミネート状の紙などで構成され得、好ましくは透明で、薄肉のプラスチック材料で形成されたドーム状の層108がベース205に適用されている。ドーム状の層108の形状は、ベース本体2の頂部側の形状に適用される。ベース本体2は、グリップエリア2aと台状エリア2bとの間に延びるベース本体2の移行表面3のエリアにおいて、ステップ状のセクション210を有している。このステップ状のセクションにより、プラスチックパッケージ200内に収容されたベース本体2が回転することを防止している。
【符号の説明】
【0029】
1 本発明による小分けカートリッジ
2 ベース本体
2a グリップエリア
2b 台状エリア
3 移行表面
4 スロット状の開口
4a スロット状の開口の壁表面
6 溝状凹部
8 支持エリア
10 スロット状の開口の縁部側の端部
12 正面開口
14 台状エリアの側方縁部
16 広げられたセクション
18 仮止め用ネイルの矢印状のエリアのための受領セクション
20 側方の保護壁
22 ベース本体の外側縁部
24 周囲の外壁セクション
26 ノブ状の突起
205 パッケージのフラットなベース
208 プラスチック材料のドーム状の層
210 ステップ状のセクション