特許第6574533号(P6574533)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6574533リスク評価装置、リスク評価システム、リスク評価方法、及び、リスク評価プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6574533
(24)【登録日】2019年8月23日
(45)【発行日】2019年9月11日
(54)【発明の名称】リスク評価装置、リスク評価システム、リスク評価方法、及び、リスク評価プログラム
(51)【国際特許分類】
   G05B 23/02 20060101AFI20190902BHJP
   G06Q 10/00 20120101ALI20190902BHJP
【FI】
   G05B23/02 301V
   G05B23/02 302Z
   G06Q10/00 300
【請求項の数】7
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2018-555989(P2018-555989)
(86)(22)【出願日】2018年7月19日
(86)【国際出願番号】JP2018027119
(87)【国際公開番号】WO2019049521
(87)【国際公開日】20190314
【審査請求日】2018年11月8日
(31)【優先権主張番号】特願2017-171489(P2017-171489)
(32)【優先日】2017年9月6日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000133733
【氏名又は名称】株式会社テイエルブイ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】藤原 良康
【審査官】 牧 初
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−79068(JP,A)
【文献】 特開2007−183929(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 23/00−23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸気を利用する蒸気利用機器と、当該蒸気利用機器に接続された配管系と、その配管系に設けられた各プロセス機器と、を含む機器群を少なくとも一つ備える蒸気プラントについてのリスク評価のためのリスク評価装置であって、
対象の前記蒸気プラントにおける各プロセス機器についての複数回の診断結果を、当該プロセス機器の設置箇所と関連付けた状態で蓄積して記憶する診断結果記憶部と、
対象の設置箇所に設けられた歴代のプロセス機器の診断結果に基づき、当該設置箇所におけるプロセス機器の故障のし易さに関するリスク情報を演算するリスク情報演算部と、
対象の前記機器群を構成する各プロセス機器の設置箇所における前記リスク情報に基づき、対象の前記機器群についての故障のし易さに関する機器群リスク情報を演算する機器群リスク情報演算部と、を備えるリスク評価装置。
【請求項2】
前記機器群ごとに、当該機器群を構成する各プロセス機器間の配置関係を格納する配置関係記憶部と、
前記機器群を構成する各プロセス機器間の配置関係に応じた、前記機器群リスク情報を演算するための演算方法を格納する演算方法記憶部と、を備え、
前記機器群リスク情報演算部は、対象の前記機器群における各プロセス機器間の配置関係に対応する前記演算方法を用いて、当該機器群の前記機器群リスク情報を演算する請求項1に記載のリスク評価装置。
【請求項3】
前記機器群ごとに、当該機器群の構成に関する機器群情報を格納する機器群情報記憶部と、
対象の前記機器群について、当該機器群を構成する各プロセス機器について蓄積された前記診断結果が、所定の基準を満たしているか否かを判定する判定部と、を備え、
前記機器群リスク情報演算部は、
前記判定部で前記基準を満たしていると判定されたとき、対象の前記機器群を構成する各プロセス機器の設置箇所における前記リスク情報に基づき、前記機器群リスク情報を演算し、
前記判定部で前記基準を満たしていないと判定されたとき、当該機器群における前記機器群情報と一致又は所定基準以上類似する前記機器群情報を有し、且つ、前記判定部で前記基準を満たしていると判定された他の機器群についての前記機器群リスク情報を求め、求めた前記機器群リスク情報を対象の前記機器群についての前記機器群リスク情報とする請求項1又は2に記載のリスク評価装置。
【請求項4】
前記機器群情報記憶部は、前記機器群情報として、当該機器群を構成する前記蒸気利用機器の種別と、当該機器群を構成する各プロセス機器間の配置関係と、を格納する請求項3に記載のリスク評価装置。
【請求項5】
蒸気を利用する蒸気利用機器と、当該蒸気利用機器に接続された配管系と、その配管系に設けられた各プロセス機器と、を含む機器群を少なくとも一つ備える蒸気プラントについてのリスク評価のためのリスク評価システムであって、
対象の前記蒸気プラントにおける各プロセス機器についての複数回の診断結果を、当該プロセス機器の設置箇所と関連付けた状態で蓄積して記憶する診断結果記憶部と、
対象の設置箇所に設けられた歴代のプロセス機器の診断結果に基づき、当該設置箇所におけるプロセス機器の故障のし易さに関するリスク情報を演算するリスク情報演算部と、
対象の前記機器群を構成する各プロセス機器の設置箇所における前記リスク情報に基づき、対象の前記機器群についての故障のし易さに関する機器群リスク情報を演算する機器群リスク情報演算部と、を備えるリスク評価システム。
【請求項6】
コンピュータに実行させる、蒸気を利用する蒸気利用機器と、当該蒸気利用機器に接続された配管系と、その配管系に設けられた各プロセス機器と、を含む機器群を少なくとも一つ備える蒸気プラントについてのリスク評価のためのリスク評価方法であって、
対象の前記蒸気プラントにおける各プロセス機器についての複数回の診断結果を、当該プロセス機器の設置箇所と関連付けた状態で蓄積して記憶する診断結果記憶工程と、
対象の設置箇所に設けられた歴代のプロセス機器の診断結果に基づき、当該設置箇所におけるプロセス機器の故障のし易さに関するリスク情報を演算するリスク情報演算工程と、
対象の前記機器群を構成する各プロセス機器の設置箇所における前記リスク情報に基づき、対象の前記機器群についての故障のし易さに関する機器群リスク情報を演算する機器群リスク情報演算工程と、を備えるリスク評価方法。
【請求項7】
コンピュータに実行させる、蒸気を利用する蒸気利用機器と、当該蒸気利用機器に接続された配管系と、その配管系に設けられた各プロセス機器と、を含む機器群を少なくとも一つ備える蒸気プラントについてのリスク評価のためのリスク評価プログラムであって、
対象の前記蒸気プラントにおける各プロセス機器についての複数回の診断結果を、当該プロセス機器の設置箇所と関連付けた状態で蓄積して記憶する診断結果記憶機能と、
対象の設置箇所に設けられた歴代のプロセス機器の診断結果に基づき、当該設置箇所におけるプロセス機器の故障のし易さに関するリスク情報を演算するリスク情報演算機能と、
対象の前記機器群を構成する各プロセス機器の設置箇所における前記リスク情報に基づき、対象の前記機器群についての故障のし易さに関する機器群リスク情報を演算する機器群リスク情報演算機能と、を前記コンピュータに実行させるリスク評価プログラム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、蒸気を利用する蒸気利用機器と、当該蒸気利用機器に接続された配管系と、その配管系に設けられた各プロセス機器と、を含む機器群を少なくとも一つ備える蒸気プラントについてのリスク評価のためのリスク評価装置、リスク評価システム、リスク評価方法、及び、リスク評価プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、石油化学プラントや火力発電プラントなどの蒸気プラントにおいて、リスクを考慮したいわゆるRBI(Risk-Based Inspection)の手法を用いたリスク評価が行われている(なお、RBIに基づく評価手法はAPI(American Petroleum Institute)においてAPI581として標準化されている)。そして、かかるリスク評価では、日本国特許第5884000号公報(特許文献1)にもあるように、各機器の故障のし易さ(故障発生確率)及び故障が生じたときの影響度の2値に基づき各機器のリスクを評価することが行われている。
【0003】
また、蒸気プラントに設置される蒸気トラップ等のプロセス機器の故障のし易さは、機器そのもののみならず設置される箇所の環境にも影響を受けることから、日本国特許第5010472号公報(特許文献2)には、プラントの所定箇所に設置された機器について、対象の設置箇所に設けられた歴代のプロセス機器の診断結果を用いて、個々の機器ではなく設置箇所に着目して、機器の故障のし易さを求めることが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】日本国特許第5884000号公報(または、対応する米国特許出願公開第2017/024267号明細書)
【特許文献2】日本国特許第5010472号公報(または、対応する米国特許第8914252号明細書)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、蒸気プラントにおけるリスク評価は、機器単位ではなく、蒸気利用機器、配管系及びプロセス機器等を含む機器群(アセット)単位でも行うことが好ましい。
【0006】
そこで、機器群単位でのリスク評価が行えるリスク評価装置、リスク評価システム、リスク評価方法、及び、リスク評価プログラムの実現が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係るリスク評価装置は、
蒸気を利用する蒸気利用機器と、当該蒸気利用機器に接続された配管系と、その配管系に設けられた各プロセス機器と、を含む機器群を少なくとも一つ備える蒸気プラントについてのリスク評価のためのリスク評価装置であって、
対象の前記蒸気プラントにおける各プロセス機器についての複数回の診断結果を、当該プロセス機器の設置箇所と関連付けた状態で蓄積して記憶する診断結果記憶部と、
対象の設置箇所に設けられた歴代のプロセス機器の診断結果に基づき、当該設置箇所におけるプロセス機器の故障のし易さに関するリスク情報を演算するリスク情報演算部と、
対象の前記機器群を構成する各プロセス機器の設置箇所における前記リスク情報に基づき、対象の前記機器群についての故障のし易さに関する機器群リスク情報を演算する機器群リスク情報演算部と、を備える。
【0008】
まず、蒸気プラントでは、蒸気利用機器の運転条件はプロセス機器に係る負荷に関連し、また、プロセス機器に生じた異常は蒸気利用機器に影響を与えるなど、機器群内の機器は互いに関連し合っている。特に、蒸気利用機器、配管系及びプロセス機器を含む機器群内では、蒸気利用機器に流入し又は蒸気利用機器から流出する蒸気に影響を与えるプロセス機器についての故障が機器群の故障のし易さを評価する上で支配的なものとなる。また、プロセス機器の故障のし易さは設置される箇所の環境にも影響を受けることになる。そこで、この構成では、対象の機器群を構成する各プロセス機器についての設置箇所に着目したリスク情報に基づき、当該機器群のリスク情報を演算するから、機器群単位でのリスク評価を好適に行うことができる。
【0009】
以下、本開示に係るリスク評価装置の好適な態様について説明する。但し、以下に記載する好適な態様例によって、本開示の範囲が限定される訳ではない。
【0010】
1つの態様として、前記機器群ごとに、当該機器群を構成する各プロセス機器間の配置関係を格納する配置関係記憶部と、前記機器群を構成する各プロセス機器間の配置関係に応じた、前記機器群リスク情報を演算するための演算方法を格納する演算方法記憶部と、を備え、前記機器群リスク情報演算部は、対象の前記機器群における各プロセス機器間の配置関係に対応する前記演算方法を用いて、当該機器群の前記機器群リスク情報を演算すると好適である。
【0011】
上記したように機器群内の機器は互いに関連し合っているが、各プロセス機器が直列又は並列の配置関係にあるなど、互いにどのような配置関係にあるかによって各プロセス機器が他の機器に与える影響が異なってくる。そこで、この構成によれば、予めプロセス機器群における各プロセス機器の配置関係に応じた演算方法を確立しておき、この演算方法を用いて機器群リスク情報を演算するから、機器群単位でのリスク評価をより好適に行うことができる。
【0012】
1つの態様として、前記機器群ごとに、当該機器群の構成に関する機器群情報を格納する機器群情報記憶部と、対象の前記機器群について、当該機器群を構成する各プロセス機器について蓄積された前記診断結果が、所定の基準を満たしているか否かを判定する判定部と、を備え、前記機器群リスク情報演算部は、前記判定部で前記基準を満たしていると判定されたとき、対象の前記機器群を構成する各プロセス機器の設置箇所における前記リスク情報に基づき、前記機器群リスク情報を演算し、前記判定部で前記基準を満たしていないと判定されたとき、当該機器群における前記機器群情報と一致又は所定基準以上類似する前記機器群情報を有し、且つ、前記判定部で前記基準を満たしていると判定された他の機器群についての前記機器群リスク情報を求め、求めた前記機器群リスク情報を対象の前記機器群についての前記機器群リスク情報とすると好適である。
【0013】
設置箇所に着目したリスク情報を精度よく求めるためには、ある程度の台数のプロセス機器についての診断結果があるなど一定の基準を満たしていることが好ましく、演算対象とする機器群を構成するプロセス機器についての診断結果が基準を満たしていない場合には精度よくリスク情報を求めることができない。もっとも、このような場合でも、機器群の故障のし易さはその機器群の構成(各機器の種別等)にある程度依存するため、対象とする機器群の故障のし易さは、対象とする機器群の構成と一致又は類似する機器群の故障のし易さからある程度推測できる。そこで、この構成によれば、演算対象とする機器群を構成するプロセス機器についての診断結果が基準を満たしていない場合に、この機器群と一致又は類似し、且つ、判定部で基準を満たしていると判定された機器群についての機器群リスク情報を対象の機器群についての機器群リスク情報とするから、対象とする機器群についての診断結果が基準を満たしていない場合でもリスク評価をより好適に行うことができる。
【0014】
1つの態様として、前記機器群情報記憶部は、前記機器群情報として、当該機器群を構成する前記蒸気利用機器の種別と、当該機器群を構成する各プロセス機器間の配置関係と、を格納すると好適である。
【0015】
この構成によれば、機器群の構成の中心となる蒸気利用機器の種別と各プロセス機器間の配置関係とを機器群情報として格納するから、これに基づき機器群間の構成が一致又は類似するかを好適に判定できる。
【0016】
本開示に係るリスク評価システムは、
蒸気を利用する蒸気利用機器と、当該蒸気利用機器に接続された配管系と、その配管系に設けられた各プロセス機器と、を含む機器群を少なくとも一つ備える蒸気プラントについてのリスク評価のためのリスク評価システムであって、
対象の前記蒸気プラントにおける各プロセス機器についての複数回の診断結果を、当該プロセス機器の設置箇所と関連付けた状態で蓄積して記憶する診断結果記憶部と、
対象の設置箇所に設けられた歴代のプロセス機器の診断結果に基づき、当該設置箇所におけるプロセス機器の故障のし易さに関するリスク情報を演算するリスク情報演算部と、
対象の前記機器群を構成する各プロセス機器の設置箇所における前記リスク情報に基づき、対象の前記機器群についての故障のし易さに関する機器群リスク情報を演算する機器群リスク情報演算部と、を備える。
【0017】
本開示に係るリスク評価方法は、
コンピュータに実行させる、蒸気を利用する蒸気利用機器と、当該蒸気利用機器に接続された配管系と、その配管系に設けられた各プロセス機器と、を含む機器群を少なくとも一つ備える蒸気プラントについてのリスク評価のためのリスク評価方法であって、
対象の前記蒸気プラントにおける各プロセス機器についての複数回の診断結果を、当該プロセス機器の設置箇所と関連付けた状態で蓄積して記憶する診断結果記憶工程と、
対象の設置箇所に設けられた歴代のプロセス機器の診断結果に基づき、当該設置箇所におけるプロセス機器の故障のし易さに関するリスク情報を演算するリスク情報演算工程と、
対象の前記機器群を構成する各プロセス機器の設置箇所における前記リスク情報に基づき、対象の前記機器群についての故障のし易さに関する機器群リスク情報を演算する機器群リスク情報演算工程と、を備える。
【0018】
本開示に係るリスク評価プログラムは、
コンピュータに実行させる、蒸気を利用する蒸気利用機器と、当該蒸気利用機器に接続された配管系と、その配管系に設けられた各プロセス機器と、を含む機器群を少なくとも一つ備える蒸気プラントについてのリスク評価のためのリスク評価プログラムであって、
対象の前記蒸気プラントにおける各プロセス機器についての複数回の診断結果を、当該プロセス機器の設置箇所と関連付けた状態で蓄積して記憶する診断結果記憶機能と、
対象の設置箇所に設けられた歴代のプロセス機器の診断結果に基づき、当該設置箇所におけるプロセス機器の故障のし易さに関するリスク情報を演算するリスク情報演算機能と、
対象の前記機器群を構成する各プロセス機器の設置箇所における前記リスク情報に基づき、対象の前記機器群についての故障のし易さに関する機器群リスク情報を演算する機器群リスク情報演算機能と、を前記コンピュータに実行させる。
【0019】
これらの構成によれば、上記したリスク評価装置と同様の作用効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本実施形態に係るプラント監視システムの概略構成図
図2】リスク評価装置のブロック図
図3】機器群の一例を示す概略図
図4】リスク情報演算部の一例を示すブロック図
図5】機器群リスク情報演算部の一例を示すブロック図
【発明を実施するための形態】
【0023】
本開示に係るリスク評価装置、リスク評価システム、リスク評価方法、及び、リスク評価プログラムの実施形態について、図面を参照して説明する。以下では、石油化学プラントや火力発電プラント等の蒸気を利用する蒸気プラント2を監視するプラント監視システムに、本実施形態に係るリスク評価装置を組み込んだ例について説明する。
【0024】
まず、図1に示すように、本実施形態に係るプラント監視システムでは、本実施形態に係るリスク評価装置として機能する監視サーバ3が、監視対象とする種々の蒸気プラント2からのデータをネットワーク4を介して収集し、収集したデータを内部のデータベースに蓄積的に記憶する。そして、監視サーバ3は、所定のタイミング、又は、ユーザや管理者からの指示に応じて、収集したデータやデータベースに記憶したデータに基づき分析や判定を行うようになっており、その結果をPCやスマートフォン等のユーザ端末1に送信したり、ユーザ端末1を介してユーザが監視サーバ3にアクセスすることで、ユーザにプラント2の状態が示されるようになっている。また、分析や判定の結果はデータベースに記憶させて、さらなる分析や判定に供されるようになっている。なお、本実施形態において「配管系」とは、例えば、蒸気トラップ、蒸気配管及び各種バルブ等から構成される蒸気システム全体を含む概念である。また、このような蒸気システム全体を重要なアセットの一つとして捉えると、本実施形態にかかるリスク評価装置、リスク評価システム、リスク評価方法、及び、リスク評価プログラムは、アセットマネジメント手法の一つとして適用可能である。
【0025】
蒸気プラント2は、構成要素として、タービン、コンプレッサ、熱交換器等の蒸気を利用する蒸気利用機器21、蒸気利用機器21に蒸気を輸送する輸送管や蒸気利用機器21から生じたドレンを排出するドレン管等の配管系22、配管系22に設けられる蒸気トラップ、制御バルブ、ポンプ、フィルタ、セパレータ等のプロセス機器23等を備えている。これにより、蒸気プラント2では、図1に示すような、個々の蒸気利用機器21(又は一連の処理を実行するために一体の関係にある複数の蒸気利用機器21)を中心とする機器群(蒸気利用機器21と、当該蒸気利用機器21に接続された配管系22と、その配管系22に設けられた各プロセス機器23と、を備えて構成されるもの)24が1又は複数形成された状態となっており、個々の機器群24ごとに、又は、複数の機器群24で連携して、蒸気プラント2の目的とする処理が行われるようになっている。
【0026】
また、蒸気プラント2は、監視サーバ3とネットワーク4を介して通信可能なPC等のコンピュータからなる監視装置25を有しており、蒸気プラント2では、監視装置25により蒸気プラント2の各構成要素に関するデータを収集し、収集したデータを監視サーバ3に送信するようになっている。このようにして、監視サーバ3には、蒸気プラント2の各構成要素に関する種々のデータが収集され、かかるデータに基づき監視サーバ3による分析・判定が行われるようになっている。
【0027】
そして、特に、本実施形態では、各構成要素から収集するデータのうち、プロセス機器23が正常に機能しているかどうかの診断結果が含まれる。具体的には、蒸気プラント2では、プロセス機器23の状態についての点検とこれに基づく診断が所定の間隔で行われており、本実施形態では、その診断結果が監視装置25に収集され、さらに監視サーバ3に送信されるようになっている。
【0028】
プロセス機器23に対して行われる診断について説明すると、プロセス機器23は、蒸気プラント2を流れる蒸気からドレンやその他の不純物を取り除き排出したり、蒸気の流れを制御するものであり、配管系22の各所に設けられている。そして、プロセス機器23が故障している場合、蒸気プラント2の運転にロスが生じ、また、これを放置すれば蒸気プラント2が運転不能に陥るおそれがある。そのため、蒸気プラント2では、可搬式の検査器により(プロセス機器23自体にセンサが備え付けられている場合には当該センサにより)個々のプロセス機器23の状態(温度や振動など)を検出して、検出結果に基づき各プロセス機器23が正常に機能しているかを判定するという内容の診断をある程度の間隔で繰り返し実行するようになっている。そして、このような診断を経て故障していると判明したプロセス機器23については交換又は修理が行われ、これにより、蒸気プラント2の状態を良好に維持できるようになっている。なお、診断の間隔は目的に応じて適宜設定され、数ヵ月毎や一年毎、又はそれよりも短期間の場合もあれば、プロセス機器23の設置期間等に応じて間隔が変更されることもある。
【0029】
本実施形態では、このようにして得られた各プロセス機器23についての検出結果や故障の有無といった診断結果が、当該プロセス機器23の識別情報と関連付けた状態で監視装置25に収集され、各回の診断ごとに、監視サーバ3に送信されるようになっている。また、図示は省略してあるが、監視サーバ3には、複数の蒸気プラント2から、かかる診断結果が送信されるようになっている。
【0030】
そして、本実施形態では、監視サーバ3は、収集した診断結果を用いて各蒸気プラント2についてのリスク評価を行うようになっている。具体的には、監視サーバ3は、個々のプロセス機器23ではなく、そのプロセス機器23が設置された設置箇所に着目したリスク評価を行うようになっており、さらにはこれに基づき、機器群24単位でのリスクを評価するようになっている。以下では、監視サーバ3の備える構成のうち、かかるリスク評価を行うための構成について説明する。
【0031】
まず、監視サーバ3は、一般的なサーバ装置であり、ネットワーク4を介した通信を行うための通信インターフェースや、サーバ装置との間で直接的なデータの入出力を行うための入出力装置、サーバ装置の各部の制御を行うCPU、種々のデータやプログラムを保存する大容量の記憶装置であるHDD、実行するプログラム等を一時保存するメモリ等の一般的なハードウェア構成を備えている。そして、本実施形態では、HDDに、後述する処理を行うためのリスク評価プログラムが格納されており、メモリに一時保存されたリスク評価プログラムがCPUに実行されることにより、監視サーバ3の各部が、図2に示す機能部を備えたリスク評価装置として機能するようになっている。
【0032】
具体的には、本実施形態では、リスク評価プログラムが実行されることにより、監視サーバ3が、監視装置25から送信されるデータを取得する入出力処理部31、取得したデータ等の種々のデータを格納するデータベース部32、プロセス機器23の故障のし易さに関するリスク情報を演算するリスク情報演算部33、及び、対象とする機器群24についての故障のし易さに関する機器群リスク情報を演算する機器群リスク情報演算部34の各機能部を備えたリスク評価装置として構成される(図2)。以下、各機能部について説明する。
【0033】
まず、入出力処理部31はリスク評価装置におけるインターフェースとして機能する。具体的には、(a)監視装置25から送信されるデータを取得し、取得したデータをデータベース部32に格納したり、(b)ユーザからの要求を受け付け、リスク情報演算部33や機器群リスク情報演算部34に演算を行わせたり、要求に応じた評価結果をユーザに対して出力したり、(c)ユーザからの指示に応じてデータベース部32の編集・更新を行うなど、種々の処理を行うようになっている。
【0034】
データベース部32は、蒸気プラント2ごとにデータ管理を行うようになっており、対象の蒸気プラント2の各構成要素についての識別情報等の各種の情報を格納する機器情報記憶部321と、機器群24ごとに、当該機器群24の構成に関する機器群情報を格納する機器群情報記憶部322と、監視装置25から送信される各プロセス機器23の診断結果を格納する診断結果記憶部323と、リスク情報演算部33により演算されたリスク情報を格納するリスク情報記憶部324と、機器群リスク情報演算部34により演算された機器群リスク情報を格納する機器群リスク情報記憶部325と、を備えている。
【0035】
機器情報記憶部321は、例えば、蒸気利用機器21に関しては、各蒸気利用機器21の識別情報と対応付けて、その機種(タービン、コンプレッサ、熱交換器など)や型式に関する情報、設置年数に関する情報(設置日時など)を格納している。また、プロセス機器23に関しては、機器情報記憶部321は、例えば、各プロセス機器23の識別情報と対応付けて、その機種(蒸気トラップ、制御バルブなど)や型式に関する情報、設置条件(通過する蒸気の温度や圧力など)や用途に関する情報、設置年数(設置日時など)に関する情報、設置箇所に関する情報(本実施形態では設置箇所に付された識別情報)を格納している。なお、機器情報記憶部321は、入出力処理部31を介して、ユーザからの指示に応じて編集・更新されるようになっており、例えば、対象の蒸気プラント2に関し、構成要素の交換を行った場合には、その交換後の構成要素に関する項目を追加的に作成し、その構成要素に関する情報を新たに格納するなどの所定の処理を実行可能になっている。また、交換後の機器の情報を格納しても、交換前の機器の情報も残されるため、機器情報記憶部321は、現在の蒸気プラント2に設けられている各構成要素に関する情報だけでなく、過去に蒸気プラント2に設置されていた歴代の各構成要素に関する情報も格納するようになっている。
【0036】
機器群情報記憶部322は、機器群24ごとに識別情報を付与し、識別情報とともに、機器群24を構成する各構成要素の識別情報(プロセス機器23に関しては併せて設置箇所についての識別情報も含む)、当該機器群を構成する蒸気利用機器21、配管系22、プロセス機器23の種別、対象とする機器群24を構成する各プロセス機器23間の配置関係等の各構成要素間の互いの配置関係なども記憶している(即ち、機器群情報記憶部322は、機器群24ごとに、当該機器群24を構成する各プロセス機器23間の配置関係を格納する配置関係記憶部として機能する)。
【0037】
診断結果記憶部323は、監視装置25から診断結果が送信されるごとに、各プロセス機器23の診断結果を蓄積的に格納する。そして、診断結果記憶部323では、個々のプロセス機器23ごとではなく、対象の蒸気プラント2においてプロセス機器23が設置される設置箇所ごとにデータの管理がなされるようになっている。具体的には、診断結果記憶部323は、設置箇所に付された識別情報(以下、設置箇所識別情報とする)と関連付けて、設置箇所ごとに、当該設置箇所に設けられた歴代のプロセス機器23についての診断結果が個々のプロセス機器23の識別情報(以下、機器識別情報とする)とともに蓄積して記憶されるようになっている。そして、入出力処理部31は、監視装置25から送信された診断結果を取得したときは、診断結果記憶部323に、個々のプロセス機器23の診断結果を、個々のプロセス機器23の機器識別情報に対応する設置箇所識別情報と関連付けて、機器識別情報とともに追加的に格納するようになっている。これにより、診断結果記憶部323は、対象の蒸気プラント2における各プロセス機器23についての複数回の診断結果を、当該プロセス機器23の設置箇所と関連付けた状態で蓄積して記憶するようになっている。
【0038】
リスク情報記憶部324は、リスク情報演算部33により演算された、設置箇所ごとの当該設置箇所におけるプロセス機器23の故障のし易さに関するリスク情報を格納する。具体的には、リスク情報記憶部324には、リスク情報演算部33により演算されたリスク情報が、設置箇所識別情報と関連付けた状態で格納されている。
【0039】
機器群リスク情報記憶部325は、機器群リスク情報演算部34により演算された、機器群24ごとの当該機器群24の故障のし易さに関する機器群リスク情報を格納する。具体的には、機器群リスク情報記憶部325には、機器群リスク情報演算部34により演算された機器群リスク情報が、対応する機器群24に付与された識別情報と関連付けた状態で格納されている。
【0040】
このように、データベース部32のデータ構造は、対象の蒸気プラント2における各プロセス機器23についての複数回の診断結果が、当該プロセス機器23の設置箇所と関連付けられた状態で蓄積保存された診断結果データと、設置箇所ごとの当該設置箇所におけるプロセス機器23の故障のし易さに関するリスク情報からなるリスク情報データと、機器群24ごとの当該機器群24の故障のし易さに関する機器群リスク情報からなる機器群リスク情報データと、を備えたものとなっている。
【0041】
リスク情報演算部33は、診断結果記憶部323に記憶された対象の設置箇所に設けられた歴代のプロセス機器23の診断結果に基づき、当該設置箇所におけるプロセス機器23の故障のし易さに関するリスク情報を演算するものである。具体的には、リスク情報演算部33は、診断結果記憶部323から診断結果を取得する診断結果取得部331と、設置箇所におけるプロセス機器23の故障のし易さを指標するリスク指標値を演算するリスク指標値演算部332と、当該リスク指標値の確からしさを指標する信頼度を演算する信頼度演算部333と、を備え、リスク情報としてリスク指標値と信頼度とを演算するようになっている。
【0042】
診断結果取得部331は、診断結果記憶部323から診断結果を取得するものであり、演算対象とする設置箇所についての診断結果を取得する。
【0043】
リスク指標値演算部332は、所定の基準で、診断結果記憶部323から診断結果を取得した設置箇所について、当該設置箇所におけるプロセス機器23の故障のし易さを指標するリスク指標値を演算するものである。
【0044】
まず、リスク指標値としては、0〜100や0〜10等の任意の数値範囲で故障のし易さを数値化したものや、あまり故障を起こさない設置箇所をリスク“小”、故障し易い設置箇所をリスク“中”、特に故障をし易い設置箇所をリスク“大”とするなどし、これに応じてA,B,Cなどの文字や○,△,×などの記号で設置箇所をランク付けしたものが挙げられる。
【0045】
また、リスク指標値の演算方法としては、対象とする期間や診断回数に対する、故障と診断されたものの回数や割合、又はその間にその設置箇所に設置された歴代のプロセス機器23の個数(又は交換の回数)を求め、求めた値そのものをリスク指標値としたり、その値の大小や予め定めた閾値を超えるか否かから故障のし易さをランク付けすることが挙げられる。また、故障の回数や割合、故障の生じる頻度、故障の種類(例えばプロセス機器23が蒸気トラップの場合には、モレ故障かツマリ故障かなど)、故障した機器の機種や型式など、これらのうちの1又は複数の項目をパラメータとして故障のし易さを数値化したり、ランク付けを行うようにしてもよい。
【0046】
信頼度演算部333は、リスク指標値演算部332で求めた各リスク指標値の確からしさを指標する信頼度を演算するものである。即ち、リスク指標値を求めても、演算に用いられた診断のデータ点数が多いものと少ないものとでは、多いものの方が誤差が少なく精度が高いといえる。そのため、求めたリスク指標値が具体的にどの程度信頼できるものかの観点も必要となり、信頼度演算部333により信頼度を演算する。
【0047】
信頼度としては、リスク指標値と同様に、0〜100や0〜10等の任意の数値範囲でリスク指標値の確からしさを数値化したものや、A,B,Cなどの文字や○,△,×などの記号でリスク指標値の確からしさをランク付けしたものが挙げられる。
【0048】
また、信頼度演算部333は、1又は複数の項目について、その数の大小に基づいてリスク指標値の確からしさを数値化又はランク付けする等により信頼度の演算を行う。そして、信頼度の演算に用いる項目は種々のものが用いられるが、例えば次の項目1〜3が挙げられる。
【0049】
まず、項目1としては、対象の設置箇所についての診断結果が存在する歴代のプロセス機器23の個数が挙げられる。診断結果の存在するプロセス機器23の個数が多いほど、演算されるリスク指標値の精度は高くなるためである。つまり、対象とする設置箇所について10回分の診断結果が存在し、その中に計4台のプロセス機器23についての診断結果が存在する場合(即ち、10回の診断の間にその設置箇所に4台のプロセス機器23が設置されてきたことを意味する)、項目1の数は4となる。
【0050】
次に、項目2としては、対象の設置箇所についての診断の頻度が挙げられる。診断の頻度が小刻みであるほど、個々のプロセス機器23が故障するまでの期間をより正確に把握できるためである。頻度としては、診断の間隔や年平均などが挙げられ、例えば、診断の間隔がほぼ一定である場合には(例えば半年おきなど)、その間隔や年平均を項目2として計上する。また、診断の間隔にばらつきがある場合には、年平均を項目2として計上することができる。例えば、3年間で計12回の診断が行われているような場合には、年平均の診断の回数は4回となる。なお、1年以上の間隔で診断が行われているような場合、年平均は小数点以下になる。
【0051】
また、項目3として、対象の前記設置箇所についての各診断結果のばらつきが挙げられる。得られた診断結果にばらつきが少ないほど、演算されるリスク指標値の精度は高いといえるためである。ばらつきは統計学的手法を用いればよく、例えば標準偏差を用いることができる。
【0052】
上記の項目1〜3を用いた場合、項目1については数が大きいほど、診断結果の存在するプロセス機器23の個数が多いこととなり、リスク指標値の確からしさが高い方に傾く。そして、項目2が間隔である場合には数が小さいほど、また、項目2が年平均である場合には数が大きいほど、診断の頻度が小刻みであることとなり、リスク指標値の確からしさが高い方に傾く。また、例えば項目3が標準偏差である場合には数が小さいほど、診断結果にばらつきが少ないこととなり、リスク指標値の確からしさが高い方に傾く。そして、信頼度演算部333は、このような各項目の数の大小とリスク指標値の確からしさとの関係に基づき、1又は複数の項目を用いて、所定の基準に基づいて、リスク指標値の確からしさを数値化又はランク付けするようになっている。また、信頼度演算部333は、1又は複数の項目について、その項目の数値自体を信頼度として導出してもよい。
【0053】
そして、リスク情報演算部33は、以上のようにして演算されたリスク指標値と信頼度とを、リスク情報として、設置箇所識別情報と関連付けた状態でリスク情報記憶部324に格納するようになっている。これにより、リスク情報記憶部324には、プロセス機器23の設置箇所ごとにリスク情報が格納される。
【0054】
機器群リスク情報演算部34は、対象の機器群24を構成する各プロセス機器23の設置箇所におけるリスク情報に基づき、対象の機器群24についての故障のし易さに関する機器群リスク情報を演算するものであり、演算用情報取得部341と、演算方法記憶部342と、演算部343と、を備えている。つまり、蒸気利用機器21、配管系22及びプロセス機器23を含む機器群24内では、蒸気利用機器21に流入し又は蒸気利用機器21から流出する蒸気に影響を与えるプロセス機器23についての故障が機器群24の故障のし易さを評価する上で支配的なものとなる。また、プロセス機器23の故障のし易さは設置される箇所の環境にも影響を受けることになる。そのため、機器群リスク情報演算部34では、対象の機器群24を構成する各プロセス機器23についての設置箇所に着目したリスク情報に基づき、当該機器群24のリスク情報を演算するようになっている。
【0055】
演算用情報取得部341は、機器群リスク情報の演算に必要な情報をデータベース部32から取得するものであり、演算対象とする機器群24を構成する蒸気利用機器21の種別や、当該機器群24を構成する各プロセス機器23間の配置関係等の機器群情報や、当該機器群24を構成する各プロセス機器23についてのリスク情報を取得する。
【0056】
演算方法記憶部342は、演算対象とする機器群24を構成する各プロセス機器23間の配置関係に応じた、機器群リスク情報を演算するための演算方法を格納するものになっている。本実施形態では、機器群リスク情報として、対象の機器群24についての故障のし易さを指標する機器群リスク指標値を演算するようになっており、機器群リスク指標値を演算するため、演算方法として、機器群24のうち、一の配管系22と、当該配管系22に設けられる複数のプロセス機器23とからなるプロセス機器群のリスク指標値を演算する演算方法を格納している。具体的には、各プロセス機器23が並列の関係にあるときの並列演算方法と各プロセス機器23が直列の関係にあるときの直列演算方法とを格納している。例えば、本実施形態では、各プロセス機器23のリスク指標値を演算用に規格化した上で、並列演算方法として、並列の関係にある各プロセス機器23の規格化後のリスク指標値を掛け合わせてプロセス機器群のリスク指標値を演算し、直列演算方法として、直列の関係にある各プロセス機器23の規格化後のリスク指標値のうちで最大のものをプロセス機器群のリスク指標値として求めるようになっている。なお、リスク指標値を演算用に規格化するのは、リスク指標値はわかりやすい形にするため必ずしも演算に適するものとはなっておらず、演算に適したものとするためである。例えば、リスク指標値が故障のし易さを数値化したものである場合には正規化を行い、リスク指標値が故障のし易さをランク付けしたものである場合にはランクに応じた数値に変換すればよい。
【0057】
演算部343は、演算用情報取得部341で取得された対象の機器群24における各プロセス機器23間の配置関係に対応する演算方法を用いて、当該機器群24の機器群リスク情報を演算するものである。具体的には、機器群24を構成するプロセス機器群(同一の配管系22に設けられた一群のプロセス機器23をいう。例えば、図3の符号26Aや26B)ごとに、対応する演算方法を用いてリスク指標値を演算した上で、演算したプロセス機器群のリスク指標値に基づいて機器群リスク指標値を演算するようになっている。例えば、プロセス機器群に属するプロセス機器23が並列の関係にある場合には、規格化後のリスク指標値を掛け合わせたものをプロセス機器群のリスク指標値として演算し、プロセス機器群に属するプロセス機器23が直列の関係にある場合には、規格化後のリスク指標値のうち最大のものをプロセス機器群の規格化後のリスク指標値として演算する。例えば、規格化後のリスク指標値がP,P,Pであるとき、並列演算方法によれば、プロセス機器群のリスク指標値P=(P×P×P)となり、直列演算方法によれば、プロセス機器群のリスク指標値P=max(P,P,P)となる。
【0058】
また、図3に示す機器群24の配管系22Bのように、一つの配管系22Bに、並列の配置関係にある一群のプロセス機器(以下、並列機器群と称する)23D,23Eが存在するとともに、この並列機器群に含まれない他のプロセス機器23Fがあるときや、一つの配管系に並列機器群が複数あるときには、上記した並列演算方法と直列演算方法との一方のみでは故障発生確率を演算できない。そこで、本実施形態では、演算方法記憶部342がかかる場合の演算方法も格納しており、この演算方法に基づき、演算部343は、次のようにしてプロセス機器群のリスク指標値を演算するようになっている。まず、演算部343は、並列演算方法に基づき、各並列機器群について、並列機器群を構成する個々のプロセス機器23の規格化後のリスク指標値を用いて、並列機器群についてのリスク指標値を演算する。そして、直列演算方法に基づき、並列機器群のそれぞれのリスク指標値又は1若しくは複数の並列機器群のリスク指標値と他のプロセス機器23のリスク指標値を用いて、プロセス機器群のリスク指標値を演算するようになっている。
【0059】
例えば、図3に示す配管系22Bとこれに設けられるプロセス機器23D〜23Fとからなるプロセス機器群26Bについては、プロセス機器23D〜23Fの規格化後のリスク指標値をそれぞれP,P,Pとすると、演算部343は、並列演算方法に基づき、プロセス機器23D,23Eからなる並列機器群のリスク指標値PDEをPDE=(P×P)により求め、直列演算方法に基づき、この並列機器群のリスク指標値PDEとプロセス機器23Fの規格化後のリスク指標値Pとからプロセス機器群26Bのリスク指標値PDEFをPDEF=max((P×P),P)により演算する。
【0060】
また、図3に示す機器群24の配管系22Aのように、並列機器群(プロセス機器23A〜23C)が存在し、その並列機器群の列の中に、互いに直列の配置関係にある一群の対象プロセス機器23B,23C(以下、サブ直列機器群と称する)が存在する列があるときにも、並列演算方法と直列演算方法との一方のみでは故障発生確率を演算できない。そこで、本実施形態では、演算方法記憶部342がかかる場合の演算方法も格納しており、この演算方法に基づき、演算部343は、次のようにしてプロセス機器群のリスク指標値を演算するようになっている。まず、演算部343は、まず直列演算方法に基づき、サブ直列機器群が存在する列について、サブ直列機器群を構成するプロセス機器23の規格化後の各リスク指標値を用いて、サブ直列機器群についてのリスク指標値を演算する。そして、並列演算方法に基づき、サブ直列機器群についてのリスク指標値と、サブ直列機器群に属さないプロセス機器23があるときはそのリスク指標値を用いて、並列機器群についてのリスク指標値を演算する。
【0061】
例えば、図3に示す配管系22Aとこれに設けられるプロセス機器23A〜23Cとからなるプロセス機器群26Aについては、プロセス機器23A〜23Cの規格化後のリスク指標値をそれぞれP,P,Pとすると、演算部343は、直列演算方法に基づき、プロセス機器23B,23Cからなるサブ直列機器群について、サブ直列機器群のリスク指標値PBCをPBC=max(P,P)により求める。さらに、演算部343は、並列演算方法に基づき、プロセス機器23A〜23Cからなるプロセス機器群26Aのリスク指標値PABCをPABC=(P×max(P,P))により演算する。なお、並列機器群における並列関係にある列のそれぞれにサブ直列機器群が存在するときは、演算部343は、各サブ直列機器群のリスク指標値を求めたのち、サブ直列機器群を一単位として並列演算方法に基づき並列機器群のリスク指標値を求める。
【0062】
そして、演算部343は、このようにして演算した各プロセス機器群のリスク指標値に基づいて機器群リスク指標値を演算する。その演算方法としては、各プロセス機器群のリスク指標値を単純に掛け合わせたり、それぞれの中の最大値を求めるようにしてもよい。また、それぞれの配置関係を考慮した演算方法を定めて、配置関係に応じた演算方法でリスク指標値を求めるようにしてもよい。その他、各プロセス機器群のリスク指標値のみならず、蒸気利用機器21のリスク指標値も求めて、蒸気利用機器21のリスク指標値も用いて機器群リスク情報を演算するようにしてもよい。この場合、蒸気利用機器21のリスク指標値の演算は、例えば、蒸気利用機器21の種類ごとに故障発生確率の演算のための式やパラメータを記憶してあるデータベースを利用して、機器情報記憶部321に格納してある情報に基づき対象の蒸気利用機器21の故障発生確率を演算して、この故障発生確率から蒸気利用機器21のリスク指標値を求めることで行うことができる。また、蒸気利用機器21のリスク指標値は、メインで用いられる機器については高く設定し、サブで用いられる機器については低く設定するなど、単にその機器が故障したときの蒸気プラント2の運転に与える影響度に基づき設定してもよい。
【0063】
また、機器群リスク情報演算部34は、機器群リスク情報として、機器群リスク指標値の確からしさを指標する信頼度を求めるようにしてもよい。信頼度の演算方法としては、対象の機器群24を構成する各プロセス機器23の信頼度が共通である場合には、各プロセス機器23の信頼度を機器群24の信頼度とし、各プロセス機器23の信頼度が異なる場合には、各プロセス機器23の信頼度の平均値や、各プロセス機器23の信頼度のうち最低の信頼度を機器群24の信頼度とすることが挙げられる。
【0064】
そして、機器群リスク情報演算部34は、以上のようにして演算された機器群リスク情報(機器群リスク指標値と信頼度)を、機器群識別情報と関連付けた状態で機器群リスク情報記憶部325に格納するようになっている。
【0065】
また、本実施形態では、リスク情報演算部33は、診断結果記憶部323が更新されるたびに(即ち監視装置25から送信される診断結果が新たに格納されるごとに)、新たにリスク指標値と信頼度とを演算し、新たなリスク指標値と信頼度とをリスク情報記憶部324に格納するようになっており、さらに、機器群リスク情報演算部34は、リスク情報記憶部324が更新されるたびに(即ち新たなリスク指標値と信頼度とが新たに格納されるごとに)、新たに機器群リスク情報を演算するようになっている。そして、これに伴い、データベース部32では、リスク情報記憶部324に格納されるリスク情報データは診断結果データの更新と連動して更新され、機器群リスク情報記憶部325に格納される機器群リスク情報データはリスク情報データの更新と連動して更新されるようになっている。
【0066】
以上のようにして、監視サーバ3では、(1)対象の蒸気プラント2における各プロセス機器23についての複数回の診断結果を、当該プロセス機器23の設置箇所と関連付けた状態で蓄積して記憶する診断結果記憶工程と、(2)対象の設置箇所に設けられた歴代のプロセス機器23の診断結果に基づき、当該設置箇所におけるプロセス機器23の故障のし易さに関するリスク情報(本実施形態ではリスク指標値と信頼度)を演算するリスク情報演算工程と、(3)対象の機器群24を構成する各プロセス機器23の設置箇所におけるリスク情報に基づき、対象の機器群24についての故障のし易さに関する機器群リスク情報を演算する機器群リスク情報演算工程と、が行われ、収集した診断結果に基づき、各蒸気プラント2についてのリスク情報がデータベース部32に格納されるようになっている。そして、ユーザは、監視サーバ3に対してリスク情報を要求することで、入出力処理部31を介して要求に応じた評価結果がユーザに対して出力されて、ユーザが対象の蒸気プラント2についてのリスク評価を行うことが可能になっている。
【0067】
また、付加的構成として、プロセス機器23の故障発生確率を演算するための演算モデルが求められているような場合には、リスク情報演算部33を図4に示すように構成して、演算モデルから求めた故障発生確率と、対象の設置箇所に設けられた歴代のプロセス機器23の診断結果に基づく故障の割合と、を比較してリスク指標値を演算するようにしてもよい。
【0068】
図4に示すリスク情報演算部33について説明すると、図2に示すものからさらに、故障発生確率を演算するための演算モデルを格納する演算モデル記憶部334と、診断結果に基づき、当該設置箇所に関し、基準期間の経過後において故障しているプロセス機器23の割合である故障割合を求める故障割合演算部335と、演算モデルに基づき故障発生確率を演算する故障発生確率演算部336と、を備え、リスク指標値演算部332が、演算された故障割合と故障発生確率とを比較してリスク指標値を演算するようになっている。
【0069】
演算モデル記憶部334は、対象のプロセス機器23の設置期間に基づき当該プロセス機器23の故障発生確率を演算するための演算モデルを格納するものである。例えば、対象の蒸気プラント2に限らず、多数の蒸気プラントについて、そこに設置されたプロセス機器23についての故障に至るまでの年数に関するデータがある場合、統計学的手法を用いることで、対象とするプロセス機器23について、設置期間をパラメータとする故障発生確率の演算モデルを導出することができる。演算モデル記憶部334は、このような演算モデルを格納するものである。また、演算モデル記憶部334に格納される演算モデルは、設置期間のみをパラメータとする単純なものであってもよいが、設置期間に加え、機器情報記憶部321に格納する各プロセス機器23の型式や用途等のプロセス機器23の種類に関する1又は複数の項目をパラメータとする詳細な演算モデルとしてもよい。詳細な演算モデルであれば、機器情報記憶部321に格納された各種の情報に基づき、プロセス機器23の種類に応じた故障発生確率を演算可能になっており、且つ、精度よく故障発生確率を求めることが可能になる。また、プロセス機器23の機種や型式など種類ごとに演算モデルが求められた場合には、演算モデル記憶部334は、当該種類ごとに演算モデルを格納するようになっている。
【0070】
故障割合演算部335は、対象の設置箇所に設けられた歴代のプロセス機器23の診断結果に基づき、歴代の各プロセス機器23のうち、当該設置箇所への設置から基準期間の経過後において故障しているプロセス機器23の割合である故障割合を求める。例えば、対象の設置箇所に5台のプロセス機器23が設置されており、半年おきに診断が行われ、診断結果が、2年経過時に故障しているものが2台、2年半経過時に故障しているものが1台、3年経過時に故障しているものが1台、4年経過時に故障しているものが1台、であるような場合、3年経過時を基準期間とすると、5台のうち4台が故障していることとなり、故障割合は8割(80%)となる。このようにして、故障割合演算部335は、基準期間に対する故障割合を設置箇所ごとに求める。基準期間は少なくとも診断の間隔よりも長い期間が必要となるが特に限定されず、対象とする設置箇所に応じて適宜設定すればよい。
【0071】
故障発生確率演算部336は、演算モデル記憶部334に格納された演算モデルに基づき、対象の設置箇所におけるプロセス機器23についての基準期間における故障発生確率を演算するものである。具体的には、例えば、対象の設置箇所に設けられたプロセス機器23について、演算モデルのパラメータとなる項目を機器情報記憶部321から抽出し、抽出したデータに基づき、基準期間における故障発生確率を演算する。また、演算モデル記憶部334に、機種や型式など種類ごとに演算モデルが格納されている場合、故障発生確率演算部336は、対象とするプロセス機器23に対応する演算モデルを用いて故障発生確率を演算する。
【0072】
リスク指標値演算部332は、演算された故障割合と故障発生確率とを比較して、対象の設置箇所におけるプロセス機器23のリスク指標値を演算するようになっている。つまり、故障発生確率演算部336により演算モデルに基づき求められた故障発生確率は、いわば一般的なものであり、対象のプロセス機器23が設置される設置箇所の環境に起因する特有の影響まで反映したものではない。一方で、故障割合演算部335で求められる故障割合は、設置箇所の環境も加味して求められた機器の故障のし易さとなる。そのため、故障発生確率に比べ故障割合の方が高いような場合には、設置箇所の環境がプロセス機器23の故障のし易さに大きな影響を与えているといえる。そこで、リスク指標値演算部332は、故障割合と故障発生確率とを比較することで、プロセス機器23の故障のし易さに大きな影響を与える設置箇所を把握して、故障のし易い設置箇所を特定するようになっている。
【0073】
そして、故障割合と故障発生確率とを比較したとき、故障割合の方が高くても、誤差によるものであるおそれがあるため、リスク指標値演算部332は、故障発生確率に比べ故障割合が所定値以上高いとき、対象のプロセス機器23の故障のし易さに関して設置箇所による影響が存在するとして、リスク指標値を演算するようになっている。つまり、リスク指標値演算部332は、故障割合と故障発生確率との大小を単に比較するのではなく、その乖離の程度に基づきリスク指標値を演算するようになっている。そして、リスク指標値を演算するのに、複数段の閾値を設けておき、故障割合が故障発生確率からどの程度乖離しているかに応じて、故障のし易さをランク付けするようにしてもよい。
【0074】
また、診断結果に含まれる歴代のプロセス機器23の中に、機種や型式など種類の異なる複数種のプロセス機器23が含まれる場合、プロセス機器23の種類ごとに故障割合や故障発生確率を求め、その種類ごとに比較を行うのが好ましい。そのため、故障割合演算部335は、歴代のプロセス機器23に複数の種類のプロセス機器23が含まれるとき、種類ごとに故障割合を演算し、故障発生確率演算部336は、歴代のプロセス機器23に複数の種類のプロセス機器23が含まれるとき、種類ごとに故障発生確率を演算し、前記リスク指標値演算部332は、種類ごとに演算された故障割合と故障発生確率とを比較して、対象の設置箇所におけるリスク指標値を演算するようになっている。
【0075】
以上のように、図4に示すリスク指標値演算部332では、
(1)対象のプロセス機器23の設置期間に基づき当該プロセス機器23の故障発生確率を演算するための演算モデルを格納する演算モデル記憶工程と、
(2)対象の設置箇所に設けられた歴代のプロセス機器23の診断結果に基づき、歴代の各プロセス機器23のうち、当該設置箇所への設置から所定期間の経過後において故障しているプロセス機器23の割合である故障割合を求める故障割合演算工程と、
(3)演算モデルに基づき、対象の設置箇所におけるプロセス機器23についての所定期間における故障発生確率を演算する故障発生確率演算工程と、
(4)故障割合と演算された故障発生確率とを比較して、対象の設置箇所におけるプロセス機器23の故障のし易さを指標するリスク指標値を演算するリスク指標値演算工程と、
が行われ、対象の設置箇所ごとにリスク指標値を演算するようになっている。
【0076】
また、付加的構成として、機器群リスク情報演算部34を図5のように構成し、対象とする機器群24についての診断結果が基準を満たしていない場合でも、この機器群24と一致又は類似している機器群24についての機器群リスク情報を対象の機器群24についての機器群リスク情報として求めるようにしてもよい。これについて説明すると、設置箇所に着目したリスク情報を精度よく求めるためには、ある程度の台数のプロセス機器23についての診断結果があるなど一定の基準を満たしていることが好ましく、演算対象とする機器群24を構成するプロセス機器23についての診断結果が基準を満たしていない場合には精度よくリスク情報を求めることができない。もっとも、機器群24の故障のし易さはその機器群24の構成(各機器の種別や配置関係等)にある程度依存するため、対象とする機器群24の故障のし易さは、これに一致又は類似する機器群24の故障のし易さからある程度推測できる。そのため、機器群リスク情報演算部34を図5のように構成し、対象の機器群24と一致又は類似している機器群24についての機器群リスク情報を対象の機器群24についての機器群リスク情報として求めることで、対象とする機器群24についてリスク評価を好適に行える。
【0077】
図5に示す機器群リスク情報演算部34について説明すると、図2に示すものからさらに、演算対象とする機器群24を構成するプロセス機器23についての診断結果が基準を満たしているか否かを判定する判定部344と、対象とする機器群24と類似する機器群24の機器群リスク情報を取得する機器群リスク情報取得部345と、を備えている。
【0078】
判定部344は、対象の機器群24について、当該機器群24を構成する各プロセス機器23について蓄積された診断結果が、所定の基準を満たしているか否かを判定するものである。例えば、判定部344は、蓄積された診断結果について、診断の回数、診断結果が存在するプロセス機器23の個数、診断の頻度、診断結果のばらつきなどの1又は複数の項目が予め定めた基準を満たしているかにより判定を行う。判定に用いる項目は特に限定されないが、判定部344は、リスク情報記憶部324に格納された各プロセス機器23についての信頼度や機器群リスク情報記憶部325に格納された対象の機器群24についての信頼度を判定に用いる項目とし、信頼度が所定の基準を満たしているかにより判定を行うようにしてもよい。
【0079】
機器群リスク情報取得部345は、判定部344で基準を満たしていないと判定されたとき、当該機器群24における機器群情報と一致又は所定基準以上類似する機器群情報を有し、且つ、判定部344で基準を満たしていると判定された他の機器群24についての機器群リスク情報を求め、求めた機器群リスク情報を対象の機器群24についての機器群リスク情報とするようになっている。
【0080】
具体的には、本実施形態では、機器群リスク情報取得部345は、演算用情報取得部341で取得した対象の機器群24の機器群情報と、機器群情報記憶部322に格納されている他の機器群24の機器群情報と、を比較し、対象の機器群24の機器群情報と一致又は所定基準以上類似する他の機器群24の識別情報やこれを構成するプロセス機器23の識別情報を機器群情報記憶部322から抽出する。なお、機器群情報の比較に用いる項目は特に限定されないが、例えば本実施形態では、機器群24を構成する蒸気利用機器21やプロセス機器23の種別と、当該機器群24を構成する各プロセス機器23間の配置関係と、を比較するようになっている。また、対象の機器群24の機器群情報と一致又は所定基準以上類似する他の機器群24が複数ある場合には、全ての機器群24について、機器群24の識別情報やこれを構成するプロセス機器23の識別情報を抽出する。
【0081】
さらに、機器群リスク情報取得部345は、機器群リスク情報記憶部325やリスク情報記憶部324を参照して、抽出した識別情報に対応する機器群24やプロセス機器23についての信頼度が基準を満たしているかを判定し、基準を満たしている機器群24についての機器群リスク情報を取得する。なお、対象の機器群24の機器群情報と一致又は所定基準以上類似する他の機器群24が複数あり、その中で対応する機器群24やプロセス機器23についての信頼度が基準を満たしている機器群24が複数ある場合には、対象の機器群24の機器群情報と一致する又は最も類似する機器群情報を有する機器群24や、最も信頼度の高い機器群24についての機器群リスク情報を取得すればよい。
【0082】
そして、機器群リスク情報取得部345は、取得した機器群リスク情報を、対象の機器群24についての機器群リスク情報として、機器群識別情報と関連付けた状態で機器群リスク情報記憶部325に格納するようになっている。この場合、機器群リスク情報記憶部325は、機器群リスク情報を、機器群リスク情報取得部345によって取得したものであるか、演算部343によって演算したものであるかを識別可能にして格納するようになっている。
【0083】
そして、図5に示す機器群リスク情報演算部34では、まず、演算用情報取得部341で取得した情報に基づき判定部344により判定を行われ、判定部344で基準を満たしていると判定されたとき、演算部343により、対象の機器群24を構成する各プロセス機器23の設置箇所におけるリスク情報に基づき、機器群リスク情報を演算し、判定部344で前記基準を満たしていないと判定されたとき、機器群リスク情報取得部345によって機器群リスク情報が求められるようになっている。
【0084】
〔その他の実施形態〕
最後に、本開示に係るリスク評価装置、リスク評価システム、リスク評価方法、及び、リスク評価プログラムのその他の実施形態について説明する。なお、以下のそれぞれの実施形態で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することも可能である。
【0085】
(1)上記の実施形態では、監視サーバ3単体で一連の処理を行う構成を例に説明した。しかし、本開示の実施形態はこれに限定されず、例えば、診断結果やリスク情報などのデータベース部32で記憶されていた情報を、1又は複数の外部のデータベースサーバに記憶させ、監視サーバ3が必要に応じてデータベースサーバから演算のために情報を取得するなど、複数の装置からなるリスク評価システムを用いて、監視サーバ3で行っていた処理を複数の装置で分散して行うようにしてもよい。
【0086】
(2)上記の実施形態において示した、リスク情報演算部33や機器群リスク情報演算部34で行う演算処理はあくまでも例示であり、目的に応じて適宜変更可能である。例えば、リスク情報演算部33は、リスク情報として、信頼度は演算せず、リスク指標値のみを演算するようにしてもよい。
【0087】
(3)その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で例示であって、本開示の範囲はそれらによって限定されることはないと理解されるべきである。当業者であれば、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜改変が可能であることを容易に理解できるであろう。従って、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で改変された別の実施形態も、当然、本開示の範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本開示は、例えばプラントのリスク評価を行うのに利用することができる。
【符号の説明】
【0089】
2 蒸気プラント
21 蒸気利用機器
22 配管系
23 プロセス機器
24 機器群
3 監視サーバ(リスク評価装置)
322 機器群情報記憶部(配置関係記憶部)
323 診断結果記憶部
33 リスク情報演算部
34 機器群リスク情報演算部
342 演算方法記憶部
344 判定部
図1
図2
図3
図4
図5