【文献】
田代由紀子,夏こそスポーツの後に「甘酒」を!〜疲れ知らずのカラダを作る〜,毎日キレイ[online],2012年 7月24日,検索日2017.02.17,URL,http://mainichikirei.jp/article/20120724dog00m100045000c.html
【文献】
佐藤和夫他,J. Brew. Soc. Japan,1994年,Vol.79,No.7,pp.495−499
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
米麹の配合割合が水100重量部に対して乾燥米麹1重量部以上である処理液で、加熱調理される前の畜肉を処理することを特徴とする請求項1又は2に記載の畜肉の品質向上方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近時、食品に対する消費者の嗜好性がより多様化しており、畜肉の調理態様も多岐にわたっている。このような現状に対応するため、畜肉の食感改善等についても様々な技術が求められている。そこで本発明は、新たな材料を用いた畜肉の前処理技術を提供するとともに、加熱処理後の畜肉の品質を向上させる新たな技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記した課題を解決するための請求項1に記載の発明は、加熱調理される前の畜肉を米麹で処理することにより、加熱調理後の畜肉の品質を向上させる畜肉の品質向上方法であって、
前記畜肉を塩漬処理する工程を含まないものであり、前記加熱調理は、油で揚げること、炒めること、焼くこと、煮ること、茹でること、蒸すこと、又は電子レンジによる加熱であり、前記米麹は白麹であり、畜肉の食感改善又は食味改善と、畜肉の不快臭のマスキング又は不快臭の発生抑制と、畜肉の歩留まり向上とを行うものであることを特徴とする畜肉の品質向上方法である。
【0006】
本発明の畜肉の品質向上方法は、加熱調理後の畜肉の品質を向上させるものであり、加熱調理される前の畜肉を米麹で処理するものである。本発明の畜肉の品質向上方法によれば、加熱調理後の畜肉における、歩留まりの向上、食感改善、食味改善、不快臭のマスキング、不快臭の発生抑制、等の品質向上効果を得ることができる。また本発明の畜肉の品質向上方法では、発酵食品である米麹を用いるので、リン酸塩等を用いる場合に比べて安心感が高い。
ここで「米麹で処理する」とは、処理対象物に米麹を接触させる処理を指す。
【0007】
また本発明の畜肉の品質向上方法では、畜肉の処理に用いる米麹として白麹を用いる。白麹を用いることにより、食味改善効果について特に高い効果を得ることができる。ここで「白麹」とは、麹菌としてアスペルギルス・カワチ(Aspergillus kawachii)、及び/又はアスペルギルス・シロウサミ(Aspergillus usamii mutant shirousamii)を用いた米麹を指すものとする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、加熱調理される前の畜肉を、前記米麹に加えて酒粕で処理することを特徴とする請求項1に記載の畜肉の品質向上方法である。
【0009】
本発明の畜肉の品質向上方法では、加熱調理される前の畜肉を、前記米麹に加えて酒粕で処理する。すなわち、米麹と酒粕とを併用する。かかる構成により、さらに高い品質向上効果が得られる。
【0010】
請求項1又は2に記載の畜肉の品質向上方法において、米麹の配合割合が水100重量部に対して乾燥米麹1重量部以上である処理液で、加熱調理される前の畜肉を処理する構成が推奨される(請求項3)。
【0011】
請求項3に記載の畜肉の品質向上方法において、前記処理液は、さらに酒粕を含有するものである構成が推奨される(請求項4)。
【0012】
関連の発明は、請求項1〜4のいずれかに記載の畜肉の品質向上方法に用いられ、加熱調理される前の畜肉に適用される畜肉の品質向上剤であって、米麹である白麹を有効成分として含有することを特徴とする畜肉の品質向上剤である。
【0013】
この発明は畜肉の品質向上剤に係るものである。この畜肉の品質向上剤は、米麹である白麹を有効成分として含有するものであり、加熱調理される前の畜肉に適用される。この畜肉の品質向上剤によって加熱調理される前の畜肉を処理することにより、加熱調理後の畜肉における、歩留まりの向上、食感改善、食味改善、不快臭のマスキング、不快臭の発生抑制、等の品質向上効果を得ることができる。また、この畜肉の品質向上剤は、発酵食品である米麹を有効成分としているので、安心感が高い。
【0014】
上記した畜肉の品質向上剤において、米麹の配合割合が、水100重量部に対して乾燥米麹1重量部以上である構成が推奨される。
【0015】
上記した畜肉の品質向上剤において、さらに酒粕を含有するものである構成が推奨される。
【0016】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれかに記載の畜肉の品質向上方法によって、加熱調理される前の畜肉を処理した後、加熱調理することを特徴とする畜肉食品の製造方法である。
【0017】
本発明は畜肉食品の製造方法に係るものである。本発明の畜肉食品の製造方法は、上記した畜肉の品質向上方法によって、加熱調理される前の畜肉を処理した後、加熱調理するものである。本発明で製造される畜肉食品は、高い食感と食味を有し、かつ不快臭が抑えられた高品質なものとなる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の畜肉の品質向上方法によれば、加熱調理後の畜肉における、歩留まりの向上、食感改善、食味改善、不快臭のマスキング、不快臭の発生抑制、等の品質向上効果を得ることができる。
【0019】
上記した畜肉の品質向上剤についても同様であり、加熱調理される前の畜肉を処理することにより、加熱調理後の畜肉における、歩留まりの向上、食感改善、食味改善、不快臭のマスキング、不快臭の発生抑制、等の品質向上効果を得ることができる。
【0020】
本発明の畜肉食品の製造方法によれば、高い食感と食味を備え、かつ不快臭が抑えられた高品質な畜肉食品が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を実施するための形態について具体的に説明する。
【0023】
本発明の畜肉の品質向上方法は、加熱調理される前の畜肉を米麹で処理することにより、加熱調理後の畜肉の品質を向上させることを特徴とするものである。また本発明の畜肉の品質向上剤は、上記した品質向上方法に用いられ、加熱調理される前の畜肉に適用される畜肉の品質向上剤であって、米麹を有効成分として含有することを特徴とするものである。
【0024】
本発明においては、米麹として白麹を用いる。白麹を用いることにより、より高い品質向上効果が得られる。特に、食味の改善効果の向上が顕著となる。白麹はクエン酸を多く生成するので、米麹の使用時にpHが下がり、プロテアーゼ、特に酸性プロテアーゼが効率よく働くことになる。
前述のとおり、「白麹」とは、麹菌としてアスペルギルス・カワチ(Aspergillus kawachii)、及び/又はアスペルギルス・シロウサミ(Aspergillus usamii mutant shirousamii)を用いた米麹を指すものとする。当該白麹としては、例えば、アスペルギルス・カワチである麹菌を蒸米あるいはアルファ化米に接種し、常法により、33℃〜40℃で約40時間かけて固体製麹したものが挙げられる。麹菌が接種される米の形状としては、丸米、砕米、米粉等、特に限定はない。また、本発明で用いる白麹は、生のものでもよいし、乾燥したものでもよい。白麹は、主に焼酎の製造で従来より使用されている。
【0025】
なお、「黄麹」とは、麹菌としてアスペルギルス・オリゼー(Aspergillus oryzae)、アスペルギルス・ソーヤ(Aspergillus sojae)、及びアスペルギルス・タマリ(Aspergillus tamarii)からなる群より選ばれた少なくとも1種を用いた米麹を指すものとする。当該黄麹としては、例えば、アスペルギルス・オリゼーである麹菌を蒸米あるいはアルファ化米に接種し、常法により、30℃〜40℃で約40時間かけて固体製麹したものが挙げられる。麹菌が接種される米の形状としては、丸米、砕米、米粉等、特に限定はない。また、本発明で用いる黄麹は、生のものでもよいし、乾燥したものでもよい。黄麹は、主に清酒、みりん、醤油、味噌の製造で従来より使用されている。
【0026】
その他の米麹としては、黒麹菌であるアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)やアスペルギルス・アワモリ(Aspergillus awamori)を用いた米麹が挙げられる。
【0027】
本発明においては、1種類の米麹を用いてもよいし、2種類以上の米麹を併用してもよい。
【0028】
本発明では、加熱調理される前の畜肉を米麹で処理する。前述のとおり、米麹による処理とは、畜肉に米麹を接触させることである。具体例としては、米麹を含有する水性溶液(処理液)に、生の畜肉を浸漬することが挙げられる。その他、噴霧、塗布、すり込み、揉み込み、等の手法により、畜肉を処理することができる。これらの手法は、畜肉の形状(塊状、薄切り状、ミンチ状など)等によって適宜選択してもよい。
前記処理液に代えて、半固体状・ペースト状の米麹を、畜肉に塗布等してもよい。
畜肉の処理部位としては、畜肉の表面が代表的であるが、畜肉の内部でもよい。また畜肉の表面を処理する場合において、表面全体を処理してもよいし、表面の一部を処理してもよい。
【0029】
1つの好ましい実施形態では、加熱調理される前の畜肉を、米麹に加えて酒粕でも処理する。すなわち、米麹と酒粕とを併用する。この場合の処理方法としては、例えば、上記した「米麹を含有する水性溶液(処理液)」に酒粕をさらに含有させればよい。そして、この処理液を用いて、浸漬、噴霧、塗布、すり込み、揉み込み等の手法で畜肉を処理することができる。その他の例として、米麹と酒粕の混和物を調製し、これを畜肉に塗布等することができる。酒粕の使用量としては、例えば、米麹100重量部に対して1〜10重量部の範囲から適宜選択すればよく、好ましくは2〜8重量部、より好ましくは4〜6重量部である。
【0030】
ここで、本発明で使用する酒粕は、清酒を製造する際に副生する酒粕であればよく、例えば、吟醸酒の酒粕、純米酒の酒粕、普通酒の酒粕、増醸酒の酒粕等が挙げられる。酒粕は、そのまま、あるいは乾燥させて粉砕したものを用いることができる。
【0031】
1つの好ましい実施形態では、畜肉に接触させる処理液として、米麹の配合割合が水100重量部に対して乾燥米麹1重量部以上である処理液を使用する。すなわち、本発明の畜肉の品質向上剤における1つの好ましい実施形態は、米麹の配合割合が水100重量部に対して乾燥米麹1重量部以上のものである。この実施形態によれば、畜肉を処理する際の作業が容易となる。畜肉に接触させる処理液の量は、畜肉と同じ重量からさらに下げて、例えば畜肉が浸る程度とした畜肉重量の6分の1重量倍とすることも可能である。
【0032】
米麹による処理時間(米麹との接触時間)としては、米麹の種類や使用総量、上記品質向上剤(処理液)における米麹の配合割合によって適宜選択すればよいが、一般的には0.5〜3時間程度である。なお、米麹の使用総量が少ない場合や、後述する処理温度が低い場合は、さらに長時間、例えば最大24時間程度まで延長すればよい。例えば、処理温度が5℃であれば、17時間程度かけて処理すればよい。
【0033】
米麹による処理時の温度としては特に限定はないが、30℃〜40℃の範囲では食品の腐敗のおそれがあるので、30℃以下の温度とすることが好ましい。
【0034】
米麹による処理時における米麹の使用量は、畜肉重量の1〜4%の範囲が好ましい。
【0035】
本実施形態においても、処理液(米麹の配合割合が水100重量部に対して乾燥米麹1重量部以上である処理液)に酒粕をさらに含有させることができる。酒粕の含有量としては、例えば、米麹100重量部に対して1〜10重量部の範囲から適宜選択すればよいが、好ましくは2〜8重量部、より好ましくは4〜6重量部である。
【0036】
本発明の畜肉の品質向上剤(処理液)には、米麹による畜肉の品質向上効果を損なわない範囲で、他の成分を含めてもよい。例えば、各種の調味料、香辛料、アミノ酸等を含めることにより、米麹による品質向上効果を補強することができる。
【0037】
加熱調理の例としては、油で揚げる、炒める、焼く、煮る、茹でる、蒸す、電子レンジによる加熱、等が挙げられる。
【0038】
本発明の対象となる畜肉の例としては、獣肉類では、牛、豚、馬、羊、山羊、鹿、猪、熊などが挙げられ、鳥肉類では、鶏、アヒル、七面鳥、雉、鴨、鶉などが挙げられる。例えば、これらの生肉が米麹による処理の対象となる。畜肉の形状としては、塊状、サイコロ状、平板状、薄切り状、短冊状、ミンチ状、等が挙げられる。
【0039】
本発明における品質向上の具体例としては、食感改善(例えば、柔らかさ、ジューシー感の向上)、食味の改善(例えば、旨味の向上)、不快臭のマスキングや不快臭の発生抑制(例えば、アルデヒド臭の低減)などが挙げられる。柔らかさについては、例えば、テクスチャー計を用いて評価することができる。ジューシー感については、例えば、加熱調理後における重量残存率(すなわち、歩留まり)をもって評価することができる。食味については、例えば、食味センサーを用いて評価することができる。不快臭については、例えば、ガスクロマトグラフィー質量分析(GC−MS)によって不快臭成分を検出・定量することができる。
【0040】
本発明の畜肉食品の製造方法は、上記した畜肉の品質向上方法によって、加熱調理される前の畜肉を処理した後、加熱調理するものである。本発明で製造される畜肉食品には、飲食店等でユーザーに直接提供される食品;スーパーマーケット等において調理され、惣菜としてユーザーに提供される食品;工場で調理及び包装され、必要に応じて冷蔵又は冷凍されて流通及び提供される加工食品、が含まれる。
【0041】
なお市販の食肉軟化剤では、特に食味の改善、不快臭のマスキング、不快臭の発生抑制が十分ではないことを確認している。米麹を用いることにより、水に縣濁したときのα−アミラーゼや酸性プロテアーゼの活性の低下が少ないことが、本発明の長所として考えられる。
【0042】
以下、実施例をもって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0043】
〔実施例1〕
畜肉として米国産の豚ヒレ肉を用い、黄麹が有する畜肉の品質向上効果を調べた。処理条件として、以下の3種類を設定した。
【0044】
<条件A>
水に1時間浸漬(コントロール)
<条件B>
水100重量部に対して黄麹1重量部を添加した処理液に1時間浸漬(黄麹1%,1時間)
<条件C>
水100重量部に対して黄麹4重量部を添加した処理液に1時間浸漬(黄麹4%,1時間)
【0045】
米国産の豚ヒレ肉を、1片40〜60g程度になるように切断した。3片(計120〜180g程度)をまとめて1つのサンプルとした
1つのサンプルに同じ重量の水を加えた(条件A)。また、別のサンプルに同じ重量の水を加え、さらに水100重量部に対して1重量部に相当する量の黄麹(乾燥粉末)を加えた(条件B)。また、別のサンプルに同じ重量の水を加え、さらに水100重量部に対して4重量部に相当する量の黄麹(乾燥粉末)を加えた(条件C)。そのまま1時間、各サンプルを各処理液に浸漬した。
【0046】
各処理液からサンプルを引き上げて処理液を切り、表面に馬鈴薯デンプンを付けて、160℃で5分間、油で揚げた(加熱調理)。十分に冷ました後、衣を剥がし、加熱調理後のサンプルの重量を測定した。
各サンプルについて、加熱調理後の重量を加熱調理前の重量で除し、重量残存率を算出した。処理Aの重量残存率を100とした場合における各処理の重量残存率(相対値)を、歩留まりの値とした。さらに、加熱調理後の各サンプルについて、テクスチャー計(型番:TA.XT2i、Stable Micro System社製)を用いて硬さを評価した。測定条件は、温度:室温(25℃)、プレ−スピード(Pre−Speed):5.0mm/秒、テスト−スピード(Test−Speed):1.0mm/秒、ディスタンス(Distance):20.0mm、オート(Auto):5g、とした。硬さの値は、条件Aの場合を100とした場合の相対値で表した。
【0047】
結果を表1と
図1に示す。すなわち、黄麹を含む処理液に浸漬した条件Bと条件Cにおいて、硬さと歩留まりの両方について優れた効果が得られた。
【0048】
【表1】
【0049】
〔実施例2〕
実施例1における条件BとCの浸漬時間を0.5時間(30分)とした以外は実施例1と同様にして、硬さと歩留まりを測定した(条件D,E)。
【0050】
<条件D>
水100重量部に対して黄麹1重量部を添加した処理液に0.5時間浸漬(黄麹1%,0.5時間)
<条件E>
水100重量部に対して黄麹4重量部を添加した処理液に0.5時間浸漬(黄麹4%,0.5時間)
【0051】
結果を表2と
図2に示す。すなわち、浸漬時間を0.5時間に短縮した場合でも、硬さと歩留まりの両方について優れた効果が得られた。
【0052】
【表2】
【0053】
〔実施例3〕
本実施例では、米麹として白麹を用い、以下の条件で実験した。白麹として、乾燥粉末のものを使用した。
【0054】
<条件F>
水100重量部に対して白麹4重量部を添加したものに1時間浸漬(白麹4%,1時間)
【0055】
実施例1と同様にして、硬さと歩留まりを測定した。条件C(黄麹使用)でも同時に実験を行い、黄麹との比較を行った。結果を表3と
図3に示す。すなわち、白麹を使用した場合は、黄麹を使用した場合よりもさらに優れた効果を示した。
【0056】
【表3】
【0057】
別途、食味改善効果について、味覚センサーを用いて評価した。衣を剥がした加熱調理後のサンプルに対して、3重量倍の湯(40℃)を加えた。ホモジナイザーにて12000rpmで3分間処理し、破砕液を得た。この破砕液をろ過し、得られたろ液を味覚センサーによる測定に供した。評価は、条件C(黄麹使用)を「0」(ゼロ)とした場合の相対比較で行った。結果を
図4に示す。
図4に示すように、白麹を使用した場合は、「旨味コク」が特に優れていた。なお、「旨味コク」は、後味で持続性のある旨味のことである。
【0058】
また別途、不快臭(アルデヒド臭)について、GC−MSを用いて分析を行った。
【0059】
結果を表4と
図5,6に示す。表4は、各条件におけるオクタナール、ノナナール、及びオクテナールのピーク面積を示しており、条件A(コントロール)のピーク面積を1とした場合の相対値である。表4と
図5,6に示すように、条件C(黄麹使用)と条件F(白麹使用)の両方において、オクタナール、ノナナール、及びオクテナールの各ピーク面積が小さくなっており、アルデヒド臭の発生が抑えられていることが示された。特に、白麹を使用した条件Fが、アルデヒド臭の発生抑制効果が顕著であった。
【0060】
【表4】
【0061】
〔実施例4〕
本実施例では、畜肉として国産の牛ひき肉を用い、畜肉の品質向上効果を調べた。米麹として白麹、酒粕のそれぞれ乾燥粉末のものを使用した。処理条件として、以下の3種類を設定した。
【0062】
<条件G>
水を揉み込み1時間放置(コントロール)
<条件H>
水100重量部に対して白麹1重量部を添加した処理液を揉み込み1時間放置(白麹1%,1時間)
<条件I>
水100重量部に対して白麹1重量部、酒粕0.05重量部を添加した処理液を揉み込み1時間放置(白麹1%+酒粕0.05%,1時間)
【0063】
国産の牛ひき肉150gに、水25g、馬鈴薯デンプン15gを加え、よく揉み込んで5℃で1時間放置した(条件G)。また、別のサンプルに、水25g、馬鈴薯デンプン15g、さらに水100重量部に対して1重量部に相当する量の白麹(乾燥粉末)を添加した処理液を加え、よく揉み込んで5℃で1時間放置した(条件H)。また、別のサンプルに、水25g、馬鈴薯デンプン15g、さらに水100重量部に対して1重量部に相当する量の白麹(乾燥粉末)、0.05重量部の酒粕を添加した処理液を加え、よく揉み込んで5℃で1時間放置した(条件I)。
【0064】
それぞれのサンプルを、15g程度になるように団子状に成形し、スチームコンベクションオーブンにより、100℃で10分間、焼成した(加熱調理)。十分に冷ました後、官能検査を行い、また別途、実施例3と同様にして、不快臭(アルデヒド臭)について分析を行った。
【0065】
結果を表5に示す。表5は、各条件におけるヘキサナールのピーク面積を示しており、条件G(コントロール)のピーク面積を1とした場合の相対値である。表5に示すように、条件H(白麹使用)と条件I(白麹及び酒粕使用)の両方において、ヘキサナールのピーク面積が小さくなっており、アルデヒド臭の発生が抑えられていることが示された。特に、白麹及び酒粕を使用した条件Iが、アルデヒド臭の発生抑制効果が顕著であった。この結果は、官能検査の結果ともよく一致していた。
【0066】
【表5】