特許第6574569号(P6574569)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6574569
(24)【登録日】2019年8月23日
(45)【発行日】2019年9月11日
(54)【発明の名称】手摺
(51)【国際特許分類】
   E04F 11/18 20060101AFI20190902BHJP
【FI】
   E04F11/18
【請求項の数】6
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2014-256303(P2014-256303)
(22)【出願日】2014年12月18日
(65)【公開番号】特開2016-117986(P2016-117986A)
(43)【公開日】2016年6月30日
【審査請求日】2017年9月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】303046244
【氏名又は名称】旭化成ホームズ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】514323497
【氏名又は名称】株式会社エステック計画研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100156867
【弁理士】
【氏名又は名称】上村 欣浩
(72)【発明者】
【氏名】柏原 誠一
(72)【発明者】
【氏名】金子 尚志
【審査官】 西村 隆
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−260649(JP,A)
【文献】 特開平09−295351(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0118773(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 11/18
A47K 17/02
A61G 5/00
A61H 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
横断面形状は、延在方向に沿って徐々に変化し、
前記横断面形状の一部が面取りされることで形成された斜辺の長さが、前記延在方向に沿って徐々に変化する面取り部を備え
前記手摺が、昇降方向に沿って延在する手摺であることを特徴とする手摺。
【請求項2】
前記延在方向の一端から他端に向かうにつれて、横断面の断面積が徐々に大きくなる、請求項1に記載の手摺。
【請求項3】
前記横断面形状が、矩形における一つの角部を面取りした略五角形であり、
面取りした角部に形成される斜辺の長さが、前記延在方向の一端から他端に向かうにつれて徐々に小さくなる、請求項2に記載の手摺。
【請求項4】
前記手摺の前記他端近傍における前記横断面形状が略矩形である、請求項3に記載の手摺。
【請求項5】
前記延在方向の下方に向かうにつれて、横断面の断面積が徐々に大きくなる、請求項1〜4の何れか一項に記載の手摺。
【請求項6】
昇降方向に沿って延在する手摺の取付構造であって、
請求項1〜の何れか一項に記載の手摺が、壁に固定した連結具によって支持されていることを特徴とする手摺の取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、階段等の昇降方向に沿って設けられる手摺に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、階段やスロープ等を昇降する際の安全性を高めるために、昇降方向に沿って延在する手摺を設けることが行われてきた。
【0003】
このような手摺の一例として、視覚障害者等が手の触覚を頼りに安全に階段を昇降することができるように、手摺本体から凸状に形成される突起体(指標体)を設けた、指標体付き手摺が提案されている(特許文献1参照)。この指標体付き手摺は、手摺本体の端部に近づくにつれて、指標体の間隔が徐々に狭まっていく間隔減少ゾーンを有し、使用者は手に触れる指標体の間隔を認識することで、手すりの端部に近づいていることを事前に察知することが可能とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−322781号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の手摺においては、指標体が一定間隔に配置された中央領域では自分の現在位置を把握することができなかった。また、手摺に多数の指標体を設けなければならないため、製造の手間やコストがかさむという問題があった。
【0006】
また、指標体を別体として形成し手摺に固着した場合には、長期間の使用により指標体が脱落してしまう虞もあった。さらに、訪問客等の使い慣れていない人が使用する際には、手摺本体から突出する指標体に違和感を覚える虞もある。
【0007】
それゆえ本発明は、使用者が任意の昇降位置において自分の位置を把握することができるとともに、製造が容易で耐久性にも優れ、初めて使用する場合でも違和感なく使用することができる手摺を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、本発明の手摺は、昇降方向に沿って延在する手摺であって、横断面形状が延在方向に沿って徐々に変化することを特徴とするものである。
【0009】
また、本発明の手摺にあっては、前記延在方向の下方に向かうにつれて、横断面の断面積が徐々に大きくなることが好ましい。
【0010】
また、本発明の手摺にあっては、前記横断面形状が、矩形における一つの角部を面取りした略五角形であり、
面取りした角部に形成される斜辺の長さが、前記延在方向の下方に向かうにつれて徐々に小さくなることが好ましい。
【0011】
また、本発明の手摺にあっては、前記手摺の下端近傍における前記横断面形状が略矩形であることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、使用者が任意の昇降位置において自分の位置を把握することができるとともに、製造が容易で耐久性にも優れ、初めて使用する場合でも違和感なく使用することができる手摺を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態に係る手摺、及び当該手摺を設けた階段の一例を示す斜視図である。
図2】(a)は、図1に示す手摺の横断面形状を示す断面図であり、(b)、(c)は、他の実施形態に係る手摺の横断面形状を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しつつ、本発明に係る手摺について詳細に説明する。図1に示す本発明の一実施形態に係る手摺1は、例えば2階建ての住宅等に設けられ、使用者が階段2を昇降する際に把持しながら昇降することで、昇降時の安全性を高めるものである。
【0015】
本実施形態の手摺1は、階段2の左右片側の壁に固定した複数の連結具3によって支持され、階段2の昇降方向に沿って、一端から他端まで直線状に延在する。なお、手摺1は階段2の左右両側に設けることも可能であり、手摺1を支持する形態も特に限定されず、例えば床や階段から立設する支持柱等によって下方から支持する構成としても良い。
【0016】
手摺1は、長尺の直方体である角材の、長手方向に延びる4辺のうちの1辺に面取りを施し、面取り部4としたものである。すなわち、手摺1の延在方向に垂直な横断面の断面形状は、図2(a)に示すように、矩形における1つの角部を面取りした略五角形となっている。なお、本実施形態の手摺1は、使用者が斜め上方から把持し易いように、上側、且つ、使用者側となる位置に面取り部4を設けている。
【0017】
手摺1は、横断面形状が延在方向に沿って徐々に変化する構成を有し、具体的には、図2(a)に示す断面における斜辺の長さLが、下方に向かうにつれて徐々に小さくなっており、その断面積は、下方に向かうにつれて徐々に大きくなっている。
【0018】
なお、本発明の手摺1は、必ずしも一直線状に延びる形状である必要はなく、湾曲する部分を有する形状としてもよい。また、材料も特に限定されず、例えば木製、又は金属製等とすることができる。また、手摺1の横断面形状も特に限定されるものではなく、使用者が把持し易い形状、太さに適宜設定することができ、例えば、図2(b)に示す円形、又は、図2(c)に示すような楕円形とすることができる。
【0019】
以上のような構成を有する本実施形態の手摺1にあっては、横断面形状が延在方向に沿って徐々に変化する構成としたことにより、使用者が、任意の昇降位置において、視覚に頼らずに手の触覚によって自分の現在位置を把握することができるので、階段を昇降する際の安全性を高めることができる。また、延在方向に沿って横断面形状が徐々に変化する形状としたため、延在方向に沿って横断面形状が急激に変化する突起や凹部を有し、複雑な加工が要求される場合に比べて、容易に製造することができる。また、別部材を接着等で結合する場合と異なり、接着した部材が脱落するような虞もない。また、横断面形状が延在方向に沿って徐々に変化する構成としたことで、荷重を加えた際に応力が一か所に集中し難くなるため、優れた耐久性を得ることが可能となる。その結果、長期間にわたって、昇降時の安全性を高める機能を発揮することができる。
【0020】
また、本実施形態の手摺1にあっては、不自然な突起がないため、訪問客等の使い慣れていない使用者が初めて使用する場合でも、違和感を覚えることなく使用することができる。さらに、横断面形状が徐々に変化する手摺1の微妙な形状の変化を感じることで、使用者は手の触覚を磨くことができ、健康の維持、増進の効果も期待できる。
【0021】
また、本実施形態の手摺1にあっては、下方に向かうにつれて断面積が徐々に大きくなる形状としたことにより、昇降の際に、手摺1を握る手が下方に滑り難くなり、しっかりと把持することができるので、昇降時の安全性をさらに高めることができる。このような効果は、握力の低下した高齢者等が使用する場合において特に有効である。
【0022】
また、本実施形態の手摺1にあっては、角材の1辺に面取りを施した形状としたことにより、一般的に流通している木材を利用することができ、且つ、加工も容易であるため、製造コストを抑えることができる。また鋭利な角部が使用者側に現れないため安全性を高めることができる。
【0023】
なお、本実施形態の手摺1にあっては、その下端近傍において横断面形状が略矩形となる、すなわち、面取り部4が下端近傍で終端し、斜辺の長さLがほぼ0になることが好ましい。このような構成とすることにより、階段を降りる際の終点となる手摺1の下端位置が把握し易くなり、階段2を降りる際の安全性をより高めることが可能となる。
【0024】
以上、図示例に基づき説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものでなく、特許請求の範囲の記載範囲内で適宜変更することができるものである。例えば、手摺1は、延在方向に沿って断面積が徐々に大きくなる部分と、徐々に小さくなる部分とを有する形状としてもよい。また、本発明の手摺1は、住宅等の階段のみに限定されず、例えば傾斜路、スロープ等の昇降方向に沿って設けることが可能であり、昇降時の安全性を高めることができる。
【符号の説明】
【0025】
1 手摺
2 階段
3 連結具
4 面取り部
図1
図2