特許第6574575号(P6574575)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6574575
(24)【登録日】2019年8月23日
(45)【発行日】2019年9月11日
(54)【発明の名称】坑内の管運搬装置および管接続方法
(51)【国際特許分類】
   B60P 3/00 20060101AFI20190902BHJP
   E21F 13/02 20060101ALI20190902BHJP
   B60P 1/52 20060101ALI20190902BHJP
   B62D 53/00 20060101ALI20190902BHJP
   F16L 1/00 20060101ALI20190902BHJP
【FI】
   B60P3/00 J
   E21F13/02
   B60P1/52 Z
   B62D53/00 B
   F16L1/00 L
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-10260(P2015-10260)
(22)【出願日】2015年1月22日
(65)【公開番号】特開2016-132431(P2016-132431A)
(43)【公開日】2016年7月25日
【審査請求日】2017年10月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000206211
【氏名又は名称】大成建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082418
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 朔生
(72)【発明者】
【氏名】丸山 修
(72)【発明者】
【氏名】足達 康軌
【審査官】 マキロイ 寛済
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−121832(JP,A)
【文献】 特開2008−018861(JP,A)
【文献】 実開昭62−157812(JP,U)
【文献】 実開昭61−9341(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60P 3/00
B60P 1/52
B62D 53/00
E21F 13/02
F16L 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
坑内に管体を運搬するための、管運搬装置であって、
自走可能な走行部と、
前記走行部の前方に連結し、管体を搭載可能な搭載部と、
前記搭載部の上面に設けて、搭載した管体を移動可能なローラーコンベアと、
を少なくとも備え、
前記ローラーコンベアは、前記搭載部の幅方向を回転軸とする1本の円柱状ローラを、前記搭載部の長さ方向にのみ数配してなる平坦な転がり面でもって前記管体を、前後移動、上下方向または左右方向への旋回、ならびに左右方向へのスライド移動を可能に構成することを特徴とする、
管運搬装置。
【請求項2】
前記走行部および搭載部の側面にガイド部を備えたことを特徴とする、請求項1に記載の管運搬装置。
【請求項3】
坑内の管体に新たな管体を接続する際の管接続方法であって、
請求項1または2に記載の管運搬装置によって、新たな管体を坑内の管体の近傍まで運搬し、
前記新たな管体を、前記ローラーコンベアを支点として上下方向または左右方向への旋回、ならびに前記ローラーコンベア上でのスライド移動、のうち少なくとも何れかの動作による位置合わせを行いながら運び出して、坑内の管体と接続することを特徴とする、管接続方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、坑内に管体を運搬するための管運搬装置、および該管運搬装置を用いて、管体を坑内で順次接続していく管接続方法に関する。
【背景技術】
【0002】
坑内で管体を順次運搬・接続していく工法として、非特許文献1に記載の方法がある。
非特許文献1に記載の工法は、新たな管体を内部から保持して運搬するカゴ形の運搬台車をバッテリーカーで押して坑内へと運搬し、接続先の管体の内部に前記運搬台車の先頭部分を乗り上げた状態から、新たな管体を接続先の管体に接続し、最後に運搬台車を引き出す工程を順次繰り返してなる。
この工法に用いる管運搬装置として、特許文献1に記載の管体搬送台車などがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−99352号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】http://www.lift-in.jp/02/index.html
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、これら従来の管接続方法や管運搬装置には、以下のような改善点または問題点が生ずる。
(1)管体の運搬・接続態様の観点
管体を内側から保持するカゴ形の運搬台車は、構造が複雑であり高価で、よりシンプルな構造で運搬・接続作業を実施する方が有益である。
(2)現場条件の観点
運搬台車が接続先の管体に乗り入れる必要があることから、運搬台車の大きさが接続先の管体の大きさに制限される。
よって、坑内の底盤高さと、管体の敷設高さへの対応に関する柔軟性に乏しい。
(3)人員数の観点
バッテリーカーの運転手と、運搬台車の先頭で舵を取る運転手とで、2名の作業員が必要である。よって作業員1名での運搬作業ができない。
(4)安全性の観点
坑内が曲がっていたり、坑幅が変化したりすると、走行時に作業員や管体が坑内の壁面に接触する場合がある。
特に、坑内が一定断面でない場合には、接触の可能性はより増すこととなる。
【0006】
よって、本発明は、前記した課題を解決することで、施工性の向上に寄与する坑内の管運搬装置および管接続方法を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決すべくなされた本願の第1発明は、坑内に管体を運搬するための、管運搬装置であって、自走可能な走行部と、前記走行部の前方に連結し、管体を搭載可能な搭載部と、前記搭載部の上面に設けて、搭載した管体を移動可能なローラーコンベアと、を少なくとも備え、前記ローラーコンベアは、前記搭載部の幅方向を回転軸とする1本の円柱状ローラを、前記搭載部の長さ方向に複数連続配置してなることを特徴とする。
また、本願の第2発明は、前記第1発明において、前記走行部および搭載部の側面にガイド部を備えたことを特徴とする。
また、本願の第3発明は、坑内の管体に新たな管体を接続する際の管接続方法であって、前記第1または第2発明に記載の管運搬装置によって、新たな管体を坑内の管体の近傍まで運搬し、前記新たな管体を、前記ローラーコンベアを支点として上下方向または左右方向への旋回、ならびに前記ローラーコンベア上でのスライド移動、のうち少なくとも何れかの動作による位置合わせを行いながら運び出して、坑内の管体と接続することを特徴とする。

【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、以下に記載する効果を奏する。
(1)シンプルな装置にて、管の運搬・接続作業を実施できる。
搭載部の上面にローラーコンベアを設けることで、新設管の搭載部上での移動が可能となり、既設管に対する新設管の位置決めや接続作業が効率よく実施できる。
従来のカゴ形運搬台車のような複雑で高価な装置を用いる必要が無いし、運搬台車を既設管の内部に乗り入れる必要も無くなる。
(2)現場条件の柔軟性に優れる。
運搬台車を既設管に乗り入れる必要が無いため、運搬台車の大きさが既設管の大きさに制限される事が無く、坑内の底盤高さと管体の敷設高さへの対応の柔軟性に優れる。
(3)作業員1名による運搬作業が可能となる。
走行部および搭載部の両側面にガイド部を設けることで、管運搬装置が、坑内に沿って走行するため、運搬台車側の舵取り用の作業員が不要となる。
(4)接触のリスクを低減することができる。
ガイド部を設けることで、作業員や管体が坑内の壁面に接触する恐れを低減することができる。
特に、運搬台車側の舵取り用作業員は、既設管の内部に乗り入れる必要があったため接触の危険性が高かったが、当該作業員を不要とできることから、当該危険性を排除することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明に係る管運搬装置の概略斜視図。
図2】ガイド部の機能を示す概略正面図。
図3】接続する管体の運び出し作業を示す概略側面図。
図4】接続する管体の位置合わせ作業を示す概略側面図(1)。
図5】接続する管体の位置合わせ作業を示す概略平面図(2)。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、各図面を参照しながら、本発明の実施例について説明する。
【実施例】
【0011】
本発明に係る管運搬装置は、坑内の既設管へ接続する新設管を運搬するための装置である。
本発明に係る管運搬装置は、新規な現場での配管作業や、既設管の補修のために既設管の内側に新たに管体を配管する作業において、管体の運搬に使用することができる。
よって、管体は、ガス管や水道管など、種々の用途の管が含まれる。
【0012】
図1に本発明に係る管運搬装置の概略斜視図を示す。
本発明に係る管運搬装置は、走行部10と、搭載部20と、ローラーコンベア30とを少なくとも具備して構成する。
以下、各構成要素の詳細について説明する。
【0013】
走行部10は、該走行部10と連結する搭載部20に搭載した管体Aを坑内に運搬するための装置である。
走行部10は、作業員による運転が可能なバッテリーカーなどの公知の走行車を用いれば良く、詳細な説明は省略する。
【0014】
搭載部20は、管体Aを搭載するための装置である。
搭載部20は、上面に管体Aを載置可能な載置面21を有する台車形状の装置とすることができる。
搭載部20の後方には走行部10が連結されており、走行部10の駆動によって前記搭載部20が押されて、坑内を走行することができる。
【0015】
ローラーコンベア30は、前記搭載部20に載せた管体Aを移動自在とするための部材である。
ローラーコンベア30は、搭載部20の先端側の一部に設けており、ローラーコンベア30の回転方向は、平面視して搭載部20の進行方向と略直角となるよう構成する。当該構成により管体Aをローラーコンベア上で前後方向に転がすことができる。
ローラーコンベア30の上面である転がり面31は、前記載置面21よりも高い位置にある状態とする。
このローラーコンベア30に少なくとも管体Aの一部が載った状態で、管体Aを運搬する。
【0016】
ガイド部40は、走行部10や搭載部20あるいは管体Aが坑内の壁面や底盤等からなる外表面に接触することを防止するための部材である。
ガイド部40は、走行部10および搭載部20の両側面から張り出すように設けた腕部41と、腕部41の先端に設けたローラ42とから構成することができる。ローラ42の回転軸は略鉛直方向とする。
腕部41は、張り出し長さを調整可能な構成としておくと好ましい。
ガイド部の設置位置や設置数は適宜決定すれば良い。
【0017】
次に図2および3を参照しながら、管運搬装置を用いた管接続方法について説明する。
(1)管の積み込み
まず、坑外で、管運搬装置の搭載部に管体Aを積み込む。
このとき、管体Aの一部が搭載部20の上面に設けてあるローラーコンベア30の上に載った状態としておく。
【0018】
(2)管体の運搬(図2
管運搬装置の走行部10に乗り込んだ作業員の運転により、坑内へと管運搬装置を走行させる。
このとき、管運搬装置を構成する走行部10や搭載部20が坑内の壁面や底盤等の外表面に接触しようとしても、ガイド部40によって管運搬装置の走行方向が案内されるため、走行部10や搭載部20、あるいは管体Aが坑内で接触することは無い。
【0019】
(3)管体の運び出しおよび接続(図3
管運搬装置が接続対象である坑内の管体(接続先の管体B)の近くで到着したあとは、搭載部20から管体Aを運びだす。
このとき、管体Aの先端部A1は、ローラーコンベア30に載った状態であるから、管体Aの後端部A2を作業員が持った状態から、管体Aを容易に移動することができる。
そして、搭載部20の載置面21は、管体Aの運び出しの際に、管体Aの後端部A2を持つ作業員の足場部分となる。
管体Aの先端部分Aが、接続先の管体Bの近傍に達した後は、管体Aに対し、必要に応じて以下に説明する位置調整を行ってから、接続先の管体Bに管体Aを接続する。なお、管体Aの位置調整が必要な際には、事前に、管体Aの中間部A3がローラーコンベア30に載った状態としてあることが好ましい。
【0020】
(3.1)管体の上下方向への位置調整(図4
接続先の管体Bに対し、管体Aの先端部A1を上下方向に位置合わせしたい場合には、管体Aのうち、ロードローラ30に載った管体Aの中間部3を支点(孔内の幅方向を回転軸)として、管体Aの後端部A2を持つ作業員によって、管体Aを上下方向に旋回移動させることができる。
【0021】
(3.2)管体の左右方向への位置調整(図5
接続先の管体Bに対し、管体Aの先端部分A1を左右方向(孔内の幅方向)に位置合わせしたい場合には、管体Aのうち、ロードローラ30に載った部分を支点(鉛直方向を回転軸)として、管体Aの後端部A2を持つ作業員によって、管体Aを鉛直軸回りに旋回移動させたり、或いはロードローラ30上で、管体Aを幅方向へとスライド移動させたりすることができる。
【符号の説明】
【0022】
10 走行部
20 搭載部
21 載置面
30 ローラーコンベア
31 転がり面
40 ガイド部
41 アーム
42 ローラ
A 管体
A1 先端部
A2 後端部
A3 中間部
B 接続先の管体
X 底盤
図1
図2
図3
図4
図5