特許第6574616号(P6574616)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6574616
(24)【登録日】2019年8月23日
(45)【発行日】2019年9月11日
(54)【発明の名称】車両用シートのスライド装置
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/07 20060101AFI20190902BHJP
   B60N 2/42 20060101ALI20190902BHJP
【FI】
   B60N2/07
   B60N2/42
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-113188(P2015-113188)
(22)【出願日】2015年6月3日
(65)【公開番号】特開2016-222198(P2016-222198A)
(43)【公開日】2016年12月28日
【審査請求日】2018年5月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】590001164
【氏名又は名称】シロキ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】特許業務法人 信栄特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野末 徳久
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 隆之
(72)【発明者】
【氏名】東 伸匡
【審査官】 須賀 仁美
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−005468(JP,A)
【文献】 特開平05−185867(JP,A)
【文献】 特開平11−278111(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/00 − 2/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロアレールと、
前記ロアレールに対して摺動可能となるように支持されると共に、シートに固定されるアッパレールと、
前記アッパレールに作用する所定の外力を前記ロアレールに伝える作用部を有し、前記アッパレールに固定されたブラケットと、を備えた車両用シートのスライド装置であって、
前記スライド装置の長手方向に直交する上下方向において前記作用部が前記ロアレールと重なるように配置され
前記スライド装置は、前記上下方向において前記ロアレールと重なるように配置されたロック装置をさらに備え、
前記ロック装置は、
ベースと、
前記ベースに回転可能に固定され、挿通部を有するフックと、
前記ベースに回転可能に固定され、前記フックと係合可能なポールと、
前記挿通部に挿通可能なストライカと、を備え、
前記フックと前記ポールが互いに係合した状態で、前記ストライカの前記挿通部からの離脱が前記フックと前記ベースにより妨げられ、
前記アッパレールに所定の外力が作用した状態で、前記ベースは前記作用部と接触する、車両用シートのスライド装置。
【請求項2】
前記スライド装置は、前記ベース及び前記ロアレールに固定されたライザをさらに備え、
前記フックは、前記スライド装置の長手方向及び上下方向に直交する幅方向において前記ベースと前記ライザとの間に配置される、請求項に記載のスライド装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用シートのスライド装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ロアレール及びアッパレールからなる車両用シートのスライド装置が知られている(例えば、特許文献1を参照)。特許文献1に開示されたスライド装置では、アッパレールは、車体のフロアに固定されたロアレールに対して摺動可能となるように構成されている。アッパレールには、フック取付用ブラケットを介して断面J形状のJフック部材が取付けられている。また、ロアレールにはJフック部材と当接するフランジ部を有する補強部材が取付けられている。このような構成により、アッパレールに上方向の外力が作用したとき、Jフック部材が補強部材のフランジ部に当接するため、当該外力の一部が補強部材に吸収される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−235788号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示されたスライド装置では、当該スライド装置の長手方向に直交する幅方向(左右方向)における寸法がJフック部材を設けることで大きくなってしまう。このように、車両用シート全体の幅方向における寸法が大きくなってしまう。
【0005】
本発明は、外力に対する信頼性を高くしたと共に、幅方向における寸法を小さくしやすい車両用シートのスライド装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面に係る車両用シートのスライド装置は、
ロアレールと、
前記ロアレールに対して摺動可能となるように支持されると共に、シートに固定されるアッパレールと、
前記アッパレールに作用する所定の外力を前記ロアレールに伝える作用部を有し、前記アッパレールに固定されたブラケットと、
を備え、
前記スライド装置の長手方向に直交する上下方向において前記作用部が前記ロアレールと重なるように配置される。
【0007】
上記構成によれば、ブラケットがアッパレールに固定されているため、アッパレールに作用する外力のうち一部がブラケットを介してロアレールに伝わると共に、残りの外力がブラケットを介さないでロアレールに伝わる。このように、外力はブラケットを通る経路とブラケットを通らない経路の2つの経路を介してロアレールに伝わるため、ロアレールの一部にのみ外力が集中して伝わることが防止される。さらに、上下方向においてブラケットの作用部がロアレールと重なるように配置されている。したがって、外力に対する信頼性を高くしたと共に、幅方向における寸法を小さくしやすい車両用シートのスライド装置が提供される。
【0008】
本発明の他の側面によれば、前記スライド装置は、前記上下方向において前記ロアレールと重なるように配置されたロック装置をさらに備え、
前記ロック装置は、
ベースと、
前記ベースに回転可能に固定され、挿通部を有するフックと、
前記ベースに回転可能に固定され、前記フックと係合可能なポールと、
前記挿通部に挿通可能なストライカと、を備え、
前記フックと前記ポールが互いに係合した状態で、前記ストライカの前記挿通部からの離脱が前記フックと前記ベースにより妨げられ、
前記アッパレールに所定の外力が作用した状態で、前記ベースは前記作用部と接触する。
【0009】
上記構成によれば、アッパレールに所定の外力が作用した状態で、ベースはブラケットの作用部と接触するため、アッパレールに作用する外力がロアレールだけでなく、作用部を介してベースに伝わる。ベースに伝わった外力は、フック及びストライカに伝わる。このように、アッパレールに作用する外力がロアレールとストライカに分散して伝わるので、外力に対する信頼性がさらに高い車両用シートのスライド装置が提供される。
【0010】
本発明の他の側面によれば、前記スライド装置は、前記ベース及び前記ロアレールに固定されたライザをさらに備え、
前記フックは、前記スライド装置の長手方向及び上下方向に直交する幅方向において前記ベースと前記ライザとの間に配置される。
【0011】
上記構成によれば、アッパレールに所定の外力が作用した状態で、外力の一部はブラケット及びベースを介してフックに伝わると共に、残りの外力はロアレール及びライザを介してフックに伝わる。さらに、フックは、幅方向においてベースとライザとの間に配置されている。従って、外力はフックの一方側に配置されたベースを通る経路とフックの他方側に配置されたライザを通る経路の2つの経路を介してフックに伝わるので、アッパレールに外力が作用してもフックが幅方向に対して傾かない。この結果、フックはストライカに線接触する。このように、所定の外力によりフックが傾いた状態でストライカに点接触することでストライカに局部的に大きな応力が与えられることが防止されるので、外力に対する信頼性がより高い車両用シートのスライド装置が提供される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、外力に対する信頼性を高くしたと共に、幅方向における寸法を小さくしやすい車両用シートのスライド装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態に係る車両用シートのスライド装置を示す全体斜視図である。
図2図1に示したスライド装置の左側面図である。
図3図2に示したスライド装置のA−A断面図であって、(a)は外力がアッパレールに作用していない場合のスライド装置の状態を示し、(b)は外力がアッパレールに作用した場合のスライド装置の状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しながら説明する。尚、本実施形態の説明において既に説明された部材と同一の参照番号を有する部材については、説明の便宜上、その説明は省略する。また、本図面に示された各部材の寸法は、説明の便宜上、実際の各部材の寸法とは異なる場合がある。
【0015】
また、本実施形態の説明では、説明の便宜上、「左右方向」、「前後方向」、「上下方向」について適宜言及する。これらの方向は、図1に示された車両用シートのスライド装置1(以下、単にスライド装置1と称する。)について設定された相対的な方向である。このため、図1に示されたスライド装置1が所定方向に回転した場合には、これらの方向も回転することに留意が必要である。ここで、「上下方向」は、「上方向」及び「下方向」を含む方向である。「前後方向」は、「前方向」及び「後方向」を含む方向である。「左右方向」は、「左方向」及び「右方向」を含む方向である。
【0016】
図1図3を参照して本発明の実施形態に係るスライド装置1の構成について説明する。図1は、本発明の実施形態に係るスライド装置1を示す全体斜視図である。図2は、図1に示したスライド装置1の左側面図である。図3は、図2に示したスライド装置1のA−A断面図である。
【0017】
スライド装置1は、車両内部に配置されたシートの下に設けられており、図1に示すように、アッパレール2と、ロアレール3と、ブラケット4と、ロック装置5と、ライザ6とを備える。アッパレール2は、図示しない車両用シートに固定されており、ロアレール3に対して前後方向に摺動可能となるように支持されている。特に、図3に示すように、アッパレール2とロアレール3との間には転動可能に配置される複数のボール7が設けられており、アッパレール2は当該複数のボール7を介してロアレール3に対して摺動可能となっている。また、アッパレール2は、図示しないロック機構によってロアレール3にロックされる。
【0018】
ブラケット4は、ピン等の固定手段8によってアッパレール2に固定されており、前後方向から視て略J字状に形成されている。図3に示すように、ブラケット4の端部(作用部)41は、前後方向(長手方向)に直交する上下方向において(又は、上下方向から視認して)ロアレール3と重なるように配置されており、特に、ロアレール3の直下に配置されている。
【0019】
ロック装置5は、スライド装置1の上下方向において(又は、上下方向から視認して)ロアレール3と重なるように配置されており、特に、ロアレール3の直下に配置されている(図3参照)。ロック装置5の構成について、図2を参照して以下に説明する。
【0020】
図2に示すように、ロック装置5は、ベース51と、フック52と、ポール53と、ストライカ54とを備える。フック52は、ピン等の固定手段10を介して回転可能にベース51に固定されており、係合凹部521と、挿通部522とを有する。ポール53は、ピン等の固定手段12を介して回転可能にベース51に固定されており、係合凸部531を有する。ポール53とフック52は互いに係合可能に構成されており、係合凸部531が係合凹部521に係合することで、両者は互いに係合される。また、フック52とポール53はそれぞれ図示しない付勢手段により互いに係合する方向に付勢されている。
【0021】
ストライカ54は円柱状に形成されており、車体のフロアに固定されている。ポール53とフック52が互いに係合された状態で、ストライカ54は、挿通部522に挿通されている。この状態では、ストライカ54の挿通部522からの離脱がフック52とベース51により妨げられる(つまり、ストライカ54がフック52によってロックされる)。一方、この状態でポール53が反時計回りに回転し、フック52とポール53が非係合になると、フック52が反時計回りに回転し、ストライカ54は挿通部522から離脱する(つまり、ストライカ54がアンロックされる)。ロック装置5の詳しい構成については、例えば、国際公開第2014/092134号を参照されたい。
【0022】
次に、ライザ6について説明する。図3に示すように、ライザ6はピン等の固定手段9を介してロアレール3に固定されると共に、固定手段10を介してベース51及びフック52に固定されている。また、ライザ6の上端部61は、上下方向においてベース51の被作用部512とロアレール3の底部33との間に配置されている。
【0023】
次に、図3を参照して上方向の外力Fがアッパレール2に作用した場合のスライド装置1の状態について説明する。図3(a)は、外力Fがアッパレール2に作用していない場合のスライド装置1の状態を示し、図3(b)は、外力Fがアッパレール2に作用した場合のスライド装置1の状態を示す。
【0024】
図3(a)に示すように、外力Fがアッパレール2に作用する前の状態では、ブラケット4の端部41とベース51の被作用部512の間及び被作用部512とライザ6の上端部61との間には空隙が形成される。一方、図3(b)に示すように、外力Fがアッパレール2に作用した状態では、端部41が被作用部512と接触すると共に、被作用部512が上端部61と接触する。このとき、端部41は、アッパレール2に作用する外力Fを、被作用部512と上端部61を介してロアレール3の底部33に伝える作用部として機能する。
【0025】
このように、本実施形態によれば、ブラケット4がアッパレール2に固定されているため、アッパレール2に作用する外力Fのうち一部がボール7を介してロアレール3の上部31,32に伝わると共に、残りの外力がブラケット4の端部41を介してロアレール3の底部33に伝わる。特に、外力Fは前述した2つの経路を介してロアレール3に伝わるため、ロアレール3の上部31,32に外力Fが集中して伝わることが防止される。さらに、上下方向においてブラケット4の端部41がロアレール3と重なるように配置されている。従って、外力に対する信頼性を高くしたと共に、幅方向(左右方向)における寸法を小さくしやすいスライド装置1を提供することができる。
【0026】
さらに、本実施形態によれば、アッパレール2に外力Fが作用した状態で、ベース51の被作用部512がブラケット4の端部41と接触するため、アッパレール2に作用する外力Fがロアレール3だけでなく、ベース51に伝わる。さらに、ベース51に伝わった外力F1が固定手段10を介してフック52に伝わった後、フック52の挿通部522の内壁面に接触するストライカ54に伝わる。このように、アッパレール2に作用する外力Fがロアレール3とストライカ54に分散して伝わるので、スライド装置1の外力に対する信頼性を高くすることができる。
【0027】
また、ベース51の被作用部512は、上下方向においてブラケット4の端部41とロアレール3の底部33との間(より具体的には、端部41と上端部61との間)に配置されている。このため、端部41が被作用部512と接触して、外力Fの一部が被作用部512に伝わった場合でも、被作用部512に伝わった外力Fの一部は上端部61を介してロアレール3の底部33に伝わるため、被作用部512の変形を防ぐことが可能となる。
【0028】
また、本実施形態によれば、アッパレール2に外力Fが作用した状態で、外力Fの一部(外力F1)はブラケット4及びベース51を介してフック52に伝わると共に、外力Fの残りの外力(外力F2)はロアレール3及びライザ6を介してフック52に伝わる。ここで、外力F1と外力F2は略等しくなり、外力F1と外力F2の合計が外力Fとなる。また、フック52は左右方向(幅方向)においてベース51とライザ6との間に配置されている。
【0029】
このように、外力はフック52の左側に配置されたベース51を通る経路1とフック52の右側に配置されたライザ6を通る経路2の2つの経路を介してフック52に伝わるため、アッパレール2に外力Fが作用した状態でフック52はストライカ54に線接触する。このため、フック52が左右方向に対して傾くことでストライカ54に点接触した結果、ストライカ54に局部的に大きな応力がかかることが防止される。特に、外力が経路1,2のうちいずれか一方のみの経路を介してフック52に伝わる場合には、フック52は左右方向に対して傾いた状態でストライカ54に接触するため、フック52とストライカ54との間の接触は点接触となる。一方、外力が経路1,2の両方の経路を介してフック52に伝わる場合には、フック52の左側に作用する外力F1とフック52の右側に作用する外力F2が略等しいため、フック52は左右方向に略平行な状態でストライカ54に接触する。この結果、フック52とストライカ54との間の接触は線接触となる。さらに、ベース51、フック52、ライザ6をそれぞれ固定する固定手段10にも局所的に大きな応力が生じることが防止される。このような構成により、スライド装置1の外力に対する信頼性を高くすることができる。
【0030】
以上、本発明の実施形態について説明をしたが、本発明の技術的範囲が本実施形態の説明によって限定的に解釈されるべきではないのは言うまでもない。本実施形態はあくまでも一例であって、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内において、様々な実施形態の変更が可能であることが当業者によって理解される。このように、本発明の技術的範囲は特許請求の範囲に記載された発明の範囲及びその均等の範囲に基づいて定められるべきである。
【0031】
本実施形態の説明では、ブラケット4の端部41がアッパレール2に作用する外力をロアレール3に伝える作用部として機能しているが、本発明の実施形態はこれには限定されない。例えば、ベース51の被作用部512と接触するブラケット4の所定部分(端部41を除く)がブラケット4の作用部として機能してもよい。
【0032】
また、ライザ6は固定手段10によってフック52及びベース51に固定されているが、本発明の実施形態はこれには限定されない。例えば、ライザ6は、別の固定手段を介してベース51に固定される一方、フック52に固定されなくてもよい。この場合、ベース51はフック52と固定手段を介して固定される。
【0033】
また、ストライカ54は車体のフロアに固定されているが、本発明の実施形態はこれには限定されない。例えば、ストライカ54は車体フロアではなくライザ6に固定されていてもよい。
【0034】
また、ベース51の被作用部512は、上下方向においてブラケット4の端部41とライザ6の上端部61との間に配置されているが、本発明の実施形態はこれには限定されない。例えば、上端部61が左右方向において被作用部512まで延出しないと共に、被作用部512は上下方向において端部41とロアレール3の底部33との間に配置されてもよい。
【符号の説明】
【0035】
1:スライド装置
2:アッパレール
3:ロアレール
4:ブラケット
5:ロック装置
6:ライザ
7:ボール
8,9,10,12:固定手段
31,32:上部
33:底部
41:端部(作用部)
51:ベース
52:フック
53:ポール
54:ストライカ
61:上端部
512:被作用部
521:係合凹部
522:挿通部
531:係合凸部

図1
図2
図3