(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記空気吹付機構は、前記空気圧縮部材に接続され、圧縮された空気を送るチューブと、該チューブの先端に接続され、該チューブにより送られた圧縮された空気を前記アークに対して吹き付けるノズルとを備えていることを特徴とする請求項4に記載の回路遮断器。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態に係る回路遮断器は、
図1乃至
図4に示されており、回路遮断器1は、消弧室2と、操作機構部3とを備えている。
消弧室2内には、
図2に示すように、電源側端子(図示せず)に接続された固定接触子10と、負荷側端子(図示せず)に接続された可動接触子20と、電源側端子に接続された第1アークランナ(導体)31と、負荷側端子に接続された第2アークランナ(導体)32と、第1アークランナ31と第2アークランナ32との間に配置された複数の消弧板41で構成される消弧装置40とが設けられている。
【0011】
固定接触子10は、
図3(A),(B)に示すように、後面(
図3(A)における右面)に固定接点11を備えている。
可動接触子20は、固定接点11に接触する可動接点21を有し、可動接点21が固定接点11に接触する
図3(A)に示す閉極位置と可動接点21が固定接点11から離間する開極位置との間を動作する。つまり、可動接触子20は、固定接触子10の後側に配置され、
図3(A)に示す閉極位置と開極位置との間を動作するようになっている。ここで、「開極位置」は、可動接触子20が
図3(B)に示す開極途中位置から更に後方に移動し、図示しないストッパに衝突する位置である。
【0012】
そして、可動接触子20は、
図3(A)及び
図4(A)に示すように、固定接触子10に対向する前面20a、前面20aと反対側の後面20b、上面20c、下面20d、右側面20e及び左側面20fを有する略直方体形状に形成されている。可動接点21は、固定接触子10に対向する前面20aに配置されている。
また、回路遮断器1は、
図3(A),(B)及び
図4(A),(B)に示すように、可動接触子20が閉極位置から開極途中位置を経て開極位置に動作する際に可動接触子20の動作に合わせて空気を圧縮する空気圧縮機構50を備えている。
【0013】
この空気圧縮機構50は、隔壁部材51と、上側後方延出板部22と、下側後方延出板部23とで構成されている。
隔壁部材51は、可動接触子20の後側に配置されるとともに、可動接触子20を含む可動部以外の場所(例えば、図示していない第2アークランナ32を支持する部材(絶縁フレーム)など)に固定されるものであり、可動接触子20が閉極位置から開極位置へ移動する際に可動接触子20の後面20bとの間で空間Eを形成するとともにその空間Eの後側を塞ぐ後板部52と、後板部52の左右幅方向両端から前方に延び、空間Eの右側及び左側を塞ぐ右側板部53及び左側板部54とを備えている。可動接触子20の右側面20eは、右側板部53の内側を、可動接触子20の左側面20fは、左側板部54の内側を摺動する。
【0014】
また、上側後方延出板部22は、
図3(A)及び
図4(A)に示すように、可動接触子20の後面20bの上端部に後面20bから後方かつ可動接触子20の左右幅方向に延び、空間Eの上側を塞ぐ。
更に、下側後方延出板部23は、可動接触子20の後面20bの下端部に後面20bから後方かつ可動接触子20の左右幅方向に延び、空間Eの下側を塞ぐようになっている。
また、回路遮断器1は、空気圧縮機構50により圧縮された空気を、
図3(B)に示すように、可動接触子20が閉極位置から開極途中位置を経て開極位置に動作する際に発生するアークAに吹き付け、アークAを消弧装置40に向けて移動させる空気吹付機構60を備えている。この空気吹付機構60は、可動接触子20の可動接点21よりも下方側において、可動接触子20の後面20bから前面20aに至るまで延びる流路で構成され、後面20bから前方に向けて延びる第1流路部60aと、第1流路部60aの前端から斜め上方に傾斜して延びて可動接触子20の前面20aに至る第2流路部60bとを備えている。第2流路部60bの第1流路部60aに対する傾斜角は、第2流路部60bから流出する空気が、固定接点11と可動接点21との間に発生するアークAの前後方向の中心に向くような傾斜角に設定されている。但し、第2流路部60bの第1流路部60aに対する傾斜角は、この傾斜角に限定されるものではなく、第2流路部60bから流出する空気によってアークAが消弧装置40に向けて移動することができれば、任意の傾斜角であってよい。
【0015】
次に、第1アークランナ31は、固定接触子10の前方斜め上方に配置され、可動接触子20が閉極位置から開極途中位置を経て開極位置に動作する際に発生するアークAを転流させて消弧装置40の近傍までアークAを移動させる。一方、第2アークランナ32は、可動接触子20の後方斜め上方に配置され、可動接触子20が閉極位置から開極途中位置を経て開極位置に動作する際に発生するアークAを転流させて消弧装置40の近傍までアークAを移動させる。
【0016】
また、消弧装置40は、第1アークランナ31及び第2アークランナ32間に配置された複数の消弧板41で構成され、消弧装置40に導かれたアークAが複数の消弧板41によって分断され、消弧される。
次に、操作機構部3は、異常電流を検出した際あるいは図示しない手動操作ハンドルによって遮断操作がなされたときに、可動接触子20を閉極位置から開極位置に動作させるように構成されている。
【0017】
このように構成された回路遮断器1におけるアークAの消弧作用について、
図3(A),(B)及び参考例である
図7(A),(B)を参照して説明する。
図7(A)、(B)は、参考例に係る回路遮断器の固定接触子及び可動接触子を模式的に示し、(A)は可動接触子が閉極位置にある状態、(B)は可動接触子が開極途中位置にある状態を示している。
図7(A),(B)おいて、
図3(A),(B)における部材と同一の部材については同一の符号を付し、その説明を省略することがある。
【0018】
図7(A),(B)に示す回路遮断器においては、
図3(A),(B)に示す第1実施形態の回路遮断器と異なり、空気圧縮機構50及び空気吹付機構60が備えられていない。
先ず、
図7(A),(B)に示す参考例に係る回路遮断器の場合、負荷電流通電時には、
図7(A)に示すように、可動接触子20は閉極位置にあって可動接点21が固定接点11に接触している。
【0019】
そして、
図7(B)に示すように、操作機構部3により可動接触子20が開極位置に向けて移動すると、固定接点11と可動接点21との間にはアークAが発生する。このとき、アークAには上方、つまり消弧装置40側に向けてローレンツ力が作用し、消弧装置40の方向にアークAが駆動される。この際、第1アークランナ31及び第2アークランナ32にアークAは転流し、第1アークランナ31及び第2アークランナ32によって消弧装置40の近傍にまでアークAは移動する。その後、ローレンツ力によってアークAが更に上方に駆動されることにより、アークAが消弧装置40に導かれて分断し、消弧される。そして、電源端子側と負荷端子側とが遮断される。
【0020】
ここで、ローレンツ力は、アークAと固定接触子10及び可動接触子20間に通電する電流によって発生するため、遮断時の電流が小さいと、ローレンツ力も減少する。例えば、100A以下の小電流領域では、ローレンツ力が十分ではないため、アークAを可動接点21及び固定接点11から消弧装置40側に向けて駆動させることが困難になる。
これに対して、第1実施形態に係る回路遮断器1の場合、負荷電流通電時には、
図3(A)に示すように、可動接触子20は閉極位置にあって可動接点21が固定接点11に接触している。
【0021】
そして、
図3(B)に示すように、操作機構部3により可動接触子20が開極位置に向けて移動すると、固定接点11と可動接点21との間にはアークAが発生する。このとき、可動接触子20が後方に移動することによって可動接触子20の後面20bと隔壁部材51の後板部52との間の空間Eが狭まり、当該空間E内の空気が圧縮される。そして、その圧縮された空気は、空気吹付機構60を構成する第1流路部60a及び第2流路部60bを介してアークAの前後方向の中心に向けて吹付けられる。これにより、アークAは、消弧装置40に向けて移動させられる。この際、第1アークランナ31及び第2アークランナ32にアークAは転流し、第1アークランナ31及び第2アークランナ32によって消弧装置40の近傍にまでアークAは移動する。その後、空気の吹付け力によってアークAが更に消弧装置40に向けて駆動されることにより、アークAが消弧装置40に導かれて分断し、消弧される。そして、電源端子側と負荷端子側とが遮断される。
【0022】
このため、第1実施形態に係る回路遮断器1によれば、固定接触子10及び可動接触子20間に通電する電流が小電流の場合でローレンツ力が小さい場合であっても、アークAを可動接点21及び固定接点11から消弧装置40に向けて駆動させることを容易に行うことができ、適切にアークAを消弧することができる。そして、小電流の場合には、アーク熱の発生は少ないが、その場合でも、適切にアークを消弧し、電流を適切に遮断することができる。
【0023】
なお、
図7(A),(B)に示す参考例に係る回路遮断器のように、固定接触子10及び可動接触子20間に通電する電流が小電流の場合でローレンツ力が小さい場合には、一般に、固定接触子10及び可動接触子20の近傍に磁性体を配置したり、あるいは磁石を配置することによりローレンツ力を増加させる方式をとったり、アークに吹き付ける空気を圧縮するためのシリンダーを別途設け、ここから導かれた圧縮空気をアークに吹き付けるためのノズルを配置することにより、アークに圧縮空気を吹き付けて強制的にアークを駆動させる方式が採られている。しかし、これら方式では、部品点数の増加を招き構造が複雑となる問題がある。
【0024】
これに対して、第1実施形態に係る回路遮断器1の場合には、空気圧縮機構50は、可動接触子20が閉極位置から開極位置に動作する際に可動接触子20の動作に合わせて空気を圧縮するので、空気を圧縮するための専用シリンダーなどが不要となる。
そして、空気圧縮機構50は、可動接触子20の後側に配置され、可動接触子20が閉極位置から開極位置に移動する際に可動接触子20の後面20bとの間で空間Eを形成するとともにその空間Eの後側を塞ぐ後板部52、後板部52の左右幅方向両端から前方に延び、空間Eの右側及び左側を塞ぐ右側板部53及び左側板部54を有する隔壁部材51と、可動接触子20の後面20bの上端部に後面20bから後方かつ可動接触子20の左右幅方向に延びるとともに、空間Eの上側を塞ぐ上側後方延出板部22と、可動接触子20の後面20bの下端部に後面20bから後方かつ可動接触子20の左右幅方向に延びるとともに、空間Eの下側を塞ぐ下側後方延出板部23とで構成されており、空気を圧縮するために、隔壁部材51を設け、可動接触子20の形状を変更するだけで足り、シリンダーなどの複雑な装置を設ける必要がない。
【0025】
また、第1実施形態に係る回路遮断器1の場合には、空気吹付機構60は、可動接触子20の後面20bから前面20aに至るまで延びる流路で構成されているので、かかる流路を可動接触子20に形成するだけでよい。
このため、第1実施形態に係る回路遮断器1によれば、部品点数の増加を招き構造が複雑となる問題を回避することができる。
【0026】
次に、第1実施形態に係る回路遮断器1に適用される空気吹付機構60の変形例について
図5を参照して説明する。
図5は、空気吹付機構60の変形例を示す図であり、可動接触子が開極位置にある状態を示している。
図3(A),(B)に示す空気吹付機構60を構成する流路が1ヶ所であるのに対し、
図5に示す空気吹付機構60を構成する流路は、第1流路61と第2流路62との2ヵ所である点で相違している。
【0027】
図5に示す可動接触子20は、前面20aの下方部に前方突出部24を形成し、第1流路61は、可動接触子20の後面20bから前方突出部24の前面に至るまで延び、後面20bから前方に向けて延びる第1流路部61aと、第1流路部61aの前端から斜め上方に傾斜して延びて前方突出部24の前面に至る第2流路部61bとを備えている。第2流路部61bの第1流路部61aに対する傾斜角は、第2流路部61bから流出する空気が、固定接点11と可動接点21との間に発生するアークAの固定接点11側端部に向くような傾斜角に設定されている。固定接触子10の後面には、可動接触子20が閉極位置にあるときに、前方突出部24が入り込む切欠12が形成されている。
【0028】
また、第2流路62は、可動接触子20の後面20bから前面20aに至るまで延びている。第2流路62は、第2流路62から流出する空気が前方突出部24に形成された突出壁24aに衝突してアークAの可動接点21側端部に向くように形成されている。
このように、空気吹付機構60を構成する流路は、第1流路61と第2流路62との2ヵ所とすることにより、空気をアークAの中心場所以外にも吹付けることができ、さらに効果的にアークAを駆動させることができる。
【0029】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態に係る回路遮断器は、基本構成は、
図1に示す第1実施形態の回路遮断器1と同様であり、第2実施形態に係る回路遮断器1は、消弧室2と、操作機構部3とを備えている。
消弧室2内には、
図6(A),(B)に示すように、電源側端子(図示せず)に接続された固定接触子10と、負荷側端子(図示せず)に接続された可動接触子20と、電源側端子に接続された第1アークランナ(導体)31と、負荷側端子に接続された第2アークランナ(導体)32と、第1アークランナ31と第2アークランナ32との間に配置された複数の消弧板41で構成される消弧装置40とが設けられている。
【0030】
固定接触子10は、後面(
図6(A)における右面)に固定接点11を備えている。
可動接触子20は、固定接点11に接触する可動接点21を有し、可動接点21が固定接点11に接触する
図6(A)に示す閉極位置と可動接点21が固定接点11から離間する閉極位置との間を動作する。つまり、可動接触子20は、固定接触子10の後側に配置され、
図6(A)示す閉極位置と開極位置との間を動作するようになっている。ここで、「開極位置」は、可動接触子20が
図6(B)に示す開極途中位置から更に後方に移動し、図示しないストッパに衝突する位置である。
【0031】
そして、可動接触子20は、固定接触子10に対向する前面20a、前面20aと反対側の後面20b、上面20c、下面20d、右側面20e及び左側面(図示せず)を有する略直方体形状に形成されている。可動接点21は、固定接触子10に対向する前面20aに配置されている。
また、回路遮断器1は、
図6(A),(B)に示すように、可動接触子20が閉極位置から開極位置に動作する際に可動接触子20の動作に合わせて空気を圧縮する空気圧縮機構50を備えている。
【0032】
この空気圧縮機構50は、第1実施形態の回路遮断器1に適用される空気圧縮機構50と異なる構成で構成され、例えば、ベローズ等の空気圧縮部材55で構成されている。
この空気圧縮部材55は、可動接触子20の後側に配置されるとともに、図示していない回路遮断器1の本体部(例えば、第2アークランナ32を支持する絶縁フレーム)に固定され、可動接触子20が閉極位置から開極位置に動作する際に可動接触子20の後面20bが衝突することにより変形し、これにより内容積が縮小することによって内部の空気を圧縮するものである。
【0033】
ここで、
図6(A)に示す空気圧縮部材55と閉極位置にある可動接触子20の後面20bとの間の隙間dは、可動接触子20を減速させるタイミングと、空気吹付けを開始するタイミングとにより決定する。
この第2実施形態の空気圧縮機構50においては、可動接触子20の後面20bが空気圧縮部材55に衝突する位置B(前記隙間d)が、可動接触子20が閉極位置から開極位置に動作する動作範囲(
図6(A)における距離W)のうち、中間位置C(
図6(A)における距離W/2)よりも後方(隙間dが距離W/2よりも大きい)になっている。
【0034】
また、回路遮断器1は、空気圧縮機構50により圧縮された空気を、
図6(B)に示すように、可動接触子20が閉極位置から開極途中位置を経て開極位置に動作する際に発生するアークAに吹き付け、アークAを消弧装置40に向けて移動させる空気吹付機構60を備えている。
この空気吹付機構60は、第1実施形態の回路遮断器1に適用される空気吹付機構60と異なる構成で構成される。空気吹付機構は、空気圧縮部材55に接続され、圧縮された空気を送るチューブ63と、チューブ63の先端に接続され、チューブ63により送られた圧縮された空気をアークAに対して吹き付けるノズル64とを備えている。
なお、第2実施形態の回路遮断器1における第1アークランナ31、第2アークランナ32、消弧装置40及び操作機構部3の構成及び動作は、第1実施形態の回路遮断器1における第1アークランナ31、第2アークランナ32、消弧装置40及び操作機構部3の構成及び動作と同様であるため、その説明は省略する。
【0035】
このように構成された第2実施形態の回路遮断器1におけるアークAの消弧作用について、
図6(A),(B)を参照して説明する。
第2実施形態に係る回路遮断器1の場合、負荷電流通電時には、
図6(A)に示すように、可動接触子20は閉極位置にあって可動接点21が固定接点11に接触している。
そして、
図6(B)に示すように、操作機構部3により可動接触子20が開極位置に向けて移動すると、固定接点11と可動接点21との間にはアークAが発生する。このとき、可動接触子20の後面20bが空気圧縮部材55の前面に衝突し、更に可動接触子20の後方への移動によって空気圧縮部材55が収縮し、空気圧縮部材55の内容積が縮小する。これにより、空気圧縮部材55内の空気が圧縮され、その圧縮された空気がチューブ63を通ってノズル64からアークAに向けて吹付けられる。これにより、アークAは、消弧装置40に向けて移動させられる。この際、第1アークランナ31及び第2アークランナ32にアークAは転流し、第1アークランナ31及び第2アークランナ32によって消弧装置40の近傍にまでアークAは移動する。その後、空気の吹付け力によってアークAが更に消弧装置40に向けて駆動されることにより、アークAが消弧装置40に導かれて分断し、消弧される。そして、電源端子側と負荷端子側とが遮断される。
【0036】
このため、第2実施形態に係る回路遮断器1によれば、固定接触子10及び可動接触子20間に通電する電流が小電流の場合でローレンツ力が小さい場合であっても、アークAを可動接点21及び固定接点11から消弧装置40に向けて駆動させることを容易に行うことができ、適切にアークAを消弧することができる。そして、小電流の場合には、アーク熱の発生は少ないが、その場合でも、適切にアークを消弧し、電流を適切に遮断することができる。
【0037】
また、第2実施形態の空気圧縮機構50においては、可動接触子20の後面20bが空気圧縮部材55の前面に衝突した直後より、空気圧縮部材55の収縮に対する反力が可動接触子20に作用する。このため、可動接触子20は減速を開始する。これにより、可動接触子20が開極位置(可動接触子20が
図6(B)に示す開極途中位置から更に後方に移動し、図示しないストッパに衝突する位置)に到達した際の速度は低速になるため、ストッパへの衝突等による衝撃を緩和し、これに起因する不具合を回避することができる。
【0038】
なお、一般に、電流の遮断動作に伴って変位する可動接触子20は、開極動作範囲の前半では開極速度が加速され速やかにアークAを引き延ばす必要があるが、開極動作範囲の後半では減速装置により開極速度を減速させて開極位置(可動接触子20が
図6(B)に示す開極途中位置から更に後方に移動し、図示しないストッパに衝突する位置)で停止させる。このため、減速装置としてショックアブソーバなどが用いられるのが一般的である。
【0039】
これに対して、第2実施形態の回路遮断器1の場合、空気圧縮機構50を、可動接触子20が閉極位置から開極位置に動作する際に可動接触子20の後面20bが衝突することにより変形し、これにより内容積が縮小することによって内部の空気を圧縮する空気圧縮部材55で構成しているため、空気圧縮部材55が減速装置としてショックアブソーバの機能をも果たすことができ、当該減速装置を別途設ける必要がない。このため、部品点数の増加を極力抑えることができる。
【0040】
また、第2実施形態の空気圧縮機構50においては、可動接触子20の後面20bが空気圧縮部材55に衝突する位置B(前記隙間d)が、可動接触子20が閉極位置から開極位置に動作する動作範囲(
図6(A)における距離W)のうち、中間位置C(
図6(A)における距離W/2)よりも後方(隙間dが距離W/2よりも大きい)になっている。このため、空気圧縮部材55を用いて空気圧縮機能と可動接触子20の減速機能とを兼用させるに際して、開極動作範囲の後半で空気圧縮部材55により可動接触子20の開極速度を減速させることができる。
【0041】
以上、本発明の第1及び第2実施形態について説明してきたが、本発明はこれに限定されずに種々の変更、改良を行うことができる。
例えば、空気圧縮機構50は、可動接触子20が閉極位置から開極位置に動作する際に可動接触子の動作に合わせて空気を圧縮するものであれば、隔壁部材51や空気圧縮部材55に限定されるものではない。
【0042】
また、空気吹付機構60は、空気圧縮機構50により圧縮された空気をアークAに対して吹き付け、アークAを消弧装置40に向けて移動させるものであれば、可動接触子20に形成された流路で構成する場合や、チューブ63とノズル64とで構成する場合に限られない。
また、第1実施形態の回路遮断器1において、空気吹付機構60は、可動接触子20の後面20bから前方に向けて延びる第1流路部60aと、第1流路部60aの前端から斜め上方に傾斜して延びて可動接触子20の前面20aに至る第2流路部60bとで構成してあるが、可動接触子20の後面20bから前面20aに至るまで延びる流路で構成されていれば、第1流路部60aと第2流路部60bとで構成する必要は必ずしもない。
【0043】
また、第1実施形態の回路遮断器1における
図5に示す変形例において、空気吹付機構60を構成する流路は、第1流路61と第2流路62との2ヵ所としてあるが、3か所以上としてもよい。