(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記上部シート部の左右方向中央の上端部に第2スリット部を有すると共に、前記上部シート部の前記首通し部と左右方向の両側の位置のそれぞれの上端部に第3スリット部を有することを特徴とする請求項1記載のエプロン。
前記第1スリット部の下側の縁部が前記腰紐部の前記付け根部の上側の縁部と一致し、当該縁部を前記首通し部方向に延ばした方向は当該首通し部の左右方向端部にほぼ一致することを特徴とする請求項1〜5の何れか一項記載のエプロン。
【背景技術】
【0002】
医療用のエプロンとして特許文献1記載の使い捨てエプロンが知られている。医療用のエプロンは、緊急搬送された出血を伴う患者の処置、嘔吐物を伴うような患者の処置等の際に使用されるものであり、患者と医療従事者間、患者相互間で生じる感染の防止を目的としたものである。そのため、迅速な着用と脱ぎ棄てができることと、身体を十分に覆うことができる形状であることが必要となっている。
【0003】
また、特許文献1記載の使い捨てエプロンは、胸から下の前面部を広く覆う「前掛け面」と当該「前掛け面」に筒状の袖部を融着した割烹着形状に形成されたものであり、頭部を挿通させる長円形の「首挿通用孔」が設けられたものであり、体の前面を広く覆うように形成されているが、一方において「首挿通用孔」が単なる長円形であるとともに、「首挿通用孔」の前縁部分が比較的前方よりの位置に設けられたものとなっているので、首部分に生じる隙間が大きく、出血や嘔吐物が侵入する可能性が高くなり、汚染されるリスクが増大するという問題がある。
【0004】
そこで、特許文献2には、身体の前面部を覆う前面シートと、当該前面シートの上端縁から後方に向かって垂下する背面部を有し、前記上端縁より背面部側に首通し孔を設けたエプロンが提案されている。
【0005】
しかしながら、特許文献2のエプロンは、合成樹脂シートを切断、折り曲げ、溶着して製造するので、製造コストがかかるという問題がある。
【0006】
また、特許文献3には、防水性のシートを切断して製作したエプロンにおいて、上下方向中央部の左右にそれぞれ腰紐部を形成し、左右の腰紐部位置の下側の部分を前垂れ部にし、着用者が腰に左右の腰紐部を巻き付けて結ぶと、前垂れ部が着用者の前側に垂れ下って着用者の腹部と脚部前面を覆う構成にし、また、左右の腰紐部位置の直上の部分を胸当て部にし、胸当て部の上側の部分をケープ状部にし、ケープ状部に切抜孔又は切れ目によって首通し部と腕通し部を形成し、首通し部を左右方向中央位置に、腕通し部を左側位置と右側位置にそれぞれ配置し、着用者が首を首通し部に、左右の腕を左右の腕通し部に通すと、ケープ状部が着用者の左右の肩部と腕部に被さり、胸当て部が着用者の胸部を覆う構成にしているエプロンが提案されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献3のエプロンは、ケープ状部に切抜孔又は切れ目によって首通し部と腕通し部を形成し、首通し部を左右方向中央位置に、腕通し部を左側位置と右側位置にそれぞれ配置し、着用者が首を首通し部に、左右の腕を左右の腕通し部に通すと、ケープ状部が着用者の左右の肩部と腕部に被さり、胸当て部が着用者の胸部を覆う構成にしているので、溶着を行うことなく、切断だけで製造できるが、平面上のシートを切断しただけで腕と体を覆うエプロンとしているので、胸の前でフィルムがたるんでフィットしない部分が存在してしまい、屈んで作業する際などに邪魔になり、また、腕の動きが阻害される感じが出や易いという問題がある。
【0009】
本発明は、上記従来技術に鑑み、フィルムの切断だけで製造でき、たるみがなく体にフィットして着用でき、腕の動きも阻害されないエプロンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成する本発明の態様は、1枚のシートを切断して形成したエプロンであって、身体の両肩から首回りを覆う上部シート部と、胸から腰を覆う前面シート部と、前記前面シート部の上端部の両側に設けられた腰紐部とを具備し、前記上部シート部と前記前面シート部との間の左右方向両側に、略三角形形状に切り込まれた第1スリット部が形成され、前記上部シート部には、中央部に開口又は切れ目からなる首通し部が形成され、左右両側に開口又は切れ目からなる腕通し部が形成され、前記腕通し部の上下方向中央の位置は前記首通し部の上下方向中央の位置とほぼ一致し、前記腕通し部の左右方向の位置は前記第1スリット部の左右方向中央部側の位置より外側に位置し、前記腰紐部の前記前面シート部との境界から伸びる付け根部の延設方向が、当該付け根部と前記首通し部とを結ぶ方向とほぼ一致する、ことを特徴とするエプロンにある。
【0011】
かかる態様のエプロンによれば、上部シート部と前面シート部との間の左右方向両側に、略三角形形状に切り込まれた第1スリット部が形成され、上部シート部に形成された腕通し部の上下方向中央の位置が首通し部の上下方向中央の位置とほぼ一致し、腰紐部の前面シート部との境界から伸びる付け根部の延設方向が、当該付け根部と前記首通し部とを結ぶ方向とほぼ一致するようにしたので、首と腕を通した際に、前面シート部の左右方向中央部が首で後ろ方向に引っ張られると共に左右方向両側が腰紐部により斜め下且つ後方向に引っ張られるので、肩前部及び胸の前部のシートのたるみがたすき掛け効果によりさばかれ、スマートなたるみのない着用姿となる。
【0012】
ここで、前記上部シート部の左右方向中央の上端部に第2スリット部を有すると共に、前記上部シート部の前記首通し部と左右方向の両側の位置のそれぞれの上端部に第3スリット部を有することが好ましい。
【0013】
これによれば、身体の後にたれるシートのばたつきが低減される。
【0014】
前記首通し部が、左右方向に長い形状であり、前記腕通し部が上下方向に長い形状であることが好ましい。
【0015】
これによれば、上述したたすき掛けの効果がより有効に発揮される。
【0016】
また、前記腕通し部が上下方向に長い形状であり、下側ほど左右方向中央部に傾斜して設けられていることが好ましい。
【0017】
これによれば、前記第3スリット部の効果と相俟って身体の後にたれるシートのばたつきがより効果的に低減される。
【0018】
また、前記首通し部は、下向きの三日月形状の両側に切り込みを有する形状であることが好ましい。
【0019】
これによれば、首の前に隙間ができにくく、また、上述したたすき掛け効果がより有効に発揮される。
【0020】
また、前記第1スリットの下側の縁部が前記腰紐部の前記付け根部の上側の縁部と一致し、当該縁部を前記首通し部方向に延ばした方向は当該首通し部の左右方向端部にほぼ一致することが好ましい。
【0021】
これによれば、上述したたすき掛け効果がより有効に発揮される。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態を図面に基づき詳細に説明する。
【0024】
図1は本発明の実施形態に係るエプロンの平面図である。
【0025】
図1に示すように、本実施形態に係るエプロン1は、一例として一枚の合成樹脂製(例えば、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、不織布等)の薄肉シートによって形成されており、図示の形状に裁断(型抜き)することで形成したものである。この形成方法についてさらに説明すると、このエプロン1は、左右方向中央の線を中心にして左右対称な形状となっているので、まず前記合成樹脂製の薄肉シートをある位置を中心にして2つに折りたたみ、さらに同様の手順で薄肉シートを複数枚重ね、これらの薄肉シートを専用の打抜き型で型抜きして不要な部分を切り落とす。残った薄肉シートをそれぞれ1枚に展開することで、
図1のような形状のエプロン1を一度に複数枚得ることができる。なお、必ずしも2つ折りにして打ち抜く必要はなく、その場合には、必ずしも左右対称の形状とする必要はないことはいうまでもない。
【0026】
また、代表的なフィルム成形方法としては、インフレーション成形とTダイ法の2種類があり、インフレーション成形では、押出機から押し出されたチューブがまだ軟らかいうちに、口金から吹き込んだ空気でふくらませ、薄いフィルム(薄肉シート)を作り、チューブに平行に切れ目が入るようカッターで切れ目を入れながら巻き取り、2つ折りのフィルムを形成し、2つ折りのフィルムを複数枚重ねて打ち抜く。また、Tダイ法では、直線状の隙間(ダイ)から押し出されたフィルム(薄肉シート)を巻き取りフィルムを形成し、フィルムを複数枚重ねてそのまま打ち抜くか、フィルムを折り畳み複数枚重ねて打ち抜く。
【0027】
エプロン1は、上部シート部2と、前面シート部3と、前面シート部3の上端部の左右両側に設けられた腰紐部4とを具備し、上部シート部2と前面シート部3との間の左右両側には、略三角形形状に切り込まれた第1スリット部5が形成されている。
【0028】
第1スリット部5は、上部シート部2の左右両側の下側縁部2aと、前面シート部3の上端部に設けられた腰紐部4の付け根部4aの上側縁部4bとによって画成されている。下側縁部2aは左右方向外側から内側に向かい、内側ほど下に向かって傾斜し、一方、上側縁部4bは左右方向外側から内側に向かい、内側ほど上に向かって傾斜し、両者は第1スリット部5の内側で交わっており、これにより、第1スリット部5は三角形形状となる。
【0029】
上部シート部2の上下方向及び左右方向のほぼ中央部には、首通し部6、首通し部6の左右方向両側には、腕通し部7が形成されている。
【0030】
上部シート部2の形状は、首通し部6に首を通し、腕通し部7に上を通した際に、肩から上腕部を覆うものとなっている。
【0031】
また、前面シート部3は、身体の前面から側面を覆う大きさで長さは膝程度までとなっているが、長さは特に限定されない。これら上部シート部2と前面シート部3により、半袖エプロン形状となっている。
【0032】
何れにしても、前面シート部3は、首元から胸部、腹部、ひざ付近までを覆う広い面積を有したシート部であり、医療従事者と患者との直接的または間接的な接触を防止して相互間で発生する感染病(ウィルス感染や血液感染によるもの)を予防するものである。特に、救急患者の処置時に生じる嘔吐(または咳、くしゃみ)、汚物や、飛散する血液との接触を防止するために重要な役割を果たすものである。当該エプロン1は使い捨てとすることが好ましいが、やむを得ず再利用する場合には、洗浄・滅菌処理を行うことが必要となる。
【0033】
ここで、首通し部6は、下向きの三日月形状の開口6aと、この開口6aの両側に連続する切り込み6bとからなり、全体として左右方向に長く、上下方向には細い形状となっている。このように首通し部6を上下方向にも大きな開口としないことにより、首を通した際に、特に首の前側に隙間が形成され難くなり、例えば、前屈みになった際にも首の前側が上部シート部2の三日月形状の開口6aの下側の縁部2aによって塞がれることになる。また、開口6aの左右方向両側に切り込み6bを設けたことにより、上述した効果が十分に発揮されるが、首が通し難いという不都合もない、という効果が発揮される。
【0034】
一方、腕通し部7は、上下方向に伸びる切り込み7aで形成されている。また、切り込み7aの両端には、小さな円形の開口7bが形成され、腕通し部7に腕を通した際に切り込み7aの端部からシートが裂けるのを防止している。
【0035】
また、腕通し部7は、第1スリット部5の上方となる。すなわち、第1スリット部5は、内側の端部が腕通し部7と首通し部6との間に位置するように形成されている。
【0036】
ここで、首通し部6の上下方向の中央の位置と、腕通し部7の上下方向中央の位置とは、上下方向でほぼ一致するように形成している。すなわち、通常であれば、首通し部6は、腕通し部7の位置より上方向にずれた位置に設けられるが、本実施形態ではほぼ一致する位置に設けている。これにより、首通し部6に首を通し、腕通し部7に腕を通した際に、上部シート部2の中央部が首の後ろ方向、すなわち、
図1の上方向に引っ張られるようになる。これにより、詳細は後述するが、腰紐部4との形状と相俟って、後述する「たすき掛け効果」が発揮される。
【0037】
また、上部シート部2の上端縁には、左右方向中央部には第2スリット部8、第2スリット部8の左右方向両側には、第3スリット部9が設けられている。第3スリット部9の左右方向の位置は、首通し部6と腕通し部7との間となる。
【0038】
なお、上部シート部2の首通し部6と第2スリット部8の間に、上部シート部2の破断を容易にするため、第2スリット部8と開口6aとの間に破線の切り込み10が設けられている。エプロン1の着用後、エプロン1を脱ぐときに、切り込み10のところで上部シート部2が破断しやすくなり、首通し部6が壊れやすくなる。これによりエプロン1を脱ぎやすくなる。なお、切り込み10は設けなくともよい。
【0039】
腰紐部4は、上述した通り、前面シート部3の上端部の左右方向両側から延設されており、腰紐部4の前面シート部3側の端部である付け根部4aと本体部4cとからなる。付け根部4aは、斜め下方向に伸び、本体部4cは真っ直ぐ下方に伸びている。
【0040】
ここで、付け根部4aが斜め下方向に伸びており、延設方向を逆方向に延ばすと首通し部6に到達するようになっている。このような方向に付け根部4aを延設しているので、首通し部6に首を通し、腕通し部7に腕を通した状態で、腰紐部4を腰に巻いて引っ張ると、首により上部シート部2の中央部が後ろ方向に引っ張られた状態で腰紐部4により上部シート部2の中央部と前面シート部3の上部中央部、すなわち、胸回りが斜め下方向に引っ張られ、これがたすき掛け効果となり、胸まわりのシートのたるみが引っ張られて脇の下などに収容され、たるみのないスマートな着姿となる。
【0041】
このたすき掛け効果は、首通し部6の腕通し部7との位置関係と、腰紐部4の付け根部4aの延設方向によって発揮されるが、また、付け根部4aの上下方向の位置も大きく影響を与えている。すなわち、腰紐部4の付け根部4aは、前面シート部3の上端部、第1スリット部5の直下に設けられているが、これは前面シート部3の胸周りの両側の位置となり、通常の腰回りの位置よりかなり上方に位置する。これにより、上述したたすき掛け効果はさらに有効に機能するようになっている。すなわち、エプロン1を装着して腰紐部4を後ろに回すと、腰紐部4は脇の下から腰の後ろ側に延びるようになり、たすき掛け効果が発揮されて、胸回りのたるんだシートが腰紐部4に引っ張られて脇の下に収容されてスマートな着衣姿となる。
【0042】
ここで、腰紐部4の取り付け位置と、付け根部4aの延設方向は、付け根部4aの上側縁部4bの縁設方向を首通し部6方向に延長した際に、首通し部6の腰紐部4の端部から開口6aの端部に向かうのが好ましい。このような構成とすることにより、より有効にたすき掛け効果が発揮される。
【0043】
なお、腰紐部4の本体部4cは、付け根部4aの延設方向とは異なり、
図1の下方に伸びているが、これはたすき掛け効果に大きな影響を与えない。腰紐部4が上部シート部2や前面シート部3を引っ張る方向は、付け根部4aの上下方向の位置と延設方向によって決まり、本体部4cの延設方向は大きな影響を与えない。本体部4cは付け根部4aの延設方向にそのまま延ばしてもよいが、材料費を考慮すると、前面シート部3の側縁に沿って下方に延設する形状とするのが好ましい。
【0044】
また、上部シート部2の上端部(着用した際には背側の下端部)に設けられた第2スリット部8及び第3スリット部9、特に第3スリット部9は、エプロン1を着用した際の上部シート部2の後ろ側の端部の「バタツキ」を防止している。すなわち、エプロン1を着用した際に上部シート部2の背側端部及び肩の先の左右端部が体に沿って下方に垂れ下がり、「バタツキ」が防止される。
【0045】
第3スリット部9の位置は、標準的な肩の位置に設けるのが好ましい。具体的には、第3スリット部9の内側縁部2cは肩幅の位置で着用した際の上下方向に延びるようにするのが好ましい。
【0046】
かかる「バタツキ」防止効果は、さらに、上述した腕通し部7の傾斜によってもさらに有効に発揮される。すなわち、腕通し部7を、
図1において上側ほど(着用した際に背側ほど)外側になるように若干傾斜させることで、第3スリット部9の効果をさらに有効に発揮させ、上部シート部2のバタツキをさらに有効に防止している。
【実施例】
【0047】
(実施例)
図1の形状のエプロン1を製造し、女性人体寸法ダミーに装着し、その正面写真及び背面写真を撮影した。結果を
図2(a)、(b)に示す。
【0048】
エプロン1の首通し部6に首を通し、腕通し部7に腕を通した状態で、腰紐部4を腰に巻いて引っ張ると、腰紐部4が前面シート部3の上端部、胸部の両側に設けられており且つ斜め下方向に縁設されているので、首により上部シート部2の中央部が後ろ方向に引っ張られた状態で腰紐部4により上部シート部2の中央部と前面シート部3の上部中央部、すなわち、胸回りが斜め下方向に、脇の下から背中側に引っ張られるので(
図2(a)のA及び
図2(b)のB)、これがたすき掛け効果となり、
図2(a)、(b)に示すように、胸回りのシートのたるみが引っ張られて脇の下などに収容され、たるみのないスマートな着衣姿となる。また、お腹及び腰回りの前側もすっきりとしわのない状態となっている。
【0049】
さらに、
図2(b)に示すように、上部シート部2の背側及び左右端部が体に沿ってきれいに垂れ下がり、バタツキが防止される(
図2(b)のC)。
【0050】
(比較例1)
図3(a)に示すように、腰紐部14の付け根部14aの縁設方向を一般的にみられるように水平にした以外は
図1と同じ形状したエプロン11を製造し、女性人体寸法ダミーに装着し、その正面写真及び背面写真を撮影した。結果を
図3(b)、(c)に示す。
【0051】
エプロン11を装着し、腰紐部14を腰に巻いて引っ張ると、腰紐部4が前面シート部13の上端部、胸部の両側に設けられているが水平方向に延設されているので、上部シート部12及び前面シート部13の中央部が実施例ほど下方引っ張られた状態にならず、胸回りがだぶついた感じとなり(
図3(b)のD)、腰回りの前部にしわが発生し、嘔吐物等が溜まってしまう虞がある(
図3(b)のE)。
【0052】
(比較例2)
図4(a)に示すように、腰紐部24の付け根部24aの延設方向を一般的にみられるように斜め上方向にした以外は
図1と同じ形状したエプロン21を製造し、女性人体寸法ダミーに装着し、その正面写真及び背面写真を撮影した。結果を
図4(b)、(c)に示す。
【0053】
エプロン21を装着し、腰紐部24を腰に巻いて引っ張ると、腰紐部24が前面シート部23の上端部、胸部の両側に設けられているが水平方向に延設されているので、上部シート部22及び前面シート部23の中央部が実施例ほど引っ張られた状態にならず、胸回りがだぶついた感じとなる(
図4(b)のF)。
【0054】
(比較例3)
図5(a)に示すように、
図1の構成から、上部シート部32の首通し部36をそのままとして腕通し部37のみを下方(着用した際の前側)に移動した以外は
図1と同じ形状したエプロン31を製造し、女性人体寸法ダミーに装着し、その正面写真及び背面写真を撮影した。結果を
図5(b)、(c)に示す。
【0055】
エプロン31を装着し、腰紐部34を腰に巻いて引っ張ると、腰紐部34が前面シート部33の上端部に且つ斜め下方向に延設されているが、腕通し部37が首通し部36より前側に設けられているので、上部シート部32及び前面シート部33の中央部が実施例ほど引っ張られた状態にならず、胸回りがだぶついた感じとなり(
図5(b)のG)、腰の回りの後ろ側にもだぶつきが発生する(
図5(c)のH)。
【0056】
また、腕通し部37が首通し部36より前側に設けられているので、上部シート部32にバタツキが発生する(
図5(c)のI)。
【0057】
(比較例4)
図6(a)に示すように、
図1の構成から、上部シート部42の首通し部46をそのままとして腕通し部47のみを下方(着用した際の前側)に移動し、また、
図1の第1スリット45を小さくして三角形形状ではなくした以外は
図1と同じ形状したエプロン41を製造し、女性人体寸法ダミーに装着し、その正面写真及び背面写真を撮影した。結果を
図6(b)、(c)に示す。
【0058】
エプロン41を装着し、腰紐部44を腰に巻いて引っ張っても、腰紐部44が前面シート部43の上端部に且つ斜め下方向に延設されているが腕通し部47に近いので、たすき効果が発揮されず、上部シート部42及び前面シート部43に張りが生じない(
図6(b)のJ)。
【0059】
また、腕通し部47が前側に位置し、腰紐部44が腕通し部47に近いので、上部シート部42の上腕部にバタツキが多い状態となっている(
図6(c)のK)。
【0060】
(比較例5)
図7には、
図1の右側(着用した際の左側)の第3スリット部9を設けない以外は
図1の形状のエプロンを製造し、女性人体寸法ダミーに装着した背面写真を撮影した。結果を示す。
【0061】
図7に示すように、第3スリット部9を設けない左側では上部シート部2の左側端部が垂れ下がらず、バタツキが生じているが、右側では第3スリット部9の効果により、上部シート部2の端部が肩に沿って垂れ下がり、バタツキが生じない状態となっており、第3スリット部9の効果は明らかである。