(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記圧板が前記第1の角度から第2の角度の間のいずれかの開閉角度であるときに、前記照射及びその消灯を行い、照射時及び消灯時の反射光の分布を記録する外乱光記録手段をさらに備え、
前記原稿幅検出手段は、前記第1読取手段による記録結果に替えて、前記外乱光記録手段に記録されている記録結果を用いて原稿幅検出を行う
ことを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
前記原稿幅検出手段は、前記圧板閉止確認手段により前記圧板の位置が前記第2の角度よりも大きいことが検出された場合、前記第1読取手段による前記第1読取データと、前記第1の閾値よりも高い第3の閾値とに基づいて原稿幅検出を行う
ことを特徴とする請求項3に記載の画像読取装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述した特許文献1に開示された技術では、第1読み取り動作及び第2読み取り動作の間では、圧板の角度が所定以上の差があることが前提となっている。
【0009】
しかしながら、第1読み取り動作と第2読み取り動作との間に設定される所定時間を適切な値にしたとしても、第2読み取り動作時の圧板の角度が想定される角度まで閉じていない場合もある。例えば、ブック原稿等の比較的厚い原稿を読み取る場合には、圧板が閉じることができる範囲に限界がある。このような場合には、各読み取り動作にて得られる読取データ間に十分な輝度差が生じず、原稿幅の誤検知が発生することがある。また、圧板が所定の角度以上である場合には、外乱光の影響を受けるため、原稿幅の誤検知が発生することがある。これらの課題を解決すべく、圧板の開閉角度を高精度に検知できる高価なセンサーを用いることも考えられるが、その場合には、製造コストの増大の原因となる。
【0010】
そこで、本発明は、上記のような問題を解決するものであり、製造コストの増大を招くことなく、正確に原稿のサイズを検出できる画像読取装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明に係る画像読取装置の第1の特徴は、原稿を光学的に読み取る画像読取装置であって、原稿が載置される原稿台と、前記原稿台に対して開閉する圧板と、前記圧板の開閉角度が開状態から第1の角度まで閉じたことを検出する第1の角度検出手段と、前記圧板が前記第1の角度からさらに第2の角度まで閉じたことを検出する第2の角度検出手段と、前記第1の角度が検出された際に、前記原稿に向かって光を照射し、その反射光の分布を第1読取データとして記録する第1読取手段と、 前記第2の角度を検出してから所定時間が経過した際に、前記原稿に向かって光を照射し、その反射光の分布を第2読取データとして記録する第2読取手段と、前記第2読取データに基づいて、前記圧板の閉止状態を検出する圧板閉止確認手段と、前記圧板閉止確認手段により前記第2読取データを読み取った際の前記圧板の角度が前記第2の角度よりさらに閉じた第3の角度以下であることが検出された場合に、前記第1読取データと前記第2読取データとの差分に基づいて原稿幅検出を行う原稿幅検出手段とを備えることにある。
【0012】
本発明に係る画像読取装置の第2の特徴は、前記圧板が前記第1の角度から第2の角度の間のいずれかの開閉角度であるときに、前記照射及びその消灯を行い、照射時及び消灯時の反射光の分布を記録する外乱光記録手段をさらに備え、前記原稿幅検出手段は、前記第1読取手段による記録結果に替えて、前記外乱光記録手段に記録されている記録結果を用いて原稿幅検出を行うことにある。 本発明に係る画像読取装置の第3の特徴は、前記第1読取データ及び前記第2読取データの原稿幅方向の各分布位置における最小値を抽出した合成分布データを生成する合成データ生成手段をさらに備え、前記原稿幅検出手段は、前記圧板閉止確認手段により前記圧板が前記第2の角度と前記第3の角度の間に位置していることを検出した場合には、前記合成データ生成手段で生成された合成分布データと、第1の閾値との比較結果に基づいて前記原稿幅検出を行い、前記圧板閉止確認手段により前記圧板が前記第3の角度よりも閉じていることが検出された場合には、前記第1読取手段による記録結果と前記第2読取手段による記録結果との差分と第2の閾値とに基づいて原稿幅検出を行うことにある。
【0013】
本発明に係る画像読取装置の第4の特徴は、前記原稿幅検出手段は、前記圧板閉止確認手段により前記圧板の位置が前記第2の角度よりも大きいことが検出された場合、前記第1読取手段により読み取った前記第1読取データと、前記第1の閾値よりも高い第3の閾値とに基づいて原稿幅検出を行うことにある。
【0014】
本発明に係る画像読取装置の第5の特徴は、原稿を光学的に読み取る画像読取装置であって、原稿が載置される原稿台と、前記原稿台に対して開閉する圧板と、前記圧板の開閉角度が開状態から所定の角度まで閉じたことを検出する角度検出手段と、前記角度検出手段が前記所定の角度を検出した際に、前記原稿に向かって光を照射し、その反射光の分布を第1読取データとして記録する第1読取手段と、前記所定の角度を通過してから所定時間が経過した際に、前記原稿に向かって光を照射し、その反射光の分布を第2読取データとして記録する第2読取手段と、前記第2読取データに基づいて、前記圧板の閉止状態を検出する圧板閉止確認手段と、前記圧板閉止確認手段により、前記圧板が前記所定の角度よりもさらに閉じた角度よりも閉じていることが検出された場合に、前記第1読取データと前記第2読取データとの差分に基づいて原稿幅検出を行う原稿幅検出手段とを備えることにある。
【0015】
本発明に係る画像読取装置の第6の特徴は、前記第1読取手段による記録と前記第2読取手段による記録とから、各分布位置における最小値を抽出した合成分布データを生成する合成データ生成手段をさらに備え、前記原稿幅検出手段は、前記圧板閉止確認手段により前記圧板が、前記所定の角度と前記所定の角度よりもさらに閉じた角度との間に位置することが検出された場合に、前記合成分布データに基づいて原稿幅検出を行うことにある。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る画像読取装置の第1の特徴によれば、圧板の開閉角度が開状態から第1の角度まで閉じた時点の「中角度領域」と、第1の角度からさらに第2の角度まで閉じた後の「小角度領域」で原稿に向かって光を照射してその反射光の分布を第1読取データ、第2読取データとして記録する。そして、小角度領域における反射光の分布である第2読取データに基づいて圧板の閉止状態を検出して、圧板が閉まっていない状態である「圧板浮き」の有無を確認する。この「圧板浮き」は、圧板の閉止動作後に、圧板と原稿台とのなす角度が、第2の角度とそれよりも小さい角度である第3の角度との間にある状態をいい、本発明では、圧板浮きが生じていない場合に、第1読取データ及び第2読取データ、すなわち中角度領域及び小角度領域における反射光の分布を比較することで得られる差分に基づいて、明るさの変化の大きい部分を非原稿部とする原稿幅検出を実行するため、原稿幅検出を確実に行うことができる。
【0017】
本発明に係る画像読取装置の第2の特徴によれば、圧板が第2角度以上のときの照射時及び消灯時の反射光の分布を記録し、中角度領域の反射光の分布として用いる。このとき、消灯時の反射光分布には外乱光のみが含まれていることから、照射時の反射光分布から消灯時の反射光分布を差し引くことによって、外乱光を除去することができ、この消灯時の反射光分布が差し引かれた照射時の反射光分布を使って原稿幅検出を行うことにより、外乱光の影響を除去しつつ、より高い精度で原稿幅検出を確実に行うことができる。
【0018】
本発明に係る画像読取装置の第3の特徴によれば、中角度領域と小角度領域の各分布位置における反射光の最小値(原稿幅方向の各位置における第1読取データ及び第2読取データの輝度が暗い方)を抽出した合成分布データを生成し、圧板の浮き状態を検出した場合(圧板と原稿台とのなす角度が第2角度と第3角度との間となる場合)には、合成分布データと、第1の閾値との比較結果に基づいて原稿幅検出を行い、圧板の浮き状態を検出しない場合(圧板と原稿台とのなす角度が第3角度以下となる場合)には、中角度領域及び小角度領域における反射光の分布から抽出された差分と第2の閾値との比較に基づいて、明るさの変化の大きい部分を非原稿部とする原稿幅検出を確実に行う。合成分布データでは、反射光の最小値を抽出していることから、圧板が浮き状態にある場合であっても、外乱光の影響を除去することができ、より高い精度で原稿幅検出を確実に行うことができる。
【0019】
本発明に係る画像読取装置の第4の特徴によれば、圧板と原稿台とのなす角度が第2の角度よりも大きいことが検出された場合に、第1読取データと第1の閾値よりも高めに設定された第3の閾値とに基づいて原稿幅の検出を行う。これによって、圧板が開いて外乱光の影響がある場合であっても、精度良く原稿幅検出を確実に行うことができる。
【0020】
本発明に係る画像読取装置の第5の特徴によれば、第1の角度まで閉じたことが検出された際と、第1の角度を通過してから所定時間が経過した際に原稿に向かって光を照射してその反射光の分布を記録する。そして、第2読取手段で得られた反射光の分布(第2読取データ)に基づいて圧板の閉止状態を検出して、圧板が閉まっていない状態である「圧板浮き」の有無を確認する。ここでの「圧板浮き」は、圧板の閉止動作後に、圧板と原稿台とのなす角度が、所定の角度とこの所定の角度から閉じた角度との間のいずれかの角度となる状態をいい、本発明では、圧板浮きが生じていない場合(圧板と原稿台とのなす角度が所定の角度から閉じた角度よりもさらに閉じている状態である場合)にのみ、第1読取手段及び第2読取手段が記録した反射光の各分布を比較することにより得られる差分に基づいて、明るさの変化の大きい部分を非原稿部とする原稿幅検出する。これにより本発明では、原稿幅検出を確実に行うことができる。
【0021】
本発明に係る画像読取装置の第6の特徴によれば、第1読取データと第2読取データの各分布位置における最小値(各読取データのうち輝度が暗い方)を抽出した合成分布データを生成し、圧板の浮き状態を検出した場合(圧板と原稿台とのなす角度が、所定の角度と所定の角度よりもさらに閉じた角度との間のいずれかの角度となる場合)には、この合成分布データを用いて原稿幅検出を行う。合成分布データでは、反射光の最小値を抽出していることから、圧板が浮き状態にある場合であっても、外乱光の影響を除去することができ、より高い精度で原稿幅検出を確実に行うことができる。
【0022】
これらの結果、本発明によれば、高価なセンサー等を追加するなどによって製造コストが増大するのを回避しつつ、外乱光による影響を低減させて、正確に原稿のサイズを検出できる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。各図面を通じて同一若しくは同等の部位や構成要素には、同一若しくは同等の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、現実のものとは異なることに留意すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている。 また、以下に示す実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置等を例示するものであって、この発明の技術的思想は、各構成部品の配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の技術的思想は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0025】
(画像読取装置の構成)
図1は、本発明に係る画像読取装置1を含む画像形成装置の概略構成を模式的に示す説明図であり、
図2は、画像読取装置部分の概略構成を模式的に示すブロック図である。本実施形態における画像読取装置1は、読取原稿を固定して読み取るフラットベッド方式を採用している。
図1、
図2に示すように、画像読取装置1は、原稿を光学的に読み取るスキャナー20を基体とし、このスキャナー20から出力される画像データに基づく画像を用紙等の記録媒体に形成する画像形成装置の本体10の上部に備えられている。
【0026】
装置本体10には、給紙部102、画像形成部103、排紙部104、制御回路150を備えている。給紙部102は、多数枚の用紙を積載可能な給紙トレイ106、積載された用紙を1枚ずつ取り出し所定の給紙タイミングで搬送する給紙ローラ107を備え、印刷に際し、給紙ローラ107で取り出された用紙の搬送方向を搬送路に沿って規制しながら所定の給紙タイミングで画像形成部103に用紙を供給するユニットである。
【0027】
画像形成部103は、給紙部102から供給された用紙の斜行を補正し、斜行補正した用紙を所定の印刷タイミングに合わせて給紙するレジストローラ対108、例えば電子写真方式では感光体ドラムや現像装置、インクジェット方式ではインクジェットヘッド、孔版印刷方式では印刷ドラムに該当し、レジストローラ108から給紙された用紙に所望の画像を印刷する画像形成手段112、周回する環状の搬送ベルト109と搬送ベルト109を所定方向に回動させる搬送ベルトローラ110とが協働して用紙を搬送する搬送手段111を備え、給紙部102から供給された用紙を搬送手段111で搬送しながら画像形成手段112によって所望の画像を印刷するユニットである。
【0028】
排紙部104は、印刷が終了した用紙が排出される排紙トレイ105、印刷が終了した用紙を排紙トレイ105まで搬送する複数の排紙ローラ対115を備え、画像形成部103において印刷が終了した用紙を機外へ排紙して積載するユニットである。また、制御回路150は、CPU、信号処理装置、通信処理装置等を備える。さらに、電源回路160は、各部に電力を供給する電力供給装置を備える。
【0029】
前記スキャナー20は、
図2に示すように、原稿台21、原稿台カバー22、オートシートフィーダー24、カバーオープンセンサー23等から形成される。 原稿台21は、透明なガラス等よりなる原稿台であり、読み取り対象の原稿Pが載置される。原稿台カバー22は、原稿台21の上側に設けられている。原稿台カバー22は、原稿台21に対して開閉し、当該原稿台21上に載置された原稿Pを押さえる圧板である。原稿台カバー22の原稿Pを押さえる面は、白色若しくは白色に近い色とされている。オートシートフィーダー24は、原稿台カバー22と一体化され原稿台21に自動的に原稿を送る原稿自動送り装置(ADF:Auto Document Feeder)である。
【0030】
カバーオープンセンサー23は、原稿台カバー22の開閉状態及びその角度を検出する角度検出手段であり、原稿台カバー22の開閉角度が開状態から第1の角度まで閉じたことを検出する第1の角度検出手段と、原稿台カバー22が第1の角度からさらに第2の角度まで閉じたことを検出する第2の角度検出手段としての機能を果たす。具体的にこのカバーオープンセンサー23は、スキャナー20本体と原稿台カバー22との接続箇所付近に設けられており、原稿台カバー22が原稿台21に対して所定の角度に達したか否かを検出する。
【0031】
詳述すると、カバーオープンセンサー23は、原稿台カバー22を開閉するための支軸近傍のスキャナー20内に設置された光学センサー233,234と、センサーフラグ235とからなる。光学センサー233,234は、原稿台カバー22の複数段階の開角度を検出する機構であり、原稿台カバー22の開閉に連動して上下するセンサーフラグ235によって光学センサー233,234の光が遮られることにより、原稿台カバー22の開角度を検出することができる。なお、本実施形態では、センサーとして、光学センサー233,234を用いたが、本発明は、これに限定するものではなく、原稿台カバー22と連動するセンサーフラグ235の位置が検出できればよく、例えば、同様な光−電気変換手段である、フォトカプラを使用してもよく、また、例えば、センサーフラグ235に相当する位置に磁石を設け、磁気センサーで磁石を検出してセンサーフラグ235の状態を検出する構成であってもよい。
【0032】
また、スキャナー20には、原稿台21よりもホームポジション側の所定位置に、シェーディング補正を行うためのデータ等を取得する白色基準板26が配置されている。
画像読取ユニット25は、
図6に詳細に示すように、CCD等の画像読取素子をライン上に並べたCCDラインセンサー92、光源である露光ランプ94、CCDラインセンサー92及び露光ランプ94を搭載したキャリッジ25a、キャリッジ25aを搬送するモータ等を備える。画像読取ユニット25は、原稿台21に積置される原稿P、又は、オートシートフィーダー24によって1枚ずつ給紙される原稿に露光ランプ94による光を原稿に照射し、その反射光をCCD92等の撮像素子で受光することにより、原稿から画像を読み取り、読み取った画像に対応する画像データをジョブデータとして制御回路150へ出力する。
【0033】
次いで、原稿台カバー22の原稿検出角度、及び原稿台カバー22の角度検出について説明する。
図3(a)は、原稿台カバーの位置を説明する側面図であり、同図(b)は、原稿台カバーの原稿サイズ検出位置とセンサーの検知状態とを示す説明図である。
【0034】
原稿台カバー22は、開状態では、
図3(a)に実線で示す開位置にある。閉状態では、原稿台カバー22は、二点鎖線で示す閉位置にある。原稿台カバー22は、リア側の一辺を中心軸として回動することで、原稿台21に対して開閉する。
【0035】
第1角度は、
図3(a)に破線で示す原稿台カバー22の位置であり、原稿台カバー22と原稿台21とがなす角度θが角度θ1になる位置である。第1角度θ1は、開位置にある原稿台カバー22と原稿台21とがなす角度よりも小さい。原稿台カバー22が閉じられる過程で第1角度θ1になる位置に到達すると、カバーオープンセンサー23によって、原稿台カバー22の開閉状態が変化したと判断される。
【0036】
第2角度は、
図3(a)に一点鎖線で示す原稿台カバー22の位置であり、原稿台カバー22と原稿台21とがなす角度θが角度θ2になる位置である。第2角度θ2は、第1角度θ1よりも小さい。そして、本実施形態では、原稿台カバー22の位置が3つの領域に分類される。具体的には、原稿台カバー22が位置する領域は、
図3(b)に示すように、原稿台カバー22と原稿台21とがなす角度が第2角度θ2よりも小さい小角度領域、原稿台カバー22と原稿台21とがなす角度が第1角度θ1よりも大きい大角度領域、原稿台カバー22と原稿台21とがなす角度が第2角度θ2以上かつ第1角度θ1以下となる、小角度領域と大角度領域との間に位置する中角度領域の3つに分けられる。
【0037】
さらに、本実施形態では小角度領域は、第2角度θ2よりも閉じた角度である
図3(a)に示す第3角度θ3よりも閉じているか、それとも開いているかによって2つの領域に区分される。そして、本実施形態における「圧板浮き」は、
図3(b)に示すように、原稿台カバー22を閉止させる際に第2角度まで閉じてから所定時間経過した後に、原稿台カバー22と原稿台21とがなす角度が、第2の角度より小さいが第3の角度より大きい状態をいう。
【0038】
これらの領域のいずれかに位置するかは、カバーオープンセンサー23の検出結果により判断される。具体的に、カバーオープンセンサー23が大角度領域から中角度領域に移動する第1角度に達した場合には、中角度センサー(光学センサー233)がOFF状態からON状態となり、中角度領域から小角度領域に移動する第2角度に達した場合に、小角度センサー(光学センサー234)がOFF状態からON状態となるようになっている。なお、圧板浮きの状態の検出については、後述する。
【0039】
(読取制御部の構成)
図4(a)は、画像読取装置1の特徴的な機能部を示すブロック図であり、同図(b)は、読取制御部の機能部を示すブロック図である。簡単のため本実施の形態の説明上重要でない機能部は省略している。
【0040】
図4(a)に示すように、制御回路150は、CPU50と、RAM30と、フラッシュメモリ40と、入出力インターフェース80と、FeRAM60と、USBインターフェース70と、各部を接続するシステムバス150aとを備える。
【0041】
フラッシュメモリ40には、プログラム及びコンフィギュレーション用の回路情報が不揮発的に記録されている。RAM30は、CPU20の作業領域である。CPU20は、フラッシュメモリ40に記録されたプログラムにしたがって機能モジュールを仮想的に構築する。
【0042】
画像読取ユニット140は、原稿台21上に載置された原稿Pのサイズを検出するための原稿サイズ検知センサー91を備える。この原稿サイズ検知センサー91は、
図6に示すように、原稿の副走査方向における長さを検出する原稿長検出サイズセンサー91a〜dを備え、この原稿長検出サイズセンサー91a〜dは、発光素子と受光素子とのから構成された反射センサーであり、定形サイズに対応した位置にそれぞれ配置されている。
【0043】
また、画像読取ユニット140には、画像を光学的に読み取るCCD92と、光学系のレンズやミラーを駆動するモータ93と、原稿に向けて照射する照明である露光ランプ94とが含まれる。CCD92は、受光素子が主走査方向に沿ってライン状に配置されており、各受光素子で原稿からの反射光を読み取ることによって画像を読み取る機能と併せて、各受光素子によって原稿Pからの反射光や原稿台21に向かって入射される外乱光を検出し、リア側において原稿が突当たる位置を原点とするライン上の輝度分布を検出することにより原稿幅を判定する機能も備えている。本実施形態では、CCD92で検出される主走査方向における原稿幅と、センサー91a〜91dで検出される副走方向における原稿長さの組み合わせから原稿の定形サイズを検知する。
【0044】
他方、
図4に示すフラッシュメモリ40には、種々のプログラムやデータが記録されており、このプログラムには画像読取処理に必要な論理回路を構築するための回路情報が含まれるほか、読取制御部52の回路情報も含まれている。FeRAM60には、画像読取装置1の機体に固有の各種の調整値等が不揮発的に記録されている。USBインターフェース70には、ホスト装置であるプリンタと画像読取装置1とを接続するUSBケーブルが接続される。
【0045】
上記CPU50は、プログラムをロードすることにより論理回路等の機能モジュールを仮想的に構成することができる集積回路である。本実施形態では、プログラムをロードすることにより、スキャナーコントローラー51と、読取制御部52とが構築される。なお、本実施形態において「モジュール」とは、装置や機器等のハードウェア、或いはその機能を持ったソフトウェア、又はこれらの組み合わせなどによって構成され、所定の動作を達成するための機能単位を示す。
【0046】
スキャナーコントローラー51は、キャリッジ25aに関する制御などを実行するモジュールであり、画像読取ユニット140に含まれるCCD92やモータ93、露光ランプ94などの装置の動作を制御する。一方、読取制御部52は、画像を読み取る際に原稿サイズの判定や、画像読取に必要な演算処理を実行するモジュールであり、本実施形態では、外乱光の輝度変動を検出する機能が含まれている。
【0047】
キャリッジ25aは、CCD92や露光ランプ94を搭載し、移動させるユニットであり、モータ93によって副走査方向に水平移動するようになっている。詳述すると、
図7に示すように、画像読取装置1の状態及び読取動作の段階に応じて、キャリッジポジションに移動するようになっている。待機時おいては、原稿台21のガラス面から副走査方向に離間されたホームポジションP1に退避している。このホームポジションP1は、突当て位置である原点よりも奥(
図7中のy軸方向左向き)に位置され、オートフィーダー動作時に原稿が通過する箇所に設けられたAF窓に対応された位置であり、事前外乱光検出位置を兼ねている。また、シェーディング補正時には、シェーディング読取ポジションP2に移動する。シェーディング読取ポジションP2は、ホームポジションP1の原稿台21側に隣接された白色基準板26に対応した位置であり、白色基準板26を読み取ることでシェーディング補正を行うためのデータ等を取得する。さらに、原稿サイズの検知時には、原稿サイズ検知ポジションP3に移動する。この原稿サイズ検知ポジションP3は、原稿台21のガラス面の下方において、原点から2センチ程度副走査方向に移動した位置である。
【0048】
(読取制御部の構成)
図4(b)は、読取制御部52の内部構成を示すブロック図である。同図に示すように、読取制御部52は、原稿サイズ検出に対応するモジュールとして、主に読取部52aと、原稿サイズ検出部52cと、角度判定部52eとを備えている。
【0049】
読取部52aは、各開閉角度が検出された際に所定のタイミングにて露光ランプ94を点灯(照射)し、CCD92が読み取った画像データに含まれる反射光の分布を解析するモジュールであり、輝度分布記録部52iを有している。この輝度分布記録部52iは、各開閉角度が検出された際に所定のタイミング読み取られる反射光の分布データとその分布データの読み取りを行ったタイミングとを関連づけて記録するモジュールであり、第1の角度が検出された際に取得される反射光の分布データ(請求項中の第1読取データに相当する。)を記録する第1読取手段と、第2の角度を通過してから所定時間が経過した際に取得される反射光の分布データ(請求項中の第2読取データに相当する。)を記録する第2読取手段としての機能を果たす。
【0050】
原稿サイズ検出部52cは、読取制御部52の各モジュールが検出又は解析した各データから原稿の幅と長さとを検出するモジュールである。この原稿サイズ検出部52cは、原稿幅検出手段としての機能を有しており、原稿サイズを検出する際に、閉止確認部52jによる検出結果に応じて、第1読取データと第2読取データとの差分に基づいて、明るさの変化の大きい部分を非原稿部とする原稿幅検出を行う。
【0051】
角度判定部52eは、カバーオープンセンサー23が検出した原稿台カバー22の開閉角度から、角度領域を判定するモジュールであり、原稿サイズ検出に際し、原稿台カバー22が開状態から第1の角度まで変化したこと、及び原稿台カバー22が第1の角度からさらに第2の角度まで変化したことを検出する。本実施形態における角度判定部52eは、さらに閉止確認部52jを有している。この閉止確認部52jは、小角度領域における原稿台カバー22の浮きを判定するモジュールであり、第2角度が検出され所定時間が経過した後にタイミングで得られた反射光の分布データ(第2読取データ)に基づいて、原稿台カバー22の閉止状態を検出し、圧板浮きの有無を判定する。
【0052】
さらに、読取制御部52は、合成データ生成部52dと、閾値調整部52fと、外乱光除去処理部52gとを備えている。
【0053】
合成データ生成部52dは、第1読取データ及び第2読取データの各光分布データ同士を比較し、原稿幅方向の各分布位置における最小値を抽出した合成分布データを生成するモジュールであり、原稿サイズ検出部52cは、閉止確認部52jが原稿台カバー22の浮き状態を検出した場合(原稿台カバー22と原稿台21とのなす角度が第2角度θ2以下であるが、第3角度θ3以上であるの場合)には、合成データ生成部52dで生成された合成分布データと、所定の閾値との比較結果に基づいて原稿幅検出を行う。一方、閉止確認部52jが原稿台カバー22の浮き状態を検出しない場合(原稿台カバー22と原稿台21とのなす角度が第3角度θ3以下の場合)には、原稿サイズ検出部52cは、第1読取データと、第2読取データとの差分と所定の閾値に基づいて、明るさの変化の大きい部分を非原稿部とする原稿幅検出を行う。
【0054】
閾値調整部52fは、閉止確認部52jによって原稿台カバー22の浮き状態が検出されたか否かに応じて、所定の閾値を変化させるモジュールであり、原稿台カバー22の浮き状態が検出された場合の閾値を、圧板浮き状態が検出されなかった場合の閾値よりも、低め(暗め)に設定する。この閾値調整部52fが設定した閾値は、原稿サイズ検出部52cに入力される。
【0055】
外乱光除去処理部52gは、原稿に向かって光を照射する露光ランプ94による照射及びその消灯を行い、照射時及び消灯時の反射光の分布を記録し、記録された反射光又は入射光の分布から抽出された差分に基づいて、外乱光の成分を除去するモジュールである。この外乱光除去処理部52gは、外乱光記録部52hを備えており、この外乱光記録部52hは、前記圧板が前記第2角度θ2以上の開閉角度であるときに、露光ランプ94の照射及びその消灯を行い、照射時及び消灯時の反射光又は入射光の分布を記録するモジュールであり、外乱光除去処理部52gは、照射時の反射光又は入射光の分布から外乱光の成分(消灯時の反射光又は入射光の分布)を除去し、その結果を外乱光記録部52hに記録する。
【0056】
なお、この処理を実施するのは圧板が第1の角度から第2の角度の際に実行されることが好ましい。また、ユーザからの指示があったときだけでも良いし、圧板の開閉が行われるたびに行うようにしても良い。
【0057】
前記原稿サイズ検出部52cは、原稿幅検出に際し、第1読取データに替えて、外乱光記録部52hに記録された外乱光除去処理部52gよる演算結果を用いて、原稿幅検出を行う。具体的には、外乱光記録部52hに記録されている記録結果と、第2読取データとの差分に基づいて、明るさの変化の大きい部分を非原稿部とする。
【0058】
そして、これら各モジュールは、動作制御部52bによってその動作が統合的に制御される。動作制御部52bは、各センサーからのデータが入力され、読取制御部52内の各モジュールに振り分けられる。具体的には、スキャナーコントローラー51を通じて、原稿サイズ検知センサー91やCCD92から、センサーの検知結果や読取画像データが入力され、カバーオープンセンサー170からは原稿台カバー22の開閉角度などが入力される。
【0059】
(圧板浮き検出の手順)
ここで、本実施形態における圧板浮きの検出方法について説明する。本実施態では、小角度領域で圧板の閉止状態(浮き状態)を検出し、その検出結果に基づいて、原稿幅の検出方法を切り替えている。ここでは、小角度領域で得られた反射光の分布(第2読取データ)に基づいて、原稿台カバー22(圧板)の閉止状態を検出して、浮き状態の有無を判定する。圧板の開閉状態に応じて原稿幅の検出方法を切り替えるためである。例えば、圧板が浮いている状態での原稿幅の検出に、読取データ同士の差分値を使用する圧板開閉差分法を使うことは適切でなく、原稿幅の誤検知につながる。
【0060】
圧板浮き検出の手順を詳述すると、
図13(a)及び(b)に示すように原稿台カバー22が小角度にある際に読み取られた第2読取データを使って、同図(b)に示す浮き検出領域A3の輝度が低いことを検出する。この浮き検出領域A3は、原稿台21の読み取り部分の端、すなわち突当て位置から読取最大幅(最大サイズ検知位置)よりも離れた特定主走査位置に設定されている。原稿台カバー22が完全に閉じている場合は、
図13(c)に示すように、圧板からの反射光により浮き検出領域A3付近の輝度も高くなっている。これに対して、圧板が浮いた状態では、圧板が浮くことにより反射光が拡散され、浮き検出領域A3付近の輝度が低くなる。本実施形態では、この浮き検出領域A3における輝度が低い(黒)場合に、圧板浮き有りと判定する。
【0061】
(原稿幅検出方法の手順)
次いで、本実施形態における原稿幅の検出方法について説明する。本実施形態では、角度領域及び圧板浮きの有無によって、原稿幅の検出方法を切り替えている。
【0062】
(1)大角度領域及び中角度領域での検出方法
(1−1)黒部検出法による検出
この大角度領域及び中角度領域では、圧板からの反射光が映り込みにくいことから、原稿部分の輝度が大きく、非原稿部分の輝度が小さいことを前提としたいわゆる黒部検出法を用いる。具体的には、
図8(a)に示すように、中角度領域で取得された輝度分布データ(第1読取データ)に基づいて、主走査方向に延びるラインセンサー上の各画素での輝度と、所定の閾値とを、フロント側から比較していき、はじめに輝度が閾値を上回った位置を原稿端として検出する。同図(a)に示した例では、フロント側の領域A2では原稿による反射光が殆どないことから輝度が低く、原稿が載置された領域A1に差し掛かると原稿からの反射光ref1により輝度が上昇し、閾値(請求項における第3の閾値に相当する。)を上回っている。このことから、領域A1に原稿があると判定し、その幅を原稿幅として検出する。
【0063】
(1−2)光源ON/OFF差分法による検出
原稿台カバー22を全開にして読み取りを行う場合や、原稿台カバー22が大角度領域又は中角度領域に位置している場合には、原稿部分の反射光による輝度が大きくなるとともに、外乱光が入射した部分も輝度が大きくなるため、外乱光の影響を除去する必要がある。本実施形態では、光源をONとOFFのときにおける反射光の輝度分布の差分に基づいて原稿端を検出する手法を用いることができる。すなわち、圧板の位置第2の角度以上のいずれかにあるときに、ランプ94の照射及びその消灯を行い、照射時から消灯時の反射光の輝度分布を除外して、露光ランプ94の差分データとして記録する。
【0064】
光源ONの読取では、
図12(a)及び(b)に示すように、リア側の領域A1において原稿による反射光による輝度が大きくなるとともに、非原稿部分であるフロント側A3において外乱光が入射される。その一方、光源OFFの読取では、
図12(c)及び(d)に示すように、フロント側の領域A2において外乱光の部分だけの輝度が大きくなる。したがって、これらの差分を抽出すると、
図12(e)に示すように、原稿部分の輝度はそのままに、非原稿部分では外乱光の輝度だけが打ち消された、定位置読取輝度データを生成することができる。
【0065】
この定位置読取輝度データに基づいて、主走査方向に延びるラインセンサー上の各画素での輝度と、所定の閾値とを、フロント側から比較していき、はじめに輝度が閾値を上回った位置を原稿端として検出する。同図(f)に示した例では、フロント側の領域A2では原稿による反射光が除去されていることから輝度が総じて低く、原稿が載置された領域A1に差し掛かると原稿からの反射光ref1により輝度が上昇し、閾値を上回っている。このことから、領域A1に原稿があると判定し、その幅を原稿幅として検出することができる。
【0066】
(2)小角度領域において圧板浮きがない場合の検出方法(圧板開閉差分法)
一方、小角度領域では、この領域内での圧板浮きの有無によって圧板からの反射光が映り込まなかったり、外乱光が入り込んだりすることから、本実施形態では、圧板浮きの有無に応じて、小角度領域における原稿幅の検出方法を切り替えている。なお、本実施形態では、圧板回転中心(圧板のヒンジ)から離れた位置(フロント側)における、第2読取データの反射光の分布に基づいて圧板浮きを検出し、検出方法を変更する。
【0067】
小角度領域において圧板浮きがない場合(原稿台カバー22と原稿台21とのなす角度が第2角度θ2よりも小さい第3角度θ3以下である場合)には、第1読取データと第2読取データの輝度分布同士の比較結果に基づいて、明るさの変化が所定の閾値(請求項における第2の閾値に相当)よりも大きい部分を非原稿部とするいわゆる圧板開閉差分法を用いる。詳述すると、
図8(b)に示すように、圧板が大角度及び中角度領域に位置しているときには、フロント側の領域A2の非原稿部分には圧板からの反射光が映り込まず輝度が低い状態となる。そして、圧板が閉められ小角度領域に到達し、圧板浮きがなければ、同図(c)に示すように、フロント側の領域A2非原稿部分において圧板からの反射光ref2が映り込んで輝度が上昇する。したがって、ため、この小角度における輝度分布(
図8(c))と、大角度・中角度領域における輝度分布(
図8(b))との差分を算出することにより、
図8(d)に示すような、圧板の開閉による非原稿部分に生じる輝度差ref3を検出することによって、領域A1に原稿があると判定し、その幅を原稿幅として検出する。
【0068】
なお、このときに使用される第1読取データに代えて上記(1−2)にて取得した中角度領域における定位置読取輝度データ(光源ONにて取得した読取データから光源OFFにて取得した読取データを除去したデータ)を使用しても良い。外乱光の影響を除去したデータを使って原稿幅を検出するため、原稿幅の誤検出を抑制することができる。
【0069】
(3)小角度領域において圧板浮きがある場合の検出方法
(3−1)黒部検出法による検出
小角度領域において圧板浮きがある場合には、
図9に示すように、フロント側の領域A2において外乱光out1が映り込みやすいことから、原稿部分における反射光ref1の輝度が大きく、非原稿部分の輝度が小さいことを前提とした黒部検出法を用いることができる。具体的には、
図9に示すように、中角度領域で取得された輝度分布データ(第1読取データ)に基づいて、主走査方向に延びるラインセンサー上の各画素での輝度と、所定の閾値とを、フロント側から比較していき、はじめに輝度が閾値を上回った位置を原稿端として検出する。
図9に示した例では、フロント側の領域A2では原稿による反射光はないものの外乱光out1が入り込んでいることから、領域A1よりは輝度が低いものの若干の輝度が検出されている。したがって、本実施形態では、閾値をこの外乱光out1による輝度よりも高い値の閾値を設定し、外乱光out1を検出しないようにした上で、原稿からの反射光ref1により輝度が閾値を上回っていることを検出し、領域A1に原稿があると判定し、その幅を原稿幅として検出する。
【0070】
(3−2)合成分布データによる検出
なお、上記黒部検出法では、濃度が中間色の原稿に関する誤検知を防ぐために、原稿有無判定の輝度に対する閾値を低く設定することから外乱光の影響を受けやすく、誤検出となりやすい。このため、本実施形態では、外乱光の程度により、上記黒部検出法に替えて、合成分布データ検出方法による原稿幅の検出方法を選択できるようになっている。
【0071】
詳述すると、大角度・中角度領域では、
図10(a)に示すように、フロント側の領域A2において外乱光out2が映り込みやすいことから、原稿部分における反射光ref4の輝度が大きく、非原稿部分の輝度が小さいことを前提とした黒部検出法では、外乱光の影響により誤検知を生じる可能性がある。一方、小角度領域では、圧板浮きが生じると、
図10(b)に示すように、フロント側の領域A2において圧板からの反射光である反射光out3が映り込み、反射光out3の強さによっては閾値を上回ってしまい、原稿端を誤検出する可能性がある。
【0072】
そこで、本実施形態では、
図10(c)に示すように、中角度領域における輝度分布(
図10(a))と小角度領域にける輝度分布(
図10(b))とを比較し、すなわち第1読取データと第2読取データとを比較し、各分布位置における最小値を抽出した合成分布データを生成する。
図10(c)に示した例では、リア側の領域A1では、小角度領域での輝度分布が中角度領域での輝度分布よりも総じて低いことから、領域A1では小角度領域における反射光ref5が最小値として抽出されており、非原稿部である領域A2では、局所的な外乱光out2の部分を除いては、大角度領域での輝度分布が小角度領域での輝度分布よりも概ね0であることから、外乱光out2部分を除き、領域A2では中角度領域における反射光0の値が抽出されており、外乱光out2部分では、小角度領域の反射光out3を超える部分がカットされ、台形状をなす外乱光out4が最小値として抽出されている。そして、この合成分布データと、閾値(請求項における第1の閾値に相当。)との比較結果に基づいて、原稿からの反射光ref5により輝度が閾値を上回っていることを検出し、領域A1に原稿があると判定し、その幅を原稿幅として検出する。
【0073】
この合成データを用いた検出方法では、外乱光に対する性能と、濃い原稿の検知性能とが相殺することとなり、原稿の明度によっては、原稿幅の誤検知を生じる可能性がある。すなわち、上述した閾値の値を高くして明るい側にすると外乱光による影響を除去でき、閾値の値を低くして暗い側にすると、濃い原稿を検知しやすくなる。このため、強い外乱光を考慮して閾値を設定した場合、
図11(a)に示すように、例えば、ライトグレーの原稿のように比較的明度が高く、反射光ref5が外乱光out2よりも高い原稿は検知できるが、
図11(b)に示すように、ダークグレーの原稿のように比較的明度が低く、反射光ref5が外乱光out2を下回るような原稿は、領域A2においても閾値を下回ってしまい、原稿端を検知できないという問題が生じうる。
【0074】
そこで、本実施形態では、原稿の明度に応じて閾値を変化させる。例えば、ダークグレーの原稿を黒部検出法で幅検知する場合には、
図11(c)に示すように、閾値を下げて暗い側に設定することで、外乱光の誤検知を起こすことなく、濃い色の原稿まで検知が可能となる。
【0075】
なお、(3−2)で用いられる閾値は、(1−1)、(3−1)で用いられる閾値よりも低い(小さい)値である。これは、原稿幅方向の所定位置ごとに第1読取データと第2読取データとの最小値を抽出した合成データは、外乱光の影響を低くしたものであるため、原稿色やの原稿濃度が低いものであっても外乱光の影響を抑制して精度良く原稿幅を検出することが可能となるためである。
【0076】
(画像読取時における動作制御)
以上説明した原稿幅検出機能を備えた本実施の形態における画像読取装置1の特徴的な画像読取時における動作制御について説明する。
図5は、画像読取時における動作を示すフローチャートである。
【0077】
先ず、サイズの読取処理が開始されると、第1の角度が検出されるまで、ループ処理によって待機状態となる(S101における「N」)。そして、原稿台カバー22の開閉角度が開状態から第1角度まで変化したことが検出されると(S101における「Y」)、第1角度の時点において、原稿に向かって光を照射し、その反射光の分布を第1読取データとして記録する(S102)。このとき、上述した光源ON/OFF差分法による検出により、ON時の読取データからOFF時の読取データを除去した外乱光の影響のない読取データの記録を行ってもよい。
【0078】
さらに、原稿台カバー22が第1角度からさらに第2角度まで変化したことを検出されるのを、ループ処理によって待機し(S103における「N」)、第2角度が検出されると(S103における「Y」)、その時点からの所定時間の経過を計測し(S103における「N」)、第2角度を通過してから所定時間経過後の時点において、原稿に向かって光を照射し、その反射光の分布を第2読取データとして記録する(S105)。
【0079】
次いで、閉状態の確認を行う(S106)。すなわち、ステップS105における第2読取処理の結果に基づいて、第2読取データ取得時の原稿台カバー22の浮き状態の有無を検出する。すなわち、圧板閉止確認部52jは第2読取データのフロント側の輝度分布を用いて、これらの輝度が所定の閾値以下であれば原稿カバー22と原稿台21とがなす角度が第3角度θ3以下であり小角度領域での原稿カバー22の浮きは無いと判断し、これらの輝度が所定の閾値よりも大きければ原稿カバー22と原稿台21とがなす角度が第2角度θ2から第3角度θ3の間に位置しているため、小角度領域内で浮いた状態であると判断する。この原稿台カバー22の浮き状態の有無に応じて、原稿幅検出処理の手法を切り替える(S107)。具体的には、圧板浮きが検出されなかった場合には(S107における「N」)、第1読取データ及び第2読取データの輝度分布同士の差分に基づいて原稿幅検出処理を行い(S108〜S109)、圧板浮きが検出された場合には(S107における「Y」)、輝度の低い部分(暗い部分)を原稿部分として検出する原稿幅検出処理を行う(S110〜S111)。この暗い部分を検出する手法としては、
図9に示した黒部検出法による検出や、
図10に示した合成分布データによる検出法を選択することができる。
【0080】
詳述すると、ステップS108〜S109における輝度の差分に基づく原稿幅検出処理では、第1読取データ及び第2読取データの輝度分布同士比較結果に基づいて、明るさの変化の大きい部分を非原稿部とする原稿幅検出を行う。
【0081】
なお、本実施形態では、ステップS107において、圧板の浮き状態が検出されたか否かに応じて、原稿幅検出のための閾値を変化させる(S108又はS110)。具体的には、原稿台カバー22の浮き状態が検出された場合(S107における「Y」)の閾値を、圧板の浮き状態が検出されなかった場合(S107における「N」)の閾値よりも、低めに設定する。
【0082】
ステップS107において圧板の浮き状態が検出されなかったため、外乱光変化検出閾値を高く設定して、外乱光に対する許容量を大きくして、外乱光を検出しにくくする(S108)。ステップS109における輝度の差分に基づく原稿幅検出処理では、この変更された閾値を用いて、明るさの変化の大きい部分を非原稿部とする原稿幅検出を行う。
【0083】
一方、ステップS107において、圧板浮きが検出された場合には(S107における「Y」)、外乱光変化検出閾値を低く設定して、外乱光に対する許容量を小さくして、外乱光を検出しやすくする(S110)。
【0084】
そして、ステップS111における合成分布データに基づく原稿幅検出処理では、第1読取データと第2読取データとを比較し、各分布位置における最小値を抽出した合成分布データを生成する。次いで、原稿サイズ検出部52cは、合成分布データと、所定の閾値との比較結果に基づいて原稿幅検出を行う。
【0085】
なお、本実施形態では、ステップS101における待機状態(S103における「N」)に、原稿台カバー22が第2の角度以上の開閉角度であるとき、露光ランプ94の照射及びその消灯を行い、照射時及び消灯時の反射光の分布を記録して、外乱光除去処理を行うようにしている。この外乱光除去処理が実行された場合、原稿サイズ検出部52cは、第1角度における輝度分布に替えて、外乱光記録手段による記録結果(外乱光が除去された第1角度における輝度分布)と、第2角度における記録結果との差分に基づいて、明るさの変化の大きい部分を非原稿部とする原稿幅検出を行う。
【0086】
なお、上記実施例では、第2読取データに基づいて、圧板閉止確認手段による圧板の閉止状態の検出、及び原稿幅検出手段による原稿幅検出を行った。しかし、これらの検出にて使用されるデータは異なるものであっても良い。すなわち、原稿台カバー22が第2の角度を通過し所定時間後に圧板閉止確認手段による圧板の閉止状態を検出するための第2読取データを収集し、その後、さらに遅れて露光ランプ94を照射して原稿幅検出用の反射光の分布データを採取するようにしても良い。すなわち、請求項1における所定時間には第2角度通過後の複数の経過時間が含まれるようにしてもよい。
【0087】
なお、上記実施形態では、2種類の角度センサー233,234を用いて説明したが、部品点数を減らすため、一方のセンサーを削除しても良い。具体的には、センサー233を削除し、角度センサー234のみとしても良い。
【0088】
このように構成した際には、原稿カバー22が所定の角度まで閉じたことが角度センサー234に検出された際に第1読取データを取得し、これから所定時間が経過した後に第2読取データを取得するよう輝度分布記録部52iを制御する。そして、開閉確認部52jは、第2読取データの原稿台21のフロント側に相当する部分の輝度分布を使って、原稿カバー22がセンサー234で検出される角度よりも低い角度αよりも閉じているか否か、すなわち原稿カバー22の浮き状態を判定する。そして、原稿カバー22と原稿台21とのなす角度が角度αよりも閉じている、すなわち、浮いていないと判定された場合に、原稿サイズ検出部52cが第1読取データと第2読取データとの差分に基づいて(圧板開閉差分法を使って)原稿幅の検出を行うようにする。一方、角度αよりも大きい角度、すなわち浮き状態が確認されれば、第1読取データと第2読取データとの主走査分布における最小値を抽出した合成分布データを合成データ生成部52dに生成させ、原稿サイズ検出部52cはこの合成分布データに基づいて原稿幅を検出するようにする。
【0089】
なお、発明は上記実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。