(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
複数の直線翼から構成される垂直型ブレードと、前記直線翼を保持するアームと、前記アームの回転を支持するシャフトユニットと、前記シャフトユニットと連動し、前記垂直型ブレードの回転エネルギーを電気エネルギーに変換する発電機と、前記垂直型ブレードと前記アームと前記シャフトユニットを保持するポールと、前記ポールが前記シャフトユニットを回動自在に保持するためのシャフトユニット保持部と、前記アームに対する前記直線翼の相対角度をそれぞれ独立して回動させる回動手段と、前記回動手段により前記相対角度を調整する回転角制御手段と、前記垂直型ブレードの回転中心を基準とした平面座標系における基準角度からの前記垂直型ブレードまたは個々の前記直線翼のブレード回転角度と、前記ブレード回転角度から演算した前記相対角度の回転角度テーブルとを有し、前記回転角度テーブルをもとに前記回転角制御手段を用い、前記ブレード回転角度に応じて前記直線翼の前記相対角度を可変とする構成において、
前記回転角度テーブルは、前記相対角度変化による回転エネルギー変換効率の改善量(ΔCp)の演算値を有し、前記垂直型ブレードが1回転する間の前記相対角度の変化量を必要最小限とするために、前記改善量(ΔCp)があらかじめ設定した値より低い前記回転角度テーブルにおける前記ブレード回転角度では、前記相対角度の調整を行わないことを特徴とする垂直型風力発電システム。
複数の直線翼から構成される垂直型ブレードと、前記直線翼を保持するアームと、前記アームの回転を支持するシャフトユニットと、前記シャフトユニットと連動し、前記垂直型ブレードの回転エネルギーを電気エネルギーに変換する発電機と、前記垂直型ブレードと前記アームと前記シャフトユニットを保持するポールと、前記ポールが前記シャフトユニットを回動自在に保持するためのシャフトユニット保持部と、前記アームに対する前記直線翼の相対角度をそれぞれ独立して回動させる回動手段と、前記回動手段により前記相対角度を調整する回転角制御手段と、前記垂直型ブレードの回転中心を基準とした平面座標系における基準角度からの前記垂直型ブレードまたは個々の前記直線翼のブレード回転角度と、前記ブレード回転角度から演算した前記相対角度の回転角度テーブルとを有し、前記回転角度テーブルをもとに前記回転角制御手段を用い、前記ブレード回転角度に応じて前記直線翼の前記相対角度を可変とする構成において、
回転角度テーブルにおける前記ブレード回転角度は、一周を複数のゾーンに分割して、それぞれの前記ゾーンでは同一の前記相対角度とし、
前記回転角度テーブルは、前記相対角度変化による回転エネルギー変換効率の改善量(ΔCp)の演算値を有し、前記垂直型ブレードが1回転する間の前記相対角度の変化量を必要最小限とするために、一つ前の前記ゾーンの前記相対角度の差となる相対角度変化量が必要最小限となるよう、前記改善量(ΔCp)に対し前記相対角度変化量を優先して前記回転角度テーブルを設定したことを特徴とする垂直型風力発電システム。
複数の直線翼から構成される垂直型ブレードと、前記直線翼を保持するアームと、前記アームの回転を支持するシャフトユニットと、前記シャフトユニットと連動する発電機とを少なくとも有して、風力によって回転する前記垂直型ブレードの回転エネルギーを電気エネルギーに変換する垂直型風力発電システムにおける前記直線翼の制御方法において、
前記アームに対する前記直線翼の相対角度をそれぞれ独立して回動可能に構成し、
前記垂直型ブレードの回転中心を基準した平面座標系における基準角度からの前記垂直型ブレードまたは個々の前記直線翼のブレード回転角度と、前記ブレード回転角度から演算した前記相対角度の回転角度テーブルとを有し、
前記回転角度テーブルをもとに前記ブレード回転角度に応じて前記直線翼の前記相対角度を変化させる構成において、
前記回転角度テーブルは、前記相対角度変化による回転エネルギー変換効率の改善量(ΔCp)の演算値を有し、前記垂直型ブレードが1回転する間の前記相対角度の変化量を必要最小限とするために、前記改善量(ΔCp)があらかじめ設定した値より低い前記回転角度テーブルにおける前記ブレード回転角度では、前記相対角度の調整を行わないこと特徴とする垂直型風力発電システムにおける制御方法。
複数の直線翼から構成される垂直型ブレードと、前記直線翼を保持するアームと、前記アームの回転を支持するシャフトユニットと、前記シャフトユニットと連動する発電機とを少なくとも有して、風力によって回転する前記垂直型ブレードの回転エネルギーを電気エネルギーに変換する垂直型風力発電システムにおける前記直線翼の制御方法において、
前記アームに対する前記直線翼の相対角度をそれぞれ独立して回動可能に構成し、
前記垂直型ブレードの回転中心を基準した平面座標系における基準角度からの前記垂直型ブレードまたは個々の前記直線翼のブレード回転角度と、前記ブレード回転角度から演算した前記相対角度の回転角度テーブルとを有し、
前記回転角度テーブルをもとに前記ブレード回転角度に応じて前記直線翼の前記相対角度を変化させる構成において、
回転角度テーブルにおける前記ブレード回転角度は、一周を複数のゾーンに分割して、それぞれの前記ゾーンでは同一の前記相対角度とし、
前記回転角度テーブルは、前記相対角度変化による回転エネルギー変換効率の改善量(ΔCp)の演算値を有し、前記垂直型ブレードが1回転する間の前記相対角度の変化量を必要最小限とするために、一つ前の前記ゾーンの前記相対角度の差となる相対角度変化量が必要最小限となるよう、前記改善量(ΔCp)に対し前記相対角度変化量を優先して前記回転角度テーブルを設定したことを特徴とする垂直型風力発電システムにおける制御方法。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明者は「背景技術」にて記載した従来の垂直型風力発電システムに関して鋭意研究したところ、従来の垂直型風力発電システムでは、本来回転エネルギー変換効率や発電効率を追求するために必要な、翼型特性、ブレードの直径、風速、回転数などと迎角との関係についての本質的な関係を見出していないし、検討もなされていないと考えた。
【0027】
また、垂直型ブレードの発生する揚力および抗力において、回転トルクに対して正の力のみを検討しており、特に微風時に支配的な負の回転トルクについての検討がなされていない。さらに、推測や概念のみの試みが多く、回転エネルギー変換効率の改善量(ΔCp)と迎角との関係が全く検討されていないし、示されていない。
【0028】
また、もっとも重要な、ブレードの回転数(周速比)と迎角との関係についてはその関係について見出していないし、検討もなされていないなどの多くの問題があり、実際の垂直型風力発電システムの回転エネルギー変換効率の改善には効果が不明であり、効果を検証しようとしてもほとんど発電効率の向上という効果を得ることができないという大きな課題に直面した。
【0029】
そこで、本発明者はこの問題点に関し、検討を重ねた結果、以下の知見を得た。すなわち、垂直型ブレードの翼型、揚力や抗力と迎角とレイノルズ数との関係を示す翼型特性、直径やソリディティーなどの構成、垂直型ブレードの回転速度などの構成条件や、風速や風向などの環境変化に応じて回転エネルギー変換効率が最大となる相対角度を詳細に検証し、それぞれの構成条件や環境条件で回転エネルギー変換効率が規則的かつ大きく変化する相対角度があることを見出した。
【0030】
さらに、回転エネルギー変換効率の改善において、特定の角度で大きな改善効果(ΔCp)を見出すとともに、特定の角度変化のパターンで効果的に回転エネルギー変換効率を改善することを見出した。特に、周速比(ブレードの回転数)と最適な相対角度との緻密な関係および規則性の発見に至ったことで、回転エネルギー変換効率(Cp)の大幅改善を実現する制御方法を見出し本発明に至った。そして、本発明では以下に示す態様を提供する。
【0031】
本発明の第1の態様に係る垂直型風力発電システムは、複数の直線翼から構成される垂直型ブレードと、前記垂直型ブレードまたは前記直線翼を保持するアームと、前記アームと固定され前記アームの回転を支持するシャフトユニットと、前記シャフトユニットと連動し、前記垂直型ブレードの回転エネルギーを電気エネルギーに変換する発電機と、前記垂直型ブレードと前記アームと前記シャフトユニットを保持するポールと、ベアリング等から構成され前記シャフトユニットを前記ポールに回動軸支するシャフトユニット保持部と、前記垂直型ブレードの回転面内において前記アームに対する前記直線翼の相対角度をそれぞれ独立して回動させる回動手段と、前記回動手段により前記相対角度を調整する回転角制御手段と、前記垂直型ブレードの回転中心を基準とした平面座標系における基準角度からの前記垂直型ブレードまたは個々の前記直線翼のブレード回転角度と、前記ブレード回転角度から演算した前記相対角度の回転角度テーブルとを有し、前記回転角度テーブルをもとに前記回転角制御手段とを備え、前記ブレード回転角度に応じて前記直線翼の前記相対角度を可変とする構成としている。
【0032】
上記した構成によると、垂直型ブレードの回転面内において、ブレード回転角度から演算した相対角度の回転角度テーブルをもとに、回動手段と回転角制御手段により、ブレード回転角度に応じて前記直線翼の相対角度を可変とすることにより、搭載している直線翼の翼型断面の翼型特性に応じて、常にブレード回転角度に応じた最適な揚力および抗力の値を設定することが可能となり、垂直型風力発電システムの大幅な起動特性の改善および回転エネルギー変換効率および発電効率の向上を実現することが可能となるという優れた効果を奏する。
【0033】
特に、起動時はできる限り抗力による回転トルクが向上する相対角度とし、通常回転時は揚力による回転力が大きくなるように相対角度を設定するか、揚抗比が大きくなるような相対角度に設定することが望ましい。
【0034】
また、本発明の第2の態様に係る垂直型風力発電システムは、第1の態様に係る垂直型風力発電システムの構成において、前記直線翼の翼型断面形状は、いわゆる対称翼または非対称翼を備えている。
【0035】
上記した構成により、比較的優れた揚力特性および抗力特性を有する対称翼または非対称翼の翼型断面の翼型を直線翼として搭載することにより、翼型断面による揚力係数および抗力係数の特性において、回転エネルギー変換効率および発電効率の向上に適した翼型を搭載することで、垂直型風力発電システムの発電効率の向上を実現することが可能となるという優れた効果を奏する。さらに、ブレード回転角度に応じて相対角度を変化させることで大幅に回転エネルギー変換効率を向上させた垂直型風力発電システムを実現することができる。
【0036】
また、本発明の第3の態様に係る垂直型風力発電システムは、第1または第2の態様に係る垂直型風力発電システムの構成において、前記回転角度テーブルは、予め演算した値もしくは、一部またはすべてをリアルタイムで演算した値を用いる構成としている。
【0037】
この構成により、回転角度テーブルをあらかじめ演算しておきメモリに保存して必要な時に取り出す構成とすることにより、相対角度の調整時には演算時間が不要となるとともに都度演算するエネルギーや時間が不要となり、制御時間遅れがなく、且つエネルギー効率の高い垂直型風力発電システムを実現することができる。一方、リアルタイムで計算する構成では、回転角度テーブルを保存するメモリ等のシステムが不要となるため、比較的低コストかつ小型の垂直型風力発電システムを実現することが可能となる。
【0038】
また、本発明の第4の態様に係る垂直型風力発電システムは、第1〜第3の態様に係る垂直型風力発電システムの構成において、風速と前記垂直型ブレードの回転速度である周速に対する向周速との合成となる相対風速と、前記直線翼の前縁と後縁とを結んだ線分となる翼弦とのなす角度である、いわゆる迎角において、接線方向の回転力が大きくなるような迎角にするために前記相対角度を変化させることを目的として、前記相対角度は前記翼弦と前記アームとの角度、または前記翼弦と前記直線翼の保持位置における接線方向との角度とした構成としている。この時、相対角度が前記翼弦と前記アームとの角度の場合は、前記相対角度から90度引いた値をピッチ角度と定義する。
ここで、前記相対角度は、前記迎角と、風速、周速、ブレード回転角度から演算が可能である。
【0039】
翼型特性を表す揚力係数および抗力係数は、迎角との関係で示しており、回転角度テーブルを演算する基となる翼型特性を精度よく取り入れることが可能となるため、精度の優れた回転角度テーブルおよび相対角度を導きだすことが可能となり、回転エネルギー変換効率および発電効率の優れた垂直型風力発電システムを実現することが可能となる。
【0040】
また、本発明の第5の態様に係る垂直型風力発電システムは、第1〜第4の態様に係る垂直型風力発電システムの構成において、前記平面座標系において前記垂直型ブレードに流入する風の風速または前記垂直型ブレードの周辺の風速を検出する風速検出手段と、前記垂直型ブレードの回転数を検出する回転数検出手段とを有し、前記回転角度テーブルは、前記風速、前記垂直型ブレードの翼直径、前記翼型の前記風速またはレイノルズ数および前記迎角に対する揚力特性および抗力からなる翼型特性、前記回転数または周速比、前記翼弦の長さとなる翼弦長、前記垂直型ブレードの全長となる翼長、前記直線翼の翼枚数および前記垂直型ブレードの翼直径から演算されたソリディティー、および前記ブレード回転角度のすべての数値またはいずれか一つ以上の数値から演算した前記ブレード回転角度と前記相対角度の関係を表す前記回転角度テーブルとを有した構成としている。
【0041】
この構成により、風速またはレイノルズ数、垂直型ブレードの翼直径、回転数または周速比、ソリディティー、ブレード回転角度、翼型およびその翼型特性など、回転エネルギー変換効率を向上させるために必要な要素をすべて考慮し、最適かつより精度の高い相対角度および回転角度テーブルを算出することが可能となり、回転エネルギー変換効率および発電効率の優れた垂直型風力発電システムを実現することが可能となる。
【0042】
また、第6の態様に係る垂直型風力発電システムは、第1〜第5の態様に係る垂直型風力発電システムの構成において、前記回転角度テーブルは、前記迎角または前記相対角度、前記ブレード回転角度、前記周速比および前記風速との関係を表したもので、一方の軸を前記ブレード回転角度、もう一方の軸を前記相対角度、前記ピッチ角度または前記迎角として、前記周速比および/または前記風速毎の複数の情報を有したデータの構成としている。
【0043】
この構成により、回転エネルギー変換効率を高めるためのブレード回転角度、風速、回転数または周速比に応じた迎角または相対角度の情報を簡素に取り出すことが可能となり、精度の高い回転角度テーブル、回転エネルギー変換効率および発電効率の優れた垂直型風力発電システムを実現することが可能となる。
【0044】
また、第7の態様に係る垂直型風力発電システムは、第1〜第6の態様に係る垂直型風力発電システムの構成において、前記回転角度テーブルの前記風速は0m/sから最大100m/sの範囲とし、前記相対角度は±180度とした構成としている。
【0045】
この構成により、風速は微風から強風域をカバーし、相対角度は±180度全域を調整範囲としているため、あらゆる風況および構成仕様を想定した上で、最適な相対角度を選択することができ、優れた回転エネルギー変換効率および発電効率を実現した垂直型風力発電システムが可能となる。
【0046】
また、第8の態様に係る垂直型風力発電システムは、第1〜第7の態様に係る垂直型風力発電システムの構成において、前記平面座標系における風向角度を検出する風向検出手段を有し、前記相対角度は、前記回転角度テーブルより、前記風速、前記回転数または周速比、および前記ブレード回転角度をもとに参照した前記相対角度に、前記風向検知手段より検出した前記風向角度を加算した風向加算相対角度とする構成としている。
【0047】
この構成により、あらゆる風向に対応した回転角度テーブルおよび相対角度を実現することができ、一層精度の高い回転角度テーブルおよび相対角度と、回転エネルギー変換効率および発電効率の優れた垂直型風力発電システムを実現することが可能となる。
【0048】
さらに、回転角度テーブルを事前に算出し、リアルタイムで風向を加算する構成とすることで、演算時間を大幅に短縮できるとともに、事前に算出する回転角度テーブルの演算に十分時間を費やすことができるため、より高精度な回転角度テーブルを実現することができ、より精度の高い回転角度テーブルおよび相対角度と、回転エネルギー変換効率および発電効率の優れた垂直型風力発電システムを実現することが可能となる。
【0049】
また、第9の態様に係る垂直型風力発電システムは、第1〜第8の態様に係る垂直型風力発電システムの構成において、前記風速に応じて発生する前記垂直型ブレードの回転エネルギーによる回転トルクと、前記発電機の負荷による回転抑止トルクを釣り合わせることにより前記垂直型ブレードの前記回転数を一定回転数に制御する前記垂直型ブレードの回転数制御手段を有し、前記回転数制御手段は前記発電機の前記回転数に応じて発生する回転抑止トルクに対して、前記発電機の回転数に応じて発生する電力、電圧、電流または前記発電機に付加する抵抗値を変化させる回転抑止トルク可変手段を有した構成としている。
【0050】
この構成により、相対角度の可変により制御した回転エネルギーと発電機側の回転抑止トルクを精度よく釣合わせることが可能となり、垂直型ブレードの回転数を精度よく制御することができる。特に、回転数を回転エネルギー変換効率のピーク付近で一定とすることで回転エネルギー変換効率および発電効率の優れた垂直型風力発電システムを実現することが可能となる。
【0051】
また、第10の態様に係る垂直型風力発電システムは、第1〜第9の態様に係る垂直型風力発電システムの構成において、前記回転角度テーブルは回転エネルギー変換効率を向上させることを目的として、前記風速の風速レベルにより前記相対角度を変化させた値とし、前記風速レベルが微風の時は前記直線翼から発生する力のうち比較的前記抗力による前記接線方向の回転トルクが大きくなる前記相対角度または前記回転エネルギー変換効率が大きくなる前記相対角度とし、前記風速レベルが微風の領域を超えた場合は前記直線翼から発生する力のうち比較的前記揚力による前記接線方向の回転トルクが大きくなる前記相対角度、前記揚力と前記抗力の比となる揚抗比が比較的大きくなる前記相対角度、または前記回転エネルギー変換効率が大きくなる前記相対角度としとした構成としている。
【0052】
この構成により、風速に応じた最適な相対角度を選択することが可能となり、回転エネルギー変換効率および発電効率の優れた垂直型風力発電システムを実現することが可能となる。
【0053】
また、第11の態様に係る垂直型風力発電システムは、第1〜第10の態様に係る垂直型風力発電システムの構成において、前記風速レベルは、4m/s以下の前記風速を微風とし、8m/sを超える前記風速を強風とする構成としている。
【0054】
この構成により、回転角度テーブルより、風速に応じた相対角度を選択することが可能となり、精度の高い回転エネルギーへの変換ができ、回転エネルギー変換効率および発電効率の優れた垂直型風力発電システムを実現することが可能となる。
【0055】
また、第12の態様に係る垂直型風力発電システムは、第1〜第11の態様に係る垂直型風力発電システムの構成において、前記回転角度テーブルは、前記回転エネルギー変換効率を向上させることを目的として、前記垂直型ブレードの前記周速比の周速比レベルにより前記相対角度を変化させた値とし、前記周速比レベルが低速の時は前記直線翼から発生する力のうち比較的前記抗力による前記接線方向の力が大きくなる前記相対角度とし、前記周速比レベルが低速の領域を超えた場合は前記直線翼から発生する力のうち比較的前記揚力による前記接線方向の力が大きくなる前記相対角度または前記揚力と前記抗力の比となる揚抗比が比較的大きくなる前記相対角度とした構成としている。
【0056】
この構成により、周速比に応じた最適な相対角度を選択することが可能となり、回転エネルギー変換効率および発電効率の優れた垂直型風力発電システムを実現することが可能となる。
【0057】
また、第13の態様に係る垂直型風力発電システムは、第1〜第12の態様に係る垂直型風力発電システムの構成において、前記周速比レベルは、前記周速比が1以下の前記回転数は低速とし、前記周速比が1を超える前記前記回転数は高速とする構成としている。
【0058】
この構成により、回転角度テーブルより、周速比に応じた相対角度を選択することが可能となり、精度の高い回転エネルギーへの変換ができ、回転エネルギー変換効率および発電効率の優れた垂直型風力発電システムを実現することが可能となる。
【0059】
また、第14の態様に係る垂直型風力発電システムは、第1〜第13の態様に係る垂直型風力発電システムの構成において、前記回転角度テーブルは、前記エネルギー変換効率を向上させることを目的として、前記風速および前記周速比により前記相対角度を導いた値とし、前記風速レベルが微風でかつ前記周速比レベルが低速の場合は前記直線翼から発生する力のうち比較的前記抗力による前記接線方向の力が大きくなる前記相対角度とし、前記風速レベルが強風でかつ前記周速比レベルが高速の場合は前記直線翼から発生する力のうち比較的前記揚力による前記接線方向の力が大きくなる前記相対角度または前記揚抗比が比較的大きくなる前記相対角度とし、前記風速レベルが強風でかつ前記周速比レベルが低速の場合は前記直線翼から発生する力のうち比較的前記抗力による前記接線方向の力が大きくなる前記相対角度とし、前記風速レベルが微風でかつ前記周速比レベルが高速の場合は前記直線翼から発生する力のうち比較的前記揚力による前記接線方向の力が大きくなる前記相対角度または前記揚抗比が比較的大きくなる前記相対角度とし、それ以外の前記風速レベルおよび前記周速比レベルの領域では前記揚抗比が大きくなる前記相対角度とした構成としている。
【0060】
この構成により、回転角度テーブルから、風速および周速比に応じた相対角度を選択することが可能となり、精度の高い回転エネルギーへの変換ができ、回転エネルギー変換効率および発電効率の優れた垂直型風力発電システムを実現することが可能となる。
【0061】
また、第15の態様に係る垂直型風力発電システムは、第1〜第14の態様に係る垂直型風力発電システムの構成において、前記回転角度テーブルは、前記回転エネルギー変換効率を低下させることを目的として、前記風速レベルおよび前記回転数または前記周速比の大小により前記回転角を変化させた値とし、前記風速レベルが強風の場合は前記直線翼から発生する力のうち比較的揚力が小さくなる前記相対角度とする、または前記風速が強風の場合は前記直線翼から発生する力のうち比較的揚抗比が小さくなる前記相対角度とする構成としている。
【0062】
この構成により、風速レベルが強風の時、外部ブレーキにより垂直型ブレードの回転トルクの制御による回転数の増加を防止する頻度を低減できるため、信頼性が高く、発電効率に優れた垂直型風力発電システムを実現することが可能となる。
【0063】
また、回転数の増大を防ぐことが可能となるため、遠心力の増加による垂直型ブレード、アーム、シャフトユニットおよび発電機などの回転部分の機械的強度を維持することができ、耐久性、信頼性および機械的強度に優れた垂直型風力発電システムを実現することが可能となる。
【0064】
さらに、発電機は高速回転になるに従い、発生する電流および電圧が増大するため、回転数が一定の領域を超えると発生する電流および電圧に耐えられないという発電機自体の耐圧の問題が発生する。また発生する電流および電圧を保証しようとすると大型かつ高価になるなどの課題が発生するが、回転数が必要以上に上がらない構成とすることで、小型、低コスト、高信頼性の垂直型風力発電システムを実現することが可能となる。
【0065】
また、第16の態様に係る垂直型風力発電システムは、第1〜第15の態様に係る垂直型風力発電システムの構成において、前記回転角度テーブルは、前記風速レベルが強風で変動した場合でも、前記回転数制御手段により前記回転数を一定に制御することを目的として前記相対角度を制御する構成としている。
【0066】
この構成により、強風の状態で風速が変化した場合でも垂直型ブレードの回転数を一定に保つことができるため、強風の場合でも垂直型ブレードを回転させて発電することが可能となり、発電量を大幅に増加させることが可能となり、発電効率に優れた垂直型風力発電システムを実現することが可能となる。
【0067】
また、遠心力による機械的強度の悪化および発電機の電流および電圧の上昇を防ぐことができ、信頼性に優れた垂直型風力発電システムを実現することが可能となる。
【0068】
また、第17の態様に係る垂直型風力発電システムは、第1〜第16の態様に係る垂直型風力発電システムの構成において、前記周速比レベルが低速の場合は前記直線翼から発生する力のうち比較的前記抗力による前記接線方向の回転トルクが大きくなる前記相対角度とし、前記周速比レベルが高速の場合は前記直線翼から発生する力のうち比較的前記揚力による前記接線方向の回転トルクが小さくなる前記相対角度または前記揚抗比が比較的小さくなる前記相対角度とし、前記周速比レベルが低位から高速の間では前記直線翼から発生する力のうち比較的前記揚力による前記接線方向の回転トルクが大きくなる前記相対角度または前記揚抗比が比較的大きくなる前記相対角度とする構成としている。
【0069】
この構成により、周速比レベルにより垂直型ブレードの回転エネルギーを最適に選択することができ、発電効率と信頼性に優れた垂直型風力発電システムを実現できる。特に、周速比レベルが高速になるまでは、起動しやすくかつ回転エネルギー変換効率の高い相対角度を選択し、周速比レベルが高速からはできるだけ回転エネルギー変換効率を選択することで、信頼性および発電効率に優れた垂直型風力発電システムを実現することが可能となる。
【0070】
また、第18の態様に係る垂直型風力発電システムは、第1〜第17の態様に係る垂直型風力発電システムの構成において、前記回転角度テーブルにおける前記ブレード回転角度は、一周を複数のゾーンに分割して、それぞれの前記ゾーンでは同一の前記相対角度とし、前記ゾーンは1から3600の分割範囲である構成としている。
【0071】
この構成により、ゾーンごとに回転角度テーブルおよび相対角度を設定することができ、垂直翼の回転角度の調整精度を選択することができ、使用用途に合った回転角度テーブルを作成することが可能となり、発電効率と信頼性に優れた垂直型風力発電システムを実現することが可能となる。
【0072】
特に、ゾーンを細かくすることで最適な相対角度の精度は向上するが、回転調整が頻繁に行われるため、データのやり取りに時間を要したり、摺動部の機械的な摩耗が進むことになる。また、回転調整に使用される電力が増加するため、使用状況に合わせたゾーン分けが必要となり、周速比や風速に応じて、ゾーン分けのレベルを変えることにより、一層発電効率と信頼性に優れた垂直型風力発電システムを実現することが可能となる。
【0073】
また、第19の態様に係る垂直型風力発電システムは、第1〜第18の態様に係る垂直型風力発電システムの構成において、前記ブレード回転角度、前記周速比、前記風速および前記相対速度との関係を示す前記回転角度テーブルの特徴は、横軸を前記ブレード回転角度、縦軸を前記相対角度、前記迎角または前記ピッチ角とし、前記周速比および/または前記風速毎の複数の線分を有し、それぞれがSIN波型、のこぎり刃型、階段型、台形型等の形状をしている構成としている。
【0074】
この構成により、翼型、翼型特性、ソリディティー、周速比、風速、垂直型ブレードの翼直径から演算される回転角度テーブルにおいて、最適な形状を選択することができ、信頼性および発電効率に優れた垂直型風力発電システムを実現することが可能となる。
【0075】
また、第20の態様に係る垂直型風力発電システムは、第1〜第19の態様に係る垂直型風力発電システムの構成において、前記回転角度テーブルは、前記相対角度変化による前記回転エネルギー変換効率の改善量の演算値を有し、前記垂直型ブレードが1回転する間の前記相対角度の変化量を必要最小限とするために、前記改善量が所定の値より低い前記回転角度テーブルにおける前記ブレード回転角度または前記ゾーンでは、前記相対角度の調整を行わない構成としている。
【0076】
この構成により、必要最小限の回転調整のエネルギー使用量となり、エネルギーバランスに優れ、かつ発電効率と信頼性に優れた垂直型風力発電システムを実現することが可能となる。
【0077】
また、第21の態様に係る垂直型風力発電システムは、第1〜第20の態様に係る垂直型風力発電システムの構成において、前記回転角度テーブルは、前記相対角度変化による前記回転エネルギー変換効率の改善量の演算値を有し、前記垂直型ブレードが1回転する間の前記相対角度の変化量を必要最小限とするために、一つ前の前記ゾーンの前記相対角度と差となる相対角度変化量が必要最小限となるよう、前記改善量に対し前記相対角度変化量を優先した前記回転角度テーブルとした構成としている。
【0078】
この構成により、必要最小限の回転調整のエネルギー使用量となり、エネルギーバランスに優れ、かつ発電効率と信頼性に優れた垂直型風力発電システムを実現することが可能となる。
【0079】
また、第22の態様に係る垂直型風力発電システムは、第1〜第21の態様に係る垂直型風力発電システムの構成において、前記周速比が1以下の場合、前記平面座標系における基準角度からの個々の前記直線翼の前記ブレード回転角度が、第一象限または第二象限で指定角度または指定の前記ゾーンのみ抗力による回転トルクの低減(マイナストルク)を減少させ、第3象限から第4象限の指定角度または指定の前記ゾーンのみ抗力による回転トルクを増加させる前記相対角度とする構成としている。
【0080】
この構成により、必要最小限の回転調整のエネルギー使用量となり、エネルギーバランスに優れ、かつ発電効率と信頼性に優れた垂直型風力発電システムを実現することが可能となる。この時、風向はX軸と一致するような平面座標系としているが、実際の風向を別途加算する必要がある。
【0081】
また、第23の態様に係る垂直型風力発電システムは、第1〜第22の態様に係る垂直型風力発電システムの構成において、前記周速比レベルが低速を超える場合は、前記平面座標系における基準角度からの個々の前記直線翼のブレード回転角度が第1象限から第4象限の特定角度のみ、前記直線翼から発生する力のうち比較的前記揚力による前記接線方向の力が大きくなる前記相対角度または前記揚抗比が比較的大きくなる前記相対角度となるよう前記回転角度テーブルとする構成としている。
【0082】
この構成により、必要最小限の回転調整のエネルギー使用量となり、エネルギーバランスに優れ、かつ発電効率と信頼性に優れた垂直型風力発電システムを実現することが可能となる。この時、風向はX軸と一致するような平面座標系としているが、実際の風向を別途加算する必要がある。
【0083】
また、第24の態様に係る垂直型風力発電システムは、第1〜第23の態様に係る垂直型風力発電システムの構成において、前記周速比レベルは、前記回転エネルギー変換効率を向上させることを目的として、前記周速比レベルが低速の場合と比較し、前記周速比レベルが高速の場合は、前記相対角度の変動量が小さくなるように前記回転角度テーブルを設定するとともに、前記周速比レベルが低速の場合から前記周速比レベルが高速の場合に変化するに従い、前記相対角度の変動量を順次小さくするように前記回転角度テーブルとし、前記周速比レベルが高速の場合から前記周速比レベルが低速の場合に変化するに従い、前記相対角度の変動量を順次大きくするように前記回転角度テーブルとした構成としている。
この構成により、周速比レベルに応じたもっとも回転エネルギーへの変換効率の高い垂直型風力発電システムを実現できる。
【0084】
また、第25の態様に係る垂直型風力発電システムは、第1〜第24の態様に係る垂直型風力発電システムの構成において、前記周速比レベルにおいて、前記回転エネルギー変換効率を向上させることを目的として、前記周速比レベルが低速の場合のみ前記相対角度の調整を行う前記回転角度テーブルとした構成としている。
【0085】
この構成により、必要最小限の回転調整のエネルギー使用量となり、エネルギーバランスに優れ、かつ発電効率と信頼性に優れた垂直型風力発電システムを実現することが可能となる。
【0086】
また、第26の態様に係る垂直型風力発電システムは、第1〜第25の態様に係る垂直型風力発電システムの構成において、前記周速比レベルにおいて、前記回転エネルギー変換効率を低下させる、または前記垂直型ブレードの前記回転数を一定とすることを目的として、前記周速比レベルが高速の場合のみ前記相対角度の調整を行う前記回転角度テーブルとした構成としている。
【0087】
この構成により、必要最小限の回転調整のエネルギー使用量となり、エネルギーバランスに優れ、かつ発電効率と信頼性に優れた垂直型風力発電システムを実現することが可能となる。
【0088】
また、第27の態様に係る垂直型風力発電システムは、第1〜第26の態様に係る垂直型風力発電システムの構成において、前記回転角度テーブルは、前記風速レベルが強風の時に、前記回転エネルギー変換効率を低下させるとともに前記回転数の増加を抑えるために、前記回転エネルギー変換効率を低減させるとともに最大回転トルクおよび最大回転エネルギーを発生する周速比または回転数の位置を低速側に移動させた前記相対角度の調整を行う前記回転角度テーブルとした構成としている。
【0089】
この構成により、強風時に回転トルクを低減しさらに回転数を低い側に移動させることで、強風時でも低い回転数で回転数制御が可能となる。従って、理論上は、風速がどんどん速くなっても、一定の回転トルクでかつ一定の回転数での垂直型ブレードの出力および回転数制御が可能となることで、信頼性、耐久性、発電能力に優れた垂直型風力発電システムを実現することが可能となる。
【0090】
また、第28の態様に係る垂直型風力発電システムは、第1〜第26の態様に係る垂直型風力発電システムの構成において、前記回動手段は、ステッピングモータやDCモータなど動力源と、前記動力源の回転力を前記直線翼に伝達するギヤなどの伝達機構と、前記動力源に電力を共有する電池などの電源より構成され、前記動力源、前記伝達機構は前記アームに格納され、前記電源は前記アームまたは前記ポールに格納される構成としている。
この構成により、小型、簡素かつ効率的に回動手段および動力源を構成することが可能となり、発電効率に優れ、小型かつ低コストの垂直型風力発電システムを実現することが可能となる。
【0091】
また、第29の態様に係る垂直型風力発電システムは、第1〜第27の態様に係る垂直型風力発電システムの構成において、前記電源が前記アームに格納されている場合の前記電源への電力供給手段は、前記シャフトユニットの固定部と回転部における接触給電または非接触給電とし、前記電源が前記ポールに格納されている場合の前記駆動源への電力供給手段は、前記シャフトユニットの固定部と回転部における接触給電とした構成としている。
【0092】
この構成により、電源に簡素かつ高信頼性の給電手段を実現することが可能となり、発電効率に優れ、小型かつ低コストの垂直型風力発電システムを実現することが可能となる。
【0093】
また、第30の態様に係る垂直型風力発電システムは、第1〜第28の態様に係る垂直型風力発電システムの構成において、前記電源が前記アームに格納されている場合の前記電源への電力供給手段は、前記垂直型ブレードの回転が停止している場合のみ接触給電または非接触給電とした構成としている。
【0094】
この構成により、電源に簡素かつ高信頼性の給電手段を実現することが可能となり、発電効率に優れ、小型かつ低コストの垂直型風力発電システムを実現することが可能となる。
【0095】
また、第31の態様に係る垂直型風力発電システムは、第1〜第29の態様に係る垂直型風力発電システムの構成において、電力源35への電力の供給は、太陽光パネルをアーム3の表面に張り、太陽光パネルから電力源35に電力を供給する構成としている。
この構成により電力源35への電力の供給が簡素な構成で行うことができ、小型かつ低コストの垂直型風力発電システム15を実現できる。
【0096】
上記した構成により、回転角度テーブルの高精度化、垂直型風力発電システムの発電効率の向上、信頼性の向上および小型化が可能となるため、小型高性能、高効率かつ高信頼性の垂直型風力発電システムを実現できる。
【0097】
また、本発明は、次のような制御方法として提供することもできる。すなわち、複数の直線翼から構成される垂直型ブレードと、前記直線翼を保持するアームと、前記アームの回転を支持するシャフトユニットと、前記シャフトユニットと連動する発電機とを少なくとも有して、風力によって回転する前記垂直型ブレードの回転エネルギーを電気エネルギーに変換する垂直型風力発電システムにおける前記直線翼の制御方法において、前記アームに対する前記直線翼の相対角度をそれぞれ独立して回動可能に構成し、前記垂直型ブレードの回転中心を基準した平面座標系における基準角度からの前記垂直型ブレードまたは個々の前記直線翼のブレード回転角度と、前記ブレード回転角度から演算した前記相対角度の回転角度テーブルとを有し、前記回転角度テーブルをもとに前記ブレード回転角度に応じて前記直線翼の前記相対角度を変化させることを特徴とする。
【0098】
さらに、上記の垂直型風力発電システムにおける回動手段を備えた垂直型ブレード、又は回転角制御手段の単独で提供してもよい。
【0099】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。なお、以下では全ての図を通じて同一又は対応する構成部材には同一の参照符号を付して、その説明については省略する。
【0100】
(実施形態1)
図1〜
図13を参照して実施の形態1に係る垂直型風力発電システムについて説明する。
図1および
図2A〜Cは、実施の形態1に係る垂直型風力発電システムの構成の一例を示した模式図である。
図1では、実施の形態1に係る垂直型風力発電システムを側方から見たときの構成を模式的に示している。
図2A〜Cでは、実施の形態1に係る風力発電システムを上方から見たときの構成を模式的に示している。
図3は実施の形態1に係る風力発電システムに搭載する直線翼2の回動手段9の構成を示した略図である。
【0101】
図1および
図2A〜Cに示すように、垂直型風力発電システム15は、垂直型ブレード1、直線翼2、アーム3、シャフトユニット4、発電機5、ポール6、シャフトユニット保持部7、相対角度8、回動手段9、回転角制御手段10、平面座標系11、基準角度12、ブレード回転角度13、回転角度テーブル14、垂直型風力発電システム15、風速16、風速検出手段17、回転数検出手段18、風向検出手段19、回転トルク20(
図10に図示)、回転抑止トルク可変手段21(
図10に図示)、発電機コントローラ22(回転数制御手段)(
図10に図示)、パワーコントローラ23(
図10に図示)、結合部24、垂直型ブレードの取付け部27、風向28より構成されている。
【0102】
垂直型ブレード1は複数の直線翼2から構成され、アーム3により回動可能に保持される。シャフトユニット4はアーム3を固定し保持するとともにアームの回転を支持する。シャフトユニット4は前記垂直型ブレード1の回転エネルギーを電気エネルギーに変換する発電機5の回転部分(ロータ、シャフトなど)と結合(または一体化)され連動し、垂直型ブレード1の回転エネルギーを電気エネルギーに変換する。この際、結合部24(詳細は図示せず)を介してシャフトユニット24と発電機5の回転部分とを結合してもよく、結合部24はカップリング、ギヤ、増速機、減速機などのいずれかから構成されている。この時、結合部24の増速比または減速比により垂直型ブレード1の回転数―出力特性と、発電機5の回転数−出力特性をマッチングさせることが可能となる。
【0103】
ポール6は、ベアリングおよび保持部(詳細は図示せず)などから構成されているシャフトユニット保持部7により、垂直型ブレード1とアーム3とを固定したシャフトユニット4を保持し、シャフトユニット4をポール6に回動可能状態で保持する。
【0104】
一方、1個又は複数個備える風速検出手段17は垂直型ブレード1の周辺の風速を検出し、回転数検出手段18は垂直型ブレード1の回転数を検出し、風向検出手段19は垂直型ブレード19に流入する風の平面座標系11の回転中心Oを中心とした基準角度12に対する風向28(角度)を検出する。
また、直線翼2はアーム3に回動手段9により回動可能に保持されている。
【0105】
図3(a)、(b)は実施の形態1に係る風力発電システムに搭載する直線翼2の回動手段9(直線翼2、アーム3は含まない)の構成を示した略図である。回動手段9は回動軸部33、ステッピングモータ、DCモータ、超音波モータ、圧電素子などの駆動源30、ギヤ、カップリング、シャフトなどから構成される動力伝達部31、ベアリングなどを用いた軸支部32、駆動源30に電力を供給する電池などの電力源35より構成され、直線翼2はアーム3に対して、最大で±180度の回動状態で保持される。
【0106】
この際、軸支部32はベアリングに限らず摺動性を有した公知の軸支部材でも良い。また、動力伝達部31は各種ギヤやカップリングを介しても良いし、駆動源30と回動軸部33を直接結合する構成でも良い。
【0107】
図3(a)、(b)の差は駆動源30および動力伝達部31の一部を垂直または水平に配置したことである。
図3(b)の構成では、駆動源30、動力伝達部31および電源35の水平部をアーム3の内部に収納することも可能である。駆動源30、動力伝達源31、電源35をアーム3に格納することで、垂直型風力発電システム15の小型化が可能であるとともに、風雨や紫外線の影響を抑えることができ、信頼性および耐久性に優れた垂直型風力発電システム15を実現できる。
【0108】
図2Aは平面座標系11(X軸、Y軸、Z軸、原点O)における基準角度12(0度)、垂直型ブレード1(直線翼2)の2種類のブレード回転角度13(θ)、垂直型ブレード1の直径となる翼直径26、アーム3と直線翼1の取付け部27および2種類の相対角度8、風速16、風向28、翼直径26をそれぞれ示している。直線翼2はアーム3に対して取付け部27の位置に相対角度8の取付け角で回動可能状態にて保持されている。
【0109】
図2Bおよび
図2Cはブレード回転角度13と迎角38との関係を示した図である。
図2Bにおいて、直線翼2は説明を簡素にするため約180度の位置にあり、風速16の条件で、垂直型ブレード1の回転数に応じた翼直径26(外周)の回転速度で、周速35で回転している。この時、周速35はm/sの単位で表すものとする。
【0110】
図2Cは、
図2Bにおける迎角38を表した図で、翼型特性を表す際に用いられる迎角38は、次のように求められる。すなわち、風速16と垂直型ブレード1の翼直径26(外周)での回転速度である周速35に対する向周速36との合成となるいわゆる相対風速37と、直線翼2の翼弦25とのなす角度である。
本発明の基本的な仕組みとして、接線方向の回転力(回転トルク)が大きくなるような迎角38にするために相対角度8を変化させる。
【0111】
図4(a)は実施の形態1に係る風力発電システムに搭載する直線翼2の断面形状においていわゆる対称翼の一例を示した図で、
図4(b)はいわゆる非対称翼の一例を示した図である。直線翼1の前縁と後縁とを結んだ線分を翼弦25とし、翼弦25の長さを翼弦長29としている。
【0112】
また
図4(c)は、
図4(a)、(b)に示す翼型断面における取付け位置27を中心として回転させた時の、相対風速37と翼弦25との角度となる迎角38と翼型断面の表面で発生する揚力40および抗力41の関係を示している。風速16、翼弦25、取付け部27、ブレード回転角度13、相対角度8、相対風速37、迎角38、ピッチ角度39、揚力40、抗力41、揚力40による回転トルク42、抗力41による回転抑止トルク(マイナストルク)43の関係を示した図である。相対角度8はアーム3と翼弦25とのなす角の場合の図である。
この時、相対角度8を翼弦25と取付け位置27における接線方向との角度とした場合はピッチ角度39が相対角度8となる。
【0113】
図4(c)においてピッチ角度39は(相対角度8)−90度で表すことができる。また、抗力41による回転抑止トルク43は周速比が1以下でブレード回転角度14が180度から360度の間では、正の回転トルクとなる場合がある。したがって、周速比が1以上の領域で回転エネルギー変換効率Cpを上げるには、揚力40による回転トルク42を大きくし、抗力41による回転抑止トルク43を小さくすることが必要となる。また、周速比が1以下の領域で回転エネルギー変換効率Cpを上げるには、揚力40による回転トルク42を大きくし、抗力41による回転抑止トルク43を小さくするとともに、抗力41による回転トルク43(第3および第4象限ではプラストルクが発生する)を大きくすることが必要となる。
【0114】
図5は実施の形態1に係る風力発電システムに搭載する直線翼2の断面形状における翼型特性を示した図である。
【0115】
図5(a)は迎角38(ATTACK ANGLE)と揚力係数(CL)の関係を示し、
図5(b)は迎角38(ATTACK ANGLE)と抗力係数(CD)との関係を示した一例(特定の風速、またはレイノルズ数における参考図)である。回転角度テーブル14におけるピッチ角度39の演算を行う場合、それぞれの風速またはレイノルズ数毎の翼型特性を考慮することは必須であり、この特性を考慮しない限りCpを最大とする回転角度テーブル14の演算は困難となる。逆に、様々な風速またはレイノルズ数に対応した翼型特性があれば、精度よく回転角度テーブル14を作成することが可能となる。
ここで、抗力係数および揚力係数は、ともに係数に1/2(ρCV
2)をかけることで力(N/m)に換算できる。この時、ρは空気密度(kg/m
3)、Cは翼弦長29(m)、Vは風速(m/s)とする。
【0116】
図6は、実施の形態1に係る風力発電システムに搭載する直線翼2における周速比λと風速16、向周速36、相対速度37とブレード回転角度(θ)13との関係を示した模式図である。
【0117】
図6(a)および
図6(b)は周速比λが1以下の領域の場合と、周速比が1を超えた場合のブレード回転角度13と相対速度37の関係を示している。特に、周速比1以下ではピッチ角度38の調整角度によっては、ブレード回転角度(θ)13が180度〜360度の領域では抗力による回転トルク(プラストルク)を発生させることが可能となる。
【0118】
また、
図6の(c)と
図6の(d)は周速比と迎角38の関係を示した図である。ピッチ角度39を0度に固定した場合、周速比が1以下の領域では迎角38は0度〜360度となるが、周速比が1を超えると迎角は大幅に小さくなることが分かる。また、全ての周速比において相対風速37は垂直型ブレード1の平面座標系11における下流側(0≦φ≦90度、270度≦φ≦360度)では翼型の腹側から当たることになる。
【0119】
図7は、実施の形態1に係る垂直型風力発電システム15に搭載する回転角度テーブル14の一例を示した図である。
図7(a)はブレード回転角度13を分割した参考図であり、この場合360度を8等分し、それぞれのゾーンごとに最適な相対角度8の演算を行う。
図7(b)はゾーンの分割数を増やして相対角度8を演算した回転角度テーブル14の一例を示した図であり、風速16が12m/sとした時の各周速比におけるピッチ角度39の回転角度テーブル14の一例を示す。
【0120】
回転角度テーブル14は、垂直型風力発電システム15の回転エネルギー変換効率を向上させるために、迎角38、相対角度8またはピッチ角度39、ブレード回転角度13、周速比および風速16との関係を表したもので、横軸にブレード回転角度13、縦軸に相対角度8、迎角38またはピッチ角度39を配して、周速比および/または風速毎の複数の情報をマッピングデータ化した、グラフ、表などのデータ情報を示したものである。
【0121】
比較的回転数が低い周速比0.5の状態では比較的回転数が高い周速比3の状態に比べて、回転エネルギー変換効率(Cp)が最大となるピッチ角度39(相対角度8)の値は大きく変化させる必要がある。このように、Cpを最大とする相対角度8、迎角38およびピッチ角度39は、周速比により大きく変化し、周速比が大きい場合と比較し、周速比が小さい場合の方が角度の変化量が大きくなる。
なお、風速は0m/sから最大100m/sの範囲を想定し、相対角度8は90度を基準に調整範囲を±180度としている。
【0122】
ここで、特に周速比0.5の場合の270度付近において、Cpが最大となるピッチ角度39は+80度から−80度へ大きく変化するが、エネルギー変換効率変化量(ΔCp)を定義して、ΔCpによるエネルギー改善効果と回転に必要となるエネルギーを考慮し、そのメリットがあればピッチ角度39を調整してもよいし、ΔCpの改善効果が低いようであれば、ピッチ角度39の変化量が小さくなる回転角度テーブル14としても良い。
ここで、垂直型ブレード1のパワーP(出力 W)は、回転トルクQ(Nm)と回転角速度ω(rad/sec)の積でありP=Qωという関係がある。
【0123】
回転角度テーブル14の算出は、平面座標系11において垂直型ブレード1に流入する風の風速16、垂直型ブレード1の翼直径26、翼型の風速またはレイノルズ数および迎角38に対する揚力特性および抗力からなる翼型特性(
図5参照)、垂直型ブレード1の回転数または周速比、翼弦25の長さとなる翼弦長29、直線翼2の翼枚数および翼直径26から演算されたソリディティー(翼直径26における円周の長さと翼弦長29×翼枚数の比率)、垂直翼2の全長となる翼長34、および基準角度12からの垂直型ブレード1または直線翼2の回転角度となるブレード回転角度13のすべての数値またはいずれか一つ以上の数値から演算される。
【0124】
この時、上記の各々の情報がすべてあれば精度のよい回転角度テーブル14を作成できるが、翼長34は基準長さで代用(演算)すれば回転角度テーブル14は算出可能であり、翼全体の回転エネルギーは計算できないが、相対的な値は算出可能となるため、回転角度テーブル14の算出に翼長34は必須ではない。
また、風速16および周速比は平均的な値を代入することで、回転角度テーブル14の大まかな形を算出することは可能である。
【0125】
回転角度テーブル14はあらかじめ計算しておいても良いし、リアルタイムで計算する構成でもよい。あらかじめ計算しておく場合には、少なくとも迎角38、相対角度8またはピッチ角度39、ブレード回転角度13、周速比および風速16との関係をデータセットの形で備えておき、風速検出手段17、回転数検出手段18、風向検出手段19による検出結果を参照して、ブレード回転角度13に応じた迎角38、相対角度8またはピッチ角度39を読み出すことができる。具体的には、回転角度テーブル14はコンピュータの記憶手段に格納し、各検出手段17,18,19の検出結果をコンピュータに入力することで、読み出しが実現される。
【0126】
一方、リアルタイムで計算する構成では、翼直径26や上記ソリディティーの値などは予め備えたものを用い、風速検出手段17、回転数検出手段18、風向検出手段19による検出結果をコンピュータの演算手段に入力し、ブレード回転角度13に応じた迎角38、相対角度8またはピッチ角度39を算出することができる。
【0127】
図8A〜Cはそれぞれ、
図7(b)における周速比0.5(
図8A)、周速比1.5(
図8B)、周速比3(
図8C)における相対角度8またはピッチ角39の回転角度テーブル14を図示した一例である。この時、風向28はx軸に平行とし、風速16、翼直径26、ソリディティー、翼型、翼特性は特定の値を用いているが、詳細な数値の提示はしないものとする。
【0128】
また、回転角度テーブル14の演算は、Cpの算出において、翼素運動量理論を多数の分割した領域で演算するいわゆる多流管モデルかつ風の流れの上流および下流でそれぞれ演算を行う多流管のダブルアクチュエータ法にて行ったものである。
【0129】
以下、図面および数式を用いて、その概要を説明する。
二重アクチュエータ多流管モデルによる風車特性計算の概要を説明する。二重アクチュエータ多流管モデルでは、
図19に示すような複数の流管を設定する。そして、
図20に示すようにブレード回転円と各流管が交差する上流側および下流側それぞれの位置にアクチュエータ面を仮想し、各流管に対して翼素運動量理論を適用する。
なお、
図20中において
p
∞ : 垂直型風車上下流の一様流および風車内の圧力(大気圧)
R : アーム長(ブレード回転半径)
A
∞ : 流管s 入口面積
V
∞ : 流管s 入口の風速(一様流風速)
A
u : 流管s の上流側アクチュエータ面における断面積
V
u : 流管s の上流側アクチュエータ面における風速
p
+u : 流管s の上流側アクチュエータ面上流側における圧力
p
-u : 流管s の上流側アクチュエータ面下流側における圧力
A
a : 流管s の風車内における断面積
V
a : 流管s の風車内における風速
A
d : 流管s の下流側アクチュエータ面における断面積
V
d : 流管s の下流側アクチュエータ面における風速
p
+d : 流管s の下流側アクチュエータ面上流側における圧力
p
-d : 流管s の下流側アクチュエータ面下流側における圧力
A
W : 流管s 出口面積
V
W : 流管s 出口の風速
である。
【0130】
質量保存則から
図20の流管sの各断面における空気の質量流量は等しく
【数1】
となる。流管sを上流側でよぎるブレードが受ける力Fu は、流管sを通る風が失う運動量に等しく
【数2】
となり、数1から
【数3】
となる。
一方、力F
uは上流側アクチュエータ面の風上側の圧力p
+uと風下側の圧力p
−uによる力の差として
【数4】
と表される。
ベルヌーイの定理を
図20の流管s入口と上流側アクチュエータ面の風上側に適用した
【数5】
と、ベルヌーイの定理を
図20の流管sの風車内と上流側アクチュエータ面の風下側に適用した
【数6】
から算出されたp
+uとp
-uを数4に代入すれば
【数7】
となる。数3と数7を等値して得られる関係
【数8】
を数3に代入すれば、
【数9】
となり、上流側減速率a
uを
【数10】
と定義すれば、F
uは未知の上流側減速率a
uの関数として
【数11】
と表される。
上流側アクチュエータにおける風速V
uは、数10より
【数12】
となる。
【0131】
上流側アクチュエータをよぎるブレードには、
図21に示すようにブレード回転による向周速V
rと数12の上流側アクチュエータにおける風速V
uの合成された相対速度Wの流れがあたることになる。
【0132】
二重アクチュエータ多流管モデルでは、この相対速度Wの一様流中に置かれたブレードに作用する力が、上流側アクチュエータ位置にあるブレードに作用すると考える。この上流側アクチュエータ位置にあるブレードに作用する力F
Bは、ブレード断面形状を持つ翼型が前記相対速度の一様流中に置かれた場合のレイノルズ数における迎角と揚力Lおよび迎角と抗力Dの関係の予め用意されたデータから算出される。
【0133】
前記ブレード作用力F
Bは、上流側アクチュエータにおける風速V
uの関数である。ここで風速V
uは数12に示す上流側減速率a
uの関数であるため、前記ブレード作用力F
Bはa
uの関数F
B(a
u) となる。そのx方向成分F
Bx(a
u) と数12を等値して得られるa
uに対する方程式
【数13】
の解から前記ブレード作用力F
Bが求められる。そして、このブレード作用力F
Bの回転円接線方向成分がブレード回転駆動力となる。
【0134】
下流側アクチュエータに対しては、流管入口条件を風車内の風速V
aと流管断面積A
aとすることにより上流側アクチュエータと同様に処理され、下流側におけるブレード回転駆動力が算出される。以上の処理を各流管に対して行えば、流管ごとのブレード回転駆動力およびトルクが求まり、その総和から風車全体の出力(P)が計算される。
【0135】
このように計算された出力Pを用い、Cpを次のように導出する。
Cp=P/(1/2ρAV
3)
【0136】
Cpを最大とする相対角度8の導出過程を
図9A〜Dに示す。
図9AはゾーンごとにCpが最大となる相対角度8(または迎角38、ピッチ角39)を演算する過程を示したもので、それぞれのゾーンでCpが最大になる相対角度8を演算し、変化させていった際のエネルギー変換効率改善量(ΔCp)を示した一例である。
【0137】
このように、一つ前のゾーンとのCpとΔCpおよび相対角度8をとの関係を明確にすることで、相対角度8を調整することの効果および各ゾーンまたはブレード回転角度13の変化に対する相対角度8の回転調整に対する必要なエネルギーを把握することができる。
【0138】
たとえば、回転角度テーブル14は、相対角度8による回転エネルギー変換効率(Cp)のΔCpの演算値を有し、垂直型ブレード1が1回転する間の相対角度8の変化量を必要最小限とするために、ΔCpがあらかじめ指定した値より低い相対角度8および回転角度テーブル14のゾーンまたはブレード回転角度13では相対角度8の調整を行わないまたは、ΔCpと相対角度8との変化量を比較し、ΔCpの改善量に見合う効果が無い場合は相対角度8の変化量を少なくするような回転角度テーブル14とすることも可能となる。
この時、ΔCpと相対角度8の変化量とにより、その効果度合いで回転角度テーブル14を作成しても良い。
【0139】
また、垂直型ブレードが1回転する間の相対角度8の変化量を必要最小限とするために、一つ前のゾーンの相対角度8が必要最小限となるよう、ΔCpに対し相対角度8の変化量を優先した回転角度テーブル(相対角度8の変化量最少の優先モード)としても良い。
【0140】
図9Bは、周速比とCpとの計算結果を示した一例で、相対角度8を90度または93度に固定した場合のCpと、周速比2および周速比3でそれぞれCpが最大になる回転角度テーブル14でのCpのカーブを示している。
【0141】
この図は、周速比2および周速比3でそれぞれのCpの改善効果(ΔCp)を示していることになり、それぞれの周速比および風速における最大の相対角度8の回転角度テーブル14を網羅し、それぞれの条件における最大のCpとなる条件で垂直型ブレード1の回転数制御を行うことで、垂直型風力発電システム15のいわゆるパワーカーブを最も回転エネルギー変換効率の高い状態で実現できる。
【0142】
この際、風向検出手段19により検出した、平面座標系11における風向28の角度を、回転角度テーブル14の相対角度8に加算または減算することで、あらゆる風向28に対応した回転エネルギー変換効率に優れた垂直型風力発電システム15を実現することができる。
【0143】
図9Cは
図8(a)に示したゾーンごとのCpの改善量の計算過程の一例を示した図である。ピッチ角度39を調整することで各ゾーン毎にCpが大きく改善することがわかる。またΔCpが大きいところは角度調整の効果が大きく、ΔCpの小さいところは、角度調整の効果が小さいといえる
【0144】
さらに、同様に
図9Dはゾーン毎にピッチ角度39を調整した時のCpへの影響度合い(ΔCp)を示している。ピッチ角度調整39によるゾーン毎のΔCpの演算結果と、ゾーン毎のピッチ角度39の調整量によるΔCpの演算結果より、ΔCpを優先するかピッチ角度39の調整量を優先するかを事前に検討し、回転角度テーブル14に反映することで、一層回転エネルギー変換効率と発電効率に優れた垂直型風力発電システム15を実現することができる。
図10は直線翼2の回転角制御および垂直型ブレード1の回転数制御の動作を示した簡易的な動作図である。
【0145】
直線翼2の回転角度制御は、回転角度テーブル14により相対角度8の情報が回転角制御手段10に入り、相対角度8とするために必要な出力信号を回動手段9の駆動源30に出力し、直線翼2をブレード回転角度13に応じた相対角度8に設定する。
【0146】
一方、垂直型ブレード1の回転数制御は、風速16に応じて発生する垂直型ブレード1の回転エネルギーによる回転トルク20と、発電機5の負荷による回転抑止トルクを釣り合わせることにより垂直型ブレード1の回転数を一定回転数に制御する回転数制御手段22を有し、回転トルク20の情報と回転数検出手段18の情報が回転数制御手段22に入り、回転数制御手段22は発電機5の回転数検出手段18に応じて発生する回転トルク20に対して、発電機5の回転数検出手段18に応じて発生する電力、電圧、電流または発電機に付加する抵抗値を変化させる回転抑止トルク可変手段21により垂直型ブレード1の回転トルクと発電機5の回転抑止トルクを釣合わせることで、回転数を一定に制御することが可能となる。
【0147】
この際、
図9Bの周速比−Cpカーブにおいて、パワーカーブにおけるピークの右側(回転数が高い側)の回転数で釣合わせることが必須となる。ピークの右側では回転抑止トルクを増やすことで回転数が下がるともに垂直型ブレード1の回転トルク20が増えるため、再び回転数が増加する方向に垂直型ブレード1が回転し、回転数制御が可能となる。一方ピークの左側では発電機5の回転抑止トルクを増やすと垂直型ブレード1の回転トルクが低下するとともに回転数が急速に低下するため、垂直型ブレード1は回転数が増加することなく(回転数制御ができず)失速する。このためピークの左側の制御領域の場合は、回転抑止トルクを一時的に減らし、ピークの右側の制御領域の回転数の状態に復帰させることが必要となる。
【0148】
従って、Cpが高くかつ安定した回転数制御を行うには、周速比に応じた回転角度テーブル14を用い、Cpが最大となるように常に相対角度8を角度制御する場合、周速比(回転数)の制御ポイントは、必ず周速比はCp−周速比カーブにおいてピークの右側とすることが必要になる。
【0149】
図11の左欄は、風速および周速比(TSR)の変化に対応したピッチ角度39(PITCH ANGLE)および
図11の右欄は、その時のCpの改善効果(点線がピッチ角度を0度に固定した場合、実線が本発明に係る制御を行った場合)を示した一例であり、ピッチ角度39を調整することで、あらゆる風速16および周速比で最適なCpを大きく変化させていることがわかる。
【0150】
たとえば、風速は4m/s以下は微風とし、8m/sを超える風速は強風と定義した時、周速比レベルは、周速比が1以下の回転数は低速とし、周速比が1を超える回転数は高速とすると、Cpを最大とするピッチ角度8のパターンはそれぞれの風速16および周速比で大きく変化している。
【0151】
この時、回転角度テーブル14は、回転エネルギー変換効率Cpを向上させることを目的として、風速16および周速比によりピッチ角度8を導いた値とし、風速レベルが微風でかつ周速比レベルが低速の場合は直線翼2から発生する力のうち比較的抗力による接線方向の回転力が大きくなるピッチ角度39とし、風速レベルが強風でかつ周速速レベルが高速の場合は直線翼から発生する力のうち比較的揚力40による接線方向の回転力が大きくなるピッチ角度39または揚抗比が比較的大きくなるピッチ角度39とし、風速レベルが強風でかつ周速比レベルが低速の場合は直線翼から発生する力のうち比較的抗力41による前記接線方向の回転力が大きくなるピッチ角度39とし、風速レベルが微風でかつ周速比レベルが高速の場合は直線翼2から発生する力のうち比較的揚力40による接線方向の回転力が大きくなるピッチ角度39または揚抗比が比較的大きくなるピッチ角度39とし、それ以外の風速レベルおよび周速比レベルの領域では揚抗比が大きくなるピッチ角度39としている。
【0152】
この時、精度は落ちるが、周速比レベルのみで回転角度テーブル14を構成しても良いし、風速16のみで回転角度テーブル14を構成しても良い。
【0153】
特に、
図11では、ピッチ角度39のパターンが周速比レベルに依存していることが分かり、周速比レベルでピッチ角度39を定義する構成が、Cpを改善するうえで、最も効果的である。
【0154】
周速比が1以下の場合(起動時を含む)、また周速比が1以上の場合においても、平面座標系11における第一または第二の象限の指定のブレード回転角度13または指定のゾーンのみ抗力による回転トルクの低下を減らす、第3象限から第4象限の指定のブレード回転角度13または指定のゾーンのみ抗力により回転トルクを増加させる、などの新たな相対角度8の調整を入れることでCpを大幅に改善することができることもわかる。
この時、風向はX軸と一致するような平面座標系としているが、実際の風向を別途加算する必要がある。
【0155】
図12Aおよび
図12Bは、垂直型ブレード1全体におけるそれぞれ強風かつ高速時、微風かつ低速時のCpを最大にする相対角度8における、接線方向力(回転トルク)の揚力40による寄与分と抗力41による寄与分を示している。FIXED PITCHはピッチ角度39が固定で、VARIABLE PITCHはピッチ角度39を調整した図である。また、AZIMUTH ANGLEはブレード回転角度13でTANGENTIAL FORCEは接線方向の回転力(回転トルク)を示し、DRAGは抗力と、LIFTは揚力40をそれぞれ示した図である。
【0156】
どちらの場合も、揚力40の寄与度を低下させて、特定のAZIMUTH ANGLE(ブレード回転角度13、またはゾーン)で抗力41による悪化分(回転抑止トルク、マイナストルク)を低減しつつ、抗力41による回転トルクを増加させて、結果として抗力41のΔCpへの寄与度を増加させている。特に、微風かつ低速時は0度から180度のブレード回転角度13の領域付近で抗力の回転抑止トルクを減少させることが効果的であることが分かる。
【0157】
図12Cは、最適なピッチ角度39の制御によるゾーンごとのΔCp(CP DEFERENCE)を示しており、固定ピッチ(ピッチ角度39は固定)におけるCpに対してピッチ角度39をCp最大値に制御することで、強風または微風、高速または低速などの様々な条件における全域で、揚力40および抗力による回転トルクをコントロールすることで、回転エネルギー変換効率Cpを大幅に向上させることができる。
【0158】
図12Dは微風、低速時においてピッチ角度39の調整を行った場合と、ピッチ角度39を固定とした場合の回転トルクの改善量を示した一例である。ピッチ角度39の調整により大きく回転トルクが増加していることが分かる。この結果、垂直型ブレード1の微風からの起動特性(自己起動性)が大きく改善されることがわかる。
【0159】
図13は、強風および微風の条件での固定ピッチとそれぞれのTSRごとのBEST PITCH(最適なピッチ角度39)におけるCpの値を示している。図中の黒点がそれぞれの周速比における回転数の制御ポイントとなり、この黒点を結んだ線が、それぞれの風速でのいわゆるパワーカーブとなる。ピッチ角度39を0度で固定した場合(図中のFIX 0 DEG)と、ピッチ角度39を3度で固定した場合(図中のFIX 3 DEG)と比較して、ピッチ角度39をTSR毎に調整した場合は大幅にCpが改善しており、ピッチ角度39を調整可能とすることで大幅に回転エネルギー変換効率Cpを向上させることが可能となることが分かる。
【0160】
図14は、対称翼、非対称翼における周速比が低速および高速の時のブレード回転角度13とピッチ角度39との関係を示した図で、非対称翼A(
図4(b)の状態)と非対称翼Bは
図4(b)の断面形状に背側と腹側を反転させて搭載している。
【0161】
この際、対称翼、非対称翼ともにピッチ角度39のブレード回転角度13との形状が大きく変化なく、非常に似た形状となっている。したがって、本発明の回転角度テーブル14があれば、様々な翼型に展開できると推測できる。
【0162】
図11?では、ブレード回転角13とピッチ角度39との関係は、比較的ジグザグ状ののこぎりの刃の形状としているが、
図15に示すようにSIN波型、台形型、ステップ型でもよいし、階段型でもよい。
【0163】
さらに、
図7Bに示すように、それぞれのブレード回転角13とピッチ角度39の関係(形状)において、周速比が小さくなるに従い、ピッチ角度39の変動量を大きくした回転角度テーブル14の構成でもよい。
【0164】
実施の形態1では、回転エネルギー変換効率を向上させるために周速比、風速、大きさ、ソリディティー、消費電力、信頼性などの観点よりピッチ角度39とブレード回転角度13との関係である回転角度テーブル14を構成した。この構成により、回転エネルギー変換効率Cpおよび発電効率に優れた垂直型風力発電システム15を実現できるとともに、信頼性の高い垂直型風力発電システム15を実現できる。
【0165】
尚、実施の形態1では、周速比、風速の状態で揚力40または抗力41による寄与分を考慮した(分類した)が、全ての周速比および風速で、揚抗比が大きくなるピッチ角度39またはCpが最大となるピッチ角度39を選択した回転角度テーブル14としても問題ないことは言うまでもない。この際、起動時のみ抗力型(抗力41による回転トルクが増加する構成)とすることが望ましい。
【0166】
また、実施の形態1では、Cpを最大にするために
図7の(b)、
図12に示すピッチ角度39が一つ前のゾーンと部分的に大きく変化するゾーンが発生する。この場合、Cpを犠牲にしてピッチ角度39の変化を小さくする制御方法を選択して回転角度テーブル14を構成してもよい。その場合は、予め定めたΔCpとピッチ角度39の変化量においてどちらを優先するかの判断となる。
【0167】
(実施形態2)
図16を参照して実施の形態2に係る垂直型風力発電システムについて説明する。
図16は、実施の形態2に係る垂直型風力発電システムの相対角度8および垂直型ブレード1の回転数制御方法の一例を示した模式図である。
図16において、起動時から高速時のそれぞれの周速比の領域で下記のような垂直型風力発電システム15を構成している。
【0168】
周速比レベルが起動時(ほぼゼロ付近)の場合は直線翼2から発生する力のうち比較的抗力による接線方向の回転力が大きくなる相対角度8とする。周速比レベルが低速の場合は直線翼2から発生する力のうち抗力41による前記接線方向の回転力が大きくなる相対角度8とするとともに、接線方向の回転力が大きくなる揚抗比となる相対角度8とする。
【0169】
周速比レベルが高速の場合は、回転エネルギー変換効率Cpを低下させることを目的として、直線翼2から発生する回転力のうち揚抗比による接線方向の回転力が小さくなる相対角度8または比較的揚力40が小さくなる相対角度8とする。周速比レベルが低速から高速の間の中速では、直線翼2から発生する力のうち比較的揚力40による接線方向の回転力が大きくなる相対角度8、または比較的接線方向の回転力が大きくなる揚抗比となる相対角度8とする。
【0170】
この構成により、周速比が高速域(強風の時)は、外部ブレーキにより垂直型ブレード1の回転トルクの制御による回転数の増加を防止する頻度を低減できるため、信頼性が高く、発電効率に優れた垂直型風力発電システム15を実現することが可能となる。
【0171】
また、回転数の増大を防ぐことが可能となるため、遠心力の増加による垂直型ブレード1、アーム3、シャフトユニット4および発電機5などの回転部分の機械的強度を維持することができ、機械的強度に優れた垂直型風力発電システム15を実現することが可能となる。
【0172】
さらに、発電機5は高速回転になるに従い、発生する電流および電圧が増大するため、回転数が一定の領域を超えると発生する電流および電圧に耐えられないという問題が発生する。また発生する電流および電圧を保証しようとすると大型かつ高価になるなどの課題が発生するが、回転数が必要以上に上がらない構成とすることで、小型、低コスト、高信頼性の垂直型風力発電システム15を実現することが可能となる。
【0173】
この構成では、起動時から強風時まで、すべての領域の風速を、効率的に回転エネルギー変換効率の向上に利用することができるため、発電効率と信頼性の両立を実現できる。
【0174】
さらに、回転角度テーブル14は、風速レベルが強風で変動した場合でも、回転数制御手段22により垂直型ブレード1の回転数を一定に制御するために、相対角度8を制御する構成としている。なお、垂直型ブレード1の回転数を一定に保つには、制御したい回転数に応じた発電機5の回転抑止トルクを回転抑止トルク可変手段21にて設定し、垂直型ブレード1のCpを相対角度8の調整で落とすことでそれぞれのトルクを一致させることで実現できる。この時、Cpの低減方法は、ゾーン毎に一定割合のCpを等しい割合で減らしても良いし、特定のゾーンのみ大きく減らす構成でも良い
【0175】
図16の構成により、強風の状態で風速が変化した場合でも垂直型ブレード1の回転数を一定に保つことができるため、強風の場合でも垂直型ブレード1を回転させて発電することが可能となり、発電量を大幅に増加させることが可能となり、発電効率に優れた垂直型風力発電システム15を実現することが可能となる。
【0176】
また、遠心力による機械的強度の悪化および発電機の電流および電圧の上昇を防ぐことができ、信頼性に優れた垂直型風力発電システム15を実現することが可能となる。
また、需給エネルギーのバランスより、特定の周速比レベルのみ相対角度8の調整を行う構成でも良い。
【0177】
図17Aは垂直型ブレード1の試行的な翼直径26、翼型、ソリディティー、翼長34、相対角度8(固定)における、回転数(または周速比)と回転トルク20と風速との関係を示した一例である。また、
図17Bは回転トルク20に角速度(ω)を乗じて回転エネルギーを算出した結果を示す。回転角度テーブル14の演算にてCpと周速比の関係を導き出したのち、Cpから回転エネルギーおよび回転トルクを導き出す。
【0178】
図17Aおよび
図17Bにおいて実線は相対角度8を固定した場合の回転エネルギーと周速比の関係を示し、破線はCpを25%低下させた時の回転エネルギーと周速比の関係を示している。14m/sおよび16m/sでCpを落とし、回転数を85rpmで制御することにより発電機5の容量を小さくすることができるため、発電機5のサイズ、質量、耐圧およびコストを大幅に低減することができる。この時のパワーカーブは黒丸をつないだ線となる。
【0179】
また
図17Cおよび
図17Dは強風時において、相対角度8の調整によりCpを低減するとともに周速比(回転数)のピーク位置を低い側に移動させ、遠心力の低減、発電機5の容量の低減、発電機5の耐圧の低減、強風時での発電による発電量の増加を実現する一例を示している。
【0180】
相対角度8を調整することにより回転エネルギーと周速比の曲線において、図中の破線で示すように、16m/sおよび14m/sの時Cpを約65%に低減して回転トルクを下げるとともに12m/sの曲線とほぼ一致させた例を示している。このように、相対角度8を調整することにより、パワーカーブのピークを下げるとともに周速比の低い側に移動させることが可能となり、実使用回転数をさらに小さくできるので一層遠心力、耐圧、サイズ、コスト、総発電量、信頼性に優れた垂直型風力発電システム15を実現できる。
【0181】
尚、実施の形態2ではピークを低くし回転数を低い側に移動させたが、Cpのピークを下げた場合、回転数が高い側に移動させたり、Cpが減少する方向であれば任意の形状の回転数(または周速比)と回転トルク、回転エネルギーに変更することが可能なのは言うまでもない。
【0182】
尚、実施の形態2では周速比に応じて抗力型か揚力型かを選択するとしたが、抗力型とは平面座標系11において風向がX軸の方向とした場合、周速比が1以下の条件において、0≦φ180度の領域では抗力41による回転抑止トルクをできる限り低減し、180≦φ≦360度の領域では抗力による回転トルクをできる限り増加させるとともに、0≦φ≦360度の領域において、揚力40により回転トルクをできる限り増加させる方式のことである。この時、周速比が小さいほうがより顕著にCpを増加させる効果がある
【0183】
また、揚力型とは、周速比が1を超えた条件において、0≦φ≦360度の領域において抗力41により回転抑止トルクをできる限り低減し、揚力40による回転トルクをできる限り増加させた方式のことである。
【0184】
尚、実施の形態2では起動時、低周速時、中速時、高速時のそれぞれにおいて相対角度8の調整を行ったが、特定の周速比のみで相対角度8の調整を行う構成でも効果があることは言うまでもない。
【0185】
(実施形態3)
図18を参照して、実施の形態3に係る垂直型風力発電システムについて説明する。
図18において、回動手段9は回動軸部33、ステッピングモータ、DCモータ、超音波モータ、圧電素子などの駆動源30、ギヤ、カップリング、シャフトなどから構成される動力伝達部31、ベアリングなどを用いた軸支部32、動力源35に電力を供給する電池などの電力源35より構成され、直線翼2はアーム3に対して、最大で±180度の回動状態となる。このとき、駆動源30、動力伝達部31伝達機構はアーム3に格納され、電力弦35はアーム3またはポール6に格納(図示せず)される構成としている。
【0186】
この構成により、駆動源30および電源35を風雨から保護することができるため、信頼性に優れた、回動手段9および垂直型風力発電システム15を実現することが可能となる。
【0187】
また、電力源35がアーム3に格納されている場合の電力源35への電力供給手段は、
図1におけるシャフトユニット保持部7の固定部と回転部における接触給電または非接触給電とし(詳細は図示せず)、電力源35がポール6に格納されている場合の、駆動源30への電力供給手段は、前記シャフトユニットの固定部と回転部における接触給電とした構成としている。非接触給電の一例としては、送電側コイルと受電側コイルを用い、電気を無線伝送する構成がある。
【0188】
この構成により、電力源35に簡素かつ高信頼性の給電手段を実現することが可能となり、発電効率に優れ、小型かつ低コストの垂直型風力発電システム15を実現することが可能となる。
【0189】
さらに、電力源35がアーム3に格納されている場合の、電力源35への電力供給手段は、垂直型ブレードの回転が停止している場合のみ接触給電または非接触給電とした構成としている。
【0190】
この構成により、電力源35に簡素かつ高信頼性の給電手段を実現することが可能となり、発電効率に優れ、小型かつ低コストの垂直型風力発電システム15を実現することが可能となる。
【0191】
尚、第3の実施の形態では、電力源35への電力の供給は外部からの給電としたが、太陽光パネル(図示せず)をアーム3の表面に張り、太陽光パネルから電力源35に電力を供給する構成でもよい。
【0192】
また、回転角制御手段10および駆動源30への回転角度テーブル14またはピッチ角度39の調整量の制御信号は、垂直型風力発電システム15の固定部からの接触式の伝送でもいいし、垂直型風力発電システム15の固定部または外部からの無線通信でもよい。
【0193】
また、第3の実施の形態では、相対角度8の調整はモータなどの駆動源30、ギヤやカップリングおよびシャフトなどの動力伝達部31にて行ったが、カムを用い、周速比に関係なく所定のゾーンまたはブレード回転角度13のみ調整を行う構成でもよいことは言うまでもない。
【0194】
また、実施の形態1〜3ではすべて垂直型風力発電システムを本発明の適応範囲としたが、水力発電システムへ適応しても問題ない。この場合、翼素運動量理論を用いた回転角度テーブル14の演算において、流体が空気から水に変わることにより密度ρ、粘性係数および翼型特性(揚力、抗力)の情報を変更することになる。
【0195】
上記説明から、当業者にとって、本発明の多くの改良や他の実施形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造および/または機能の詳細を実質的に変更できる。