(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6574660
(24)【登録日】2019年8月23日
(45)【発行日】2019年9月11日
(54)【発明の名称】棚用仕切体
(51)【国際特許分類】
A47F 5/00 20060101AFI20190902BHJP
A47B 96/04 20060101ALI20190902BHJP
A47B 57/58 20060101ALI20190902BHJP
B65G 1/14 20060101ALI20190902BHJP
【FI】
A47F5/00 G
A47B96/04 B
A47B57/58 A
B65G1/14 Z
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-191483(P2015-191483)
(22)【出願日】2015年9月29日
(65)【公開番号】特開2017-63953(P2017-63953A)
(43)【公開日】2017年4月6日
【審査請求日】2018年7月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】390022895
【氏名又は名称】株式会社トーモク
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 礼士
(72)【発明者】
【氏名】金丸 正明
【審査官】
青木 正博
(56)【参考文献】
【文献】
特開2014−042705(JP,A)
【文献】
実開昭63−131651(JP,U)
【文献】
特開平09−121992(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3027975(JP,U)
【文献】
米国特許第03382970(US,A)
【文献】
登録実用新案第3086385(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47F 5/00− 8/02
B65G 1/00− 1/133
B65G 1/14− 1/20
A47B 57/58
A47B 96/04
B65G 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
棚板に取り付けて用いる棚用仕切体であって、段ボール板紙を所定の形状に折り曲げて組み立てられるものにおいて、
前記棚板の上面に当接する基部と、該基部上に立設された起立部とを備え、
前記基部は、前記棚板の上面に沿って広がる横板と、該横板の一側縁に形成された第1折目線を介して該横板に連設され、前記棚板の側面に沿って下方に垂下する垂下片とを備え、
前記起立部は、前記第1折目線に対して交差する方向に延びる前記横板の他側縁に沿って形成された第2折目線を介して該横板に連設されて起立状態の第1縦板と、該第1縦板の上縁に第3折目線を介して連設されて該第1縦板に重合状態の第2縦板と、該第2縦板における前記垂下片側の端縁から張り出す張出部と、該張出部の下方に連設されて前記垂下片に係止することにより前記基部に対する前記起立部の起立状態を維持する係止片とを備えることを特徴とする棚用仕切体。
【請求項2】
前記基部は、前記第2折目線を介して前記第1縦板が前記横板に対して起立状態となった時に、該第1縦板から遊離することにより前記横板に連続して前記棚板の上面への当接面積を前記第2縦板側に拡張する拡張部を備えることを特徴とする請求項1記載の棚用仕切体。
【請求項3】
前記起立部は、前記第2縦板の下縁に第4折目線を介して連設されて前記拡張部の上面に重合する重合片を備えることを特徴とする請求項2記載の棚用仕切体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品の陳列棚に取り付けて用いる棚用仕切体であって、段ボール板紙を所定の形状に折り曲げて組み立てられるものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、保管棚に保管される物品を棚上で仕切るために、棚上でその間口方向に移動させることができる仕切体を用いることが行われている。この種の仕切体は、矩形状の金属板を直角に折り曲げることにより形成され、棚板の上面に当接載置する横板部と、この横板部から起立する縦板部とを備えている(例えば下記特許文献1参照)。
【0003】
更に、この種の仕切体においては、横板部の前側縁から下方に折り曲げられて保管棚の棚板前面に沿って垂下する垂下片を備えており、この垂下片に保管される物品名等の表示や識別用のラベル等を貼付することが行われている。
【0004】
しかし、金属製であることにより未使用状態であっても嵩張りやすく重量もあるため扱い難いという不都合があった。
【0005】
そこで、未使用状態で扁平としておくことができ、使用時には容易に組み立てることができる仕切体が提案されている(下記特許文献2参照)。
【0006】
この仕切体は、横板部、垂下部、及び縦板部が1枚の段ボール板紙を折り曲げることにより形成されており、扁平状態での保管が可能であって軽量である点で金属製に比べて取り扱いが容易となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実開昭58−121241号公報
【特許文献2】特開2011−131948号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、段ボール板紙を折り曲げただけでは、仕切体の形状を維持することができない。そのため、上記特許文献2においては、段ボール板紙を折り曲げた仕切体本体部分に金属製或いは合成樹脂製のクリップを取り付けることにより、横板部に対する縦板部の起立状態、及び、横板部に対する垂下部の折り曲げ状態を維持している。
【0009】
しかし、段ボール板紙による本体部分とクリップとは別体であり、未使用状態で扁平とした段ボール板紙の本体部分とは別にクリップを製造し保管する必要がある。このため、仕切体の製造工数が増加するだけでなくクリップの管理が必要となって取扱いが煩わしい。更に、仕切体を形成した状態であっても、クリップが脱落してしまうと仕切体の形状が維持できず、仕切体として使用できなくなる。
【0010】
上記の点に鑑み、本発明は、別部材を用いることなく1枚の段ボール板紙のみで簡単に組み立てることができ、確実に所定の形状を維持することができる仕切体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、棚板に取り付けて用いる棚用仕切体であって、段ボール板紙を所定の形状に折り曲げて組み立てられるものにおいて、前記棚板の上面に当接する基部と、該基部上に立設された起立部とを備え、前記基部は、前記棚板の上面に沿って広がる横板と、該横板の一側縁に形成された第1折目線を介して該横板に連設され、前記棚板の側面に沿って下方に垂下する垂下片とを備え、前記起立部は、前記第1折目線に対して交差する方向に延びる前記横板の他側縁に沿って形成された第2折目線を介して該横板に連設されて起立状態の第1縦板と、該第1縦板の上縁に第3折目線を介して連設されて該第1縦板に重合状態の第2縦板と、該第2縦板における前記垂下片側の端縁から張り出す張出部と、該張出部の下方に連設されて前記垂下片に係止することにより前記基部に対する前記起立部の起立状態を維持する係止片とを備えることを特徴とする。
【0012】
即ち、本発明においては、先ず、横板の一側縁に第1折目線を介して連設された垂下片を、第1折目線に沿って下方に且つ横板に対して直角に折り曲げる。これによって基部が形成される。
【0013】
次いで、横板の一側縁に交差する方向に延びる横板の他側縁に第2折目線を介して連設された第1縦板を第2折目線に沿って上方に折り曲げて横板に対して直角に起立させ、第1縦板の上縁に第3折目線を介して連設された第2縦板を第3折目線に沿って折り曲げて第1縦板に重合させる。これにより基部上に起立する起立部が基部と一体に形成される。
【0014】
このとき、第2縦板における垂下片側の端縁に連設されている張出部が垂下片側に張り出す。
【0015】
そして、張出部の下方に連設された係止片を垂下片に係止させる。例えば具体的には、垂下片に凹部を形成し、係止片には垂下片の凹部に対応して係止可能な凸部を形成しておけばよい。これにより、基部に対する起立部の起立状態が維持される。
【0016】
以上のように、本発明の棚用仕切体は1枚の段ボール板紙から組み立てることができる。しかも、係止片が垂下片に係止することにより基部に対する起立部の起立状態が維持されるので、別部材を用いなくてもよい。また、本発明の棚用仕切体を未使用状態で扁平としておくときにも、クリップ等の別部材の管理が不要となり、取扱いが極めて容易である。
【0017】
本発明において、前記基部は、前記第2折目線を介して前記第1縦板が前記横板に対して起立状態となった時に、該第1縦板から遊離することにより前記横板に連続して前記棚板の上面への当接面積を前記第2縦板側に拡張する拡張部を備えることが好ましい。これにより、棚板の上面に対する基部の当接面積を十分に大きくすることができ、棚板に対して安定した取り付け状態で棚用仕切体を使用することができる。
【0018】
更に、前記起立部は、前記第2縦板の下縁に第4折目線を介して連設されて前記拡張部の上面に重合する重合片を備えることが好ましい。重合片によって拡張部が補強されるので、拡張部を比較的小さくして起立部の起立状態を強固に維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図3】本実施形態の棚用仕切体の組立工程を説明するための斜視図
【
図4】本実施形態の棚用仕切体の組立工程を説明するための斜視図
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1に示すように、本実施形態の棚用仕切体1は、多種類の物品を保管する物流倉庫等の棚において、種類別にその棚板T上を横方向に仕切るためのものである。
【0021】
本実施形態の棚用仕切体1は、棚板Tの上面に当接する基部2と、基部2上に立設された起立部3とを備えている。棚用仕切体1は、
図2に示すように、大略矩形状に打ち抜き形成された1枚の段ボール板紙4を所定の位置で折り曲げることによって組み立てられる。
【0022】
先ず、棚用仕切体1を形成する段ボール板紙4の構成について
図2を参照して説明する。段ボール板紙4は、横板5を備えている。横板5の前半部5aの横方向端部には前後方向に長い拡張部6が連設されている。
図2においては、説明の便宜上、横板5と拡張部6との境界を二点鎖線で示すが、横板5と拡張部6との境界には何も存在しておらず、横板5と拡張部6とは互いに連続して一体に形成されている。
【0023】
横板5から拡張部6にわたる前側縁には、横方向に延びる第1折目線7を介して垂下片8が連設されている。垂下片8には、切欠き9が形成されている。
【0024】
横板5の後半部5b(拡張部6の後方位置)の横方向端縁(第1折目線7に対して交差する方向に延びる端縁)には、第2折目線10を介して第1縦板11が連設されている。第2折目線10は、拡張部6の外側縁となる第1切目線12に連続して前後方向に延びている。第1切目線12は拡張部6と第1縦板11との境界に存在し、これによって拡張部6は第1縦板11から遊離自在となっている。
【0025】
第1縦板11における第2折目線10と反対側の横方向端縁(第1縦板11を起立させたときの上縁)には、第2折目線10と平行に延びる第3折目線13を介して第2縦板14が連設されている。第3折目線13は、所謂半切り(折り曲げ時に外側頂部となる側から外側のライナ及び段付き中芯に切込むことで片側にのみ切れ目を形成し、内側のライナで連設状態を維持するようにした折目線)により形成されている。
【0026】
第2縦板14の前側縁には、横方向(第2縦板14を起立させたときの上下方向)に長い張出部15が連設されいる。
図2においては、説明の便宜上、第2縦板14と張出部15との境界を二点鎖線で示すが、第2縦板14と張出部15との境界には何も存在しておらず、第2縦板14と張出部15とは互いに連続して一体に形成されている。
【0027】
更に、張出部15の一側方(第2縦板14が起立した状態のとき下方)に連続して係止片16が設けられている。係止片16には、垂下片8の切欠き9に対応する凸部17が形成されている。凸部17の突出量は垂下片8の厚み寸法(段ボール板紙4の厚み寸法)と同等の寸法とする。
【0028】
また、第2縦板14における第3折目線13と反対側の横方向端縁には、拡張部6に対応する形状の重合片18が第4折目線19を介して連設されている。重合片18と係止片16及び凸部17との境界は第2切目線20とされ、第4折目線19で重合片18を折り曲げることで、重合片18が第2切目線20を介して係止片16及び凸部17から離間する。
【0029】
次に、棚用仕切体1の組立手順について
図2及び
図3を参照して説明すれば、先ず、第1折目線7により、垂下片8を横板5に対して直角下方に折り曲げる。
【0030】
次いで、第2折目線10により、第1縦板11を横板5に対して直角上方に折り曲げて起立させる。このとき、拡張部6が第1縦板11から遊離し、これによって基部2が形成される。
【0031】
更に、第3折目線13により、第2縦板14を折り返して第1縦板11に重合させる。このとき、第2縦板14を第1縦板11に完全に重合させるに先立って、第4折目線19により重合片18を外方に折り曲げておく。
【0032】
続いて、第2縦板14を第1縦板11に完全に重合させると、重合片18が拡張部6上に重合し、同時に係止片16の凸部17が垂下片8の切欠き9に係合する。これによって起立部3が形成される。
【0033】
なお、係止片16の凸部17を垂下片8の切欠き9に係合させるときには、垂下片8を横板5の下面側に鋭角となるように更に折り曲げた状態で押さえておく。これにより、係止片16の凸部17が垂下片8に干渉しないようにすることができる。そして、係止片16の凸部17が垂下片8の切欠き9に対応する位置にきたときに、垂下片8を横板5に対して直角となる姿勢に戻す。これにより、第1折目線7での折り曲げに伴う垂下片8の復元弾性が生じ、垂下片8が係止片16への圧接方向に移動しようとするので、凸部17が切欠き9に強固に嵌り込んで係止片16の垂下片8への係止が強固に維持される。
【0034】
このように、本実施形態の棚用仕切体1は、極めて簡単に組み立てることができるだけでなく、垂下片8に係止する係止片16によって起立部3の起立状態が強固に維持される。よって、従来のようにクリップ等の別部材を用いることなく1枚の段ボール板紙4のみで棚用仕切体1を形成することができる。
【0035】
なお、段ボール板紙4から棚用仕切体1を組み立てる際には、上述した手順に限るものではなく、適宜組み立てやすい方法で組み立て作業を行えばよい。
【0036】
また、
図2に示すように、横板5の前半部5aと後半部5bとの境界に沿って、第1折目線7と平行に延びる補助折目線21を形成しておいてもよい。これによれば、
図4に示すように、組立時に横板5を補助折目線21に沿って一時的に折り曲げ、補助折目線21の折り曲げを解除しつつ係止片16の凸部17を垂下片8の切欠き9に係止させるようにすることができ、組立作業が容易となる。
【符号の説明】
【0037】
T…棚板、1…棚用仕切体、2…基部、3…起立部、4…段ボール板紙、5…横板、6…拡張部、7…第1折目線、8…垂下片、10…第2折目線、11…第1縦板、13…第3折目線、14…第2縦板、15…張出部、16…係止片、18…重合片、19…第4折目線。