(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前記従来の端子1では、弾性接触片3が電気接続部2の底壁2aの前端より直に折り曲げられていて、接触部3cの底壁2a側への変位により、接触部3cから斜め後ろ下方へ延びる自由端部3dが天井壁2dの内側に停止することなく深く入り込み、自由端部3dの押さえがないため、相手部材に対する接触部3cの接触荷重が不足してしまう問題があった。
【0008】
そこで、本発明は、前記した課題を解決すべくなされたものであり、弾性接触片の相手部材と接触する接触部の接触荷重を所望の接触荷重に維持(保持)したり、増やすことができる端子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の発明は、相手部材の導電部と接触する弾性接触片を有した筒状の電気接続部と、この筒状の電気接続部の後側に設けられて電線を接続する電線接続部と、を備えた端子において、前記弾性接触片は、前記筒状の電気接続部の下部に間隔をあけて配置され、前記相手部材の押上部により上方へ弾性変形する弾性変位部と、この弾性変位部の一端側の折曲げ自由端部を介して該弾性変位部の他端側の上方まで延びて折り曲げ形成され、該弾性変位部の上方への変位時に前記相手部材の導電部と接触する接触部を中途に有した弾性変形自在の弾性屈曲部と、を備え、前記筒状の電気接続部と前記弾性接触片の弾性屈曲部の自由端部の少なくとも一方に、該弾性屈曲部の弾性変位を維持する過大変位防止部を設けたことを特徴とする。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1記載の端子であって、前記筒状の電気接続部の上部に、前記弾性変位部の上方への変位時に前記弾性屈曲部の自由端部が当接する前記過大変位防止部としての過大変位防止片を設けたことを特徴とする。
【0011】
請求項3の発明は、請求項1記載の端子であって、前記弾性屈曲部の自由端部に前記過大変位防止部としての過大変位防止片を設け、かつ、前記筒状の電気接続部の側部に、前記弾性変位部の上方への変位時に前記過大変位防止片が当接する前記過大変位防止部としての過大変位防止孔を設けたことを特徴とする。
【0012】
請求項4の発明は、相手部材の導電部と接触する弾性接触片を有した筒状の電気接続部と、この筒状の電気接続部の後側に設けられて電線を接続する電線接続部と、を備えた端子において、前記弾性接触片は、前記筒状の電気接続部の下部に間隔をあけて配置され、前記相手部材の押上部により上方へ弾性変形する弾性変位部と、この弾性変位部の一端側の折曲げ自由端部を介して該弾性変位部の他端側の上方まで延びて折り曲げ形成され、該弾性変位部の上方への変位時に前記相手部材の導電部と接触する接触部を中途に有した弾性変形自在の弾性屈曲部と、を備え、前記折曲げ自由端部の近傍の前記弾性変位部と前記弾性屈曲部とを補助材で覆ったことを特徴とする。
【0013】
請求項5の発明は、請求項4記載の端子であって、前記補助材として樹脂材を量を可変させて用いたことを特徴とする。
【0014】
請求項6の発明は、請求項4記載の端子であって、前記補助材としてゴム材を量を可変させて用いたことを特徴とする。
【0015】
請求項7の発明は、相手部材の導電部と接触する弾性接触片を有した筒状の電気接続部と、この筒状の電気接続部の後側に設けられて電線を接続する電線接続部と、を備えた端子において、前記弾性接触片は、前記筒状の電気接続部の下部に間隔をあけて配置され、前記相手部材の押上部により上方へ弾性変形する弾性変位部と、この弾性変位部の一端側の折曲げ自由端部を介して該弾性変位部の他端側の上方まで延びて折り曲げ形成され、該弾性変位部の上方への変位時に前記相手部材の導電部と接触する接触部を中途に有した弾性変形自在の弾性屈曲部と、を備え、前記弾性屈曲部の中央より両側を下方に
長手方向に沿ってそれぞれ折り曲げ成形して断面逆V字状に形成したことを特徴とする。
【0016】
請求項8の発明は、請求項7記載の端子であって、前記断面逆V字状の弾性屈曲部の両側部間の角度を180度以下の角度で可変自在にしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように、請求項1の発明によれば、筒状の電気接続部と弾性接触片の弾性屈曲部の自由端部の少なくとも一方に、弾性屈曲部の弾性変位を維持する過大変位防止部を設けたことにより、相手部材の押上部により弾性接触片の弾性変位部が上方へ持ち上げられた際に、弾性接触片の弾性屈曲部が過大変位防止部の位置で止まって弾性変位が維持されるため、弾性屈曲部の接触部により常に所望の接触荷重で相手部材の導電部との接触が維持できる。
【0020】
請求項2の発明によれば、筒状の電気接続部の上部に、弾性変位部の上方への変位時に弾性屈曲部の自由端部が当接する過大変位防止部としての過大変位防止片を設けたことにより、相手部材の押上部により弾性接触片の弾性変位部が上方へ持ち上げられた際に、弾性接触片の弾性屈曲部が電気接続部の過大変位防止片の位置で止まって弾性変位が維持されるため、弾性屈曲部の接触部により常に所望の接触荷重で相手部材の導電部との接触が維持できる。
【0021】
請求項3の発明によれば、弾性屈曲部の自由端部に過大変位防止部としての過大変位防止片を設け、かつ、筒状の電気接続部の側部に、弾性変位部の上方への変位時に過大変位防止片が当接する過大変位防止部としての過大変位防止孔を設けたことにより、相手部材の押上部により弾性接触片の弾性変位部が上方へ持ち上げられた際に、弾性接触片の弾性屈曲部の自由端部に設けられた過大変位防止片が電気接続部の側部に設けられた過大変位防止孔の位置で止まって弾性変位が維持されるため、弾性屈曲部の接触部により常に所望の接触荷重で相手部材の導電部との接触が維持できる。
【0022】
請求項4の発明によれば、弾性接触片の弾性変位部の折曲げ自由端部の近傍の弾性変位部と弾性屈曲部とを補助材で覆ったことにより、弾性接触片の相手部材と接触する接触部の接触荷重を増やすことができる。
【0023】
請求項5の発明によれば、補助材として樹脂材を量を可変させて用いたことにより、部品点数を増やすことなく、弾性接触片の相手部材と接触する接触部の接触荷重を簡単かつ確実に調整すことができる。
【0024】
請求項6の発明によれば、補助材としてゴム材を量を可変させて用いたことにより、部品点数を増やすことなく、弾性接触片の相手部材と接触する接触部の接触荷重を簡単かつ確実に調整すことができる。
【0025】
請求項7の発明によれば、弾性接触片の弾性屈曲部の中央より両側を下方に
長手方向に沿ってそれぞれ折り曲げ成形して断面逆V字状に形成したことにより
、弾性接触片の相手部材と接触する接触部の接触荷重を増やすことができる。
【0026】
請求項8の発明によれば、断面逆V字状の弾性屈曲部の両側部間の角度を180度以下の角度で可変自在にしたことにより、部品点数を増やすことなく、弾性接触片の相手部材と接触する接触部の接触荷重を簡単かつ確実に調整すことができる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0031】
図1は本発明の第1実施形態の端子を示す斜視図、
図2は同端子の平面図、
図3は同端子の要部を断面で示す斜視図、
図4は同端子の正面図、
図5は同端子に電線を接続した状態の斜視図、
図6は同端子の弾性接触片が変位する前の状態の断面図、
図7は同端子の弾性接触片が変位した状態の断面図である。
【0032】
図1〜
図7に示すように、端子10は、カードエッジコネクタ8の端子収容室8aに収容される雌型の端子であり、基板ユニットのコネクタ収容部(相手部材)5の基板6の導電部6aと接触する弾性接触片16を有した四角(矩形)筒状の電気接続部11と、この四角筒状の電気接続部11の後側に一体に設けられて被覆電線(電線)Wを接続する電線接続部19と、を備えていて、図示しない一枚の金属板をプレス加工することにより形成されている。
【0033】
図1、
図4、
図5に示すように、電気接続部11は、底壁部(下部)11aと、この底壁部11aの両側縁から上方に垂直に折り曲げられた左右の側壁部(側部)11b,11bと、この側壁部11bの一方から底壁部11aと平行になるように折り曲げられた天壁部(上部)11cとで四角筒状(箱状)に形成されており、天壁部11cには、矩形の開口孔11dが形成されている。
【0034】
図6、
図7に示すように、弾性接触片16は、電気接続部11の底壁部11aに後述する隙間(間隔)Hを有して配置され、基板ユニットのコネクタ収容部5のホルダ7の押上突起(押上部)7aにより上方へ押し上げられて弾性変形する弾性変位部17と、この弾性変位部17の前端側(一端側)の折曲げ自由端部17aを介して該弾性変位部17の後部(他端側)17cの上方まで延びて側面へ字状に折り曲げ形成され、弾性変位部17の上方への変位時に天壁部11cの開口孔11dより外側に突出して基板6の導電部6aと接触する接触部18aを中途に有した弾性変形自在の弾性屈曲部18と、を備えている。
【0035】
図3、
図6、
図7に示すように、弾性変位部17は、幅狭の矩形板状に形成されていて、その後端17dが電気接続部11の側壁部11bに連設されている。また、弾性変位部17は、電気接続部11の底壁部11aに形成された矩形の切欠き孔11eの後縁から切り起こされた起立片11fに水平になるように載置されている。これにより、弾性変位部17は、
図6に示すように、電気接続部11の底壁部11aと弾性変位部17との間に隙間(間隔)Hを有すると共に、
図2、
図4に示すように、電気接続部11の両側壁部11b,11bと間に所定の隙間をそれぞれ有していて、その後部17c側から前端側がホルダ7の押上突起7aにより上方へ弾性変形して持ち上がった状態に変位するようになっている。さらに、弾性変位部17の前端には、R形状に折り曲げられた折曲げ自由端部17aを有しており、この折曲げ自由端部17aの上側の折曲げ重ね部17bに弾性屈曲部18が連設されている。
【0036】
図2、
図3、
図6、
図7に示すように、弾性屈曲部18は、接触部18aの幅が広く、自由端部18c側が接触部18aの幅より狭くなっている板状に形成されていて、中途にある接触部18aを境にして側面へ字状(側面逆V字状)に折り曲げ形成されている。また、弾性屈曲部18の長手方向の中央には、接触部18aを跨ぐように断面逆U字状のビード加工部18bが打ち出し形成されている。さらに、弾性屈曲部18の自由端部18cは、上方に傾斜するように折り曲げ形成されている。
【0037】
また、
図1〜
図3に示すように、電気接続部11の天壁部11cの開口孔11dの後側縁には、弾性変位部17の上方への変位時に弾性屈曲部18の自由端部18cが当接して過大変位を防止する過大変位防止片(過大変位防止部)12を下方に垂直に折り曲げ形成してある。
【0038】
さらに、
図2、
図3に示すように、電気接続部11の側壁部11bには、弾性変位部17の上方への変位時に弾性屈曲部18の自由端部18cが当接して下方への変位を規制する支持片を兼ねた過大変位防止片(過大変位防止部)13を垂直に折り曲げ形成してある。
【0039】
図1、
図5に示すように、電線接続部19は、被覆電線(電線)Wの導体Waを加締め固定する導体圧着部19aと、この導体圧着部19aに連設され、被覆電線Wの絶縁被覆Wbを加締め固定する絶縁被覆圧着部19bを有している。
【0040】
尚、基板6の基板本体とホルダ7及びカードエッジコネクタ8のコネクタハウジングは合成樹脂によりそれぞれ形成されている。また、
図7に示すように、カードエッジコネクタ8には、端子10を収容する端子収容室8aが複数形成されており、この複数の端子収容室8aに対向する位置には、電気接続部11の底壁部11aの切欠き孔11eより挿入されて端子10を係止する係止ランス8bがそれぞれ一体形成されている。そして、基板ユニットのコネクタ収容部5にカードエッジコネクタ8が嵌合されることで、基板ユニットのコネクタ収容部5の基板6の導電部6aとカードエッジコネクタ8の端子収容室8aに収容された端子10の弾性接触片16の接触部18aが接触されるようになっている。
【0041】
以上第1実施形態の端子10によれば、
図7に示すように、カードエッジコネクタ8の端子収容室8aに端子10を収容し、基板ユニットのコネクタ収容部5に嵌合すると、基板ユニットのコネクタ収容部5のホルダ7の押上突起7aにより、端子10の弾性接触片16の弾性変位部17が上方へ持ち上がった状態に変位し、弾性接触片16の弾性屈曲部18の接触部18aが基板6の導電部6aと接触する。
【0042】
即ち、ホルダ7の押上突起7aにより端子10の弾性接触片16の弾性変位部17が上方へ持ち上がった状態に変位して、弾性接触片16の弾性屈曲部18の接触部18aが基板6の導電部6aと接触し、弾性屈曲部18の接触部18aが
図7で矢印Yで示す弾性変位方向に変位した際に、側面へ字状の弾性屈曲部18に荷重が加わる。その際、側面へ字状の弾性屈曲部18に対し、断面逆U字状のビード加工部18bが梁の役割をし、剛性が上がるため、必要な接触荷重が確保できる。
【0043】
また、弾性接触片16は、
図6に示す状態から
図7に示す状態に変位する。この際、弾性接触片16の弾性屈曲部18の自由端部18cが、電気接続部11の天壁部11cの開口孔11dの後側縁に設けられ、過大変位を防止する過大変位防止片12、及び、側壁部11bに設けられ、下方への変位を規制する支持片を兼ねた過大変位防止片13にそれぞれ当接して、所望の接触荷重で弾性変位(バネ変位)が維持される。
【0044】
このように、ホルダ7の押上突起7aにより弾性接触片16の弾性変位部17が上方へ持ち上げられた際に、弾性接触片16の弾性屈曲部18の自由端部18cが電気接続部11の過大変位防止片12及び過大変位防止片13の位置で止まって弾性変位が維持されるため、弾性屈曲部18の接触部18aにより常に所望の接触荷重で基板6の導電部6aとの接触が維持できる。即ち、弾性屈曲部18の自由端部18cが止まる過大変位防止片12及び過大変位防止片13により、弾性接触片16の基板6の導電部6aと接触する接触部18aの接触荷重を所望の接触荷重に常に保持することができる。
【0045】
図8は第2実施形態の端子を示す斜視図、
図9は同端子の平面図、
図10は同端子の要部を断面で示す斜視図、
図11は同端子に電線を接続した状態の斜視図、
図12は同端子の弾性接触片が変位する前の状態の断面図、
図13は同端子の弾性接触片が変位した状態の断面図である。
【0046】
この第2実施形態の端子10Aは、弾性屈曲部18の自由端部18cと四角筒状の電気接続部11の両側壁部11b,11bとの両方に過大変位防止部14,15を設けている点が前記第1実施形態と異なる。尚、他の構成は、前記第1実施形態と同一であるため、同一構成部分に同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0047】
図8〜
図13に示すように、弾性屈曲部18の自由端部18cの両側に過大変位を防止する一対の過大変位防止片(過大変位防止部)14,14をそれぞれ一体突出形成してある。さらに、四角筒状の電気接続部11の両側壁部11b,11bに、弾性変位部17の上方への変位時に弾性屈曲部18の各過大変位防止片14が当接して過大変位を防止する矩形の過大変位防止孔(過大変位防止部)15をそれぞれ形成してある。
【0048】
以上第2実施形態の端子10Aによれば、
図13に示すように、カードエッジコネクタ8の端子収容室8aに端子10を収容し、基板ユニットのコネクタ収容部5に嵌合すると、基板ユニットのコネクタ収容部5のホルダ7の押上突起7aにより端子10の弾性接触片16の弾性変位部17が上方へ持ち上がった状態に変位し、弾性接触片16の弾性屈曲部18の接触部18aが基板6の導電部6aと接触する。
【0049】
即ち、ホルダ7の押上突起7aにより端子10の弾性接触片16の弾性変位部17が上方へ持ち上がった状態に変位して、弾性接触片16の弾性屈曲部18の接触部18aが基板6の導電部6aと接触し、弾性屈曲部18の接触部18aが
図13で矢印Yで示す弾性変位方向に変位した際に、側面へ字状の弾性屈曲部18に荷重が加わる。その際、側面へ字状の弾性屈曲部18に対し、断面逆U字状のビード加工部18bが梁の役割をし、剛性が上がるため、必要な接触荷重が確保できる。
【0050】
また、弾性接触片16は、
図12に示す状態から
図13に示す状態に変位する。この際、電気接続部11の両側壁部11b,11bに設けられた各過大変位防止孔15の下縁に、弾性接触片16の弾性屈曲部18の自由端部18cの両側に設けられた各過大変位防止片14が当接して、所望の接触荷重で弾性変位(バネ変位)が維持される。
【0051】
このように、ホルダ7の押上突起7aにより弾性接触片16の弾性変位部17が上方へ持ち上げられた際に、弾性接触片16の弾性屈曲部18の自由端部18cの各過大変位防止片14が電気接続部11の両側壁部11b,11bの各過大変位防止孔15の下縁の位置で止まって弾性変位が維持されるため、弾性屈曲部18の接触部18aにより常に所望の接触荷重で基板6の導電部6aとの接触が維持できる。即ち、弾性屈曲部18の自由端部18cの過大変位防止片14が止まる電気接続部11の過大変位防止孔15により、弾性接触片16の基板6の導電部6aと接触する接触部18aの接触荷重を所望の接触荷重に常に保持することができる。
【0052】
また、前記第1実施形態の弾性屈曲部18の自由端部18cの下方への変位を規制する支持片を兼ねた過大変位防止片13が不要となるため、その分、構造の簡素化及び低コスト化を図ることができる。
【0053】
図14は本発明の第3実施形態の端子を断面で示す斜視図、
図15は同端子の断面図、
図16(a)は同端子の要部の部分断面図、
図16(b)は同要部の他の形態の部分断面図である。
【0054】
この第3実施形態の端子10Bは、
図14〜
図16(a),(b)に示すように、基板ユニットのコネクタ収容部(相手部材)5の基板6の導電部6aと接触する弾性接触片16を有した四角筒状の電気接続部11と、この四角筒状の電気接続部11の後側に設けられて被覆電線(電線)Wを接続する電線接続部19と、を備え、弾性接触片16は、四角筒状の電気接続部11の底壁部(下部)11aに間隔Hをあけて配置され、基板ユニットのコネクタ収容部5のホルダ7の押上突起(押上部)7aにより上方へ弾性変形する弾性変位部17と、この弾性変位部17の前端側(一端側)の折曲げ自由端部17aを介して弾性変位部17の後部(他端側)17cの上方まで延びて側面へ字状に折り曲げ形成され、弾性変位部17の上方への変位時に基板ユニットのコネクタ収容部5の基板6の導電部6aと接触する接触部18aを中途に有した弾性変形自在の弾性屈曲部18と、を備えている点は、前記第1実施形態と同様である。
【0055】
ここで、
図14〜
図16(a),(b)に示すように、弾性接触片16の弾性変位部17の前端側の折曲げ自由端部17aの近傍の弾性変位部17の前側と弾性屈曲部18の前側とを樹脂材(補助材)20で覆ってある。
【0056】
以上第3実施形態の端子10Bによれば、
図16(a)で示すように、弾性接触片16の弾性変位部17の前端側の折曲げ自由端部17aの近傍の弾性変位部17の前側と弾性屈曲部18の前側とを補助材としての樹脂材20で覆うことにより、部品点数を増やすことなく、補助部を追加し、弾性接触片16を撓み難くする。これにより、弾性接触片16の基板ユニットのコネクタ収容部5の基板6の導電部6aと接触する接触部18aの接触荷重を増やすことができる。即ち、弾性変位部17の前側と弾性屈曲部18の前側を覆う樹脂材20が無いと、弾性屈曲部18の接触部18aがより深く沈み込むため、その接触荷重が下がってしまうが、樹脂材20でその自由を抑えてあげることにより、接触荷重を上げる(増やす)ことができる。
【0057】
このように、弾性接触片16の弾性変位部17の前端側の折曲げ自由端部17aの近傍の弾性変位部17の前側と弾性屈曲部18の前側とを樹脂材20で覆うことにより、弾性接触片16の弾性変位部17の前端側の折曲げ自由端部17aを抑え、基板6の導電部6aに対する弾性接触片16の接触部18aの接触荷重を確保することができる。
【0058】
また、
図16(b)に示すように、樹脂材20の量を増やすことにより、基板6の導電部6aに対する弾性接触片16の接触部18aの接触荷重をより一段と増やすことができる。
【0059】
このように、樹脂材20の量や長さを調整することにより、基板6の導電部6aに対する弾性接触片16の接触部18aの接触荷重と、電気接続部11の底壁部11aと弾性接触片16の弾性変位部17との間の隙間Hに挿入されるホルダ7の押上突起7aの挿入力とをそれぞれ簡単かつ確実に調整することができる。
【0060】
図17は本発明の第4実施形態の端子を断面で示す斜視図、
図18は同端子の断面図、
図19(a)は同端子の要部の部分断面図、
図19(b)は同要部の他の形態の部分断面図である。
【0061】
この第4実施形態の端子10Cは、
図17〜
図19(a),(b)に示すように、弾性接触片16の弾性変位部17の前端側(一端側)の折曲げ自由端部17aの近傍の弾性変位部17の前側と弾性屈曲部18の前側とをゴム材(補助材)21で覆ってある点が前記第3実施形態と異なる。尚、他の構成は、前記第3実施形態と同一であるため、同一構成部分に同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0062】
以上第4実施形態の端子10Cによれば、
図19(a)で示すように、弾性接触片16の弾性変位部17の前端側の折曲げ自由端部17aの近傍の弾性変位部17の前側と弾性屈曲部18の前側とを補助材としてのゴム材21で覆うことにより、部品点数を増やすことなく、補助部を追加し、弾性接触片16を撓み難くする。これにより、弾性接触片16の基板ユニットのコネクタ収容部5の基板6の導電部6aと接触する接触部18aの接触荷重を増やすことができる。即ち、弾性変位部17の前側と弾性屈曲部18の前側を覆うゴム材21が無いと、弾性屈曲部18の接触部18aがより深く沈み込むため、その接触荷重が下がってしまうが、ゴム材21でその自由を抑えてあげることにより、接触荷重を上げる(増やす)ことができる。
【0063】
このように、弾性接触片16の弾性変位部17の前端側の折曲げ自由端部17aの近傍の弾性変位部17の前側と弾性屈曲部18の前側とをゴム材21で覆うことにより、弾性接触片16の弾性変位部17の前端側の折曲げ自由端部17aを抑え、基板6の導電部6aに対する弾性接触片16の接触部18aの接触荷重を確保することができる。
【0064】
また、
図19(b)に示すように、ゴム材21の量を増やすことにより、基板6の導電部6aに対する弾性接触片16の接触部18aの接触荷重をより一段と増やすことができる。
【0065】
このように、ゴム材21の量や長さを調整することにより、基板6の導電部6aに対する弾性接触片16の接触部18aの接触荷重と、電気接続部11の底壁部11aと弾性接触片16の弾性変位部17との間の隙間Hに挿入されるホルダ7の押上突起7aの挿入力とをそれぞれ簡単かつ確実に調整することができる。
【0066】
図20は本発明の第5実施形態の端子を示す斜視図、
図21は同端子の断面図、
図22(a)は同端子の要部の部分断面図、
図22(b)は同要部の他の形態の部分断面図、
図23は同端子の使用状態を示す部分断面図である。
【0067】
この第5実施形態の端子10Dは、
図20、
図23に示すように、基板ユニットのコネクタ収容部(相手部材)5の基板6の導電部6aと接触する弾性接触片16を有した四角筒状の電気接続部11と、この四角筒状の電気接続部11の後側に設けられて被覆電線(電線)Wを接続する電線接続部19と、を備え、弾性接触片16は、四角筒状の電気接続部11の底壁部(下部)11aに間隔Hをあけて配置され、基板ユニットのコネクタ収容部5のホルダ7の押上突起(押上部)7aにより上方へ弾性変形する弾性変位部17と、この弾性変位部17の前端側(一端側)の折曲げ自由端部17aを介して弾性変位部17の後部(他端側)17cの上方まで延びて側面へ字状に折り曲げ形成され、弾性変位部17の上方への変位時に基板6の導電部6aと接触する接触部18aを中途に有した弾性変形自在の弾性屈曲部18と、を備えている点は、前記第1実施形態と同様である。
【0068】
ここで、
図20〜
図23に示すように、弾性接触片16の弾性屈曲部18の中央より両側を下方に長手方向に沿ってそれぞれ折り曲げ成形して断面逆V字状に形成してある。即ち、
図22(a),(b)に示すように、断面逆V字状の弾性屈曲部18の両側部18d,18d間の角度θを、180度以下の角度で可変自在にしてある。
【0069】
以上第5実施形態の端子10Dによれば、
図22(a)に示すように、断面逆V字状の弾性屈曲部18の両側部18d,18d間の角度θが狭い場合には、その角度が狭くなる分、基板6の導電部6aと接触する接触部18aが高くなるため、基板6の導電部6aとの接触を高い位置で受け止めることができるようになり、弾性屈曲部18の自由に動ける範囲が減り、接触荷重を増やすことができる。
【0070】
また、
図22(b)に示すように、断面逆V字状の弾性屈曲部18の両側部18d,18d間の角度θが広い場合には、その角度が広くなる分、基板6の導電部6aと接触する接触部18aが低くなるため、基板6の導電部6aとの接触を低い位置で受け止めることができるようになり、弾性屈曲部18の自由に動ける範囲が増え、接触荷重を減らすことができる。
【0071】
このように、断面逆V字状の弾性屈曲部18の両側部18d,18dの折り曲げ角度を調整を行うことができるため、基板6の導電部6aに対する弾性接触片16の接触部18aの高さ調整が可能となり、部品点数を増やすことなく、接触部18aの接触荷重と、電気接続部11の底壁部11aと弾性接触片16の弾性変位部17との間の隙間Hに挿入されるホルダ7の押上突起7aの挿入力と、をそれぞれ簡単かつ確実に調整することができる。
【0072】
図24は本発明の第6実施形態の端子を示す断面図、
図25は同端子の相手部材挿入前の部分断面図、
図26は同端子の相手部材挿入開始時の部分断面図、
図27は同端子の相手部材挿入後の部分断面図である。
【0073】
図24に示すように、端子30は、雌型の端子であり、雄型の端子(相手部材)9のタブ9aと接触する弾性接触片33を有した四角(矩形)筒状の電気接続部31と、この四角筒状の電気接続部31の後側に一体に設けられて被覆電線(電線)Wを接続する電線接続部39と、を備えていて、図示しない一枚の金属板をプレス加工することにより形成されている。
【0074】
図24〜
図27に示すように、電気接続部31は、底壁部(下部)31aと、この底壁部31aの両側縁から上方に垂直に折り曲げられた左右の側壁部(側部)31b,31bと、この側壁部31bの一方から底壁部31aと平行になるように折り曲げられた天壁部(上部)31cとで四角筒状(箱状)に形成されている。
【0075】
この四角筒状の電気接続部31の側壁部31bの上端部には、天壁部31cに併設するように弾性接触片33が連設されている。また、四角筒状の電気接続部31の底壁部31aの中央には、雄型の端子9のタブ9aと接触する波状の凹凸部(接触部)32が形成されている。
【0076】
図24〜
図27に示すように、弾性接触片33は、四角筒状の電気接続部31の底壁部31aに設けられた凹凸部32に対向する位置に、雄型の端子9と接触する接触部34aを有した弾性変形自在の弾性屈曲部34を備えている。
【0077】
この弾性屈曲部34は、側面逆へ字(V字状)に形成されていて、その前端34bが電気接続部31の側壁部31bの上端部に連設されている。また、弾性屈曲部34の略中央には接触部34aがU字状に突出するように一体形成されている。さらに、弾性屈曲部34の自由端部34cは下方に垂直に折り曲げ形成されている。弾性屈曲部34の略中央にある接触部34aと電気接続部31の底壁部31aの略中央の凹凸部32との間隔hは、雄型の端子9の肉厚よりも狭くなるように形成されている。
【0078】
図24〜
図27に示すように、電気接続部31の天壁部31cの後側縁には、弾性屈曲部34の接触部34aの上方への変位時に該弾性屈曲部34の自由端部34cが当接して過大変位を防止する過大変位防止片(過大変位防止部)35が下方に垂直に折り曲げ形成されている。また、
図24に示すように、弾性屈曲部34の自由端部34cと過大変位防止片35との間には所定のクリアランス(隙間)tが設けられている。
【0079】
図24に示すように、電線接続部39は、被覆電線(電線)Wの導体Waを加締め固定する導体圧着部39aと、この導体圧着部39aに連設され、被覆電線Wの絶縁被覆Wbを加締め固定する絶縁被覆圧着部39bを有している。
【0080】
以上第6実施形態の端子30によれば、
図24及び
図25に示すように、雄型の端子9のタブ9aを四角筒状の電気接続部31内に挿入する前は、弾性接触片33の弾性屈曲部34の自由端部34cと過大変位防止片35との間に所定のクリアランスtがある。
【0081】
そして、
図26に示すように、四角筒状の電気接続部31内に雄型の端子9のタブ9aが挿入されると、弾性接触片33の弾性屈曲部34が変位する。端子9のタブ9aの挿入中は、弾性接触片33の弾性屈曲部34の変位により、端子9のタブ9aの挿入力を低くすることができる。
【0082】
さらに、
図27に示すように、四角筒状の電気接続部31内に雄型の端子9のタブ9aが挿入された後は、弾性屈曲部34の自由端部34cと過大変位防止片35が接触する。この接触により、雄型の端子9のタブ9aの挿入後は、弾性接触片33の弾性屈曲部34の端子9のタブ9aと接触する接触部34aの接触荷重を高い接触荷重に保持することができる。
【0083】
このように、四角筒状の電気接続部31の天壁部31cに、弾性接触片33の弾性屈曲部34の自由端部34cが当接して過大変位を防止する過大変位防止片35を設けたことにより、弾性接触片33の弾性屈曲部34の雄型の端子9のタブ9aと接触する接触部34aの接触荷重を所望の接触荷重に維持することができる。
【0084】
また、弾性屈曲部34の自由端部34cと過大変位防止片35との間に所定のクリアランスtを設けたことにより、雄型の端子9のタブ9aの挿入時は、端子9のタブ9aの挿入力を下げることができ、端子9のタブ9aの挿入後は、弾性接触片33の弾性屈曲部34の端子9のタブ9aと接触する接触部34aの接触荷重を高い接触荷重に保持することができる。
【0085】
尚、前記各実施形態によれば、電気接続部を四角(矩形)筒状に形成したが、電気接続部は円筒状や楕円筒状等他の形状を含むことは勿論である。
【0086】
また、前記第1〜第5実施形態によれば、一枚の金属板をプレス加工することにより、弾性接触片を四角筒状の電気接続部の底壁部の上方に位置するように一体形成した端子について説明したが、別部材で形成した弾性接触片を四角筒状の電気接続部の底壁部の上方に位置するように組み込んで端子を形成しても良い。
【0087】
さらに、前記第1〜第5実施形態によれば、弾性変位部の前端側の折曲げ自由端部を介して該弾性変位部の後部の上方まで延びるように弾性屈曲部を折り曲げ形成した弾性接触片について説明したが、弾性接触片の弾性変位部の後端側に折曲げ自由端部を形成して、該後端側の折曲げ自由端部を介して弾性変位部の前部の上方まで延びるように弾性屈曲部を折り曲げ形成しても良い。
【0088】
さらに、前記第1〜第5実施形態によれば、基板ユニットのコネクタ収容部の基板の片面側に複数形成された各導電部と接触する弾性接触片を有した端子について説明したが、基板の両面に導電部を複数形成した基板ユニットに適用できることは勿論である。この場合は、基板の両面に複数形成された各導電部と弾性接触片がそれぞれ接触するように複数の端子を基板を挟むように配置すれば良い。