(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、貝殻には、生育中に藻類が付着する。藻類は、強固に貝殻に付着するため、貝殻を洗浄するのみでは十分に除去することが困難である。また、藻類は、化学的な安定性が高いセルロースからなる細胞壁を有しているため、バクテリアによる貝肉の発酵分解等、貝殻を溶解しないような処理により除去することが困難である。
【0006】
貝殻に付着した藻類が十分に除去されないと、再資源化した炭酸カルシウム資材に藻類が不純物として混入する。不純物として混入した藻類は、炭酸カルシウム資材を養鶏用飼料、土壌改良資材、食品添加物、ファンデーション等の化粧品の原料として使用した場合、最終製品において夾雑物となり、製品としての炭酸カルシウム資材の品質を低下させる。この問題は、海生貝類の貝殻を再資源化する場合に限らず、淡水真珠を採種した後のカワシンジュガイの貝殻や、貝肉を取り出した後のシジミの貝殻等、淡水生貝類の貝殻を再資源化する場合にも共通する。
【0007】
さらに、海生貝類の貝殻を再資源化する場合、藻類に含まれる塩分が炭酸カルシウム資材に残存することにより、炭酸カルシウム資材の用途によっては重大な影響を及ぼす虞がある。例えば、炭酸カルシウム資材を土壌改良資材に用いた場合、炭酸カルシウム資材に含有される塩分によって塩害が生じる虞があり、また、炭酸カルシウム資材をセメント原料に用いた場合、炭酸カルシウム資材に含有される塩分によって鉄筋等の腐食を誘発する虞がある。また、これらの用途以外においても、炭酸カルシウム資材に含まれる塩分の含有量をより少なくすることが求められている。
【0008】
本発明は、上述した従来の課題を解決するためになされたものであり、貝殻を再資源化する際に、貝殻に付着した藻類を除去して、より良質の炭酸カルシウム資材を得る技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的の少なくとも一部を達成するために、本発明は、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0010】
[適用例1]
貝類から貝肉が除去された貝殻を焼成して焼成貝殻を得る炉と、前記焼成貝殻から藻類を除去する藻類除去装置
と、を備える炭酸カルシウム資材の製造装置であって、
前記藻類除去装置は、細毛が立植された回転可能な細毛立植部と、前記細毛立植部を前記焼成貝殻に接触させた状態で前記細毛立植部と前記焼成貝殻とを相対的に移動させる貝殻相対移動部と、を備える、
炭酸カルシウム資材の製造装置。
【0011】
細毛が立植された回転可能な細毛立植部を焼成貝殻に接触させた状態で細毛立植部と焼成貝殻とを相対的に移動させることにより、細毛立植部が回転する。この細毛立植部が回転することにより、細毛立植部に接触した焼成貝殻は細毛立植部から脱落する一方、細毛立植部に接触した藻類は、細毛立植部に引っ掛かり細毛立植部に取り込まれる。これにより、焼成貝殻から藻類が除去される。そして、焼成貝殻から藻類が除去されることにより、藻類の混入量をより少なくしたより良質の炭酸カルシウム資材を得ることができる。
【0012】
[適用例2]
適用例1記載の
炭酸カルシウム資材の製造装置であって、前記細毛立植部は、円筒状の芯材の外周に形成されている、
炭酸カルシウム資材の製造装置。
【0013】
上述のように、焼成貝殻と藻類との分離は、細毛立植部の回転によって行われる。そのため、細毛立植部を円筒状の芯材の外周に形成し、細毛立植部の回転速度が速くすることにより、藻類の除去効率をより高くすることができる。
【0014】
[適用例3]
適用例1または2記載の
炭酸カルシウム資材の製造装置であって、前記貝殻相対移動部は、前記焼成貝殻を搬送する搬送装置である、
炭酸カルシウム資材の製造装置。
【0015】
焼成貝殻を搬送する搬送装置により細毛立植部と焼成貝殻とを相対的に移動させることにより、工程間における貝殻の搬送時に藻類が除去できるので、炭酸カルシウム資材の製造工程および製造設備の簡略化を図ることができる。
【0016】
[適用例4]
炭酸カルシウム資材の製造方法であって、貝類から貝肉が除去された貝殻を焼成して焼成貝殻を得る焼成工程と、前記焼成工程において得られた前記焼成貝殻から藻類を除去する藻類除去工程と、を備え、前記藻類除去工程は、細毛が立植された回転可能な細毛立植部を前記焼成貝殻に接触させた状態で前記細毛立植部と前記焼成貝殻とを相対的に移動させることにより実現される、炭酸カルシウム資材の製造方法。
【0017】
細毛が立植された回転可能な細毛立植部を焼成貝殻に接触させた状態で細毛立植部と焼成貝殻とを相対的に移動させることにより、細毛立植部が回転する。この細毛立植部が回転することにより、細毛立植部に接触した焼成貝殻は細毛立植部から脱落する一方、細毛立植部に接触した藻類は、細毛立植部に引っ掛かり細毛立植部に取り込まれる。これにより、焼成貝殻から藻類が除去される。そして、焼成貝殻から藻類が除去されることにより、藻類の混入量をより少なくしたより良質の炭酸カルシウム資材を得ることができる。
【0018】
[適用例5]
適用例4記載の炭酸カルシウム資材の製造方法であって、さらに、前記焼成工程の後において、前記焼成貝殻を破砕して破砕貝殻を得る破砕工程を備え、前記藻類除去工程は、前記破砕工程において得られた前記破砕貝殻から前記藻類を除去する、炭酸カルシウム資材の製造方法。
【0019】
一般的な貝殻には、貝殻の内側等の凹部が多く存在する。そこで、この適用例のように、貝殻を破砕して凹部を少なくし、凹部の少ない破砕貝殻から藻類を除去することで、より確実に藻類を除去することが可能となるので、さらに良質な炭酸カルシウム資材を得ることが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明を実施するための形態を以下の順序で説明する。
A.実施形態:
B.変形例:
【0022】
A.実施形態:
図1および
図2は、本発明の一実施形態における養鶏用飼料の製造工程を示す工程図である。本実施形態の養鶏用飼料は、出発原料としての貝殻11を再資源化処理することにより製造される。本実施形態の養鶏用飼料製造工程においては、まず、
図1(a)に示すように、再資源化の対象となる貝殻11が準備される。貝殻11としては、例えば、発電所等の海水を利用する施設の水路に発生したムラサキイガイ等の海生貝類から貝肉を除去したものが使用される。貝殻11としては、海生貝類の他、淡水生あるいは汽水生の貝類(カワヒバリガイ等)の貝殻を用いることも可能である。貝肉の除去は、例えば、貝肉を含む貝全体とおが屑等の媒体材とを混合したものを盛土状に堆積し(例えば、特開2012−110795号公報参照)、あるいは、貝全体を曝気槽に投入して(例えば、特開2007−160130号公報参照)、貝肉を発酵分解させることで行うことができる。また、貝殻11として、アサリ、シジミ、ホタテ貝等の食用貝類の残滓である貝殻や、アコヤガイやカワシンジュガイ等の真珠貝から真珠を採種した残滓である貝殻を使用することも可能である。なお、食用貝や真珠貝の貝殻に貝肉が残存する場合には、上述のように貝肉を発酵分解させて、残存する貝肉が除去される。
【0023】
準備された貝殻11は、
図1(b)に示すように、水112により洗浄される。具体的には、まず、準備された貝殻11を金網籠120に装入し、金網籠120を振り動かすことにより、貝肉の除去に使用され、貝殻11に付着している媒体材等を篩い落とす。次いで、貝殻11が装入された金網籠120をピット110に貯留された水112に投入し、金網籠120を振り動かすことにより、貝殻11は洗浄される。なお、貝殻の洗浄は、この方法の他、種々の方法によって行うことも可能である。例えば、貝殻に流水を噴射して洗浄を行うものとしても良く、上面が開いた容器に貝殻を装入して当該容器を水没させて振り動かすものとしても良い。後者の場合においても、媒体材がおが屑などの低比重のものであれば、除去することができる。また、準備される貝殻11の状態によっては、洗浄を省略し、あるいは、複数の方法によって洗浄を行うことも可能である。
【0024】
洗浄の後、貝殻11は、天日干しされることで乾燥される(
図1(c))。天日干しによる乾燥により、貝殻11に含まれる水分が焼成(後述する)の工程に影響を与えない程度(例えば、水分量が貝殻11全体の5重量%以下)に調整される。なお、準備される貝殻11の状態によっては、乾燥を省略することも可能である。
【0025】
乾燥された貝殻11は、
図1(d)に示すように、過熱水蒸気炉200を用いて焼成される。過熱水蒸気炉200は、炉体202と、過熱水蒸気の発生源である蒸気発生装置210とを有している。蒸気発生装置210で発生された過熱水蒸気は、配管212を通して炉体202内部に導入される。炉体202には、炉体202の内部を通過する搬送装置220が取り付けられており、搬送装置220の一端(
図1(d)では右端)から投入された貝殻11は、炉体202内部を通過して焼成され、搬送装置220の他端(
図1(d)では左端)から焼成された貝殻(焼成貝殻)12が取り出される。なお、貝殻11の焼成は、過熱水蒸気炉200のほか、ロータリーキルン、電気炉等の種々の炉を用いて行うことができる。
【0026】
なお、貝殻11の焼成を行う際の温度は、温度が高くなりすぎると貝殻11自体が炭化するため、150℃以下とするのが好ましい。一方、貝殻11が到達する最高温度(到達温度)が低すぎると、貝殻11に存在する可能性があるサルモネラ菌等の細菌類が焼成後の貝殻(焼成貝殻)12に残存する可能性がある。そのため、到達温度は、100℃以上とするのが好ましく、さらに、貝殻11を滅菌状態とするため、到達温度は、120℃以上とするのが好ましい。また、貝殻11が炉体202内を移動する時間(焼成時間)は、焼成貝殻12をより確実に滅菌状態とするため、5分以上とするのがより好ましく、10分以上とするのがさらに好ましい。
【0027】
焼成の後、
図2(a)に示すように、焼成貝殻12から藻類が除去される。藻類の除去は、焼成貝殻12を搬送装置300の一端に投入し、搬送装置300により焼成貝殻12を搬送する際に、搬送装置300上に配置された藻類除去ローラ900により行われる。これにより、搬送装置300により搬送された先において、焼成貝殻12から藻類が除去された焼成貝殻13が得られる。この藻類除去ローラ900の構成、および、藻類除去ローラ900による藻類の除去の詳細については、後述する。なお、
図2(a)では、4つの藻類除去ローラ900を用いているが、藻類除去ローラ900の数は1以上の任意の数とすることができる。
【0028】
藻類が除去された焼成貝殻13は、次に破砕機400に投入されて破砕され、破砕貝殻14が得られる(
図2(b))。破砕機400としては、鬼歯412が設けられた2つのロール410を回転駆動させ、2つのロール410に設けられた鬼歯412に被破砕物(ここでは、焼成貝殻13)を噛み込ませて破砕する一般的な破砕機を用いることができる。なお、
図2の例では、2つのロール410を用いる破砕機400を用いて焼成貝殻13を破砕しているが、焼成貝殻13の破砕は、他の種類の破砕機(例えば、打撃式の破砕機や単一ロールの破砕機)を用いて行うことができる。
【0029】
破砕の後、
図2(c)に示すように、破砕貝殻14からさらに藻類が除去され、藻類が除去された破砕貝殻15が得られる。破砕貝殻14からの藻類の除去は、焼成貝殻12からの藻類の除去と同様に、破砕貝殻14を搬送装置500において搬送する際に、搬送装置500上に配置された藻類除去ローラ900により行われる。なお、上述のように、焼成の後、焼成貝殻12から藻類が除去されるが、焼成貝殻12には、貝殻の内側等の凹部が多く存在するため、焼成貝殻12から藻類を完全に除去することは困難である。そこで、本実施形態では、破砕を行った後において、さらに破砕貝殻14から藻類を除去し、最終製品に混入する藻類を十分に低減している。
【0030】
藻類の除去の後、
図2(d)に示すように、篩い分けにより、破砕貝殻15を分級する。これにより、藻類を除去した破砕貝殻15に含まれ、養鶏用飼料としては過度に小さい貝殻片(貝殻細片)19が除去される。なお、破砕貝殻15の分級は、
図2(d)に示すように、篩610を振動駆動装置620により楕円軌道を描くように振動させ、篩610の目よりも小さい粒子(貝殻細片19)を篩い落とし、篩610の目よりも大きい粒子(破砕貝殻16)を振動により篩610の一端に移送する振動移送型の分級機600を用いて行うことができる。このように、貝殻細片19が除去されることにより、破砕貝殻16、すなわち最終製品としての養鶏用飼料が得られる。
【0031】
図2(d)の例では、分級を1段階でのみ行っているが、多段階の分級を行うものとしても良い。例えば、破砕機によって破砕された破砕貝殻に、養鶏用飼料として過度に大きい貝殻片が含まれる場合には、過度に大きい貝殻片を篩い分けて分離するものとしても良い。この場合、篩い分けにより分離された過度に大きい貝殻片を再度破砕し、再度破砕された貝殻片を篩い分けることにより、養鶏用飼料となる破砕貝殻16を得るものとしても良い。
【0032】
また、
図2(d)の例では、分級機600として、篩610を振動駆動装置620により楕円軌道を描くように振動させる振動移送型の分級機を用いているが、分級機としては、篩を傾斜した重力移送型の分級機や、空気圧を利用した分級機等、種々の分級機を用いることができる。
【0033】
図3は、藻類除去ローラ900により藻類が除去される様子を示す説明図である。
図3(a)は、藻類除去ローラ900の外観形状を示す外観図である。藻類除去ローラ900は、円筒状の芯材910と、芯材910の外周に形成され、細毛を立植したローラ毛部920とを有している。ローラ毛部920は、
図3(a)に示すように、芯材910のほぼ全体を覆うように形成されている。
【0034】
ローラ毛部920は、細毛となるポリエステル等の化学繊維をパイル糸として用いてパイル織りを行い、パイル糸のループをカットすることにより形成される。このように形成されたローラ毛部920のパイル地を、接着などにより樹脂等からなる芯材910に固定することにより、藻類除去ローラ900が形成される。細毛の太さは、単繊維繊度で1〜15dtexとするのが好ましい。ローラ毛部920における細毛の密度は、単繊維換算で、7000〜50000本/cm
2とするのが好ましい。また、細毛の長さは、20〜30mmとするのが好ましい。なお、このような藻類除去ローラ900としては、塗装用のペイントローラ等として市販されているものを使用することができる。
【0035】
図3(b)および
図3(c)は、破砕貝殻14から藻類が除去される様子を示している。なお、
図3の例では、破砕貝殻14から藻類ALGを除去する様子を示しているが、破砕前の焼成貝殻12からの藻類の除去(
図2(a))も同様に行われる。なお、破砕前の焼成貝殻12と破砕貝殻14とのいずれも、焼成された貝殻であるので、焼成貝殻12と破砕貝殻14とは、焼成貝殻と総称することができる。
【0036】
図3(b)に示すように、破砕貝殻14には、貝殻片PSHと藻類ALGが含まれている。そこで、藻類除去ローラ900を破砕貝殻14に押し付け、ローラ毛部920を貝殻片PSHおよび藻類ALGに接触させる。そして、搬送装置500(
図2(c))により破砕貝殻14を搬送すると、藻類除去ローラ900が回転する。このとき、比重が大きい貝殻片PSHは、回転する藻類除去ローラ900のローラ毛部920から脱落し、藻類を除去した破砕貝殻15としてそのまま搬送される。一方、貝殻11に付着していた藻類ALGは、元来比表面積が広く、また、焼成工程(
図1(d))を経ることにより乾燥あるいは部分的に炭化されて比重が小さくなっている。そのため、ローラ毛部920に接触した藻類ALGは、ローラ毛部920に立植された細毛に引っ掛かり、ローラ毛部920に取り込まれる。このように、藻類除去ローラ900が回転することにより、破砕貝殻14,15の搬送先側で破砕貝殻15と藻類ALGとが分離され、藻類ALGが除去される。
【0037】
ローラ毛部920に取り込まれた藻類ALGaは、藻類除去ローラ900が回転していくと、
図3(c)に示すように、順次搬送されてくる破砕貝殻14の貝殻片PSHによりローラ毛部920の奥に押し込まれる。そのため、一旦ローラ毛部920に取り込まれた藻類ALGaが、ローラ毛部920から脱落することが抑制される。このように、固定された藻類除去ローラ900のローラ毛部920を破砕貝殻14に接触させ、その状態で破砕貝殻14を移動させることにより、破砕貝殻14から藻類ALGを除去することができる。なお、このように藻類除去ローラ900は、藻類除去の機能を実現する構成部であるので、藻類除去部とも呼ぶことができる。
【0038】
本実施形態では、藻類の除去に際し、藻類除去ローラ900を固定し、搬送装置300,500により焼成貝殻12あるいは破砕貝殻14を移動させているが、一般的には、藻類除去ローラ900と藻類の除去対象となる貝殻とを相対的に移動させるものとしても良い。例えば、予め貝殻を平面上に拡げて配置し、拡げられた貝殻の上で藻類除去ローラ900を動かすものとしても良い。但し、連続的な処理が容易であり、藻類除去に要する工程をより簡略化できる点で、固定された藻類除去ローラ900のローラ毛部920を貝殻に接触させ、その状態で貝殻を移動させるのが好ましい。特に、貝殻を搬送する搬送装置300,500上に藻類除去ローラ900を設置すれば、焼成から破砕の間や、破砕から分級の間等、工程間における貝殻の搬送時に藻類が除去でき、養鶏用飼料の製造工程および製造設備の簡略化を図ることができる。
【0039】
このように本実施形態では、ローラ毛部920を有する藻類除去ローラ900を貝殻に接触させ、藻類除去ローラ900と貝殻とを相対的に移動させ、貝殻に付着した藻類をローラ毛部920に取り込んでいる。これにより、貝殻からの藻類の除去をより確実に行うことができるので、藻類そのものおよび藻類に由来する成分(塩分等)の含有量を十分に低減した良質の養鶏用飼料を製造することができる。
【0040】
B.変形例:
本発明は上記実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0041】
B1.変形例1:
上記実施形態では、藻類除去部として、細毛が立植されたローラ毛部920のパイル地を芯材910に固定した藻類除去ローラ900を用いているが、藻類除去部の構成は種々変更することが可能である。例えば、藻類除去部として、ローラ毛部を固定することなくローラ毛部を円筒状の芯材に単に巻き付けたものや、樹脂等からなる円筒状の芯材に直接細毛を立植したものを用いることもできる。また、細毛が立植されたベルトを回転可能に保持したものを藻類除去部として使用することも可能である。一般的には、藻類除去部は、細毛が立植された回転可能な部材(細毛立植部)を備えていれば良い。藻類の除去は、細毛立植部に立植された細毛を貝殻に接触させ、細毛立植部と貝殻とを相対的に移動させることにより行うことができる。従って、本発明を藻類を除去する装置(藻類除去装置)として捉えた場合、藻類除去装置は、細毛立植部、および、細毛立植部を貝殻に接触させた状態で細毛立植部と貝殻とを相対的に移動させる機構(貝殻相対移動部)を有していれば良い。なお、細毛立植部は、ローラ毛部を円筒状の芯材に固定したもの、ローラ毛部を円筒状の芯材に単に巻き付けたもの、あるいは、樹脂等からなる円筒状の芯材に直接細毛を立植したもののように円筒状の芯材の外周に形成されるのが好ましい。このようにすれば、細毛立植部の回転速度が速くなるため、藻類の除去効率が高くなる。
【0042】
B2.変形例2:
上記実施形態では、貝殻11を焼成する工程(
図1(d))と焼成貝殻13を破砕する工程(
図2(b))との間(
図2(a))、および、焼成貝殻13を破砕する工程(
図2(b))と破砕貝殻15を分級する工程(
図2(d))との間(
図2(c))において、藻類を除去しているが、これらの2つの藻類除去工程の一方を省略することも可能である。例えば、主発原料となる貝殻が比較的平坦な形状の場合、破砕されていない焼成貝殻12の段階で藻類を十分に除去できるので、貝殻11を焼成する工程(
図1(d))の直後でのみ藻類の除去を行うものとしても良い。この場合、最終製品の用途に応じて、破砕工程(
図2(b))以降の工程を省略することも可能である。但し、貝殻の内側等の凹部が多く存在する一般的な貝殻では、藻類の除去をより確実にするため、少なくとも、焼成貝殻13を破砕する工程(
図2(b))と破砕貝殻15を分級する工程(
図2(d))との間で藻類を除去するのが好ましい。また、破砕貝殻15を分級する工程(
図2(d))の後、上記実施形態で示した方法と同様にして、さらに残存する藻類を除去するものとしても良い。
【0043】
B3.変形例3:
上記実施形態では、本発明を養鶏用飼料の製造に適用しているが、本発明は、養鶏用飼料の他、土壌改良資材、食品添加物、ファンデーション等の化粧品の原料等の種々の炭酸カルシウム資材の製造に適用することができる。これらの場合においても、炭酸カルシウム資材の夾雑物となる藻類の混入量をより少なくするのが望ましい。従って、より確実に藻類を除去することが可能な本発明を適用することにより、夾雑物の混入量の低いより良質な炭酸カルシウム資材を得ることができる。
【0044】
さらに、出発原料として海生貝類の貝殻を用いる場合には、藻類を十分に除去しないと藻類に含まれる塩分が炭酸カルシウム資材に残存する。炭酸カルシウム資材に塩分が残存していると、用途によっては重大な影響を及ぼす虞がある。例えば、炭酸カルシウム資材を土壌改良資材に用いた場合には、塩害を発生させ、また、セメント原料に用いた場合には、含有される塩分によって鉄筋等の腐食を誘発する虞がある。また、これらの用途以外においても、炭酸カルシウム資材における塩分の含有量をより少なくするのが望ましい。従って、より確実に藻類を除去することが可能な本発明を適用することにより、海生貝類の開側を用いても、塩分の含有量の低いより良質な炭酸カルシウム資材を得ることができる。
【0045】
なお、炭酸カルシウム資材の用途に応じて、藻類除去工程の後の分級工程を省略することができる。例えば、セメント原料として使用する場合には、分級工程を省略しても良い。また、分級工程において得られた種々の大きさの貝殻片を、その大きさに応じて適した用途に用いることも可能である。例えば、
図2(d)に示す分級工程において分離された貝殻細片19を、土壌改良資材以外の用途に用いるものとしても良い。一般的には、分級により、用途に応じた大きさの破砕貝殻が分離できれば良い。
【0046】
B4.変形例4:
上記実施形態では、養鶏用飼料の製造のため、焼成を行う際の到達温度と焼成時間とについて、それぞれ好適な範囲を例示しているが、到達温度および焼成時間については、最終製品としての炭酸カルシウム資材の用途に応じて変更することができる。なお、到達温度および焼成時間は、焼成後に藻類が燃焼せず残存する範囲(例えば、到達温度が200℃以下で焼成時間が1時間以内)であれば良い。