特許第6574732号(P6574732)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6574732ルート探索装置、ルート探索方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6574732
(24)【登録日】2019年8月23日
(45)【発行日】2019年9月11日
(54)【発明の名称】ルート探索装置、ルート探索方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/34 20060101AFI20190902BHJP
   G09B 29/10 20060101ALI20190902BHJP
【FI】
   G01C21/34
   G09B29/10 A
【請求項の数】5
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-66006(P2016-66006)
(22)【出願日】2016年3月29日
(65)【公開番号】特開2017-181184(P2017-181184A)
(43)【公開日】2017年10月5日
【審査請求日】2018年2月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】500578216
【氏名又は名称】株式会社ゼンリンデータコム
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】陳 チョン
【審査官】 久保田 創
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−274315(JP,A)
【文献】 特開平11−160091(JP,A)
【文献】 特開平09−304093(JP,A)
【文献】 特開平11−344351(JP,A)
【文献】 特開平11−174954(JP,A)
【文献】 特開2015−165215(JP,A)
【文献】 特開平11−083519(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/34
G09B 29/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通行を回避する回避エリアを含むエリアであるバッファエリアを設定するエリア設定部と、
前記回避エリアに含まれるリンクに対応付けられた通行コストを第1の係数に応じて設定し、前記バッファエリアに含まれるリンクに対応付けられた通行コストを前記第1の係数よりも小さい第2の係数に応じて設定するコスト設定部と、
各リンクに対応付けられた通行コストに応じて、出発地から目的地までの経路を探索する探索部と、
を備え
前記エリア設定部は、
前記回避エリアを含む第1のエリアのリンクの密度が第1の閾値以下でない場合、前記第1のエリアを前記バッファエリアとして設定し、
前記第1のエリアのリンクの密度が第1の閾値以下である場合、前記第1のエリアよりも大きい第2エリアを前記バッファエリアとして設定する、
ことを特徴とするルート探索装置。
【請求項2】
通行を回避する回避エリアを含むエリアであるバッファエリアを設定するエリア設定部と、
前記回避エリアに含まれるリンクに対応付けられた通行コストを第1の係数に応じて設定し、前記バッファエリアに含まれるリンクに対応付けられた通行コストを前記第1の係数よりも小さい第2の係数に応じて設定するコスト設定部と、
各リンクに対応付けられた通行コストに応じて、出発地から目的地までの経路を探索する探索部と、
を備え、
前記エリア設定部は、
前記回避エリアの位置する地域の種別に応じて、前記バッファエリアの大きさを設定する、
ことを特徴とするルート探索装置。
【請求項3】
前記エリア設定部は、前記バッファエリアを、第1のエリア及び前記第1のエリアよりも前記回避エリアからの距離が遠い第2のエリアに分割し、
前記コスト設定部は、前記第1のエリアに含まれるリンクに対応付けられた通行コストを前記第2の係数に応じて設定し、前記第2のエリアに含まれるリンクに対応付けられた通行コストを前記第2の係数よりも小さい第3の係数に応じて設定する、
ことを特徴とする請求項1または2記載のルート探索装置。
【請求項4】
コンピュータが、請求項1または2記載のルート探索装置の各処理を実行するルート探索方法。
【請求項5】
コンピュータに、請求項1または2記載のルート探索装置の各処理を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ルート探索装置、ルート探索方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、目的地までの経路を探索してユーザに提示するナビゲーション装置が知られている。このナビゲーション装置では、例えば、ダイクストラ法を用いて、出発地から目的地まで所要時間が最短となる経路を探索する。この際、あらゆる経路についての所要時間を算出すると、所望の時間以内に探索を完了できないため、例えば、経路として選択される可能性が高い順に、所定数の道路の区間(リンク)を順次選択することにより、経路を選択する。
【0003】
特許文献1には、このナビゲーション装置において、事故の情報に応じて回避エリアを設定し、当該回避エリアを回避するような経路を探索する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−268149号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来技術では、回避エリアの直前で迂回する経路が探索される傾向が高くなり、当該直前の迂回路によっては、例えば通常は選択されないような車幅が狭いリンクを通る経路が探索される場合があるという問題がある。
【0006】
そこで、適切な迂回経路を探索することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
ルート探索装置において、通行を回避する回避エリアを含むエリアであるバッファエリアを設定するエリア設定部と、前記回避エリアに含まれるリンクに対応付けられた通行コストを第1の係数に応じて設定し、前記バッファエリアに含まれるリンクに対応付けられた通行コストを前記第1の係数よりも小さい第2の係数に応じて設定するコスト設定部と、各リンクに対応付けられた通行コストに応じて、出発地から目的地までの経路を探索する探索部と、を備え、前記エリア設定部は、前記回避エリアを含む第1のエリアのリンクの密度が第1の閾値以下でない場合、前記第1のエリアを前記バッファエリアとして設定し、前記第1のエリアのリンクの密度が第1の閾値以下である場合、前記第1のエリアよりも大きい第2エリアを前記バッファエリアとして設定する
【発明の効果】
【0008】
開示の技術によれば、適切な迂回経路を探索することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態におけるルート探索装置のハードウェア構成例を示す図である。
図2】ルート探索装置の機能ブロック図である。
図3】回避エリアデータの一例を示す図である。
図4】ノードデータの一例を示す図である。
図5】リンクデータの一例を示す図である。
図6】エリア設定処理の一例を示すフローチャートである。
図7】バッファエリアの設定処理の一例を説明する図である。
図8】修正後コスト設定処理の一例を示すフローチャートである。
図9】各リンクに対する修正後のコストについて説明する図である。
図10】エリア設定処理の他の例を示すフローチャートである。
図11】リンクの密度に応じたバッファエリアを設定する処理を説明する図である。
図12】複数のバッファエリアに分割する処理の一例を説明する図である。
図13】ルート探索処理の一例を示すフローチャートである。
図14】ルート探索処理の一例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を説明する。図1は、実施の形態におけるルート探索装置10のハードウェア構成例を示す図である。ルート探索装置10は、サーバコンピュータ、スマートフォン、車載ナビゲーション装置、パーソナルコンピュータ、タブレット端末、携帯電話機などの情報処理装置である。
【0011】
図1のルート探索装置10は、それぞれバスBで相互に接続されているドライブ装置100、補助記憶装置102、メモリ装置103、CPU104、インタフェース装置105、表示装置106、及び入力装置107等を有する。
ルート探索装置10での処理を実現するナビゲーションプログラムは、記録媒体101によって提供される。ナビゲーションプログラムを記録した記録媒体101がドライブ装置100にセットされると、ナビゲーションプログラムが記録媒体101からドライブ装置100を介して補助記憶装置102にインストールされる。但し、ナビゲーションプログラムのインストールは必ずしも記録媒体101より行う必要はなく、ネットワークを介して他のコンピュータよりダウンロードするようにしてもよい。補助記憶装置102は、インストールされたナビゲーションプログラムを格納すると共に、必要なファイルやデータ等を格納する。
メモリ装置103は、プログラムの起動指示があった場合に、補助記憶装置102からプログラムを読み出して格納する。CPU104は、メモリ装置103に格納されたプログラムに従ってルート探索装置10に係る機能を実現する。インタフェース装置105は、ネットワークに接続するためのインタフェースとして用いられる。表示装置106はプログラムによるGUI(Graphical User Interface)等を表示する。入力装置107はキーボード及びマウス等、またはタッチパネル及びボタン等で構成され、様々な操作指示を入力させるために用いられる。
【0012】
なお、記録媒体101の一例としては、CD−ROM、DVDディスク、又はUSBメモリ等の可搬型の記録媒体が挙げられる。また、補助記憶装置102の一例としては、HDD(Hard Disk Drive)又はフラッシュメモリ等が挙げられる。記録媒体101及び補助記憶装置102のいずれについても、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に相当する。
【0013】
次に、図2を参照し、ルート探索装置10の機能構成について説明する。図2は、ルート探索装置10の機能ブロック図である。ルート探索装置10は、エリア設定部12、コスト設定部13、及びルート探索部14を有する。これら各部は、ルート探索装置10にインストールされた1以上のプログラムが、ルート探索装置10のCPU104に実行させる処理により実現される。
【0014】
また、ルート探索装置10は、記憶部11を有する。記憶部11は、例えば、補助記憶装置102等を用いて実現される。
【0015】
記憶部11は、回避エリアデータ111、ノードデータ112、リンクデータ113を記憶する。
【0016】
次に、図3を参照し、回避エリアデータ111について説明する。図3は、回避エリアデータ111の一例を示す図である。回避エリアデータ111には、事故やイベント等に応じて、回避するべきエリア(回避エリア)を示すデータが格納される。
【0017】
図3の例では、回避エリアの各頂点の地点(第1地点から第4地点)のそれぞれの位置情報である緯度、経度が格納される。なお、回避エリアは、正方形または矩形に限らず、四角形、六角形、ひし形等の多角形や、円等の曲線で囲まれた形状としてもよい。
【0018】
また、回避エリアの各頂点にて指定する代わりに、例えば回避エリアの中心と半径にて指定できるようにしてもよい。
【0019】
次に、図4を参照し、ノードデータ112について説明する。図4は、ノードデータ112の一例を示す図である。ノードデータ112には、ノードID、及び位置情報が含まれる。ノードIDは、ノードを識別するIDである。位置情報は、ノードの位置を示す、緯度、経度等の情報である。
【0020】
次に、図5を参照し、リンクデータ113について説明する。図5は、リンクデータ113の一例を示す図である。リンクデータ113には、リンクID、開始ノードID、終了ノードID、コスト(本来コスト)、及び修正後コスト(通行コスト)が含まれる。
【0021】
リンクIDは、交差点等のノード間の道路であるリンクを識別するIDである。始点ノードIDは、リンクの始点のノードを識別するIDである。
【0022】
終点ノードIDは、リンクの終点のノードを識別するIDである。コストは、リンクを通過するための所要時間や距離を示すデータである。
【0023】
修正後コストは、コスト設定部13により回避エリアに応じて設定された、修正後のコストである。修正後コストには、初期状態ではコストと同じ値が設定され、後述する回避エリアやバッファエリアにリンクのノードが含まれる場合、コストの値に回避エリアやバッファエリアに応じた係数が乗算または加算された値が設定される。
【0024】
図2の説明に戻る。エリア設定部12は、回避エリアデータ111を設定する。エリア設定部12は、例えばユーザからの入力操作に基づいて、回避エリアデータ111を設定してもよい。または、エリア設定部12は、VICS(登録商標)で取得した事故情報や、予め設定されているスクールゾーンやお祭り等のイベントに基づいて、回避エリアデータ111を設定してもよい。
【0025】
また、エリア設定部12は、回避エリアデータ111に基づいて、回避エリアを含む所定のエリア(領域、範囲)であるバッファエリアを設定する。
【0026】
コスト設定部13は、リンクデータ113において、エリア設定部12により設定された回避エリアに含まれるリンクに対応付けられた修正後コストを、第1の係数に応じて設定する。
【0027】
また、コスト設定部13は、リンクデータ113において、エリア設定部12により設定されたバッファエリアに含まれるリンクに対応付けられた修正後コストを、第1の係数よりも小さい第2の係数に応じて設定する。
【0028】
ルート探索部14は、ユーザから出発地及び目的地の設定を受け付け、出発地から目的地までの経路(ルート)を探索する。ルート探索部14は、例えば、ダイクストラ法等を用いて、出発地から目的地までの複数の経路について、各経路にそれぞれ含まれる各リンクの所要時間や距離に応じた修正後コストの総計を算出し、修正後コストの総計値が最少となる経路を探索する。
【0029】
<エリアに応じたコスト設定処理>
次に、図6乃至8を参照し、エリア設定部12及びコスト設定部13による、エリアに応じたコスト設定処理の一例について説明する。
【0030】
図6は、エリア設定処理の一例を示すフローチャートである。
【0031】
まず、エリア設定部12は、ユーザからの入力操作、取得した事故情報、または予め設定されたお祭り等のイベント等のデータに基づき、回避エリアデータ111に、回避エリアの位置情報を設定する(ステップS101)。
【0032】
続いて、エリア設定部12は、回避エリアを含む所定のエリア(領域、範囲)であるバッファエリアを設定する(ステップS102)。
【0033】
ここで、図7を参照し、図6のステップS102の、バッファエリアを設定する処理の詳細について説明する。図7は、エリア設定部12によるバッファエリアの設定処理の一例を説明する図である。
【0034】
エリア設定部12は、例えば、図7に示すように、バッファエリア502の中心502oの位置を、回避エリア501の中心501oの位置と同一とする。そして、エリア設定部12は、回避エリア501の中心501oから、回避エリアの各頂点の地点(501a〜501d)までの各線分を、当該各線分の長さに所定値を乗算した長さまで延ばした各地点を算出する。そして、エリア設定部12は、算出した各地点を、バッファエリア502の各頂点の地点(502a〜502d)とする。
【0035】
続いて、コスト設定部13は、バッファエリアを対象エリアとし(ステップS103)、対象エリア内のリンクに対する修正後コストを設定する修正後コスト設定処理を行う(ステップS104)。なお、修正後コスト設定処理の詳細は後述する。
【0036】
続いて、コスト設定部13は、回避エリアを対象エリアとし(ステップS105)、修正後コスト設定処理を行う(ステップS106)。
【0037】
<<修正後コスト設定処理>>
図8は、修正後コスト設定処理の一例を示すフローチャートである。
【0038】
コスト設定部13は、ノードデータ112を参照し、対象エリア内に含まれる各ノードを抽出する(ステップS201)。コスト設定部13は、例えば、図4に示すノードデータ112から、対象エリア内に位置する各ノードIDを抽出する。
【0039】
続いて、コスト設定部13は、リンクデータ113を参照し、抽出した各ノードを含む各リンクを抽出する(ステップS202)。コスト設定部13は、例えば、図5に示すリンクデータ113から、始点ノードIDまたは終点ノードIDが、ステップS201で抽出した各ノードIDのいずれかに一致するリンクIDを抽出する。
【0040】
続いて、コスト設定部13は、抽出した各リンクのコストに、対象エリアに応じた係数を乗算または加算した値を算出し(ステップS203)、当該各リンクに対する修正後コストに、算出した値を設定する(ステップS204)。
【0041】
図9は、各リンクに対する修正後のコストについて説明する図である。図9の例では、回避エリア501内に含まれる各ノード(511a、511b、・・・)を始点または終点とする各リンク(521a、521b、・・・)は、本来コストに対し、回避エリア501に応じた係数(第1の係数)を乗算または加算した値が修正後コストとして設定される。なお、回避エリア501に応じた係数は、例えば「100」とする。
【0042】
また、バッファエリア502内に含まれる各ノード(512a、512b、・・・)を始点または終点とする各リンク(522a、522b、・・・)は、本来コストに対し、バッファエリア502に応じた係数(第2の係数)を乗算または加算した値が修正後コストとして設定される。なお、バッファエリア502に応じた係数は、例えば「5」とする。
【0043】
<エリアに応じたコスト設定処理の変形例>
次に、図10、11を参照し、エリア設定部12及びコスト設定部13による、エリアに応じたコスト設定処理の他の例について説明する。
【0044】
図10は、エリア設定処理の他の例を示すフローチャートである。
【0045】
まず、エリア設定部12は、ユーザからの入力操作、取得した事故情報、または予め設定されたイベント等のデータに基づき、回避エリアデータ111に、回避エリアの位置情報を設定する(ステップS301)。
【0046】
続いて、エリア設定部12は、回避エリアを含む第1のエリアにおける、リンクの密度を算出する(ステップS302)。なお、リンクの密度は、例えば、所定のエリアにおけるリンクの数を、当該エリアの面積で除算することにより算出される。
【0047】
続いて、エリア設定部12は、第1のエリアにおけるリンクの密度が第1の閾値以下であるか判定する(ステップS303)。なお、第1の閾値は、第1のエリアをバッファエリアとするか否かを決定するための指標となる値である。
【0048】
第1のエリアにおけるリンクの密度が第1の閾値以下でない場合(ステップS303でNO)、エリア設定部12は、第1のエリアを、バッファエリアとして設定し(ステップS304)、後述するステップS306の処理に進む。
【0049】
第1のエリアにおけるリンクの密度が第1の閾値以下である場合(ステップS303でYES)、エリア設定部12は、回避エリアを含む第1のエリアよりも大きい(広い)エリアである第2のエリアを、バッファエリアとして設定する(ステップS305)。
【0050】
ここで、図7図11を参照し、図10のステップS304とステップS305とのバッファエリアを設定する処理の詳細について説明する。図11は、リンクの密度に応じたバッファエリアを設定する処理を説明する図である。
【0051】
エリア設定部12は、回避エリアを含む第1のエリアを設定する場合、例えば、図7と同様に、第1のエリア502の中心502oの位置を、回避エリア501の中心501oの位置と同一とする。
【0052】
そして、エリア設定部12は、回避エリア501の中心501oから、回避エリア501の各頂点の地点(501a〜501d)までの各線分を、当該各線分の長さに第1の所定値を乗算した長さまで延ばした各地点を算出する。そして、エリア設定部12は、算出した各地点を、第1のエリア502の各頂点の地点(502a〜502d)とする。エリア設定部12は、第1のエリア502におけるリンクの密度が第1の閾値以下でない場合、第1のエリア502を、バッファエリアとして設定する。
【0053】
図11(A)は、リンクの密度が第1の閾値以下でない場合のバッファエリアの例を示す図である。図11(A)のように、例えば都市部などのリンクの密度が比較的高い地域の場合は、比較的小さいバッファエリア502Aが設定される。これは、小さいバッファエリア502Aの中でも、一定程度の迂回経路の選択肢が存在すると推定できるためである。
【0054】
一方、第1のエリア502におけるリンクの密度が第1の閾値以下である場合、エリア設定部12は、例えば、図7と同様に、第2のエリア502Bの中心502oの位置を、回避エリア501の中心501oの位置と同一とする。
【0055】
そして、エリア設定部12は、回避エリア501の中心501oから、回避エリアの各頂点の地点(501a〜501d)までの各線分を、当該各線分の長さに上述の第1の所定値よりも大きい第2の所定値を乗算した長さまで延ばした各地点を算出する。そして、エリア設定部12は、算出した各地点を、第2のエリア502Bの各頂点の地点(502a〜502d)とする。
【0056】
図11(B)は、リンクの密度が第1の閾値以下である場合のバッファエリアの例を示す図である。図11(B)のように、例えば地方部などのリンクの密度が比較的低い地域の場合は、比較的大きいバッファエリア502Bが設定される。これにより、リンクの密度が少ない地域の場合に、回避エリア501を迂回する経路の選択肢をより増やすことができる。
【0057】
なお、エリア設定部12は、バッファエリアの大きさを、第1のエリアにおけるリンクの密度に応じて決定してもよい。例えば、第1のエリアにおけるリンクの密度が低い程、バッファエリアの大きさを大きくしてもよい。
【0058】
なお、エリア設定部12は、ステップS303にてリンクの密度に応じてバッファエリアの大きさを設定する代わりに、地域の種別に応じてバッファエリアの大きさを設定してもよい。例えば、位置情報と地域の種別(例えば都心部、地方部等)を予め設定しておき、回避エリアの位置に対する地域の種別が地方部であれば、ステップS305のように比較的大きいエリアをバッファエリアとして設定してもよい。
【0059】
続いて、エリア設定部12は、バッファエリアにおけるリンクの密度が第2の閾値以下であるか判定する(ステップS306)。なお、第2の閾値は、バッファエリアを複数のバッファエリアに分割するか否かを決定するための指標となる値である。
【0060】
バッファエリアにおけるリンクの密度が第2の閾値以下である場合(ステップS306でYES)、ステップS308の処理に進む。
【0061】
バッファエリアにおけるリンクの密度が第2の閾値以下でない場合(ステップS306でNO)、バッファエリアを、中心からの距離に応じて、複数のバッファエリアに分割する(ステップS307)。
【0062】
ここで、図12を参照し、図10のステップS307の複数のバッファエリアに分割する処理の詳細について説明する。図12は、エリア設定部12による複数のバッファエリアに分割する処理の一例を説明する図である。エリア設定部12は、例えば、図12に示すように、エリア設定部12は、回避エリア501の各頂点の地点(501a〜501d)から、回避エリア501の各頂点に対応するバッファエリア502の各頂点の地点(502a〜502d)までの各線分を、所定の比で分割する各地点を算出する。そして、エリア設定部12は、算出した各地点を、第1のバッファエリア503の各頂点の地点(503a〜503d)とする。それにより、バッファエリアが、第1のバッファエリア503、及び第2のバッファエリア502に分割される。
【0063】
コスト設定部13は、回避エリア501に比較的近い方の第1のバッファエリア503の係数を、回避エリア501の係数(例えば「100」)よりも小さい値(例えば「5」)とする。また、コスト設定部13は、回避エリア501から比較的遠い方の第2のバッファエリア502の係数を、第1のバッファエリア503の係数よりも小さい値(第3の係数。例えば「2」)とする。
【0064】
上述したように、バッファエリアを複数に分割することにより、例えば、リンクの密度が低い地域でバッファエリアを大きくしたため各リンクの距離が比較的長くなる場合に、道幅が狭くとも回避エリアに比較的近いリンクを通る経路を探索できる。
【0065】
なお、エリア設定部12は、バッファエリアの大きさ(面積)、回避エリアを含む所定のエリアのリンク密度、または地域の種別に応じてバッファエリアを分割してもよい。例えば、バッファエリアの大きさが所定の閾値以上の場合、回避エリアを含む所定のエリアのリンク密度が所定の閾値以下の場合、または回避エリアの位置に対する地域の種別が地方部の場合に、ステップS307のようにバッファエリアを複数に分割してもよい。
【0066】
続いて、コスト設定部13は、複数のバッファエリアのうち、回避エリアから最も遠い位置のバッファエリアを対象エリアとし(ステップS308)、修正後コスト設定処理を行う(ステップS309)。
【0067】
続いて、コスト設定部13は、複数のバッファエリアのうち、選択したバッファエリアよりも回避エリアに近い位置のバッファエリアがあるか判定する(ステップS310)。
【0068】
選択したバッファエリアよりも回避エリアに近い位置のバッファエリアがある場合(ステップS310でYES)、当該バッファエリアを対象エリアとし(ステップS311)、ステップS309の処理に戻る。
【0069】
選択したバッファエリアよりも回避エリアに近い位置のバッファエリアがない場合(ステップS310でNO)、コスト設定部13は、回避エリアを対象エリアとし(ステップS312)、修正後コスト設定処理を行う(ステップS313)。
【0070】
<ルート探索処理>
次に、図13、14を参照して、ルート探索部14によるルート探索処理の詳細について説明する。図13は、ルート探索処理の一例を示すフローチャートである。
【0071】
まず、ルート探索部14は、ユーザから出発地及び目的地の設定を受け付ける(ステップS401)。
【0072】
続いて、ルート探索部14は、リンクデータ113、ノードデータ112を参照し、出発地から目的地方面に向かう所定のエリア内で、複数の経路を抽出する(ステップS402)。
【0073】
続いて、ルート探索部14は、抽出した複数の経路について、各経路にそれぞれ含まれる各リンクの修正後コストの総計を算出する(ステップS403)。
【0074】
続いて、ルート探索部14は、修正後コストの総計値が最少となる経路を選択し(ステップS404)、処理を終了する。
【0075】
図14は、ルート探索処理の一例を説明する図である。バッファエリア502を設定しない場合、回避エリア501に入る手前の道幅が狭い経路511を選択してしまう場合がある。上述した実施形態のように、バッファエリア502を設定することにより、回避エリア501に遠い位置から、回避エリア501を緩やかに迂回する経路512を選択できる。
【0076】
<まとめ>
上述した実施形態によれば、通行を回避する回避エリアを含むエリアであるバッファエリアを設定する。そして、回避エリアに含まれるリンクに対応付けられたコストを第1の係数に応じて設定し、バッファエリアに含まれるリンクに対応付けられたコストを第1の係数よりも小さい第2の係数に応じて設定する。それにより、回避エリアの直前ではなく、ある程度の余裕をもたせた範囲で、より適切な迂回経路を探索できる。
【0077】
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明は斯かる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0078】
ルート探索装置10の各機能部は、例えば1以上のコンピュータにより構成されるクラウドコンピューティングにより実現されていてもよい。ルート探索装置10は、スマートフォン等の端末からの要求に応じて、経路を探索し、探索した経路を端末に通知するサーバ装置であってもよい。ルート探索装置10は、車載ナビゲーション装置やスマートフォン等の端末に、ルート探索プログラムをインストールすることにより実現してもよい。
【符号の説明】
【0079】
10 ルート探索装置
11 記憶部
111 回避エリアデータ
112 ノードデータ
113 リンクデータ
12 エリア設定部
13 コスト設定部
14 ルート探索部
図1
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図14