(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6574734
(24)【登録日】2019年8月23日
(45)【発行日】2019年9月11日
(54)【発明の名称】通信システム及び制御方法
(51)【国際特許分類】
H04W 24/02 20090101AFI20190902BHJP
H04W 28/08 20090101ALI20190902BHJP
H04W 92/24 20090101ALI20190902BHJP
【FI】
H04W24/02
H04W28/08
H04W92/24
【請求項の数】8
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-91506(P2016-91506)
(22)【出願日】2016年4月28日
(65)【公開番号】特開2017-200128(P2017-200128A)
(43)【公開日】2017年11月2日
【審査請求日】2018年8月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100124084
【弁理士】
【氏名又は名称】黒岩 久人
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【弁理士】
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】水谷 亮太
(72)【発明者】
【氏名】堺 拓郎
(72)【発明者】
【氏名】北辻 佳憲
【審査官】
石原 由晴
(56)【参考文献】
【文献】
特開2017−183770(JP,A)
【文献】
国際公開第2012/127583(WO,A1)
【文献】
国際公開第2015/090455(WO,A1)
【文献】
特開2010−063022(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24−7/26
H04W 4/00−99/00
3GPP TSG RAN WG1−4
SA WG1−4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯端末との間で制御データを送受信する複数の制御プレーン用ゲートウェイと、
前記携帯端末との間でユーザデータを送受信するユーザプレーン用ゲートウェイと、
前記携帯端末との通信に用いられていた制御プレーン用ゲートウェイである変更前ゲートウェイを他の制御プレーン用ゲートウェイに変更することを要求する変更要求を受信したことに応じて、前記他の制御プレーン用ゲートウェイとしての変更後ゲートウェイを選択する選択装置と、
を有し、
前記選択装置は、前記変更後ゲートウェイを選択した後に、前記変更後ゲートウェイに対して、前記変更前ゲートウェイが通信していた前記携帯端末を識別するための端末識別情報を含むセッション確立要求を送信し、
前記変更後ゲートウェイは、前記セッション確立要求を受信したことに応じて前記ユーザプレーン用ゲートウェイに対して、前記端末識別情報を含む、制御プレーン用ゲートウェイが変更されたことを通知する変更通知を送信することにより前記変更後ゲートウェイと前記ユーザプレーン用ゲートウェイとの間で通信路を確立し、
前記ユーザプレーン用ゲートウェイは、前記変更通知を受信したことに応じて、前記端末識別情報と前記変更後ゲートウェイのアドレスとを関連付けて記憶する、
通信システム。
【請求項2】
携帯端末との間で制御データを送受信する複数の制御プレーン用ゲートウェイと、
前記携帯端末との間でユーザデータを送受信するユーザプレーン用ゲートウェイと、
前記携帯端末との通信に用いられていた制御プレーン用ゲートウェイである変更前ゲートウェイを他の制御プレーン用ゲートウェイに変更することを要求する変更要求を受信したことに応じて、前記変更要求に含まれている変更後ゲートウェイのアドレスに基づいて、前記他の制御プレーン用ゲートウェイとしての変更後ゲートウェイを選択する選択装置と、
を有し、
前記選択装置が前記変更後ゲートウェイを選択した後に、前記変更後ゲートウェイと前記ユーザプレーン用ゲートウェイとの間で通信路を確立する、
通信システム。
【請求項3】
携帯端末との間で制御データを送受信する複数の制御プレーン用ゲートウェイと、
前記携帯端末との間でユーザデータを送受信するユーザプレーン用ゲートウェイと、
前記複数の制御プレーン用ゲートウェイを管理する管理端末を介して受信した指示に基づいて、前記携帯端末との通信に用いられていた制御プレーン用ゲートウェイである変更前ゲートウェイを他の制御プレーン用ゲートウェイに変更することを要求する変更要求を送信する前記変更前ゲートウェイと、
前記変更要求を受信したことに応じて、前記他の制御プレーン用ゲートウェイとしての変更後ゲートウェイを選択する選択装置と、
を有し、
前記選択装置が前記変更後ゲートウェイを選択した後に、前記変更後ゲートウェイと前記ユーザプレーン用ゲートウェイとの間で通信路を確立する、
通信システム。
【請求項4】
携帯端末との間で制御データを送受信する複数の制御プレーン用ゲートウェイと、
前記携帯端末との間でユーザデータを送受信するユーザプレーン用ゲートウェイと、
自身の通信状態が所定の条件を満たす場合に、前記携帯端末との通信に用いられていた制御プレーン用ゲートウェイである変更前ゲートウェイを他の制御プレーン用ゲートウェイに変更することを要求する変更要求を送信する前記変更前ゲートウェイと、
前記変更要求を受信したことに応じて、前記他の制御プレーン用ゲートウェイとしての変更後ゲートウェイを選択する選択装置と、
を有し、
前記選択装置が前記変更後ゲートウェイを選択した後に、前記変更後ゲートウェイと前記ユーザプレーン用ゲートウェイとの間で通信路を確立する、
通信システム。
【請求項5】
携帯端末との間で制御データを送受信する複数の制御プレーン用ゲートウェイと、前記携帯端末との間でユーザデータを送受信するユーザプレーン用ゲートウェイと、を有する通信システムが実行する制御方法であって、
前記携帯端末との通信に用いられていた制御プレーン用ゲートウェイである変更前ゲートウェイを他の制御プレーン用ゲートウェイに変更することを要求する変更要求を、前記他の制御プレーン用ゲートウェイとしての変更後ゲートウェイを選択する選択装置に対して送信するステップと、
前記選択装置が前記変更要求を受信したことに応じて前記変更後ゲートウェイを選択するステップと、
前記選択装置が、前記変更後ゲートウェイを選択した後に、前記変更後ゲートウェイに対して、前記変更前ゲートウェイが通信していた前記携帯端末を識別するための端末識別情報を含むセッション確立要求を送信するステップと、
前記変更後ゲートウェイが、前記セッション確立要求を受信したことに応じて前記ユーザプレーン用ゲートウェイに対して、前記端末識別情報を含む、制御プレーン用ゲートウェイが変更されたことを通知する変更通知を送信することにより前記変更後ゲートウェイと前記ユーザプレーン用ゲートウェイとの間で通信路を確立するステップと、
前記ユーザプレーン用ゲートウェイが、前記変更通知を受信したことに応じて、前記端末識別情報と前記変更後ゲートウェイのアドレスとを関連付けて記憶するステップと、
を有する制御方法。
【請求項6】
携帯端末との間で制御データを送受信する複数の制御プレーン用ゲートウェイと、前記携帯端末との間でユーザデータを送受信するユーザプレーン用ゲートウェイと、を有する通信システムが実行する制御方法であって、
前記携帯端末との通信に用いられていた制御プレーン用ゲートウェイである変更前ゲートウェイを他の制御プレーン用ゲートウェイに変更することを要求する変更要求を、前記他の制御プレーン用ゲートウェイとしての変更後ゲートウェイを選択する選択装置に対して送信するステップと、
前記選択装置が前記変更要求を受信したことに応じて前記変更要求に含まれている前記変更後ゲートウェイのアドレスに基づいて、前記変更後ゲートウェイを選択するステップと、
前記選択装置が前記変更後ゲートウェイを選択した後に、前記変更後ゲートウェイと前記ユーザプレーン用ゲートウェイとの間で通信路を確立するステップと、
を有する制御方法。
【請求項7】
携帯端末との間で制御データを送受信する複数の制御プレーン用ゲートウェイと、前記携帯端末との間でユーザデータを送受信するユーザプレーン用ゲートウェイと、を有する通信システムが実行する制御方法であって、
前記携帯端末との通信に用いられていた制御プレーン用ゲートウェイである変更前ゲートウェイが、前記複数の制御プレーン用ゲートウェイを管理する管理端末を介して受信した指示に基づいて、前記変更前ゲートウェイを他の制御プレーン用ゲートウェイに変更することを要求する変更要求を、前記他の制御プレーン用ゲートウェイとしての変更後ゲートウェイを選択する選択装置に対して送信するステップと、
前記選択装置が前記変更要求を受信したことに応じて前記変更後ゲートウェイを選択するステップと、
前記選択装置が前記変更後ゲートウェイを選択した後に、前記変更後ゲートウェイと前記ユーザプレーン用ゲートウェイとの間で通信路を確立するステップと、
を有する制御方法。
【請求項8】
携帯端末との間で制御データを送受信する複数の制御プレーン用ゲートウェイと、前記携帯端末との間でユーザデータを送受信するユーザプレーン用ゲートウェイと、を有する通信システムが実行する制御方法であって、
前記携帯端末との通信に用いられていた制御プレーン用ゲートウェイである変更前ゲートウェイが、前記変更前ゲートウェイの通信状態が所定の条件を満たす場合に、前記変更前ゲートウェイを他の制御プレーン用ゲートウェイに変更することを要求する変更要求を、前記他の制御プレーン用ゲートウェイとしての変更後ゲートウェイを選択する選択装置に対して送信するステップと、
前記選択装置が前記変更要求を受信したことに応じて前記変更後ゲートウェイを選択するステップと、
前記選択装置が前記変更後ゲートウェイを選択した後に、前記変更後ゲートウェイと前記ユーザプレーン用ゲートウェイとの間で通信路を確立するステップと、
を有する制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モバイルコアであるEPC(Evolved Packet Core)等の通信システム及び通信システムにおける制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
EPCを構成する装置として、eNB(evolved Node B)、MME(Mobility Management Entity)、SGW(Serving Gateway)、PGW(Packet Data Network Gateway)が知られている。eNBは無線の基地局である。MMEはユーザ認証や端末の移動管理を行う装置である。SGWは、eNB又はMMEとPGWとの信号の中継を行う装置である。PGWは、インターネット等の外部ネットワークとの接続点となる装置である(例えば、非特許文献1及び非特許文献2を参照)。EPCにおいては、制御信号が伝送されるCPlane(制御プレーン:Control Plane)と、携帯端末(UE)との間で送受信される音声やデータ等のユーザデータが伝送されるUPlane(ユーザプレーン:User Plane)とが存在する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】3GPP仕様書「3GPP TS23.401(V12.5.0)」”General Packet Radio Service (GPRS) enhancements for Evolved Universal Terrestrial Radio Access Network (E-UTRAN) access”
【非特許文献2】3GPP仕様書「3GPP TS23.714」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、CPlaneとUPlaneの両方の処理を行うSGW及びPGWが用いられている。従来のEPCに接続される端末は、主に携帯端末であったので、SGW及びPGWにおいては、携帯端末が音声やデータを送受信する際にCPlaneにかかる負荷の大きさとUPlaneにかかる負荷に見合ったリソースが固定的に割り当てられていた。したがって、CPlane及びUPlaneのうち、片方のPlaneの負荷が大きくなっても、使用可能なリソースを変更することができなかった。
【0005】
近年は、CPlaneの負荷がUPlaneの負荷に比べて大きいIoT(Internet Of Things)機器が増えている。このようなIoT機器がEPCにアクセスする場合、CPlaneと比較してUPlaneの処理負荷が小さいため、SGWやPGWにおいてUPlaneのリソースが余剰になる。そのため、リソースを有効利用するために、SGW及びPGWをPlane毎に分割するCU分離の取り組みが検討されている。このようにCPlaneとUPlaneとを分割し、CPlane用のSGW(以下、C−SGW)とUPlane用のSGW(以下、U−SGW)を用いることで、Plane毎のリソースの変更が可能となり、リソースの有効利用が可能となる。
【0006】
ところで、携帯端末としてIoT機器が増えてくると、C−SGWに収容された携帯端末の状態によってC−SGWの負荷が変動しやすくなる。その結果、携帯端末を収容するC−SGWを他のC−SGWに変更する必要が生じる。しかし、従来は、C−SGWを変更する場合はU−SGWの変更も同時に実施されているので、変更作業に長時間を要するという問題があった。
【0007】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、CPlaneのゲートウェイを単独で変更できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様の通信システムは、携帯端末との間で制御データを送受信する複数の制御プレーン用ゲートウェイと、前記携帯端末との間でユーザデータを送受信するユーザプレーン用ゲートウェイと、前記携帯端末との通信に用いられていた制御プレーン用ゲートウェイである変更前ゲートウェイを他の制御プレーン用ゲートウェイに変更することを要求する変更要求を受信したことに応じて、前記他の制御プレーン用ゲートウェイとしての変更後ゲートウェイを選択する選択装置と、を有し、前記選択装置が前記変更後ゲートウェイを選択した後に、前記変更後ゲートウェイと前記ユーザプレーン用ゲートウェイとの間で通信路を確立する。
【0009】
前記選択装置は、例えば、前記変更後ゲートウェイに対して、前記変更前ゲートウェイが通信していた前記携帯端末を識別するための端末識別情報を送信する。
また、前記選択装置は、前記変更後ゲートウェイに対して、前記端末識別情報を含むセッション確立要求を送信してもよい。
【0010】
前記変更後ゲートウェイは、前記セッション確立要求を受信したことに応じて前記ユーザプレーン用ゲートウェイに対して、前記端末識別情報を含む、制御プレーン用ゲートウェイが変更されたことを通知する変更通知を送信することにより前記通信路を確立してもよい。
【0011】
前記ユーザプレーン用ゲートウェイは、前記変更通知を受信したことに応じて、前記端末識別情報と前記変更後ゲートウェイのアドレスとを関連付けて記憶してもよい。
【0012】
前記選択装置は、前記変更要求に含まれている前記変更後ゲートウェイのアドレスに基づいて、前記変更後ゲートウェイを選択してもよい。
【0013】
前記変更前ゲートウェイは、前記複数の制御プレーン用ゲートウェイを管理する管理端末を介して受信した指示に基づいて、前記変更要求を送信してもよい。また、前記変更前ゲートウェイは、自身の通信状態が所定の条件を満たす場合に前記変更要求を送信してもよい。
【0014】
本発明の第2の態様の制御方法は、携帯端末との間で制御データを送受信する複数の制御プレーン用ゲートウェイと、前記携帯端末との間でユーザデータを送受信するユーザプレーン用ゲートウェイと、を有する通信システムが実行する制御方法であって、前記携帯端末との通信に用いられていた制御プレーン用ゲートウェイである変更前ゲートウェイを他の制御プレーン用ゲートウェイに変更することを要求する変更要求を、前記他の制御プレーン用ゲートウェイとしての変更後ゲートウェイを選択する選択装置に対して送信するステップと、前記選択装置が前記変更要求を受信したことに応じて前記変更後ゲートウェイを選択するステップと、前記選択装置が前記変更後ゲートウェイを選択した後に、前記変更後ゲートウェイと前記ユーザプレーン用ゲートウェイとの間で通信路を確立するステップと、を有する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、CPlaneのゲートウェイを単独で変更できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本実施形態の通信システムSの構成を示す図である。
【
図2】MME3が選択装置として用いられる場合の通信シーケンスを示す図である。
【
図3】PGW6が選択装置として用いられる場合の通信シーケンスを示す図である。
【
図4】U−SGW5が選択装置として用いられる場合の通信シーケンスを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[通信システムSの構成]
図1は、本実施形態の通信システムSの構成を示す図である。通信システムSは、携帯端末1と、eNB2と、MME3と、複数のC−SGW4と、U−SGW5と、PGW6とを有する。
図1における実線は音声・データ等のユーザデータが伝送される経路を示しており、破線は制御データが伝送される経路を示している。また、C−SGW4とU−SGW5との間の一点鎖線は、C−SGW4とU−SGW5との間で制御情報が送受信される経路を示している。
【0018】
携帯端末1は、LTE(Long Term Evolution)や3GPP(Third Generation Partnership Project)等の携帯電話網で通信可能な端末である。携帯端末1は、eNB2との間で無線チャネルを介して制御データ及び音声・データ等のユーザデータを送受信する。
【0019】
eNB2は、LTEの基地局である。eNB2は、携帯端末1から受信した制御データをMME3に転送し、MME3から受信した制御データを携帯端末1に転送する。また、eNB2は、携帯端末1から受信したユーザデータをU−SGW5に転送し、U−SGW5から受信したユーザデータを携帯端末1に転送する。
【0020】
MME3は、携帯端末1の位置登録、呼び出し、及び基地局間のハンドオーバー等の管理を行う移動管理装置である。MME3は、eNB2とC−SGW4との間で制御データを中継する。
【0021】
C−SGW4は、制御データを処理するCPlane用の制御データゲートウェイである。C−SGW4は、携帯端末1との間で制御データを送受信する。通信システムSは、携帯端末1の数及び種別に応じた数の複数のC−SGW4を有している。複数のC−SGW4のそれぞれは、MME3、U−SGW5及びPGW6と接続されている。
【0022】
U−SGW5は、ユーザデータを処理するUPlane用のユーザデータゲートウェイである。U−SGW5は、携帯端末1との間でユーザデータを送受信する。U−SGW5は、eNB2、複数のC−SGW4及びPGW6と接続されている。
【0023】
PGW6は、携帯端末1が、インターネット等の外部ネットワークにアクセスするためのゲートウェイである。PGW6は、複数のC−SGW4及びU−SGW5と接続されている。
【0024】
通信システムSにおいては、複数のC−SGW4のうち、携帯端末1が収容されていたC−SGW4を変更することができる。本明細書においては、変更前に携帯端末1が収容されていたC−SGW4がC−SGW4aであるとし、変更後に携帯端末1が収容されるC−SGW4がC−SGW4bであるとする。
【0025】
携帯端末1が収容されていたC−SGW4を変更する際には、複数のC−SGW4のうち、どのC−SGW4に変更するかを選択する必要がある。そこで、通信システムSは、携帯端末1との通信に用いられていた変更前に用いられていたC−SGW4aを他のC−SGW4を変更することを要求する変更要求を受信したことに応じて他のC−SGW4としての変更後ゲートウェイC−SGW4bを選択する選択装置を備える。選択装置は、例えば、MME3、U−SGW5又はPGW6である。通信システムSは、選択装置として、MME3、U−SGW5又はPGW6以外の装置を備えてもよい。
【0026】
C−SGW4を変更する手順においては、主として以下の処理が行われる。
・携帯端末1に関連付けられている変更前のC−SGW4aの情報(主に携帯端末1に関する情報)を変更先のC−SGW4bに通知する。
・MME3と、C−SGW4と、PGW6との間のCPlaneベアラを確立する。
・C−SGW4を変更したことをU−SGW5に通知する。
以下、携帯端末1が収容されるC−SGW4を変更する場合の手順について具体的に説明する。
【0027】
<第1の実施形態>
[選択装置がMME3である場合の通信シーケンス]
図2は、MME3が選択装置として用いられる場合の通信シーケンスを示す図である。
図2における実線の矢印は、3GPPにおいても使用されていたメッセージを示しており、破線の矢印は、本実施形態の特徴となる、従来は使用されていなかったメッセージである。
【0028】
C−SGW4aからC−SGW4bへの変更処理は、例えばC−SGW4aを管理するオペレータの操作によって起動する。具体的には、C−SGW4aは、例えば、複数のC−SGW4を管理する管理端末(不図示)を介して受信した指示に基づいて、特定の携帯端末1を収容するC−SGW4を変更するためのC−SGW変更要求を選択装置に送信する。
【0029】
C−SGW4aからC−SGW4bへの変更処理は、他の要因によって起動してもよい。例えば、C−SGW4aは、自身の通信状態が所定の条件を満たす場合に、C−SGW変更要求を選択装置に送信する。具体的には、C−SGW4aは、C−SGW4aの負荷が所定の大きさを超えたことに応じて、変更処理を起動してもよい。
【0030】
図2に示すように、C−SGW4aは、変更処理を起動すると、携帯端末1と通信する処理を他のC−SGW4に変更する要求であるC−SGW変更要求(SGW_C Change Request)をMME3に送信する(S11)。このC−SGW変更要求には、制御用のU−SGW5のIPアドレス、切り替え先のC−SGW4の選択方法及び選択先の情報が含まれている。ここで、選択方法としては一意にC−SGW4を指定する方法、プール単位でC−SGW4を指定する方法、及び指定をしない方法が存在する。
【0031】
なお、MME3は、受信したC−SGW変更要求のヘッダに基づいて、C−SGW4を変更する対象となる携帯端末1を判別し、受信したC−SGW変更要求で指定されている選択方法に従って、変更後のC−SGW4bを決定する(S12)。MME3は、例えば負荷が所定量以上になったという通知を受けたC−SGW4以外のC−SGW4からC−SGW4bを選択する。MME3は、それぞれのC−SGW4bに負荷の大きさを問い合わせて、負荷が所定の値よりも小さなC−SGW4を選択してもよい。
【0032】
続いて、MME3は、C−SGW4aが通信していた携帯端末1を識別するための端末識別情報(例えば、自身に登録されている携帯端末1のユーザ情報)を含むセッション確立要求(Create session request)を作成する。MME3は、セッション確立要求にU−SGW5の制御用アドレスを付与し、U−SGW5制御用アドレスを付与したセッション確立要求を、ステップS12において決定したC−SGW4bに送信する(S13)。
【0033】
C−SGW4bは、セッション確立要求を受信したことに応じて、受信したセッション確立要求に含まれているアドレスのU−SGW5に対して、C−SGW変更メッセージ(Modify SGW_C Message)を送信することにより通信路を確立する(S14)。C−SGW変更要求は、携帯端末1の端末識別情報を含む、制御プレーン用ゲートウェイが変更されたことを通知する変更通知である。
【0034】
U−SGW5は、C−SGW変更メッセージを受信したことに応じて、C−SGW変更メッセージに含まれていた端末識別情報とC−SGW4bのアドレスとを関連付けて記憶する。具体的には、U−SGW5は、ハードディスク等の記憶媒体に記憶していた変更前のC−SGW4aのIPアドレスを、C−SGW4bのIPアドレスに変更する(S15)。その後、U−SGW5は、C−SGW変更メッセージに含まれていたC−SGW4bのアドレスに基づいてC−SGW4bを選択し、C−SGW4の変更が完了したことを示すC−SGW変更応答(Modify SGW_C Response)をC−SGW4bに送信する(S16)。
【0035】
続いて、C−SGW4bは、C−SGW4とPGW6との間のCPlaneベアラを作成するために、CPlaneベアラの変更を要求するためのベアラ変更要求(Modify Bearer Request)をPGW6に送信する(S17)。PGW6はCPlaneベアラの変更が完了すると、CPlaneベアラの変更が完了したことを示すベアラ変更応答(Modify bearer Response)をC−SGW4に送信する(S18)。
【0036】
その後、C−SGW4bは、MME3との間でCPlaneベアラを確立するために、セッション確立応答(Create Session Response)を送信する(S19)。MME3は、セッション確立応答を受信したことによってC−SGW4aからC−SGW4bへのベアラの変更完了を認識し、C−SGW4aにC−SGW変更完了応答(SGW_C Change Complete)を通知する(S20)。
【0037】
<第2の実施形態>
[選択装置がPGW6である場合の通信シーケンス]
図3は、PGW6が選択装置として用いられる場合の通信シーケンスを示す図である。C−SGW4aは、変更処理を起動すると、携帯端末1と通信する処理を他のC−SGW4に変更する要求であるC−SGW変更要求(SGW_C Change Request)をPGW6に送信する(S31)。このC−SGW変更要求には、携帯端末1のユーザのID、制御用のU−SGW5のIPアドレス、切り替え先のC−SGW4の選択方法及び選択先の情報が含まれている。ここで、選択方法としては、一意にC−SGW4を指定する方法、プール単位でC−SGW4を指定する方法、指定をしない方法が存在する。
【0038】
続いて、PGW6は、受信したC−SGW変更要求のヘッダに基づいて、C−SGW4を変更する対象となる携帯端末1を判別し、受信したC−SGW4で指定されている選択方法に従って、変更後のC−SGW4bを決定する(S32)PGW6は、変更後のC−SGW4bを決定すると、C−SGW4bに対して、セッション確立要求トリガ(Create Session Request Trigger)を送信する(S33)。セッション確立要求トリガには、C−SGW4aに収容されていた携帯端末1のユーザID及びユーザが接続していたMME3の情報が含まれる。
【0039】
C−SGW4bは、セッション確立要求トリガを受信すると、受信したセッション確立要求トリガをMME3に転送する(S34)。MME3は、自身に登録されているユーザ情報を用いてセッション確立要求(Create Session Request)を作成する。MME3は、作成したセッション確立要求にU−SGW5制御用アドレスを付与し、ステップS32で決定されたC−SGW4bに送信する(S35)。
【0040】
C−SGW4bは、セッション確立要求(Create Session Request)を受信すると、受信したセッション確立要求に含まれているアドレスのU−SGW5に対して、C−SGW変更メッセージ(Modify SGW_C Message)を送信する(S36)。U−SGW5は、C−SGW変更メッセージを受信すると、C−SGW変更メッセージに含まれている携帯端末1に対応するC−SGW4のIPアドレスを変更する(S37)。
【0041】
U−SGW5は、C−SGW4のIPアドレスを変更すると、C−SGW4変更が完了したことを示すC−SGW変更応答(Modify SGW_C Response)をC−SGW4bに送信する(S38)。C−SGW4bは、C−SGW変更応答を受信すると、C−SGW4とPGW6との間のCPlaneベアラを作成するために、PGW6にベアラ変更要求(Modify Bearer Request)を送信する(S39)。PGW6は、ベアラの変更が完了すると、C−SGW4にCPlaneベアラの変更が完了したことを示すベアラ変更応答(Modify Bearer Response)を送信する(S40)。
【0042】
C−SGW4bは、ベアラ変更応答を受信すると、MME3との間でCPlaneベアラを確立するために、セッション確立応答(Create Session Response)を送信する(S41)。MME3は、セッション確立応答を受信したことによってC−SGW4aからC−SGW4bへのベアラの変更が完了したことを認識し、C−SGW4bへの変更が完了したことを示すC−SGW変更完了(SGW_C Change Complete)を通知する(S42)。
【0043】
<第3の実施形態>
図4は、U−SGW5が選択装置として用いられる場合の通信シーケンスを示す図である。C−SGW4aは、変更処理を起動すると、C−SGW変更要求(SGW_C Change Request)をU−SGW5に送信する(S51)。このC−SGW変更要求には、携帯端末1のユーザのID、切り替え先のC−SGW4の選択方法及び選択先の情報が含まれている。ここで、選択方法としては、第2の実施形態と同様に、一意にC−SGW4を指定する方法、プール単位でC−SGW4を指定する方法、指定をしない方法が存在する。
【0044】
U−SGW5は、C−SGW変更要求を受信すると、受信したC−SGW変更要求に含まれている選択方法に従って、変更後のC−SGW4bを決定する(S52)。U−SGW5は、C−SGW4bを決定すると、C−SGW4bにセッション確立要求トリガ(Create Session Request Trigger)を送信する(S53)。セッション確立要求トリガには、C−SGW4aに収容されていた携帯端末1のユーザID及びユーザが接続していたMME3の情報が含まれる。
【0045】
C−SGW4bは、セッション確立要求トリガを受信すると、受信したセッション確立要求トリガをMME3に転送する(S54)。MME3は、自身に登録されているユーザ情報を用いてセッション確立要求(Create Session Request)を作成する。MME3は、作成したセッション確立要求にU−SGW5制御用アドレスを付与し、ステップS52で決定されたC−SGW4bに送信する(S55)。
【0046】
C−SGW4bは、セッション確立要求を受信すると、C−SGW4とPGW6との間のCPlaneベアラを作成するために、PGW6にベアラ変更要求(Modify Bearer Request)を送信する(S56)。PGW6は、ベアラの変更が完了すると、C−SGW4にCPlaneベアラの変更が完了したことを示すベアラ変更応答(Modify Bearer Response)を送信する(S57)。
【0047】
C−SGW4bは、ベアラ変更応答を受信すると、MME3との間でCPlaneベアラを確立するために、セッション確立応答(Create Session Response)を送信する(S58)。MME3は、セッション確立応答を受信したことによってC−SGW4aからC−SGW4bへのベアラの変更が完了したことを認識し、C−SGW4bへの変更が完了したことを示すC−SGW変更完了(SGW_C Change Complete)を通知する(S59)。
【0048】
[本発明の実施形態の通信システムSによる効果]
以上説明したように、通信システムSによれば、携帯端末1を収容しているC−SGW4の変更が必要になった場合、C−SGW4が選択装置に対して変更要求を送信することにより、U−SGW5を変更することなく、C−SGW4を単独で変更することができる。このようにすることで、C−SGW4のメンテナンスを行う際や、特定のC−SGW4の負荷が増えてきた際に、変更が必要なC−SGW4のみを変更し、U−SGW5はそのまま同じ装置を利用することが可能になる。したがって、C−SGW4を容易に変更することができるので、メンテナンスをしやすくなる。また、C−SGW4の負荷が増えた際に、負荷の増加に速やかに対応することが可能になる。
【0049】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。特に、装置の分散・統合の具体的な実施形態は以上に図示するものに限られず、その全部又は一部について、種々の付加等に応じて、又は、機能負荷に応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。
【符号の説明】
【0050】
1 携帯端末
2 eNB
3 MME
4 C−SGW
5 U−SGW
6 PGW
S 通信システム