(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6574748
(24)【登録日】2019年8月23日
(45)【発行日】2019年9月11日
(54)【発明の名称】ブッシュ及び車両用ペダル装置
(51)【国際特許分類】
G05G 1/30 20080401AFI20190902BHJP
G05G 1/44 20080401ALI20190902BHJP
F16C 33/20 20060101ALI20190902BHJP
F16C 33/04 20060101ALI20190902BHJP
F16C 11/04 20060101ALI20190902BHJP
B60T 7/06 20060101ALI20190902BHJP
B60K 26/02 20060101ALI20190902BHJP
【FI】
G05G1/30 E
G05G1/44
F16C33/20 Z
F16C33/04
F16C11/04 B
B60T7/06 A
B60K26/02
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-204028(P2016-204028)
(22)【出願日】2016年10月18日
(65)【公開番号】特開2018-67073(P2018-67073A)
(43)【公開日】2018年4月26日
【審査請求日】2018年9月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000241496
【氏名又は名称】豊田鉄工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000992
【氏名又は名称】特許業務法人ネクスト
(72)【発明者】
【氏名】加藤 徳昭
【審査官】
前田 浩
(56)【参考文献】
【文献】
特開2016−38641(JP,A)
【文献】
特開2016−31563(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05G 1/30
B60K 26/02
B60T 7/06
F16C 11/04
F16C 33/04
F16C 33/20
G05G 1/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用ペダル装置のペダルに設けられたボスと、前記ボス内に嵌挿されたカラーとの間に介在する樹脂製のブッシュであって、
円環部と、
前記円環部と同軸に設けられ、外周縁が前記円環部より大径の鍔部と、
前記円環部と前記鍔部とを連結する連結部とを備え、
前記連結部は、
前記円環部から前記鍔部の側に向かうに連れて径方向の外側へ広がる傾斜部と、
前記傾斜部から前記径方向の外側へ曲折して前記鍔部に連設された出張り部とを備えることを特徴とするブッシュ。
【請求項2】
前記鍔部は、内周縁が前記円環部と同径の幅広円環板であり、
前記円環部の軸線に沿って前記円環部から延出すると共に前記鍔部の内周縁に連設された曲面部を備えることを特徴とする請求項1に記載のブッシュ。
【請求項3】
前記連結部の前記出張り部に前記円環部の側に向けて屈曲して突き出した突起部を備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のブッシュ。
【請求項4】
前記連結部は、前記円環部の周方向において等ピッチで配設されたことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一つに記載のブッシュ。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか一つに記載の車両用ペダル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボス及びカラーの間に介在するブッシュ及びこのブッシュを備えた車両用ペダル装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、ボス及びカラーの間に介在するブッシュ及びこのブッシュを備えた車両用ペダル装置に関する技術が種々提案されている。例えば、下記特許文献1に記載された軸受ブッシュは、環状の湾曲状凹内面及び湾曲状凸外面を有する中空本体部と、この中空本体部の一方の端部から径方向外方に延設された環状鍔部と、中空本体部の一方の端部から中空本体部の他方の端部に向かって伸びて中空本体部に設けられた少なくとも一個の第一のスリットと、中空本体部の他方の端部から中空本体部の一方の端部に向かって伸びて中空本体部に設けられた少なくとも一個の第二のスリットと、中空本体部の一方の端部で第一のスリットに連通して環状鍔部に設けられた少なくとも一個の第三のスリットと、中空本体部の他方の端部から中空本体部の一方の端部に向かう方向に傾斜して環状鍔部の外周縁から径方向外方に延設された少なくとも一個の傾斜板部とを具備しており、中空本体部は、第一から第三のスリットにより縮径自在となっている。
【0003】
斯かる軸受ブッシュによれば、中空本体部の一方の端部から中空本体部の他方の端部に向かって伸びて中空本体部に設けられた少なくとも一個の第一のスリットと、中空本体部の他方の端部から中空本体部の一方の端部に向かって伸びて中空本体部に設けられた少なくとも一個の第二のスリットと、中空本体部の一方の端部で第一のスリットに連通して環状鍔部に設けられた少なくとも一個の第三のスリットとにより、中空本体部が縮径自在となっているので、中空本体部の内径寸法と軸部材の外径寸法の寸法公差によって決定される軸受隙間(ガタ)を吸収でき、軸受隙間に起因する径方向のガタによる操作フィーリングの低下及び異音の発生を防止でき、環状鍔部の外周縁から径方向外方に延設された少なくとも一個の傾斜板部が中空本体部の他方の端部から中空本体部の一方の端部に向かう方向に傾斜しているので、傾斜板部の弾性変形によって軸方向の隙間(ガタ)を吸収でき、摺動抵抗の増加による操作フィーリングの低下及び軸方向の隙間(ガタ)に起因する異音の発生を防止でき、而して、操作フィーリングの向上を図り得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016−56944号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、環状鍔部の外周縁から径方向外方に延設された少なくとも一個の傾斜板部は、中空本体部の他方の端部から中空本体部の一方の端部に向かう方向に傾斜しているので、軸受ブッシュを車両用ペダル装置のボス及びカラーの間に介在させると、径方向に進むに連れてボスの両端から軸方向へ広がる状態になる。
【0006】
そのような状態にある傾斜板部は、ペダルアームに固定されたボスを一対のサポートプレートの間に挿入させる際に、サポートプレートに引っ掛かりやすいので、組付性を悪くしていた。
【0007】
そこで、本発明は、上述した点を鑑みてなされたものであり、ガタ抑制と同時に組付性の向上を図ったブッシュ及び車両用ペダル装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題を解決するためになされた請求項1に記載の発明は、車両用ペダル装置のペダルに設けられたボスと、ボス内に嵌挿されたカラーとの間に介在する樹脂製のブッシュであって、円環部と、円環部と同軸に設けられ、外周縁が円環部より大径の鍔部と、円環部と鍔部とを連結する連結部とを備え、連結部は、円環部から鍔部の側に向かうに連れて径方向の外側へ広がる傾斜部と、傾斜部から径方向の外側へ曲折して鍔部に連設された出張り部とを備えることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のブッシュであって、鍔部は、内周縁が円環部と同径の幅広円環板であり、円環部の軸線に沿って円環部から延出すると共に鍔部の内周縁に連設された曲面部を備えることを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載のブッシュであって、連結部の出張り部に円環部の側に向けて屈曲して突き出した突起部を備えることを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか一つに記載のブッシュであって、連結部は、円環部の周方向において等ピッチで配設されたことを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至請求項4のいずれか一つに記載の車両用ペダル装置であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載のブッシュ及び請求項5に記載の車両ペダル装置では、連結部の傾斜部が円環部から鍔部の側に向かうに連れて径方向の外側へ広がっている。そのため、車両用ペダル装置のボス及びカラーの間にブッシュを介在させると、連結部の傾斜部が鍔部側でボスの内壁面に押し付けられた状態になるので、径方向への傾斜部の弾性力が働いて、径方向のガタが抑制され、ひいてはペダル操作時の違和感が防止される。さらに、連結部の傾斜部の一部がボス及びカラーの間から突き出ることにより、連結部の出張り部及び鍔部がボスの端壁面に沿った状態になるので、連結部の出張り部及び鍔部が引っ掛かり難くなり、組付性が向上する。従って、請求項1に記載のブッシュ及び請求項5に記載の車両ペダル装置は、ガタ抑制と同時に組付性の向上を図ることが可能である。
【0014】
請求項2に記載のブッシュ及び請求項5に記載の車両ペダル装置では、車両用ペダル装置のボス及びカラーの間にブッシュを介在させると、円環部から延出して鍔部に連設する曲面部がボス及びカラーの間に介在するので、ブッシュの軸方向の強度、ひいてはペダル操作時におけるブッシュの耐久性が向上する。
【0015】
請求項3に記載のブッシュ及び請求項5に記載の車両ペダル装置では、車両用ペダル装置のボス及びカラーの間にブッシュを介在させると、連結部の出張り部に設けられた突起部がボスの端壁面に当接した状態になるので、ブッシュの軸方向への突起部の弾性力が働いて、ブッシュの軸方向のガタが抑制され、ひいてはペダル操作時の違和感を防止する。
【0016】
請求項4に記載のブッシュ及び請求項5に記載の車両ペダル装置では、連結部が円環部の周方向において等ピッチで配設されており、車両用ペダル装置のボス及びカラーの間にブッシュを介在させるときに、ブッシュの方向性がその径方向及び周方向で無くなるので、組付性が一層に向上する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本実施形態のブレーキペダル装置を表す側面図である。
【
図2】
図1におけるA−A矢視部分の拡大断面図である。
【
図4】同ブッシュを表す図であって、(a)は平面図であり、(b)は正面図であり、(c)は同(a)におけるB−B矢視部分の断面図である。
【
図5】同ブレーキペダル装置に組み付けられる同ブッシュの状態を
図4(a)におけるB−B矢視で表す模式図であって、(a)は組み付け前の図であり、(b)は組み付け中の図であり、(c)は組み付け後の図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係るブッシュ及びこのブッシュを備えた車両用ペダル装置について、具体化した本実施形態に基づき、図面を参照しつつ説明する。尚、当該ブッシュ及び当該車両用ペダル装置に関し、本発明を特定する事項を除く公知技術については、詳細な説明を省略することがある。また、以下の説明に用いる各図面では、基本的構成の一部が省略されて描かれていることがあり、描かれた各部の寸法比等は必ずしも正確ではない。
【0019】
[1.ブッシュ及びブレーキペダル装置の概要]
図1及び
図2に表すように、ブレーキペダル装置11はブレーキペダル13を備えており、そのブレーキペダル13は、上端部において略水平な支持軸心S1まわりに回動可能にペダルブラケット15によって支持されているとともに、ブレーキペダル13の下端部にはペダルシート等の踏部17が一体的に取り付けられている。そして、その踏部17が運転者によって踏込み操作されると、ブレーキペダル13は
図1において支持軸心S1の右回りに回動させられ、連結リンク19および中間レバー21を介して図示しないプッシュロッド等の出力部材に踏込み操作力が伝達され、その踏込み操作力に応じてブレーキ油圧が発生させられる。中間レバー21は、支持軸心S1と略平行な支持軸心S2まわりに回動可能にペダルブラケット15に配設されている。
【0020】
上記ペダルブラケット15は、
図1の上方から見た平面視において、車両前側で回曲させられたU字形状を成していて、所定の間隔を隔てて設けられた互いに略平行な側板状の一対のサポートプレート23、25を一体に備えている。ブレーキペダル13は、その一対のサポートプレート23、25の間で支持されている。一対のサポートプレート23、25には、支持軸心S1と略一致する位置にそれぞれ挿通穴27が設けられているとともに、それ等のサポートプレート23、25の間には円筒形状のカラー29が配設され、サポートプレート23、25の相対向する内側面に略垂直に当接させられている。そして、締結ボルト31が、一対のサポートプレート23、25の挿通穴27およびカラー29の貫通穴内を挿通させられ、サポートプレート25から突き出す先端部にナット33が螺合されることにより、一対のサポートプレート23、25の間でカラー29が軸方向に挟圧された状態で一体的に固定されている。カラー29は、円筒外周面を有し、そのカラー29の軸心が支持軸心S1で、挿通穴27の中心線と略一致する。
【0021】
一方、ブレーキペダル13の上端部には、上記カラー29よりも大径の円筒形状のボス35が溶接等により一体的に固設されており、そのボス35の軸方向の両端部には、それぞれブッシュ41、43が配設されている。ブッシュ41、43は同一形状で、それぞれ合成樹脂材料にて一体に構成されており、円環部45を有するとともに、その円環部45の一端部には略垂直に外周側へ延び出す鍔部47が一体に設けられている。円環部45及び鍔部47の間には、連結部49が設けられている。そして、円環部45及び連結部49等がボス35の貫通穴内に圧入されることにより、一対のブッシュ41、43がそれぞれボス35の両端部に一体的に組み付けられ、それらの円環部45及び連結部49の内側を前記カラー29が相対回転可能に挿通させられている。これにより、一対のブッシュ41、43を介してボス35が支持軸心S1まわりに回動可能にカラー29によって支持されるとともに、一対のブッシュ41、43の鍔部47を介して一対のサポートプレート23、25によりボス35の軸方向位置が位置決めされる。
【0022】
[2.ブッシュの構造]
次に、ブッシュ41、43の構造について説明する。
図3及び
図4に表すように、ブッシュ41、43は、円環部45、鍔部47、連結部49、及び曲面部51を備えている。円環部45、鍔部47、連結部49、及び曲面部51の各厚みは、略同一である。
【0023】
円環部45の内径は、カラー29の外径よりも僅かに小さく、円環部45の外径は、ボス35の内径よりも僅かに小さい。
【0024】
鍔部47は、円環部45の軸線SAと同軸の幅広円環板である。鍔部47及び円環部45の間には、連結部49又は曲面部51が設けられている。つまり、鍔部47は、円環部45の軸線SAの方向において、円環部45とは離間して設けられている。鍔部47の外周縁47Aは、円環部45の外径より大きい径を有する。鍔部47の内周縁47Bは、円環部45の外径と同じ径を有する。
【0025】
連結部49は、円環部45と鍔部47とを連結するものである。連結部49は、円環部45及び鍔部47の周方向において、等ピッチで6つ設けられている。連結部49において、円環部45及び鍔部47の周方向の両側には、スリット状の開口が設けられている。これにより、連結部49は、円環部45及び鍔部47の周方向において、曲面部51又は鍔部47とは離間して設けられている。連結部49は、傾斜部49A、出張り部49B、及び突起部49Cを備えている。
【0026】
傾斜部49Aは、円環部45から鍔部47の内周縁47Bに向かうに連れて、円環部45及び鍔部47の径方向の外側へ広がって傾斜している。これにより、円環部45の軸線SAから傾斜部49Aの外壁面までの距離(以下、「同距離」という。)は、円環部45の外径より大きく、さらに、円環部45から鍔部47の内周縁47Bに向かうに連れて、少しずつ大きくなっている。そして、同距離は、鍔部47の近傍から鍔部47の内周縁47Bまでの間において、ボス35の内径よりも僅かに大きくなっている。
【0027】
出張り部49Bは、その一端部が、鍔部47の内周縁47B付近において、傾斜部49Aから円環部45及び鍔部47の径方向の外側へ折れ曲がる状態で設けられている。さらに、出張り部49Bは、その一端部とは反対の他端部が鍔部47に連なった状態で設けられている。出張り部49Bには、鍔部47の側から円環部45の側に向けて屈曲して突き出した突起部49Cが設けられている。
【0028】
曲面部51は、円環部45の軸線SAに沿って円環部45から延出する曲板であって、鍔部47の内周縁47Bに連なった状態で設けられている。鍔部47の内周縁47Bの外径は、上述したように、円環部45の外径と同じである。従って、円環部45の軸線SAから曲面部51の外壁面までの距離は、円環部45の軸線SAから円環部45の外壁面までの距離と同じである。これにより、曲面部51及び円環部45は、一つの円筒体を形作っている。曲面部51は、2つの連結部49の間に形成されている。よって、曲面部51は、円環部45及び鍔部47の周方向において、等ピッチで6つ設けられている。
【0029】
ブッシュ41、43は、その合成樹脂材料により弾性変形が可能である。さらに、上述した構造により、連結部49が、円環部45、鍔部47、及び曲面部51と比べ、弾性変形し易くなっている。尚、
図4(c)では、円環部45、鍔部47、及び連結部49の各断面のみを描いている。
【0030】
[3.ブッシュの作用]
次に、ブッシュ41、43の作用について説明する。
図5(a)(b)に表すように、ブッシュ41、43がカラー29及びボス35の間に介在すると、連結部49の傾斜部49Aの一部49D(
図5視で下端部)がカラー29及びボス35の間から突き出した状態になる。尚、
図5に表されていないが、円環部45及び鍔部47の内周縁47Bの間に設けられた曲面部51は、ブッシュ41、43がカラー29及びボス35の間に介在することに伴い、カラー29及びボス35の間に介在している。さらに、円環部45及びカラー29の寸法関係から、円環部45の内壁面がその弾性力によってカラー29の外壁面に押し付けられた状態になる。
【0031】
同時に、連結部49の傾斜部49A及びボス35の寸法関係から、円環部45及び鍔部47の径方向への弾性力によって、連結部49の傾斜部49Aが鍔部47側でボス35の内壁面に押し付けられた状態になる。つまり、連結部49の傾斜部49Aは、円環部45及び鍔部47の径方向の外側へ広がっている組み付け前の状態から、円環部45及び鍔部47の径方向の内側へボス35の内壁面によって押される組み付け中の状態に移行する。これにより、連結部49の傾斜部49Aの一部49D(
図5視で下端部)がカラー29の外壁面側へ移行し、その移行に伴い、連結部49の出張り部49B及び鍔部47がボス35の端壁面35Aに沿った状態になる。従って、連結部49の出張り部49Bに設けられた突起部49Cは、ボス35の端壁面35Aに当接した状態になる。
【0032】
その後、
図5(c)に表すように、サポートプレート23、25がカラー29の端壁面29Aに対して略垂直に当接された状態で組み付けられると、連結部49の出張り部49B及び鍔部47がサポートプレート23、25によってボス35の端壁面35Aに押し付けられた状態になる。これに伴い、連結部49の出張り部49Bに設けられた突起部49Cも、サポートプレート23、25によってボス35の端壁面35Aに押し付けられた状態になる。そのため、ブッシュ41、43の軸線SA方向において、突起部49Cの弾性力がボス35の端壁面35Aに作用する。
【0033】
尚、
図5(b)(c)では、図面をわかり易くするために、ブッシュ41、43の(円環部45、鍔部47、及び連結部49の各)断面の一方のみが描かれると共に、サポートプレート23、25、カラー29、及びボス35の各断面には斜線が描かれていない。
【0034】
[4.その他]
ちなみに、本実施形態において、ブレーキペダル装置11は、「車両用ペダル装置」の一例である。
【0035】
[5.まとめ]
以上詳細に説明したように、本実施形態では、連結部49の傾斜部49Aが、円環部45から鍔部47の側に向かうに連れて、円環部45及び鍔部47の径方向の外側へ広がっている。よって、ブレーキペダル装置11のボス35及びカラー29の間にブッシュ41、43を介在させると、連結部49の傾斜部49Aが鍔部47側でボス35の内壁面に押し付けられた状態になる。そのため、連結部49の傾斜部49Aの弾性力が円環部45及び鍔部47の径方向でボス35の内壁面に作用するので、円環部45及び鍔部47の径方向のガタが抑制される。尚、円環部45及び鍔部47の径方向は、ボス35及びカラー29の径方向と同じである。
【0036】
さらに、連結部49の傾斜部49Aの一部49D(
図5視で下端部)がボス35及びカラー29の間から突き出ることにより、連結部49の出張り部49B及び鍔部47がボス35の端壁面35Aに沿った状態になる。よって、ブッシュ41、43がブレーキペダル13のボス35とカラー29との間に組み付けられた後で、ブレーキペダル13のボス35をサポートプレート23、25の間に挿入させる際に、連結部49の出張り部49B及び鍔部47がサポートプレート23、25に引っ掛かり難いので、組付性が向上する。
【0037】
従って、本実施形態において、ブッシュ41、43及びブレーキペダル装置11は、ガタ抑制と同時に組付性の向上を図ることが可能である。
【0038】
本実施形態では、ブレーキペダル装置11のボス35及びカラー29の間にブッシュ41、43を介在させると、円環部45から延出して鍔部47に連なった曲面部51がボス35及びカラー29の間に介在する。そのため、ブッシュ41、43の軸線SA方向の強度、ひいてはペダル操作時におけるブッシュ41、43の耐久性が向上する。尚、ブッシュ41、43の軸線SA方向は、ボス35の軸線方向及びカラー29の軸線方向と略一致する。
【0039】
本実施形態では、ブレーキペダル装置11のボス35及びカラー29の間にブッシュ41、43を介在させると、連結部49の出張り部49B及び鍔部47がボス35の端壁面35Aに沿った状態になり、さらに、連結部49の出張り部49Bに設けられた突起部49Cがボス35の端壁面35Aに当接した状態になる。これに伴い、突起部49Cの弾性力がブッシュ41、43の軸線SA方向でボス35の端壁面35Aに作用するので、ブッシュ41、43の軸線SA方向のガタが抑制される。
【0040】
このようにして、ブッシュ41、43は、その径方向のガタ及び軸線SA方向のガタを抑制するものである。さらに、ブレーキペダル13の踏部17が運転者によって踏み込み操作されると、ブレーキペダル13に固設されたボス35がその径方向に移行することにより、円環部45、連結部49の傾斜部49A、及び曲面部51の各一部が、ブッシュ41、43の径方向で圧縮された状態になる。これに伴い、連結部49の傾斜部49Aの一部49D(
図5視で下端部)が、ボス35及びカラー29の間から更に突き出ようとする状態、つまりブッシュ41、43の軸線SA方向で更に圧縮された状態になる。このようにして、ペダル操作時のブッシュ41、43は、その径方向のガタ及び軸線SA方向のガタをリンクして抑制し、剛性感を増加させるので、ペダル操作時の違和感を防止し、ひいてはペダル操作時のフィーリング感を向上させる。
【0041】
本実施形態では、連結部49が円環部45及び鍔部47の周方向において等ピッチで配設されている。そのため、ブレーキペダル装置11のボス35及びカラー29の間にブッシュ41、43を介在させるときに、ブッシュ41、43の方向性がその径方向及び周方向で無くなるので、組付性が一層に向上する。
【0042】
[6.変更例]
尚、本発明は上記実施形態に限定されるものでなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
例えば、ブッシュ41、43は、ブレーキペダル装置11の支持軸心S1において使用されているが、支持軸心S2において使用されても良い。
【0043】
また、ブッシュ41、43は、ブレーキペダル装置11において使用されているが、例えば、アクセルペダル装置等の車両用ペダル装置に使用されても良い。
【符号の説明】
【0044】
11 ブレーキペダル装置
13 ペダル
29 カラー
35 ボス
41 ブッシュ
43 ブッシュ
45 円環部
SA 軸線
47 鍔部
47A 外周縁
47B 内周縁
49 連結部
49A 傾斜部
49B 出張り部
49C 突起部
51 曲面部