【0008】
次に、図面に基づいて本発明の実施の形態につき説明する。
図1〜
図3は、本発明の熱交換器コアと、現在実用化されている従来型熱交換器コアとの比較を夫々表す。
図1はその熱交換器コアの縦断面説明図である。また、
図2は(A)に本発明のルーバによる空気の流通路を示し、(B)に従来型コアの空気の流通路を示す。そして
図3(A)(B)は、夫々の各ルーバの切り起こし状態を示す説明図である。
本発明の熱交換器コアは、偏平チューブとコルゲートフィンとを交互に並列してコアを形成する。そして、この例では上下に一対のタンク3を配置し、そのタンク3に偏平チューブの両端が貫通する。
図1において、コア高さHは、上下一対のタンク3間の離間距離(一対のタンク3間の空間部高さ)である。そのコアのルーバ切り起こし幅Wは、
図3のコア幅よりもフィンの平坦部長さ分、短い。
この例においては、
図2(A),
図3(A)に示す如く、コルゲートフィンに一方向フィンのみが傾斜してルーバ切り起こし幅Wの範囲に等間隔に切り起こされている。またルーバ切り起こし幅Wの両側には、平坦部6dが存在し、その平坦部6dには半ルーバ6cが形成されている。この半ルーバ6cの幅は、それ以外のルーバ6の幅の半分である。
そして
図2(A)の如く、一方向フィン7に空気流1が流入すると、その一方向フィンの各ルーバ6に案内されて、その一方向の流路4が上流側から下流側に斜めの帯状に形成される。
これに対して、従来型フィン8は、
図2(B),
図3(B)に示す如く、フィンの幅方向中央に転向ルーバ6bを有し、その両側にルーバの向きを変えたルーバ6aが並列されたものである。その転向ルーバ6bの両側には半ルーバが切り起こされている。
そして、従来型フィン8に空気流1が流入すると、
図2(B)の如く、従来型フィンの流路5が山形に形成される。
このように本発明の対象である一方向フィン7と、従来型フィン8はその流路が、それぞれ一方向フィンの流路4及び従来型フィンの流路5の如く全く異なる。
それは、本発明の一方向フィン7と従来型フィン8との、構造状の違いに基づく。そして、次の差異が生じる。
先ず、一方向フィン7では従来型フィン8に比べてより多くのルーバ6の切り起こしが可能となる。これは、従来型フィン8の転向ルーバ6bに代えて、一方向ルーバを切り起こすことができるからである。その点で本発明のコアは、熱伝達率が向上する。
次に、転向ルーバ6bによって空気流1を完全に転向させることは困難であり、従来型フィン8では転向部下流直後に滞留域が生じていたが、本発明においてはそれが無くなる。この点でも熱伝達率が向上する。
図1において、左側から流入する空気流1は、一方向フィン7では、その実効コア高さH
1の範囲で熱交換器コア2内を斜めに流通する。
これに対し、従来型フィン8の場合は、従来型の実効コア高さH
2の範囲で熱交換器コア2内で山形の点線の如く流通する。
図1から明らかなように、本発明の一方向フィンの実効コア高さH
1よりも、従来型の実効コア高さH
2の方が高い。そのため同図において、本発明では、一方向フィンとすることで、通風低下領域の増加ΔHが生じる。そして、このΔHの領域において熱伝達率は低下する。
そこで、先ず、本発明者は
図1における一方向フィンの実効コア高さH
1における熱伝達率を、従来型フィン8に対する比として実験的に求めた。
図4がその実験データであり、横軸にルーバ切り起こし幅Wをとり、縦軸に熱伝達率の比率をとる。そして、ルーバ角度、20度,30度,40度において夫々実験を試みた。
図4から明らかなように、何れの角度でも実効コア高さH
1の範囲においては、従来型ルーバの熱伝達率よりも高い熱伝達率の比率を示す。
また、
図7はルーバ切り起こし幅Wとコア全体の熱交換量の比率を示したものである。
これらのデータを回帰分析すると、
Qup=Qup(W,θ)=α(W)+β(W,θ)+1を得る。
ここに、α(W)=η/(W−η)であり、η=0.3553(mm)である。そして、β(W,θ)=ξ/(W・tan
22θ−ξ)であり、ξ=0.5447(mm)である。
α(W)はルーバ枚数増加の効果を、β(W,θ)は転向部下流滞留域消滅の効果を表している。
また、Qup=(通風部における一方向フィン1山あたりの熱交換量)/(通風部における従来型フィン1山あたりの熱交換量)である。
次に、本発明者は
図1に示す如く、一方向フィンとすることにより、従来型の実効高さH
2に対してロスする領域ΔHを実験的に確認した。それが、
図5である。
図5において、横軸はコアのルーバ切り起こし幅Wであり、縦軸は一方向ルーバとしたことによる伝熱低下領域の増分ΔHであり、夫々単位はmmである。
そして、数値計算による流線を元に、各ルーバ角度θにおいて回帰分析をし、回帰式(5)
ΔH=ΔH(W,θ)=j・W・(sinθ+k・sin
2θ)
(j=0.1419, k=4.2789)
を得た。
ここで、一方向ルーバのメリットとデメリットとを従来型フィンと比較考慮すると、その効果の表れる範囲は、Qup×(H−ΔH)/H>1である。
そして、この式を変形すると、H>Qup/(Qup−1)×ΔHとなる。
図6に、この不等式から求めた、一方向ルーバの効果があるコア高さの下限(曲線a3〜c3)を示した。
一例として、ルーバ角度20度の場合は、ルーバ切り起こし幅Wに対するその下限の値はa3の曲線上にある。
この下限値以上のコア高さであれば、従来型のコアよりも高い熱交換性能を得ることができる。
ルーバ角度30度および40度の場合についても同様である。
従って、一方向ルーバの熱交換器コアは、そのHとWとθとを式(1)H>Qup/(Qup−1)×ΔH を満たすように設定すればよい。
なお、本発明は、ルーバ切り起こし幅Wが6〜46mm,ルーバ切り起こし角度θが20度〜35度,ルーバピッチが0.5〜1.5mm,フィンピッチが2〜5mmであって、流体を空気流とし、そのコア前面流速を2〜8m/sとした検討から得られたものである。
そして、より好ましい適用条件は、ルーバ切り起こし幅Wが6〜26mm,ルーバ切り起こし角度θが20度〜30度,ルーバピッチが0.5〜1.0mm,フィンピッチが2〜3mmであって、流体は空気流であり、そのコア前面流速は4〜8m/sである。