特許第6574768号(P6574768)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6574768内部高屈折率ピラーを有するLEDドーム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6574768
(24)【登録日】2019年8月23日
(45)【発行日】2019年9月11日
(54)【発明の名称】内部高屈折率ピラーを有するLEDドーム
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/58 20100101AFI20190902BHJP
【FI】
   H01L33/58
【請求項の数】14
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-528619(P2016-528619)
(86)(22)【出願日】2014年7月2日
(65)【公表番号】特表2016-525288(P2016-525288A)
(43)【公表日】2016年8月22日
(86)【国際出願番号】IB2014062793
(87)【国際公開番号】WO2015011586
(87)【国際公開日】20150129
【審査請求日】2017年4月11日
(31)【優先権主張番号】61/858,658
(32)【優先日】2013年7月26日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517152128
【氏名又は名称】ルミレッズ ホールディング ベーフェー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】ロペス,トニ
(72)【発明者】
【氏名】ヴァンポーラ,ケネス
【審査官】 大和田 有軌
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2007/0257271(US,A1)
【文献】 特開2011−233870(JP,A)
【文献】 特表2013−505571(JP,A)
【文献】 特開2008−053263(JP,A)
【文献】 特開2010−238846(JP,A)
【文献】 特開2005−057266(JP,A)
【文献】 特開2004−134803(JP,A)
【文献】 特開2011−060966(JP,A)
【文献】 特表2013−501840(JP,A)
【文献】 特開2012−119481(JP,A)
【文献】 特開2012−023249(JP,A)
【文献】 特表2011−521480(JP,A)
【文献】 特開2010−147446(JP,A)
【文献】 特表2009−515344(JP,A)
【文献】 特開2008−166740(JP,A)
【文献】 特表2008−518474(JP,A)
【文献】 特開2007−242820(JP,A)
【文献】 特開2006−352061(JP,A)
【文献】 国際公開第2006/028118(WO,A1)
【文献】 特表2004−507095(JP,A)
【文献】 国際公開第03/100873(WO,A1)
【文献】 特開2003−179255(JP,A)
【文献】 特開2003−017756(JP,A)
【文献】 特開2002−176200(JP,A)
【文献】 特開2002−141556(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0173958(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00 − 33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光デバイスであって、
長方形の発光ダイオード(LED)ダイであり、
エピタキシャル層、及び
前記エピタキシャル層の上に位置した、第1の基板面と第2の基板面とを持つ基板であり、前記第1の基板面が前記エピタキシャル層に直に接続され、当該基板は第1の屈折率を持つ、基板
を有するLEDダイと、
前記第2の基板面の上に位置する透明なピラーであり、当該ピラーは、第2の屈折率を持ち、当該ピラーは、頂面及び側壁を有する直方体ピラーであり、当該ピラーは、前記LEDダイと略同じサイズのフットプリントを持ち、当該ピラーは、前記LEDダイの辺の長さよりも大きい高さを有する、ピラーと、
前記ピラーを取り囲むレンズ部分であり、前記ピラーの前記側壁と当該レンズ部分との境界面において前記ピラー内での全反射(TIR)を生じさせるよう、前記第2の屈折率よりも低い第3の屈折率を持つレンズ部分と
を有し、
前記ピラーは、光が前記ピラーの前記頂面を通って出て行くよう、前記エピタキシャル層によって生成された光の一部を、前記ピラーの前記側壁から、前記TIRによって、前記ピラーの前記頂面に向けて反射するように構成されている、
発光デバイス。
【請求項2】
前記第2の屈折率は前記第1の屈折率の10%以内である、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記第3の屈折率は前記第2の屈折率の0.6倍から0.85倍の範囲内である、請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
前記第3の屈折率は前記第2の屈折率の略0.8倍である、請求項1に記載のデバイス。
【請求項5】
前記ピラーの前記フットプリントは前記第2の基板面の面積に略等しい、請求項1に記載のデバイス。
【請求項6】
前記第1の基板面は、正方形を含め、長方形であり、前記ピラーの前記フットプリントも長方形である、請求項1に記載のデバイス。
【請求項7】
前記第2の基板面は蛍光体で被覆されている、請求項1に記載のデバイス。
【請求項8】
前記蛍光体は前記ピラーの屈折率と整合する屈折率を持つ、請求項7に記載のデバイス。
【請求項9】
前記レンズ部分は、
前記ピラーを取り囲む円筒形部分と、
前記ピラー及び前記円筒形部分の上に位置する頂部レンズ部分と
を有する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項10】
前記頂部レンズ部分はドーム形状を有する、請求項9に記載のデバイス。
【請求項11】
前記ピラー及び前記レンズ部分は、接着剤を用いて前記LEDダイの上に取り付けられている、請求項1に記載のデバイス。
【請求項12】
当該デバイスは更に、前記LEDダイが上にマウントされた支持基板を有し、前記レンズ部分は、下方に前記支持基板の頂面まで延在している、請求項1に記載のデバイス。
【請求項13】
前記レンズ部分は、前記ピラーの周りに成形された材料を有する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項14】
前記基板は、前記エピタキシャル層のための成長基板である、請求項1に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光ダイオード(LED)に関し、特に、そのようなLEDの光取り出し効率を高める技術に関する。
【背景技術】
【0002】
LEDデバイスの光取り出し効率(extraction efficiency;ExE)は、光が生成されるところである高い屈折率(n)のエピタキシャル層内での全反射(total internal reflection;TIR)によって制限されている。このTIRを抑制するため、高屈折率の封入ドームレンズが広く使用されている。何故なら、それらは実効的にExEを20%ほども増大させることができるからである。GaN系LEDの屈折率は2から3の間であり、封入材料の屈折率は典型的に1.4から1.8の間であり、GaNと空気との間での良好な移行をもたらす。
【0003】
例えば薄膜フリップチップ(Thin-Film-Flip-Chip;TFFC)ダイレクトエミッタなどのLEDダイアーキテクチャにおいて、光は主としてエピタキシャル層の片面から取り出される。光取り出し面は一般に、成長基板が(例えば、レーザ支援リフトオフプロセスによって)除去された後に空気に露出される面である。光取り出し面の適切な表面粗面化処理により、ドーム封入後のそのようなダイレクトエミッタにおける取り出し効率は、かなり乏しいサブマウント反射率の場合であっても、80%ほどの高さになり得る。何故なら、薄いエピタキシャル層からの下向きの側面光は殆ど存在しないからである。
【0004】
サファイア成長基板が除去されずに様々な理由で保持される例えばパターンドサファイア基板(Patterned Sapphire Substrate;PSS)ベースのLEDなどのフリップチップ(FC)アーキテクチャにおいては、状況がかなり変わり得る。そのようなデバイスにおいては、エピタキシャル層からの光が透明基板に入り、該基板の反対側の表面が光を放つ。光は故に、エピタキシャル材料(例えば、GaN)から基板へ、そして、基板から空気又はドーム封入材料(その後、空気)の何れかへと取り出されなければならない。光の大きな部分が基板(典型的に、200〜300ミクロン厚)の4つの側面から取り出されるので、このようなLEDデバイスのフィールド放射は遥かに広いものとなる。取り出された側面放射のかなりの部分が、下方にサブマウントに向けられ、そこで損失を伴って反射され返す。従って、例えばPSSベースのダイなどのFCアーキテクチャは、TFFCの取り出し効率と同等の取り出し効率を提供するために、高反射性のパッケージサブマウントに頼っている。そのようなFCベースのLEDデバイスの一例を図1及び2に示す。図2は、図1のデバイスの左側面図である。
【0005】
図1及び2において、活性層を含むLEDエピタキシャル層12が、パターン形成(粗面化)されたサファイア基板14の表面に成長されている。エピタキシャル層12は、図2に示すよりも、基板14に対して遥かに薄く、図1では単純化のために特定していない。
【0006】
反射性の金属電極15A及び15BがLEDダイ16の底面に形成されており、これらの電極が直接的に、サブマウント22上のアノード及びカソードの金属パッド18A及び18Bに接合されている。サブマウント22の本体(ボディ)は、セラミック又は何らかのその他の熱伝導材料とし得る。パッド18A及び18Bは、サブマウント22内部のビアを用いて、関連付けられた底部金属パッド23(この側面図には1つのパッド23のみが示されている)に接続される。底部パッド23は、後に、印刷回路基板にはんだ付けされ得る。金属パッド18A及び18Bは反射性であり、基板14の側面から放たれた光(例えば光線26など)を反射し得る。図2において留意されたいことは、エピタキシャル層12によって発せられた光線26がどのように、浅い角度で基板14の頂面に突き当たり、TIRによって反射され、基板14の側壁を出て行き、そして、サブマウント22上のパッド18Aによって上向きに反射されるかということである。従って、光線26は、各反射と様々な材料内で進行する追加の距離とによって減衰される。
【0007】
そして、成形することによって、あるいはプリフォームされたレンズを接着性の封入材(例えば、シリコーン又はエポキシ)を用いてLEDダイ16上に取り付けることによっての何れかで、LEDダイ16を覆ってドームレンズ28が固定される。
【0008】
知られていることには、恐らくは800ミクロンほどだけ、基板14の厚さを増すことは、ExE利得を生み出すが、製造上の問題を生じさせるとともにコストを上昇させる。より厚い基板14を用いると、その頂面に突き当たる光は、法線角度により近い角度となり、故に、TIRはあまり起こらない。また、より浅い角度の光が、厚い基板の側壁から放射される。これは、一部の用途で望ましくないものであり得る広い放射角を生じさせる。
【0009】
故に、必要とされるのは、成長基板の厚さを増大させる必要なくLEDデバイスの光取り出し効率(ExE)を高める技術である。
【発明の概要】
【0010】
一実施形態において、透明サファイア基板のパターン形成表面上にGaN系LED層がエピタキシャル成長される。基板厚さは、薄化後で、100−500ミクロンの間とし得る。
【0011】
そして、LEDダイがサブマウント上にマウントされる。処理がウエハスケールで行われ得るよう、複数のLEDダイがサブマウントウエハ上にマウントされ得る。全ての処理後、サブマウントウエハが個片化されて、個々のLEDデバイスが分離される。
【0012】
LEDダイのフットプリントは典型的に、各辺が0.5−1mmの間の正方形である。
【0013】
LEDダイの頂部の基板面の上に直接的に、LEDダイと略同じサイズのフットプリントを持つ透明な長方形ピラー(矩形プリズム)が位置付けられる。ピラーは、サファイア基板の屈折率(およそ1.8)と略等しい屈折率(n)を持つ材料(例えば、シリコーン)で形成され、故に、整合した屈折率により、実質的にTIRが存在しない。ピラーは、LEDダイの辺(例えば、0.8mm−1.5mm)の長さよりも大きい高さを有する。
【0014】
長方形ピラー及びLEDダイを透明なシリンダが取り囲み、シリンダの頂面はピラーの頂面と略平坦である。シリンダの直径は好ましくは、LEDダイの辺の長さの1.5倍から3倍の間である。シリンダ材料の屈折率は、基板の屈折率の約0.8倍であり、これは、約1.8の屈折率を持つサファイア基板の場合に約1.4−1.5である。
【0015】
シリンダの頂部に、シリンダと同じ材料で形成され且つ同じ直径を持つ透明なドームがある。ドームはシリンダと一体にされ得る。
【0016】
ピラー、シリンダ、及びドームは、プリフォームされたレンズ部品として形成されて、屈折率が整合するシリコーン又はエポキシの薄い層を用いて基板及びサブマウントに取り付けられ得る。
【0017】
蛍光体変換光が望まれる場合、レンズをLEDダイの上に取り付けるのに先立って、LEDダイ表面が蛍光体で被覆され得る。蛍光体の屈折率は好ましくは、ピラー及び基板の屈折率と整合する。
【0018】
ピラー40は比較的高背であり、且つシリンダとピラーとの境界面は有意な屈折率不整合を有するので、LEDダイから発せられた光は、直接的にピラーの頂面を通過することになるか、ピラーの側面で内部反射されて頂面を通ることになるかの何れかである。故に、サブマウントによって反射される必要がある側方光が低減される。従って、ピラーは、LEDダイそれ自体と同程度の幅であるので放射フィールドを狭くするように作用するとともに、サブマウント表面によって減衰される光が少ないので効率を向上させる。
【0019】
シリンダ及びドームが、光取り出しを向上させるように空気への屈折率遷移を提供するとともに、光放射をよりいっそうランバーシアンにする。所望の放射パターンを作り出すために、半球状ドーム以外のレンズが使用されてもよい。ドーム形状は、取り出し効率を更に高めるために、ピラーからの実際の放射に合わせて適応され得る。
【0020】
本発明はまた、フリップチップ以外のLEDダイにも適用される。
【0021】
その他の実施形態も記載される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】パッケージングされたLEDデバイスの斜視図である。
図2図1のLEDデバイスの左側面図である。
図3図1のサブマウントの側面図である。
図4】LEDダイが上にマウントされた図1のサブマウントの側面図である。
図5】プリフォームされた完成レンズの側面図である。
図6図4のLEDダイを覆って取り付けられた図5のレンズの側面図である。
図7】オプションで蛍光体で被覆されたLEDダイの側面図である。
図8】完成したLEDデバイスの斜視図である。
図9図1及び2に示したものなどの従来のLEDデバイスと比較しての、シミュレーションによるレンズシリンダ高さに対する光取り出し効率の改善を示すグラフである。
図10図1及び2のLEDデバイスと比較して狭められた図8のLEDデバイスの放射プロファイルを例示するプロットである。
【0023】
同じ又は同様である要素には同じ参照符号を付している。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図3−8は、発明LEDデバイスに関する製造プロセスの様々な段階を例示している。
【0025】
図3は、図1及び2に関して説明したものと同じとし得る従来からのサブマウント22を例示している。例えば印刷回路基板(PCB)など、他の種類のサブマウント又は他の支持基板が使用されてもよい。
【0026】
図4は、サブマウント22の金属パッド18A及び18Bに超音波ボンディング又ははんだ付けされた底部アノード及びカソード電極15A及び15Bを持つ従来からのLEDダイ30を例示している。LEDダイ30は、光取り出し向上のため、サファイア基板34のパターン形成(粗面化)表面の上に成長されたエピタキシャル層32を有している。例えばSiCやGaNなどのその他の種類の透明基板が使用されてもよい。現実の実施形態において、基板34はエピタキシャル層32よりも遥かに厚い。一実施形態において、基板34は100−500ミクロン厚であり、好適な一実施形態において約200ミクロン厚である。エピタキシャル層32は、ほんの数ミクロン厚とし得る。なお、基板34は、その厚みが光取り出し向上に使用されないので、図2の基板14よりも遥かに薄くし得る。これは、製造プロセスにおいてダイ個片化を容易にするので有利となり得る。
【0027】
一実施形態において、LEDダイ30は、0.5−1mm長さの辺を持つ正方形である。LEDダイ30は、蛍光体で被覆された青色ダイとすることができ、あるいは、その他の種類のLEDダイであってもよい。フリップチップが示されているが、LEDダイはその他のタイプであってもよく、LEDダイ電極をサブマウント(又はその他の支持基板)パッドに接続するのに必要なワイヤボンディングがレンズ内に設けられ得る。
【0028】
図5は、本発明の一実施形態に従ったプリフォームされたレンズ38を例示している。明瞭さのため、レンズ38の空洞内のLEDダイ30の位置を示してある。
【0029】
レンズ38は、LEDダイ30と略同じサイズのフットプリント(設置面積)を持つ透明な長方形ピラー40(矩形プリズム)を含んでいる。ピラー40は、サファイア基板34の屈折率(およそ1.8)と略等しい屈折率(n)を持つ材料(例えば、シリコーン、エポキシなど)で形成され、故に、これらの整合した屈折率により、基板34とピラー40との境界面には実質的にTIRが存在しない。一実施形態において、ピラー40の屈折率と基板34の屈折率との間の差は10%未満である。典型的に、ピラー40は、LEDダイの辺の長さ(例えば、0.8mm−1.5mm)よりも大きい高さを有するが、その他の構成も企図され、本発明の範囲に含まれる。例えば、ピラー40は、LEDダイ30と重なり合ってもよいし、発光面の一部のみを覆ってもよい。他の例において、ピラー40は、異なる光分布効果を作り出すように、LEDダイ30の長さよりも短くてもよい。
【0030】
透明シリンダ(円筒)42が長方形ピラー40を取り囲んでおり、シリンダ42の頂面44がピラー40の頂面と略同じ高さにある。シリンダ42の頂部がピラー40の頂部と揃うことは本質的なことではない。シリンダ42の直径は好ましくは、LEDダイの辺の長さの1.5倍から3倍の間である。シリンダ材料の屈折率は、基板34の屈折率の約0.8倍であり、約1.8の屈折率を持つサファイア基板34の場合、これは約1.4−1.5である。シリンダ材料の屈折率の好適範囲は、基板34の屈折率の約0.6倍から0.85倍である。
【0031】
シリンダ42の頂部上に、シリンダ42と同じ材料で形成されて同じ直径を持つ透明ドーム46がある。典型的に、シリンダ42及びドーム46は単一のピース(部品)として形成されることになる。
【0032】
レンズ38内の空洞48はLEDダイ30とほぼ同じサイズであり、故に、シリンダ42の底面がサブマウント22の表面と同一平面となり得る。
【0033】
ピラー40、シリンダ42、及びドーム46は、単一のピースとしてプリフォームされて、図6に示すように、屈折率が整合するシリコーン又はエポキシ49の薄い層(例えば、10ミクロン)を用いて基板34及びサブマウント22に取り付けられ得る。選択可能な屈折率を有するこのような接着剤は商業的に入手可能である。
【0034】
一例において、ピラー40がピラーのアレイとして成形され、各ピラー40の周りにシリンダ42及びドーム46が成形される。そして、得られたレンズ38が分離され、ウエハスケールプロセスにて、サブマウントウエハ上のそれぞれのLEDダイ30に取り付けられる。他の一実施形態において、シリンダ42とドーム46とが、ガラス又はその他の材料(例えば、シリコーン)で一体形成され、その空洞が、ピラー材料用の金型として使用される。他の一実施形態において、ピラー40は、高屈折率ガラス(例えば、SF11型)であってもよく、高屈折率の透明エポキシを有する基板34(又は蛍光体)に取り付けられ得る。次に、シリコーンに基づくレンズ部分(シリンダ42及びドーム46)が、ピラー40及びサブマウントウエハの上に、例えば、本出願人に譲渡され且つここに援用するBasin等による米国特許第7452737号に記載されるものなどのオーバーモールドプロセスによって形成され得る。
【0035】
蛍光体変換光が望まれる場合、レンズ38をLEDダイ30の上に取り付けるのに先立って、図7に示すように、LEDダイ表面が蛍光体層50で被覆され得る。蛍光体層50の屈折率は、好ましくは、ピラー40及び基板34の屈折率と整合する。
【0036】
図8は、得られるLEDデバイスの斜視図である。
【0037】
シリンダ42及びドーム46が、光取り出しを向上させるように空気(n=1)への屈折率遷移を提供するとともに、光放射をよりいっそうランバーシアンにする。所望の放射パターンを作り出すために、半球状ドーム以外のレンズが使用されてもよい。ドーム形状は、取り出し効率を更に高めるために、ピラー40からの実際の放射に合わせて適応され得る。
【0038】
ピラー40は比較的高背であり、且つシリンダ42とピラー40との境界面は有意な屈折率不整合を有するので、LEDダイ30から発せられた光は、直接的にピラー40の頂面を通過することになるか、図6に光線51によって示すように、ピラーの側面で内部反射されて頂面を通ることになるかの何れかである。故に、サブマウント22によって反射される必要がある側方光が低減される。従って、ピラー40は、LEDダイ30それ自体と同程度の幅であるので放射フィールドを狭くするように作用するとともに、サブマウント表面によって減衰される光が少ないので効率を向上させる。
【0039】
ピラー40の高さは、ピラー40の頂面に入射する光線のTIRが実質的に最小化されるように設計され得る。これは、正方形のダイに関して以下の設計ルール:
【0040】
【数1】
を適用することによって行われ得る。ただし、“area”はダイ面積であり、“heightpiller”はピラー高さであり、”heightsubstrate”は基板高さであり、“heightepoxy”はエポキシ高さであり、”nlens”はレンズの屈折率であり、“npillar”はピラーの屈折率である。
【0041】
上式を適用することは、LEDダイ30を出て行く直接光線がピラー40の頂面(すなわち、ダイ30から最も離れた面)でTIRを受けないことを意味する。ここで、基板−エポキシ−ピラー界面で屈折が存在しないと仮定する。ダイ面積に関して1mm、レンズに関してn=1.5、ピラー及び基板34に関してn=1.8、基板34に関して200ミクロン、及びエポキシ接着剤(又はシリコーン)に関して10ミクロンという典型値は、770ミクロンの最小ピラー40高さをもたらす。
【0042】
サブマウント22での後方反射が低減されるので、大きいサブマウント反射の結果としてのPSSベースのフリップチップデバイスにおけるかなり幅広の放射フィールドと比較して、放射フィールドが狭められる。故に、そのような幅狭の放射フィールドに従ってレンズ形状を更に適応させることで、更なるExE利得を生み出すことができる。後者を達成する1つの手法は、レンズ38のシリンダ42高さパラメータを調節することによる。図9は、シリンダ42高さを(ピラー40の高さとともに)増すことによって有意な利得が得られることを示している。シミュレーション結果は、図1及び2によって例示したような最新ソリューションに対してExEが6%ほどの大きさだけ増大され得ることを指し示している。
【0043】
図10は、800ミクロンのシリンダ42高さを用いて得られる遠視野の比較を示している。線54は、例えば図1及び2のものなどの最新のパターンドサファイア基板(PSS)フリップチップLEDデバイスのフィールド放射パターンを表している。線56は、ランバーシアン放射パターンを表している。線58は、本発明に従ったLEDデバイスの典型的な放射パターンを表しており、このパターンは、シリンダ/ピラーの高さを変更することによって調整され得る。また、放射パターンの制御は、ドーム46の形状によって得ることができる。
【0044】
本発明の特定の実施形態を図示して説明したが、当業者に明らかなように、より広い観点での本発明を逸脱することなく変形及び変更が為され得るのであり、故に、添付の請求項は、その範囲内に、本発明の真の精神及び範囲に入るそのような変形及び変更の全てを包含するものである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10