【課題を解決するための手段】
【0005】
定義
「タイヤ」は、内圧を受けているか否かに関わらず、全てのタイプの弾性ケーシングを意味する。
【0006】
タイヤの「トレッド部」は、外側面と、一方がタイヤの走行時に道路に接触するように意図された2つの主要面とによって区切られる多くのゴム状物質を意味する。
【0007】
タイヤの「サイドウォール部」は、タイヤのトレッド部と、このタイヤのビード部との間に位置するタイヤの外側面を意味する。
【0008】
サイドウォール部上の「テクスチャ」は、このサイドウォール部の組織的表面仕上げを意味する。
【0009】
タイヤのサイドウォール部上の「マーキング」は、技術的及び法的情報を提供するように、又は消費者が製品の出所を識別できるように意図された、このサイドウォール部上の表示を意味する。
【0010】
「図形要素」は、知覚単位を形成する視覚要素を意味する。
【0011】
「サイドウォール部の最大幅ゾーン」は、このサイドウォール部の軸方向最外部に存在する全ての地点を意味する。換言すれば、この最大幅ゾーン内の各地点は、タイヤを膨張させ、ETRTOによって推奨されるリムに装着して子午線断面で見た時に、赤道面から軸方向に測定した最大距離にある。
【0012】
本発明は、サイドウォール部と、このサイドウォール部の全部又は一部にわたって広がるテクスチャとを含むゴム状物質製のタイヤに関する。テクスチャは、このテクスチャ内で規則的に繰り返される図形要素を含む。各図形要素は、直径20mm以下の円の内部に
内接することができ、タイヤのサイドウォール部から突出する。ショルダーゾーン及びサイドウォール部の最大幅ゾーンを含むタイヤでは、このショルダーゾーンとサイドウォール部の最大幅ゾーンとの間にテクスチャが存在する。
【0013】
タイヤのサイドウォール部の成形中、製造欠陥は、サイドウォール部の滑らかな表面上よりもむしろテクスチャの図形要素に集中する。これらの製造欠陥は、サイドウォール部における図形要素の規則的な繰り返し及びそのサイズに起因してテクスチャ内で全体として「消失」し、従って観察者による検出がより一層困難になる。本発明者らは、ショルダーゾーンとサイドウォール部の最大幅ゾーンとの間では、観察者に製造欠陥が見えやすいことも発見した。このショルダーゾーンとサイドウォール部の最大幅ゾーンとの間のみにテクスチャを位置付けることにより、サイドウォール部の最も有用な部分、すなわちサイドウォール部の潜在的に最もよく見える部分の欠陥が隠れるようになる。従って、サイドウォール部上のテクスチャの表面積が制限されるので、テクスチャを成形するための金型部品のコスト、特に製造時間が最適化される。
【0014】
1つの代替実施形態では、図形要素が、少なくとも文字、数字、記号を含む一群の図形要素から選択される。
【0015】
従って、サイドウォール部のテクスチャに、サイドウォール部上の図形要素の領域におけるさらに多くのあらゆる潜在的欠陥を隠す審美的に魅力ある外観が与えられる。
【0016】
別の代替実施形態では、図形要素が複合体である。複合体である図形要素が意味するものは、この図形要素が、互いに0°よりも大きく180°よりも小さな角度を成す少なくとも2つの部分を含むということである。
【0017】
サイドウォール部の成形中に金型内に存在する空気は、図形要素の上面にわたってランダムに分布する凸凹を生じる。テクスチャ内に複合図形要素を形成することにより、テクスチャを通じた凸凹のランダムな分布さらに改善される。
【0018】
別の代替実施形態では、図形要素が文字Mである。
【0019】
本発明者らは、複合文字Mを使用すると、この文字の特定の形状に起因してテクスチャの成形欠陥がより一層見えにくくなることを発見した。
【0020】
別の代替実施形態では、断面図で見ると、図形要素の断面が全体的に湾曲している。
【0021】
これにより、図形要素の成形欠陥がさらに良好に隠れると同時に、テクスチャが全体的に強固になる。
【0022】
別の代替実施形態では、図形要素が、少なくとも1つの減少した幅のゾーンを有する。
【0023】
本発明者らは、この減少した幅のゾーンが、成形欠陥を図形要素上に集中させることを発見した。従って、このような減少した幅のゾーンを形成することにより、成形欠陥を図形要素の特定の部分に集中させることができ、従ってテクスチャの欠陥の隠蔽を改善することが可能になる。
【0024】
別の代替実施形態では、図形要素が、テクスチャ内で繰り返された時に異なる配向を有する。
【0025】
テクスチャ内の図形要素の配向を修正することにより、テクスチャを通じた欠陥の分布のランダム性が改善され、これらの欠陥が観察者にとってより一層見えにくくなる。
【0026】
別の代替実施形態では、サイドウォール部が、このサイドウォール部から突出する高さHのマーキングを含む。テクスチャは、マーキングの高さHの20%〜80%の高さhを有する。
【0027】
このようにして、マーキングとサイドウォール部のテクスチャとの間のコントラストが生み出される。これにより、このサイドウォール部上のマーキングの視認性が全体的に向上する。
【0028】
別の代替実施形態では、少なくとも2つの隣接する図形要素が、ゴム状物質のブリッジによって結合される。
【0029】
これにより、テクスチャ内の図形要素の剛性が高まり、従ってこのテクスチャの耐久性が向上する。
【0030】
添付図面を参照しながら非限定的な例として示す以下の説明より、本発明のその他の特徴及び利点が明らかになるであろう。