(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6574776
(24)【登録日】2019年8月23日
(45)【発行日】2019年9月11日
(54)【発明の名称】シールド掘進機用テールシール組成物
(51)【国際特許分類】
C09K 8/502 20060101AFI20190902BHJP
E21D 11/00 20060101ALI20190902BHJP
C10M 169/04 20060101ALI20190902BHJP
C10M 101/02 20060101ALN20190902BHJP
C10M 107/08 20060101ALN20190902BHJP
C10M 103/06 20060101ALN20190902BHJP
C10M 125/10 20060101ALN20190902BHJP
C10M 125/30 20060101ALN20190902BHJP
C10N 20/02 20060101ALN20190902BHJP
C10N 20/04 20060101ALN20190902BHJP
C10N 20/06 20060101ALN20190902BHJP
C10N 30/00 20060101ALN20190902BHJP
C10N 40/00 20060101ALN20190902BHJP
【FI】
C09K8/502
E21D11/00 B
C10M169/04
!C10M101/02
!C10M107/08
!C10M103/06 F
!C10M103/06 A
!C10M125/10
!C10M125/30
C10N20:02
C10N20:04
C10N20:06 B
C10N30:00 Z
C10N40:00 Z
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-540741(P2016-540741)
(86)(22)【出願日】2015年8月6日
(86)【国際出願番号】JP2015072377
(87)【国際公開番号】WO2016021690
(87)【国際公開日】20160211
【審査請求日】2018年3月12日
(31)【優先権主張番号】特願2014-161390(P2014-161390)
(32)【優先日】2014年8月7日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004444
【氏名又は名称】JXTGエネルギー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000774
【氏名又は名称】特許業務法人 もえぎ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】荒井 孝
(72)【発明者】
【氏名】徳毛 泰葉
【審査官】
小久保 敦規
(56)【参考文献】
【文献】
特開平01−272687(JP,A)
【文献】
特開平02−180983(JP,A)
【文献】
特開平02−096087(JP,A)
【文献】
特開平03−197798(JP,A)
【文献】
特開平08−143885(JP,A)
【文献】
特開昭62−190280(JP,A)
【文献】
中国特許出願公開第102031188(CN,A)
【文献】
中国特許出願公開第102757839(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K 8/00− 8/94
E21D 1/00− 9/14
C10M 101/00−177/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
潤滑油基油15〜60質量%、無機粉体30〜70質量%、および短繊維と長繊維とを含む繊維質2〜10質量%を含有し、前記潤滑油基油が鉱油とポリブテンを質量比20:1〜1:1で含有するシールド掘進機用テールシール組成物。
【請求項2】
短繊維の平均長さが0.8〜2.4mmで、長繊維の平均長さが含有する短繊維の平均長さの1.5〜10倍であり、長繊維と短繊維の質量比が1:4〜4:1である請求項1に記載のシールド掘進機用テールシール組成物。
【請求項3】
鉱油の40℃における動粘度が100〜3000mm2/sで、ポリブテンの数平均分子量が5,000〜20,000である請求項1に記載のシールド掘進機用テールシール組成物。
【請求項4】
無機粉体がタルクまたは炭酸カルシウムの少なくとも一種を含むものである請求項1に記載のシールド掘進機用テールシール組成物。
【請求項5】
短繊維が天然繊維であり、長繊維が合成繊維または天然繊維である請求項1に記載のシールド掘進機用テールシール組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シールド掘進機用のテールシール組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
シールド掘進機により、地中にトンネルを掘削する場合、進行方向の地山を掘削しながら、シールド掘進機は前進し、シールド掘進機の後方には、順次、トンネルの内壁となるセグメントが組み上げられている。この場合、掘削されるトンネルの外径(掘削開孔径)は、シールド掘進機の外径となるが、セグメントはシールド掘進機内部で組み上げられるため、セグメントの外径はシールド掘進機の内径以下となる。このため、シールド掘進機の後方ではトンネル外径とセグメント外径との間に隙間が生じ、この隙間には、シールド掘進機の前進にともない、裏込剤が充填される。
一方、シールド掘進機の後端で、未だ裏込剤が充填されていないトンネル内の空隙へは、地下水等が浸みだしており、この地下水のシールド掘進機内への侵入を防ぐため、シールド掘進機の末端にはシールド掘進機内のセグメントの外周とシールド掘進機の内周の間を止水するブラシシールが複数列、シールド掘進機の内周に設けられている。そして、その止水性を維持するために、これらのブラシシールの間にテールシール組成物が充填されている(例えば、特許文献1参照)。シールド掘進機の進行に伴い、ブラシシールのテールシール組成物は地山へ放散するため、ブラシシール部へのテールシール組成物の補充が必要となり、配管を通してテールシール組成物がポンプを用いて圧送される。
【0003】
このテールシール組成物としては、鉱油系、合成系の潤滑油基油に、増ちょう剤としての鱗片状、その他無機充填剤、有機粉末、繊維質等を混合したものが用いられている(特許文献1〜5参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特公平7‐6350公報
【特許文献2】特開平3‐197798号公報
【特許文献3】特開平5‐187194号公報
【特許文献4】特開平7‐109893号公報
【特許文献5】特開平9‐208943号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来、止水性を十分に高めたテールシール組成物は、粘性が高いため、圧送が困難な場合があり、シールド掘進機による掘削が中断するなどの問題があった。他方、圧送が容易なテールシール組成物は止水性に懸念があった。本発明は、このような問題点を解決するもので、止水性が高く、圧送性にも優れるテールシール組成物を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意研究を進めた結果、驚くべきことに、テールシール組成物の潤滑油基油に所定割合の鉱油とポリブテンの混合物を用いることにより繊維質を適度に纏めて相反する課題である止水性と圧送性を同時に著しく高めることができ、また含有する繊維質を所定の組み合わせとすることにより、この止水性と圧送性をさらにバランスよく向上できることを見出した。
【0007】
本発明は、かかる知見に基づきなされたもので、次の通りのものである。
(1)潤滑油基油15〜60質量%、無機粉体30〜70質量%および短繊維と長繊維とを含む繊維質2〜10質量%を含有し、前記潤滑油基油が鉱油とポリブテンを質量比20:1〜1:1の割合で含有するシールド掘進機用テールシール組成物。
(2)短繊維の平均長さが0.8〜2.4mmで、長繊維の平均長さが含有する短繊維の平均長さの1.5〜10倍であり、長繊維と短繊維の質量比が1:4〜4:1である上記(1)に記載のシールド掘進機用テールシール組成物。
(3)鉱油の40℃における動粘度が100〜3000mm
2/sで、ポリブテンの数平均分子量が5,000〜20,000である上記(1)に記載のシールド掘進機用テールシール組成物。
(4)無機粉体がタルクまたは炭酸カルシウムの少なくとも一種を含むものである上記(1)に記載のシールド掘進機用テールシール組成物。
(5)短繊維が天然繊維であり、長繊維が合成繊維または天然繊維である上記(1)に記載のシールド掘進機用テールシール組成物。
【発明の効果】
【0008】
本発明のシールド掘進機用テールシール組成物は、止水性と圧送性を同時に向上できるため、シールド掘進機による掘削を効率的にかつ安全に行うことが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明のシールド掘進機用テールシール組成物は、潤滑油基油15〜60質量%、無機粉体30〜70質量%、繊維質2〜10質量%を含有するものであるが、この組成物は、圧送の容易性、止水性、水分混入時の安定性、高温時での油保持力のため、15℃における密度が1.1〜1.8g/cm
3のものが好ましく、1.1〜1.5g/cm
3がより好ましくは、1.1〜1.3g/cm
3がさらに好ましい。また、同様の理由により、不混和ちょう度が150〜350のものが好ましく、220〜280がより好ましい。なお、本発明にいう不混和ちょう度の測定は、JISK2220に準拠する方法による。
さらに、本発明のシールド掘進機用テールシール組成物は実質的に水分を含まないものが好ましい。実質的に水分を含まないとは、不可避的に混入する水分を排除するものではないことを意味するが、水分含有量としては、テールシール組成物全量基準で、好ましくは、5質量%以下、より好ましくは、1質量%以下である。
【0010】
[潤滑油基油]
本発明の潤滑油基油は、鉱油とポリブテンを20:1〜1:1の質量比で含有するものである。ポリブテンの繊維質に対する接着性と鉱油の流動性およびこの両者の親和性が相俟って圧送性と止水性を同時に向上させるものと推測される。この鉱油とポリブテンの含有割合が、前記範囲外であるとこれらの効果が低くなる。鉱油とポリブテンの含有割合は10:1〜2:1が好ましく、5:1〜3:1がより好ましい。
この潤滑油基油の物性としては、40℃における動粘度が100〜3,000mm
2/sのものが好ましく、550〜1,500mm
2/sがさらに好ましい。さらに、流動点は−10℃以下が好ましく、安全性の観点から、引火点は150℃以上が好ましい。
この潤滑油基油の含有量は、テールシール組成物全量基準で、15〜60質量%であるが、好ましくは25〜58質量%、より好ましくは35〜57質量%である。
【0011】
潤滑油基油となる鉱油は、一般に市販されている鉱油系潤滑油あるいはこのベースオイルである鉱油系潤滑油基油を用いることができる。これらは、通常、原油を常圧蒸留し、あるいはさらに、この蒸留残渣油を減圧蒸留して得られる留出油を各種の精製プロセスで精製した潤滑油留分を基油とし、これをそのまま、或いはこれに各種の添加剤等を調合して調製される。前記精製プロセスは、水素化精製、溶剤抽出、溶剤脱ろう、水素化脱ろう、硫酸洗浄、白土処理などであり、これらを適宜の順序で組み合わせて処理して、本発明に好適な鉱油系潤滑油基油を得ることができる。異なる原油あるいは留出油を、異なるプロセスの組合せ、順序により得られた、性状の異なる複数の精製油の混合物も好適な鉱油として用いることができる。
この鉱油は、取り扱いの安全上の観点から芳香族分が20%以下のものが好ましい。
【0012】
ポリブテンは、イソブテンを主成分として一部ノルマルブテンが反応した長鎖状炭化水素の分子構造を持った共重合物質である。数平均分子量が、2,000〜50,000、特には5,000〜20,000のものが好ましく用いられる。ポリブテンの含有量は、テールシール組成物全量基準で、2〜30質量%が好ましく、5〜15質量%がより好ましい。
【0013】
鉱油とポリブテン以外の潤滑油基油として、ポリブテン以外の合成油系や動植物油系の潤滑油基油を含有させることができる。合成系基油としては、例えば、ポリ‐α‐オレフィン(PAO)、低分子量エチレン・α‐オレフィン共重合体、などの高分子ポリマー、シリコーン油、脂肪酸エステル、フッ素化油、アルキルナフタレンなどを単独であるいは組み合わせて用いることができる。また、動植物油系の潤滑油基油としては、牛乳脂、牛脂、ラード(豚脂)、羊脂、鯨油、鮭油、かつお油、にしん油、鱈油、さらには大豆油、菜種油、ひまわり油、サフラワー油、落花生油、とうもろこし油、綿実油、米ぬか油、ゴマ油、オリーブ油、アマニ油、ヒマシ油、カカオ脂、パーム油、ヤシ油、麻実油、米油、茶種油などを用いることができる。
【0014】
[無機粉体]
本発明の無機粉体としては、珪素、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム等の酸化物、水酸化物、炭酸塩、硫酸塩等の粉体を用いることができ、さらにこれらの混合物、及び、天然に産するこれらの化合物を主成分とする鉱石の粉体等も用いることができる。具体的には、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、水酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化アルミニウム、シリカ、ベントナイト、珪藻土など、特にはタルクまたは炭酸カルシウムの粉体が好適である。これらの無機粉体は、一種類でも複数の種類を混合して用いてもよい。
上記無機粉体は、平均粒径が0.5〜500μmのものが好ましく、5〜50μmのものがより好ましい。この無機粉体の含有量は、テールシール組成物全量基準で、30〜70質量%であり、35〜60質量%が好ましい。
【0015】
さらには、テールシール組成物を圧送するのに適したちょう度に調整する必要があり、グリース等で増ちょう剤として用いられている金属石けん系増ちょう剤、ウレア系増ちょう剤、有機ポリマー系増ちょう剤を併用することが好ましい。
この増ちょう剤の含有量は、テールシール組成物全量基準で、0.1〜10質量%が好ましく、0.2〜5質量%がより好ましい。
【0016】
金属石けん系増ちょう剤は、金属カルボン酸塩からなり、カルボン酸がステアリン酸、アゼライン酸などの脂肪族カルボン酸でも、テレフタル酸などの芳香族カルボン酸でもよく、特には1価または2価の脂肪族カルボン酸で、炭素数6〜20の脂肪族カルボン酸のものが好ましい。また、金属は、リチウム、ナトリウムなどのアルカリ金属、カルシウムなどのアルカリ土類金属、アルミニウムのような両性金属でもよいが、アルカリ金属、特にはリチウムが好ましい。このようなカルボン酸金属塩は、一種類でも複数の種類を混合して用いてもよい。
【0017】
ウレア系増ちょう剤としては、ジイソシアネートとモノアミンとの反応で得られるジウレア化合物やジイソシアネートとモノアミン、ジアミンとの反応で得られるポリウレア化合物等が好適であり、また、有機ポリマー系増ちょう剤としては、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)などが好適である。なお、上記無機粉体に併用する、金属石けん系、ウレア系、有機ポリマー系等の増ちょう剤は、単独でも、2種類以上を併用しても良い。
【0018】
[繊維質]
繊維質は、シールド掘進機のテールシール部にある金属網や金属線を束ねたブラシに絡みつき、潤滑油基油、増ちょう剤とともに止水性のある濾布層を形成するために用いられる。繊維質は、テールシール組成物全量基準で、2〜10質量%、好ましくは3〜8質量%含有する。
この繊維質は、止水性と圧送性をバランスよく向上させるために、短繊維と長繊維とを含むものである。短繊維の平均長さが0.8〜2.4mmであり、好ましくは1.0〜2.0mmである。長繊維の平均長さは、使用する短繊維の平均長さの1.5〜10倍であり、好ましくは1.6〜7倍のものである。含有する長繊維と短繊維の質量比は1:4〜4:1であり、好ましくは1:2〜2:1である。短繊維の平均太さ(直径)は5〜100μmのものが好ましく、10〜50μmがより好ましい。長繊維の平均太さ(直径)は10〜500μmが好ましく、15〜200μmがより好ましい。
【0019】
これらの繊維質は、天然由来の天然繊維または有機合成された合成繊維のいずれをも用いることができ、例えば、天然由来の天然繊維としては、セルロース、綿繊維、羊毛繊維が、合成繊維としては、ポリプロピレン、ポリエステル等が挙げられる。また、炭素繊維やガラス繊維等の無機繊維も用いることができるが、アスベスト繊維は環境安全上好ましくない。
なお、短繊維が天然繊維で、長繊維が合成繊維または天然繊維であると、さらに止水性と圧送性をバランスよく向上させることができ好ましい。
【0020】
[D] 他の添加剤
本発明のテールシール組成物には、上記成分以外に、必要に応じて、一般に潤滑油やグリースなどに用いられている、清浄剤、分散剤、摩耗防止剤、酸化防止剤、さび止め剤、腐食防止剤などを適宜添加することができる。特には、さび止め剤として、脂肪酸ポリオールエステルなどを、テールシール組成物全量基準で、0.2〜2質量%添加することが好ましい。
【実施例】
【0021】
次に示す潤滑油基油、無機粉体、増ちょう剤、および繊維質を用いて、表1に示す割合(質量%)で混合してテールシール組成物を調製し、15℃における密度(g/cm
3)および不混和ちょう度を測定した。この結果を表1に示す。
〔テールシール組成物の成分〕
A.潤滑油基油
基油A1:鉱油(JX日鉱日石エネルギー社製、溶剤精製潤滑油基油、15℃の密度0.90g/cm
3、40℃の動粘度が500mm
2/s)
基油A2:ポリブテン、平均分子量;15,000
なお、上記各基油の40℃における動粘度(mm
2/s)を表1に示した。
B.無機粉体、増ちょう剤
無機粉体B1:タルク、平均粒径;20μm
無機粉体B2:炭酸カルシウム、平均粒径;10μm
増ちょう剤B3:Liステアリン酸石けん(関東化学社製試薬)
【0022】
C.繊維質
繊維質C1:綿繊維、平均長さ;1.8mm、平均直径;18μm
繊維質C2:ポリエスチレンテレフタレート繊維、平均長さ;5mm、平均直径;20μm
繊維質C3:セルロース繊維、平均長さ;3.0mm、平均直径;43μm
【0023】
〔テールシール組成物の評価1:止水性〕
次に示す条件で耐水圧試験を行い、流出水の有無を測定した。
底部中央部に、中心間隔5mmで縦横に4列、合計16個の開口(直径3mm)を有する内径52mmのステンレス製の圧力容器を用いた。開口上にステンレス製のメッシュ(50番、厚み0.85mm)を載せ、上記で調製したテールシール組成物50gを導入した。テールシール組成物上に水(10g)を置き、空気で35kgf/cm
2の圧力で5分間加圧し、その際の底部開口からの水の流出有無により止水性の評価(水の流出、無し;○、僅か有り;△、かなり有り;×)を行った。この結果を表1に示した。
この結果、無機粉体が少ない比較例3は、止水性がないことが分かる。
【0024】
〔テールシール組成物の評価2:圧送性〕
JISK2220に定められている見掛け粘度試験にて圧送性を評価した。上記で調製したテールシール組成物300g以上をシリンダに詰め、油圧によって毛管を通して押し出し、このとき系統内に発生する圧力を測定する。ポアズイユの式を用いて見掛け粘度を算出し、せん断率1sec
−1のときの見掛け粘度で評価した(見かけ粘度10,000Pa・s以下;○、10,000〜20,000Pa・s;△、20,000Pa・s以上;×)。この見かけ粘度の数値は低いほど、圧力損失が少なく、圧送性に優れる。この結果を表1に示した。
この結果、所定の割合でポリブテンを含有する実施例1〜7は圧送性と止水性を同時に満足するが、このうちでも特に、短繊維と長繊維を所定の割合で含有する実施例1〜5の組成物は、圧送性と止水性ともにバランスよく優れている。
【0025】
【表1】
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明のテールシール組成物は、シールド掘進機テールのブラシシール部への水の侵入を十分に防ぐことができ、また、そのブラシシール部へ容易に圧送することが可能となり、シールド掘進機用のテールシール組成物として有用である。