特許第6574792号(P6574792)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本テキサス・インスツルメンツ株式会社の特許一覧 ▶ テキサス インスツルメンツ インコーポレイテッドの特許一覧

特許6574792RDS×CGDが改善されたLDMOSトランジスタ、及びRDS×CGDが改善されたLDMOSトランジスタを形成する方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6574792
(24)【登録日】2019年8月23日
(45)【発行日】2019年9月11日
(54)【発明の名称】RDS×CGDが改善されたLDMOSトランジスタ、及びRDS×CGDが改善されたLDMOSトランジスタを形成する方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/336 20060101AFI20190902BHJP
   H01L 29/78 20060101ALI20190902BHJP
   H01L 29/786 20060101ALI20190902BHJP
【FI】
   H01L29/78 301H
   H01L29/78 621
   H01L29/78 618G
   H01L29/78 301S
【請求項の数】20
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-573708(P2016-573708)
(86)(22)【出願日】2015年3月6日
(65)【公表番号】特表2017-507502(P2017-507502A)
(43)【公表日】2017年3月16日
(86)【国際出願番号】US2015019258
(87)【国際公開番号】WO2015134909
(87)【国際公開日】20150911
【審査請求日】2018年2月28日
(31)【優先権主張番号】61/948,853
(32)【優先日】2014年3月6日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14/556,185
(32)【優先日】2014年11月30日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390020248
【氏名又は名称】日本テキサス・インスツルメンツ合同会社
(73)【特許権者】
【識別番号】507107291
【氏名又は名称】テキサス インスツルメンツ インコーポレイテッド
(74)【上記1名の代理人】
【識別番号】100098497
【弁理士】
【氏名又は名称】片寄 恭三
(72)【発明者】
【氏名】ジュン ケイ
【審査官】 辻 勇貴
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−258283(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0207186(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0127607(US,A1)
【文献】 中国特許出願公開第103035717(CN,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0164537(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0258215(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/336
H01L 29/78
H01L 29/786
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
横方向に拡散された金属酸化物半導体(LDMOS)トランジスタであって、
半導体材料
前記半導体材料内にあるドレインドリフト領域であって、第1の導電型、第1の深さでピークに達する第1の水平ドーパント濃度、第2の深さでピークに達する第2の水平ドーパント濃度を有し、前記第1の深さが前記半導体材料の頂部表面から或る距離下方に測定され、前記第2の深さが前記第1の深さから或る距離下方に測定される、前記ドレインドリフト領域
前記ドレインドリフト領域に接するように前記半導体材料内にあるバックゲート領域であって、第2の導電型、第3の深さでピークに達する第3の水平ドーパント濃度、第4の深さでピークに達する第4の水平ドーパント濃度、第5の深さでピークに達して前記ドリフト領域の下に水平方向に延びる第5の水平ドーパント濃度を有し、前記第3の深さが前記半導体材料の前記頂部表面から或る距離下方に測定され、前記第4の深さが前記第3の深さから或る距離下方に測定され、前記第5の深さが前記第4の深さから或る距離下方に測定される、前記バックゲート領域
前記半導体材料の前記頂部表面に接するゲート誘電体層
前記ドレインドリフト領域前記バックゲート領域の直接的に上にある前記ゲート誘電体層に接し、前記ドレインドリフト領域前記バックゲート領域の直接的に上にある前記ゲート誘電体層の上にある、ゲート
を含む、トランジスタ。
【請求項2】
請求項1に記載のトランジスタであって、
前記第3の深さが前記第1の深さと前記第2の深さの間にある、トランジスタ。
【請求項3】
請求項2に記載のトランジスタであって、
前記第4の深さが前記第2の深さより下にある、トランジスタ。
【請求項4】
請求項3に記載のトランジスタであって、
前記バックゲート領域の一部が前記ドレインドリフト領域の直接的に下にある、トランジスタ。
【請求項5】
請求項4に記載のトランジスタであって、
前記第1の深さが、前記半導体材料の前記頂部表面から第1の深さまで下方に延在するドリフト頂部を画定し、前記ドリフト頂部が、増大する深さと共に増大するドーパント濃度を有し、
前記第1の深さ及び第2の深さが、前記第1の深さから前記第2の深さまで延在するドリフト中間部を画定し、前記ドリフト中間部が、まず、増大する深さと共に減少し、その後、増大する深さと共に増大する、ドーパント濃度を有する、トランジスタ。
【請求項6】
請求項5に記載のトランジスタであって、
前記半導体材料内にあり、前記第1の深さより下にある一層低い表面を有す一対のシャロートレンチアイソレーション(STI)領域を更に含、トランジスタ。
【請求項7】
請求項6に記載のトランジスタであって、
前記ドレインドリフト領域に接するように前記STI領域間の前記半導体材料内にあ、前記ドレインドリフト領域の最高ドーパント濃度より実質的に大きいドーパント濃度を有する、ドレイン領域を更に含む、トランジスタ。
【請求項8】
請求項7に記載のトランジスタであって、
前記バックゲート領域に接するように前記半導体材料内にある前記第1の導電型を有するソース領域であって、前記ドレインドリフト領域の最高ドーパント濃度より実質的に大きいドーパント濃度を有する、前記ソース領域を更に含む、トランジスタ。
【請求項9】
請求項8に記載のトランジスタであって、
前記バックゲート領域に接するように前記半導体材料内にある前記第2の導電型を有するボディコンタクト領域であって、前記バックゲート領域の最高ドーパント濃度より実質的に大きいドーパント濃度を有する、前記ボディコンタクト領域を更に含む、トランジスタ。
【請求項10】
請求項9に記載のトランジスタであって、
前記バックゲート領域のチャネル領域が前記ソース領域と前記ドレイン領域との間にあり、前記ゲートが前記チャネル領域の直接的に上にある、トランジスタ。
【請求項11】
横方向に拡散された金属酸化物半導体(LDMOS)トランジスタを形成する方法であって、
半導体材料内のドレインドリフト領域を形成することであって、前記ドレインドリフト領域が、第1の導電型と、第1の深さでピークに達する第1の水平ドーパント濃度と、第2の深さでピークに達する第2の水平ドーパント濃度とを有し、前記第1の深さが前記半導体材料の頂部表面から下方に或る距離測定され、前記第2の深さが前記第1の深さから下方に或る距離測定される、前記ドレインドリフト領域を形成することと、
前記ドレインドリフト領域に接するように前記半導体材料内にバックゲート領域を形成することであって、前記バックゲート領域が、第2の導電型と、第3の深さでピークに達する第3の水平ドーパント濃度と、第4の深さでピークに達する第4の水平ドーパント濃度と、第5の深さでピークに達して前記ドレインドリフト領域の下に水平方向に延びる第5の水平ドーパント濃度とを有し、前記第3の深さが前記半導体材料の前記頂部表面から下方に或る距離測定され、前記第4の深さが前記第3の深さから下方に或る距離測定され、前記第5の深さが前記第4の深さから下方に或る距離測定される、前記バックゲート領域を形成することと、
前記半導体材料の前記頂部表面に接するゲート誘電体層を形成することと、
前記ドレインドリフト領域と前記バックゲート領域との直接的に上にある前記ゲート誘電体層に接し、前記ドレインドリフト領域と前記バックゲート領域との直接的に上にある前記ゲート誘電体層の上にあるゲートを形成することと、
を含む、方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法であって、
前記第3の深さが前記第1の深さと前記第2の深さとの間にある、方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法であって、
前記第4の深さが前記第2の深さより下にある、方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法であって、
前記バックゲート領域の一部が前記ドレインドリフト領域の直接的に下にある、方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法であって、
前記第1の深さが、前記半導体材料の前記頂部表面から前記第1の深さまで下方に延在するドリフト頂部を画定し、前記ドリフト頂部が、増大する深さと共に増大するドーパント濃度を有し、
前記第1の深さ及び第2の深さが、前記第1の深さから前記第2の深さまで延在するドリフト中間部を画定し、前記ドリフト中間部が、まず、増大する深さと共に減少し、その後、増大する深さと共に増大する、ドーパント濃度を有する、方法。
【請求項16】
請求項15に記載の方法であって、
前記半導体材料内に一対のシャロートレンチアイソレーション(STI)領域を形成することを更に含み、前記STI領域が前記第1の深さより下にある一層低い表面を有する、方法。
【請求項17】
請求項16に記載の方法であって、
前記ドレインドリフト領域に接するように前記STI領域間の前記半導体材料内に前記第1の導電型を有するドレイン領域を形成することを更に含み、前記ドレイン領域が前記ドレインドリフト領域の最高ドーパント濃度より実質的に大きいドーパント濃度を有する、方法。
【請求項18】
請求項17に記載の方法であって、
前記バックゲート領域に接するように前記半導体材料内に前記第1の導電型を有するソース領域を形成することを更に含み、前記ソース領域が前記ドレインドリフト領域の最高ドーパント濃度より実質的に大きいドーパント濃度を有する、方法。
【請求項19】
請求項18に記載の方法であって、
前記バックゲート領域に接するように前記半導体材料内に前記第2の導電型を有するボディコンタクト領域を形成することを更に含み、前記ボディコンタクト領域が前記バックゲート領域の最高ドーパント濃度より実質的に大きいドーパント濃度を有する、方法。
【請求項20】
請求項12に記載の方法であって、
前記バックゲート領域を形成することが、
前記第2の深さより下にある埋め込み領域を形成するために、前記第2の導電型の複数のドーパントを前記半導体材料にブランケット注入することであって、前記埋め込み領域が前記第5の深さでピークに達する水平ドーパント濃度を有する、前記ブランケット注入することと、
前記第2の深さより下にあり且つ前記第5の深さより上にある中間領域を形成するために、パターニングされた層を介して前記第2の導電型の複数のドーパントを前記半導体材料に注入することであって、前記中間領域が前記第4の深さでピークに達する水平ドーパント濃度を有する、前記中間領域を形成するために前記第2の導電型の複数のドーパントを注入することと、
前記第1の深さと前記第2の深さとの間にあるボディ領域を形成するために、前記パターニングされた層を介して前記第2の導電型の複数のドーパントを前記半導体材料に注入することであって、前記ボディ領域が前記第3の深さでピークに達する水平ドーパント濃度を有する、前記ボディ領域を形成するために前記第2の導電型の複数のドーパントを注入することと、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、概してLDMOSトランジスタに関し、更に特定して言えば、Rds×Cgdが改善されたLDMOSトランジスタ、及びそのLDMOSトランジスタを形成する方法に関連する。
【背景技術】
【0002】
金属酸化物半導体(MOS)トランジスタは、ソースと、ドレインと、ボディであって、そのチャネル領域がソースとドレインとの間にあり且つソース及びドレインに接するボディと、チャネル領域の上にありゲート誘電体層によりチャネル領域から隔離されるゲートとを有する、周知の半導体デバイスである。MOSトランジスタの2つのタイプは、n+ソースとp型チャネル領域を備えたドレイン領域とを有するNMOSトランジスタ、及び、p+ソースとn型チャネル領域を備えたドレイン領域とを有するPMOSトランジスタである。
【0003】
オペレーションにおいて、ソース及びボディが接地されると、ドレイン・ソース電界を構築するため正の電圧がドレイン上に置かれ、閾値電圧より大きい電圧がゲート上に置かれ、ドレインからソースへ電流が流れる。ゲートが接地までプルダウンされるときなど、ゲート上に置かれる電圧が閾値電圧より小さいとき、電流は流れない。
【0004】
電流生成MOSトランジスタは、1.2Vから5Vまでわたる環境などの低電圧環境において一般的に用いられる。これに対し、高電圧MOSトランジスタは、例えば、10V〜400Vの範囲の電圧で動作するトランジスタである。一層高い電圧を扱うため、高電圧MOSトランジスタは低電圧MOSトランジスタよりも大きい。
【0005】
高電圧MOSトランジスタの一つのタイプは、横方向に拡散されたMOS(LDMOS)トランジスタとして知られている。LDMOSトランジスタは、ドレインドリフト領域も有するMOSトランジスタである。ドレインドリフト領域は、ドレイン及びチャネル領域に接し、ドレインとチャネル領域との間にあり、ドレインと同じ導電型であるが、ドレインより低いドーパント濃度を有する。オペレーションにおいて、ドレインドリフト領域は、ドレイン・ソース電界の大きさを低減する。
【0006】
高電流(例えば、10A及びそれ以上)及び高周波数(1〜10MHz及びそれより高い)LDMOSトランジスタに対する新たな性能指数(FOM)はRds×Cgdであり、これは、ドレイン・ソース抵抗(Rds)とゲート・ドレイン容量(Cgd)の積である。このFOMを改善するため、Rds値、Cgd値、又はこれら両方の値を低減することが望ましい。
【0007】
Cgdの低減に対する一つのアプローチは、一つのゲートの代わりにスプリット又はステップゲートを用いることである。ステップ又はスプリットゲートを用いる少なくとも一つの例において、メインゲートと2つの順次薄くなる(progressively)ゲートとが用いられ、そのため、下にあるゲート誘電体層が、ゲートが置かれる位置がドレイン領域に一層近くなるにつれて一層厚くなるようにする。しかし、このアプローチの一つの欠点は、スプリット又はステップゲートは製造するのが困難であり高価であるという点である。また、スプリット又はステップゲートは、一層長いドレインドリフト領域を必要とし得、これは、増大されるRdsのため高速モバイル用途においてデバイスを制限する。
【発明の概要】
【0008】
記載される例において、LDMOSトランジスタが、改善されたRds×Cgdを提供する。LDMOSトランジスタは、半導体材料、及び半導体材料内にあるドレインドリフト領域を含む。ドレインドリフト領域は、第1の導電型、第1の深さでピークに達する第1の水平ドーパント濃度、及び第2の深さでピークに達する第2のドーパント濃度を有する。第1の深さは、半導体材料の頂部表面から或る距離下方に測定される。第2の深さは、第1の深さから或る距離下方に測定される。LDMOSトランジスタはバックゲート領域も含み、バックゲート領域は、ドレインドリフト領域に接するように半導体材料内にある。バックゲート領域は、第2の導電型、第3の深さでピークに達する第3の水平ドーパント濃度、第4の深さでピークに達する第4の水平ドーパント濃度、及び第5の深さでピークに達する第5の水平ドーパント濃度を有する。第3の深さは、半導体材料の頂部表面から或る距離下方に測定される。第4の深さは、第3の深さから或る距離下方に測定される。第5の深さは、第4の深さから或る距離下方に測定される。また、LDMOSトランジスタは、半導体材料の頂部表面に接するゲート誘電体層と、ドレインドリフト領域及びバックゲート領域の直接的に上にあるゲート誘電体層に接し、そのゲート誘電体層の上にあるゲートとを含む。
【0009】
改善されたRds×Cgdを提供するLDMOSトランジスタを形成する或る方法において、この方法は、半導体材料内にドレインドリフト領域を形成することを含む。ドレインドリフト領域は、第1の導電型、第1の深さでピークに達する第1の水平ドーパント濃度、及び第2の深さでピークに達する第2のドーパント濃度を有する。第1の深さは、半導体材料の頂部表面から或る距離下方に測定される。第2の深さは、第1の深さから或る距離下方に測定される。この方法はまた、ドレインドリフト領域に接するように半導体材料内にバックゲート領域を形成することを含む。バックゲート領域は、第2の導電型、第3の深さでピークに達する第3の水平ドーパント濃度、第4の深さでピークに達する第4のドーパント濃度、及び第5の深さでピークに達する第5の水平ドーパント濃度を有する。第3の深さは、半導体材料の頂部表面から或る距離下方に測定される。第4の深さは、第3の深さから或る距離下方に測定される。第5の深さは、第4の深さから或る距離下方に測定される。この方法は更に、半導体材料の頂部表面に接するゲート誘電体層を形成すること、及びドレインドリフト領域及びバックゲート領域の直接的に上にあるゲート誘電体層に接し、そのゲート誘電体層の上にあるゲートを形成することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】例示の実施例に従ったLDMOSトランジスタ100の一例の断面図である。
【0011】
図2A】例示の実施例に従ったLDMOSトランジスタ構造を形成する方法200の一例の断面図である。
図2B】例示の実施例に従ったLDMOSトランジスタ構造を形成する方法200の一例の断面図である。
図2C】例示の実施例に従ったLDMOSトランジスタ構造を形成する方法200の一例の断面図である。
図2D】例示の実施例に従ったLDMOSトランジスタ構造を形成する方法200の一例の断面図である。
図2E】例示の実施例に従ったLDMOSトランジスタ構造を形成する方法200の一例の断面図である。
図2F】例示の実施例に従ったLDMOSトランジスタ構造を形成する方法200の一例の断面図である。
図2G】例示の実施例に従ったLDMOSトランジスタ構造を形成する方法200の一例の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、例示の実施例に従ったLDMOSトランジスタ100の一例の断面図を示す。これ以降に更に詳細に説明するように、LDMOSトランジスタ100は、ドレインドリフト領域と隣接するステップ形状のバックゲート領域との両方において複数の注入を用いることによりRds×Cgdを改善する。
【0013】
図1に示すように、LDMOSトランジスタ100は、基板又はエピタキシャル層などの半導体材料110、及び半導体材料110内にあるドレインドリフト領域112を含む。ドレインドリフト領域112は、第1の導電型と2つの水平ドーパント濃度ピークとを有し、2つの水平ドーパント濃度ピークは、半導体材料110の頂部表面114から下方に或る距離測定された深さD1における第1のピーク、及び深さD1から下方に或る距離測定された深さD2における第2のピークである。この例では、ドレインドリフト領域112はn導電型を有する。
【0014】
深さD1は、半導体材料110の頂部表面114から深さD1まで下方に延在するドリフト頂部120を画定する。ドリフト頂部120は或るドーパント濃度プロファイルを有し、このプロファイルにおいて、ドーパント濃度は、増大する深さと共に増大する。この例では、ドリフト頂部120は、半導体材料110の頂部表面114における低ドーパント濃度から、深さD1における高ドーパント濃度まで、継続的に増大する。また、ドリフト頂部120内の最大ドーパント濃度は深さD1にある。
【0015】
深さD1及び深さD2は、深さD1から深さD2まで下方に延在するドリフト中間部124を画定する。ドリフト中間部124は或るドーパント濃度プロファイルを有し、このプロファイルにおいて、ドーパント濃度はまず、増大する深さと共に減少し、その後、増大する深さと共に増大する。
【0016】
この例では、ドリフト中間部124は、深さD1における高ドーパント濃度から深さD1とD2の間の或る地点における一層低いドーパント濃度まで継続的に減少し、その後、深さD2における一層高いドーパント濃度まで継続的に増大する。また、ドリフト中間部124内の2つの最大ドーパント濃度は、深さD1及びD2にある。
【0017】
深さD2はまた、深さD2から或る距離下方に延在するドリフト底部126を画定する。ドリフト底部126は或るドーパント濃度プロファイルを有し、このプロファイルにおいて、ドーパント濃度は、深さD2から、増大する深さと共に減少する。この例では、ドリフト底部126は、深さD2における高ドーパント濃度から一層低いドーパント濃度まで継続的に減少する。また、ドリフト底部126内の最大ドーパント濃度は、深さD2にある。
【0018】
図1に更に示すように、LDMOSトランジスタ100はまた、ドレインドリフト領域112に接するように半導体材料110内にあるバックゲート領域128を含む。バックゲート領域128は、第2の導電型、及び、同じ導電型の3つの水平ドーパント濃度ピークに対応するステップ形状を有する。これらの3つの水平ドーパント濃度ピークは、半導体材料110の頂部表面114から下方に或る距離測定された深さD3におけるピーク、深さD3から下方に或る距離測定された深さD4におけるピーク、及び深さD4から下方に或る距離測定された深さD5におけるピークである。この例では、バックゲート領域128はp導電型を有する。
【0019】
深さD3は、半導体材料110の頂部表面114から深さD3まで下方に延在するバックゲート頂部130を画定する。バックゲート頂部130は或るドーパント濃度プロファイルを有し、このプロファイルにおいて、ドーパント濃度は、増大する深さと共に増大する。この例では、バックゲート頂部130は、半導体材料110の頂部表面114における低ドーパント濃度から、深さD3における高ドーパント濃度まで、継続的に増大する。また、バックゲート頂部130内の最大ドーパント濃度は、深さD3にある。
【0020】
深さD3及びD4はまた、深さD3から深さD4まで下方に延在するバックゲート中間部134を画定する。バックゲート中間部134は或るドーパント濃度プロファイルを有し、このプロファイルにおいて、ドーパント濃度は、まず、増大する深さと共に減少し、その後、増大する深さと共に増大する。
【0021】
この例では、バックゲート中間部134は、深さD3における高ドーパント濃度から、深さD3とD4の間の或る地点における一層低いドーパント濃度まで、継続的に減少し、その後、深さD4における一層高いドーパント濃度まで継続的に増大する。また、バックゲート中間部134内の2つの最大ドーパント濃度は、深さD3及びD4にある。
【0022】
深さD4及び深さD5は、深さD4から深さD5まで下方に延在するバックゲート中間部136を画定する。バックゲート中間部136は或るドーパント濃度プロファイルを有し、このプロファイルにおいて、ドーパント濃度は、まず、増大する深さと共に減少し、その後、増大する深さと共に増大する。
【0023】
この例では、バックゲート中間部136は、深さD4における高ドーパント濃度から、深さD4とD5の間の或る地点における一層低いドーパント濃度まで、継続的に減少し、その後、深さD5における一層高いドーパント濃度まで継続的に増大する。また、バックゲート中間部136内の2つの最大ドーパント濃度は、深さD4及びD5にある。
【0024】
深さD5は更に、深さD5から或る距離下方に延在するバックゲート底部138を画定する。バックゲート底部138は或るドーパント濃度プロファイルを有し、このプロファイルにおいて、ドーパント濃度は、深さD5から、増大する深さと共に減少する。この例では、バックゲート底部138は、深さD5における高ドーパント濃度から一層低いドーパント濃度まで継続的に減少する。図示するように、深さD3は深さD1と深さD2の間にある。また、深さD4は深さD2より下にある。また、バックゲート領域128のバックゲート中間部136及びバックゲート底部138の一部は、ドレインドリフト領域112の直接的に下にある。
【0025】
図1に更に示すように、LDMOSトランジスタ100は、半導体材料110内にある一対のシャロートレンチアイソレーション(STI)領域140を含む。STI領域140は、深さD1より下にある一層低い表面142を有する。この例では、STI領域140はまた、半導体材料110の頂部表面114と実質的に同じ平面にある頂部表面を有する。
【0026】
LDMOSトランジスタ100は更に、いずれも半導体材料110内にある、ドレイン領域150、ソース領域152、及び表面領域154を含む。第1の導電型を有するドレイン領域150は、ドレインドリフト領域112に接するようにSTI領域140間にある。ドレイン領域150は、ドレインドリフト領域112の最高ドーパント濃度より実質的に大きいドーパント濃度を有する。この例では、ドレイン領域150はn+領域として実装される。
【0027】
ソース領域152は、同じく第1の導電型を有し、バックゲート領域128に接する。ソース領域152は、ドレイン領域150のドーパント濃度に実質的に等しいドーパント濃度を有する。この例では、ソース領域152はn+領域として実装される。
【0028】
表面領域154は、同じく第1の導電型を有し、半導体材料110の頂部表面114、バックゲート領域128、及びソース領域152に接し、また、バックゲート領域128の一部の直接的に上にある。表面領域154は、ドレインドリフト領域112の最高ドーパント濃度より実質的に大きいドーパント濃度を有する。この例では、表面領域154はn+領域として実装される。(表面領域154は任意選択で省かれてもよい。)
【0029】
LDMOSトランジスタ100はまた、バックゲート領域128に接するように半導体材料110内にあるボディコンタクト領域156を含む。ボディコンタクト領域156は、第2の導電型、及びバックゲート領域128の最高ドーパント濃度より実質的に大きいドーパント濃度を有する。この例では、ボディコンタクト領域156はp+領域として実装される。
【0030】
図1に更に示されるように、LDMOSトランジスタ100は、半導体材料110の頂部表面114に接するゲート誘電体層160と、ゲート誘電体層160に接しゲート誘電体層160の上にあるゲート162と、ゲート162に接しゲート162を横方向に囲む側壁スペーサ164とを含む。バックゲート領域128は、ドレインドリフト領域112とソース領域152との間にあり、且つ、ドレインドリフト領域112及びソース領域152に接する、チャネル領域166を含む。ゲート162は、ドレインドリフト領域112及びバックゲート領域128のチャネル領域166の直接的に上にある。
【0031】
オペレーションにおいて、ソース領域152及びボディコンタクト領域156が接地されると、ドレイン・ソース電界を構築するために16Vなどの正の電圧がドレイン領域150上に置かれ、閾値電圧より大きい電圧がゲート162上に置かれ、電流がドレイン領域150からソース領域152へ流れる。ゲート162が接地までプルダウンされるときなど、ゲート162上に置かれる電圧が閾値電圧より小さいとき、電流は流れない。
【0032】
例示の実施例の利点の一つは、半導体材料110の頂部表面114における又はその直下のドリフト頂部120の領域が、深さと共に増大する、低いドーパント濃度を有するという点である。半導体材料110の頂部表面114におけるまたはその近辺の低いドーパント濃度の領域を用いることにより、ゲート・ドレイン容量Cgdが低減され得、Rds×Cgdが改善される。例示の実施例の別の利点は、深さD1及びD2における一層高いドーパント濃度がドレイン・ソース抵抗Rdsを低減するという点であり、これにより、Rds×Cgdが更に改善される。
【0033】
また、ドレインドリフト領域112は、ドリフト頂部120及びドリフト中間部124内の一層低いドーパント濃度領域の存在に起因して、ドレイン・ソース電界の大きさを低減し続ける。ドレイン・ソース抵抗Rds対ドレイン・ソース降伏電圧(BV)は、深さD2における高ドーパント濃度の水平領域における電荷を平衡させるためにドリフト底部126とバックゲート中間部136との間の相互作用も用いることによって、最も良好にトレードオフされる。
【0034】
例示の実施例の更なる利点は、ゲート162の下にある深さD1における高ドーパント濃度の水平領域が比較的大きく、これにより、チャネル抵抗及びJFET抵抗が低減されるという点である。JFET抵抗は、デプリーション領域の幅がドレイン150及びゲート162上の電圧と共に変化するチャネル166に近接する表面下領域に関連付けられる抵抗である。
【0035】
また、深さD1及びD2における高ドーパント濃度の水平領域における表面は、低減されたCgdのため容易に空乏化される。また、増大されたドレイン電圧では、深さD3及びD4における高ドーパント濃度の水平領域のステップ形状エリアは、ゲート162の下にある深さD1及びD2における高ドーパント濃度の水平領域における増大する電界をスクリーンし得る。この現象は、デバイスドレイン・ソース降伏電圧を増大させるためにドレインドリフト領域112とバックゲート領域128との間の電荷バランスと共に働くか、又は、ターゲットとされるデバイスドレイン・ソース降伏電圧で、ドレインドリフト領域112長さ(STI領域140の一層低い表面142の真下のドリフト領域)が、低減されるRdsのために低減され得、これにより、総Rds×Cgdが改善される。そのため、例示の実施例は、Rds値及びCgd値両方を低減することによりRds×Cgdを改善する。
【0036】
図2A図2Gは、例示の実施例に従ってLDMOSトランジスタ構造を形成する方法200の一例の一連の断面図を示す。方法200は、基板又はエピタキシャル層などの、従来と同様に形成された半導体材料210を用いる。
【0037】
方法200は、半導体材料210内にドレインドリフト領域212を形成することにより始まる。ドレインドリフト領域212は、第1の導電型、及び2つの水平ドーパント濃度ピークを有する。2つの水平ドーパント濃度ピークは、半導体材料210の頂部表面214から下方へ或る距離測定された深さD1における第1のピーク、及び深さD1から下方へ或る距離測定された深さD2における第2のピークである。この例では、ドレインドリフト領域212はn導電型を有するように形成される。
【0038】
ドレインドリフト領域212は、まず、パターニングされたフォトレジスト層216を半導体材料210上に形成することによって形成され得る。パターニングされたフォトレジスト層216は、従来のように形成され、この方式は、フォトレジストの層を堆積すること、パターニングされた画像をフォトレジストの層上に形成するために、マスクとして知られるパターニングされた黒/透明ガラスプレートを介して光を投射すること、及び光への曝露により軟化された、イメージングされたフォトレジスト領域を取り除くことを含む。
【0039】
パターニングされたフォトレジスト層216が形成された後、上部領域220を形成するために、パターニングされたフォトレジスト層216を介してドーパントが半導体材料210に注入される。上部領域220は、深さD1でピークに達する水平ドーパント濃度を有する。この例では、n型上部領域220を形成するためにヒ素が注入される。ヒ素ドーパントは、例えば、4×1012〜8×1012のドーズ量及び200keV〜350keVのエネルギーで注入され得る。
【0040】
パターニングされたフォトレジスト層216がまだその場にある状態で、今度は下部領域222を形成するために、ドーパントが再び、フォトレジスト層216を介して半導体材料210に注入される。下部領域222は、深さD2でピークに達する水平ドーパント濃度を有する。この例では、n型下部領域222を形成するためにリンが注入される。このリンドーパントは、例えば、8×1012〜2×1013のドーズ量及び100keV〜400keVのエネルギーで注入され得る。
【0041】
下部領域222が形成された後、パターニングされたフォトレジスト層216は、アッシングプロセスなどの従来のように取り除かれる。これに続いて、熱駆動プロセスが、ドーパントを拡散及び活性化して、ドレインドリフト領域212の形成を完了する。熱駆動プロセスは、1100℃で90分間、又は例えば、1125℃で50分間、又は1050℃で270分間などの同等の条件の、熱処理を含み得る。
【0042】
深さD1は、半導体材料210の頂部表面214から深さD1まで下方に延在するドリフト頂部224を画定する。ドリフト頂部224の一部が熱駆動プロセスの間ドープされ、これにより、ドーパントが、上部領域220から上方にドリフト頂部224内に拡散される。
【0043】
ドリフト頂部224は或るドーパント濃度プロファイルを有し、このプロファイルにおいて、ドーパント濃度は、増大する深さと共に増大する。この例では、ドリフト頂部224は、半導体材料210の頂部表面214における低ドーパント濃度から、深さD1における高ドーパント濃度まで、継続的に増大する。また、ドリフト頂部224内の最大ドーパント濃度は深さD1にある。
【0044】
深さD1及び深さD2は、深さD1から深さD2まで下方に延在するドリフト中間部226を画定する。ドリフト中間部226の一部が熱駆動プロセスの間ドープされ、これにより、ドーパントが、上部領域220から下方に拡散され、下部領域222の一部から上方にドリフト中間部226内に拡散される。
【0045】
ドリフト中間部226は或るドーパント濃度プロファイルを有し、このプロファイルにおいて、ドーパント濃度は、まず、増大する深さと共に減少し、その後、増大する深さと共に増大する。この例では、ドリフト中間部226は、深さD1における高ドーパント濃度から、深さD1及びD2間の或る地点における一層低いドーパント濃度まで、継続的に減少し、その後、深さD2における一層高いドーパント濃度まで継続的に増大する。また、ドリフト中間部226内の2つの最大ドーパント濃度は、深さD1及びD2にある。
【0046】
深さD2はまた、深さD2から或る距離下方に延在するドリフト底部228を画定する。ドリフト底部228は熱駆動プロセスの間ドープされ、これにより、ドーパントが、下部領域222から下方に底部228内に拡散される。(上部及び下部領域220及び222が形成される順は、逆にされてもよい。)
【0047】
ドリフト底部228は或るドーパント濃度プロファイルを有し、このプロファイルにおいて、ドーパント濃度は、深さD2から、増大する深さと共に減少する。この例では、ドリフト底部228は、深さD2における高ドーパント濃度から一層低いドーパント濃度まで継続的に減少する。また、ドリフト底部228内の最大ドーパント濃度は深さD2にある。
【0048】
図2Bに示すように、ドレインドリフト領域212が形成された後、一対のシャロートレンチアイソレーション(STI)領域230が、ドレインドリフト領域212に接するように半導体材料210に形成される。STI領域230は従来のように形成され得る。例えば、半導体材料210の上にハードマスクが形成され得る。ハードマスクが形成された後、半導体材料210において複数のトレンチを形成するように、半導体材料210がハードマスクを介してエッチングされる。次に、ハードマスクが取り除かれ、トレンチを充填するように半導体材料210の頂部表面上に非導電性の材料が堆積される。半導体材料210の頂部表面上の非導電性の材料は、その後、トレンチにおけるSTI領域230を残すように、化学機械的平坦化(CMP)プロセスなどにより、取り除かれる。
【0049】
図2Bに更に示すように、STI領域230が形成された後、ドープされた領域232が次に、半導体材料210内に形成される。ドープされた領域232は、第2の導電型のバックゲート領域234、及びバックゲート領域234に接する第1の導電型の表面領域236を有する。
【0050】
バックゲート領域234は、3つのドーパント濃度に対応するステップ形状を有するように形成され、3つのドーパント濃度は、半導体材料210の頂部表面から深さD3下方のピーク、一層低い深さD4のピーク、及び更に一層低い深さD5のピークである。この例では、バックゲート領域234はp導電型を有し、表面領域236はn導電型を有する。
【0051】
バックゲート領域234は、ドレインドリフト領域212の底部228に接し、それより下にある埋め込み領域240を形成するように、先ず、ドーパントを半導体材料210にブランケット注入することによって形成され得る。埋め込み領域240は、深さD5でピークに達するドーパント濃度を有する。この例では、p型埋め込み領域234を形成するためにボロンが注入される。ボロンドーパントは、例えば、1×1012〜9×1013のドーズ量及び400keV〜900keVのエネルギーで注入され得る。
【0052】
図2Cに示すように、埋め込み領域240が形成された後、パターニングされたフォトレジスト層242が従来のように半導体材料210上に形成される。パターニングされたフォトレジスト層242が形成された後、ドーパントは、中間領域244を形成するように、パターニングされたフォトレジスト層242を介して半導体材料210に角度注入(angle implanted)される。中間領域244は、深さD4でピークに達するドーパント濃度を有する。この例では、中間領域244を形成するためにボロンが注入される。ボロンドーパントは、例えば、2×1013〜4×1013のドーズ量及び300keV〜600keVのエネルギーで注入され得る。
【0053】
パターニングされたフォトレジスト層242がまだその場にある状態で、ボディ領域246を形成するために、ドーパントが再び、パターニングされたフォトレジスト層242を介して半導体材料210に注入される。ボディ領域246は、深さD3でピークに達するドーパント濃度を有する。この例では、ボディ領域246を形成するためにボロンが注入される。ボロンドーパントは、例えば、5×1013〜3×1014のドーズ量及び70keV〜300keVのエネルギーで注入され得る。
【0054】
ボディ領域246が形成された後、バックゲート領域234のサイズを低減するため及び表面領域236を形成するために、ドーパントが再び、パターニングされたフォトレジスト層242を介して半導体材料210に注入される。表面領域236は、半導体材料210の頂部表面214に接し、ボディ領域246の上にある。この例では、表面領域236を形成するためにヒ素が注入される。ヒ素ドーパントは、例えば、5×1013〜1×1015のドーズ量及び30keV〜160keVのエネルギーで注入され得る。(表面領域236の形成は任意選択で省かれてもよい。)
【0055】
この注入の後、パターニングされたフォトレジスト層242が従来のように取り除かれる。これに続いて、ドーパントを拡散及び活性化するため、そして、ドープされた領域232、バックゲート領域234、及び表面領域236の形成を完了するために、熱駆動プロセスが実施される。この例では、表面領域236及びそのすぐ周りのエリアは、熱駆動の結果n型導電性を有し、一方、バックゲート領域234は、熱駆動の結果p型導電性を有する。(ドレインドリフト領域212及びドープされた領域232が形成される順は、逆にされてもよい。)
【0056】
深さD3は、半導体材料110の頂部表面114から深さD3まで下方に延在する基板頂部250を画定する。基板頂部250は、表面領域236より下であり表面領域236に近接する或るドーパント濃度プロファイルを有し、このプロファイルにおいて、ドーパント濃度は、増大する深さと共に増大する。この例では、基板頂部250は、表面領域236より下であり表面領域236に近接する低ドーパント濃度から、深さD3における高ドーパント濃度まで、継続的に増大する。また、基板頂部250内の最大ドーパント濃度は深さD3にある。
【0057】
深さD3及び深さD4は、深さD3から深さD4まで下方に延在する基板中間部252を画定する。基板中間部252は或るドーパント濃度プロファイルを有し、このプロファイルにおいて、ドーパント濃度は、まず、増大する深さと共に減少し、その後、増大する深さと共に増大する。
【0058】
この例では、基板中間部252は、深さD3における高ドーパント濃度から、深さD3とD4間との或る地点における一層低いドーパント濃度まで、継続的に減少し、その後、深さD4における一層高いドーパント濃度まで継続的に増大する。また、基板中間部252内の2つの最大ドーパント濃度は、深さD3及びD4にある。
【0059】
深さD4及び深さD5は、深さD4から深さD5まで下方に延在する基板中間部254を画定する。基板中間部254は或るドーパント濃度プロファイルを有し、このプロファイルにおいて、ドーパント濃度は、まず、増大する深さと共に減少し、その後、増大する深さと共に増大する。
【0060】
この例では、基板中間部254は、深さD4における高ドーパント濃度から、深さD4とD5との間の或る地点における一層低いドーパント濃度まで、継続的に減少し、その後、深さD5における一層高いドーパント濃度まで継続的に増大する。また、基板中間部254内の2つの最大ドーパント濃度は、深さD4及びD5にある。
【0061】
深さD5はまた、深さD5から或る距離下方に延在する基板底部256を画定する。基板底部256は或るドーパント濃度プロファイルを有し、このプロファイルにおいて、ドーパント濃度は、深さD5から、増大する深さと共に減少する。この例では、基板底部256は、深さD5における高ドーパント濃度から一層低いドーパント濃度まで低減する。図示するように、深さD3は、深さD1と深さD2との間にある。また、深さD4は深さD2より下にある。また、第2の(p)導電型のバックゲート領域234の一部が、ドレインドリフト領域212の直接的に下にある。
【0062】
図2Dに示すように、ドープされた領域232が形成されると、方法200は次に、半導体材料210の頂部表面214上にゲート誘電体層260を形成する。例えば、希釈フッ化水素酸を用いるウェットエッチングのクリーンアップエッチングが、半導体材料210の頂部表面上の如何なる不要な酸化物も除くために、ゲート誘電体層260を形成する前に実施され得る。
【0063】
ゲート誘電体層260は、熱成長された二酸化シリコンで実装され得、用いられる電圧に従って変化する厚みを有する。例えば、ゲート誘電体層260は、5Vゲートオペレーションをサポートするために、12〜15nmの熱成長された二酸化シリコンを有し得る。ゲート誘電体層260は、シリコンオキシナイトライド又はハフニウム酸化物などの他の誘電性材料の付加的な層を含み得る。
【0064】
これに続いて、ゲート材料262の層が、ゲート誘電体層260上に堆積される。ゲート材料262の層は、100〜200nmのポリシリコン、及び場合によっては、100〜200nmのタングステンシリサイドなどのポリシリコン上の金属シリサイドの層、を含み得る。ゲート材料262の層を実装するために用いることができる他の材料もこの例の範囲内にある。次に、パターニングされたフォトレジスト層264が、従来のようにゲート材料262の層の上に形成される。
【0065】
図2Eに示すように、パターニングされたフォトレジスト層264が形成された後、ゲート材料262の層の露出された領域は、ゲート誘電体層260を露出させるため及びゲート270を形成するために、従来のようにエッチングされる。エッチングに続いて、パターニングされたフォトレジスト層264が従来のように取り除かれる。
【0066】
図2Fに示すように、パターニングされたフォトレジスト層264が取り除かれた後、ゲート側壁スペーサ272が、ゲート270の横方向表面上に従来のように形成される。ゲート側壁スペーサ272は、半導体デバイスの頂部表面の上に二酸化シリコンのコンフォーマル層を50〜150nmの厚み形成すること、及びその後、反応性イオンエッチング(RIE)プロセスなどの異方性エッチプロセスを用いて水平表面から二酸化シリコンを取り除くことによって形成され得る。
【0067】
図2Fに更に示すように、次に、パターニングされたフォトレジスト層274が、ゲート誘電体層260及びゲート270上に従来のように形成される。この後、ソース領域280及びドレイン領域282を形成するために、ドレインドリフト領域212と同じ導電型を有するドーパントが、パターニングされたフォトレジスト層274を介して注入される。ソース領域280は、バックゲート領域234及び表面領域236のサイズを低減する。ドレイン領域282は、ドレインドリフト領域212のサイズを低減する。
【0068】
ソース領域280は、重くドープされており、バックゲート領域234及び表面領域236に接する。ドレイン領域282も、同じく重くドープされており、ドレインドリフト領域212に接するように、STI領域230間に形成される。注入に続いて、パターニングされたフォトレジスト層274が従来のように取り除かれる。この例では、ソース及びドレイン領域280及び282はn+領域である。この注入は、8×1014〜1×1016のドーズ量及び20keV〜70keVのエネルギーを有し得る。
【0069】
図2Gに示すように、パターニングされたフォトレジスト層274が取り除かれた後、パターニングされたフォトレジスト層284が次に、ゲート誘電体層260及びゲート270上に従来のように形成される。この後、ボディコンタクト領域286を形成するために、バックゲート領域234と同じ導電型を有するドーパントが、パターニングされたフォトレジスト層284を介して注入される。
【0070】
ボディコンタクト領域286は、重くドープされており、ボディ領域246に接する。注入に続いて、パターニングされたフォトレジスト層284が従来のように取り除かれて、LDMOSトランジスタ構造290の形成が完了する。この例では、ボディコンタクト領域276はp+領域である。注入は、8×1014〜1×1016のドーズ量及び20keV〜70keVのエネルギーを有し得る。
【0071】
本発明の特許請求の範囲内で、説明した例示の実施例に変形が成され得、他の実施例が可能である。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図2G