特許第6574814号(P6574814)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6574814
(24)【登録日】2019年8月23日
(45)【発行日】2019年9月11日
(54)【発明の名称】導体モジュール取付構造
(51)【国際特許分類】
   H01M 2/10 20060101AFI20190902BHJP
   H01M 2/20 20060101ALI20190902BHJP
【FI】
   H01M2/10 M
   H01M2/20 A
   H01M2/20 Z
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-118925(P2017-118925)
(22)【出願日】2017年6月16日
(65)【公開番号】特開2019-3870(P2019-3870A)
(43)【公開日】2019年1月10日
【審査請求日】2018年8月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】特許業務法人栄光特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】茶縁 貴裕
【審査官】 井原 純
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−126652(JP,A)
【文献】 特開2017−054600(JP,A)
【文献】 特開2016−100287(JP,A)
【文献】 特開2015−156329(JP,A)
【文献】 特開2015−049931(JP,A)
【文献】 特開2015−035323(JP,A)
【文献】 特開2017−107721(JP,A)
【文献】 特開2016−201336(JP,A)
【文献】 特開2013−105571(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2017/0133656(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/10
H01M 2/20
H02G 7/00−7/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の単電池を電気的に接続するための接続導体を備えるケースと、
前記ケースの外壁に突設され前記外壁に沿う凹溝と、
前記凹溝に沿い長手方向に直交する断面形状がU字形状に形成され前記凹溝に挿入されることによりU字の開口部が前記凹溝の内壁面に塞がれるプロテクタと、
前記プロテクタのU溝に配索される電圧検出線と、
前記電圧検出線の一端に接続された電圧検出端子と、
前記プロテクタに形成され前記凹溝に挿入された前記プロテクタの前記U溝から前記電圧検出線の一端を導出して前記電圧検出端子を前記接続導体に接触可能に位置決めする端子保持部と、
を備えることを特徴とする導体モジュール取付構造。
【請求項2】
請求項1に記載の導体モジュール取付構造であって、
前記凹溝には前記プロテクタの挿入方向に延在する位置決めリブが突設され、
前記プロテクタには前記位置決めリブに係合して前記プロテクタの前記ケースに対する取付位置を位置決めする位置決め凹部が形成されていることを特徴とする導体モジュール取付構造。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の導体モジュール取付構造であって、
前記プロテクタには、配索した前記電圧検出線の飛び出しを規制する飛び出し規制爪が前記U溝に形成されていることを特徴とする導体モジュール取付構造。
【請求項4】
請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の導体モジュール取付構造であって、
前記凹溝からの前記プロテクタの離脱を規制するためのロック機構が、前記ケースと前記プロテクタとの間に設けられていることを特徴とする導体モジュール取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導体モジュール取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の単電池を有する蓄電装置において、所定の形に配列された複数の単電池は、隣接する単電池の一方の正極側と他方の負極側とが接続導体によって電気的に直列に接続される。また、複数の単電池を有する蓄電装置において、蓄電器の過充放電を避けるためには、各単電池の状態を把握する必要がある。このため、各単電池には、その端子電圧を検出するための電気的な接続が行われる。
【0003】
例えば特許文献1の蓄電装置は、電圧検出線を有する電圧検出基板と、複数の電池セル(単電池)を保持するサイドプレートと、複数の電池セルを電気的に直列に接続する複数のバスバー(接続導体)とを備える。複数のバスバーは、サイドプレートの電池セル保持側の面とは反対側の面上に配置する。この複数のバスバーの上に電圧検出基板を配置し、サイドプレート及び電圧検出基板によって複数のバスバーを挟み込んで抑えている。
【0004】
この構成によれば、バスバーや電圧検出線を一つひとつサイドプレートサイドに装着する必要がないので、バッテリ装置の組立て作業性、生産性の向上が期待できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012−74338号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の蓄電装置は、サイドプレート及び電圧検出基板によって複数のバスバーを挟み込んで抑えていることから、バスバーや電圧検出基板が露出し、これらを覆うサイドカバーや覆い部材が必要であった。一方、各電池セルに電圧検出線を接続する構造の場合には、電圧検出線を配索するケース(筐体)に、電圧検出線を覆うヒンジカバーを形成する必要があった。このような別部品の絶縁カバー(サイドカバーや覆い部材)やヒンジカバーを設ければ、構造が複雑になるとともに、配線作業が煩雑となり、作業工数やコストが増大した。
【0007】
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、その目的は、ケースにヒンジカバーを形成したり別部品の絶縁カバーを設けたりする必要がなく、作業工数やコストを削減できる導体モジュール取付構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る上記目的は、下記構成により達成される。
(1) 複数の単電池を電気的に接続するための接続導体を備えるケースと、前記ケースの外壁に突設され前記外壁に沿う凹溝と、前記凹溝に沿い長手方向に直交する断面形状がU字形状に形成され前記凹溝に挿入されることによりU字の開口部が前記凹溝の内壁面に塞がれるプロテクタと、前記プロテクタのU溝に配索される電圧検出線と、前記電圧検出線の一端に接続された電圧検出端子と、前記プロテクタに形成され前記凹溝に挿入された前記プロテクタの前記U溝から前記電圧検出線の一端を導出して前記電圧検出端子を前記接続導体に接触可能に位置決めする端子保持部と、を備えることを特徴とする導体モジュール取付構造。
【0009】
上記(1)の構成の導体モジュール取付構造によれば、電圧検出端子付きの電圧検出線を予組付けしたプロテクタを、ケースの凹溝に挿入し、装着を完了させることにより、電圧検出線の収納が完了する。同時に、電圧検出端子は、接続導体に対する接続準備が完了する。このため、露出した電圧検出線を覆うためだけの別部品の絶縁カバー(サイドカバー又は覆い部材)や、ヒンジカバー等が不要となる。その結果、構造を簡素にできる。また、電圧検出線を配索した後に、絶縁カバーを取り付けたり、ヒンジカバーをロックしたりする煩雑な電線収容作業が不要になる。その結果、電圧検出線の配索作業を容易にできる。更に、プロテクタの装着と同時に、電圧検出端子が位置決めされるので、電圧検出端子を接続導体に対して位置決めするための複雑な端子位置決め構造をケースに形成する必要もなくなる。その結果、ケースの構造を簡素にできるとともに、電圧検出端子を容易に位置決めできる。
【0010】
(2) 上記(1)に記載の導体モジュール取付構造であって、前記ケースの凹溝には前記プロテクタの挿入方向に延在する位置決めリブが突設され、前記プロテクタには前記位置決めリブに係合して前記プロテクタの前記ケースに対する取付位置を位置決めする位置決め凹部が形成されていることを特徴とする導体モジュール取付構造。
【0011】
上記(2)の構成の導体モジュール取付構造によれば、電圧検出端子付きの電圧検出線が予組付けされたプロテクタを、ケースの凹溝に挿入する際、プロテクタの位置決め凹部がケースの位置決めリブに係合する。プロテクタは、位置決め凹部が位置決めリブに係合することによりケースに対する規定の位置で位置決めされる。プロテクタは、この位置決めがなされることにより、端子保持部に保持した電圧検出端子が、ケースに備えられた接続導体の規定の位置に接触可能な状態となる。
【0012】
(3) 上記(1)または(2)に記載の導体モジュール取付構造であって、前記プロテクタには、配索した前記電圧検出線の飛び出しを規制する飛び出し規制爪が前記U溝に形成されていることを特徴とする導体モジュール取付構造。
【0013】
上記(3)の構成の導体モジュール取付構造によれば、プロテクタのU溝に配索された電圧検出線は、U溝に設けられた飛び出し規制爪により、U溝からの飛び出しが規制される。その結果、電圧検出端子付きの電圧検出線を予組付けしたプロテクタを凹溝に挿入する際の電圧検出線の挟み込み等を防止して、プロテクタの挿入作業性を良好にすることができる。
【0014】
(4) 上記(1)〜(3)の何れか1つに記載の導体モジュール取付構造であって、前記凹溝からの前記プロテクタの離脱を規制するためのロック機構が、前記ケースと前記プロテクタとの間に設けられていることを特徴とする導体モジュール取付構造。
【0015】
上記(4)の構成の導体モジュール取付構造によれば、電圧検出端子付きの電圧検出線を予組付けしたプロテクタが凹溝に挿入完了されると、ロック機構により凹溝からのプロテクタの離脱が規制される。ロック機構は、この凹溝に対するプロテクタのロックにより、電圧検出線を保護状態に保持するとともに、電圧検出端子を接続導体に対して位置決め状態に保持する。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る導体モジュール取付構造によれば、ケースにヒンジカバーを形成したり別部品の絶縁カバーを設けたりする必要が無く、作業工数やコストを削減できる。
【0017】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施形態に係る導体モジュール取付構造を備える電池パックの平面図である。
図2図1に示した導体モジュールの分解斜視図である。
図3図2に示したプロテクタに配索された電圧検出線の斜視図である。
図4図3に示した端子保持部の要部拡大図である。
図5】接続導体に接触可能な状態となって位置決めされた電圧検出端子の斜視図である。
図6図1のA部拡大図である。
図7】ロック機構の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る実施形態を図面を参照して説明する。
図1及び図2は本発明の一実施形態に係る導体モジュール取付構造を備える電池パック11の平面図及び分解斜視図である。
である。
本実施形態に係る導体モジュール取付構造は、複数の単電池31を有する電池パック11に用いて好適となる。
【0020】
電池パック11は、図1及び図2に示すように、導体モジュール100を備えている。導体モジュール100は、複数の単電池31が収容されたケース13と、ケース13に設けられた凹溝15と、凹溝15に挿入されたプロテクタ17と、プロテクタ17に配索された電圧検出線19と、電圧検出線19の一端に接続された電圧検出端子21と、を主要な構成として有している。
【0021】
ケース13は、複数の単電池31を電気的に接続するための接続導体25を備える。ケース13は、上下面が接続導体25を配置する導体配置スペース27となって開放された直方体の箱状に形成される。ケース13は、例えば絶縁樹脂製とすることができる。上面の導体配置スペース27には、略正方形の板状に形成された複数の接続導体25がケース13の長手方向に並んで取り付けられる。本実施形態では、4枚の接続導体25が取り付けられているが数は4枚には限定されない。一方、図示しない下面の導体配置スペース27には、複数の接続導体25と略長方形の接続導体とがケース13の長手方向に並んで取り付けられる。
【0022】
それぞれの接続導体25には、複数の端子部29が4列で形成されている。各端子部29は、板状の接続導体25を、それぞれの端子部29の周りで打ち抜くことにより、弾性可撓片として接続導体25と一体に形成されている。各列の端子部29は、ケース13に収容された複数の単電池31の配列に対応しており、本実施形態では図1の左側より1列目が4つ、2列目が3つ、3列目が4つ、4列目が3つで構成される。
【0023】
それぞれの接続導体25は、ケース13の導体配置スペース27に保持される。接続導体25の保持は、例えばケース13に形成した係止爪等(図示略)により行うことができる。接続導体25は、ケース13に収容された複数の円筒状の単電池31を覆って保持される。単電池31は、軸線に沿う方向の一端が正極33、他端が負極35となる。
【0024】
ケース13は、2列に並べられた7個の単電池31を収容する8つの単電池収容室37が隔壁39により仕切られている。
単電池31は、図2の左側より一つ目の単電池収容室37に負極35を上にして収容され、二つ目の単電池収容室37に正極33を上にして収容される。そして以後、負極35と正極33とが交互に上になるようにして単電池31が単電池収容室37にそれぞれ収容される。従って、導体配置スペース27の隣接する単電池収容室37に跨って接続導体25がそれぞれ設置されることにより、負極35を上にした7個の単電池31と、正極33を上にした7個の単電池31とが、直列に接続されるようになっている。なお、下面の導体配置スペース27における長手方向両端に位置する単電池収容室37に設置された長方形の接続導体は、それぞれ総正極及び総負極となる。
【0025】
凹溝15は、ケース13の外壁41に突設され、外壁41の上端縁に沿うように延設されている。凹溝15は、外壁41と、底壁43と、側壁45とにより構成されている。底壁43は、ケース13の外壁41から垂直に突出し、ケース13の長手方向に渡って形成される。側壁45は、この底壁43の突出先端から垂直に起立する。従って、凹溝15は、底壁43を挟んで外壁41と側壁45との間が溝空間となる。従って、溝空間は、外壁41と底壁面49と側壁45とからなる内壁面47(図7参照)により囲まれる。
【0026】
プロテクタ17は、ケース13の凹溝15に沿って長尺に形成され、長手方向に直交する断面形状がU字形状となる。プロテクタ17は、例えば絶縁樹脂製とすることができる。本実施形態において、プロテクタ17は、U溝51の開口部53が側面で開口する断面横U字形状に形成されている。プロテクタ17は、この横U字形状となる向きで凹溝15に挿入されることにより、U溝51の開口部53が凹溝15の外壁41における接続導体25と反対側の面である内壁面47に塞がれる。
【0027】
なお、プロテクタ17は、U溝51の開口部53が下面となる断面逆U字形状の向きで挿入されるよう形成されてもよい。また、プロテクタ17は、U溝51の開口部53が凹溝15の側壁45の内面である内壁面47に塞がれる向きで挿入されるよう構成されてもよい。即ち、プロテクタ17は、ケース13の凹溝15への挿入によりU溝51の開口部53が内壁面47により塞がれればよい。
【0028】
図3図2に示したプロテクタ17に配索された電圧検出線19の斜視図である。
電圧検出線19は、プロテクタ17のU溝51に配索される。電圧検出線19は、それぞれの接続導体25に対応してプロテクタ17に収容される。従って、本実施形態では、4本の電圧検出線19がプロテクタ17のU溝51に配索される。4本の電圧検出線19は、それぞれの一端に、電圧検出端子21が接続されている。一端に電圧検出端子21が接続されたそれぞれの電圧検出線19の他端は、一括して電圧検出コネクタ55に接続される。電圧検出端子21は、これら電圧検出線19及び電圧検出コネクタ55を介して電池監視ユニット(図示略)に接続され、それぞれの接続導体25の電圧情報を伝える。
【0029】
図4図3に示した端子保持部23の要部拡大図である。
電圧検出端子21は、側面視でL形の端子本体部57と、端子本体部57の上端から接続導体25に向かって、接続導体25と平行になるように折り曲げられた電気接触部59と、端子本体部57の基端に形成された導体接続部61と、からなる。導体接続部61には、電圧検出線19の導体が圧着等により接続される。
【0030】
プロテクタ17には、それぞれの接続導体25に対応する位置(本実施形態では4箇所)に、端子保持部23が形成される。端子保持部23は、プロテクタ17の上面にL形に隆起して形成されている。端子保持部23は、下部の電線導出部63と、上部の端子支持部65と、からなる。
【0031】
電線導出部63は、横長の階段状に形成され、U溝51と連通している。電線導出部63は、凹溝15に挿入されたプロテクタ17のU溝51から、電圧検出線19の一端を、連通口67を介して端子支持部65に導出する。端子支持部65は、電線導出部63から縦長となって起立している。端子支持部65は、電線導出部63から導出された電圧検出線19の一端に接続されている電圧検出端子21を内方に収容している。これら電線導出部63及び端子支持部65は、ケース13の外壁41に対向する面が開放されている。
【0032】
図5は接続導体25に接触可能に位置決めされた電圧検出端子21の斜視図である。
端子支持部65は、図5に示すように、プロテクタ17が凹溝15に挿入完了した状態で、上端がケース13の外壁41より高く配置される。端子支持部65は、外壁41より高い位置で開放する側部より電圧検出端子21の電気接触部59が接続導体上に平行に配置される。即ち、端子支持部65は、プロテクタ17が凹溝15に挿入された状態で、電圧検出端子21の電気接触部59をプロテクタ17の外側へ導出し、接続導体25の上面に接触可能に位置決めする。接続導体25と接触可能な状態で位置決めされた電気接触部59は、例えば溶接により接続導体25と電気的に接合される。
【0033】
図6図1のA部拡大図である。
ケース13の凹溝15には、位置決めリブ69が溝内方に突き出した状態に設けられ(突設され)ている。位置決めリブ69は、凹溝15の側壁45における内側の面に、上下方向(凹溝15の深さ方向)に延在する凸条として形成されている。つまり、位置決めリブ69は、プロテクタ17の挿入方向に延在する。本実施形態において、位置決めリブ69は、凹溝15の延在方向の中央部に一箇所設けられているが、位置や数はこれに限定されない。
【0034】
一方、プロテクタ17には、図3に示すように、この位置決めリブ69を受け入れる位置決め凹部71が設けられている。位置決め凹部71は、プロテクタ17のU溝51の底板73(図7参照)を上下方向(凹溝15の深さ方向)に切り込まれて形成されている。プロテクタ17は、この位置決め凹部71を位置決めリブ69に係合することにより、ケース13に対して規定の位置に位置決めされる。
【0035】
さらに、プロテクタ17には、図4に示すように、飛び出し規制爪75がU溝51に形成されている。飛び出し規制爪75は、U溝51のそれぞれのU溝内壁面から対向する側のU溝内壁面に向かって突出する一対の爪突起77からなる。一対の爪突起77は、突出先端の間に、間隙が形成される。この間隙は、電圧検出線19をU溝51へ挿入する際の挿入開口79となる。それぞれの爪突起77は、U溝51の外側の面が間隙に向かう導入用傾斜面81となり、U溝51の内側の面がU溝51の底板73に平行な平坦面となる。飛び出し規制爪75を通過してU溝51に配索された電圧検出線19は、爪突起77の平坦面によりU溝外への飛び出しが規制される。
【0036】
図7に示すように、ケース13とプロテクタ17との間には、プロテクタ17の凹溝15からの離脱を規制するロック機構83が設けられている。ロック機構83は、例えばロック穴85とロック爪87とからなる。ロック穴85は、ケース13またはプロテクタ17の何れか一方に設けられる。ロック爪87は、ケース13またはプロテクタ17の何れか他方に設けられる。本実施形態において、ロック機構83は、ケース13にロック穴85が穿設され、プロテクタ17にロック爪87が突設されている。なお、本発明に係るロック機構は、本実施形態におけるロック機構83に限らず、種々の形態を採りうることは云うまでもない。
【0037】
ロック爪87は、プロテクタ17の底板73から、プロテクタ17の挿入方向と反対側に延出し、延出先端が凹溝15の側壁45に向かって突出している。突出したロック爪87の下面は、傾斜面89となる。この傾斜面89は、プロテクタ17の凹溝15への挿入時、凹溝15の側壁45の上端に当接してロック爪87を撓めるよう作用する。傾斜面89により撓められたロック爪87は、プロテクタ17が凹溝15の底まで挿入されると、弾性復元してロック穴85に係止される。ロック機構83は、このロック爪87がロック穴85に係止されることにより、プロテクタ17を凹溝15に離脱規制した状態にロックする。本実施形態において、ロック機構83は、プロテクタ17及び凹溝15の長手方向に、3箇所設けられているが数はこれに限定されない。
【0038】
また、プロテクタ17には、ロック爪87の近傍に押圧部91が設けられる。押圧部91は、頂部が押圧平面93となる台形状に形成されている。押圧部91の押圧平面93は、ロック爪87の上端よりも高く配置される。押圧部91は、プロテクタ17が凹溝15に挿入完了した状態で、凹溝15の開口よりも少し低く配置される。押圧部91は、押圧平面93が作業者の手指で押圧されることにより、ロック爪87をロック穴85へ係止しやすくしている。つまり、押圧部91は、ロック箇所の視認性を高めるとともに、ロック爪87をロック穴85へ係止させる容易なロック作業を可能とする働きを有している。
【0039】
次に、上記構成を有する導体モジュール取付構造の組立て手順を説明する。
導体モジュール100を組立てるには、予めプロテクタ17に、電圧検出端子付きの電圧検出線19を組み付ける。電圧検出端子付きの電圧検出線19は、電圧検出端子21をプロテクタ17の端子保持部23における端子支持部65に挿入した後、接続されている電圧検出線19をU溝51に挿入する。この際、電圧検出線19は、飛び出し規制爪75の間隙を介してU溝51へ挿入することで、U溝51からの脱落が容易に規制される。同様にして全ての電圧検出端子付きの電圧検出線19をプロテクタ17に組み付ける。
【0040】
全ての電圧検出端子付きの電圧検出線19が組付けられることにより、プロテクタ17の予組付けが完了する。このように、本実施形態の導体モジュール取付構造を有する導体モジュール100では、電圧検出端子21及び電圧検出線19をプロテクタ17に予め一体に予組付けしておくことができる。
【0041】
予組付けされたプロテクタ17は、複数の単電池31及び複数の接続導体25が収容されたケース13の凹溝15に挿入される。プロテクタ17は、U溝側が挿入方向の先端側とされ、端子保持部側が挿入方向の後端側とされて挿入される。また、挿入の際には、プロテクタ17の位置決め凹部71が、凹溝15の位置決めリブ69に一致するように挿入される。
【0042】
プロテクタ17が一定の深さまで凹溝15に挿入されると、プロテクタ17のロック爪87が凹溝15における側壁45の上端に当接する。この状態で、プロテクタ17の押圧平面93を押圧してプロテクタ17を凹溝15へ更に押し込む。ロック爪87は、側壁45から離反する方向に弾性変形して凹溝15の内側へ撓む。プロテクタ17が規定の位置まで挿入されると、ロック爪87がロック穴85に一致する。ロック穴85に一致して弾性復元したロック爪87は、ロック穴85に係止される。このロック機構83のロックにより、プロテクタ17のケース13への組付けが完了する。
【0043】
次に、上記した構成の作用を説明する。
本実施形態に係る導体モジュール取付構造では、電圧検出端子21を一端に有する電圧検出線19が、プロテクタ17のU溝51に収容される。電圧検出端子21は、プロテクタ17の端子保持部23により、U溝51から電圧検出線19の一端と共に導出されて、プロテクタ17の規定の位置に位置決め保持される。
【0044】
この電圧検出線19及び電圧検出端子21が組付けられたプロテクタ17は、ケース13に突設された凹溝15に挿入される。プロテクタ17は、凹溝15に挿入されると、U溝51の開口部53が、凹溝15の内壁面47により閉塞される。つまり、プロテクタ17は、開口部53が閉鎖されることにより、電圧検出線19がU溝51と凹溝15とによって画成された閉鎖空間内に収容される。同時に、プロテクタ17は、凹溝15に挿入が完了することにより、端子保持部23により保持した電圧検出端子21が、ケース13に設けられた接続導体25に、接触可能に位置決めされる。
【0045】
本実施形態の導体モジュール取付構造では、電圧検出端子付きの電圧検出線19を予組付けしたプロテクタ17を、ケース13の凹溝15に挿入し、装着を完了させることにより、電圧検出線19の収納が完了する。同時に、電圧検出端子21は、接続導体25に対する接続準備が完了する。
【0046】
このため、露出した電圧検出線19を覆うためだけの別部品の絶縁カバー(サイドカバー又は覆い部材)や、ヒンジカバー等が不要となる。その結果、構造を簡素にできる。また、電圧検出線19を配索した後に、絶縁カバーを取り付けたり、ヒンジカバーをロックしたりする煩雑な電線収容作業が不要になる。その結果、電圧検出線19の配索作業を容易にできる。更に、プロテクタ17の装着と同時に、電圧検出端子21が位置決めされるので、電圧検出端子21を接続導体25に対して位置決めするための複雑な端子位置決め構造をケース13に形成する必要もなくなる。その結果、ケース13の構造を簡素にできるとともに、電圧検出端子21を容易に位置決めできる。
【0047】
また、本実施形態の導体モジュール取付構造では、電圧検出端子付きの電圧検出線19が予組付けされたプロテクタ17を、ケース13の凹溝15に挿入する際、プロテクタ17の位置決め凹部71がケース13の位置決めリブ69に係合する。プロテクタ17は、位置決め凹部71が位置決めリブ69に係合することによりケース13に対する規定の位置で位置決めされる。プロテクタ17は、この位置決めがなされることにより、端子保持部23に保持した電圧検出端子21が、ケース13に備えられた接続導体25の規定の位置に接触可能な状態となる。
【0048】
また、本実施形態の導体モジュール取付構造では、プロテクタ17のU溝51に配索された電圧検出線19は、U溝51に設けられた飛び出し規制爪75により、U溝51からの飛び出しが規制される。その結果、電圧検出端子付きの電圧検出線19を予組付けしたプロテクタ17を凹溝15に挿入する際の電圧検出線19の挟み込み等を防止して、プロテクタ17の挿入作業性を良好にすることができる。
【0049】
更に、本実施形態の導体モジュール取付構造では、電圧検出端子付きの電圧検出線19を予組付けしたプロテクタ17が凹溝15に挿入完了されると、ロック機構83のロック穴85にロック爪87が係止されて、凹溝15からのプロテクタ17の離脱が規制される。ロック機構83は、この凹溝15に対するプロテクタ17のロックにより、電圧検出線19を保護状態に保持するとともに、電圧検出端子21を接続導体25に対して位置決め状態に保持することができる。
【0050】
従って、本実施形態に係る導体モジュール取付構造によれば、ケース13にヒンジカバーを形成したり別部品の絶縁カバーを設けたりする必要が無く、作業工数やコストを削減できる。
【0051】
本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、実施形態の各構成を相互に組み合わせることや、明細書の記載、並びに周知の技術に基づいて、当業者が変更、応用することも本発明の予定するところであり、保護を求める範囲に含まれる。
【0052】
例えば上記の構成例では、電圧検出端子21の電気接触部59が溶接により接続導体25と電気的に接合される場合を説明したが、本発明に係る導体モジュール取付構造は、電圧検出端子と接続導体とが、ボルト・ナット締結等の他の接続構造により電気的に接続される構成とすることもできる。このように、本発明の導体モジュール取付構造は、電圧検出端子と接続導体の接続構造について制限を受けないため、取付構造の自由度を高めることができる。
【0053】
ここで、上述した本発明に係る導体モジュール取付構造の実施形態の特徴をそれぞれ以下[1]〜[4]に簡潔に纏めて列記する。
[1] 複数の単電池(31)を電気的に接続するための接続導体(25)を備えるケース(13)と、
前記ケース(13)の外壁(41)に突設され前記外壁(41)に沿う凹溝(15)と、
前記凹溝(15)に沿い長手方向に直交する断面形状がU字形状に形成され前記凹溝(15)に挿入されることによりU字の開口部(53)が前記凹溝(15)の内壁面(47)に塞がれるプロテクタ(17)と、
前記プロテクタ(17)のU溝(51)に配索される電圧検出線(19)と、
前記電圧検出線(19)の一端に接続された電圧検出端子(21)と、
前記プロテクタ(17)に形成され前記凹溝(15)に挿入された前記プロテクタ(17)の前記U溝(51)から前記電圧検出線(19)の一端を導出して前記電圧検出端子(21)を前記接続導体(25)に接触可能に位置決めする端子保持部(23)と、
を備えることを特徴とする導体モジュール取付構造。
[2] 上記[1]に記載の導体モジュール取付構造であって、
前記凹溝(15)には前記プロテクタ(17)の挿入方向に延在する位置決めリブ(69)が突設され、
前記プロテクタ(17)には前記位置決めリブ(69)に係合して前記プロテクタ(17)の前記ケース(13)に対する取付位置を位置決めする位置決め凹部(71)が形成されていることを特徴とする導体モジュール取付構造。
[3] 上記[1]または[2]に記載の導体モジュール取付構造であって、
前記プロテクタ(17)には、配索した前記電圧検出線(19)の飛び出しを規制する飛び出し規制爪(75)が前記U溝(51)に形成されていることを特徴とする導体モジュール取付構造。
[4] 上記[1]〜[3]の何れか1つに記載の導体モジュール取付構造であって、
前記凹溝(15)からの前記プロテクタ(17)の離脱を規制するためのロック機構(83)が、前記ケース(13)と前記プロテクタ(17)との間に設けられていることを特徴とする導体モジュール取付構造。
【符号の説明】
【0054】
13…ケース
15…凹溝
17…プロテクタ
19…電圧検出線
21…電圧検出端子
23…端子保持部
25…接続導体
31…単電池
41…外壁
47…内壁面
51…U溝
53…開口部
69…位置決めリブ
71…位置決め凹部
75…飛び出し規制爪
83…ロック機構
100…導体モジュール
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7