(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6574815
(24)【登録日】2019年8月23日
(45)【発行日】2019年9月11日
(54)【発明の名称】脂肪分解能を有する菌株を含む脱毛症防止または発毛促進用の組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 35/744 20150101AFI20190902BHJP
A61K 35/747 20150101ALI20190902BHJP
A61P 17/14 20060101ALI20190902BHJP
A61P 15/10 20060101ALI20190902BHJP
A61P 3/06 20060101ALI20190902BHJP
A23L 33/135 20160101ALI20190902BHJP
C12N 1/20 20060101ALI20190902BHJP
C12R 1/01 20060101ALN20190902BHJP
C12R 1/225 20060101ALN20190902BHJP
【FI】
A61K35/744
A61K35/747
A61P17/14
A61P15/10
A61P3/06
A23L33/135
C12N1/20 A
C12R1:01
C12R1:225
【請求項の数】14
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2017-122537(P2017-122537)
(22)【出願日】2017年6月22日
(65)【公開番号】特開2018-35136(P2018-35136A)
(43)【公開日】2018年3月8日
【審査請求日】2017年6月22日
(31)【優先権主張番号】10-2016-0111042
(32)【優先日】2016年8月30日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2017-0009282
(32)【優先日】2017年1月19日
(33)【優先権主張国】KR
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (1)株式会社シンクフル,専用ショッピングモールのウェブサイト,平成28年12月23日,http://www.sayg.co.kr
【微生物の受託番号】KCCM KCCM11830P
【微生物の受託番号】KCCM KCCM11827P
【微生物の受託番号】KCCM KCCM11841P
【微生物の受託番号】KCCM KCCM11910P
【微生物の受託番号】KCCM KCCM11911P
【微生物の受託番号】KCCM KCCM11909P
(73)【特許権者】
【識別番号】517220483
【氏名又は名称】コエンバイオ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ヨム キュジン
【審査官】
鳥居 福代
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−070305(JP,A)
【文献】
特開2010−111670(JP,A)
【文献】
特開2009−215325(JP,A)
【文献】
特開2004−210659(JP,A)
【文献】
特表2015−526085(JP,A)
【文献】
韓国公開特許第10−2016−0071042(KR,A)
【文献】
Experimental Dermatology,2010年,Vol.19, No.5,pp.401-405
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 35/00−35/768
A23L 33/135
C12N 1/20
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
脂肪分解能を有するリューコノストック・ホルザプフェリイ(Leuconostoc holzapfelii)、リューコノストック・メセンテロイデス(Leuconostoc mesenteroides)、及びラクトバチルス・サケイ(Lactobacillus sakei)からなる群から選択された少なくとも1種の菌株を含み、経口の形態で投与される、脱毛症防止または発毛促進用の組成物。
【請求項2】
前記菌株がリューコノストック・ホルザプフェリイCeb−kc−003(Leuconostoc holzapfelii KCCM11830P)の菌株、リューコノストック・メセンテロイデスCeb−kc−001(Leuconostoc mesenteroidesCeb−kc−001:KCCM11827P)の菌株、またはラクトバチルス・サケイCeb−kc−002(Lactobacillus sakei:KCCM11841P)の菌株であることを特徴とする、請求項1に記載の脱毛症防止または発毛促進用の組成物。
【請求項3】
前記脂肪分解能を有する菌株が1日約0.0001mg/kg〜約10g/kgの量で投与されることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記組成物が医薬組成物または食品組成物であることを特徴とする、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
5×104〜5×108CFU/mlの脂肪分解能を有する菌株が、一回当たり30ml〜100ml、1日1回〜4回投与されることを特徴とする、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
前記リューコノストック・ホルザプフェリイ(Leuconostoc holzapfelii)がさらに性機能改善効果を有することを特徴とする、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
前記組成物がさらにコレステロール低下能を有する菌株であるラクトバチルス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)を含むことを特徴とする、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
前記ラクトバチルス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)がLactobacillus fermentum Ceb−ch−002(KCCM11910P)であることを特徴とする、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
前記組成物が薬剤学的にまたは食品学的に許容される担体をさらに含むことを特徴とする、請求項1ないし8のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
前記脂肪分解能を有する菌株が組成物の重量の0.05〜80重量%で含まれることを特徴とする、請求項1ないし9のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項11】
前記組成物がコレステロール低下能を有する菌株を組成物の重量の0.05〜50重量%で含むことを特徴とする、請求項7又は8に記載の組成物。
【請求項12】
脱毛症防止、発毛促進、及び脂肪分解の少なくとも1つのためのリューコノストック・メセンテロイデスCeb−kc−001(KCCM11827P)の菌株、その培養物、その濃縮物またはその乾燥物。
【請求項13】
脱毛症防止、発毛促進、及び脂肪分解の少なくとも1つのためのラクトバチルス・サケイCeb−kc−002(KCCM11841P)の菌株、その培養物、その濃縮物またはその乾燥物。
【請求項14】
脂肪分解能を有するリューコノストック・ホルザプフェリイ(Leuconostoc holzapfelii)、リューコノストック・メセンテロイデス(Leuconostoc mesenteroides)、及びラクトバチルス・サケイ(Lactobacillus sakei)からなる群から選択された少なくとも1種の菌株、その培養物、その濃縮物、またはその乾燥物を製造し、前記菌株、その培養物、その濃縮物、またはその乾燥物に薬剤学的にまたは食品学的に許容される担体を適用して、経口の形態で投与される脱毛症防止または発毛促進用の組成物を製造することを含む、脱毛症防止または発毛促進用の組成物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脂肪分解能を有する菌株を含む、脱毛症防止または発毛促進用の組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現代社会における脱毛症患者は急激に増加しており、脱毛症対策が必要な対象者の6割が20〜30代と、脱毛症になる年齢層が低くなりつつある。韓国では、脱毛症に苦しむ患者数が約一千万人に達すると推定され、それによる社会経済的な問題が台頭し、深刻度を増している。
【0003】
脱毛症の症状が重くなればなるほどうつ病や不安になりやすく、ストレスを知覚しやすく、人間関係や異性とのお付き合いを苦手に思いやすく、家庭円満ではないことが多いと報告されており、保健学分野から注目されている。
【0004】
脱毛症の原因は未だ解明されていないが、症状を引き起こす可能性があるものとして、遺伝的要因、ホルモン異常、免疫学的異常などによる原因が報告されている。
【0005】
現在、脱毛症治療剤として、米国のFood and Drug Administration(FDA)の承認を取得した経皮塗布用ミノキシジル(Minoxidil)と経口投与用のFinasterideが多く使用されているが、心血管系障害、皮膚刺激、性機能低下および奇形児のリスクなど副作用を伴うという限界がある。
【0006】
一方、先行研究で生薬製剤を用いた脱毛症改善の効果について報告されているが、その結果は不十分なものである。最近、植物抽出物と何首烏(カシュウ)など漢方材料を熱水抽出して、Lactobacillus属の乳酸菌で発酵させたものを利用した発毛促進の研究が始まり、それらの特許に関する報告もあるが、そのほとんどは実験マウスによる研究結果であり、実際、脱毛症の人や脱毛症が進行している人を対象にした研究は皆無である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】韓国公開特許第2006−0092676号公報
【特許文献2】韓国公開特許第2006−0039670号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、脱毛症防止または発毛促進に効果的な組成物、またはキムチから分離した、脂肪分解に効果的な、新規な菌株を提供しようとするものである。
さらに、本発明は、副作用なく安全に使用できる、脱毛症防止または発毛促進用の組成物を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様は、脂肪分解能を有する菌株を含む、脱毛症防止または発毛促進用の組成物に関するものである。
【0010】
脂肪分解能を有する菌株はキムチから分離した乳酸菌であることができ、具体例としては、Leuconostoc属またはLactobacillus属の菌株が挙げられる。より具体的には、Leuconostoc holzapfelii、Leuconostoc mesenteroides、Lactobacillus sakeiであり得る。さらなる具体例としては、リューコノストック・ホルザプフェリイCeb−kc−003(Leuconostoc holzapfelii Ceb−kc−003:KCCM11830P)の菌株、リューコノストック・メセンテロイデスCeb−kc−001(Leuconostoc mesenteroidesCeb−kc−001:KCCM11827P)の菌株、またはラクトバチルス・サケイCeb−kc−002(Lactobacillus sakei:KCCM11841P)の菌株が挙げられる。
【0011】
リューコノストック・ホルザプフェリイCeb−kc−003は、2016年4月11日、韓国微生物保存センター(Korean Culture Center of Microorganisms、ソウル市西大門区弘済−2街−ギル120−861)に受託番号KCCM11830Pとして寄託されており、前記菌株は脱毛症防止、発毛促進、性機能改善、コレステロール低下、および/または脂肪分解に効果的である。
【0012】
リューコノストック・メセンテロイデスCeb−kc−001は、2016年4月6日、韓国微生物保存センター(Korean Culture Center of Microorganisms、ソウル市西大門区弘済−2街−ギル120−861)に受託番号KCCM11827Pとして寄託されており、前記菌株は脱毛症防止、発毛促進、性機能改善、コレステロール低下、および/または脂肪分解に効果的である。
【0013】
ラクトバチルス・サケイCeb−kc−002は、2016年6月1日、韓国微生物保存センター(Korean Culture Center of Microorganisms、ソウル市西大門区弘済−2街−ギル120−861)に受託番号KCCM11841Pとして寄託されており、前記菌株は脱毛症防止、発毛促進、性機能改善、コレステロール低下、および/または脂肪分解に効果的である。
【0014】
脂肪分解能を有する菌株は、菌株それ自体で使用されるか、その培養物、その濃縮物、またはその乾燥物の形で使用され得る。したがって、前記組成物は、脂肪分解能を有する菌株、その培養物、その濃縮物、またはその乾燥物を含むことができる。
【0015】
脂肪分解能を有する菌株は、通常の菌株の培養方法により培養することができる。培地としては、天然培地または合成培地を使用することができる。培地の炭素源としては、例えば、グルコース、スクロース、デキストリン、グリセロール、でん粉などを使用することができ、窒素源としては、ペプトン、肉抽出物、酵母抽出物、乾燥酵母、大豆、アンモニウム塩、ナイトレート、およびその他の有機または無機窒素含有化合物を使用することができるが、これらの成分に限定されるものではない。培地に含まれる無機塩としては、マグネシウム、マンガン、カルシウム、鉄、カリウムなどを使用することができるが、これらに限定されるものではない。前記炭素源、窒素源、無機塩の成分に加えて、アミノ酸、ビタミン、核酸、およびこれらに関連する化合物が培地に添加され得る。菌株の培養温度の条件は、20〜40℃の範囲内で12時間〜4日間培養することができる。一実施例において、培養培地に黒豆、白何首烏、熟地黄、甘草、川▲きゅう▼(センキュウ)、杜仲(トチュウ)、桂皮(ケイヒ)、当帰(トウキ)、石菖蒲(セキショウブ)、赤何首烏、側柏葉(ソクハクヨウ)、生姜、柏子仁(ハクシジン)、茜草(アカネ)、升麻(ショウマ)、蔓荊子(マンケイシ)などの生薬製剤、その抽出物、またはこれらの混合物を添加して培養し、前記培養物を使用することにより、本発明における菌株の脱毛症防止、あるいは発毛促進の効果をより改善することができる。特に、培養培地に黒豆および/または白何首烏を添加することが好ましく、その添加量は、それぞれの培地重量を基準に0.01重量%〜10重量%、具体的には、0.01重量%〜5重量%程度が好ましい。
【0016】
脂肪分解能を有する菌株の培養物は、菌体を含む培養原液であり、または培養上澄み液を除去あるいは濃縮した菌体であり得る。前記培養物の組成は、脂肪分解能を有する菌株の培養に必要な成分だけではなく、前記菌株の生長に相乗的に作用する成分をさらに含むことができ、これらによる組成は、当業界の通常の技術を有する者によって容易に選択され得る。
【0017】
また、菌株の状態は、液状状態または乾燥状態であり、乾燥方法は風乾燥、自然乾燥、噴霧乾燥、および凍結乾燥が可能であるが、これらに限定されるものではない。
【0018】
前記組成物は、脱毛症防止または発毛促進に効果的であり、さらに性機能改善または脂肪分解効果がある。前記組成物は、食品組成物または医薬組成物であり、食品組成物の一態様において、食品、健康食品、健康補助食品、または健康機能性食品組成物であり得る。医薬組成物の一態様では、医薬外品または医薬的製剤であり得る。
【0019】
一実施例において前記組成物は、黒豆、白何首烏、熟地黄、甘草、川▲きゅう▼(センキュウ)、杜仲(トチュウ)、桂皮(ケイヒ)、当帰(トウキ)、石菖蒲(セキショウブ)、赤何首烏、側柏葉(ソクハクヨウ)、エゾウコギ、松葉、松花、蕎麦、知母、生姜、柏子仁(ハクシジン)、茜草(アカネ)、升麻(ショウマ)、蔓荊子(マンケイシ)などの生薬製剤、その抽出物、またはそれらの混合物などの脱毛症防止または発毛促進に効果的な生薬成分;またはミノキシジルやfinasterideなどの医薬成分をさらに含むことができる。
【0020】
本発明における他の態様は、脂肪分解能を有する菌株およびコレステロール低下能を有する菌株を含む、脱毛症防止または発毛促進用組成物に関するものである。前記コレステロール低下能を有する菌株はチョングッチャン(納豆のような韓国の伝統発酵食品)に由来したものであり得る。具体的には、Brevibacillus属、Lactobacillus属、Lactococcus属、Propionibacterium属、Enterocuccus属、Bifidobacterium属などであり、より具体的には、Lactobacillus fermentum、Brevibacillus reuszeri、Enterocuccus faeciumなどであり得る。具体例では、Brevibacillus reuszeri Ceb−ch−003(KCCM11911P)、Enterocuccus faecium Ceb−ch−001(KCCM11909P)、Lactobacillus fermentum Ceb−ch−002(KCCM11910P)を、本明細書に開示された脂肪分解能を有する菌株と共に使用することができる。
【0021】
ブレビバチルス・リュゼリCeb−ch−003は、チョングッチャンから分離した菌株であり、2016年10月7日、韓国微生物保存センター(Korean Culture Center of Microorganisms、ソウル市西大門区弘済−2街−ギル120−861)に受託番号KCCM11911Pとして寄託されており、前記菌株は性機能改善、コレステロールの低下に効果的である。
【0022】
エンテロコッカス・フェシウムCeb−ch−001は、チョングッチャンから分離した菌株であり、2016年10月7日、韓国微生物保存センター(Korean Culture Center of Microorganisms、ソウル市西大門区弘済−2街−ギル120−861)に受託番号KCCM11909Pとして寄託されており、前記菌株は性機能改善、コレステロールの低下に効果的である。
【0023】
ラクトバチルス・ファーメンタムCeb−ch−002は、チョングッチャンから分離した菌株であり、2016年10月7日、韓国微生物保存センター(Korean Culture Center of Microorganisms、ソウル市西大門区弘済−2街−ギル120−861)に受託番号KCCM11910Pとして寄託されており、前記菌株は性機能改善、コレステロールの低下に効果的である。
【0024】
コレステロール低下能を有する菌株を添加する場合、組成物は2.5×10
4〜2.5×10
10CFU/mlのコレステロール低下能を有する菌株をさらに含み、好ましくは5×10
5〜5×10
8CFU/mlのコレステロール低下能を有する菌株を含む。コレステロール低下能を有する菌株は、組成物の重量の0.05〜50重量%で含み得る。
【0025】
また、前記組成物は、コラーゲンをさらに含み得る。
【0026】
本発明の組成物は、5×10
4〜5×10
10CFU/mlの脂肪分解能を有する菌株を含み、好ましくは、1×10
6〜1×10
9CFU/mlの脂肪分解能を有する菌株を含む。
【0027】
本発明の組成物は、薬学的あるいは食品学的に許容される担体をさらに含むことができ、担体と共に製剤化されて、食品または医薬品として提供され得る。
【0028】
本発明における用語である「薬学的あるいは食品学的に許容される担体」は、生物体を刺激せず、投与菌株の生物学的活性及び特性を阻害しない担体または希釈剤のことを指す。
【0029】
前記組成物は、経口または非経口の様々な剤形で製剤化され得るが、好ましくは液状経口溶液で剤形化され得る。
【0030】
液状溶液で製剤化される場合には、許容される薬剤学的あるいは食品学的な許容担体は、滅菌および生体に適したものであり、食塩水、滅菌水、緩衝食塩水、アルブミン注射溶液、デキストロース溶液、マルトデキストリン溶液、グリセロール、およびこれらの成分のうち、一つ以上を混合して使用することができ、必要に応じて抗酸化剤、緩衝液、静菌剤など、通常の他添加剤を添加することができる。また希釈剤、分散剤、界面活性剤、結合剤、潤滑剤を付加的に添加して、水溶液、懸濁液、乳濁液などの液状剤形、丸薬、カプセル、顆粒または錠剤に製剤化することができる。また、組成物の品質低下を防止するために、結着剤、乳化剤、保存剤などをさらに添加することができ、また、アミノ酸剤、ビタミン剤、酵素剤、香味剤、非タンパク質態窒素化合物、ケイ酸塩剤、緩衝剤、抽出剤、オリゴ糖などをさらに含むことができる。液状形態で投与する場合の投与量は、5×10
4〜5×10
8CFU/mlの、好ましくは1×10
6〜1×10
8CFU/mlの脂肪分解能を有する菌株の量で、一回当たり30ml〜100mlを、1日1回〜4回投与することができる。一実施例において、1×10
6〜1×10
8CFU/mlの脂肪分解能を有する菌株の量で、一回当たり50mlを、1日2回〜4回投与することができる。より具体的には、1×10
6〜1×10
8CFU/mlの脂肪分解能を有する菌株の量を一回当たり50ml〜100mlを1日1回〜2回投与することができる。さらに具体的には、1×10
6〜1×10
8CFU/mlの脂肪分解能を有する菌株を朝食30分前に50ml〜100mlを1回投与し、夕食30分前または就寝前に50ml〜100mlを1回投与することができる。コレステロール低下能を有する菌株をさらに含む場合、その投与量は、2.5×10
4〜2.5×10
8CFU/mlの、好ましくは5×10
5〜5×10
7CFU/mlのコレステロール低下能を有する菌株の量で、一回当たり15ml〜50mlを1日1回〜4回投与することができる。一実施例において、5×10
5〜5×10
7CFU/mlのコレステロール低下能を有する菌株の量で、一回当たり25ml〜50mlを1日2回〜4回投与することができる。より具体的には、5×10
5〜5×10
7 CFU/mlのコレステロール低下能を有する菌株の量を、一回当たり25ml〜100mlを1日1回〜2回投与することができる。さらに具体的には、5×10
5〜5×10
7CFU/mlの脂肪分解能を有する菌株を朝食30分前に20ml〜100mlを1回投与し、夕食30分前または就寝前に20ml〜100mlを1回投与することができる。コレステロール低下能を有する菌株の投与は、脂肪分解能を有する菌株と同時に投与すること、順次投与すること、または投与サイクルと投与量を変えて投与することができる。
【0031】
本発明における脂肪分解能を有する菌株を含む経口投与用剤形は、例えば、錠剤、トローチ剤、ロゼンジ、水溶性または油性懸濁液、調剤粉末または顆粒、エマルジョン、ハードまたはソフトカプセル、シロップまたはエリキシル剤などがある。錠剤やカプセルなどの剤形で製剤化するためには、ラクトース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、でん粉、アミロペクチン、セルロースまたはゼラチンなどの結合剤、ジカルシウムホスフェートなどの賦形剤、トウモロコシでん粉またはサツマイモでん粉などの崩壊剤、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリルフマル酸ナトリウムまたはポリエチレングリコールワックスなどの潤滑剤を含むことができ、カプセル剤形の場合は前記物質の他にも脂肪油などの液体担体をさらに含むことができる。
【0032】
前記組成物または前記脂肪分解能を有する菌株、または前記コレステロール低下能を有する菌株の1日投与量は、各々の患者の体重、年齢、性別、健康状態、治療と予防、または改善しようとする主な症状、投与時間、投与方法、重症度に応じて異なるが、約0.0001mg/kg〜約10g/kg、具体的には約0.01mg/kg〜約500mg/kgであり、一日1回〜6回、例えば、一日1回〜4回投与、あるいは適用することができる。
【0033】
前記組成物内における脂肪分解能を有する菌株は、液状または乾燥状態であり、液状形態が好ましい。乾燥方法は、風乾燥、自然乾燥、噴霧乾燥、および凍結乾燥が可能であるが、これに限定されるものではない。本発明の脂肪分解能を有する菌株は、粉末形態で組成物の重量の0.05〜80重量%、例えば、0.1〜70重量%、0.1〜50重量%、または1〜30重量%の量で混合され得る。コレステロール低下能を有する菌株は、粉末形態で組成物の重量の0.05〜50重量%、例えば、0.1〜50重量%、0.1〜40重量%、または1〜30重量%の量で混合され得る。
【0034】
本発明のさらなる態様は、前記脂肪分解能を有する菌株を含む組成物を対象体に投与することを含む、脱毛症防止または発毛促進方法に関するものである。前記態様において、脂肪分解能を有する菌株を含む組成物の詳細は前述した内容と同様である。したがって、重複記載を避けるために、これに関する記載を省略する。
【0035】
本発明のさらなる態様は、リューコノストック・メセンテロイデスCeb−kc−001の菌株またはラクトバチルス・サケイCeb−kc−002の菌株、その培養物、その濃縮物またはその乾燥物に関するものである。前記菌株は、脂肪分解能を有する菌株であり、キムチから分離した乳酸菌である。前記菌株は脱毛症防止、発毛促進、性機能改善、または脂肪分解に効果的である。
【0036】
本発明のさらなる態様は、脂肪分解能を有する菌株、その培養物、その濃縮物、またはその乾燥物を製造して、前記菌株、その培養物、その濃縮物、またはその乾燥物に薬剤学的にまたは食品学的に許容される担体を適用することを含む、脱毛症防止または発毛促進用の組成物の製造方法に関するものである。前記態様において、脂肪分解能を有する菌株、その培養、担体などの詳細は前述した内容と同様である。したがって、重複記載を避けるために、これに関する記載を省略する。
【0037】
本発明の一態様は、脂肪分解能を有する菌株またはその培養物、その濃縮液またはその乾燥物を含む、性機能障害改善用の組成物に関するものである。前記性機能障害の改善は、例えば、勃起不全の改善であり得る。または、本発明のさらなる態様は、脂肪分解能を有する菌株またはその培養物、その濃縮液またはその乾燥物の治療的または予防的有効量を性機能障害の予防または治療のために対象体に投与することを含む、性機能障害の予防または治療方法に関するものである。前記治療的または予防的有効量は、前述した内容と同様である。
【発明の効果】
【0038】
本発明における脂肪分解能を有する菌株またはこれを含む組成物は、脱毛症防止、発毛促進、または性機能の改善に効果的である。
【0039】
脂肪分解能を有する菌株またはこれを含む組成物は、副作用なく安全に脱毛症防止、発毛促進、コレステロール低下または性機能改善に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1】
図1は、リューコノストック・ホルザプフェリイCeb−kc−003(KCCM11830P)の菌株における他の乳酸菌株に対する脂肪分解効果を示すグラフである。
【
図2】
図2は、リューコノストック・ホルザプフェリイCeb−kc−003(KCCM11830P)の菌株における他の乳酸菌株に対するNO生成濃度を示すグラフである。
【
図3】
図3は、ラクトバチルス・サケイCeb−kc−002(KCCM11841P)の菌株における他の乳酸菌株に対する脂肪分解効果を示すグラフである。
【
図4】
図4は、リューコノストック・メセンテロイデスCeb−kc−001(KCCM11827P)の菌株における他の乳酸菌株に対する脂肪分解効果を示すグラフである。
【
図5】
図5は、リューコノストック・ホルザプフェリイCeb−kc−003(KCCM11830P)の菌株を服用する前と後(約3.5ヶ月)の毛髪の比較写真である。
【
図6】
図6は、リューコノストック・ホルザプフェリイCeb−kc−003(KCCM11830P)の菌株を服用する前と後(約2.5ヶ月と約3.5ヶ月)の毛髪の比較写真である。
【
図7】
図7は、リューコノストック・ホルザプフェリイCeb−kc−003(KCCM11830P)の菌株を服用する前と後(約1.7ヶ月)の毛髪の比較写真である。
【
図8】
図8は、リューコノストック・ホルザプフェリイCeb−kc−003(KCCM11830P)の菌株を服用する前と後(約3ヶ月)の毛髪の比較写真である。
【
図9】
図9は、リューコノストック・メセンテロイデスCeb−kc−001(KCCM11827P)の菌株を服用する前と後(約3ヶ月)の毛髪の艶、太さの変化、前髪の生え際の毛髪の変化を示す写真である。
【
図10】
図10は、リューコノストック・メセンテロイデスCeb−kc−001(KCCM11827P)の菌株を服用する前と後(約45日)の毛髪の変化を示す写真である。
【
図11】
図11は、リューコノストック・メセンテロイデスCeb−kc−001(KCCM11827P)の菌株を服用する前と後(約1ヶ月)の毛髪の太さ、毛髪の力および毛髪の色の変化を示す写真である。
【
図12】
図12は、ラクトバチルス・サケイCeb−kc−002(KCCM11841P)の菌株を服用する前と後(27日後)の毛髪の変化を示す写真である。
【
図13】
図13は、ラクトバチルス・サケイCeb−kc−002(KCCM11841P)の菌株を服用する前と後(約2ヶ月)の毛髪の変化を示す写真である。
【
図14】
図14は、ラクトバチルス・サケイCeb−kc−002(KCCM11841P)の菌株を服用する前と後(約1.5ヶ月)の毛髪の変化を示す写真である。
【
図15】
図15は、リューコノストック・メセンテロイデスCeb−kc−001(KCCM11827P)の菌株とラクトバチルス・ファーメンタムCeb−ch−002(KCCM11910P)の菌株を共に服用する前と後(約2ヶ月)の毛髪の変化を示す写真である。
【
図16】
図16は、リューコノストック・メセンテロイデスCeb−kc−001(KCCM11827P)の菌株とラクトバチルス・ファーメンタムCeb−ch−002(KCCM11910P)の菌株を共に服用する前と後(約1.5ヶ月)の毛髪の変化を示す写真である。
【
図17】
図17は、ラクトバチルス・サケイCeb−kc−002(KCCM11841P)の菌株とラクトバチルス・ファーメンタムCeb−ch−002(KCCM11910P)の菌株を共に服用する前と後(約1.5ヶ月)の毛髪の変化を示す写真である。
【
図18】
図18は、ラクトバチルス・サケイCeb−kc−002(KCCM11841P)の菌株とラクトバチルス・ファーメンタムCeb−ch−002(KCCM11910P)の菌株を共に服用する前と後(約3ヶ月)の毛髪の変化を示す写真である。
【
図19】
図19は、チョングッチャンから分離したラクトバチルス・ファーメンタムCeb−ch−002(KCCM11910P)の菌株における他の乳酸菌株に対するコレステロール除去能を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明する。しかし、これらの実施例は、本発明の例示的説明であり、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0042】
実施例1〜3:キムチから分離した、リューコノストック・ホルザプフェリイCeb−kc−003(KCCM11830P)の菌株、リューコノストック・メセンテロイデスCeb−kc−001(KCCM11827P)の菌株、およびラクトバチルス・サケイCeb−kc−002(KCCM11841P)の菌株の分離と同定
【0044】
韓国の伝統食品であるキムチを採取し、確保した試料を段階希釈して、3%塩化ナトリウムが添加されたBHI固体培地(Difco、USA)に塗抹した後、37℃の条件で24時間培養した。前記試料から優占菌株を分離した。選別されたコロニーは、3回にわたって新しい培地に移して培養する方法で純粋分離し、純粋培養した菌を20%グリセロールが添加された培地に入れて、零下70℃以下で保存した。
【0046】
前記分離した菌株を同定するために、一次的に形態学的、生化学的調査を行った。形態的な特徴はグラム染色の結果でグラム陽性であった。分類学的特性を分析するために16s rRNA partial sequencingによる分析を行っており、その結果、前記分離菌株はリューコノストック・ホルザプフェリイと99%の相同性を有することが確認された。
【0047】
本発明者らは、新規に分離したリューコノストック・ホルザプフェリイCeb−kc−003を2016年4月11日、韓国微生物保存センター(Korean Culture Center of Microorganisms、ソウル市西大門区弘済−2街−ギル120−861)に受託番号KCCM11830Pとして寄託した。
【0048】
また、前記キムチ試料と相違するキムチを対象に、前述の方法で培養試料から優占菌株を分離し、これを形態学的および生化学的調査を行った結果、当該菌株はリューコノストック・メセンテロイデスと99%の相同性を有することが確認された。
【0049】
本発明者らは、新規に分離したリューコノストック・メセンテロイデスCeb−kc−001の菌株を2016年4月6日、韓国微生物保存センター(Korean Culture Center of Microorganisms、ソウル市西大門区弘済−2街−ギル120−861)に受託番号KCCM11827Pとして寄託した。
【0050】
また、前記キムチ試料と相違するキムチを対象に、前述の方法で培養試料から優占菌株を分離し、これを形態学的におよび生化学的に調査を行った結果、当該菌株は、ラクトバチルス・サケイの菌株と99%の相同性を有することが確認された。
【0051】
本発明者らは、新規に分離したラクトバチルス・サケイCeb−kc−002の菌株を2016年6月1日、韓国微生物保存センター(Korean Culture Center of Microorganisms、ソウル市西大門区弘済−2街−ギル120−861)に受託番号KCCM11841Pとして寄託した。
【0052】
前記菌株をそれぞれ凍結乾燥して菌株粉末を製造した。
【0054】
リューコノストック・ホルザプフェリイCeb−kc−003の培養液を下記の方法で製造した。
【0055】
精製水100リットルにDextrose 2kg、全脂粉乳1.5kg、酵母抽出液0.05kgをそれぞれ添加した後、121℃で15〜30分間高温・高圧滅菌し、35℃前後で冷却した後、リューコノストック・ホルザプフェリイCeb−kc−003を無菌状態で0.2〜0.4リットル接種し、35℃前後で2〜3日間培養して、リューコノストック・ホルザプフェリイCeb−kc−003の培養液を得た。
【0056】
リューコノストック・メセンテロイデスCeb−kc−001(KCCM11827P)とラクトバチルス・サケイCeb−kc−002(KCCM11841P)についても、前記培養液の製造方法と同様に行い、各菌株の培養液をそれぞれ実施例1〜3から得た。
【0057】
実施例4:リューコノストック・ホルザプフェリイCeb−kc−003(KCCM11830P)の菌株の脂肪分解効果
【0058】
リューコノストック・ホルザプフェリイCeb−kc−003(KCCM11830P)の菌株の脂肪分解効果を検討するために、前記菌株の培養液、20ml〜100mlを豚脂1000ccにそれぞれ処理した後、37℃で24時間振とうした。対照群としてLactobacillus plantarumの菌株を前述の方法と同様に処理した。
【0060】
前記結果から、本発明のリューコノストック・ホルザプフェリイCeb−kc−003(KCCM11830P)菌株粉末が濃度に比例して脂肪分解に効果的であり、他の乳酸菌であるLactobacillus plantarumに比べて改善効果が有意に高いことが分かる。
【0061】
実施例5:リューコノストック・ホルザプフェリイCeb−kc−003(KCCM11830P)の菌株の性機能改善および予防効果
【0062】
リューコノストック・ホルザプフェリイCeb−kc−003(KCCM11830P)の菌株粉末を、性機能における異常な症状と喫煙の有無別の、45歳〜70歳の10人の男性に、合計3ヶ月間、1×10
6〜1×10
8CFU/mlのリューコノストック・ホルザプフェリイCeb−kc−003(KCCM11830P)の量を一回当たり50ml〜100ml、1日1回〜2回、毎日経口投与した。前記菌株の投与前後において、1ヶ月おきに、早朝勃起回数、勃起力、勃起持続力などを自己評価してもらった。
【0063】
そのうち、服用1ヶ月から3ヶ月の間に、アンケートに応じた人は4人であり、その結果は下記表1のように示す。
【0065】
前記結果から、本発明のリューコノストック・ホルザプフェリイCeb−kc−003(KCCM11830P)の菌株粉末を継続的に服用すると、性機能異常の予防効果があり、さらに、性機能障害の治療効果があることが確認された。
【0066】
また、血流増加と毛細血管弛緩作用により勃起力の向上に資するNOの24時間の生成濃度(Hacat細胞から発生)をさらに評価した。本発明における新規な菌株とLactobacillus plantarumとの比較テスト(3回繰り返して得られた平均値)の結果は、
図2のように示す。
【0067】
実施例6:ラクトバチルス・サケイCeb−kc−002(KCCM11841P)の脂肪分解効果
【0068】
ラクトバチルス・サケイCeb−kc−002(KCCM11841P)の菌株の脂肪分解効果を検討するために、前記菌株の培養液20ml〜100mlを、豚脂1000ccにそれぞれ処理した後、37℃で24時間振とうした。対照群としてLactobacillus plantarumの菌株を前述の方法と同様に処理した。
【0069】
前記結果は、表2と
図3のように示す。
【0071】
前記結果から、本発明のラクトバチルス・サケイCeb−kc−002(KCCM11841P)の菌株粉末が濃度に比例して脂肪分解に効果的であり、他の乳酸菌であるLactobacillus plantarumに比べて、改善効果が有意に高いことが分かる。
【0072】
実施例7:リューコノストック・メセンテロイデスCeb−kc−001(KCCM11827P)の脂肪分解効果
【0073】
リューコノストック・メセンテロイデスCeb−kc−001(KCCM11827P)の菌株の脂肪分解効果を検討するために、前記菌株の培養液20ml〜100mlを、豚脂1000ccにそれぞれ処理した後、37℃で24時間振とうした。対照群としてLactobacillus plantarumの菌株を前述の方法と同様に処理した。
【0074】
前記結果は、表3及び
図4のように示す。
【0076】
前記結果から、本発明のリューコノストック・メセンテロイデスCeb−kc−001(KCCM11827P)の菌株粉末が濃度に比例して脂肪分解に効果的であり、他の乳酸菌であるLactobacillus plantarumに比べて改善効果が有意に高いことが分かる。
【0077】
実施例8:リューコノストック・ホルザプフェリイCeb−kc−003(KCCM11830P)の菌株の脱毛症防止効果
【0078】
実施例1から得られたリューコノストック・ホルザプフェリイCeb−kc−003(KCCM11830P)の菌株の培養液を、脱毛症の症状がある40歳〜85歳の男性5人と女性1人に1ヶ月〜4ヶ月の間、1×10
6〜1×10
8CFU/mlのリューコノストック・ホルザプフェリイCeb−kc−003(KCCM11830P)の量を一回当たり50ml〜100mlを1日2回、毎日経口投与した。
【0079】
前記菌株の投与前と服用10日後、20日後および30日後において、10日おきに、1回の頭髪洗浄後の抜け毛の本数を数えた。
【0080】
前記実験結果は、下記表4のように示す。
【0082】
また、本発明における菌株の投与前と投与後の特定時点において、前記男性たちの毛髪の太さ、量、艶などの写真を撮影しており、その一部の結果を
図5〜
図8のように示す。
【0083】
前記結果から、本発明のリューコノストック・ホルザプフェリイCeb−kc−003(KCCM11830P)の菌株が脱毛症防止に効果的であり、また、毛髪の太さと量、艶を顕著に改善し、脱毛症治療に効果的であることが分かる。
【0084】
実施例9:リューコノストック・メセンテロイデスCeb−kc−001(KCCM11827P)の菌株の脱毛症防止効果
【0085】
実施例2から得られたリューコノストック・メセンテロイデスCeb−kc−001(KCCM11827P)の菌株の培養液を脱毛症の症状がある43歳の女性、60歳の男性、49歳の女性の合計3人に1ヶ月〜3ヶ月間、1×10
6〜1×10
8CFU/mlのリューコノストック・メセンテロイデスCeb−kc−001(KCCM11827P)の菌株の量で、一回当たり50ml〜100ml、1日2回、毎日経口投与した。
【0086】
前記菌株の投与前と服用10日後、20日後および30日後において、10日おきに、1回の頭髪洗浄後の抜け毛の本数を数えた。
【0087】
前記実験結果は、下記表5のように示す。
【0089】
また、本発明における菌株の投与前と投与後の特定時点において、前記対象体における毛髪の太さ、量、艶などの写真を撮影しており、その一部の結果を
図9〜
図11のように示す。
【0090】
前記結果から、本発明のリューコノストック・メセンテロイデスCeb−kc−001(KCCM11827P)の菌株が脱毛症防止に効果的であり、また、毛髪の太さと量、艶を顕著に改善し、脱毛症治療に効果的であることが分かる。
【0091】
実施例10:ラクトバチルス・サケイCeb−kc−002(KCCM11841P)の菌株の脱毛症防止効果
【0092】
実施例3から得られたラクトバチルス・サケイCeb−kc−002(KCCM11841P)の菌株の培養液を脱毛症の症状がある52歳の男性、42歳の女性、60歳の男性の合計3人に0.8ヶ月〜3ヶ月間、1×10
6〜1×10
8CFU/mlのラクトバチルス・サケイCeb−kc−002(KCCM11841P)の菌株の量で、一回当たり50ml〜100mlを1日2回、毎日経口投与した。
【0093】
前記菌株の投与前と服用10日後、20日後および27日後において、1回の頭髪洗浄後の抜け毛の本数を数えた。
【0094】
前記実験結果は、下記表6のように示す。
【0096】
また、本発明における菌株の投与前と投与後の特定時点において、前記対象体における頭皮の改善有無、毛髪の太さ、量、艶などの写真を撮影しており、その一部の結果を
図12〜
図14のように示す。
【0097】
前記結果から、本発明のラクトバチルス・サケイCeb−kc−002(KCCM11841P)の菌株が脱毛症防止に効果的であり、また、頭皮の改善、毛髪の太さと量、艶を顕著に改善し、脱毛症治療に効果的であることが分かる。
【0098】
実施例11:ラクトバチルス・ファーメンタムCeb−ch−002(KCCM11910P)の菌株の分離と同定
【0100】
韓国の伝統食品であるチョングッチャンを採取し、確保した試料を段階希釈して、3%塩化ナトリウムが添加されたBHI固体培地(Difco、USA)に塗抹した後、37℃の条件で24時間培養した。前記試料から優占菌株を分離した。選別されたコロニーは、3回にわたって新しい培地に移して培養する方法で純粋分離し、純粋培養した菌を20%グリセロールが添加された培地に入れて零下70℃以下で保存した。
【0102】
前記分離した菌株を同定するために、一次的に形態学的、生化学的調査を行った。形態的な特徴は、グラム染色の結果でグラム陽性であった。分類学的特性を分析するために16s rRNA partial sequencingによる分析を行っており、その結果、分離菌株はラクトバチルス・ファーメンタムと99%の相同性を有することが確認された。
【0103】
本発明者らは、新規に分離したラクトバチルス・ファーメンタムCeb−ch−002を2016年10月7日、韓国微生物保存センター(Korean Culture Center of Microorganisms、ソウル市西大門区弘済−2街−ギル120−861)に受託番号KCCM11910Pとして寄託した。
【0104】
前記菌株を凍結乾燥して菌株粉末を製造した。
【0106】
ラクトバチルス・ファーメンタムCeb−ch−002(KCCM11910P)の培養液を、下記の方法で製造した。
【0107】
精製水100リットルにDextrose 2kg、全脂粉乳1.5kg、酵母抽出液0.05kgをそれぞれ添加した後、121℃で15〜30分間高温・高圧滅菌し、35℃前後で冷却した後、ラクトバチルス・ファーメンタムCeb−ch−002を無菌状態で0.2〜0.4リットル接種し、35℃前後で2〜3日間培養してラクトバチルス・ファーメンタムCeb−ch−002(KCCM11910P)の培養液を得た。
【0108】
実施例12:ラクトバチルス・ファーメンタムCeb−ch−002(KCCM11910P)の菌株のコレステロール低下効果
【0109】
ラクトバチルス・ファーメンタムCeb−ch−002(KCCM11910P)の菌株粉末のコレステロール低下効果を検討するために、それぞれ1mg/ml〜5mg/mlのラクトバチルス・ファーメンタムCeb−ch−002(KCCM11910P)の凍結乾燥粉末液、および対照群としてそれぞれ1mg/ml〜5mg/mlのLactobacillus plantarumの粉末液を使用した。
【0110】
<コレステロール(cholesterol)除去能>
【0111】
本発明に規定するコレステロール(cholesterol)除去能は、具体的には、下記の方法で測定することができる。
【0112】
MRS培地30mlを50ml用のファルコン(falcon)チューブ(tube)に入れて被検菌(グリセロール(glycerol)ストック(stock))を接種(1×10
7個/ml)し、30℃で24時間培養する。得られた培養液300μlをコレステロール(cholesterol)培地(350mg/Lのコレステロール(cholesterol)(Wako Pure Chemical)、0.2%胆汁酸(w/v)を含むMRS培地30mlに添加する。37℃で24時間培養した後、4℃、8,000rpmで10分間遠心分離(centrifugal separation)を行い、上澄み液中のコレステロール濃度(cholesterol level)をDeterminer FC(Kyowa Medex Co.、Ltd.)を用いて測定する。培地中に含まれた初期コレステロール量(cholesterol)に対して、培地から除去されたコレステロールの量(cholesterol)の割合(%)を算出する。
【0113】
その結果は、
図19および表7のように示す。これは3回処理を繰り返して得られた平均値を表す。
【0115】
実施例13:リューコノストック・メセンテロイデスCeb−kc−001(KCCM11827P)の菌株とラクトバチルス・ファーメンタムCeb−ch−002(KCCM11910P)の菌株の併用による脱毛症防止効果
【0116】
実施例2から得られたリューコノストック・メセンテロイデスCeb−kc−001(KCCM11827P)の菌株の培養液と実施例11から得られたラクトバチルス・ファーメンタムCeb−ch−002(KCCM11910P)の菌株の培養液を、脱毛症の症状がある56歳の男性、55歳の男性の合計2人に1ヶ月〜3ヶ月間、0.5×10
6〜0.5×10
8CFU/mlのリューコノストック・メセンテロイデスCeb−kc−001(KCCM11827P)の菌株と、0.5×10
6〜0.5×10
8CFU/mlのラクトバチルス・ファーメンタムCeb−ch−002(KCCM11910P)の菌株を、1回当たり二つの菌株を合わせた全体容積が50ml〜100mlになるようにして、1日2回、毎日経口投与した。
【0117】
前記菌株の投与前と服用10日後、20日後および40日後において、1回の頭髪洗浄後の抜け毛の本数を数えた。
【0118】
前記実験結果は、下記表8のように示す。
【0120】
また、本発明における菌株の投与前と投与後の特定時点において、前記対象体における毛髪の太さ、量、艶などの写真を撮影しており、その一部の結果を
図15〜
図16に示す。
【0121】
前記結果から、本発明のリューコノストック・メセンテロイデスCeb−kc−001(KCCM11827P)の菌株とラクトバチルス・ファーメンタムCeb−ch−002(KCCM11910P)の菌株を併用して服用すると、脱毛症防止に特に効果的であり、これはリューコノストック・メセンテロイデスCeb−kc−001(KCCM11827P)の菌株を単独投与したときより、毛髪の太さや量、艶を顕著に改善する治療効果があることが分かる。
【0122】
実施例14:ラクトバチルス・サケイCeb−kc−002(KCCM11841P)の菌株とラクトバチルス・ファーメンタムCeb−ch−002(KCCM11910P)の菌株の併用による脱毛症防止効果
【0123】
実施例3から得られたラクトバチルス・サケイCeb−kc−002(KCCM11841P)の菌株の培養液と実施例9から得られたラクトバチルス・ファーメンタムCeb−ch−002(KCCM11910P)の菌株の培養液を、脱毛症の症状がある28歳の男性と54歳の男性の合計2人に、1ヶ月〜3ヶ月間、0.5×10
6〜0.5×10
8CFU/mlのラクトバチルス・サケイCeb−kc−002(KCCM11841P)の菌株と、0.5×10
6〜0.5×10
8CFU/mlのラクトバチルス・ファーメンタムCeb−ch−002(KCCM11910P)の菌株を、1回当たり二つの菌株を合わせた全体容積が50ml〜100mlになるようにして、1日2回、毎日経口投与した。
【0124】
前記菌株の投与前と服用10日後、20日後および40日後において、1回の頭髪洗浄後の抜け毛の本数を数えた。
【0125】
前記実験結果は、下記表9のように示す。
【0127】
また、本発明における菌株の投与前と投与後の特定時点において、前記対象体における毛髪の太さ、量、艶などの写真を撮影しており、その一部の結果を
図17〜
図18のように示す。
【受託番号】
【0128】
寄託機関名:韓国微生物保存センター(国外)
受託番号:KCCM11830P
受託日:20160411
【0129】
寄託機関名:韓国微生物保存センター(国外)
受託番号:KCCM11827P
受託日:20160406
【0130】
寄託機関名:韓国微生物保存センター(国外)
受託番号:KCCM11841P
受託日:20160601
【0131】
寄託機関名:韓国微生物保存センター(国外)
受託番号:KCCM11911P
受託日:20161007
【0132】
寄託機関名:韓国微生物保存センター(国外)
受託番号:KCCM11909P
受託日:20161007
【0133】
寄託機関名:韓国微生物保存センター(国外)
受託番号:KCCM11910P
受託日:20161007