(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6574819
(24)【登録日】2019年8月23日
(45)【発行日】2019年9月11日
(54)【発明の名称】車両用サンバイザ
(51)【国際特許分類】
H01R 33/20 20060101AFI20190902BHJP
B60J 3/02 20060101ALI20190902BHJP
H01R 13/73 20060101ALI20190902BHJP
B60Q 3/252 20170101ALN20190902BHJP
B60Q 3/82 20170101ALN20190902BHJP
H01R 24/58 20110101ALN20190902BHJP
【FI】
H01R33/20
B60J3/02 H
H01R13/73 C
!B60Q3/252
!B60Q3/82
!H01R24/58
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-163005(P2017-163005)
(22)【出願日】2017年8月28日
(65)【公開番号】特開2019-40786(P2019-40786A)
(43)【公開日】2019年3月14日
【審査請求日】2018年11月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】西山 典孝
【審査官】
高橋 裕一
(56)【参考文献】
【文献】
特開2003−011665(JP,A)
【文献】
特開昭63−207062(JP,A)
【文献】
特開2011−230559(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2005/0104409(US,A1)
【文献】
米国特許第4634196(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R12/00−12/91
H01R24/00−24/86
H01R33/00−33/975
H01R13/73−13/74
B60J3/00−3/06
B60Q3/00−3/88
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電装品を有するサンバイザ本体と、
前記サンバイザ本体を回動自在に保持し、円筒状端部に一対の導電体の接点部が設けられた非導電性のアームと、
前記アームを車両に取り付ける取付ブラケットと、
前記取付ブラケットに着脱自在に組み付けられ、接点部が前記一対の導電体の接点部に接触される電力供給用の一対の端子を有したコネクタと、を備え、
前記取付ブラケットに前記アームの円筒状端部側を回動自在に支持するアーム支持部を設け、
前記一対の導電体の接点部を円弧板状にそれぞれ形成し、前記一対の円弧板状接点部を前記アームの前記アーム支持部より外側に露出する円筒状端部の外周面に所定の間隔を隔てて設け、
前記コネクタのハウジングの前記一対の円弧板状接点部のうちの少なくとも一方の円弧板状接点部に対向する位置に、該少なくとも一方の円弧板状接点部に供給する潤滑油を貯留する潤滑油貯留部を設けたことを特徴とする車両用サンバイザ。
【請求項2】
請求項1記載の車両用サンバイザであって、
前記ハウジングの前記一対の端子の接点部を有した各バネ部に対応する位置に、該各バネ部を覆う突出壁を設け、前記突出壁に前記潤滑油貯留部を設けたことを特徴とする車両用サンバイザ。
【請求項3】
請求項1または2記載の車両用サンバイザであって、
前記アームの前記アーム支持部より外側に露出する円筒状端部の上側に小径円筒状端部を、下側に大径円筒状端部をそれぞれ設け、かつ、前記小径円筒状端部と前記大径円筒状端部の互い違いの位置に切欠きをそれぞれ設け、
前記小径円筒状端部の外周面に前記一対の円弧板状接点部のうちの一方の円弧板状接点部を設けると共に、前記大径円筒状端部の外周面に前記一対の円弧板状接点部のうちの他方の円弧板状接点部を設け、
前記突出壁の前記他方の円弧板状接点部に対向する位置に、該他方の円弧板状接点部に供給する潤滑油を貯留する前記潤滑油貯留部を設けたことを特徴とする車両用サンバイザ。
【請求項4】
請求項1または2記載の車両用サンバイザであって、
前記アームの前記アーム支持部より外側に露出する前記円筒状端部の外周面の同位置に前記一対の円弧板状接点部を隙間を介してそれぞれ設け、
前記突出壁の前記一対の円弧板状接点部に対向する位置に、該一対の円弧板状接点部に供給する潤滑油を貯留する前記潤滑油貯留部を設けたことを特徴とする車両用サンバイザ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の前席のフロントウインドウ上端近傍に配置される照明付きの車両用サンバイザに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の車両用サンバイザとして、例えば、特許文献1に開示されたものがある。この車両用サンバイザ1は、
図11に示すように、図示しないサンバイザ本体を回動自在に保持する非導電性の支軸(アーム)2と、この支軸2を図示しない車室天井に取り付ける取付ブラケット5と、この取付ブラケット5に着脱自在に組付けられ、電力供給用の一対の端子8,8を有したコネクタ7と、を備えている。
【0003】
支軸2の内部には、並行して延在する一対の導電体3,3が設けられていて、その取付ブラケット5側の端部2aの閉塞された上面には、一対の導電体3,3の接点部としての円柱状の各導電体端部3aが外側に突出するように設けられている。この円柱状の一対の導電体端部3a,3aは、支軸2の端部2aの上面中央に突設した非導電性の介在部2bを介して空間部を有して離れている。
【0004】
また、支軸2の端部2a側は取付ブラケット5の筒状の支持突部5aに回動自在に支持され、コネクタ7のハウジング7aは取付ブラケット5の組付凹部5bに組付けられるようになっている。
【0005】
そして、支軸2が第1の位置へと回転動作されたときには、端部2aより外へ突出した円柱状の一対の導電体端部3a,3aが電力供給用の一対の端子8,8の各バネ部8aに接触して通電(ON)状態とされることで、サンバイザ本体の照明ランプの点灯準備状態が形成される。
【0006】
また、支軸2が第2の位置へと回転動作されたときには、端部2aより外へ突出した円柱状の一対の導電体端部3a,3aが電力供給用の一対の端子8,8の各バネ部8aより離れて非通電(OFF)状態とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2011−230559号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前記従来の車両用サンバイザ1では、支軸2の回動により、支軸2の端部2aより外へ突出した接点部としての円柱状の導電体端部3aとコネクタ7のハウジング7aに組付けられた端子8の接点部としての板状のバネ部8aとが摺動し、摩耗するので、導電体端部3aとバネ部8aの各接点部の保護のため、端子8のバネ部8aにグリスを塗布しているが、支軸2の回動の繰り返しによる各接点部同士の摺動により、グリスが徐々に除去されていき、グリスが無くなると、接点摩耗が発生して接点間の抵抗が上昇して、その接触信頼性が低下するおそれがあった。
【0009】
そこで、本発明は、前記した課題を解決すべくなされたものであり、潤滑油を常に供給することができるようにして、アームの導電体の接点部と端子の接点部の接点摩耗を防止することができる車両用サンバイザを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、車両用サンバイザであって、電装品を有するサンバイザ本体と、前記サンバイザ本体を回動自在に保持し、円筒状端部に一対の導電体の接点部が設けられた非導電性のアームと、前記アームを車両に取り付ける取付ブラケットと、前記取付ブラケットに着脱自在に組み付けられ、接点部が前記一対の導電体の接点部に接触される電力供給用の一対の端子を有したコネクタと、を備え、前記取付ブラケットに前記アームの円筒状端部側を回動自在に支持するアーム支持部を設け、前記一対の導電体の接点部を円弧板状にそれぞれ形成し、前記一対の円弧板状接点部を前記アームの前記アーム支持部より外側に露出する円筒状端部の外周面に所定の間隔を隔てて設け、前記コネクタのハウジングの前記一対の円弧板状接点部のうちの少なくとも一方の円弧板状接点部に対向する位置に、該少なくとも一方の円弧板状接点部に供給する潤滑油を貯留する潤滑油貯留部を設けたことを要旨とする。
【0011】
また、本願発明の車両用サンバイザは、前記ハウジングの前記一対の端子の接点部を有した各バネ部に対応する位置に、該各バネ部を覆う突出壁を設け、前記突出壁に前記潤滑油貯留部を設けたことを特徴とする。
【0012】
さらに、本願発明の車両用サンバイザは、前記アームの前記アーム支持部より外側に露出する円筒状端部の上側に小径円筒状端部を、下側に大径円筒状端部をそれぞれ設け、かつ、前記小径円筒状端部と前記大径円筒状端部の互い違いの位置に切欠きをそれぞれ設け、前記小径円筒状端部の外周面に前記一対の円弧板状接点部のうちの一方の円弧板状接点部を設けると共に、前記大径円筒状端部の外周面に前記一対の円弧板状接点部のうちの他方の円弧板状接点部を設け、前記突出壁の前記他方の円弧板状接点部に対向する位置に、該他方の円弧板状接点部に供給する潤滑油を貯留する前記潤滑油貯留部を設けたことを特徴とする。
【0013】
さらに、本願発明の車両用サンバイザは、前記アームの前記アーム支持部より外側に露出する前記円筒状端部の外周面の同位置に前記一対の円弧板状接点部を隙間を介してそれぞれ設け、前記突出壁の前記一対の円弧板状接点部に対向する位置に、該一対の円弧板状接点部に供給する潤滑油を貯留する前記潤滑油貯留部を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、取付ブラケットのアーム支持部に対してアームの回動を繰り返してもアーム支持部より外側に露出するアームの円筒状端部の外周面に設けられた円弧板状接点部に、コネクタのハウジングに設けられた潤滑油貯留部から潤滑油を常に供給することができ、アームの導電体の接点部と端子の接点部の摺動による接点摩耗を確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の第1実施形態の車両用サンバイザを示す斜視図である。
【
図2】上記車両用サンバイザを車室天井側に格納した状態を示す側面図である。
【
図3】上記車両用サンバイザの取付ブラケットにアームの円筒状端部を圧入する前の状態を示す斜視図である。
【
図4】上記車両用サンバイザのコネクタのハウジングに一対の端子を挿入する前の状態を示す斜視図である。
【
図5】上記アームを装着した取付ブラケットにコネクタを組付ける前の状態を示す斜視図である。
【
図6】上記取付ブラケットにコネクタを組付ける途中の状態を示す側面図である。
【
図7】上記取付ブラケットにコネクタを組付けた状態を示す斜視図である。
【
図8】上記コネクタのハウジングの要部を断面で示す斜視図である。
【
図9】本発明の第2実施形態の車両用サンバイザの取付ブラケットにアームの円筒状端部を圧入する前の状態を示す斜視図である。
【
図10】上記第2実施形態のアームを装着した取付ブラケットにコネクタを組付ける前の状態を示す斜視図である。
【
図11】従来の車両用サンバイザの取付ブラケット周辺の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0017】
図1は本発明の第1実施形態の車両用サンバイザを示す斜視図、
図2は同車両用サンバイザを車室天井側に格納した状態を示す側面図、
図3は同車両用サンバイザの取付ブラケットにアームの円筒状端部を圧入する前の状態を示す斜視図、
図4は同車両用サンバイザのコネクタのハウジングに一対の端子を挿入する前の状態を示す斜視図、
図5は同アームを装着した取付ブラケットにコネクタを組付ける前の状態を示す斜視図、
図6は同取付ブラケットにコネクタを組付ける途中の状態を示す側面図、
図7は同取付ブラケットにコネクタを組付けた状態を示す斜視図、
図8はコネクタのハウジングの要部を断面で示す斜視図である。
【0018】
図1〜
図4に示すように、車両用サンバイザ10は、バニティーミラー(化粧鏡)12と照明ランプ(電装品)13を有するサンバイザ本体11と、このサンバイザ本体11を回動自在に保持し、円筒状端部21に一対の導電体28,28の各接点部29A,29Bが設けられた非導電性のアーム20と、このアーム20をルーフトリム(車両)60に取り付ける取付ブラケット30と、この取付ブラケット30に着脱自在に組付けられ、接点部53が一対の導電体28,28の各接点部29A,29Bに接触される電力供給用の一対の端子50,50を有したコネクタ40と、を備えている。
【0019】
図3、
図5、
図7に示すように、アーム20は合成樹脂により円筒状に形成されていると共に、上面21aが閉塞された円筒状端部21側がアーム本体20A側に対して所定角度傾斜するように形成されている。このアーム20の内部には、並行して延在する一対の導電体28,28が配索されている。この一対の導電体28,28のアーム20の円筒状端部21側に露出して各端部側に位置する接点部29A,29Bは円弧板状に形成されている(以下、「一対の円弧板状接点部29A,29B」という)。さらに、アーム20の後述する取付ブラケット30のアーム支持部31より外側に露出する円筒状端部21には、その上側に小径円筒状端部22を、下側に大径円筒状端部23をそれぞれ設けてある。この小径円筒状端部22と大径円筒状端部23の互い違いの位置には切欠き22b,23bをそれぞれ設けてある。そして、小径円筒状端部22の外周面22aに形成された円環状の凹溝部22c内には一対の円弧板状接点部29A,29Bのうちの一方の円弧板状接点部29Aを配設してあると共に、大径円筒状端部23の外周面23aに形成された円環状の凹溝部23c内には一対の円弧板状接点部29A,29Bのうちの他方の円弧板状接点部29Bを配設してある。この一対の円弧板状接点部29A,29B間に互い違いに位置する一対の切欠き22b,23bが一対の円弧板状接点部29A,29Bと一対の端子50,50の各接点部53との非接触領域となっている。
【0020】
また、
図3及び
図5に示すように、大径円筒状端部23の下側には、後述するコネクタ40の組付け用の係合突起48が係合する円環状のフランジ部24を一体突出形成してあると共に、その下側には円環凹状の係合溝25を一体形成してある。この円環状のフランジ部24には、コネクタ40の係合突起48を誘い込む切欠き24aを形成してある。また、円環状のフランジ部24の下側には、該フランジ部24よりも大径の円環状のフランジ部26を一体突出形成してあると共に、その下側には円環凹状の係合溝27を一体形成してある。
【0021】
図1〜
図3及び
図5〜
図7に示すように、取付ブラケット30は合成樹脂により形成されていて、その中央にはアーム20の円筒状端部21側を回動自在に支持する円形の内周面31aを有した筒状のアーム支持部31を一体突出形成してある。そして、
図3、
図5,
図8に示すように、アーム支持部31の内周面31a内にアーム20の円筒状端部21が圧入されて、内周面31aより突設した係止突起32がアーム20の円環凹状の係合溝27に入り込んで円環状のフランジ部26に係合されることで、回動するアーム20の円筒状端部21の上側がアーム支持部31より外側へ突出(露出)するようになっている。
【0022】
また、
図5に示すように、取付ブラケット30の上面30aのアーム支持部31の両側及び一方の取付孔33側にはコネクタ組付け用の凹部35を形成してある。このコネクタ組付け用の凹部35の他方の取付孔34側の両側には、コネクタ40の両側壁43,43の係止片部43bが差し込まれる係合穴36を形成してある。また、
図5及び
図6に示すように、コネクタ組付け用の凹部35の一方の取付孔33側の中央には、コネクタ40のハウジング本体42の係止片部42aが係止される係止爪部37を形成してある。尚、取付ブラケット30は、一対の取付孔33,34を介して図示しないビスによってルーフトリム60にねじ止めされるようになっている。
【0023】
図4に示すように、コネクタ40のハウジング41は、合成樹脂により形成されていて、ハウジング本体42と、このハウジング本体42の両側にL字状の端子収容室43aを有した一対の側壁43,43と、ハウジング本体42の中央との間に中空部44を形成した中央壁(突出壁)45とを有している。そして、
図5に示すように、ハウジング41の一対の側壁43,43が取付ブラケット30のアーム支持部31の両側に位置するようにハウジング41をコネクタ組付け用の凹部35に組付けると、
図7に示すように、ハウジング本体42と中央壁45間の中空部44内にアーム20の円筒状端部21が露出するようになっている。
【0024】
また、
図4、
図5、
図7、
図8に示すように、コネクタ40の中央壁45の下側の円弧板状接点部29Bに対向する位置には、該下側の円弧板状接点部29Bに供給するペースト状のグリス(潤滑油)Gを貯留する箱状で一対の潤滑油貯留部46,46を一体形成してある。この各潤滑油貯留部46は、下側の円弧板状接点部29BへグリスGを供給するための潤滑油供給口46aを有している。また、各潤滑油貯留部46の底壁部46bの潤滑油供給口46a側には、下側の円弧板状接点部29Bに沿うように円弧面状の切欠き46cを形成してある。この円弧面状の切欠き46cにより、下側の円弧板状接点部29Bへ一定量のグリスGが連続的に供給されるようになっている。さらに、ハウジング41のハウジング本体42と中央壁45間の中空部44内には、一対の円弧板状接点部29A,29Bと後述する一対の端子50,50の各バネ部52とが相対向して位置している。即ち、一対の端子50,50の接点部53を有した各バネ部52は、一対の潤滑油貯留部46,46を設けた中央壁45により覆われているため、外力による端子50のバネ部52の変形を確実に防止できるようになっている。
【0025】
さらに、
図4、
図5に示すように、中央壁45の一対の潤滑油貯留部46,46間には、断面矩形の切欠き孔47を形成してあり、この切欠き孔47の下側には、組付け用の係合突起48を一体突出形成してある。そして、アーム20の円筒状端部21の位置が正確な組付け位置にないと取付ブラケット30にコネクタ40を組付けることができず、即ち、ハウジング41の組付け用の係合突起48が円環状のフランジ部24の切欠き24aからアーム20の円環凹状の係合溝25に入り込むことができないようにしてある。また、取付ブラケット30にコネクタ40を組付けた後は、アーム20の回転により係合突起48が円環状のフランジ部24に係合されることで、アーム20がハウジング41により保持されようになっている。
【0026】
図4に示すように、各端子50の先端が箱形状の接触部51はL字板状に形成されていて、ハウジング41の側壁43のL字状の端子収容室43aに収容される。また、各端子50の接触部51に連結されたL字板状のバネ部52は弾性変形自在に形成されている。また、各バネ部52の先端側には、半円球面状の接点部53を設けてある。さらに、各バネ部52は、上下の円弧板状接点部29A,29Bに対応するように高さ位置が異なっている。
【0027】
尚、
図2に示すように、コネクタ40は、ルーフトリム60側の電源接続用の電線61に接続されたコネクタ62に嵌合されるようになっている。この嵌合の際に、コネクタ40の一対の端子50,50の各接触部51とルーフトリム60側のコネクタ62の図示しない一対の端子とが電気的に接続され、コネクタ40の一対の端子50,50に電力が供給されるようになっている。
【0028】
また、サンバイザ本体11をフロントウインドウの前に倒したときに、及び、サンバイザ本体11をサイドウインドウの横に倒したときに、小、大径円筒状端部22,23の外周面22a,23aに設けられた一対の円弧板状接点部29A,29Bが電力供給用の一対の端子50,50の各バネ部52の接点部53に接触(導通)して通電(ON)状態となることで、即ち、アーム20内に配索された一対の導電体28,28とサンバイザ本体11の照明ランプ13を繋ぐ導電回路が通電状態とされることで、サンバイザ本体11の照明ランプ13の点灯準備状態が形成され、サンバイザ本体11のバニティーミラー12を覆っているカバー(スライド部材)14をスライドさせて開くと、図示しないスイッチ機構がONとなって照明ランプ13が点灯するようになっている。尚、一般的には、サンバイザ本体をサイドウインドウの横に倒したときに、アーム側の接点部が電力供給用の端子の接点部より離れて不導通となって、照明ランプの導電回路が非通電(OFF)状態となるようになっているが、この第1実施形態では、サンバイザ本体11をサイドウインドウの横に倒したときにも、一対の円弧板状接点部29A,29Bが電力供給用の一対の端子50,50の各接点部53に接触して、取付ブラケット30にコネクタ40を組付けるとき以外は、照明ランプ13の導電回路が通電状態となるようになっている。
【0029】
以上第1実施形態の車両用サンバイザ10によれば、車両用サンバイザ10を組付ける場合には、まず、
図3に示すように、取付ブラケット30のアーム支持部31に斜めに形成された円形の内周面31a内にアーム20の円筒状端部21側を圧入する。この圧入により、
図3、
図5、
図8に示すように、アーム支持部31の内周面31aより突設した係止突起32がアーム20の円環凹状の係合溝27に入り込んで円環状のフランジ部26に係合されることで、アーム支持部31にアーム20の円筒状端部21が回動自在に支持される。
【0030】
次に、
図4及び
図5に示すように、コネクタ40のハウジング41に一対の端子50,50を挿入した後で、
図5に示すように、取付ブラケット30のアーム支持部31より外へ露出するアーム20の小、大径円筒状端部22,23の各切欠き22b,23bをコネクタ40の両側壁43,43に相対向する位置に位置させた状態で、
図6に示すように、取付ブラケット30の上面30aのコネクタ組付け用の凹部35に設けられた一対の係合穴36,36にコネクタ40のハウジング41の両側壁43,43に設けられた一対の係止片部43b,43bを差し込んで、
図6中矢印で示すように、コネクタ40を回転させて、コネクタ組付け用の凹部35の係止爪部37にコネクタ40のハウジング本体42の係止片部42aを係止させて、取付ブラケット30の上面30aにコネクタ40を組付ける。
【0031】
この際、コネクタ40のハウジング41に組付けられた一対の端子50,50の接点部53を有した各バネ部52がアーム20の円筒状端部21の小、大径円筒状端部22,23の各切欠き22b,23b側を通って、小、大径円筒状端部22,23の外周面22a,23aの一対の円弧板状接点部29A,29Bに接触することなく、取付ブラケット30にコネクタ40を組付けることができる。これにより、一対の円弧板状接点部29A,29Bと一対の端子50,50の各バネ部52の接点部53とが干渉することがなく、一対の端子50,50の各バネ部52の変形を確実に防止することができる。
【0032】
また、取付ブラケット30のアーム支持部31より外側に露出するアーム20の上側の小径円筒状端部22の外周面22aと下側の大径円筒状端部23の外周面23aに円弧板状接点部29A,29Bをそれぞれ配設したことにより、アーム20の導電体28の接点部としての円弧板状接点部29A,29Bと端子50の接点部53の接触範囲(アーム20の回転角度)を広げることができて、
図2に示すように、サンバイザ本体11をルーフトリム60側に格納しているときと、サンバイザ本体11をフロントウインドウの前に倒したとき、及び、サンバイザ本体11をサイドウインドウの横に倒したときに、アーム20の一対の円弧板状接点部29A,29Bと一対の端子50,50の各接点部53を接触した状態にすることができる。
【0033】
さらに、
図8に示すように、コネクタ40の中央壁45のアーム20の円筒状端部21の大径円筒状端部23の外周面23aに対向する位置に、大径円筒状端部23の外周面23aに設けられた下側の円弧板状接点部29Bに供給するペースト状のグリス(潤滑油)Gを貯留した一対の潤滑油貯留部46,46を設けたことにより、各潤滑油貯留部46内に充填されているペースト状のグリスGが円弧板状接点部29Bに供給されて、端子50の接点部53に付着するため、両接点部29B,53同士を摺動による摩耗から保護することができる。即ち、潤滑油貯留部46内に溜めてあるペースト状のグリスGが常に円弧板状接点部29Bに触れていて、アーム20の回動を繰り返しても端子50の接点部53にはグリスGが必ず付着するため、摺動によってグリスGが無くなること(グリス切れ)がなく、グリスGが円弧板状接点部29Bと接点部53との間に常に供給されて、両接点部29B,53同士の摺動摩耗を確実に防止することができる。
【0034】
また、取付ブラケット30にコネクタ40を組付けた後に潤滑油貯留部46内にグリスGを入れるため、部品組付け時にグリスGが他の箇所に付着する心配が無く、また、グリスGの補充量が一定で、アーム20の円弧板状接点部29BにグリスGが触れているのかが判り易い。
【0035】
さらに、コネクタ40のハウジング41の一対の端子50,50の接点部53を有した各バネ部52に対応する位置に、該一対のバネ部52,52を覆う中央壁45を一体突出形成し、この中央壁45により一対のバネ部52,52を覆っているため、バネ部52の外力による変形を簡単かつ確実に防止することができる。
【0036】
図9は本発明の第2実施形態の車両用サンバイザの取付ブラケットにアームの円筒状端部を圧入する前の状態を示す斜視図、
図10は同アームを装着した取付ブラケットにコネクタを組付ける前の状態を示す斜視図である。
【0037】
図9及び
図10に示すように、アーム20′の取付ブラケット30′のアーム支持部31より外側に露出する円筒状端部21の外周面21bの中央には、円環状の凹溝部21cを形成してある。この円環状の凹溝部21c内には、一対の導電体28,28の各端部側に位置する一対の円弧板状接点部29,29を所定の隙間(間隔)Sを介して配設してある。この一対の隙間S,Sには円弧凹状の溝部21dをそれぞれ形成してあり、この各円弧凹状の溝部21dが一対の円弧板状接点部29,29と一対の端子50,50の各接点部53との非接触領域となっている。また、一対の端子50,50の各バネ部52は、一対の円弧板状接点部29,29に対応するように同じ高さ位置に位置している。そして、一対の円弧板状接点部29,29には、コネクタ40ハウジング41の中央壁45に形成された箱状で一対の潤滑油貯留部46,46内からペースト状のグリス(潤滑油)Gが常に供給されるようになっている。尚、他の構成は、前記第1実施形態と同様であるため、同一構成部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0038】
この第2実施形態によれば、コネクタ40の中央壁45の一対の潤滑油貯留部46,46内に充填されているペースト状のグリスGが一対の円弧板状接点部29,29に常に供給されて一対の端子50,50の各接点部53に付着するため、両接点部29,53同士を摺動による摩耗から保護することができる。即ち、前記第1実施形態と同様に、アーム20の回動を繰り返しても、一対の端子50,50の各接点部53にはグリスGが必ず付着するため、摺動によってグリスGが無くなることがなく、グリスGが一対の円弧板状接点部29,29と一対の端子50,50の各接点部53との間に常に供給され、両接点部29,53同士の摺動摩耗を確実に防止することができる。
【0039】
尚、前記各実施形態によれば、サンバイザ本体に電装品として照明ランプを設けたが、サンバイザ本体に電装品として小型で薄形の液晶モニタ等を設けても良い。
【符号の説明】
【0040】
10 車両用サンバイザ
11 サンバイザ本体
13 照明ランプ(電装品)
20,20′ アーム
21 円筒状端部
21b 外周面
22 小径円筒状端部
22a 外周面
22b 切欠き
23 大径円筒状端部
23a 外周面
23b 切欠き
28,28 一対の導電体
29A,29B 一対の円弧板状接点部
29,29 一対の円弧板状接点部
30,30′ 取付ブラケット
31 アーム支持部
40 コネクタ
41 ハウジング
45 中央壁(突出壁)
46 潤滑油貯留部
50,50 電力供給用の一対の端子
52 バネ部
53 接点部
60 ルーフトリム(車両)
G グリス(潤滑油)
S 所定の隙間(間隙)