特許第6574832号(P6574832)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6574832
(24)【登録日】2019年8月23日
(45)【発行日】2019年9月11日
(54)【発明の名称】撥水撥油剤
(51)【国際特許分類】
   C09K 3/18 20060101AFI20190902BHJP
   C08F 220/22 20060101ALI20190902BHJP
   C08F 220/36 20060101ALI20190902BHJP
   C08F 220/58 20060101ALI20190902BHJP
   C08F 220/28 20060101ALI20190902BHJP
【FI】
   C09K3/18 103
   C08F220/22
   C08F220/36
   C08F220/58
   C08F220/28
【請求項の数】5
【全頁数】31
(21)【出願番号】特願2017-502016(P2017-502016)
(86)(22)【出願日】2016年2月2日
(86)【国際出願番号】JP2016052990
(87)【国際公開番号】WO2016136399
(87)【国際公開日】20160901
【審査請求日】2019年1月16日
(31)【優先権主張番号】特願2015-39686(P2015-39686)
(32)【優先日】2015年2月28日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000205638
【氏名又は名称】大阪有機化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080791
【弁理士】
【氏名又は名称】高島 一
(74)【代理人】
【識別番号】100125070
【弁理士】
【氏名又は名称】土井 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100136629
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 光宜
(74)【代理人】
【識別番号】100121212
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 弥栄子
(74)【代理人】
【識別番号】100163658
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 順造
(74)【代理人】
【識別番号】100174296
【弁理士】
【氏名又は名称】當麻 博文
(74)【代理人】
【識別番号】100137729
【弁理士】
【氏名又は名称】赤井 厚子
(74)【代理人】
【識別番号】100151301
【弁理士】
【氏名又は名称】戸崎 富哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122345
【弁理士】
【氏名又は名称】高山 繁久
(72)【発明者】
【氏名】青島 秀幸
(72)【発明者】
【氏名】飯塚 大輔
【審査官】 山本 悦司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−160205(JP,A)
【文献】 特開2001−288233(JP,A)
【文献】 特開2002−201110(JP,A)
【文献】 特開平11−255995(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/148098(WO,A1)
【文献】 特開昭51−144449(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/162225(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K 3/18
C08L 33/14−33/16
D06M 15/277
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撥水性および撥油性を有する撥水撥油剤であって、有効成分として、
(A)式(I):
【化1】
(式中、R1は水素原子またはメチル基、R2は水素原子またはフッ素原子、mは0または1〜4の整数、nは1〜12の整数を示す)
で表わされるフッ素原子含有モノマー、
(B)式(II):
【化2】
(式中、R3は水素原子またはメチル基、R4およびR5は、それぞれ独立して水素原子または炭素数1〜4のアルキル基、pは1〜4の整数、qは1〜4の整数を示す)
で表わされるベタインモノマー、および
(C)アルキル基の炭素数が1〜22のアルキル(メタ)アクリレート
を含有するモノマー成分を重合させてなるポリマーを含有することを特徴とする撥水撥油剤。
【請求項2】
モノマー成分が、さらにスルホン酸基含有モノマーを含有する請求項1に記載の撥水撥油剤。
【請求項3】
スルホン酸基含有モノマーのスルホン酸基の少なくとも一部が中和されている請求項2に記載の撥水撥油剤。
【請求項4】
モノマー成分が、さらに架橋剤を含有する請求項1〜3のいずれかに記載の撥水撥油剤。
【請求項5】
架橋剤が式(III):
【化3】
(式中、R6およびR7はそれぞれ独立して水素原子またはメチル基、R8は炭素数2または3のアルキレン基、rは1〜40の整数を示す)
で表わされる架橋剤である請求項4に記載の撥水撥油剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撥水撥油剤に関する。さらに詳しくは、本発明は、例えば、石、煉瓦などの無機質材料、織布、不織布、紙などの繊維質基材、水性塗料、消火剤、電子部品、カーケミカルワックス、金型成形の離型剤、離型フィルム、レンズなどの用途に好適に使用することができる撥水撥油剤に関する。本発明の撥水撥油剤は、撥水性、撥油性および撥油持続性に優れているので、皮脂汚れなどの油性汚れに対する防汚性および汗汚れなどの水性汚れに対する防汚性に優れていることから、前記用途のなかでも特に繊維製品などに使用することが期待される。
【背景技術】
【0002】
近年、撥水撥油剤として種々のものが提案されており、当該撥水撥油剤の原料として、撥油性を向上させるためにフッ素系モノマーが使用されている(例えば、特許文献1〜4など参照)。
【0003】
しかし、従来の撥水撥油剤は、撥水性および撥油性のうちいずれか一方の性質に優れているのが趨勢であり、近年、撥水性および撥油性の双方に優れているのみならず、さらに繊維などに付着した油脂汚れが落ちにくいことから撥油持続性にも優れている撥水撥油剤の開発が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014−129532号公報
【特許文献2】特開2014−169449号公報
【特許文献3】特開2014−172979号公報
【特許文献4】特開2014−237827号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、前記従来技術に鑑みてなされたものであり、撥水性および撥油性の双方に優れているのみならず、さらに撥油持続性にも優れている撥水撥油剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、
(1) 撥水性および撥油性を有する撥水撥油剤であって、有効成分として、
(A)式(I):
【0007】
【化1】
【0008】
(式中、R1は水素原子またはメチル基、R2は水素原子またはフッ素原子、mは0または1〜4の整数、nは1〜12の整数を示す)
で表わされるフッ素原子含有モノマー、
(B)式(II):
【0009】
【化2】
【0010】
(式中、R3は水素原子またはメチル基、R4およびR5は、それぞれ独立して水素原子または炭素数1〜4のアルキル基、pは1〜4の整数、qは1〜4の整数を示す)
で表わされるベタインモノマー、および
(C)アルキル基の炭素数が1〜22のアルキル(メタ)アクリレート
を含有するモノマー成分を重合させてなるポリマーを含有することを特徴とする撥水撥油剤、
(2) モノマー成分が、さらにスルホン酸基含有モノマーを含有する前記(1)に記載の撥水撥油剤、
(3) スルホン酸基含有モノマーのスルホン酸基の少なくとも一部が中和されている前記(2)に記載の撥水撥油剤、
(4) モノマー成分が、さらに架橋剤を含有する前記(1)〜(3)のいずれかに記載の撥水撥油剤、および
(5) 架橋剤が式(III):
【0011】
【化3】
【0012】
(式中、R6およびR7はそれぞれ独立して水素原子またはメチル基、R8は炭素数2または3のアルキレン基、rは1〜40の整数を示す)
で表わされる架橋剤である前記(4)に記載の撥水撥油剤
に関する。
【0013】
なお、本発明において、「(メタ)アクリレート」は、「アクリレート」または「メタクリレート」を意味する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、撥水性および撥油性の双方に優れているのみならず、さらに撥油持続性にも優れている撥水撥油剤が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の撥水撥油剤は、前記したように、有効成分として、
(A)式(I):
【0016】
【化4】
【0017】
(式中、R1は水素原子またはメチル基、R2は水素原子またはフッ素原子、mは0または1〜4の整数、nは1〜12の整数を示す)
で表わされるフッ素原子含有モノマー、
(B)式(II):
【0018】
【化5】
【0019】
(式中、R3は水素原子またはメチル基、R4およびR5は、それぞれ独立して水素原子または炭素数1〜4のアルキル基、pは1〜4の整数、qは1〜4の整数を示す)
で表わされるベタインモノマー、および
(C)アルキル基の炭素数が1〜22のアルキル(メタ)アクリレート
を含有するモノマー成分を重合させてなるポリマーを含有することを特徴とする。
【0020】
式(I)で表わされるフッ素原子含有モノマーにおいて、R1は水素原子またはメチル基であり、R2は水素原子またはフッ素原子であり、mは0または1〜4の整数であり、nは1〜12の整数である。mは、0または1〜4の整数であるが、撥水性、撥油性および撥油持続性を向上させる観点から、好ましくは1〜4の整数、より好ましくは2〜4の整数である。nは、1〜12の整数であるが、撥水性および撥油性を向上させる観点から、好ましくは2〜10の整数、より好ましくは4〜8の整数である。
【0021】
式(I)で表わされるフッ素原子含有モノマーとしては、例えば、式(I)において、R1が水素原子、R2がフッ素原子、mが2、nが6であるフッ素原子含有モノマー〔例えば、大阪有機化学工業(株)製、商品名:ビスコート13Fなど〕、R1が水素原子、R2が水素原子、mが1、nが1であるフッ素原子含有モノマー〔例えば、大阪有機化学工業(株)製、商品名:ビスコート4Fなど〕、R1がメチル基、R2が水素原子、mが1、nが3であるフッ素原子含有モノマー〔例えば、大阪有機化学工業(株)製、商品名:ビスコート8FMなど〕などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
【0022】
モノマー成分における式(I)で表わされるフッ素原子含有モノマーの含有率は、撥水性、撥油性および撥油持続性を向上させる観点から、好ましくは1〜30質量%、より好ましくは1〜25質量%、さらに好ましくは2〜20質量%である。
【0023】
式(II)で表わされるベタインモノマーにおいて、R3は水素原子またはメチル基であり、R4およびR5は、それぞれ独立して水素原子または炭素数1〜4のアルキル基であり、pは1〜4の整数であり、qは1〜4の整数である。
【0024】
式(II)で表わされるベタインモノマーとしては、例えば、N−(メタ)アクリロイルオキシメチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシメチル−N,N−ジエチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシエチル−N,N−ジエチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン、N−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−N,N−ジエチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタインなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのベタインモノマーは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0025】
式(II)で表わされるベタインモノマーは、例えば、特開平9−95474号公報、特開平9−95586号公報、特開平11−222470号公報などに記載の方法で容易に調製することができる。
【0026】
式(II)で表わされるベタインモノマーは、例えば、大阪有機化学工業(株)製、商品名:GLBTなどとして商業的に容易に入手することができる。
【0027】
式(II)で表わされるベタインモノマーのなかでは、撥水性、撥油性および撥油持続性を向上させる観点から、オキシアルキル基の炭素数が1〜4であり、N,N−ジアルキル基のアルキル基の炭素数が1〜4であり、N−アルキル基の炭素数が1〜4であるN−(メタ)アクリロイルオキシアルキル−N,N−ジアルキルアンモニウム−α−N−アルキルカルボキシベタインが好ましく、オキシアルキル基の炭素数が1または2であり、N,N−ジアルキル基のアルキル基の炭素数が1または2であり、N−アルキル基の炭素数が1または2であるN−(メタ)アクリロイルオキシアルキル−N,N−ジアルキルアンモニウム−α−N−アルキルカルボキシベタインがより好ましく、N−(メタ)アクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタインがさらに好ましく、N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタインがさらに一層好ましい。また、水溶性および水希釈性を向上させる観点から、オキシアルキル基の炭素数が1〜2であり、N,N−ジアルキル基のアルキル基の炭素数が1〜2であり、N−アルキル基の炭素数が1〜2であるN−(メタ)アクリロイルオキシアルキル−N,N−ジアルキルアンモニウム−α−N−アルキルカルボキシベタインが好ましい。
【0028】
モノマー成分における式(II)で表わされるベタインモノマーの含有率は、撥水性、撥油性および撥油持続性を向上させる観点から、好ましくは3〜80質量%、より好ましくは3〜75質量%、さらに好ましくは5〜70質量%である。
【0029】
アルキル基の炭素数が1〜22のアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、エイコシル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレートなどのエステルを構成しているアルキル基の炭素数が1〜22であるアルキル(メタ)アクリレートが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのアルキル(メタ)アクリレートは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。これらのアルキル(メタ)アクリレートのなかでは、撥水持続性を向上させる観点から、アルキル基の炭素数が10〜22のアルキル(メタ)アクリレートが好ましく、アルキル基の炭素数が12〜22のアルキル(メタ)アクリレートがより好ましい。
【0030】
モノマー成分におけるアルキル基の炭素数が1〜22のアルキル(メタ)アクリレートの含有率は、撥水性、撥油性および撥油持続性を向上させる観点から、好ましくは10〜80質量%、より好ましくは15〜75質量%、さらに好ましくは20〜70質量%である。
【0031】
モノマー成分には、撥油性を向上させる観点から、スルホン酸基含有モノマーが含まれていることが好ましい。
【0032】
スルホン酸基含有モノマーとしては、例えば、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−メタクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−エチルプロパンスルホン酸、2−メタクリルアミド−2−エチルプロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−プロピルプロパンスルホン酸、2−メタクリルアミド−2−プロピルプロパンスルホン酸などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのスルホン酸基含有モノマーは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。これらのスルホン酸基含有モノマーのなかでは、撥水性と撥水持続性とのバランスを改善するともに、ポリマーの水溶性を向上させる観点から、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−メタクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−エチルプロパンスルホン酸および2−メタクリルアミド−2−エチルプロパンスルホン酸が好ましく、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸および2−メタクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸がより好ましい。
【0033】
なお、スルホン酸基含有モノマーが有するスルホン酸基は、撥油性を向上させる観点から、その少なくとも一部が中和されていることが好ましい。スルホン酸基含有モノマーが有するスルホン酸基は、中和剤を用いて中和することができる。中和剤としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの無機塩基性化合物;モノエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、モルホリン、アミノメチルプロパノール、アミノメチルプロパンジオール、オクチルアミン、トリブチルアミン、アニリンなどの有機塩基性化合物が挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。スルホン酸基含有モノマーが有するスルホン酸基の中和は、当該スルホン酸基含有モノマーに対して行なってもよく、モノマー成分を重合させることによって得られるポリマーに対して行なってもよい。
【0034】
モノマー成分におけるスルホン酸基含有モノマーの含有率は、撥油性を向上させる観点から、0質量%以上、好ましくは1質量%以上、より好ましくは3質量%以上、さらに好ましくは5質量%以上であり、撥水性を向上させる観点から、好ましくは40質量%以下、より好ましくは35質量%以下、さらに好ましくは30質量%以下である。
【0035】
なお、モノマー成分には、本発明の目的が阻害されない範囲内で他のモノマーが含まれていてもよい。
【0036】
他のモノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、無水マレイン酸などの脂肪族モノカルボン酸;2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレートなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレートなどのシクロアルキル(メタ)アクリレート;ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレートなどのアリール(メタ)アクリレート;メトキシエチルアクリレート、メトキシエチルメタクリレート、メトキシブチルアクリレート、メトキシブチルメタクリレートなどのアルコキシアルキル(メタ)アクリレート;エチルカルビトールアクリレート、エチルカルビトールメタクリレートなどのアルキルカルビトール(メタ)アクリレート;N−メチルアクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、N−プロピルアクリルアミド、N−プロピルメタクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−イソプロピルメタクリルアミド、N−tert−ブチルアクリルアミド、N−tert−ブチルメタクリルアミド、N−オクチルアクリルアミド、N−オクチルメタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N,N−ジエチルメタクリルアミドなどのアルキル(メタ)アクリルアミド:N−ブトキシメチルアクリルアミド、N−ブトキシメチルメタクリルアミドなどのアルコキシ(メタ)アクリルアミド;アクリロイルモルホリン、メタクリロイルモルホリンなどの(メタ)アクリロイルモルホリン;ジアセトンアクリルアミド、ジアセトンメタクリルアミドなどのジアセトン(メタ)アクリルアミド;スチレン、メチルスチレンなどのスチレン系モノマー;イタコン酸メチル、イタコン酸エチルなどのアルキル基の炭素数が1〜4である、(メタ)アクリル酸アルキルエステル以外の脂肪酸アルキルエステル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどの脂肪酸ビニルエステル;
【0037】
N−アクリロイルオキシメチル−N,N−ジメチルアンモニウムメチル−α−スルホベタイン、N−メタクリロイルオキシメチル−N,N−ジメチルアンモニウムメチル−α−スルホベタイン、N−アクリロイルオキシメチル−N,N−ジメチルアンモニウムエチル−α−スルホベタイン、N−メタクリロイルオキシメチル−N,N−ジメチルアンモニウムエチル−α−スルホベタイン、N−アクリロイルオキシメチル−N,N−ジメチルアンモニウムプロピル−α−スルホベタイン、N−メタクリロイルオキシメチル−N,N−ジメチルアンモニウムプロピル−α−スルホベタイン、N−アクリロイルオキシメチル−N,N−ジメチルアンモニウムブチル−α−スルホベタイン、N−メタクリロイルオキシメチル−N,N−ジメチルアンモニウムブチル−α−スルホベタイン、N−アクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウムメチル−α−スルホベタイン、N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウムメチル−α−スルホベタイン、N−アクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウムエチル−α−スルホベタイン、N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウムエチル−α−スルホベタイン、N−アクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウムプロピル−α−スルホベタイン、N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウムプロピル−α−スルホベタイン、N−アクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウムブチル−α−スルホベタイン、N−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウムブチル−α−スルホベタイン、N−アクリロイルオキシプロピル−N,N−ジメチルアンモニウムメチル−α−スルホベタイン、N−メタクリロイルオキシプロピル−N,N−ジメチルアンモニウムメチル−α−スルホベタイン、N−アクリロイルオキシプロピル−N,N−ジメチルアンモニウムエチル−α−スルホベタイン、N−メタクリロイルオキシプロピル−N,N−ジメチルアンモニウムエチル−α−スルホベタイン、N−アクリロイルオキプロピル−N,N−ジメチルアンモニウムプロピル−α−スルホベタイン、N−メタクリロイルオキシプロピル−N,N−ジメチルアンモニウムプロピル−α−スルホベタイン、N−アクリロイルオキシプロピル−N,N−ジメチルアンモニウムブチル−α−スルホベタイン、N−メタクリロイルオキシプロピル−N,N−ジメチルアンモニウムブチル−α−スルホベタイン、N−アクリロイルオキシブチル−N,N−ジメチルアンモニウムメチル−α−スルホベタイン、N−メタクリロイルオキシブチル−N,N−ジメチルアンモニウムメチル−α−スルホベタイン、N−アクリロイルオキシブチル−N,N−ジメチルアンモニウムエチル−α−スルホベタイン、N−メタクリロイルオキシブチル−N,N−ジメチルアンモニウムエチル−α−スルホベタイン、N−アクリロイルオキシブチル−N,N−ジメチルアンモニウムプロピル−α−スルホベタイン、N−メタクリロイルオキシブチル−N,N−ジメチルアンモニウムプロピル−α−スルホベタイン、N−アクリロイルオキシブチル−N,N−ジメチルアンモニウムブチル−α−スルホベタイン、N−メタクリロイルオキシブチル−N,N−ジメチルアンモニウムブチル−α−スルホベタインなどのN−(メタ)アクリロイルオキシアルキル−N,N−ジメチルアンモニウムアルキル−α−スルホベタインなどのスルホベタインモノマー、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタムなどの窒素原子含有モノマーなどの単官能モノマーなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの他のモノマーは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0038】
また、モノマー成分には、撥水性、撥油性および撥油持続性を向上させる観点から、架橋剤が含まれていることが好ましい。また、モノマー成分に架橋剤を含有させた場合には、撥水性と撥水持続性のバランスを改善することができる。
【0039】
架橋剤としては、例えば、(メタ)アクリロイル基を2個以上有する(メタ)アクリレート化合物、(メタ)アクリロイル基を2個以上有する(メタ)アクリルアミド化合物、ジアリルアミン、トリアリルアミンなどの炭素−炭素二重結合を2個以上有するアミン化合物、ジビニルベンゼン、ジアリルベンゼンなどの炭素−炭素二重結合を2個以上有する芳香族化合物などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの架橋剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0040】
架橋剤のなかでは、撥水性、撥油性および撥油持続性を向上させる観点から、(メタ)アクリロイル基を2個以上有する(メタ)アクリレート化合物が好ましく、式(III):
【0041】
【化6】
【0042】
(式中、R6およびR7はそれぞれ独立して水素原子またはメチル基、R8は炭素数2または3のアルキレン基、rは1〜40の整数を示す)
で表わされる架橋剤がより好ましい。
【0043】
式(III)において、R6およびR7はそれぞれ独立して水素原子またはメチル基であり、R8は炭素数2または3のアルキレン基であり、rは1〜40の整数である。これらのなかでは、撥油性およびその持続性を向上させる観点から、rは、好ましくは1〜20の整数、より好ましくは2〜18の整数である。
【0044】
式(III)で表わされる架橋剤としては、例えば、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、前記以外のポリエチレングリコールジアクリレート、前記以外のポリエチレングリコールジメタクリレートなどの(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート;プロピレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジメタクリレート、テトラプロピレングリコールジアクリレート、テトラプロピレングリコールジメタクリレート、前記以外のポリプロピレングリコールジアクリレート、前記以外のポリプロピレングリコールジメタクリレートなどの(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレートなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの架橋剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0045】
モノマー成分における架橋剤の含有率は、撥水性、撥油性および撥油持続性を向上させる観点から、好ましくは0.3〜15質量%、より好ましくは0.5〜15質量%、さらに好ましくは1〜10質量%である。
【0046】
また、モノマー成分を重合させる際には、得られるポリマーの分子量を調整するために連鎖移動剤を用いてもよい。連鎖移動剤としては、例えば、ラウリルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、チオグリセロールなどのメルカプタン基を有する化合物、次亜リン酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウムなどの無機塩などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。モノマー成分100質量部あたりの連鎖移動剤の量は、0.01〜10質量部程度であることが好ましい。
【0047】
モノマー成分の重合は、例えば、均一溶液重合法、不均一溶液重合法、乳化重合法、逆相乳化重合法、塊状重合法、懸濁重合法、沈殿重合法などの重合法によって行なうことができる。
【0048】
モノマー成分を溶液重合法によって重合させる際には、溶媒が用いられる。前記溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコールなどのアルコール系溶媒;ヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、デカン、流動パラフィンなどの炭化水素系溶媒;ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン系溶媒;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系溶媒;塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素などの塩化物系溶媒;ジメチルホルムアミド、ジエチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジオキサンなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの溶媒は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。溶媒の量は、当該溶媒の種類によって異なるので一概には限定することができないが、通常、モノマー成分100質量部あたり、100〜1000質量部程度であることが好ましい。
【0049】
モノマー成分を重合させる際には、重合開始剤を用いることができる。重合開始剤としては、例えば、熱重合開始剤、光重合開始剤などが挙げられる。
【0050】
熱重合開始剤としては、例えば、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビスイソ酪酸ジメチル、アゾビスジメチルバレロニトリルなどのアゾ系重合開始剤、過酸化ベンゾイル、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの過酸化物系重合開始剤などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの重合開始剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0051】
光重合開始剤としては、例えば、2−オキソグルタル酸、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−メチル[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、ベンゾフェノン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイドなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの重合開始剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0052】
重合開始剤の量は、当該重合開始剤の種類などによって異なるので一概には決定することができないが、モノマー成分100質量部あたり、通常、0.01〜10質量部程度であることが好ましい。
【0053】
モノマー成分を重合させる際の雰囲気は、特に限定がなく、大気であってもよく、あるいは窒素ガス、アルゴンガスなどの不活性ガスであってもよい。
【0054】
モノマー成分の重合温度は、特に限定がなく、通常、5〜80℃程度の温度であることが好ましい。モノマー成分の重合に要する時間は、重合条件によって異なるので一概には決定することができないことから任意である。重合反応は、通常、残存しているモノマーの量が10質量%以下になった時点で、任意に終了することができる。なお、残存しているモノマーの量は、例えば、シュウ素をモノマーの二重結合に付加し、二重結合の含量を測定することによって決定することができる。
【0055】
以上のようにしてモノマー成分を重合させることにより、ポリマーが得られる。前記ポリマーの重量平均分子量は、特に制限されないが、3000〜10万程度であることが好ましい。前記ポリマーの重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)によって測定したときの値である。なお、モノマー成分に架橋剤が含まれている場合には、得られるポリマーは、架橋構造を有することから、ポリマーの重量平均分子量を測定することが困難である。
【0056】
前記ポリマーは、必要により、前記したように中和させてもよい。中和剤としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの無機塩基性化合物;モノエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、モルホリン、アミノメチルプロパノール、アミノメチルプロパンジオール、オクチルアミン、トリブチルアミン、アニリンなどの有機塩基性化合物が挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの中和剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0057】
前記ポリマーは、その用途などによってはそのままの状態で用いてもよいが、溶媒、未反応モノマーなどを除去するために、必要により、例えば、蒸留、抽出などの精製方法により、精製してもよい。
【0058】
本発明の撥水撥油剤は、有効成分として、前記ポリマーを含有するものであり、前記ポリマーのみで構成されていてもよく、溶媒、添加剤などが本発明の目的が阻害されない範囲内で含有されていてもよい。
【0059】
前記溶媒としては、モノマー成分を溶液重合させる際に用いられる前記溶媒などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
【0060】
添加剤としては、例えば、界面活性剤、着色剤、浸透剤、消泡剤、吸水剤、防皺剤、風合い調整剤、造膜助剤、水溶性高分子化合物、熱硬化性樹脂、防虫剤、染料安定剤などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
【0061】
以上のようにして得られる本発明の撥水撥油剤は、撥水性および撥油性の双方に優れているのみならず、さらに撥油持続性にも優れていることから、例えば、石、煉瓦などの無機質材料、織布、不織布、紙などの繊維質基材、水性塗料、消火剤などの用途に使用することが期待されるものである。
【実施例】
【0062】
次に、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例のみに限定されるものではない。
【0063】
実施例1
撹拌装置、不活性ガス導入口、環流冷却管および温度計を取り付けた500mL容の5つ口フラスコ内にN−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン70g、イソオクチルアクリレート〔大阪有機化学工業(株)製〕20gおよび3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチルアクリレート〔大阪有機化学工業(株)製、品番:V−13F〕10gからなるモノマー成分とエチルアルコール234gを入れた。フラスコの内容物を75℃に昇温した後、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)〔和光純薬工業(株)製、品番:V−601〕0.6gをフラスコ内に入れ、還流条件下で8時間撹拌しながら重合反応を行なうことにより、前記モノマー成分からなるポリマーを含有する反応溶液を得た。
【0064】
前記で得られた反応溶液を撥水撥油剤として用い、当該撥水撥油剤をバーコータで乾燥後の被膜の厚さが10μmとなるように表面が平滑なガラスプレート(縦:50mm、横:20mm、厚さ:3mm)に塗布し、60℃の大気中で乾燥させることにより、試験片を得た。なお、乾燥後の被膜の厚さは、触針式段差計〔ケーエルエー・テンコール(株)製、品番:P−10〕を用いて測定した(以下同じ)。
【0065】
次に、前記で得られた試験片を用いて被膜の撥水性および撥水持続性、撥油性および撥油持続性ならびに水溶性を以下の方法に基づいて調べた。また、前記で得られた撥水撥油剤を用いて水希釈性を以下の方法に基づいて評価した。その結果、撥水性(接触角)は107.5°であり、撥水持続性は43.0%であり、撥油性(接触角)は69°であり、撥油持続性は87.0%であり、水溶性の評価はBであり、水希釈性の評価はAであった。
【0066】
〔撥水性および撥水持続性〕
試験片の被膜に水滴を滴下し、速やかに水に対する接触角Aを25℃の大気中で自動接触角計〔協和界面科学(株)製、品番:DM−SA〕を用いて測定した。なお、撥水性は、水に対する接触角Aが100°以上であることが合格の基準となるが、102°以上であることが実用上好ましい。
【0067】
さらに、水滴を滴下してから120秒間経過後に前記と同様にして接触角Bを測定した。接触角Aおよび接触角Bに基づき、式:
[撥水持続性]=[接触角B(°)]÷[接触角A(°)]×100
にしたがって撥水持続性を評価した。なお、撥水持続性は、本発明の撥水撥油剤の用途によって異なり、用途によっては撥水持続性が低いことが好ましい場合があり、また他の用途によっては撥水持続性が高いことが好ましい場合がある。
【0068】
〔撥油性および撥油持続性〕
試験片の被膜に流動パラフィンの液滴を滴下し、速やかに流動パラフィンに対する接触角を25℃の大気中で自動接触角計〔協和界面科学(株)製、品番:DM−501Hi〕を用いて測定し、測定された接触角Xに基づいて撥油性を評価した。なお、撥油性は、流動パラフィンに対する接触角が50°以上であることが合格の基準となる。
【0069】
さらに、流動パラフィンの液滴を滴下してから120秒間経過後に前記と同様にして接触角Yを測定した。接触角Xおよび接触角Yに基づき、式:
[撥油持続性]=[接触角Y(°)]÷[接触角X(°)]×100
にしたがって撥油持続性を評価した。なお、撥油持続性は、85%以上であることが合格の基準となる。
【0070】
〔水溶性〕
試験片を40℃の水中に10秒間浸漬した後、水中から引き上げ、キムワイプ〔日本製紙クレシア(株)製、品番:S−200〕で軽く水分を拭き取り、溶解前の膜重量と溶解後再乾燥させた膜重量から面積を測定し、以下の評価基準に基づいて水溶性を評価した。
(評価基準)
A:溶解した被膜の面積が80%以上である。
B:溶解した被膜の面積が60%以上80%未満
C:溶解した被膜の面積が20%以上60%未満
D:溶解した被膜の面積が20%未満
【0071】
〔水希釈性〕
撥水撥油剤をエタノールで希釈することにより、ポリマー濃度が20質量%のポリマー溶液を調製した。前記で得られたポリマー溶液100gと精製水100gとを25℃の各液温にて混合し、得られた混合溶液を十分に撹拌した後、静置し、当該混合溶液を25℃の液温にて目視で観察し、以下の評価基準に基づいて評価した。
(評価基準)
A:ポリマーが完全に溶解
B:ポリマーが急化しているかまたは懸濁
C:ポリマーが析出
【0072】
実施例2
撹拌装置、不活性ガス導入口、環流冷却管および温度計を取り付けた500mL容の5つ口フラスコ内にN−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン70g、ラウリルアクリレート〔大阪有機化学工業(株)製〕20gおよび3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチルアクリレート〔大阪有機化学工業(株)製、品番:V−13F〕10gからなるモノマー成分とエチルアルコール234gを入れた。フラスコの内容物を75℃に昇温した後、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)〔和光純薬工業(株)製、品番:V−601〕0.6gをフラスコ内に入れ、還流条件下で8時間撹拌しながら重合反応を行なうことにより、前記モノマー成分からなるポリマーを含有する反応溶液を得た。
【0073】
前記で得られた反応溶液を撥水撥油剤として用い、当該撥水撥油剤をバーコータで乾燥後の被膜の厚さが10μmとなるように表面が平滑なガラスプレート(縦:50mm、横:20mm、厚さ:3mm)に塗布し、60℃の大気中で乾燥させることにより、試験片を得た。
【0074】
次に、前記で得られた試験片を用いて被膜の撥水性および撥水持続性、撥油性および撥油持続性ならびに水溶性を実施例1と同様にして調べた。また、撥水撥油剤の水希釈性を実施例1と同様にして調べた。その結果、撥水性(接触角)は103.1°であり、撥水持続性は60.4%であり、撥油性(接触角)は69°であり、撥油持続性は87.0%であり、水溶性の評価はBであり、水希釈性の評価はAであった。
【0075】
実施例3
撹拌装置、不活性ガス導入口、環流冷却管および温度計を取り付けた500mL容の5つ口フラスコ内にN−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン70g、ラウリルアクリレート〔大阪有機化学工業(株)製〕28gおよび3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチルアクリレート〔大阪有機化学工業(株)製、品番:V−13F〕2gからなるモノマー成分とエチルアルコール234gを入れた。フラスコの内容物を75℃に昇温した後、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)〔和光純薬工業(株)製、品番:V−601〕0.6gをフラスコ内に入れ、還流条件下で8時間撹拌しながら重合反応を行なうことにより、前記モノマー成分からなるポリマーを含有する反応溶液を得た。
【0076】
前記で得られた反応溶液を撥水撥油剤として用い、当該撥水撥油剤をバーコータで乾燥後の被膜の厚さが10μmとなるように表面が平滑なガラスプレート(縦:50mm、横:20mm、厚さ:3mm)に塗布し、60℃の大気中で乾燥させることにより、試験片を得た。
【0077】
次に、前記で得られた試験片を用いて被膜の撥水性および撥水持続性、撥油性および撥油持続性ならびに水溶性を実施例1と同様にして調べた。また、撥水撥油剤の水希釈性を実施例1と同様にして調べた。その結果、撥水性(接触角)は117.3°であり、撥水持続性は61.5%であり、撥油性(接触角)は60°であり、撥油持続性は91.7%であり、水溶性の評価はBであり、水希釈性の評価はAであった。
【0078】
実施例4
撹拌装置、不活性ガス導入口、環流冷却管および温度計を取り付けた500mL容の5つ口フラスコ内にN−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン70g、ラウリルアクリレート〔大阪有機化学工業(株)製〕10gおよび3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチルアクリレート〔大阪有機化学工業(株)製、品番:V−13F〕20gからなるモノマー成分とエチルアルコール234gを入れた。フラスコの内容物を75℃に昇温した後、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)〔和光純薬工業(株)製、品番:V−601〕0.6gをフラスコ内に入れ、還流条件下で8時間撹拌しながら重合反応を行なうことにより、前記モノマー成分からなるポリマーを含有する反応溶液を得た。
【0079】
前記で得られた反応溶液を撥水撥油剤として用い、当該撥水撥油剤をバーコータで乾燥後の被膜の厚さが10μmとなるように表面が平滑なガラスプレート(縦:50mm、横:20mm、厚さ:3mm)に塗布し、60℃の大気中で乾燥させることにより、試験片を得た。
【0080】
次に、前記で得られた試験片を用いて被膜の撥水性および撥水持続性、撥油性および撥油持続性ならびに水溶性を実施例1と同様にして調べた。また、撥水撥油剤の水希釈性を実施例1と同様にして調べた。その結果、撥水性(接触角)は102.6°であり、撥水持続性は74.6%であり、撥水持続性は74.6%であり、撥油性(接触角)は80°であり、撥油持続性は93.8%であり、水溶性の評価はBであり、水希釈性の評価はAであった。
【0081】
実施例5
撹拌装置、不活性ガス導入口、環流冷却管および温度計を取り付けた500mL容の5つ口フラスコ内にN−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン40g、ラウリルアクリレート〔大阪有機化学工業(株)製〕50gおよび3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチルアクリレート〔大阪有機化学工業(株)製、品番:V−13F〕10gからなるモノマー成分とエチルアルコール234gを入れた。フラスコの内容物を75℃に昇温した後、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)〔和光純薬工業(株)製、品番:V−601〕0.6gをフラスコ内に入れ、還流条件下で8時間撹拌しながら重合反応を行なうことにより、前記モノマー成分からなるポリマーを含有する反応溶液を得た。
【0082】
前記で得られた反応溶液を撥水撥油剤として用い、当該撥水撥油剤をバーコータで乾燥後の被膜の厚さが10μmとなるように表面が平滑なガラスプレート(縦:50mm、横:20mm、厚さ:3mm)に塗布し、60℃の大気中で乾燥させることにより、試験片を得た。
【0083】
次に、前記で得られた試験片を用いて被膜の撥水性および撥水持続性、撥油性および撥油持続性ならびに水溶性を実施例1と同様にして調べた。また、撥水撥油剤の水希釈性を実施例1と同様にして調べた。その結果、撥水性(接触角)は111.6°であり、撥水持続性は82.0%であり、撥油性(接触角)は69.2°であり、撥油持続性は99.4%であり、水溶性の評価はBであり、水希釈性の評価はAであった。
【0084】
実施例6
撹拌装置、不活性ガス導入口、環流冷却管および温度計を取り付けた500mL容の5つ口フラスコ内にN−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン20g、ラウリルアクリレート〔大阪有機化学工業(株)製〕70gおよび3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチルアクリレート〔大阪有機化学工業(株)製、品番:V−13F〕10gからなるモノマー成分とエチルアルコール234gを入れた。フラスコの内容物を75℃に昇温した後、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)〔和光純薬工業(株)製、品番:V−601〕0.6gをフラスコ内に入れ、還流条件下で8時間撹拌しながら重合反応を行なうことにより、前記モノマー成分からなるポリマーを含有する反応溶液を得た。
【0085】
前記で得られた反応溶液を撥水撥油剤として用い、当該撥水撥油剤をバーコータで乾燥後の被膜の厚さが10μmとなるように表面が平滑なガラスプレート(縦:50mm、横:20mm、厚さ:3mm)に塗布し、60℃の大気中で乾燥させることにより、試験片を得た。
【0086】
次に、前記で得られた試験片を用いて被膜の撥水性および撥水持続性、撥油性および撥油持続性ならびに水溶性を実施例1と同様にして調べた。また、撥水撥油剤の水希釈性を実施例1と同様にして調べた。その結果、撥水性(接触角)は120.7°であり、撥水持続性は91.0%であり、撥油性(接触角)は67.8°であり、撥油持続性は98.7%であり、水溶性の評価はBであり、水希釈性の評価はAであった。
【0087】
実施例7
撹拌装置、不活性ガス導入口、環流冷却管および温度計を取り付けた500mL容の5つ口フラスコ内にN−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン70g、ステアリルメタクリレート20gおよび3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチルアクリレート〔大阪有機化学工業(株)製、品番:V−13F〕10gからなるモノマー成分とエチルアルコール234gを入れた。フラスコの内容物を75℃に昇温した後、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)〔和光純薬工業(株)製、品番:V−601〕0.6gをフラスコ内に入れ、還流条件下で8時間撹拌しながら重合反応を行なうことにより、前記モノマー成分からなるポリマーを含有する反応溶液を得た。
【0088】
前記で得られた反応溶液を撥水撥油剤として用い、当該撥水撥油剤をバーコータで乾燥後の被膜の厚さが10μmとなるように表面が平滑なガラスプレート(縦:50mm、横:20mm、厚さ:3mm)に塗布し、60℃の大気中で乾燥させることにより、試験片を得た。
【0089】
次に、前記で得られた試験片を用いて被膜の撥水性および撥水持続性、撥油性および撥油持続性ならびに水溶性を実施例1と同様にして調べた。また、撥水撥油剤の水希釈性を実施例1と同様にして調べた。その結果、撥水性(接触角)は119.0°であり、撥水持続性は96.7%であり、撥油性(接触角)は51.3°であり、撥油持続性は97.5%であり、水溶性の評価はBであり、水希釈性の評価はBであった。
【0090】
実施例8
撹拌装置、不活性ガス導入口、環流冷却管および温度計を取り付けた500mL容の5つ口フラスコ内にN−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン70g、2−エチルヘキシルアクリレート20gおよび3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチルアクリレート〔大阪有機化学工業(株)製、品番:V−13F〕10gからなるモノマー成分とエチルアルコール234gを入れた。フラスコの内容物を75℃に昇温した後、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)〔和光純薬工業(株)製、品番:V−601〕0.6gをフラスコ内に入れ、還流条件下で8時間撹拌しながら重合反応を行なうことにより、前記モノマー成分からなるポリマーを含有する反応溶液を得た。
【0091】
前記で得られた反応溶液を撥水撥油剤として用い、当該撥水撥油剤をバーコータで乾燥後の被膜の厚さが10μmとなるように表面が平滑なガラスプレート(縦:50mm、横:20mm、厚さ:3mm)に塗布し、60℃の大気中で乾燥させることにより、試験片を得た。
【0092】
次に、前記で得られた試験片を用いて被膜の撥水性および撥水持続性、撥油性および撥油持続性ならびに水溶性を実施例1と同様にして調べた。また、撥水撥油剤の水希釈性を実施例1と同様にして調べた。その結果、撥水性(接触角)は100°であり、撥水持続性は35.5%であり、撥油性(接触角)は71.4°であり、撥油持続性は100.0%であり、水溶性の評価はBであり、水希釈性の評価はAであった。
【0093】
実施例9
撹拌装置、不活性ガス導入口、環流冷却管および温度計を取り付けた500mL容の5つ口フラスコ内にN−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン40g、2−エチルヘキシルアクリレート50gおよび3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチルアクリレート〔大阪有機化学工業(株)製、品番:V−13F〕10gからなるモノマー成分とエチルアルコール234gを入れた。フラスコの内容物を75℃に昇温した後、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)〔和光純薬工業(株)製、品番:V−601〕0.6gをフラスコ内に入れ、還流条件下で8時間撹拌しながら重合反応を行なうことにより、前記モノマー成分からなるポリマーを含有する反応溶液を得た。
【0094】
前記で得られた反応溶液を撥水撥油剤として用い、当該撥水撥油剤をバーコータで乾燥後の被膜の厚さが10μmとなるように表面が平滑なガラスプレート(縦:50mm、横:20mm、厚さ:3mm)に塗布し、60℃の大気中で乾燥させることにより、試験片を得た。
【0095】
次に、前記で得られた試験片を用いて被膜の撥水性および撥水持続性、撥油性および撥油持続性ならびに水溶性を実施例1と同様にして調べた。また、撥水撥油剤の水希釈性を実施例1と同様にして調べた。その結果、撥水性(接触角)は109.1°であり、撥水持続性は56.1%であり、撥油性(接触角)は69.2°であり、撥油持続性は99.4%であり、水溶性の評価はBであり、水希釈性の評価はAであった。
【0096】
実施例10
撹拌装置、不活性ガス導入口、環流冷却管および温度計を取り付けた500mL容の5つ口フラスコ内にN−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン20g、2−エチルヘキシルアクリレート70gおよび3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチルアクリレート〔大阪有機化学工業(株)製、品番:V−13F〕10gからなるモノマー成分とエチルアルコール234gを入れた。フラスコの内容物を75℃に昇温した後、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)〔和光純薬工業(株)製、品番:V−601〕0.6gをフラスコ内に入れ、還流条件下で8時間撹拌しながら重合反応を行なうことにより、前記モノマー成分からなるポリマーを含有する反応溶液を得た。
【0097】
前記で得られた反応溶液を撥水撥油剤として用い、当該撥水撥油剤をバーコータで乾燥後の被膜の厚さが10μmとなるように表面が平滑なガラスプレート(縦:50mm、横:20mm、厚さ:3mm)に塗布し、60℃の大気中で乾燥させることにより、試験片を得た。
【0098】
次に、前記で得られた試験片を用いて被膜の撥水性および撥水持続性、撥油性および撥油持続性ならびに水溶性を実施例1と同様にして調べた。また、撥水撥油剤の水希釈性を実施例1と同様にして調べた。その結果、撥水性(接触角)は121.6°であり、撥水持続性は71.3%であり、撥油性(接触角)は67.8°であり、撥油持続性は98.9%であり、水溶性の評価はAであり、水希釈性の評価はAであった。
【0099】
実施例11
撹拌装置、不活性ガス導入口、環流冷却管および温度計を取り付けた500mL容の5つ口フラスコ内にN−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン5g、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸5g、2−エチルヘキシルアクリレート80gおよび3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチルアクリレート〔大阪有機化学工業(株)製、品番:V−13F〕10gからなるモノマー成分とエチルアルコール234gを入れた。フラスコの内容物を75℃に昇温した後、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)〔和光純薬工業(株)製、品番:V−601〕0.6gをフラスコ内に入れ、還流条件下で8時間撹拌しながら重合反応を行なうことにより、前記モノマー成分からなるポリマーを含有する反応溶液を得た。
【0100】
前記で得られた反応溶液を撥水撥油剤として用い、当該撥水撥油剤をバーコータで乾燥後の被膜の厚さが10μmとなるように表面が平滑なガラスプレート(縦:50mm、横:20mm、厚さ:3mm)に塗布し、60℃の大気中で乾燥させることにより、試験片を得た。
【0101】
次に、前記で得られた試験片を用いて被膜の撥水性および撥水持続性、撥油性および撥油持続性ならびに水溶性を実施例1と同様にして調べた。また、撥水撥油剤の水希釈性を実施例1と同様にして調べた。その結果、撥水性(接触角)は119.8°であり、撥水持続性は86.8%であり、撥油性(接触角)は76.1°であり、撥油持続性は98.9%であり、水溶性の評価はBであり、水希釈性の評価はBであった。
【0102】
実施例12
撹拌装置、不活性ガス導入口、環流冷却管および温度計を取り付けた500mL容の5つ口フラスコ内にN−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン5g、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸5g、2−エチルヘキシルアクリレート80gおよび3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチルアクリレート〔大阪有機化学工業(株)製、品番:V−13F〕10gからなるモノマー成分とエチルアルコール234gを入れた。フラスコの内容物を75℃に昇温した後、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)〔和光純薬工業(株)製、品番:V−601〕0.6gをフラスコ内に入れ、還流条件下で8時間撹拌しながら重合反応を行なうことにより、前記モノマー成分からなるポリマーを含有する反応溶液を得た。
【0103】
前記で得られた反応溶液にトリエタノールアミン7.2gおよびエチルアルコール178gを添加し、混合することによって撥水撥油剤を得た。前記で得られた撥水撥油剤をバーコータで乾燥後の被膜の厚さが10μmとなるように表面が平滑なガラスプレート(縦:50mm、横:20mm、厚さ:3mm)に塗布し、60℃の大気中で乾燥させることにより、試験片を得た。
【0104】
次に、前記で得られた試験片を用いて被膜の撥水性および撥水持続性、撥油性および撥油持続性ならびに水溶性を実施例1と同様にして調べた。また、撥水撥油剤の水希釈性を実施例1と同様にして調べた。その結果、撥水性(接触角)は112.7°であり、撥水持続性は84.7%であり、撥油性(接触角)は102.1°であり、撥油持続性は96.0%であり、水溶性の評価はAであり、水希釈性の評価はAであった。
【0105】
実施例13
撹拌装置、不活性ガス導入口、環流冷却管および温度計を取り付けた500mL容の5つ口フラスコ内にN−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン10g、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸5g、2−エチルヘキシルアクリレート75gおよび3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチルアクリレート〔大阪有機化学工業(株)製、品番:V−13F〕10gからなるモノマー成分とエチルアルコール234gを入れた。フラスコの内容物を75℃に昇温した後、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)〔和光純薬工業(株)製、品番:V−601〕0.6gをフラスコ内に入れ、還流条件下で8時間撹拌しながら重合反応を行なうことにより、前記モノマー成分からなるポリマーを含有する反応溶液を得た。
【0106】
前記で得られた反応溶液を撥水撥油剤として用い、当該撥水撥油剤をバーコータで乾燥後の被膜の厚さが10μmとなるように表面が平滑なガラスプレート(縦:50mm、横:20mm、厚さ:3mm)に塗布し、60℃の大気中で乾燥させることにより、試験片を得た。
【0107】
次に、前記で得られた試験片を用いて被膜の撥水性および撥水持続性、撥油性および撥油持続性ならびに水溶性を実施例1と同様にして調べた。また、撥水撥油剤の水希釈性を実施例1と同様にして調べた。その結果、撥水性(接触角)は116.5°であり、撥水持続性は78.5%であり、撥油性(接触角)は56.8°であり、撥油持続性は100.0%であり、水溶性の評価はBであり、水希釈性の評価はBであった。
【0108】
実施例14
撹拌装置、不活性ガス導入口、環流冷却管および温度計を取り付けた500mL容の5つ口フラスコ内にN−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン10g、2−ヒドロキシエチルアクリレート10g、2−エチルヘキシルアクリレート70gおよび3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチルアクリレート〔大阪有機化学工業(株)製、品番:V−13F〕10gからなるモノマー成分とエチルアルコール234gを入れた。フラスコの内容物を75℃に昇温した後、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)〔和光純薬工業(株)製、品番:V−601〕0.6gをフラスコ内に入れ、還流条件下で8時間撹拌しながら重合反応を行なうことにより、前記モノマー成分からなるポリマーを含有する反応溶液を得た。
【0109】
前記で得られた反応溶液を撥水撥油剤として用い、当該撥水撥油剤をバーコータで乾燥後の被膜の厚さが10μmとなるように表面が平滑なガラスプレート(縦:50mm、横:20mm、厚さ:3mm)に塗布し、60℃の大気中で乾燥させることにより、試験片を得た。
【0110】
次に、前記で得られた試験片を用いて被膜の撥水性および撥水持続性、撥油性および撥油持続性ならびに水溶性を実施例1と同様にして調べた。また、撥水撥油剤の水希釈性を実施例1と同様にして調べた。その結果、撥水性(接触角)は123.6°であり、撥水持続性は64.3%であり、撥油性(接触角)は95.7°であり、撥油持続性は89.3%であり、水溶性の評価はBであり、水希釈性の評価はBであった。
【0111】
実施例15
撹拌装置、不活性ガス導入口、環流冷却管および温度計を取り付けた500mL容の5つ口フラスコ内にN−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン20g、2−ヒドロキシエチルアクリレート20g、2−エチルヘキシルアクリレート50gおよび3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチルアクリレート〔大阪有機化学工業(株)製、品番:V−13F〕10gからなるモノマー成分とエチルアルコール234gを入れた。フラスコの内容物を75℃に昇温した後、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)〔和光純薬工業(株)製、品番:V−601〕0.6gをフラスコ内に入れ、還流条件下で8時間撹拌しながら重合反応を行なうことにより、前記モノマー成分からなるポリマーを含有する反応溶液を得た。
【0112】
前記で得られた反応溶液を撥水撥油剤として用い、当該撥水撥油剤をバーコータで乾燥後の被膜の厚さが10μmとなるように表面が平滑なガラスプレート(縦:50mm、横:20mm、厚さ:3mm)に塗布し、60℃の大気中で乾燥させることにより、試験片を得た。
【0113】
次に、前記で得られた試験片を用いて被膜の撥水性および撥水持続性、撥油性および撥油持続性ならびに水溶性を実施例1と同様にして調べた。また、撥水撥油剤の水希釈性を実施例1と同様にして調べた。その結果、撥水性(接触角)は123.7°であり、撥水持続性は23.1%であり、撥油性(接触角)は92°であり、撥油持続性は93.8%であり、水溶性の評価はBであり、水希釈性の評価はBであった。
【0114】
実施例16
撹拌装置、不活性ガス導入口、環流冷却管および温度計を取り付けた500mL容の5つ口フラスコ内にN−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン10g、2−ヒドロキシエチルアクリレート20g、2−エチルヘキシルアクリレート60gおよび3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチルアクリレート〔大阪有機化学工業(株)製、品番:V−13F〕10gからなるモノマー成分とエチルアルコール234gを入れた。フラスコの内容物を75℃に昇温した後、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)〔和光純薬工業(株)製、品番:V−601〕0.6gをフラスコ内に入れ、還流条件下で8時間撹拌しながら重合反応を行なうことにより、前記モノマー成分からなるポリマーを含有する反応溶液を得た。
【0115】
前記で得られた反応溶液を撥水撥油剤として用い、当該撥水撥油剤をバーコータで乾燥後の被膜の厚さが10μmとなるように表面が平滑なガラスプレート(縦:50mm、横:20mm、厚さ:3mm)に塗布し、60℃の大気中で乾燥させることにより、試験片を得た。
【0116】
次に、前記で得られた試験片を用いて被膜の撥水性および撥水持続性、撥油性および撥油持続性ならびに水溶性を実施例1と同様にして調べた。また、撥水撥油剤の水希釈性を実施例1と同様にして調べた。その結果、撥水性(接触角)は131.3°であり、撥水持続性は32.7%であり、撥油性(接触角)は91.4°であり、撥油持続性は93.7%であり、水溶性の評価はBであり、水希釈性の評価はBであった。
【0117】
実施例17
撹拌装置、不活性ガス導入口、環流冷却管および温度計を取り付けた500mL容の5つ口フラスコ内にN−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン20g、2−ヒドロキシエチルアクリレート10g、2−エチルヘキシルアクリレート60gおよび3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチルアクリレート〔大阪有機化学工業(株)製、品番:V−13F〕10gからなるモノマー成分とエチルアルコール234gを入れた。フラスコの内容物を75℃に昇温した後、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)〔和光純薬工業(株)製、品番:V−601〕0.6gをフラスコ内に入れ、還流条件下で8時間撹拌しながら重合反応を行なうことにより、前記モノマー成分からなるポリマーを含有する反応溶液を得た。
【0118】
前記で得られた反応溶液を撥水撥油剤として用い、当該撥水撥油剤をバーコータで乾燥後の被膜の厚さが10μmとなるように表面が平滑なガラスプレート(縦:50mm、横:20mm、厚さ:3mm)に塗布し、60℃の大気中で乾燥させることにより、試験片を得た。
【0119】
次に、前記で得られた試験片を用いて被膜の撥水性および撥水持続性、撥油性および撥油持続性ならびに水溶性を実施例1と同様にして調べた。また、撥水撥油剤の水希釈性を実施例1と同様にして調べた。その結果、撥水性(接触角)は121.6°であり、撥水持続性は53.0%であり、撥油性(接触角)は93.9°であり、撥油持続性は87.0%であり、水溶性の評価はBであり、水希釈性の評価はBであった。
【0120】
実施例18
撹拌装置、不活性ガス導入口、環流冷却管および温度計を取り付けた500mL容の5つ口フラスコ内にN−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン20g、2−ヒドロキシエチルアクリレート5g、2−エチルヘキシルアクリレート65gおよび3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチルアクリレート〔大阪有機化学工業(株)製、品番:V−13F〕10gからなるモノマー成分とエチルアルコール234gを入れた。フラスコの内容物を75℃に昇温した後、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)〔和光純薬工業(株)製、品番:V−601〕0.6gをフラスコ内に入れ、還流条件下で8時間撹拌しながら重合反応を行なうことにより、前記モノマー成分からなるポリマーを含有する反応溶液を得た。
【0121】
前記で得られた反応溶液を撥水撥油剤として用い、当該撥水撥油剤をバーコータで乾燥後の被膜の厚さが10μmとなるように表面が平滑なガラスプレート(縦:50mm、横:20mm、厚さ:3mm)に塗布し、60℃の大気中で乾燥させることにより、試験片を得た。
【0122】
次に、前記で得られた試験片を用いて被膜の撥水性および撥水持続性、撥油性および撥油持続性ならびに水溶性を実施例1と同様にして調べた。また、撥水撥油剤の水希釈性を実施例1と同様にして調べた。その結果、撥水性(接触角)は121.2°であり、撥水持続性は72.0%であり、撥油性(接触角)は94.5°であり、撥油持続性は92.7%であり、水溶性の評価はBであり、水希釈性の評価はBであった。
【0123】
実施例19
撹拌装置、不活性ガス導入口、環流冷却管および温度計を取り付けた500mL容の5つ口フラスコ内にN−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン60g、2−ヒドロキシエチルアクリレート10g、ステアリルメタクリレート20gおよび3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチルアクリレート〔大阪有機化学工業(株)製、品番:V−13F〕10gからなるモノマー成分とエチルアルコール234gを入れた。フラスコの内容物を75℃に昇温した後、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)〔和光純薬工業(株)製、品番:V−601〕0.6gをフラスコ内に入れ、還流条件下で8時間撹拌しながら重合反応を行なうことにより、前記モノマー成分からなるポリマーを含有する反応溶液を得た。
【0124】
前記で得られた反応溶液を撥水撥油剤として用い、当該撥水撥油剤をバーコータで乾燥後の被膜の厚さが10μmとなるように表面が平滑なガラスプレート(縦:50mm、横:20mm、厚さ:3mm)に塗布し、60℃の大気中で乾燥させることにより、試験片を得た。
【0125】
次に、前記で得られた試験片を用いて被膜の撥水性および撥水持続性、撥油性および撥油持続性ならびに水溶性を実施例1と同様にして調べた。また、撥水撥油剤の水希釈性を実施例1と同様にして調べた。その結果、撥水性(接触角)は111.8°であり、撥水持続性は98.0%であり、撥油性(接触角)は74.8°であり、撥油持続性は100.0%であり、水溶性の評価はBであり、水希釈性の評価はBであった。
【0126】
実施例20
撹拌装置、不活性ガス導入口、環流冷却管および温度計を取り付けた500mL容の5つ口フラスコ内にN−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン5g、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸10g、2−エチルヘキシルアクリレート75gおよび3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチルアクリレート〔大阪有機化学工業(株)製、品番:V−13F〕10gからなるモノマー成分とエチルアルコール234gを入れた。フラスコの内容物を75℃に昇温した後、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)〔和光純薬工業(株)製、品番:V−601〕0.6gをフラスコ内に入れ、還流条件下で8時間撹拌しながら重合反応を行なうことにより、前記モノマー成分からなるポリマーを含有する反応溶液を得た。
【0127】
前記で得られた反応溶液を撥水撥油剤として用い、当該撥水撥油剤をバーコータで乾燥後の被膜の厚さが10μmとなるように表面が平滑なガラスプレート(縦:50mm、横:20mm、厚さ:3mm)に塗布し、60℃の大気中で乾燥させることにより、試験片を得た。
【0128】
次に、前記で得られた試験片を用いて被膜の撥水性および撥水持続性、撥油性および撥油持続性ならびに水溶性を実施例1と同様にして調べた。また、撥水撥油剤の水希釈性を実施例1と同様にして調べた。その結果、撥水性(接触角)は120.6°であり、撥水持続性は91.7%であり、撥油性(接触角)は99.4°であり、撥油持続性は96.7%であり、水溶性の評価はBであり、水希釈性の評価はBであった。
【0129】
実施例21
撹拌装置、不活性ガス導入口、環流冷却管および温度計を取り付けた500mL容の5つ口フラスコ内にN−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン5g、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸10g、2−エチルヘキシルアクリレート75gおよび3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチルアクリレート〔大阪有機化学工業(株)製、品番:V−13F〕10gからなるモノマー成分とエチルアルコール234gを入れた。フラスコの内容物を75℃に昇温した後、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)〔和光純薬工業(株)製、品番:V−601〕0.6gをフラスコ内に入れ、還流条件下で8時間撹拌しながら重合反応を行なうことにより、前記モノマー成分からなるポリマーを含有する反応溶液を得た。
【0130】
前記で得られた反応溶液にトリエタノールアミン7.2gおよびエチルアルコール178gを添加し、混合することによって撥水撥油剤を得た。前記で得られた撥水撥油剤をバーコータで乾燥後の被膜の厚さが10μmとなるように表面が平滑なガラスプレート(縦:50mm、横:20mm、厚さ:3mm)に塗布し、60℃の大気中で乾燥させることにより、試験片を得た。
【0131】
次に、前記で得られた試験片を用いて被膜の撥水性および撥水持続性、撥油性および撥油持続性ならびに水溶性を実施例1と同様にして調べた。また、撥水撥油剤の水希釈性を実施例1と同様にして調べた。その結果、撥水性(接触角)は107.4°であり、撥水持続性は71.1%であり、撥油性(接触角)は71.4°であり、撥油持続性は98.2%であり、水溶性の評価はAであり、水希釈性の評価はAであった。
【0132】
実施例22
撹拌装置、不活性ガス導入口、環流冷却管および温度計を取り付けた500mL容の5つ口フラスコ内にN−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン5g、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸20g、2−エチルヘキシルアクリレート65gおよび3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチルアクリレート〔大阪有機化学工業(株)製、品番:V−13F〕10gからなるモノマー成分とエチルアルコール234gを入れた。フラスコの内容物を75℃に昇温した後、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)〔和光純薬工業(株)製、品番:V−601〕0.6gをフラスコ内に入れ、還流条件下で8時間撹拌しながら重合反応を行なうことにより、前記モノマー成分からなるポリマーを含有する反応溶液を得た。
【0133】
前記で得られた反応溶液を撥水撥油剤として用い、当該撥水撥油剤をバーコータで乾燥後の被膜の厚さが10μmとなるように表面が平滑なガラスプレート(縦:50mm、横:20mm、厚さ:3mm)に塗布し、60℃の大気中で乾燥させることにより、試験片を得た。
【0134】
次に、前記で得られた試験片を用いて被膜の撥水性および撥水持続性、撥油性および撥油持続性ならびに水溶性を実施例1と同様にして調べた。また、撥水撥油剤の水希釈性を実施例1と同様にして調べた。その結果、撥水性(接触角)は112.2°であり、撥水持続性は85.9%であり、撥油性(接触角)は59.7°であり、撥油持続性は99.5%であり、水溶性の評価はBであり、水希釈性の評価はBであった。
【0135】
実施例23
撹拌装置、不活性ガス導入口、環流冷却管および温度計を取り付けた500mL容の5つ口フラスコ内にN−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン5g、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸10g、2−エチルヘキシルアクリレート74g、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチルアクリレート〔大阪有機化学工業(株)製、品番:V−13F〕10gおよびトリプロピレングリコールジアクリレート1gからなるモノマー成分とエチルアルコール234gを入れた。フラスコの内容物を75℃に昇温した後、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)〔和光純薬工業(株)製、品番:V−601〕0.6gをフラスコ内に入れ、還流条件下で8時間撹拌しながら重合反応を行なうことにより、前記モノマー成分からなるポリマーを含有する反応溶液を得た。
【0136】
前記で得られた反応溶液にトリエタノールアミン7.2gおよびエチルアルコール178gを添加し、混合することによって撥水撥油剤を得た。前記で得られた撥水撥油剤をバーコータで乾燥後の被膜の厚さが10μmとなるように表面が平滑なガラスプレート(縦:50mm、横:20mm、厚さ:3mm)に塗布し、60℃の大気中で乾燥させることにより、試験片を得た。
【0137】
次に、前記で得られた試験片を用いて被膜の撥水性および撥水持続性、撥油性および撥油持続性ならびに水溶性を実施例1と同様にして調べた。また、撥水撥油剤の水希釈性を実施例1と同様にして調べた。その結果、撥水性(接触角)は101.9°であり、撥水持続性は70.4%であり、撥油性(接触角)は91.9°であり、撥油持続性は98.3%であり、水溶性の評価はAであり、水希釈性の評価はAであった。
【0138】
実施例24
撹拌装置、不活性ガス導入口、環流冷却管および温度計を取り付けた500mL容の5つ口フラスコ内にN−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン5g、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸10g、2−エチルヘキシルアクリレート72g、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチルアクリレート〔大阪有機化学工業(株)製、品番:V−13F〕10gおよびトリプロピレングリコールジアクリレート3gからなるモノマー成分とエチルアルコール234gを入れた。フラスコの内容物を75℃に昇温した後、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)〔和光純薬工業(株)製、品番:V−601〕0.6gをフラスコ内に入れ、還流条件下で8時間撹拌しながら重合反応を行なうことにより、前記モノマー成分からなるポリマーを含有する反応溶液を得た。
【0139】
前記で得られた反応溶液にトリエタノールアミン7.2gおよびエチルアルコール178gを添加し、混合することによって撥水撥油剤を得た。前記で得られた撥水撥油剤をバーコータで乾燥後の被膜の厚さが10μmとなるように表面が平滑なガラスプレート(縦:50mm、横:20mm、厚さ:3mm)に塗布し、60℃の大気中で乾燥させることにより、試験片を得た。
【0140】
次に、前記で得られた試験片を用いて被膜の撥水性および撥水持続性、撥油性および撥油持続性ならびに水溶性を実施例1と同様にして調べた。また、撥水撥油剤の水希釈性を実施例1と同様にして調べた。その結果、撥水性(接触角)は111.9°であり、撥水持続性は68.7%であり、撥油性(接触角)は92.9°であり、撥油持続性は97.2%であり、水溶性の評価はAであり、水希釈性の評価はAであった。
【0141】
実施例25
撹拌装置、不活性ガス導入口、環流冷却管および温度計を取り付けた500mL容の5つ口フラスコ内にN−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン5g、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸10g、2−エチルヘキシルアクリレート70g、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチルアクリレート〔大阪有機化学工業(株)製、品番:V−13F〕10gおよびトリプロピレングリコールジアクリレート5gからなるモノマー成分とエチルアルコール234gを入れた。フラスコの内容物を75℃に昇温した後、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)〔和光純薬工業(株)製、品番:V−601〕0.6gをフラスコ内に入れ、還流条件下で8時間撹拌しながら重合反応を行なうことにより、前記モノマー成分からなるポリマーを含有する反応溶液を得た。
【0142】
前記で得られた反応溶液にトリエタノールアミン7.2gおよびエチルアルコール178gを添加し、混合することによって撥水撥油剤を得た。前記で得られた撥水撥油剤をバーコータで乾燥後の被膜の厚さが10μmとなるように表面が平滑なガラスプレート(縦:50mm、横:20mm、厚さ:3mm)に塗布し、60℃の大気中で乾燥させることにより、試験片を得た。
【0143】
次に、前記で得られた試験片を用いて被膜の撥水性および撥水持続性、撥油性および撥油持続性ならびに水溶性を実施例1と同様にして調べた。また、撥水撥油剤の水希釈性を実施例1と同様にして調べた。その結果、撥水性(接触角)は112.3°であり、撥水持続性は77.8%であり、撥油性(接触角)は90.3°であり、撥油持続性は96.9%であり、水溶性の評価はAであり、水希釈性の評価はAであった。
【0144】
実施例26
撹拌装置、不活性ガス導入口、環流冷却管および温度計を取り付けた500mL容の5つ口フラスコ内にN−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン5g、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸10g、2−エチルヘキシルアクリレート65g、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチルアクリレート〔大阪有機化学工業(株)製、品番:V−13F〕10gおよびトリプロピレングリコールジアクリレート10gからなるモノマー成分とエチルアルコール234gを入れた。フラスコの内容物を75℃に昇温した後、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)〔和光純薬工業(株)製、品番:V−601〕0.6gをフラスコ内に入れ、還流条件下で8時間撹拌しながら重合反応を行なうことにより、前記モノマー成分からなるポリマーを含有する反応溶液を得た。
【0145】
前記で得られた反応溶液にトリエタノールアミン7.2gおよびエチルアルコール178gを添加し、混合することによって撥水撥油剤を得た。前記で得られた撥水撥油剤をバーコータで乾燥後の被膜の厚さが10μmとなるように表面が平滑なガラスプレート(縦:50mm、横:20mm、厚さ:3mm)に塗布し、60℃の大気中で乾燥させることにより、試験片を得た。
【0146】
次に、前記で得られた試験片を用いて被膜の撥水性および撥水持続性、撥油性および撥油持続性ならびに水溶性を実施例1と同様にして調べた。また、撥水撥油剤の水希釈性を実施例1と同様にして調べた。その結果、撥水性(接触角)は121.5°であり、撥水持続性は96.1%であり、撥油性(接触角)は97.2°であり、撥油持続性は99.8%であり、水溶性の評価はAであり、水希釈性の評価はAであった。
【0147】
実施例27
撹拌装置、不活性ガス導入口、環流冷却管および温度計を取り付けた500mL容の5つ口フラスコ内にN−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン5g、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸10g、2−エチルヘキシルアクリレート70g、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチルアクリレート〔大阪有機化学工業(株)製、品番:V−13F〕10gおよびポリエチレングリコール(4)ジメタクリレート5gからなるモノマー成分とエチルアルコール234gを入れた。フラスコの内容物を75℃に昇温した後、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)〔和光純薬工業(株)製、品番:V−601〕0.6gをフラスコ内に入れ、還流条件下で8時間撹拌しながら重合反応を行なうことにより、前記モノマー成分からなるポリマーを含有する反応溶液を得た。
【0148】
前記で得られた反応溶液にトリエタノールアミン7.2gおよびエチルアルコール178gを添加し、混合することによって撥水撥油剤を得た。前記で得られた撥水撥油剤をバーコータで乾燥後の被膜の厚さが10μmとなるように表面が平滑なガラスプレート(縦:50mm、横:20mm、厚さ:3mm)に塗布し、60℃の大気中で乾燥させることにより、試験片を得た。
【0149】
次に、前記で得られた試験片を用いて被膜の撥水性および撥水持続性、撥油性および撥油持続性ならびに水溶性を実施例1と同様にして調べた。また、撥水撥油剤の水希釈性を実施例1と同様にして調べた。その結果、撥水性(接触角)は122.9°であり、撥水持続性は90.5%であり、撥油性(接触角)は98.3°であり、撥油持続性は97.7%であり、水溶性の評価はAであり、水希釈性の評価はAであった。
【0150】
実施例28
撹拌装置、不活性ガス導入口、環流冷却管および温度計を取り付けた500mL容の5つ口フラスコ内にN−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン5g、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸10g、2−エチルヘキシルアクリレート70g、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチルアクリレート〔大阪有機化学工業(株)製、品番:V−13F〕10gおよびポリエチレングリコール(14)ジメタクリレート5gからなるモノマー成分とエチルアルコール234gを入れた。フラスコの内容物を75℃に昇温した後、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)〔和光純薬工業(株)製、品番:V−601〕0.6gをフラスコ内に入れ、還流条件下で8時間撹拌しながら重合反応を行なうことにより、前記モノマー成分からなるポリマーを含有する反応溶液を得た。
【0151】
前記で得られた反応溶液にトリエタノールアミン7.2gおよびエチルアルコール178gを添加し、混合することによって撥水撥油剤を得た。前記で得られた撥水撥油剤をバーコータで乾燥後の被膜の厚さが10μmとなるように表面が平滑なガラスプレート(縦:50mm、横:20mm、厚さ:3mm)に塗布し、60℃の大気中で乾燥させることにより、試験片を得た。
【0152】
次に、前記で得られた試験片を用いて被膜の撥水性および撥水持続性、撥油性および撥油持続性ならびに水溶性を実施例1と同様にして調べた。また、撥水撥油剤の水希釈性を実施例1と同様にして調べた。その結果、撥水性(接触角)は125.3°であり、撥水持続性は96.9%であり、撥油性(接触角)は99.2°であり、撥油持続性は97.4%であり、水溶性の評価はAであり、水希釈性の評価はAであった。
【0153】
実施例29
撹拌装置、不活性ガス導入口、環流冷却管および温度計を取り付けた500mL容の5つ口フラスコ内にN−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン20g、n−プチルアクリレート70gおよび3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチルアクリレート〔大阪有機化学工業(株)製、品番:V−13F〕10gからなるモノマー成分とエチルアルコール234gを入れた。フラスコの内容物を75℃に昇温した後、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)〔和光純薬工業(株)製、品番:V−601〕0.6gをフラスコ内に入れ、還流条件下で8時間撹拌しながら重合反応を行なうことにより、前記モノマー成分からなるポリマーを含有する反応溶液を得た。
【0154】
前記で得られた反応溶液を撥水撥油剤として用い、当該撥水撥油剤をバーコータで乾燥後の被膜の厚さが10μmとなるように表面が平滑なガラスプレート(縦:50mm、横:20mm、厚さ:3mm)に塗布し、60℃の大気中で乾燥させることにより、試験片を得た。
【0155】
次に、前記で得られた試験片を用いて被膜の撥水性および撥水持続性、撥油性および撥油持続性ならびに水溶性を実施例1と同様にして調べた。また、撥水撥油剤の水希釈性を実施例1と同様にして調べた。その結果、撥水性(接触角)は102°であり、撥水持続性は33.3%であり、撥油性(接触角)は72.0°であり、撥油持続性は98.6%であり、水溶性の評価はCであり、水希釈性の評価はBであった。
【0156】
実施例30
撹拌装置、不活性ガス導入口、環流冷却管および温度計を取り付けた500mL容の5つ口フラスコ内にN−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン20g、メチルメタクリレート70gおよび3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチルアクリレート〔大阪有機化学工業(株)製、品番:V−13F〕10gからなるモノマー成分とエチルアルコール234gを入れた。フラスコの内容物を75℃に昇温した後、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)〔和光純薬工業(株)製、品番:V−601〕0.6gをフラスコ内に入れ、還流条件下で8時間撹拌しながら重合反応を行なうことにより、前記モノマー成分からなるポリマーを含有する反応溶液を得た。
【0157】
前記で得られた反応溶液を撥水撥油剤として用い、当該撥水撥油剤をバーコータで乾燥後の被膜の厚さが10μmとなるように表面が平滑なガラスプレート(縦:50mm、横:20mm、厚さ:3mm)に塗布し、60℃の大気中で乾燥させることにより、試験片を得た。
【0158】
次に、前記で得られた試験片を用いて被膜の撥水性および撥水持続性、撥油性および撥油持続性ならびに水溶性を実施例1と同様にして調べた。また、撥水撥油剤の水希釈性を実施例1と同様にして調べた。その結果、撥水性(接触角)は101°であり、撥水持続性は22.8%であり、撥油性(接触角)は73.0°であり、撥油持続性は98.6%であり、水溶性の評価はCであり、水希釈性の評価はBであった。
【0159】
比較例1
撹拌装置、不活性ガス導入口、環流冷却管および温度計を取り付けた500mL容の5つ口フラスコ内に2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸10g、2−エチルヘキシルアクリレート80gおよび3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチルアクリレート〔大阪有機化学工業(株)製、品番:V−13F〕10gからなるモノマー成分とエチルアルコール234gを入れた。フラスコの内容物を75℃に昇温した後、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)〔和光純薬工業(株)製、品番:V−601〕0.6gをフラスコ内に入れ、還流条件下で8時間撹拌しながら重合反応を行なうことにより、前記モノマー成分からなるポリマーを含有する反応溶液を得た。
【0160】
前記で得られた反応溶液を撥水撥油剤として用い、当該撥水撥油剤をバーコータで乾燥後の被膜の厚さが10μmとなるように表面が平滑なガラスプレート(縦:50mm、横:20mm、厚さ:3mm)に塗布し、60℃の大気中で乾燥させることにより、試験片を得た。
【0161】
次に、前記で得られた試験片を用いて被膜の撥水性および撥水持続性、撥油性および撥油持続性ならびに水溶性を実施例1と同様にして調べた。また、撥水撥油剤の水希釈性を実施例1と同様にして調べた。その結果、撥水性(接触角)は126.7°であり、撥水持続性は65.0%であり、撥油性(接触角)は101.8°であるが、撥油持続性が75.7%であることから、実使用に適していないことが確認された。
【0162】
比較例2
撹拌装置、不活性ガス導入口、環流冷却管および温度計を取り付けた500mL容の5つ口フラスコ内にアクリル酸10g、2−エチルヘキシルアクリレート80gおよび3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチルアクリレート〔大阪有機化学工業(株)製、品番:V−13F〕10gからなるモノマー成分とエチルアルコール234gを入れた。フラスコの内容物を75℃に昇温した後、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)〔和光純薬工業(株)製、品番:V−601〕0.6gをフラスコ内に入れ、還流条件下で8時間撹拌しながら重合反応を行なうことにより、前記モノマー成分からなるポリマーを含有する反応溶液を得た。
【0163】
前記で得られた反応溶液を撥水撥油剤として用い、当該撥水撥油剤をバーコータで乾燥後の被膜の厚さが10μmとなるように表面が平滑なガラスプレート(縦:50mm、横:20mm、厚さ:3mm)に塗布し、60℃の大気中で乾燥させることにより、試験片を得た。
【0164】
次に、前記で得られた試験片を用いて被膜の撥水性および撥水持続性、撥油性および撥油持続性ならびに水溶性を実施例1と同様にして調べた。また、撥水撥油剤の水希釈性を実施例1と同様にして調べた。その結果、撥水性(接触角)は118.2°であり、撥水持続性は59.9%であり、撥油性(接触角)は93.2°であるが、撥油持続性が73.9%であることから、実使用に適していないことが確認された。
【0165】
比較例3
撹拌装置、不活性ガス導入口、環流冷却管および温度計を取り付けた500mL容の5つ口フラスコ内にポリエチレングリコールモノアクリレート(CAS No.:26403−58−7)20g、2−エチルヘキシルアクリレート70gおよび3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチルアクリレート〔大阪有機化学工業(株)製、品番:V−13F〕10gからなるモノマー成分とエチルアルコール234gを入れた。フラスコの内容物を75℃に昇温した後、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)〔和光純薬工業(株)製、品番:V−601〕0.6gをフラスコ内に入れ、還流条件下で8時間撹拌しながら重合反応を行なうことにより、前記モノマー成分からなるポリマーを含有する反応溶液を得た。
【0166】
前記で得られた反応溶液を撥水撥油剤として用い、当該撥水撥油剤をバーコータで乾燥後の被膜の厚さが10μmとなるように表面が平滑なガラスプレート(縦:50mm、横:20mm、厚さ:3mm)に塗布し、60℃の大気中で乾燥させることにより、試験片を得た。
【0167】
次に、前記で得られた試験片を用いて被膜の撥水性および撥水持続性、撥油性および撥油持続性ならびに水溶性を実施例1と同様にして調べた。また、撥水撥油剤の水希釈性を実施例1と同様にして調べた。その結果、撥水性(接触角)は133.1°であり、撥水持続性は76.3%であり、撥油性(接触角)は92.2°であるが、撥油持続性が13.7%であることから、実使用に適していないことが確認された。
【0168】
比較例4
撹拌装置、不活性ガス導入口、環流冷却管および温度計を取り付けた500mL容の5つ口フラスコ内に2−ヒドロキシエチルアクリレート20g、2−エチルヘキシルアクリレート70gおよび3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチルアクリレート〔大阪有機化学工業(株)製、品番:V−13F〕10gからなるモノマー成分とエチルアルコール234gを入れた。フラスコの内容物を75℃に昇温した後、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)〔和光純薬工業(株)製、品番:V−601〕0.6gをフラスコ内に入れ、還流条件下で8時間撹拌しながら重合反応を行なうことにより、前記モノマー成分からなるポリマーを含有する反応溶液を得た。
【0169】
前記で得られた反応溶液を撥水撥油剤として用い、当該撥水撥油剤をバーコータで乾燥後の被膜の厚さが10μmとなるように表面が平滑なガラスプレート(縦:50mm、横:20mm、厚さ:3mm)に塗布し、60℃の大気中で乾燥させることにより、試験片を得た。
【0170】
次に、前記で得られた試験片を用いて被膜の撥水性および撥水持続性、撥油性および撥油持続性ならびに水溶性を実施例1と同様にして調べた。また、撥水撥油剤の水希釈性を実施例1と同様にして調べた。その結果、撥水性(接触角)は113.3°であり、撥水持続性は39.0%であり、撥油性(接触角)は98.9°であるが、撥油持続性が22.8%であることから、実使用に適していないことが確認された。
【0171】
比較例5
撹拌装置、不活性ガス導入口、環流冷却管および温度計を取り付けた500mL容の5つ口フラスコ内に2−ヒドロキシエチルアクリレート40g、2−エチルヘキシルアクリレート50gおよび3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチルアクリレート〔大阪有機化学工業(株)製、品番:V−13F〕10gからなるモノマー成分とエチルアルコール234gを入れた。フラスコの内容物を75℃に昇温した後、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)〔和光純薬工業(株)製、品番:V−601〕0.6gをフラスコ内に入れ、還流条件下で8時間撹拌しながら重合反応を行なうことにより、前記モノマー成分からなるポリマーを含有する反応溶液を得た。
【0172】
前記で得られた反応溶液を撥水撥油剤として用い、当該撥水撥油剤をバーコータで乾燥後の被膜の厚さが10μmとなるように表面が平滑なガラスプレート(縦:50mm、横:20mm、厚さ:3mm)に塗布し、60℃の大気中で乾燥させることにより、試験片を得た。
【0173】
次に、前記で得られた試験片を用いて被膜の撥水性および撥水持続性、撥油性および撥油持続性ならびに水溶性を実施例1と同様にして調べた。また、撥水撥油剤の水希釈性を実施例1と同様にして調べた。その結果、撥水性(接触角)は121.3°であり、撥水持続性は21.5%であり、撥油性(接触角)は97.2°であるが、撥油持続性が59.4%であることから、実使用に適していないことが確認された。
【0174】
比較例6
撹拌装置、不活性ガス導入口、環流冷却管および温度計を取り付けた500mL容の5つ口フラスコ内にN−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン50gおよび3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチルアクリレート〔大阪有機化学工業(株)製、品番:V−13F〕50gからなるモノマー成分とエチルアルコール234gを入れた。フラスコの内容物を75℃に昇温した後、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)〔和光純薬工業(株)製、品番:V−601〕0.6gをフラスコ内に入れ、還流条件下で8時間撹拌しながら重合反応を行なうことにより、前記モノマー成分からなるポリマーを含有する反応溶液を得た。
【0175】
前記で得られた反応溶液を撥水撥油剤として用い、当該撥水撥油剤をバーコータで乾燥後の被膜の厚さが10μmとなるように表面が平滑なガラスプレート(縦:50mm、横:20mm、厚さ:3mm)に塗布し、60℃の大気中で乾燥させることにより、試験片を得た。
【0176】
次に、前記で得られた試験片を用いて被膜の撥水性および撥水持続性、撥油性および撥油持続性ならびに水溶性を実施例1と同様にして調べた。また、撥水撥油剤の水希釈性を実施例1と同様にして調べた。その結果、撥水性(接触角)は76°であり、撥水性に著しく劣ることが確認された。
【0177】
比較例7
撹拌装置、不活性ガス導入口、環流冷却管および温度計を取り付けた500mL容の5つ口フラスコ内にN−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン80gおよび3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチルアクリレート〔大阪有機化学工業(株)製、品番:V−13F〕20gからなるモノマー成分とエチルアルコール234gを入れた。フラスコの内容物を75℃に昇温した後、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)〔和光純薬工業(株)製、品番:V−601〕0.6gをフラスコ内に入れ、還流条件下で8時間撹拌しながら重合反応を行なうことにより、前記モノマー成分からなるポリマーを含有する反応溶液を得た。
【0178】
前記で得られた反応溶液を撥水撥油剤として用い、当該撥水撥油剤をバーコータで乾燥後の被膜の厚さが10μmとなるように表面が平滑なガラスプレート(縦:50mm、横:20mm、厚さ:3mm)に塗布し、60℃の大気中で乾燥させることにより、試験片を得た。
【0179】
次に、前記で得られた試験片を用いて被膜の撥水性および撥水持続性、撥油性および撥油持続性ならびに水溶性を実施例1と同様にして調べた。また、撥水撥油剤の水希釈性を実施例1と同様にして調べた。その結果、撥水性(接触角)は61°であり、撥水持続性は32.8%であり、撥油性(接触角)は88°であり、撥水性に著しく劣ることが確認された。
【0180】
比較例8
撹拌装置、不活性ガス導入口、環流冷却管および温度計を取り付けた500mL容の5つ口フラスコ内にN−メタクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン20g、2−ヒドロキシエチルアクリレート10gおよび2−エチルヘキシルアクリレート80gからなるモノマー成分とエチルアルコール234gを入れた。フラスコの内容物を75℃に昇温した後、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)〔和光純薬工業(株)製、品番:V−601〕0.6gをフラスコ内に入れ、還流条件下で8時間撹拌しながら重合反応を行なうことにより、前記モノマー成分からなるポリマーを含有する反応溶液を得た。
【0181】
前記で得られた反応溶液を撥水撥油剤として用い、当該撥水撥油剤をバーコータで乾燥後の被膜の厚さが10μmとなるように表面が平滑なガラスプレート(縦:50mm、横:20mm、厚さ:3mm)に塗布し、60℃の大気中で乾燥させることにより、試験片を得た。
【0182】
次に、前記で得られた試験片を用いて被膜の撥水性および撥水持続性、撥油性および撥油持続性ならびに水溶性を実施例1と同様にして調べた。また、撥水撥油剤の水希釈性を実施例1と同様にして調べた。その結果、撥水性(接触角)は110.0°であるが、撥油性(接触角)が45°であることから、撥油性に著しく劣ることが確認された。
【0183】
比較例9
撹拌装置、不活性ガス導入口、環流冷却管および温度計を取り付けた500mL容の5つ口フラスコ内に2−エチルヘキシルアクリレート90gおよび3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチルアクリレート〔大阪有機化学工業(株)製、品番:V−13F〕10gからなるモノマー成分とエチルアルコール234gを入れた。フラスコの内容物を75℃に昇温した後、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)〔和光純薬工業(株)製、品番:V−601〕0.6gをフラスコ内に入れ、還流条件下で8時間撹拌しながら重合反応を行なうことにより、前記モノマー成分からなるポリマーを含有する反応溶液を得た。
【0184】
前記で得られた反応溶液を撥水撥油剤として用い、当該撥水撥油剤をバーコータで乾燥後の被膜の厚さが10μmとなるように表面が平滑なガラスプレート(縦:50mm、横:20mm、厚さ:3mm)に塗布し、60℃の大気中で乾燥させることにより、試験片を得た。
【0185】
次に、前記で得られた試験片を用いて被膜の撥水性および撥水持続性、撥油性および撥油持続性ならびに水溶性を実施例1と同様にして調べた。また、撥水撥油剤の水希釈性を実施例1と同様にして調べた。その結果、撥水性(接触角)は68°であり、撥水持続性は25.0%であり、撥油性(接触角)は41°であり、撥油持続性は24.4%であることから、撥水性、撥油性および撥油持続性のいずれにも著しく劣ることが確認された。
【0186】
以上の結果から、各実施例で得られた撥水撥油剤は、撥水性および撥油性に優れているのみならず、撥油持続性にも優れていることがわかる。したがって、前記撥水撥油剤は、例えば、石、煉瓦などの無機質材料、織布、不織布、紙などの繊維質基材、水性塗料、消火剤、電子部品、カーケミカルワックス、金型成形の離型剤、離型フィルム、レンズなどの用途に好適に使用することができることがわかる。また、前記撥水撥油剤は、撥水性、撥油性および撥油持続性に優れていることから、皮脂汚れ、汗汚れなどの汚れに対する防汚性に優れているので、前記用途のなかでも特に繊維製品用に使用されることが期待される。