特許第6574834号(P6574834)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6574834卵殻を有する少なくとも1つの卵を調理するための装置、このような装置に適する投与ユニット、このような投与ユニットに適する容器およびこのような装置において卵殻を有する少なくとも1つの卵を調理するための方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6574834
(24)【登録日】2019年8月23日
(45)【発行日】2019年9月11日
(54)【発明の名称】卵殻を有する少なくとも1つの卵を調理するための装置、このような装置に適する投与ユニット、このような投与ユニットに適する容器およびこのような装置において卵殻を有する少なくとも1つの卵を調理するための方法
(51)【国際特許分類】
   A47J 29/02 20060101AFI20190902BHJP
   H05B 6/64 20060101ALI20190902BHJP
   A23L 15/00 20160101ALI20190902BHJP
【FI】
   A47J29/02
   H05B6/64
   A23L15/00 E
   A23L15/00 Z
【請求項の数】10
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2017-507068(P2017-507068)
(86)(22)【出願日】2015年4月14日
(65)【公表番号】特表2017-513675(P2017-513675A)
(43)【公表日】2017年6月1日
(86)【国際出願番号】EP2015058059
(87)【国際公開番号】WO2015162034
(87)【国際公開日】20151029
【審査請求日】2018年1月22日
(31)【優先権主張番号】2012689
(32)【優先日】2014年4月24日
(33)【優先権主張国】NL
(31)【優先権主張番号】2014115
(32)【優先日】2015年1月13日
(33)【優先権主張国】NL
(73)【特許権者】
【識別番号】516317399
【氏名又は名称】エッグサイティング プロダクツ ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】特許業務法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ファン シャイク,サンダー−ヴィレム
(72)【発明者】
【氏名】ハンセン,エドウィン マテウス ジョゼフ
【審査官】 土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】 特表2013−535993(JP,A)
【文献】 特表2005−523789(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 29/02
A23L 15/00
H05B 6/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
卵殻を有する少なくとも1つの卵(40)を調理するための装置(1、101、201、301)であって、前記装置(1、101、201、301)は、ハウジング(8、10)内の限定された空間内にマイクロ波放射線を提供するためのデバイス(47)を装備したハウジング(8、10)と、前記限定された空間内に配置されるホルダ(9、11)とを備え、前記ホルダ(9、11)は、前記卵殻を有する前記卵(40)の形に適合される少なくとも1つのキャビティ(50)を装備し、前記ホルダ(9、11)は、前記キャビティ(50)内に卵殻を有する卵(40)を設置できる第1のポジションと前記ホルダ部(9、11)が前記キャビティ(50)を囲む第2のポジションとの間で互いに対して移動可能である少なくとも1つの第1のホルダ部(9)および第2のホルダ部(11)を備え、前記装置(1、101、201、301)は、前記キャビティ(50)内に配置される前記卵(40)の前記卵殻を少なくとも部分的に包囲すべく前記キャビティ(50)を液体で満たすように前記ホルダ(9、11)内に前記液体を注入するための手段をさらに備え、前記装置(1、101、201、301)は、前記液体を保持するための容器(34)と、少なくとも1つの成分を前記液体に加えるための投与ユニット(6、606)とを備えることを特徴とする、装置(1、101、201、301)。
【請求項2】
0℃〜100℃間の温度および2.45GHzのマイクロ波周波数で20〜500の間の虚数部ε”を有する誘電率の水性液を提供すべく、使用時に、前記少なくとも1つの成分は、投与ユニット(6、606)により、水性である前記液体へ添加されることを特徴とする、請求項1に記載の装置(1、101、201、301)。
【請求項3】
前記液体は、NaClを含む水であることを特徴とする、請求項1または2に記載の装置(1、101、201、301)。
【請求項4】
前記液体は、0.1〜0.5MのNaClを含む水であることを特徴とする、請求項3に記載の装置(1、101、201、301)。
【請求項5】
前記液体は、0.17〜0.23MのNaClを含む水であることを特徴とする、請求項3に記載の装置(1、101、201、301)。
【請求項6】
前記装置は、前記少なくとも1つの成分を保持する容器内の前記成分の量を検出するための手段を備えることを特徴とする、請求項1から5のいずれか1項に記載の装置(1、101、201、301)。
【請求項7】
前記装置(1、101、201、301)は、前記液体内の前記成分の量を検出するための手段を備えることを特徴とする、請求項1からのいずれか1項に記載の装置(1、101、201、301)。
【請求項8】
装置(1、101、201、301)内で卵殻を有する少なくとも1つの卵(40)を調理するための方法であって、前記装置(1、101、201、301)は、ハウジング(8、10)内の限定された空間内にマイクロ波放射線を提供するためのデバイスを装備したハウジングと、前記限定された空間内に配置されるホルダ(9、11)とを備え、前記ホルダ(9、11)は、前記卵殻を有する前記卵(40)の形に適合される少なくとも1つのキャビティ(50)を装備し、前記ホルダ(9、11)は、前記キャビティ(50)内に卵殻を有する卵(40)を設置できる第1のポジションと前記ホルダ部(9、11)が前記キャビティ(50)を囲む第2のポジションとの間で互いに対して移動可能である少なくとも1つの第1のホルダ部(9)および第2のホルダ部(11)を備え、前記装置(1、101、201、301)は、前記キャビティ(50)内に配置される前記卵(40)の前記卵殻を少なくとも部分的に包囲すべく前記キャビティ(50)を液体で満たすように前記ホルダ(9、11)内に前記液体を注入するための手段(410)をさらに備え、前記装置(1、101、201、301)は、前記液体を保持するための容器(3、4)と、投与ユニット(6、606)とを備え、前記投与ユニット(6、606)によって少なくとも1つの成分が前記液体に加えられることを特徴とする、方法。
【請求項9】
0℃〜100℃間の温度および2.45GHzのマイクロ波周波数で20〜500の間の虚数部ε”を有する誘電率の水性液を提供すべく、前記投与ユニット(6、606)により、前記少なくとも1つの成分は、水性である前記液体へ加えられることを特徴とする、請求項に記載の方法。
【請求項10】
前記装置は、前記液体内の前記成分の量を検出するための手段を備え、前記少なくとも1つの成分は、前記液体内の前記成分の量が所定の閾値を超える場合に前記液体へ加えられることを特徴とする、請求項またはに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、卵殻を有する少なくとも1つの卵を調理するための装置に関し、本装置は、ハウジング内の限定された空間内(閉鎖空間;confined space)にマイクロ波放射線を提供するためのデバイスを装備したハウジングと、限定された空間内に配置されるホルダとを備え、前記ホルダは、卵殻を有する卵の形に適合される少なくとも1つのキャビティ(空洞)を装備し、前記ホルダは、キャビティ内に卵殻を有する卵を設置できる第1のポジションとホルダ部がキャビティを囲む第2のポジションとの間で互いに対して移動可能である少なくとも1つの第1のホルダ部および第2のホルダ部を備え、本装置は、キャビティ内に配置される卵の卵殻を少なくとも部分的に包囲すべくキャビティを液体で満たすようにホルダ内に液体を注入するための手段をさらに備える。
【0002】
また、本発明は、このような装置に適する投与ユニット、このような投与ユニットに適する容器およびこのような装置において卵殻を有する少なくとも1つの卵を調理するための方法にも関する。
【背景技術】
【0003】
特許文献1から知られるこのような装置によって、卵は、ホルダのキャビティ内に置かれる。次に、水がホルダへ接近できるようになる。ホルダには、水に混合されるべく塩がマトリクス内に備えられる。
【0004】
この既知装置の欠点は、各卵にキャビティ内へ新しいマトリクスを置く必要があることにある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】WO2012002814A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明による装置の目的の1つは、液体に所望される成分を容易に提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、装置が、液体を保持するための容器と、液体に少なくとも1つの成分を加えるための投与ユニットとを備える、本発明による装置によって達成される。
【0008】
投与ユニットにより、液体、例えば水に、少なくとも1つの成分、例えば塩、好ましくはNaCl、を加えて、所望される水性液を得ることができる。ユーザは、容器を水道水で満たすことができ、この後、容器を望ましい水性液で満たすべく、投与ユニットによって必要な量の成分が水に加えられる。
【0009】
他の種類の塩もしくは他の種類の固体要素のような他の種類の成分または成分が加えられる液体よりも高濃度の塩を含む液体も可能である。成分が加えられるものとしては、水以外の他の種類の液体も可能である。
【0010】
この方法では、所望される特性を有する比較的多量の液体を容易に作ることができ、卵が新しくなる毎にキャビティに加える液体は、比較的少量であることが可能である。別の優位点は、この方法では、同じ特性を有する液体を用いて幾つかの卵が調理されることにある。容器内の大量の液体は、例えば1〜3リットルであるが、各卵に必要な液体は、例えば40〜100ミリリットルと少量である場合もある。
【0011】
本発明による装置の一実施形態は、使用時に、0℃〜100℃間の温度および2.45GHzのマイクロ波周波数で20〜500の間の虚数部ε”を有する誘電率の水性液を提供すべく、投与ユニットにより、水性である液体へ少なくとも1つの成分が加えられることを特徴とする。
【0012】
このような水性液の使用により、卵の良好な調理プロセスが達成され、これにより、卵黄および卵白の双方が望ましい特性を得ることが発見されている。記述した誘電率を有する水性液の優位点は、WO2012002814A1に記載されている。この文書は、本参照により本明細書の開示に含まれる。
【0013】
本発明による装置の別の実施形態は、液体が、NaCl、好ましくは0.1〜0.5MのNaCl、より好ましくは0.17〜0.23MのNaCl、を含む水であることを特徴とする。
【0014】
水は、あらゆる家庭またはレストランで容易に利用可能であり、NaClのような塩も容易に入手することができる。さらに、水と上述の量のNaClとの組合せは、人に無害である。
【0015】
本発明による装置の別の実施形態は、本装置が、少なくとも1つの成分を保持する容器内の成分量を検出するための手段を備えることを特徴とする。
【0016】
容器内の成分量を検出することにより、ユーザは、容器を交換する、または充填し直す必要があるという警告を受けることができる。さらに、装置は、容器が前記成分を充分に含有するまで、卵の調理に使用できないようにする場合もある。
【0017】
本発明による装置の別の実施形態は、本装置が、液体内の成分量を検出するための手段を備えることを特徴とする。
【0018】
液体内の成分量を検出することにより、この量が、例えば所望される閾値より少ない、または多ければ、ユーザは、液体が卵を適切に調理するための望ましい特性を有していないという警告を受けることができる。ユーザは、液体を保持する容器に新鮮な水を再充填する必要がある場合があり、および/またはユーザは、少なくとも1つの成分を保持する容器を交換または再充填する必要がある場合がある。さらに、装置は、液体内の成分量が所望される所定の閾値(予め決められた閾値)より下がる、または上がるまで、卵の調理に使用することを防止されるようにしてもよい。液体内の成分量を検出するための手段は、容器内部に配置される2つの離隔された電極を備えてもよく、これにより、これらの電極間の電流が測定され、液体内のNaClのような成分の量に依存する値を提供する。好ましくは、電気分解を防止するために交流が使用される。また、液体内の成分量を検出するための手段としては、他の種類を用いることもできる。
【0019】
また、液体内の成分量を検出するための手段は、容器内に液体が存在するかどうかを検出するためにも使用可能である。
【0020】
また、本発明は、上述の装置に適する、少なくとも1つの成分を供給するための投与ユニットにも関し、成分は、この投与ユニットによって所望される量で容易に送出されることが可能である。
【0021】
この目的は、本発明による投与ユニットによって達成され、この投与ユニットは、少なくとも1つの成分を保持するための容器と、容器を保持するためのハウジングとを備え、ハウジングは、駆動ユニットを装備し、容器は、供給デバイスおよび開口を装備し、駆動ユニットは、容器から開口を介して成分を供給すべく供給デバイスに着脱可能に連結される。
【0022】
容器がハウジングへ着脱可能に接続されるこのような投与ユニットの優位点の1つは、空の容器を新しい満杯の容器へ容易に交換できることにある。駆動ユニットを有するハウジングは、上述の装置のように装置の一部を形成することができる。容器は、一回限りの使用を意図されることが可能である一方で、ハウジングは、装置の寿命に渡って使用可能である。
【0023】
成分供給デバイスを容器と一体化させていることにより、ユーザは、成分供給デバイスを容器内の成分と接触させる必要がなく、これにより、成分の汚染が回避される。
【0024】
本発明による投与ユニットの一実施形態は、供給デバイスが回転可能なフィードスクリュ(供給スクリュ)であることを特徴とする。
【0025】
このようなフィードスクリュにより、成分は、前記回転可能なフィードスクリュの軸方向に容易に移送されることが可能である。
【0026】
本発明による投与ユニットの別の実施形態は、駆動ユニットがペン(pen)を備え、ペンは、ばねの力に対抗して、ペンが成分供給デバイスと連結される第1のポジションからペンが供給デバイスから連結解除される(切り離される)第2のポジションへ、またはこの逆に移動可能であることを特徴とする。
【0027】
このようなペンにより、駆動ユニットと成分供給デバイスとの容易な接続および切り離しが可能である。
【0028】
本発明による投与ユニットの別の実施形態は、ハウジングが、閉鎖位置から開放位置へ旋回可能である旋回可能カバーを装備し、ハウジングは、このカバーをその閉鎖位置からその開放位置へ、かつこの逆へ旋回させることによって、第1の連結ポジションから第2の連結解除ポジションへペンを動かすための手段を備えることを特徴とする。
【0029】
カバーが閉止されている限り、駆動ユニットは、ペンによって成分供給デバイスに接続される。ハウジングから容器を取り出す必要が生じるとすぐに、ユーザは、カバーを開き、これにより、自動的に駆動ユニットが成分供給デバイスから切り離され、成分供給デバイスは、ハウジングから自由に移動されることが可能である。
【0030】
本発明による投与ユニットの別の実施形態は、前記手段が、ペンの軸に対して垂直方向に移動可能なウェッジ(楔状部;wedge)を備え、ウェッジは、少なくともペンの連結解除ポジションにおいて、ペンのフランジに当接していることを特徴とする。
【0031】
このようなウェッジによって、フランジおよびフランジを装備したペンは、ペンの軸方向へ容易に移動されることが可能である。
【0032】
本発明による投与ユニットの別の実施形態は、本投与ユニットが、容器における少なくとも1つの成分の存在を検出するための手段を備えることを特徴とする。
【0033】
容器内の成分量を検出することにより、ユーザは、容器を交換する、または充填し直す必要があるという警告を受けることができる。
【0034】
本発明による投与ユニットの別の実施形態は、前記手段が、容器の反対側に配置される発光器および受光器を備え、前記容器は、少なくとも、発光器と受光器との間の、発光器により発せられる光を通す光路内に存在することを特徴とする。
【0035】
このような発光器および受光器により、容器内の成分量を容器外部から検出することができ、よって、発光器および受光器と成分との物理的接触が防止される。
【0036】
また、本発明は、上述の投与ユニットに適する、少なくとも1つの成分を保持するための容器にも関し、成分は、この容器によって投与ユニットへ容易に提供されることが可能である。
【0037】
この目的は、少なくとも1つの成分を保持するための容器が、容器の開口を介して成分を供給するための成分供給デバイスを装備している、本発明による投与ユニットによって達成される。
【0038】
成分供給デバイスを容器と一体化させていることにより、ユーザは、成分供給デバイスを容器内の成分と接触させる必要がなく、これにより、成分の汚染が回避される。さらに、供給デバイスを用いることにより、液体へ加えられる成分量を容易に制御することができる。
【0039】
供給デバイスとしては、小粒子を含む液体成分または固体成分を移送するためのあらゆる種類のデバイスを使用可能である。
【0040】
本発明による容器の一実施形態は、成分供給デバイスが開口から開口とは反対側に配置される通路まで延び、使用時に、駆動ユニットは、通路の近くで成分供給デバイスに着脱可能に接続可能であることを特徴とする。
【0041】
開口と通路とが反対側に配置されることから、開口から出る成分と通路の近くに配置される駆動ユニットとの物理的接触は、容易に防止される。好ましくは、液体を保持する容器は、成分を容器内の液体に直接加えることができるように開口の下に配置される。
【0042】
本発明による容器の別の実施形態は、成分供給デバイスが回転可能なフィードスクリュであることを特徴とする。
【0043】
このようなフィードスクリュは、比較的安価であり、かつ例えば射出成形によって容易に製造されることが可能である。使い捨て容器の場合、要求される寿命には限りがある。
【0044】
本発明による容器の別の実施形態は、少なくとも1つの成分を保持するための容器が、ポリプロピレンまたはポリスチレン等の食品認可材料で製造されることを特徴とする。
【0045】
このような材料により、容器は、例えば上述の装置を用いて卵を調理するためのNaClのパッケージとして使用されることが可能である。
【0046】
本発明による容器の別の実施形態は、少なくとも1つの成分を保持するための容器が、開口を閉じるためのキャップを備えることを特徴とする。
【0047】
キャップにより、容器内部の成分は、容器からこぼれることを防止されるが、より重要な点として、容器の中身の汚染が防止され、かつ湿気から保護される。
【0048】
本発明による容器の別の実施形態は、少なくとも1つの成分を保持する容器が密封されることを特徴とする。
【0049】
容器を、少なくとも1つの成分で充填された後に密封することにより、容器の中身は、汚染が防止され、かつ湿気から保護される。
【0050】
本発明による容器の別の実施形態は、容器内部に配置される少なくとも1つの成分が粉末状であることを特徴とする。
【0051】
粉末状の成分は、回転可能なフィードスクリュのような成分供給デバイスによって容易に移送されることが可能である。
【0052】
本発明による容器の別の実施形態は、少なくとも1つの成分がNaClを含むことを特徴とする。
【0053】
NaClは、例えば水のような液体へ加えられるべく、回転可能なフィードスクリュのような成分供給デバイスによって容易に移送されることが可能な成分である。NaClおよび必要であれば他の成分を、完全に密封されてキャップを外さない限り開かない容器内に保持することにより、成分は、汚染が防止され、かつ湿気から保護される。この方法では、容器の中身が容器の移送および貯蔵中も乾燥状態を保ち、よって、湿気による詰まりに関わる問題が回避される。
【0054】
本発明による容器の別の実施形態は、容器が500グラムから2000グラムまでの間のNaClを保持することを特徴とする。
【0055】
このような量は、容易に運搬可能であり、かつ上述の装置における使用に際して、卵200〜1000個分に適合する。
【0056】
本発明は、卵殻を有する少なくとも1つの卵を装置内で調理するための方法にも関し、前記装置は、ハウジング内の限定された空間内にマイクロ波放射線を提供するためのデバイスを装備したハウジングと、限定された空間内に配置されるホルダとを備え、前記ホルダは、卵殻を有する卵の形に適合される少なくとも1つのキャビティを装備し、前記ホルダは、キャビティ内に卵殻を有する卵を設置できる第1のポジションとホルダ部がキャビティを囲む第2のポジションとの間で互いに対して移動可能である少なくとも1つの第1のホルダ部および第2のホルダ部を備え、前記装置は、キャビティ内に配置される卵の卵殻を少なくとも部分的に包囲すべくキャビティを液体で満たすようにホルダ内に液体を注入するための手段をさらに備え、本方法により、液体は、所望される成分を容易に包含することが可能である。
【0057】
この目的は、装置が、液体を保持するための容器と、投与ユニットと、を備え、投与ユニットによって少なくとも1つの成分が液体に加えられる、本発明による方法によって達成される。
【0058】
この方法では、所望される特性を有する比較的多量の液体を容易に作ることができ、卵が新しくなる毎にキャビティに加える液体は、比較的少量であることが可能である。別の優位点は、この方法では、同じ特性を有する液体を用いて幾つかの卵が調理されることにある。容器内の大量の液体は、例えば1〜3リットルであるが、各卵に必要な液体は、例えば40〜100ミリリットルと少量である場合もある。
【0059】
本発明による方法の一実施形態は、0℃〜100℃間の温度および2.45GHzのマイクロ波周波数で20〜500の間の虚数部ε”を有する誘電率の水性液を提供すべく、投与ユニットにより、水性である液体へ少なくとも1つの成分が加えられることを特徴とする。
【0060】
このような水性液の使用により、卵の良好な調理プロセスが達成され、これにより、卵黄および卵白の双方が望ましい特性を得ることが発見されている。
【0061】
本発明による容器の別の実施形態は、装置が、液体内の成分量を検出するための手段を備え、少なくとも1つの成分は、液体内の成分量が所定の閾値を超える場合に液体へ加えられることを特徴とする。
【0062】
また、NaClの代わりに他の成分、好ましくはNaHCOのような人の食用に適し、かつ要求される虚数部ε”を有する誘電率を伴う成分、を用いることも可能である。
【0063】
液体内の成分量を検出することにより、この量が、例えば所望される閾値より少ない、または多ければ、ユーザは、液体が卵を適切に調理するための望ましい特性を有していないという警告を受けることができる。ユーザは、液体を保持する容器に新鮮な水を再充填する必要がある場合があり、および/またはユーザは、少なくとも1つの成分を保持する容器を交換または再充填する必要がある場合がある。さらに、装置は、液体内の成分量が所望される所定の閾値より下がる、または上がるまで、卵の調理に使用することを防止されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0064】
図1a-1b】ハウジング部の開放位置における、本発明による装置の第1の実施形態を示す正面斜視図および背面斜視図である。
図1c図1a〜図1bに示されているような装置の一部の断面を示す。
図2-4】図1a〜図1cに示されているような装置の一部の斜視図を示す。
図5図4に示されているような部分の平面図を示す。
図6a-6b】ハウジング部の閉鎖位置における、図1a〜図1bに示されているような装置の正面斜視図および背面斜視図を示す。
図6c図6a〜図6bに示されているような装置の断面を示す。
図7図6a〜図6cに示されているような装置の一部の斜視図を示す。
図8a-8b】ハウジング部の開放位置における、本発明による装置の第2の実施形態を示す正面斜視図および背面斜視図である。
図9】ハウジング部の閉鎖位置における、図8a〜図8bに示されているような装置の正面および背面斜視図を示す。
図10a-10b】ハウジング部の開放位置における、本発明による装置の第3の実施形態を示す正面斜視図および背面斜視図である。
図11】ハウジング部の閉鎖位置における、図10aおよび図10bに示されているような装置の正面および背面斜視図を示す。
図12a-12b】ハウジング部の開放位置における、本発明による装置の第4の実施形態を示す正面斜視図および背面斜視図である。
図13】ハウジング部の閉鎖位置における、図12aおよび図12bに示されているような装置の正面および背面斜視図を示す。
図14】、キャビティを充填して卵を調理する間の、図6a〜図6b、図9図11図13に示されているような装置の作業スキームを示す。
図15】マイクロ波放射の時間とキャビティへ加えられる液体量との関係を開示するダイアグラムを示す。
図16】卵を調理した後にキャビティを空にする間の、図6a〜図6b、図9図11図13に示されているような装置の作業スキームを示す。
図17A-17D】少なくとも1つの成分を保持するための容器を示す分解斜視図、断面図、正面斜視図および背面斜視図である。
図18A-18B】図17A図17Dに示されているような容器を投与ユニットのハウジング内へ設置する際の本発明による投与ユニットを示す斜視図および断面図である。
図19A-19B】図17A図17Dに示されているような容器が投与ユニットのハウジング内へ設置されている、図18Aおよび図18Bに示されているような投与ユニットを示す斜視図および断面図である。
図20】キャビティを充填して卵を調理する間の、図17A図19Bに示されているような投与ユニットを備える装置の作業スキームを示す。
【0065】
諸図を通じて、類似の参照数字は、類似のエレメント(要素)を指す。
【発明を実施するための形態】
【0066】
図1a〜図7は、本発明による装置の第1の実施形態1およびその特有の部分を示す様々な図である。装置1からは、関連コンポーネント(部品)のみが示され、カバーおよび装置内にエレメントを取り付けるための取付け構造体のような他のコンポーネントは、明確さを理由に省略されている。
【0067】
装置1は、2つの容器3および4が配置されるベース2を備える。容器3および4の上には、容器5が配置され、この容器は、投与ユニット6を装備している。投与ユニット6は、容器3の開口7の上に配置される。装置1は、さらに、第1のホルダ部9を有する第1のハウジング部8、および第2のホルダ部11を有する第2のハウジング部10を備える。第2のハウジング部10は、装置1内でベース2に接続され、ベース2に固定された関係を有する。第1のハウジング部8は、第2のハウジング部10に対して、図1a〜図1cに示されているような第1の開放位置と図6a〜図6cに示されているような第2の閉鎖位置との間で移動可能である。第1のハウジング部8は、第2のハウジング部10に対して、第1および第2のハウジング部8、10の各側面に配置される手動操作式歯車機構12によって移動可能である。各歯車機構12は、曲がったロッド13を備え、曲がったロッド13は、ベース2および容器3、4の方向へ向いた側面に歯14を装備している。曲がったロッド13は、第1のハウジング部8の2つの反対側面で接続される。各歯車機構12は、さらに、旋回軸17を中心にして旋回可能な第1の歯車16と、歯車16より小さい直径を有する第2の歯車18とを備え、この第2の歯車18は、歯車16へ接続されかつ歯車16と同時に旋回軸17を中心にして回転可能である。旋回軸17は、装置1において固定位置を有する。第1の歯車16は、ロッド13の歯14と協働する。第2の歯車18は、ディスク20上の歯19と協働し、このディスク20は、旋回軸21を中心にして旋回可能である。旋回軸21は、装置1において固定位置を有する。ディスク20は、歯19から遠位の側でU字形のハンドル(取っ手)22に接続される。ハンドル22は、第2のハウジング部10の両側に配置されかつディスク20に接続される2つの脚23を備え、これらの脚23は、ディスク20から遠位の側でブリッジ形状部24によって互いに接続される。ハンドル22を旋回軸21を中心にして矢印P1が示す方向へ旋回させることにより、ディスク20上の歯19は、第2の歯車18と協働して、歯車18を矢印P2が示すように時計方向へ回転させる。第2の歯車18は、第1の歯車16へ接続されていることから、第1の歯車16も時計方向へ回転される。歯車16の歯がロッド13上の歯14と協働するにつれて、歯車16の回転がロッド13の歯車16に沿った動作を引き起こし、これにより、ロッド13の曲がった形状に起因して、第1のハウジング部8が、まず、主として水平方向に容器3、4へ向かって移動される。この後、第1のハウジング部8は、容器3、4へ向かって、および第2のハウジング部10へと同時に移動され、これにより、第1のハウジング部8の最終移動段階において、第1のハウジング部8は、図6a〜図6cに示されているように、第2のハウジング部10へ向かって第2の閉鎖位置へと垂直に移動する。全動作の間、ハウジング部8、10は共に、水平のままである。特に、第1のハウジング部8の水平の開放位置が容器3、4から離れて前方向へ移動されることにより、卵の配置および取り出しが容易になり、かつ第1のハウジング部からの卵の落下が容易に防止される。
【0068】
図1c、図3図5図6cおよび図7から分かるように、第1のハウジング部8は、方形底壁30と、底壁30に対して垂直に延びる4つの側壁31とを備える。底壁30の上には、底壁30の真ん中近くで、垂直に延びる管33内に開口する螺旋状の導管32が配置される。導管32の端34は、図14および図16を参照して説明するように、容器3、4と接続されている。第1のハウジング部8は、さらに、第1のホルダ部9を装備しており、このホルダ部9は、半分の卵の形状を有し、かつ第1のホルダ部9の壁36から延びるスペーサ35を装備する。第1のホルダ部9は、その最下部に管37を装備し、これが、第1のハウジング部8内の管33に嵌まる。管37は、その外側に、管33と管37との間に水密密封を提供するためのシールリング38を装備している。管37は、壁36に近い側に、幾つかの開口39を備えるグリッド(格子)を装備している。第1のホルダ部9に配置される卵40が割れた場合でも、グリッドが、卵殻および卵の一部が管37、33内へ、かつ導管32内へ進入することを防止する。図1cから分かるように、スペーサ35は、卵40の殻を第1のハウジング部9の壁36から所定距離(予め決められた距離)に保つ。第1のハウジング部9の壁36は、第2のハウジング部10へと配向される側に、円錐部41を装備している。
【0069】
第2のハウジング部10は、方形の上壁45、および方形上壁45から下へ延びる4つの側壁46を装備する。壁45、46の内部には、マイクロ波放射線を提供するためのデバイス47が配置される。このようなデバイスは、技術上周知であり、よってさらなる説明を省く。
【0070】
デバイス47の下には、内部に第2のホルダ部11が取り付けられる方形チャンバ48が配置される。第2のホルダ部11は、半分の卵の形状を有する内壁49を装備している。第2のホルダ部11の壁49は、第1のホルダ部9の壁36と共に、卵形の形状を有するキャビティ50を画定し、比較的(相対的に)狭い第1の長手方向の端は、第1のホルダ部9の底近くに配置され、一方で、比較的(相対的に)広い第2の長手方向の端は、壁49の頂部近くに配置される。壁49の頂部近くには、ばね51が設けられ、このばね51は、ハウジング部8、10が各々の第1の閉鎖位置にあるとき(図6図7参照)、卵40の第2の端に当たり、よって卵40がスペーサ35上で押されて卵40がキャビティ50内で固定位置に保持される。
【0071】
第2のホルダ部11は、円錐部52を装備し、円錐部52は、第1のハウジング部9の円錐部41と協働して、第1のハウジング部8の第2のハウジング部10に対する正しいポジショニングを促進する。第2のホルダ部11は、さらに、図6cに示されているように閉鎖位置で第1のホルダ部9に当たりかつ第1のホルダ部9と第2のホルダ部11との間に水密密封を提供するリング形シール53を装備している。第2のホルダ部11は、その頂部近くで導管54へ接続され、この導管54は、図14および図16を参照してさらに説明するように、容器4と流体連通している。図6a〜図6cに示されているような閉鎖位置では、限定された空間154内でデバイス47によりマイクロ波放射線を発生することができ、この空間154は、第2のハウジング部10のチャンバ48および第1のハウジング部8の壁30、31によって画定される(境界をつけられる)。第1のホルダ部9および第2のホルダ部11は、マイクロ波放射線を透過する材料から製造され、よって、マイクロ波放射線は、内部に卵40が設置されるキャビティ50にも到達する。このような材料は、例えば先に述べた最初の特許出願WO2012002814A1に記載されているように、技術上周知である。装置1の動作を説明する前に、その主たる動作原理が同じであることから、本発明による装置の他の実施形態について述べる。
【0072】
図8a〜図9は、本発明による装置の第2の実施形態101を開示しており、本装置101は、歯車18がハンドル24の手動による旋回ではなく電気モータ102によって駆動される点が装置1とは異なる。
【0073】
図10a〜図11は、本発明による装置の第3の実施形態201を開示していて、本装置201は、第1のハウジング部8が第2のハウジング部10に対してのみ旋回可能である点が装置1、101とは異なる。第1のハウジング部8は、容器3、4に近い側に2つのL字形ブラケット202を装備していて、これらのL字形ブラケット202は、旋回軸203を中心としてベース2に対して旋回可能である。旋回軸203は、装置201において固定位置を有する。第1のハウジング部8は、容器3、4から遠位の側にハンドル204を装備している。ハンドル204によって、ユーザは、第1のハウジング部8を、図10a〜図10bに示されているような開放位置から図11に示されているような閉鎖位置へ、かつ逆もまた同様に手動で移動させることができる。ハンドル204内には、ハウジング部8、10の閉鎖位置においてハンドル204を第2のハウジング部10へロックするためのロック機構が設けられている。このようなロックには、周知のロック機構を用いることができる。装置201のベース2は、傾斜面205を装備し、第1のハウジング部8は、その開放位置において傾斜面205の上に載る。
【0074】
第1のハウジング部8を閉鎖位置から開放位置へ滑らかに移動させるため、および第1のハウジング部8が単に傾斜面205上へ落下することを防止するために、装置201は、制動機構206を装備している。
【0075】
制動機構206は、各L字形ブラケット202上に、歯208を装備するディスク207を備える。歯208は、歯車209と協働し、歯車209は、装置201内に固定位置を有する軸を中心にして回転可能である。歯車209は、歯208を矢印P3が示すような方向またはその反対方向へ比較的ゆっくりと移動させることによってのみ、第1のハウジング部8を第2のハウジング部10に対して移動させることができるように、比較的速い回転を防止されている。
【0076】
図12a〜図13は、歯車209がここではモータ302によって電気的に駆動される点が装置201と相違する、本発明による装置301の第4の実施形態を開示しており、前記モータは、装置301内に固定位置を有する。歯車209は、電気モータ302を作動することによって駆動される。歯車209は、ディスク207上の歯208と協働することから、ディスク207およびL字形ブラケット202ならびに第1のハウジング部8は、矢印P3が示す方向に移動されて、第1のハウジング部8が、図12a〜図12bに示されているような開放位置から図13に示されているような閉鎖位置へ移動される。歯車209を反対方向へ回転させると、第1のハウジング部8は、矢印P3とは反対方向へ閉鎖位置から開放位置へと移動される。
【0077】
図14および図16は、装置1、101、201、301を示すさらなる略図である。
【0078】
図から分かるように、第1の容器3は、導管401を介して第1のペリスタルティックポンプ(蠕動ポンプ)402へ接続される。ペリスタルティックポンプ402の出口は、導管403を介して、第1のハウジング部8内の螺旋導管32の端34へ接続される。装置1、101、201、301は、さらに、第2のペリスタルティックポンプ404を装備していて、これは、導管405によって螺旋導管32の端34へ接続され、かつポンプ404の別の側で導管406により容器4へ接続される。第2のホルダ部11内のキャビティ50へ接続される導管54は、キャビティ50から遠位の端で容器4内へ開口する。容器3、4は共に、上部が開き、よって、容器3、4内には、大気圧が存在する。
【0079】
第1の容器3は、その下部にバッファユニット(緩衝ユニット)407を装備している。バッファユニット407は、液体を第1のハウジング部8へ入る前に予備加熱するために、導管408によって熱交換器、例えばペルチェ熱交換器(Peltier heat exchanger)409、に接続される。バッファ407には、液体が所望される温度であるかどうかをチェックするために温度センサが存在してもよい。
【0080】
ペリスタルティックポンプ402、404、空間154内にマイクロ波放射線を提供するためのデバイス47、ペルチェ熱交換器、投与ユニット6および例えば容器3、4内の液位(液面)をチェックするためのセンサは、全て、コンピュータ410によって制御される。
【0081】
図14は、キャビティ50の充填スキーム、および卵40の調理プロセスの間の工程を開示している。
【0082】
装置1、101、201、301は、下記のように動作する。
【0083】
キャビティ50内に卵40を置き、第1のハウジング部8および第2のハウジング部10を閉じると、バッファユニット407内の液体が、例えば摂氏20度である所定温度(予め決められた温度)まで加熱される。
【0084】
液体が所望される温度に到達した後、液体は、第1のポンプ402により、導管401および導管403を介して矢印P4が示す方向に送られ、螺旋導管32内へ、かつキャビティ50内へ入る。卵40は、スペーサ35およびばね51と接触している場所を除いて、液体でほぼ完全に包囲される。ばね51に近い卵40の小部分は、液体で完全にはカバーされない可能性もある。液体は、0℃〜100℃間の温度および2.45GHzのマイクロ波周波数で20〜500の間の虚数部ε”を有する誘電率の液体にするために、NaCl、例えば好ましくは0.2MのNaCl(水1リットル当たり約12グラム)、が添加された水であることが可能である。
【0085】
約60〜65グラムで長さ約56〜60ミリメートルの卵の場合、卵40の殻と第1のホルダ部9および第2のホルダ部11の壁36、49との間の空間を満たすに足る液体量は、約45ミリリットルであり、これにより、卵殻の周りに平均厚さ2〜8ミリメートルを有する液体層が達成される。
【0086】
キャビティ50がまず所望される液体量で充填された後、一般的な2.45GHzで作動するデバイス47が例えば1000ワットの定出力でオンにされ、これにより、空間154内で、キャビティ50内の液体および卵40を加熱するためのマイクロ波放射線が発生される。液体が沸騰し始めるとすぐに、発生する蒸気は、導管54を介して逃げることができ、矢印P5が示す方向へ流れて容器4に入る。液体の蒸発によって卵40が液体で包囲されなくなることを防止するために、追加の液体がキャビティ50へ加えられる。この液体は、温度約20度で、第1のポンプ402を所定時間(予め決められた時間)に渡って起動することによる小さなパルスで第1のハウジング部8へ入る。導管32は、キャビティ54の内部に配置されることから、導管32内に存在する液体もマイクロ波放射線によって加熱される。液体がキャビティ50に入るときに、キャビティ50内に既に存在する液体とほぼ同じ温度になるよう、導管32は、端34で導管32内の液体を20℃から温めるに足る長さである、例えば40〜80センチメートルの長さを有していてもよい。他の長さもまた、可能である。
【0087】
図15から分かるように、第1の液体量V1は、マイクロ波放射の始動前に加えられる。例えば25秒である時間T11の後、キャビティ50に例えば5ミリリットルである少量V2が加えられ、次いでこの量V2が3.5秒毎に加えられる。ダイアグラムでは、パルスが線501で示されている。このダイアグラムには、線502によって、キャビティ50に加えられる平均液体量も示されている。マイクロ波放射線による調理プロセスの間、デバイス47の出力は、1000ワットで一定に保たれる。デバイスを定出力で作動させることにより、マイクロ波放射線に不規則な変化が生じない。ダイアグラムから分かるように、95秒の後、マイクロ波放射線は停止される。図15に示されているように、当初の第1の液量45ミリリットル以降、ほぼ100ミリリットルがキャビティ50に加えられている。このような比較的短い時間T11の後に、このような比較的多い第2の液体量の追加を開始することにより、半熟卵(soft-boiled egg)が作られる。
【0088】
キャビティ50における追加的な液体の注入を、マイクロ波放射の開始からさらに長い時間T12の後、例えば32秒後に開始し、かつ同じ液量V2を同じ3.5秒間隔で加えることにより、半ゆで卵(middle-boiled egg;半熟卵より固く、固ゆで卵よりも柔らかいゆで卵)が出来上がる。線503、線504は、各々、追加される液体のパルスおよび平均量を示す。半ゆで卵の場合にキャビティ50へ加えられる第2の液体量の総量は、半熟卵の場合より少ない。
【0089】
追加的な液体の注入を、さらに遅く、例えばさらに長い時間T13の後、例えば39秒後に同量V2および同じ間隔で開始すれば、固ゆで卵(hard boiled egg)が出来上がる。線505、線506は、各々、追加される液体のパルスおよび平均量を示す。固ゆで卵の場合にキャビティ50へ加えられる第2の液体量の総量は、半熟卵および半ゆで卵の場合より少ない。
【0090】
マイクロ波放射線がオフに切り換られた後、第2のポンプ404がオンにされ、ポンプ404によってキャビティ50内の液体は、矢印P6が示す方向へ、導管32を介して導管405内に、ポンプ404を介して導管406に流れ、容器4へ至って廃棄される。導管32ならびに管33および管37は、キャビティ50への液体入口およびキャビティ50からの液体出口の双方として使用される。
【0091】
また、マイクロ波放射線を、その出力が変わるように、例えば調理プロセスの間は低下されるように用いることも可能である。このような場合、マイクロ波放射の間に加えられる液体量は、図15に示されている量とは異なる。また、量V2の液体をパルス式に加える代わりに、上述より少ない、またはより多い量の液体を、より長い、またはより短い間隔で加えることも可能である。
【0092】
また、液体を一定速度で加えること、または加える液体量を時間的に変えることも可能である。また、より小さいステップサイズを選ぶこともでき、よって、流れは、パルス幅変調によって正確に制御され、その結果、同量の液体ポンピングによる同じ卵調製プログラムが生じる。
【0093】
また、異なるサイズの卵のための異なるホルダを有することも可能である。
【0094】
また、水中に他の量のNaClを有すること、例えば、水1リットル当たり10グラムから14グラムの間のNaClを有することも可能である。
【0095】
また、ハウジングへ入れる前に、液体を別の温度、例えば摂氏約30〜35度に予備加熱することも可能である。
【0096】
また、第2の液体量の追加を、例えばキャビティ内の温度または蒸発してキャビティから出た液体量を基にして開始することも可能である。
【0097】
図17A図19Bは、少なくとも1つの成分、好ましくは、NaCl等の塩のような粉末状の成分、を供給するための投与ユニット606を示す。投与ユニット606は、少なくとも1つの成分を保持するための容器605と、容器を保持するためのハウジング607とを備える。
【0098】
少なくとも1つの成分を保持するための容器605は、底壁609と、底壁609に対して垂直に延びる4つの側壁610、611とを装備した長方形のホルダ608を備える。向かい合った側壁610の長さL1は、側壁610に対して垂直に延びる向かい合った側壁611の長さL2の2〜4倍である。一方の側壁611は、側壁611に対して垂直に延びる管状エレメント612を装備している。管状エレメント612は、円形開口613と、前記開口613の下側部分を閉じるプレート614とを装備している。プレート614は、成分が開口613を排出されることに対する抵抗を含み、これにより、開口613を排出される量のより優れた制御が達成される。
【0099】
開口613を装備する側壁611とは反対側の側壁611は、通路615を装備している。
【0100】
ホルダ608内では、回転可能なフィードスクリュ616が開口と通路との間に配置される。フィードスクリュ616は、通路615内部のその端617に、複数の長手状の溝618と、その溝618間に配置される隆起部分619とを装備している。端617は、通路615内で回転可能である。端617は、フランジ620によって、ホルダ608内部への移動が防止される。フィードスクリュ616は、ホルダ608から外れる動作が、例えばクリック機構(click-mechanism)によって防止される。
【0101】
開口613、フィードスクリュ616および通路615は、ホルダ608の底壁609の近くに配置される。
【0102】
容器605は、開口613を気密式に閉じるために、管状エレメント612に接続可能なキャップ621を備える。
【0103】
ホルダ608およびフィードスクリュ616は、好ましくは、ポリプロピレンまたはポリスチレン等の食品認可材料で製造される。
【0104】
ホルダ608は、少なくとも1つの成分で充填された後、底壁609から離れた上側で、例えばホルダ608に溶接または密封される射出成形された蓋または薄板622によって閉じられ、かつ密封される。
【0105】
容器内部に配置される少なくとも1つの成分は、例えばNaCl等の塩のような粉末状である。容器605は、500グラムから2000グラムまでの間のNaClを保持する。
【0106】
容器605を保持するためのハウジング607は、ホルダ608より僅かに大きい形状を有するホルダ623を備え、ホルダ623は、容器605をホルダ623内へと矢印P7が示す方向へ挿入する際に管状エレメント612を受け入れるための溝624を有している。ホルダ623は、ホルダ623の底近くに、開口625を装備しており、容器605がホルダ623内に配置されたとき、管状エレメント612は開口625を通って延びる。
【0107】
ハウジング607は、旋回軸628を中心にして両方向の矢印P8が示す方向へ、図18A図18Bに示されているような開放位置から図19A図19Bに示されているような閉鎖位置へと旋回可能なカバー627を装備している。旋回軸628は、溝624の反対側に配置される。
【0108】
ハウジングは、モータ630と、減速機631と、ペン632とを備える駆動ユニット629を装備している。ペン632は、ハウジングのホルダ623における開口633へと配向され、かつ容器605がホルダ623内部に配置されるとフィードスクリュ616と一直線になる。ペン632は、フィードスクリュ616の端617の隆起部分619および溝618と連結されることが可能な複数の長手状の溝およびその溝間に配置される隆起部分を備える端634を装備している。
【0109】
ホルダ623は、旋回軸628と開口633との間に、ホルダ623の側壁636に沿って矢印P9が示す方向およびその反対方向へ移動可能なエレメント635を装備している。エレメント635は、側壁636に対して平行に延びるプレート637と、側壁636に対して垂直に、かつホルダ623の上壁639に対して平行に延びるプレート638と、側壁636に対して垂直に、かつホルダ623の上壁639に対して垂直に延びる2つの平行なプレート640とを装備している。プレート640は、プレート638から離れた側に、ウェッジ形状部641を装備している。ペン632の端634は、ペン632に対して垂直に延びるフランジ642を装備している。フランジ642は、ばね643のばね力によってウェッジ形状部641に押し当てられる。ウェッジ形状部641は、プレート638に近い側がその反対側より広い。
【0110】
旋回軸628の反対側では、カム644がカバー627に接続される。
【0111】
カバー627を旋回軸628を中心にして図19A図19Bに示されているような閉鎖位置から時計方向P8へ旋回させることにより、カバー627は、図18A図18Bに示されているようなその開放位置へと動かされる。カバー627を時計方向P8へ旋回させると、カム644がエレメント635のプレート638に当接し、エレメント635を矢印P9が示すような方向である下方向へ押す。こうすることにより、ウェッジ形状部641は、フランジ642に沿ってスライドし、フランジ642およびフランジ642と接続しているペン632を開口633から離れて矢印P10が示す方向へ動かす。
【0112】
旋回軸628を中心にしてカバー627を反時計方向P8へ旋回させることにより、カバー627が閉じられ、エレメント635は、矢印P9とは反対方向へ動かされ、ペン632は、ばね643のばね力によって矢印P10の反対方向へ動かされる。
【0113】
容器605をハウジング607へ挿入するためには、カバー627は、その開放位置に存在する必要があり、よって、ペン632は、引き戻される。容器605がホルダ623に挿入された後、カバー627は閉じられ、これにより、ペン632が容器605へ向かって動かされ、ペン632の端634がフィードスクリュ616の端617と連結され、これにより、一方の端617、634の隆起部分619がもう一方の端617、634の長手状の溝618内に配置される。
【0114】
図19A図19Bにおいて、ペン632は、ペン632がフィードスクリュ616と連結される第1のポジションにある状態で示され、一方で図18A図18Bにおいて、ペン632は、ペン632がフィードスクリュ616から連結解除される(切り離される)第2のポジションにある状態で示されている。
【0115】
ハウジング607と容器605とを備える投与ユニット606は、図1図16に示されているような装置1に類似する装置において使用される。この装置の相違点は、投与ユニット6および容器5の代わりに、ハウジング607と容器605とを備える投与ユニット606を用いることにある。開口613は、新鮮な水を充填される容器4の上に配置され、一方で容器3は、廃水用に使用される。図20に示されているこの装置の作業スキームは、図14に示されているような作業スキームに類似するが、容器4が左側、かつ容器3が右側に配置される点が異なる。フィードスクリュ616を矢印P11が示す方向へ回転させることにより、容器605内に存在するNaClのような成分は、開口613へ向かって移送される。例えば、フィードスクリュ616が1回転する度に、所定量(予め決められた量)のNaClが開口613を介して押され、容器3、4に注入される。
【0116】
使用においては、水に所望される誘電特性、例えば、温度0℃〜100℃間およびマイクロ波周波数2.45GHzで20〜500の範囲の虚数部ε”を有する誘電率を与えるために、投与ユニット606により、少なくとも1つの成分、例えばNaClが容器4内の水に加えられる。好ましくは、0.2Mプラス/マイナス0.03MのNaClである、水1リットル当たり10〜14グラムのNaClが水に加えられる。
【0117】
好ましくは、本装置は、少なくとも1つの成分を保持する容器5、605内の成分量を検出するための手段と、容器3、4内に保持される液体内の成分量を検出するための手段とを備える。
【0118】
容器5、605内の成分量を検出するための手段は、容器5、605の反対側に設置される発光器および受光器を備える。容器5、605は、少なくとも、発光器と受光器との間の、発光器により発光される光を通す光路内に存在する。容器5、605内の成分量を検出するための手段により入手される情報は、コンピュータ410へ接続され、検出された量が所定の所望量(予め決められた所望量)と比較される。検出量が所定の所望量より少なければ、コンピュータにより、ユーザに、容器5、605を交換すべきであること、新しい容器5、605が設置されるまで装置を使用しないこと、などの警告を出すことが決定されてもよい。
【0119】
液体内の成分量を検出するための手段は、所定の範囲(予め決められた範囲)内にあるべきその液体の導電率を決定するための手段を備えてもよい。液体の導電率が所定値(予め決められた値)より下であれば、コンピュータにより、NaClのような成分を液体に加えるべきであるという決定が下されてもよい。
【0120】
好ましくは、NaClのような成分を水のような液体へ加えた後、液体は、液体内で成分がよく溶けるように攪拌される。攪拌は、例えば、既知のマグネチックスターラーによって行うことができる。
【0121】
容器605は、好ましくは使い捨てであって、空になれば新しい容器と交換する必要がある。
【0122】
当業者には、本発明が決して好適な実施形態に限定されるものではないことが認識されるであろう。図面、開示内容および添付のクレームを考察すれば、クレームされた発明の実施において、当業者は、開示されている実施形態に対する他の変形を理解しかつ実行することができる。
【0123】
クレームにおいて、「備える(comprising)」という用語は、他の要素またはステップを排除するものではなく、不定冠詞「a」「an」は、複数を排除するものではない。所定の手段が互いに異なる従属クレームに記載されているという単なる事実は、これらの手段の組合せを有利に使用できないことを示すものではない。包含される参照符号は何れも、クレームの範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【符号の説明】
【0124】
1 装置
2 ベース
3 容器
4 容器
5 容器
6 投与ユニット
7 開口
8 第1のハウジング部
9 第1のホルダ部
10 第2のハウジング部
11 第2のホルダ部
12 歯車機構
13 ロッド
14 歯
16 歯車
17 旋回軸
18 歯車
19 歯
20 ディスク
21 旋回軸
22 ハンドル
23 脚
24 ブリッジ形状部
30 底壁
31 側壁
32 導管
33 管
34 端
35 スペーサ
36 壁
37 管
38 シールリング
39 開口
40 卵
41 円錐部
45 上壁
46 側壁
47 デバイス
48 チャンバ
49 壁
50 キャビティ
51 ばね
52 円錐部
53 シール
54 導管
101 装置
154 空間
201 装置
202 ブラケット
203 旋回軸
204 ハンドル
205 面
206 制動機構
207 ディスク
208 歯
209 歯車
301 装置
302 モータ
401 導管
402 ペリスタルティックポンプ
403 導管
404 ペリスタルティックポンプ
405 導管
406 導管
407 バッファ
409 熱交換器
410 コンピュータ
501 線
502 線
503 線
504 線
505 線
506 線
605 容器
606 投与ユニット
607 ハウジング
608 ホルダ
609 底壁
610 側壁
611 側壁
612 管状エレメント
613 開口
614 プレート
615 通路
616 フィードスクリュ
617 端
618 溝
619 部分
620 フランジ
621 キャップ
622 蓋
623 ホルダ
624 溝
625 開口
627 カバー
628 旋回軸
629 駆動ユニット
630 モータ
631 減速機
632 ペン
633 開口
634 端
635 エレメント
636 側壁
637 プレート
638 プレート
639 上壁
640 プレート
641 ウェッジ形状部
642 フランジ
643 ばね
644 カム
L1 長さ
L2 長さ
P3 矢印
P4 矢印
P6 矢印
P7 矢印
P8 矢印
P9 矢印
P10 矢印
V1 液体量
V2 液体量
T11 時間
T12 時間
T13 時間
図1A
図1B
図1C
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図7
図8A
図8B
図9
図10A
図10B
図11
図12A
図12B
図13
図14
図15
図16
図17A
図17B
図17C
図17D
図18A
図18B
図19A
図19B
図20