(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ANC制御システムは、前記トランスデューサと前記少なくとも2つのマイクロホンのアレイとの間のサウンド移動の二次経路を示す伝達関数を推定することなく、前記フィルタ処理された音声信号を生成するようにさらにプログラミングされている、請求項4に記載のサウンドシステム。
前記ループフィルタ回路は、さらに、前記フィルタ処理された音声信号の中心周波数において利得を加えるように適合されているピークフィルタを含む、請求項7に記載のサウンドシステム。
前記ループフィルタ回路は、さらに、前記フィルタ処理された音声信号の高周波数範囲において高振幅ピークを抑制するように適合されているノッチフィルタを含む、請求項7に記載のサウンドシステム。
ヘッドホン内でアクティブノイズキャンセレーション制御システムを自動的に較正するためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、前記プログラムは、
試験信号を示す第1の音声入力信号を生成するための命令と、
等化フィルタ及びループフィルタを使用して、前記第1の音声入力信号をフィルタ処理するための命令と、
前記フィルタ処理された第1の音声入力信号を前記ヘッドホンのトランスデューサに供給するための命令であって、前記トランスデューサは、剛性膜を含み、前記フィルタ処理された第1の音声入力信号に応答して試験サウンドを放射するように適合されている、命令と、
前記ヘッドホンの少なくとも2つのマイクロホンのアレイによって受け取られた前記試験サウンドの空間平均値を示す第1のフィードバック信号を受け取るための命令と、
前記第1のフィードバック信号に基づいて、前記等化フィルタの係数を更新するための命令と、
前記等化フィルタの少なくとも1つの係数を更新することによって、前記ヘッドホンを較正するための命令と、
前記等化フィルタがコントローラに接続されて第2の音声入力信号を受け取る第2の位置に配置されるようにスイッチを制御するための命令と、
試験信号を示す前記第2の音声入力信号を生成するための命令と、
前記少なくとも2つのマイクロホンのアレイによって受け取られた試験サウンドを示す第2のフィードバック信号を受け取るための命令と、
前記第2のフィードバック信号に基づいて、前記等化フィルタの前記少なくとも1つの係数を更新するための命令と、
前記等化フィルタが音声源に接続されて第1の音声入力信号を受け取る第1の位置に配置されるように前記スイッチを制御するための命令と
を含む、コンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【発明を実施するための形態】
【0008】
要求に応じて、本発明の詳細な実施形態が、本明細書に開示されるが、開示の実施形態は、単に、様々な及び代替の形態において具現化され得る本発明の例示にすぎないことを理解されたい。図は、必ずしも縮尺通りとは限らず、いくつかの特徴が、特定の構成要素の詳細を示すために、誇張されることも、または最小化されることもある。そのため、本明細書に開示される固有の構造上及び機能上の詳細は、限定としてではなく、単に、本発明を様々に採用する当業者に教示するための代表的な基礎と解釈すべきである。
【0009】
図1に関しては、サウンドシステムが、1つまたは複数の実施形態により示され、全体的に数字100によって参照される。サウンドシステム100は、アクティブノイズキャンセリング(ANC)制御システム110、及びヘッドホン組立体112を含む。制御システム110は、音声入力信号を音声源114から受け取り、音声出力信号をヘッドホン組立体112に供給する。ヘッドホン組立体112は、ヘッドホン116の対を含む。各ヘッドホン116は、ユーザの耳付近に位置決めされるトランスデューサ118、またはドライバを含む。トランスデューサ118は、音声出力信号を受け取り、可聴サウンドを生成する。各ヘッドホン116はまた、トランスデューサ118と耳との間に位置決めされる1つまたは複数のマイクロホン120も含む。
【0010】
図2は、従来技術のANC制御システム(第1の制御システム210)の概略ブロック図である。第1の制御システム210は、本明細書においてさらに詳細に説明されるハードウェア及び/またはソフトウェア制御論理部において実装され得る。第1の制御システム210は、音声入力信号(V)を音声源(たとえば、音声源114)から受け取り、フィルタ処理された音声信号(V
filt)を各ヘッドホンのトランスデューサ(たとえば、トランスデューサ118)に供給し、それは、トランスデューサからサウンドとして放射される。サウンドは、二次経路またはリンクに沿って、トランスデューサからヘッドホン内のマイクロホン(たとえば、マイクロホン120)に伝達され、伝達関数(H
s)222によってモデル化される。マイクロホンは、トランスデューサから放射されるサウンド及びヘッドホン内のノイズ(N)を受け取って、それは加算ノード224によって表されており、さらにはマイクロホン出力信号(MIC)を生成する。トランスデューサから放射されるサウンドの周波数応答及びNは、ユーザの耳腔、及びヘッドホンとユーザの耳との間のクッションの形状によって修正され、それは、一次リンクフィルタ(H
p)226によってモデル化される。ユーザに知覚されるヘッドホンの音響応答は、音声出力信号(Y)によって表される。
【0011】
第1の制御システム210は、予等化フィルタ(H
e)228を含む。H
eフィルタ228は、音声入力信号(V)を、音響出力(Y)が所定の目的関数を近似するようにフィルタ処理する。目的関数は、実験的に、または主観試験を用いて決定される。第1の制御システム210はまた、所定のデータに基づいて、二次リンクの推定値を提供するフィルタ
【化1】
を含む。
【化2】
フィルタ230は、トランスデューサの構造、ヘッドホンとユーザの頭部との間のクッション、及びユーザの耳腔の輪郭により、トランスデューサによって放射されるサウンドの伝達関数を推定する。
【0012】
第1の制御システム210は、フィードバックANC制御システムの一例である。マイクロホン出力信号(MIC)は、フィードバック経路232において存在する。加算ノード234においては、第1の制御システム210は、
【化3】
フィルタ230の出力とマイクロホン出力信号(MIC)との差に基づいて、誤差信号(e)を生成する。誤差信号(e)は、利得236に、及びループフィルタ(H
loop)238に供給される。H
loopフィルタ238は、100〜150Hzの間であるそのピーク中心周波数で誤差信号(e)に追加の利得を加え、誤差信号(e)の十分な安定余裕を維持するように設計されている。
【0013】
第1の制御システム210は、加算ノード240において、フィルタ処理された音声信号(V
filt)を生成する。等化された音声入力信号(V
eq)は、側鎖またはフィードフォワード経路242に沿って、加算ノード240に供給される。加算ノード240は、V
eqをフィルタ処理された誤差信号と結合させて、V
filtを決定する。上述のように、加算ノード224は、ノイズ信号(N)をV
filtに加える。
【0014】
第1の制御システム210についての伝達関数は、以下のように表現され得る。
【数1】
【0015】
図3は、音響経路H
sの周波数応答を示す「ヘッドホン1」とラベル付けされた曲線を含むグラフ310である。ヘッドホン1曲線は、数字312によって参照されるように、低周波数においては相対的に平滑であり、強いローパス特性を呈する。しかしながら、ヘッドホン1は、数字314によって参照されるように、中間周波数においては下向き勾配を示し、数字316によって参照されるように、(3kHzを上回る)高周波数においては幅広いノッチを示している。ヘッドホン1曲線によって示されている音響経路のこれらの特性は、マイクロホン配置、トランスデューサ品質、シール品質、及び耳クッション設計の結果である。
【0016】
図4に関しては、第2のANC制御システムの動作を示す概略ブロック図が、1つまたは複数の実施形態により示され、全体的に数字410によって参照される。サウンドシステム100(
図1に示す)は、1つの実施形態により、第2の制御システム410を含む。第2の制御システム410は、本明細書においてさらに詳細に説明されるハードウェア及び/またはソフトウェア制御論理部において実装され得る。第2の制御システム410は、音声入力信号(V)を音声源114(
図1に示す)から受け取り、フィルタ処理された音声信号(V
filt)をヘッドホン116のトランスデューサ118に供給し、それは、トランスデューサ118からサウンドとして放射される。サウンドは、二次経路またはリンクに沿って、トランスデューサ118からマイクロホン120に伝達される。マイクロホン120は、トランスデューサ118から放射されるサウンド及びヘッドホン116内のノイズ(N)を受け取って、それは加算ノード424によって表されており、さらにはマイクロホン出力信号(MIC)を生成する。ユーザに知覚されるヘッドホン116の音響応答は、音声出力信号(Y)によって表される。
【0017】
第2の制御システム410は、予等化フィルタ(H
e)428を含む。H
eフィルタ428は、音声入力(V)を、音響出力(Y)が所定の目的関数を近似するようにフィルタ処理し、等化された音声信号(V
eq)を生成する。目的関数は、1つまたは複数の実施形態により、Horbachによる米国特許出願第14/319,936号に記載の方法を用いて決定される。H
eフィルタ428は、1つまたは複数の実施形態により、一連の複数のバイクワッド等化フィルタ、またはFIRフィルタとすることができる。
【0018】
第2の制御システム410は、フィードバックANC制御システムの一例である。マイクロホン出力信号(MIC)は、フィードバック経路432において存在する。加算ノード434においては、第2の制御システム410は、等化された音声入力信号(V
eq)とマイクロホン出力信号(MIC)との差に基づいて、誤差信号(e)を生成する。
【0019】
第2の制御システム410は、マイクロホン出力信号(MIC)が、トランスデューサ118の知覚された音声出力(Y)を直接、近似するように、音響的に設計されているヘッドホンについて構成されている。MICはYを近似するので、第2の制御システム410は、それが、二次リンクを推定するためのフィルタ(たとえば、
【化4】
を含んでいないという点で、従来技術の第1の制御システム210(
図2に示す)とは異なる。
【0020】
第2の制御システム410は、帯域制限された制御ループとして構成され、この場合、音声入力信号(V)の低周波数部分は、主経路を通過し、音声入力信号(V)の高周波数部分は、「側鎖」またはフィードフォワード経路を経由して加えられる。
【0021】
第2の制御システム410の主経路は、ループフィルタ(H
loop)438を含む。H
loopフィルタ438は、第2の制御システム410が、所定の帯域幅内での誤差信号の、すなわち、音声入力信号(Y)とマイクロホン出力(MIC)との間の何らかの偏差を抑制するように構成されている。H
loopフィルタ438はまた、高周波数信号を遮断する。
【0022】
音声入力信号(V)の高周波数部分は、ハイパスフィルタ(H
h)444を含む側鎖またはフィードフォワード経路442を経由して加えられる。H
hフィルタ444は、1つまたは複数の実施形態により、3〜8kHzを上回る周波数を有する信号を通すように構成されている第一次のフィルタ、すなわち高次のフィルタとすることができる。加算ノード440は、H
loopフィルタ438の出力をH
hフィルタ444の出力と結合させる。
【0023】
第2の制御システム410についての伝達関数(H
hp)は、ブロック446によって参照され、以下のように表現され得る。
【数2】
【数3】
【数4】
【0024】
図4に示されるブロック図から導出され得る方程式2〜4は、信号伝達関数(H=Y/V)が、2つの部分H
lowとH
highとに分割されることを示している。H
lowは、(
図6及び
図10に示されている)この周波数帯域における利得H
loop*H
hpが高いために、1kHzを下回る周波数においては近似的に1に等しく、したがって、フィードバックシステムによって厳重に制御される(方程式3)。応答(H)は、概して、ヘッドホンシールまたは個々の耳の形状とは無関係である。高周波数においては、(たとえば、f>1kHz)ヘッドホン応答(H)は、ループ利得が小さいので(方程式4)、本質的に変化しない(すなわち、H
high=H)。
【0025】
第2の制御システム410が、
図2の従来技術の第1の制御システム210に対する利点を提供するのは、第1の制御システム210の誤差信号(e)の正確度が、高い程度までMIC信号推定値の精密度によって決まるからである。そのため、推定フィルタ
【化5】
は、生産中であっても繰り返し較正される。加えて、二次リンク(H
s)228は、ヘッドホン116とユーザの頭部との間のシール量、及びユーザの耳腔の輪郭に応じて変動する。そのため、推定フィルタ
【化6】
は、正確度が低い。
【0026】
加えて、第1の制御システム210の加算ノード234、利得段236、及びループフィルタ238はすべて、別個の段であり、通常は、精密、低ノイズ、及び広帯域のハードウェア構成要素を使用して実装され、このことは、第1の制御システム210の費用を相当、増大させる。しかしながら、
図5に関して後述するように、第2の制御システム410の類似部分は、より少ないハードウェア構成要素を使用して実装され得る。
【0027】
図5は、1つまたは複数の実施形態により、第2の制御システム410のハードウェア実装態様を示す装置500である。装置500は、ループフィルタ回路506、側鎖508、及びDCサーボ制御経路510を含む。ループフィルタ回路506は、漏洩積算器回路514、ピークフィルタ516、及びノッチフィルタ518を含む。第2の制御システム410の加算ノード434及びH
loopフィルタ438は、漏洩積算器回路514、ピークフィルタ516、及びノッチフィルタ518によって実装される。概して、漏洩積算器回路は、入力信号を受け取り、その信号を積算し、次いで、経時的に、少量の積算された信号を徐々に解放する、または「漏洩する」ように設計されている。
【0028】
漏洩積算器回路514は、加算ノード434(
図4に示す)を実装するための複数の抵抗器(R1、R2、及びR3)を含む。R1は、V
eq経路に接続され、R2は、MIC経路に接続され、R3は、DCサーボ制御経路510に接続される。
【0029】
ループフィルタ回路506は、H
loopフィルタ438(
図4に示す)を実装するための、演算増幅器512、漏洩積算器回路514、ピークフィルタ516、及びノッチフィルタ518を含む。漏洩積算器回路514は、例示の実施形態に示されているように、フィードバック抵抗器/コンデンサ(RC)回路として実装され得る。ピークフィルタ516は、低周波数信号をフィルタ処理する。1つの実施形態においては、ピークフィルタ516は、100〜300Hzの間の信号を増幅させるように設計されている。ノッチフィルタ518は、高周波数信号をフィルタ処理する。1つの実施形態においては、ノッチフィルタ518は、6〜10kHzの間の信号を減衰させるように設計されている。各フィルタ516、518は、1つの実施形態においては、単一の演算増幅器(オペアンプ)として実装される。他の実施形態においては、ループフィルタ438は、たとえば、無限インパルス応答(IIR)フィルタ(図示せず)とともにデジタル信号プロセッサ(DSP)を使用して、デジタル的に実装され得る。
【0030】
側鎖508は、ハイパスフィルタ(H
h)444(
図4に示す)を実装するためのハイパスフィルタ544を含む。ハイパスフィルタ544は、単純な第一次の抵抗器/コンデンサ(RC)回路、高次のフィルタ、またはデジタルバイクワッドフィルタとすることができる。
【0031】
DCサーボ制御経路510は、DCにおけるループ利得を1に低減させて、ヘッドホントランスデューサ出力においてゼロDCオフセットを確保するために、バッファリングされた第一次のローパスフィルタを含む。全経路は、低周波数における安定性を確保するために、マイクロホンを除いて、DCカップリングされる。低パスフィルタは、時定数が1〜3秒とすることができる。
【0032】
図6は、ループフィルタ回路506によって実装される、H
loopフィルタ438の周波数応答を示す「H
loop」とラベル付けされた曲線を含むグラフ610である。ピークフィルタ516は、ノイズキャンセリング帯域(たとえば、200Hz)の中心において追加の利得を加えて、ノイズ抑制を改善し、それは、数字612によって参照される。ノッチフィルタ518は、近似的に6〜10kHzの周波数範囲におけるトランスデューサの高ピークを抑制することによって、ループ安定性を改善し、それは、数字614によって参照される。トランスデューサのそのような高ピークは、概して、膜破壊の結果であり、それは結果的に、1より大きい総ループ利得を招き、したがって、不安定性を生じさせることになり得る。
【0033】
図7に関しては、サーカムオーラル型ヘッドホンが、1つまたは複数の実施形態により示され、全体的に数字716によって参照される。サウンドシステム100(
図1に示す)は、1つまたは複数の実施形態により、ヘッドホン716の対を含むヘッドホン組立体を含む。ヘッドホン716は、耳パッドなしで示されている。ヘッドホン716は、ヘッドホン内のノイズ及びひずみを減少させる特徴を含み、それは結果的に、第2の制御システム410に関して上述した、マイクロホン出力信号(MIC)が、知覚された音声出力(Y)を近似することをもたらす。ヘッドホン716は、トランスデューサ718、及び2つのマイクロホン720を含むマイクロホンアレイ719を含む。
【0034】
ヘッドホン716は、例示の実施形態により、カップ形状で形成される筐体722を含む。筐体722は、内側面724を含み、開口726が、内側面724の中心部分に形成される。トランスデューサ718は、開口726内に配設され、筐体722によって支持される。トランスデューサ718は、ヘッドホン716から遠ざかるサウンドを放射するように適合されている。
【0035】
マイクロホン720は、内側面724から、及び開口726にわたって延びる固定具732に取り付けられる。固定具732は、トランスデューサ718によって放射されるサウンドを歪曲しないように、音響的に透明であるように設計されている。マイクロホン720は、トランスデューサ718に長手方向に隣接して取り付けられ、トランスデューサ718の外側面から離間される。マイクロホン720は、トランスデューサ718の外側面に向かって方向付けられ、放射状配列で開口726の中央部分を中心にして互いとは角度的に離間される。加えて、マイクロホン720は、並列に電気的に接続され、そのことにより、空間的平均化、及びそれによって、知覚された周波数応答のより正確な表現がもたらされる。
【0036】
トランスデューサ718は、可聴帯域全体を通じて、正確なピストン式運動を行うように適合されている。トランスデューサ718は、繊維強化紙、炭素、バイオセルロース、または陽極酸化アルミニウムもしくはチタニウム、あるいはベリリウムなどの剛性材料から形成された中心ドームを備えた小さいサラウンド及び膜コーン734を含む。
【0037】
図8を参照すると、埋込み型のマイクロホンを含む測定プレート810が、(図示せず)ヘッドホン716の知覚された音声出力を測定するのに使用される。そのような測定プレートを含む試験装置の一例が、Horbachによる米国特許出願第14/319,936号に記載されている。
【0038】
ヘッドホン716は、内側面724(
図7に示す)の周縁部に固定されており、耳(図示せず)の周囲のユーザの頭部に係合するように適合されている耳パッド812を含む。
【0039】
図9は、相異なるトランスデューサが装備されているヘッドホン716の周波数応答を示すグラフ910であり、それは、試験プレート810を使用して測定される。「ポリエステル」とラベル付けされた第1の曲線は、DupontによるMylar(登録商標)など、ポリエステル薄膜から形成された従来の膜(図示せず)を有するトランスデューサを備えるヘッドホン716の周波数応答を示している。「紙」とラベル付けされた第2の曲線は、紙から形成される膜734(
図7に示す)を有するトランスデューサ718を備えるヘッドホン716の周波数応答を示している。紙膜734及び小さいサラウンドを備えるトランスデューサ718は、ポリエステル曲線によって示されるポリエステル膜及び大きい屈曲タイプのサラウンドを備える従来のドライバと比較すると、紙曲線によって示される平滑な周波数応答を呈する。
【0040】
図10は、相異なるマイクロホンによって測定される、
図4の第2の制御システム410を含んでいるが、H
eを備えていないヘッドホン716の周波数応答を示すグラフ1010である。「プレート」とラベル付けされた第1の曲線は、試験プレート810によって測定されるヘッドホン716の周波数応答を示している。「MIC」とラベル付けされた第2の曲線は、内蔵型マイクロホンアレイ719によって測定されるヘッドホン716の周波数応答を示している。
図10に示すように、両曲線は、2kHzを上回るいくつかの小さい偏差を除けば、非常に類似している。
【0041】
図11は、ループフィルタ回路506によって実装され、試験プレート810によって測定される第2の制御システム410の性能を示すグラフを含む。第1のグラフ1110は、第2の制御システム410の開ループ伝達関数を示すボード線図である。第2のグラフ1112は、第2の制御システム410の開ループ位相応答を示している。戻って
図5を参照すると、開ループ測定は、1つの実施形態においては、ループフィルタ回路506と加算ノード540との間で行われる。第3のグラフ1114は、第2の制御システム410の、結果として生じる閉ループノイズ伝達関数を示している別の線図である。第3のグラフ1114は、ノイズ伝達関数を示している「アクティブ」とラベル付けされた第1の曲線と、耳クッション812によるパッシブ減衰を含む、ヘッドホン716のノイズ伝達関数を示している「パッシブ+アクティブ」とラベル付けされた第2の曲線とを含む。
【0042】
第3のグラフ1114は、第2の制御システム410が、全音声帯域にわたって20dBを超える結合した(アクティブとパッシブ)ノイズ低減、及びオーバーシュートをほとんど伴わない円滑な応答を提供することを示している。第2のグラフ1112は、第2の制御システム410が、周波数範囲全体にわたって十分な位相余裕を提供することを示している。
【0043】
図12は、トランスデューサの開ループひずみと比較して、第2の制御システム410の、その音響出力において測定された閉ループひずみの周波数応答を示しているグラフ1210である。「パッシブ」とラベル付けされた第1の曲線は、試験プレート810によって測定される、ANCを備えていないヘッドホン716の総高調波ひずみの周波数応答を示している。「アクティブ」とラベル付けされた第2の曲線は、試験プレート810によって測定される、ANCがアクティブ状態であるヘッドホン716の総高調波ひずみの周波数応答を示している。アクティブ曲線は、第2の制御システム410のひずみ低減特徴を示しており、それは、低周波数においては約20dBである。
【0044】
図13を参照すると、サウンドシステムが、1つまたは複数の実施形態により示され、全体的に1300によって参照される。サウンドシステム1300は、アクティブノイズキャンセリング(ANC)制御システム1310、及びヘッドホンの対(図示せず)、及び音声源1314を含む。各ヘッドホンは、トランスデューサ1318、及び少なくとも2つのマイクロホン1320を含むマイクロホンアレイ1319を含む。第3の制御システム1310は、音声源1314から音声入力信号(V)を受け取り、フィルタ処理された音声信号(V
filt)をトランスデューサ1318に供給する。サウンドは、トランスデューサ1318から各マイクロホン1320に第2の経路1322に沿って伝達される。各マイクロホン1320は、トランスデューサ1318から放射されるサウンド、ならびにノイズ(たとえば、周囲サウンド及びひずみを受け取り)、対応するマイクロホン出力信号(MIC)を供給する。
【0045】
第3の制御システム1310は、第2の制御システム410(
図4に示す)の構造に加えてコントローラ1350を含む。第2の制御システムの構造は、簡略化され、等化フィルタ(EQ)1352と、ANCループ及びヘッドホン増幅器ブロック1354とによって表される。第3の制御システム1310はまた、2つの相異なる音声源間で切り替えるための第1の位置(1)及び第2の位置(2)を含むスイッチ(S)を含む。スイッチは、それが第1の位置(1)に方向付けられるとき、音声源1314をEQフィルタ1352に接続し、それが第2の位置(2)に方向付けられるとき、DSP1350をEQフィルタ1352に接続する。
【0046】
第3の制御システム1310は、ユーザについての応答を自動的に較正し、カスタマイズするように構成されている。ヘッドホン周波数応答は、低周波数のみにおけるフィードバックによって制御される。しかしながら、EQフィルタ1352を使用して、高周波数における応答を測定し、補正することが可能である。EQフィルタ1352は、音声入力(V)を、音響出力が所定の目的関数を近似するようにフィルタ処理する。目的関数は、1つまたは複数の実施形態により、Horbachによる米国特許出願第14/319,936号に記載の方法を用いて決定される。第3の制御システム1310は、耳腔及びクッションにおける反射を低減させる、または解消することによって、ユーザについての応答をカスタマイズするように、ユーザの耳腔及びクッションの形状に対応するEQフィルタ1352の係数を調整するように構成されている。
【0047】
ANC制御システムを含むサウンドシステムを自動的に較正するための方法が、1つまたは複数の実施形態により示され、全体的に数字1410によって参照される。方法は、1つまたは複数の実施形態により、DSP1350内に含まれているソフトウェアコードを使用して実装される。
【0048】
動作1412においては、較正手順が、ユーザがヘッドホンを装着している間に開始される。較正手順は、ユーザによって、たとえば、1つの実施形態によれば、ユーザが、ヘッドホン組立体上のボタンを押圧することによって開始される。他の実施形態においては、較正手順は、ボイスコマンドに応答して、またはコンピュータもしくはスマートフォンを使用してUSBポートを経由して信号伝達することによって開始され得る。
【0049】
動作1414においては、DSP1350は、第2の位置(2)に切り替えるようにスイッチ(S)を制御し、それによって、DSP1350をEQフィルタ1352の入力部に接続する。動作1416においては、DSP1350は、EQフィルタ1352に対して供給される試験信号を生成し、サウンドとしてトランスデューサ1318から放射する。1つの実施形態においては、試験信号は、250から500ミリ秒の間の短い対数掃引である。マイクロホンアレイ1319のマイクロホン1320は、何らかの反射またはノイズと一緒にサウンドを測定し、マイクロホン出力信号(MIC)をDSP1350に供給する。
【0050】
動作1418においては、DSP1350は、ノイズキャンセリングマイクロホンアレイ1319を経由して取り込まれた掃引応答に基づいて、誤差フィルタをコンピュータ計算する。次に、動作1420においては、DSP1350は、EQフィルタ1352の係数を更新する。動作1422においては、第3の制御システム1310は、スイッチを位置1へと元に戻し、サウンドシステム1310は、通常の動作を再開する。1つまたは複数の実施形態においては、DSP1350は、そのメモリにEQフィルタ1352の係数を保存するように構成され、それにより、ユーザは、毎回の使用前に、音声システム1300を再較正する必要がなくなる。
【0051】
図15は、第3の制御システム1310の周波数応答を示すグラフ1510である。
図16は、第3の制御システム1310のインパルス応答を示すグラフ1610である。各グラフ1510、1610は、等化前の第3の制御システム1310の周波数応答を示している「eq前」とラベル付けされた少なくとも1つの曲線を含む。各グラフ1510、1610はまた、等化後の第3の制御システム1310の周波数応答を示している「eq後」とラベル付けされた第2の曲線を含む。
【0052】
曲線の比較は、トランスデューサによって見られる耳腔及びクッションの中の残留反射が、等化を通じて解消可能であることを示し、それにより、円滑な応答につながる。これは、電気機械構成要素の公差による誤差、特には、ループ利得偏差を解消することを含む。目的応答は、ラウドスピーカを聴いているとき、通常の室内応答を模倣するように選択されており、高周波数に向けてわずかなロールオフを特徴とする。1つの実施形態においては、等化フィルタ(EQ)1352は、長さが64の最小位相FIR(有限インパルス応答)フィルタである。これは結果的に、
図16に示すプリリンギングを伴わない高速減衰、非分散性のヘッドホンインパルス応答をもたらす。
【0053】
例示的な実施形態について、上に述べているが、これらの実施形態が、本発明のすべての可能な形態を説明していることを意図していない。むしろ、本明細書に使用される用語は、限定ではなく、記述の語であり、様々な変更形態が、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく作成され得ることは理解される。加えて、様々な実装する実施形態の特徴は、本発明のさらなる実施形態を形成するように組合せ可能である。