(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
デキストロース発酵が、分裂酵母の酸抵抗性形質転換体、分裂酵母の組換え体株、または外来性乳酸脱水素酵素遺伝子を含むゲノムを含む耐酸性酵母菌株の使用を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
さらなる精製工程において、過剰なプロピオン酸を含有するアクリル酸を両性イオン交換樹脂と接触させてプロピオン酸をラフィネート中に溶離させる、請求項5に記載の方法。
【背景技術】
【0002】
[0002] アクリル酸は価値ある工業物品であり、用途が多様である。アクリル酸から作製されるポリマーは、接着剤、結合剤、コーティング、塗料、光沢剤および超吸収性ポリマーの製造に使用され、最後の超吸収性ポリマーは、ひいては例えばおむつおよび衛生製品を含めた使い捨て吸収性物品に使用される。
【0003】
[0003] 現状、アクリル酸は石油源材料から作製されている。例えば、長年アクリル酸はプロピレンの触媒酸化によって調製されてきた。しかし近年では、アクリル酸および他の従来の石油化学製品を製造するための、再生可能源をベースにした方法を開発する必要性についての意識が高まり、再生可能な資源からアクリル酸を作製する方法の確認および開発に多くの研究が向けられてきた。
【0004】
[0004] したがって、多数の文献でグリセロールをアクリル酸および/またはアクリル酸塩に変換するための方法が記載され、一般には、植物油からバイオディーゼル(脂肪酸メチルエステル)を作製する際に生成されるものなどのグリセロールを使用しており、例えば、DuBoisらのUS7,396,962およびその中で引用された文献を参照されたい。
【0005】
[0005] より直接的に本発明の方法に関連することであるが、炭水化物および/または炭水化物由来の供給原料からアクリル酸を作製する方法の開発にも、同様に多くの取り組みがなされてきた。炭水化物に由来し得てかつ綿密に評価を受けてきた供給原料の1つは、3−ヒドロキシプロピオン酸、すなわち3−HPAである。Holmenに対するUS2,859,240(1958年)では、3−HPAの脱水は「比較的単純かつ経済的なプロセス」であることが示されているが、「出発物質はコスト的に低いわけでも量的に入手しやすいわけでもない」(欄1、55〜58行目)と結論付けられている。45年後にも本質的に同じ評価がなされ、Kumarら、「Recent advances in biological production of 3−hydroxypropionic acid」、Biotechnology Advances、31巻、945〜961頁(2013年)において、この著者らは、過去10年間で「近い将来の商業的生産」に向けての「著しい進歩」があったにもかかわらず、「多くの重要な問題が依然残っており、より広範な検討を要する」と結論付けている。
【0006】
[0006] 炭水化物に由来し得てかつ同様に多くの研究の対象とされてきた別の供給原料は、乳酸である。例えば、同じ1958年のHolmen特許において、乳酸はその即時利用可能性のために、しばらくの間は有望な供給原料として3−HPAと同じくらい好ましいものとして認識されてきたと示されている(乳酸および乳酸の低級アルキルエステルをアクリル酸および対応するアクリル酸の低級アルキルエステルに変換する方法を開発する当時の取り組みについての1950年の概説を引用)。最近出願された多数の進行中の特許出願によって証拠付けられているように、乳酸をアクリル酸に変換するための商業的に実行可能な方法も、依然よく把握されていない。
【0007】
[0007] OzmeralらのWO2012/033845、DongareらのWO2012/156921およびLingoesらのWO2013/155245は、乳酸(および/または乳酸エステル)をアクリル酸(および/または対応するアクリル酸エステル)に変換する商業的に実行可能な方法を開発するためのこの進行中の取り組みの代表例であり、各々が順繰りに、同じ目的に対する過去の仕事を詳述しながら、追加公表された技術の大部分について論評している。
【0008】
[0008] WO2012/033845では、乳酸アンモニウムを含有する発酵ブロスを4つの経路のうちの1つに従って処理してアクリル酸エステルを生成させると記載されている。第1の経路では、まず発酵ブロスから乳酸を精製する。次に、高度に精製された乳酸を適切な触媒の存在下で高温での気相脱水反応に供してアクリル酸を生成し、今度はエステル化触媒の存在下でエステル化してアクリル酸エステルを得る。第2の経路では、発酵ブロス中の乳酸を「さほど精製することなく」脱水し、その後にエステル化してアクリル酸エステルを生成させる。第3の経路では、発酵ブロス中の乳酸アンモニウムを同時に脱水およびエステル化反応に供してアクリル酸エステル生成物を生成させ、第4の経路では、まず発酵ブロス中の乳酸アンモニウムをさほど精製することなくエステル化反応に供して乳酸エステルを生成させ、次にこの乳酸エステルを脱水してアクリル酸エステル生成物を得る。この第4の経路による「最も好ましい」実施形態では、乳酸アンモニウムを含有する発酵ブロスを水の蒸発によって濃縮し、好ましくは外部のエステル化触媒の非存在下で、C1〜C10アルキルアルコールによるエステル化に供する。この濃縮プロセス中に放出されるアンモニアは、乳酸発酵に再利用するため、エステル化反応中に放出されるさらなるアンモニアと共に取り込まれる。次に、第一段階で得られた乳酸エステルを脱水して対応するアクリル酸エステルを生成させる。
【0009】
[0009] DongareらのWO2012/156921では、乳酸からアクリル酸への選択率が改良されかつアセトアルデヒドおよび他の生成物の生成を低下させる触媒を乳酸からアクリル酸に脱水するために使用することが提案されており、この触媒は、任意選択により5質量パーセントのナトリウムで修飾された、カルシウム対リン酸比が1.5〜1.9のリン酸カルシウムを含む。この方法は、高度に純粋な窒素下、摂氏370度〜380度の温度で20〜40分間、触媒を固定層型反応器内で予熱し、次に50〜80質量パーセントの予熱された乳酸溶液の蒸気を石英固定された触媒層反応器に窒素キャリヤーガスを用いて通過させることを含むものとして記載されている。報告によるとこれらの条件下での乳酸の変換率は100パーセントであり、アクリル酸の選択率が60〜80パーセント、アセトアルデヒドの選択率が15〜35パーセントであった。
【0010】
[0010] LingoesらのWO2013/155245では、Dongareらの報告にあるものと類似の特徴を備えた多数の陣営による研究に対してまず言及がなされ、これらの研究は、リン酸塩および硝酸塩が酸性触媒の表面酸性度を望ましく変化させて特にアセトアルデヒドへの乳酸の脱カルボニル/脱炭酸を抑制し得ることを確証したとしている。
【0011】
[0011] Lingoesらは、アセトアルデヒドに対する選択率が低下しても、副産物が触媒に堆積し、汚染と早期かつ迅速な触媒の失活とがもたらされ得るため、やはり低下した量であっても問題であると主張している。さらに、いったん堆積すると、副産物は他の望ましくない反応、例えば重合反応を触媒し得る(段落0005)。
【0012】
[0012] また、Lingoesらは、問題となっている触媒への堆積に起因する困難とは別に、アセトアルデヒド、プロパン酸、一酸化炭素、二酸化炭素、2−3−ペンタンジオンおよび乳酸オリゴマーなどの副産物の量が非常に少量であっても、当時既知の乳酸からアクリル酸へのプロセスであるアクリル酸を処理して超吸収性ポリマーにする際に起こり得る困難について指摘し、このため文献の大部分はアクリル酸からのこれらの不純物の除去に基づいて存在するものであった。
【0013】
[0013] Lingoesらは、この文献の原型としてUS6,541,665および米国公開特許出願第2011/0257355号を引用している。US6,541,665では、(2つの精製段階および3つの除去段階を含む)5段階の結晶化が、他の種の中でも、2600質量百万分率の酢酸および358ppmのプロパン酸を含有する99.94%アクリル酸を得るために有効であった。US2011/0257355では、単一パスの結晶化でグリセロール脱水/酸化に由来する粗製反応混合物からプロパン酸を除去して99%のアクリル酸を得る方法が記載されている。Lingoesらによれば、彼らによる改善された触媒および方法の前に存在した、乳酸をアクリル酸に変換する先行技術の諸方法では、このような精製方法を利用するには多すぎる(「はるかに多すぎる」)量の副産物が生成された。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[0028] 次に
図1A/1Bおよび
図2を参照するが、本発明による方法全体のうちの第1の部分については
図1Aおよび1Bに示す2つの可能な構造によって、本発明による方法の1つの例示的な実施形態が2つに分けて概略的に示されている。
図1Aおよび1Bは、粗製アクリル酸生成物流を連続的に生成するプロセスの第1の上流部分に関する代替的構造を示し、一方、
図2は商業的に許容される氷アクリル酸生成物を連続的に生成し得る粗製アクリル酸生成物流の精製を対象としている、第2の下流部分を示している。
【0022】
[0029] 次に、
図1Aの一実施形態(10)に例示されている方法の上流部分を参照するが、デキストロース12は微生物14と微生物14のための栄養素16と共に発酵器18に供給され、ここでデキストロースは乳酸を含有する発酵ブロス20の形態で生物学的に乳酸に変換される。
【0023】
[0030] 乳酸含有発酵ブロスを得るためのデキストロースの発酵は商業的に実践されており、当業者であれば、発酵器内でデキストロースから乳酸を生成するために用いられ得ると思われる多数の微生物および関連方法に精通しているであろう。好適な方法の例としては、HaraらのUS2012/0214214(分裂酵母の酸抵抗性形質転換体を使用)、SineokijらのRU2268304C1(分裂酵母の組換え体株を使用)、およびLiuらのUS2005/0112737(外来性乳酸脱水素酵素遺伝子を含めたゲノムを含む耐酸性酵母菌株を使用)に記載の方法が挙げられ、これら全てがこれにより参照によって本明細書に組み込まれている。
【0024】
[0031] 乳酸含有発酵ブロス20は、例示の実施形態では乳酸ブロスタンク22内に収集される。発酵ブロス処理の技術分野において概して一般に行われているように、次に固形物除去工程23が乳酸含有発酵ブロス20から固形物を除去して(概略的に参照番号25によって示されているように)例えば細胞片が除去された清澄化乳酸含有発酵ブロス24を得る。発酵ブロス処理の技術分野では固形物を除去する様々な手段が周知であり、したがって、固形物除去工程23では、限定するものではないが濾過、凝集、沈降、遠心分離などを含めた様々な形態の手段が用いられ得ると思われるが、好ましい実施形態では限外濾過が使用される。
【0025】
[0032] いずれにしても、清澄化発酵ブロス24は次に、乳酸を発酵ブロス24から除去し好適な有機溶媒中に入れるための溶媒抽出工程26に連続的に供給され、一方25の回収された細胞体は発酵器18で再利用される。一実施形態では、溶媒抽出工程26は、シェルアンドチューブ型構造に配置された複数の中空繊維膜の使用を伴うが、多くの異なる膜構造が既知であり、それらを使用に選択してもよい。例えば、一枚の平面のシート膜もしくは積み重ねた平面のシート膜を使用してもよく、または(スパイラルフィルターとして一般に知られている)らせん状構造に配置された複数の同心のチューブ状膜を使用してもよい。膜ベースのガス回収または分離システムに精通した当業者であれば、適切な膜システムおよび構造を十分に選択することができるであろうが、現時点で好ましい実施形態は親水性ナノ濾過膜を用いることになる。以下の実施例で実証されるように、Membrana GmbH、Wuppertal、Germanyが販売するLiqui−cel(商標)膜接触器で用いられる疎水性膜の型も使用できると思われるが、現時点では好ましいものではない。
【0026】
[0033] シェルアンドチューブ型構造に配置された中空繊維膜を使用する一実施形態では、水酸化アンモニウム28が添加された溶媒タンク30の有機溶媒が、流路32を介して工程26に用いられている中空繊維膜のシェル側に供給される。水性乳酸含有フィード24からの乳酸が中空繊維膜に沿ってかつ放射状に移動してシェル側で乳酸アンモニウムを溶媒中に形成する。次に、フィード24の乳酸枯渇残留物は、中に含まれているさらなる栄養素を発酵器18内の発酵補助に利用するために、好ましくは、流路34aを介して少なくとも部分的に再利用され、さほど使用されていない任意の乳酸枯渇残留物は、図示のように流路34bを介して乳酸ブロスタンク22で再利用されるが、パージ部分36については乳酸ブロスタンク22および水性乳酸含有フィード24における所望の乳酸濃度を維持するために必要に応じて除かれる。
【0027】
[0034] その間、乳酸アンモニウムは溶媒中で流路38を介して沈降タンク40に供給され、ここで乳酸アンモニウムは重力沈降によって濃縮され、部分的に有機溶媒から分離される。沈降タンク40の前に、任意選択による追加工程において、乳酸と共に有機溶媒に移行した可能性のある残留アニオン種(例えば、リン、硫黄、アルミニウムおよび鉄)および色体を、吸着性媒体による吸着および/またはイオン交換もしくはイオン排除のうちの1つまたは複数によって、既知の方法に従って通常の技量を使用して除去してもよい。次に、沈降タンク40の底部からの乳酸アンモニウム溶液42が、蒸気状乳酸アンモニウムフィード46を脱水反応器48に供給するために蒸発器44に連絡し、一方回収された溶媒は沈降タンク40の上部から再生使用のために流路50において再利用される。小パージ52は、蒸気状乳酸アンモニウムフィード中の乳酸アンモニウム濃度を所望の範囲内で維持するために、示されているように蒸発器44から抜き取られる。
【0028】
[0035] 反応器48において、蒸気状乳酸アンモニウムフィード46中の乳酸アンモニウムを脱水して、アクリル酸ならびに少量の他の副産物、例えばプロピオン酸、アセトアルデヒド、一酸化炭素および二酸化炭素などを含む生成物にする。反応器48において様々な脱水触媒および関連方法の使用が想定され得るが、一実施形態では、PaparizosらのUS4,786,756に記載のような、水性無機塩基処理されたリン酸アルミニウム触媒が使用され、このような特許はここで参照によって本明細書に組み込まれている。Paparizosらにおいては、乳酸および/または乳酸アンモニウムは、乳酸および/または乳酸アンモニウム1モル当たり蒸気0.1〜50モル、通常は0.5〜50モルの水ならびに乳酸および/または乳酸アンモニウムの混合物を、水性無機塩基で処理し摂氏300度〜650度、通常は摂氏450〜550度の範囲の温度で焼成したリン酸アルミニウムと、10分〜20時間、典型的には30分〜10時間接触させることによって、気相でアクリル酸に変換される。この反応は、摂氏250度〜500度、通常は摂氏320度〜375度の温度で、0.1〜15秒、通常は2〜4秒の接触時間で実施される。乳酸アンモニウムが脱水される場合は乳酸およびアンモニアが生成され、所望の場合、アンモニアはデキストロースから乳酸への発酵で栄養素として使用することができる。
図1を参照し、流路34aはこのように発酵器18で少なくとも部分的に再利用することができ、抽出膜ユニット26において乳酸と反応しない任意のアンモニアがこの膜を通過して、発酵器18において進行中の発酵にさらなる栄養素をもたらす水性乳酸含有発酵ブロス20内に入る。
【0029】
[0036]
図1Bは、粗製アクリル酸生成物流を連続的に生成するプロセスの第1の上流部分の代替的構造を示している。一実施形態10Bでは、デキストロース、微生物ならびにその微生物のための栄養素12、14および16が、
図1Aにおけるように発酵器18に供給され、ここでデキストロースが乳酸含有発酵ブロス20の形態で生物学的に乳酸に変換される。
【0030】
[0037] 発酵ブロス20は限外濾過工程21における限外濾過を経て、発酵器18に戻される細胞体の再利用流23と、溶媒抽出工程29に供給される清澄化発酵ブロス27とを生成する。溶媒抽出工程29では、有機溶媒31を清澄化発酵ブロス27と綿密に混合してそこから乳酸を抽出するか、またはより好ましくは、清澄化発酵ブロスから乳酸を有機溶媒中に除去することを可能にし、同時に、有機溶媒が発酵ブロス中に進入することと、発酵ブロスからの高分子量の色体が乳酸と共に有機溶媒に進入することとを実質的に防止する、親水性ナノ濾過膜材料をその中に使用する。前述したことと同様に、様々な親水性ナノ濾過膜材料が、様々な既知の空間構造で、一般的な実施者の技量の範囲内で使用され得る。
【0031】
[0038] 抽出乳酸(33)を含有する有機溶媒流は次に容器35に進み、そこで水性の水酸化アンモニウム流路37内に供給されているアンモニアが抽出乳酸と反応して乳酸アンモニウム生成物39を形成し、一方乳酸が除去された残留発酵ブロス41は発酵器18に戻って再利用される。
【0032】
[0039] 乳酸アンモニウム生成物39は、次に容器43内で相分離されて乳酸アンモニウム水溶液45をもたらし、これは次に、
図1Aの実施形態における流路42の手法で蒸発器44に供給され、反応器48内で気相脱水を経る。再生された有機溶媒を含有する有機相は、次に流路31を介して清澄化発酵ブロス27のさらなる分から乳酸を回収する際にさらに使用するために(必要に応じて任意のさらなる補充溶媒と共に)再利用される。
【0033】
[0040] これより、
図2に概略的に示されている、本発明の方法における例示的な実施形態の第2の部分を参照して、反応器48で達成される脱水では、アクリル酸、プロピオン酸、アセトアルデヒド、アンモニア、二酸化炭素および一酸化炭素を含む粗製アクリル酸生成物50に加えて相当な量の水が生成される。この水の大部分は、粗製アクリル酸生成物50残留物からの有機物を、抽出カラム54において向流的に流れる好適な抽出溶媒52、例えば、アクリル酸エチルへ抽出することによって、粗製アクリル酸生成物50の残留物から分離される。過剰な水は流路56を介して除去され、それから
図2に示すように、より軽い有機成分(アンモニア、一酸化炭素および二酸化炭素)は、次にあるフラッシュ容器60から流路58にフラッシュ分離される。残留物は、第1の蒸留カラムフィード62の形態で、第1の蒸留カラム64で蒸留されて、アクリル酸およびプロピオン酸以外の好ましくは実質的に全ての残留する軽い成分(例えば、アンモニア、酢酸、ギ酸およびアセトアルデヒド)は頂部の流路66内に除去され、一方、アクリル酸およびプロピオン酸で主に構成され、好ましくは実質的に全てがそれらで構成されている底部流路68は、アクリル酸およびプロピオン酸を蒸留のみを用いて粗製アクリル酸生成物50内に、好ましくは実現可能な範囲で完全に分離することができるように、非常に低圧下で(例えば、約10kPa(0.1バール)で)作動している第2の蒸留カラム70に送られる。
【0034】
[0041] アクリル酸およびプロピオン酸の沸点は互いに非常に近いため、粗製アクリル酸生成物50からの所望のアクリル酸の大部分を含有する第2の蒸留頂部流路72は、例示の実施形態ではさらなる精製手段に渡される。一実施形態では、このさらなる精製手段は、これにより参照によって本明細書に組み込まれている、本発明の譲受人に譲渡されたSchultzらのWO2015/031182に記載のようなものとなるであろう。したがって、(以下の実施例のいくつかが関連する)一実施形態では、過剰なプロピオン酸を第2の蒸留頂部流路72から分離するために、好ましくはそれによって氷アクリル酸の品質を有する生成物が得られる程度において、クロマトグラフィー、特に疑似移動床式クロマトグラフィーが使用される。別の実施形態では、クロマトグラフィーは、過剰なプロピオン酸を分離し、低下したプロピオン酸、好ましくは氷アクリル酸の純度を有する、バイオベースのアクリル酸生成物を得るために、結晶化との組合せで用いられる。
【0035】
[0042] 連続的な工業規模の吸着プロセスはその効率がよく知られている。連続的向流移動床式クロマトグラフィー機器の操作により、特に物質移動駆動力が強化されており、従来のバッチ溶離クロマトグラフィーと比較して、所与量の吸着剤に対するより高い処理スループットおよび所望の成分のより完全な分離を可能にする。ただし、この向流操作モードでは、流体相および固相の両方が動作中でなければならない。しかし、固体の運動は、吸着剤の侵食(高度な圧力降下につながる微粉をもたらす)および装備の摩耗を含めた、相当な技術上の問題を呈する。これらの困難があるため、固体の吸着剤は静的に保たれるが、出口流と同様、全ての入口に流体の流れ方向に周期的な1カラムシフトが行われる、疑似移動床式クロマトグラフィーシステムが開発された。この手法では、固体の見かけ上のまたは疑似的な向流運動が流体の流れに対して創出される。このような疑似移動床式クロマトグラフィーシステムは、多くの産業でかつ様々な用途で広く使用されており、例えば第2の蒸留カラム70からの頂部流72から過剰なプロピオン酸を除去し、好ましくは3000質量ppm未満のプロピオン酸、より好ましくは1000質量ppm未満のプロピオン酸を含有する、プロピオン酸含量が低下したアクリル酸生成物を得るためにクロマトグラフィーを使う場合に、好ましいアプローチである。
【0036】
[0043] 疑似移動床式クロマトグラフィーシステムは、使用されよく知られているため、その詳細な取り扱い、設計および操作については本明細書で扱わないが、当業者は所望に応じて、公開文献、例えばGomesおよびRodrigues、「Simulated Moving Bed Chromatography:From Concept to Proof−of−Concept」、Chemical Engineering Technology、35巻、1号、17〜34頁(2011年)でさらなる情報を見出すことができ、この論文はこれにより参照によって本明細書に組み込まれ、また以下に記載されている実施例から導かれることになる。
【0037】
[0044] 今引用した例は、ポリスチレンマトリックスに結合しているカチオンおよびアニオンの両方の官能基を含めた両性樹脂が、ここでの用途に有効なクロマトグラフィー樹脂であることを示している。これらの樹脂は、典型的には、電解質および非電解質の分離、または2つの電解質の分離のために使用される。Mitsubishi Chemicalによって販売され、以下のいくつかの実施例で用いられているDIAION AMP−03両性イオン交換樹脂に加えて、様々な両性クロマトグラフィー樹脂が市販されており、使用することができる。例えば、旧バージョンの同じ樹脂がDIAION AMP−01という商品名で販売されていたが、依然としてある程度市販されている可能性があり、伝えられるところによれば、ビーズサイズは異なっておりかつおそらくは均一性が劣るものの、この旧バージョンの樹脂もプロセス工程16における使用に好適であるはずである。
【0038】
[0045] DIAION AMP−03両性イオン交換樹脂それ自体は、供給業者の記載によれば、架橋ポリスチレン骨格上に第四級アンモニウム基およびカルボキシ基が組み込まれている両性イオン交換樹脂であり、260μmの均一なビーズサイズを有し、劣化および浸出に対する顕著な耐性を有する。提案されている用途は、水を溶離液(移動相)として使用して水溶液中の様々な塩を分離するというものであり、したがって、代替の実施形態では、プロピオン酸およびアクリル酸からプロピオン酸エステルおよびアクリル酸エステルを形成し、次にこれらのエステルを分離することによって、頂部流72におけるプロピオン酸およびアクリル酸がDIAION AMP−03両性イオン交換樹脂または類似の両性樹脂を使用して分離することができると予想される。
【0039】
[0046] 水を溶離液として使用すること(塩の分離についてMitsubishiが提案するように)は、結果が
図3に示されているパルス試験が示すように、アクリル酸の保持時間および
図3で明白なアクリル酸ピークのわずかな尾引きのために、多量の水を要する可能性がある。次に、この溶離液は1つまたは複数の有機溶媒と水との組合せであることが好ましい。メタノールおよびアセトンの両方は、(
図4〜6が示すように)アクリル酸ピークの保持時間の低下および全体的な溶離液必要量の低下に有効であることが判明したが、当業者であれば、これらの目的を達成する他の有機溶媒を特定し、以下の実施例の手法に従って水を伴う使用を最適化することは十分に可能であろう。
【0040】
[0047] 過剰なプロピオン酸も、他の実施形態ではクロマトグラフィーおよび結晶化の組合せによって除去することができる。アクリル酸精製のための溶融および分別結晶化の使用は、よく知られ、かつ確立されており、様々な動的、懸濁および静的結晶化の方法およびデバイスが公知である。本来、溶融結晶化は、初期の系の熱力学平衡に従って所望の生成物を冷却および結晶化することで溶融物から化合物を単離することによって機能するが、本発明の文脈においては、結晶器に送られたプロピオン酸含有アクリル酸溶液および母液保持プロピオン酸溶液と比べて低下したプロピオン酸含量を有するアクリル酸を生成するために、溶融結晶化を使用する。
【0041】
[0048] 任意の既知の結晶器を用いることができ、かつその型またはサイズは特に限定されないと考えられる。例えば、Sulzer Ltd.、Winterthur、Switzerlandが販売している型の流下薄膜型結晶器は、アクリル酸の精製に現在使用されている動的層結晶化デバイスの1つの型であり、
図2の特定の実施形態で示されているいくつかの溶融結晶化段階のために一実施形態で使用してもよいが、Duboisに対するUS8,440,859では、最後の静的結晶器の前の一連の流下薄膜型結晶器についてはプリファレンスが明示されている。ほとんどの流下薄膜型結晶器では、精製アクリル酸はチューブの内面に結晶化するが、Le Page Mostefaら、「A purification route of bio−acrylic acid by melt crystallization respectful of environmental constraints」、Powder Technology、255巻、98〜102頁(2014年)では、流下薄膜型結晶器において、アクリル酸はチューブの外面に結晶化すると記載されている。著者らによれば、このような構造は、結晶化がチューブの内面に起きる場合に発生し得る目詰まりのリスクなしで、初期溶融物の比較的大きい部分を結晶化することを可能にし、かつこの結晶器からはより高い生産性が得られるとしている。著者らは、過去に知られていた設計と比べて低下したサイクルタイムを含めて、彼らの設計から得られる他の利点も主張している。この文献では、さらに他の結晶器の設計が引き続き紹介され、これらは
図2で概略的に示されている溶融結晶化段階のうちの1つまたは複数での使用が考えられ得、例えば、VerdoesおよびBassett、「High Purity Products by Crystallization」、Specialty Chemicals、29巻、7号、32〜35頁(2009年)およびFunakoshiら、「Influences of reflux ratio on separation and purification of acrylic acid by inclined column crystallizer」、Journal of Crystal Growth 237−239、2251〜2256頁(2002年)によって記載されている水圧洗浄カラムを参照されたい。
【0042】
[0049] 概して、流下薄膜型結晶化は多チューブ交換機内で実施され、各チューブは、プロピオン酸が除去されることになるアクリル酸の液体流(溶融物)を上部で連続的に受け取り、その液体はチューブの内壁に沿って薄膜として落下し、チューブ底部で受け取られ、内部の管壁上で所望の量のアクリル酸を結晶化するための閉ループ内で、必要である限りチューブの上部で再循環する。同時に、熱交換流体、典型的にはエチレングリコール/水またはメタノール/水がチューブの外壁に沿って流れて結晶化サイクルの各段階の操作に必要な冷却または加熱をもたらし、チューブ底部からチューブ上部までの再利用は結晶化サイクルの期間行われる。
【0043】
[0050] 各結晶化段階自体は、結晶化、結露および溶融の3つの相または段階で進行する。結晶化段階における熱交換流体の温度は、溶融物内のアクリル酸の結晶化温度をわずかに上回る温度、典型的には摂氏14度、から開始する負の温度勾配に沿って低下する。結晶は、内部管壁の表面に形成される。循環させているアクリル酸のおよそ30〜80パーセントが結晶化したときに、残存する液体画分である母液が排出され、除去される。結露における熱交換流体の温度は、形成中のアクリル酸結晶の層内に包含物の形態で閉じ込められている不純物(この場合、主にプロピオン酸)を溶融によって除去するために、正の温度勾配に沿って上昇するが、この包含物はアクリル酸が晶出するにつれてプロピオン酸中でますます濃縮される再循環不純アクリル酸との接触を通じて、層が増大するに伴ってますます発生する。溶融段階において、熱交換液体の温度は、アクリル酸の融点(摂氏14度)を超えると急速に上昇し、ただし重合が発生する程度には至らない温度(例えば、摂氏35〜40度以下)まで上昇して、結晶質層は溶融し、収集される。典型的には、第1の結晶器からの結晶質層は溶融物として第2の結晶器に供給され、その結果、順序立てられた操作を通して、以下のある特定の実施例に例示されるようにより高い純度を実現することができる。
【0044】
[0051] 先ほど説明したようなクロマトグラフィーおよび溶融結晶化の両方を利用している、
図2に概略的に例示された特定の実施形態では、第2のフラッシュ容器74は流路76中の軽い成分をフラッシュ分離し、一方98パーセント超の純粋なアクリル酸からなるが好ましい上限である3000質量ppmを超えるプロピオン酸を依然含有する残留物78は、次に第1の溶融結晶化段階80に運搬される。
【0045】
[0052] 段階80からの母液82は第2の溶融結晶化段階84に入り、一方第2の溶融結晶化段階84からの結晶化物86は第1の溶融結晶化段階80からの結晶化物88と合わされ、合わされた結晶化物86および88は第3の溶融結晶化段階90に送られる。第2の段階84からの母液92は、先ほど説明した典型的な2カラム配列内の第2の蒸留カラムからのプロピオン酸含有底部流路94と合わされ、この組合せは疑似移動床式クロマトグラフィーシステム96に対するフィードとして使用される。次に、工程40における好ましい疑似移動床式クロマトグラフィーシステムからのアクリル酸生成物98は、結晶化物86と88と共に第3の溶融結晶化段階90に送られ、一方疑似移動床式クロマトグラフィーシステム96からのラフィネート流路100は、粗製アクリル酸生成物50に含有された過剰なプロピオン酸で主に構成されている。
【0046】
[0053] 一実施形態では、任意選択によるさらなる工程において、ラフィネート流路100中にプロピオン酸と共に残存する残留アクリル酸は、反応器102内で水素104によって水素化されてさらなるプロピオン酸を生成し、それによってより高い純度のプロピオン酸副生成物106を得る。ある特定の実施形態では、水素化は、上で引用されたDuboisに対するUS8,440,859に記載の手法で実施され得る。しかし、Duboisの想定では水素化される材料が50〜90質量パーセントのアクリル酸を含有することになるのに対し、本明細書におけるラフィネート100のアクリル酸含量は50質量パーセントをはるかに下回ることになる点に留意すべきである。したがって、Duboisが所望する、少なくとも85質量パーセント、好ましくは少なくとも95質量パーセント、より好ましくは少なくとも99質量%のプロピオン酸純度の達成は、例えば、ラフィネート100が7.9質量パーセントの残留アクリル酸を含有する(実施例28)発明者らの方法では、Duboisの場合のようにほとんどアクリル酸で構成されるよりも、結局のところ相当に容易であるはずである。
【0047】
[0054] Duboisに対するUS8,440,859で述べられているように、水素化は、水素分子源と共に液相または気相で実施され得る。Duboisによって引用された水素化を実施する既知の方法には、FR2219927、Chemicky Prumsyl 37、651〜653頁(1987年)およびElectroanalytical Chemistry(1975年)、75〜80頁が含まれる。具体的には以下のように記載されている:ルテニウム−ホスフィン錯体および溶媒としてメタノールを使用し、およそ摂氏60度、およそ3MPaの圧力で実施される均質な液相プロセス;固定層における酸化アルミニウム−銅/亜鉛触媒により、摂氏250度〜350度の間の温度、0.1MPa〜0.6MPaの間の圧力(1〜6気圧)での不均質な気相触媒作用;ならびに、ケイ酸または活性炭などの多孔質支持層に吸着した液体パラジウム塩溶液の形態で適用され、塩は続いて還元され金属白金を形成するパラジウム触媒により、摂氏20度〜80度の温度、0.1MPa〜1.0MPa(1〜10気圧)の水素圧力での不均質な触媒作用。
【0048】
[0055] 別の実施形態では、さほど好ましいとされない代替のさらなる工程を用いて、ラフィネート100中の過剰なプロピオン酸は酸化的に脱水素され、例えば、式A
aM
bN
cX
dZ
eO
fの混合金属酸化物触媒を使用する、HanらのEP2039674B1に記載の触媒および方法によって、さらなるアクリル酸を得る(式中、Aは、「MoおよびWからなる群から選択される少なくとも1つの元素であり、Mは、VおよびCeからなる群から選択される少なくとも1つの元素であり、Nは、Te、SbおよびSeからなる群から選択される少なくとも1つの元素であり、Xは、Nb、Ta、Ti、Al、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ni、Pt、Sb、Bi、B、In、As、Ge、Sn、Li、Na、K、Rb、Cs、Fr、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Ra、Hf、Pb、P、Pm、Eu、Gd、Dy、Ho、Er、Tm、YbおよびLuからなる少なくとも1つの元素であり、Zは、Zn、Ga、Ir、Sm、Pd、Au、Ag、Cu、Sc、Y、Pr、NdおよびTbからなる群から選択される少なくとも1つの元素であり、Oは、酸化物形態の酸素である(式中、a=1、b=0.01〜1.0、c=0.01〜1.0、d=0.01〜1.0、e=0〜0.1であるとき、fは他の元素の酸化状態に依存する)」)。好ましい触媒は、「Mo
aV
mTe
nNb
xO
oおよびW
aV
mTe
nNb
xO
o(式中、a、m、n、xおよびo[sic − f?]は先に定義されたとおりである)」であった。代替的に、Hanらによって言及された参考文献JP2000053611に記載のMoFeCoO触媒および方法を使用してもよい。別の代替の実施形態では、(Daicel Chemical Industries Ltdに譲渡された)Keikoに対するJP07−330658に記載の触媒および方法があり、ここでは式P
aMo
bV
cA
dCe
eB
fO
gの触媒を使用してプロピオン酸またはその対応エステルが酸化的に脱水素される(式中、Aは銅、ヒ素、アンチモン、ケイ素、タングステン、クロム、銀およびマグネシウムのうちの1つまたは複数であり、Bはカリウム、ルビジウム、セシウムおよびタリウムのうちの1つまたは複数であり、(a)は0.5〜3であり、(c)は0.1〜3であり、(d)は0〜3であり、(e)は0.01〜3であり、(f)は0.01〜2であり、(g)は(b)が12であるときに必要に応じる)。別の代替の実施形態では、金/チタニア触媒が用いられたMcEnteeら、「Selective Catalytic Oxidative−Dehydrogenation of Carboxylic Acids − Acrylate and Crotonate Formation at the Au/TiO
2 Interface」、J.Am.Chem.Soc.136巻、5116〜5120頁(2014年)に記載の触媒および方法を使用してもよい。さらに別の代替の実施形態では、Watkinsに対するUS3,855,279に記載の、(実施例9で具体的に示されているように)鉄および鉛のリン酸塩混合物の焼成された残渣で構成された触媒を使用して、酸素存在下でかつ摂氏250度〜摂氏600度までの範囲の温度で、プロピオン酸を酸化的に脱水素してアクリル酸にすることができる、触媒および方法を使用してもよい。このさらなるアクリル酸は、クロマトグラフィーによって、結晶化によって、または本明細書に例示のようにクロマトグラフィーおよび結晶化の組合せによって、同様に処理することができる。
【0049】
[0056] 好ましくは3000質量ppm未満のプロピオン酸、より好ましくは1000質量ppm未満のプロピオン酸を含有する氷アクリル酸生成物流路108は第3の溶融結晶化段階90から生成され、一方第3の溶融結晶化段階90からの母液110は結晶器配列の開始部分、第1の溶融結晶化段階80で再利用される。
【0050】
[0057] 本発明は、以下の非制限的な実施例によってさらに例示される。
【実施例】
【0051】
[0059] 実施例1
[0060] アクリル酸/プロピオン酸混合物に対する一連のパルス試験を、DIAION AMP−03両性イオン交換樹脂を使用して行った。標準試験手順は、室温の水中スラリーとしての樹脂100mlを直径1.5cmのガラスカラムに装填することを伴った。次に樹脂を水500mlで洗浄した。水を樹脂の上部に排出させ、よってフィードのパルス6mlを樹脂カラムに装填した。液体を樹脂の上部に再び排出し、水2mlを添加した。再び、液体を樹脂の上部に排出させ、よって水10mlをヘッドスペースに添加した。水を3ml/分で樹脂を通して流し、周期的に画分6mlを収集した。次に、この画分6mlを分析した。
【0052】
[0061] 上記手順の後、
図3に示すように、均一濃度条件下、DIAION AMP−03両性イオン交換樹脂などの両性イオン交換樹脂を使用したSMBクロマトグラフィーを用いて、酢酸およびプロピオン酸の両方がアクリル酸から分離され得ることが見いだされた。
【0053】
[0062] 実施例2〜4
[0063] 実施例1で行ったパルス試験は、アクリル酸のプロピオン酸からのSMBクロマトグラフ分離が技術的に可能であることを示している。しかし、アクリル酸ピークの遅い溶出およびわずかな尾引きのために、水の必要量が相当多くなる可能性が非常に高い。見込みがある解決策の1つは、溶離液必要量を減少させるために有機溶媒、または水と有機溶媒との混合物を使用することであろう。上記手順の後、実施例2〜4で、異なるレベルのメタノールおよびアセトンを水と組み合わせて評価し、アクリル酸の保持率およびピーク形状を改善することができるか調べた。
【0054】
[0064] 水中5%アセトンの使用(実施例2および
図4)によって、アクリル酸ピークの保持時間が0.5ベッド体積減少し、尾部が約1ベッド体積減少し得ることが示されたが、このことは、実際には溶離液必要量がSMBクロマトグラフ分離における均一濃度分離と比べて低下され得ることを示すものである。
【0055】
[0065] パルス試験の溶離に用いられた補助溶媒としての15%のメタノール(実施例3および
図5)も溶離液必要量を減少させ、全ての酸のピーク形状を改善した。メタノールの相対濃度を50%に増加(実施例4および
図6)させることでアクリル酸の溶出時間は著しく減少したが、アクリル酸およびプロピオン酸のピークにおけるピーク重複は、SMBクロマトグラフ分離では成功しない可能性が高いと思われるポイントまで増加した。
【0056】
[0066] 実施例5〜9
[0067] 実施例1〜4で報告されたパルス試験は、酢酸およびプロピオン酸の両方からアクリル酸を分離するために、両方の均一濃度条件を使用し混合溶媒を溶離液として用いたSMBクロマトグラフィーが使用できることを確認するものだが、酢酸およびアクリル酸の沸点が異なるため、酢酸の副産物に関しては蒸留分離が好ましいものとなり得る。SMBクロマトグラフィー装置における様々な溶離液の性能をさらに評価するために、12カラムの回転SMBクロマトグラフィーユニットをDIAION AMP−03両性イオン交換樹脂を用いた2−5−4−1のカラム装置に配置した(
図7参照)。脱着、濃縮、フィードおよび再装填流について4つの個々のポンプを独立に操作した。
[0068] 表1は12カラムの装置および均一濃度条件を使用して実行した一連の実験を示し、全ての流量をグラム/分で報告している。
【0057】
【表1】
【0058】
[0069] 表1のデータが示すように、99パーセント強の純粋なアクリル酸生成物を実現し、これに対しプロピオン酸は95パーセント超の回収率であった。フィードは、プロピオン酸7〜15g/リットルと合わせたアクリル酸100〜150g/リットルを含有していた。
【0059】
[0070] 実施例10〜18
[0071] 表2は、12カラムの装置を使用したが、アセトン/水の組合せの溶離液中の10%のアセトンを用いた一連の実験ランを示している。
【0060】
【表2】
【0061】
[0072] パルス試験から予想されたように、溶離液溶媒に10%のアセトンを含めるように変更すると、均一濃度分離についての実施例5〜9からの溶離液必要量である溶離液:フィード=5:1から、アセトン/水混合溶離液では3:1と大きく減少した量で、所望の収率および純度を実現した。これは、抽出濃度の増加および蒸発の減少をもたらす。溶媒回収コストがある程度これらの利点を相殺し得る。
【0062】
[0073] 実施例19〜27
[0074] 表3は、25%メタノールを補助溶媒として用いて行われた一連の実験ランを示している。
【0063】
【表3】
【0064】
[0075] ここでも、均一濃度操作と比べて大きく減少した溶離液必要量を用いて、所望の収率および純度を達成することができた。
【0065】
[0076] 実施例28
[0077]
図2に概略的に示すように、溶融結晶化およびクロマトグラフィー配列は、Aspen Technology,Inc.、Burlington、Massachusettsから市販されているASPENPLUS(バージョン8.2)プロセスモデリングソフトウェアを使用してモデル化し、平衡相図を構築しアクリル酸とプロピオン酸との間の共晶組成を決定するためにアクリル酸およびプロピオン酸の様々な組合せで行われた一連の溶融結晶化実験に従い、さらに上で概括されたクロマトグラフィー試験に基づいている。モデル化の結果を次の表4に示すが、頂部流72の流入残留物78は第2の蒸留カラム70からのものであり、プロピオン酸含有底部流94も第2の蒸留カラム70からのものであり、概してPaparizosらのUS4,786,756による、バイオベースのアクリル酸を作製する先述の方法におけるものである。
【0066】
【表4】
【0067】
[0078] 実施例29〜32
[0079] HaraらのUS2012/0214214による方法を用いて生成し次に限外濾過によって濾過した発酵ブロスから乳酸を抽出する一連のバッチトライアルを行った。
【0068】
[0080] Alamine(登録商標)304−1の水不溶性トリ−オクチル/ドデシルアミン(BASF SE、Ludwigshafen、Germany)およびn−オクタノールの25:75の比での溶媒の組合せを、各バッチトライアル用の限外濾過された発酵ブロスと綿密に混合した。定量的分離のために30分〜60分の期間にわたって相分離させた後、抽出された乳酸を含有する有機溶媒相および残留発酵ブロスをイオン排除HPLCによって分析して発酵ブロスから抽出された乳酸の量を決定した。次に有機溶媒を26ボーメ(29.4質量パーセント)の水酸化アンモニウム水溶液を用いた逆抽出によって再生し、さらなる相分離の後、形成された乳酸アンモニウム溶液において、乳酸についてはイオン排除HPLCによって、アンモニアについてはアンモニアイオン専用電極の使用によって分析した。
【0069】
[0081] 次に、再生された溶媒を限外濾過された発酵ブロスからさらなる量を抽出するために使用し、限外濾過された発酵ブロスの4つのバッチが処理されるまで、先述のバッチトライアルの工程を繰り返した。
【0070】
[0082] 4つのバッチトライアルの結果は次のとおりであった。
【0071】
[0083]
[0084] トライアル1:
[0085] 限外濾過ブロスの体積 500ml
[0086] ブロスの乳酸濃度 71.6g/kg
[0087] 溶媒混合物の体積 820ml
[0088] 回収されたラフィネート 448ml
[0089] ラフィネートの乳酸濃度 10g/kg
[0090] ラフィネートのpH 未検
[0091] 添加された水酸化アンモニウム 28ml
[0092] 回収された乳酸アンモニウム 72ml
[0093] 抽出乳酸% 87.2%
[0094] 乳酸アンモニウムの乳酸濃度 34.8%
[0095] 乳酸のアンモニア濃度 8.32%
[0096] 乳酸アンモニウム溶液濃度 41.37%(計算値)
[0097]
【0072】
[0098] トライアル2
[0099] 限外濾過ブロスの体積 300ml
[00100] ブロスの乳酸濃度 70.7g/kg
[00101] 溶媒混合物の体積 800ml
[00102] 回収されたラフィネート 276ml
[00103] ラフィネートの乳酸濃度 16.4g/kg
[00104] ラフィネートのpH 4.93
[00105] 添加された水酸化アンモニウム 18ml
[00106] 回収された乳酸アンモニウム 52ml
[00107] 抽出乳酸% 80%
[00108] 乳酸アンモニウムの乳酸濃度 31.7%
[00109] 乳酸のアンモニア濃度 8.42%
[00110] 乳酸アンモニウム溶液濃度 37.7%(計算値)
【0073】
[00111]
[00112] トライアル3
[00113] 限外濾過ブロスの体積 300ml
[00114] ブロスの乳酸濃度 70.7g/kg
[00115] 溶媒混合物の体積 800ml
[00116] 回収されたラフィネート 280ml
[00117] ラフィネートの乳酸濃度 12.64g/kg
[00118] ラフィネートのpH 4.77
[00119] 添加された水酸化アンモニウム 17.5ml
[00120] 回収された乳酸アンモニウム 50ml
[00121] 抽出乳酸% 83.4%
[00122] 乳酸アンモニウムの乳酸濃度 33.4%
[00123] 乳酸のアンモニア濃度 9.39%
[00124] 乳酸アンモニウム溶液濃度 39.7%(計算値)
【0074】
[00125]
[00126] トライアル4
[00127] 限外濾過ブロスの体積 300ml
[00128] ブロスの乳酸濃度 70.9g/kg
[00129] 溶媒混合物の体積 810ml
[00130] 回収されたラフィネート 277ml
[00131] ラフィネートの乳酸濃度 16.5g/kg
[00132] ラフィネートのpH 4.83
[00133] 添加された水酸化アンモニウム 17.5ml
[00134] 回収された乳酸アンモニウム 48ml
[00135] 抽出乳酸% 78.6%
[00136] 乳酸アンモニウムの乳酸濃度 33.8%
[00137] 乳酸のアンモニア濃度 8.9%
[00138] 乳酸アンモニウム溶液濃度 40.2%(計算値)
【0075】
[00139]
[00140] 実施例33
[00141] この実施例および次の実施例については、疎水性X50ポリプロピレンチューブ状膜(Membrana GmbH、Wuppertal、Germany)を装備したLiquiCel(登録商標)MiniModule(登録商標)膜接触器を用いた。
【0076】
[00142] 第1のトライアルでは、限外濾過された発酵ブロス1.25リットルを、膜接触器のX50チューブ状膜を通して、Alamine(登録商標)336の水不溶性トリ−n−ドデシルアミン(BASF SE、Ludwighafen、Germany)および2,6−ジメチル−4−ヘプタノールの25:75混合物2.5リットルの中へ抽出した。溶媒混合物をチューブ状膜のシェル側で循環させ、一方発酵ブロスはルーメン側を通して循環させた。このトライアルは5.67時間にわたって実施された。フィード乳酸濃度は66.8g/kg、最終ブロス濃度は14.5g/kgであった。乳酸輸送溶媒混合物約2.3リットルがトライアルの終了時に回収され、このとき小さい水層が認識されたが、26ボーメのアンモニア水溶液69mlを用いた乳酸輸送溶媒混合物の逆抽出の前には分離されなかった。アンモニア溶液および乳酸輸送溶媒混合物を64分にわたって十分に混合し、次に相分離させた。乳酸アンモニウム水溶液172mLを回収した。分析によって、乳酸アンモニウム溶液中に339.6g/kgの乳酸濃度および89g/kgのアンモニアが示された。乳酸アンモニウム濃度の計算値は40.4質量パーセントであった。
【0077】
[00143] 実施例34
[00144] 第2のトライアルでは、限外濾過された発酵ブロス1.14リットルを、膜接触器のX50チューブ状膜を通して、Alamine(登録商標)336の水不溶性トリ−n−ドデシルアミン(BASF SE、Ludwighafen、Germany)および2,6−ジメチル−4−ヘプタノールの25:75混合物2.5リットルの中へ抽出した。溶媒混合物をチューブ状膜のシェル側で循環させ、一方発酵ブロスはルーメン側を通して循環させた。このトライアルは5.1時間にわたって実施された。フィード乳酸濃度は64.7g/kg、最終ブロス濃度は11.7g/kgであった。トライアル終了時に、抽出発酵ブロス約1リットルを回収し、乳酸輸送溶媒混合物約2.5リットルを回収した。次に、乳酸輸送溶媒混合物を26ボーメのアンモニア水溶液65mlで逆抽出した。アンモニア溶液および乳酸輸送溶媒混合物を45分にわたって十分に混合し、次に相分離させた。乳酸アンモニウム水溶液162mLを回収した。分析によって、乳酸アンモニウム溶液中に367g/kgの乳酸濃度および100g/kgのアンモニアが示された。乳酸アンモニウム濃度の計算値は43.6質量パーセントであり、限外濾過された発酵ブロス中の約84パーセントの乳酸を乳酸アンモニウム生成物中に回収した。