特許第6574847号(P6574847)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6574847
(24)【登録日】2019年8月23日
(45)【発行日】2019年9月11日
(54)【発明の名称】風力発電装置の運転方法
(51)【国際特許分類】
   H02P 9/00 20060101AFI20190902BHJP
   F03D 1/02 20060101ALI20190902BHJP
   F03D 7/04 20060101ALI20190902BHJP
   F03D 15/20 20160101ALI20190902BHJP
   H02P 101/15 20150101ALN20190902BHJP
   H02P 103/20 20150101ALN20190902BHJP
【FI】
   H02P9/00 F
   F03D1/02
   F03D7/04 E
   F03D15/20
   H02P101:15
   H02P103:20
【請求項の数】11
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-546090(P2017-546090)
(86)(22)【出願日】2016年2月26日
(65)【公表番号】特表2018-509126(P2018-509126A)
(43)【公表日】2018年3月29日
(86)【国際出願番号】EP2016054092
(87)【国際公開番号】WO2016139145
(87)【国際公開日】20160909
【審査請求日】2017年10月25日
(31)【優先権主張番号】102015203841.6
(32)【優先日】2015年3月4日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】512197272
【氏名又は名称】ヴォッベン プロパティーズ ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】WOBBEN PROPERTIES GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100080816
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 朝道
(74)【代理人】
【識別番号】100098648
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 潔人
(74)【代理人】
【識別番号】100119415
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 充
(72)【発明者】
【氏名】ベークマン、アルフレート
(72)【発明者】
【氏名】クルーゼ、マルセル
【審査官】 大島 等志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−274953(JP,A)
【文献】 特開2009−068379(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0161950(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0216166(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02P 1/00−31/00
F03D 1/00−80/80
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
風力発電装置(100)の運転方法であって、
・支配的な風速(V)が予め設定される第1境界値(VWG1)を上回ると、風力発電装置(100)の回転数(n)及び出力(P)は減少され、
・予め設定される第1境界値(VWG1)は支配的な風の突風度及び/又は突風頻度に依存し、及び/又は、回転数(n)及び出力(P)は、風の突風度ないし突風頻度が大きい場合、支配的な風速(V)が予め設定される第1境界値(VWG1)に到達する前に、減少され、
・回転数(n)及び出力(P)は、風速(V)が更に増大すると、回転数(n)が予め設定される最小回転数(nmin)に到達する及び/又は出力(P)が予め設定される最小出力(Pmin)に到達するまで、更に減少され、
・風力発電装置(100)は、風速(V)が一層更に増大しても、最小回転数(nmin)ないし最小出力(Pmin)を維持する、
方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、
風力発電装置(100)は、一層更に増大した風速(V)のとき、依然としてそのような大きさの各風速(V)に対し、最小回転数(nmin)ないし最小出力(Pmin)を維持しかつスイッチオフされない、
方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の方法において、
予め設定される最小回転数(nmin)に到達するないし予め設定される最小出力(Pmin)に到達すると、ロータブレードは、風から得られる出力(P)が一定に維持されるよう、そのブレード角が調整される、
方法。
【請求項4】
請求項1〜の何れかに記載の方法において、
最小出力(Pmin)は、少なくとも、風力発電装置(100)を運転することができるために風力発電装置(100)の運転装置に電流を供給するために十分な大きさである、
方法。
【請求項5】
請求項に記載の方法において、
最小出力(Pmin)は、風力発電装置(100)の運転装置に電流を供給するために必要な大きさの少なくとも2倍の大きさであり、かくして、当該風力発電装置(100)及び少なくとも1つの同じ規模の更なる風力発電装置(100)が運転されることができる、
方法。
【請求項6】
少なくとも2つの風力発電装置(100)の運転方法であって、
各風力発電装置(100)は請求項1〜の何れかに記載の方法によって運転される、
方法。
【請求項7】
請求項に記載の方法において、
前記少なくとも2つの風力発電装置(100)の少なくとも1つは、風速(V)が第1境界値(VWG1)を超えてもなお、前記少なくとも2つの風力発電装置(100)の他の1つに出力(P)を伝送することができ、かくして、この他の1つの風力発電装置(100)がこの伝送された出力(P)によってその運転装置を運転できるほど多くの出力(P)を生成する、
方法。
【請求項8】
請求項1〜の何れかに記載の方法によって運転されるよう構成された風力発電装置(100)。
【請求項9】
請求項に記載の風力発電装置(100)であって、
該風力発電装置(100)は、ギアレス型であり、同期発電機を有し、水平軸型発電装置として構成され、及び/又は、そのピッチ角が調整可能なロータブレード(108)を有する、
風力発電装置。
【請求項10】
請求項8又は9に記載の風力発電装置(100)を少なくとも2つ含む及び/又は請求項又はに記載の方法によって運転されるよう構成されたウインドパーク(112)。
【請求項11】
請求項10に記載のウインドパークであって、
・荒天時、機能を維持している何れかの風力発電装置(100)から、夫々更なる1つの風力発電装置(100)が一緒に運転されることができるほど多くの出力が生成される、
ウインドパーク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、風力発電装置の運転方法及びウインドパークの運転方法に関する。更に、本発明は、風力発電装置及びウインドパークに関する。とりわけ、本発明は、基本的に、水平軸型の風力発電装置、即ち、実質的に水平に配され有利には運転時風の方向に回転される(整列される)回転軸の周りでロータが回転するタイプの風力発電装置に関する。回転軸は、水平に対し僅かな傾きを有してもよいが、実質的に水平に配されることにより、当該回転軸の周りで回転する1又は複数のロータブレードは実質的に風を横切るよう延在するロータブレード面を張る(形成する)。
【背景技術】
【0002】
そのような風力発電装置は一般的に知られており、風からエネルギを取り出して電気エネルギに変換するが、このことはしばしば単純化して電気エネルギの生成ということもある。ここで、とりわけ風力発電装置を危険に晒し得るほどに風速が大きい場合、問題が生じ得る。そのため、長い間、風力発電装置に負荷をかける風速が非常に大きい場合、風力発電装置はスイッチオフされていた。少なくとも、定格出力時に突然スイッチオフすることは不都合であることは分かっていた。不都合であるのは、その場合エネルギが最早生成できないということのみならず、再スイッチオンはしばしば風速が明白に減少されてから初めて実行されていたこともである。かくして、危険な負荷を引き起こす大きな風速のこの領域において風速に依存する生成電力についてヒステリシス関数が生じていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】EP 0 847 496 B1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
その対策として、欧州特許0847496B1の教示が提案されていた。この文献には、従来であればスイッチオフされていた風速に到達しても、風力発電装置を更に運転するが、回転数及び出力(生成電力)は風速の増大とともに減少されることが記載されている。そのため、風力発電装置の保護はそのような大きな風速にも拘らず達成されるが、出力が減少されても、更に運転されることができる。
【0005】
この方策は原理的には実証された。しかしながら、その後、風力発電装置(の規模)はより大きくなった。とりわけ、風力発電装置は、比較的より大きな(ロータ回転軸の)軸高さとより大きなロータブレードを有する。そのため、風速が大きい場合の負荷にも耐えなければならない迎え面も一層より大きくなっている。更に、一般的に、より大きな高度では、より大きな風速も考慮する必要がある。
【0006】
更に加えて、場合によっては将来的に、より激しい(多くの)嵐(荒天:Stuermen)や、大抵はそれに伴うより激しい(多くの)突風を考慮する必要がある。
【0007】
それゆえ、本発明の課題は、上述の問題(複数)に取り組むことである。とりわけ、大きな風速に対する措置を考慮し、可能な限り改善を提案し、可能な限り関連する風力発電装置をその規模及び/又は軸高さに応じて考慮する方策を更に発展させることが望まれる。少なくとも、既知の方策に対して、代替的な方策の提案が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に応じ、請求項1に記載の方法が提案される。この方法は、以下の工程:
・支配的な風速が予め設定される第1境界値(閾値)を上回ると、風力発電装置の回転数及び出力(生成電力)は減少される、
・回転数及び出力は、風速が更に増大すると、回転数が予め設定される最小回転数に到達する及び/又は出力が予め設定される最小出力に到達するまで、更に減少される、及び、
・風力発電装置は、風速が一層更に増大しても、最小回転数ないし最小出力を維持する、
を含む。
【発明を実施するための形態】
【0009】
風力発電装置の回転数及び出力(生成電力)は、従って、予め設定される第1境界(限界)値以降、減少される、即ちこの値から風速の更なる増大とともに減少される。即ち、風速に依存する回転数及び出力の減少が提案される。尤も、回転数又は出力は、とりわけ回転数かつ出力は、その際、ゼロには減少されず、(或る)最小値までに減少される。これは、回転数については最小回転数、出力については最小出力であろう。そして、この最小回転数ないし最小出力は、風速が一層更に増大する場合(領域)に含まれることが望まれる。ここで重要なことは、この値が正確に維持されることではなく、風速が更に増大する場合、回転数ないし出力が更に一層減少されないこと、とりわけゼロまでには減少されないよう、風力発電装置が制御されることである。
【0010】
この提案は、まず、風力発電装置を危険に晒す風速が上回られる(超過される)場合、風力発電装置の回転数及び出力を減少し、以って、装置負荷(風力発電装置に対する負荷)を減少又は制限することは、依然として有意義であるように見えるという認識に基づいている。尤も、風速がなおもそのように大きい場合にも風力発電装置を損傷することなく小さい回転数ないし出力で風力発電装置の引き続きの運転が実行可能であることも(本発明により)認識された。寧ろ、そのことは、風力発電装置がまだある程度(少々)回転していれば、有益ですらあり得ることが(本発明により)明らかとなった。
【0011】
まず、この解決策は、(位置ないしピッチ)調整可能なロータブレードを有する風力発電装置を前提とする。このロータブレードは、上記第1境界値より明白に小さい定格風速以降、風がより強くなるとともに、風(の作用)から一層影響を受けない(aus dem Wind)よう回転される。その際、風に対するロータブレードの迎え面(Angriffsflaeche)が減少するだけではなく、力方向も−単純化して表現すれば−ブレード表面を横切る方向からブレード表面に平行な方向に変化する。ロータブレードの調整は既に大きな負荷低減をもたらす。この小さい出力ないし回転数に向けての更なる調整の際、既に、フェザリング位置の近くへの調整は負荷の大きな減少をもたらす。従って、負荷はここで既に極めて小さい。
【0012】
更に、風力発電装置を、アジマス位置(調整)も含めて、運転状態に維持すること、即ち風(の方向)に対する風力発電装置の整列(状態)を維持することは、今や有利である。かくして、風が引き続き前方から、従って今や負荷が最も小さい方向から到来することも、特に保証することができる。風が回転する(風向が変化する)場合、風力発電装置がこれに追従しなければ、風は突然少なくとも1つのロータブレードのより大きな迎え面を見出し、更には、不都合な方向からロータブレードに流入することも起こり得る。これに関し、上記の単純化の例に戻れば、風は再び少なくとも1つのロータブレードにブレード表面に対し横方向に流入し得るであろう。
【0013】
本発明の認識の1つは、極めて低いレベルで風力発電装置を引き続き運転することは、ここに記載した課題に対する最も簡単かつ最も効率的な回答(解決策)であるということである。従って、風力発電装置は、換言すれば、全く正常に引き続き運転されるが、このことは何れにせよ風力発電装置のアジマス整列(状態)に関連する。
【0014】
尤も、回転数ないし出力は極めて小さく、ロータブレードは風から影響を極めて大きく受けないよう回転されている。
【0015】
換言すれば、風力発電装置がスイッチオフによってその最良の保護を享受するということは不適切な考え(仮定)であることも(本発明により)認識された。実際、風力発電装置は、スイッチオフの場合、原理的に制御不能な態様で風の自然力に晒されることになる。提案に係る発明はこれとは相違する。
【0016】
更に、特に軸受けは、過度に長期に運転されない場合、それにより劣化し得ることも軽視すべきではない。風力発電装置が短期間静止しているのであれば軸受けの損傷は生じないであろうが、風力発電装置がより長期間静止していれば、ここで、問題が生じ得るであろう。とりわけ、ロータを軸受け支持する一方の、大抵は両方の軸受けは、極めて大きな負荷及び要求に対応しなければならない。この場合、風力発電装置を過度に長期間停止させておくことは危険であり得る。勿論、そのような軸受けは、風が強い場合の不都合な風条件や不都合な運転によっても損傷を被り得る。しかしながら、提案に係る解決策は、風速が極めて大きい場合、小さい出力及び回転数による運転を行うことを前提としている。そして、ほぼ風の中へのロータブレードの調整による上記の著しい負荷減少により、このロータ軸受けの負荷も減少する。従って、1ないし複数のロータ軸受けに対する負荷は、本発明の解決策では著しく減少されているが、それにも拘らず、更なる(引き続きの)回転は保証される。
【0017】
かくして、有利には、風力発電装置は風速が一層更に(より大きく)増大しても依然としてそのような大きさの何れかの風速に対し、最小回転数ないし最小出力を維持しかつスイッチオフされないことも提案される。これにより、まさに大強風及び颶(ぐ)風(Sturm- und Orkanverhaeltnissen)状況を含む風速が極めて大きい場合、風力発電装置を低負荷状態に維持可能にすることがまさに達成される。
【0018】
一実施形態によれば、本方法は、予め設定される最小回転数に到達するないし予め設定される最小出力に到達すると、ロータブレードは、風から得られる出力が一定に維持されるよう、そのブレード角(ピッチ角ないし迎角)が調整されるように、実行される。これは、まず、回転数及び/又は出力が監視(計測・記録)され、入力値として使用されることを意味する。回転数、又は出力は監視することができる。この両者は、風力発電装置が相応に制御されていれば、それぞれの境界値(限界値)、即ち最小回転数ないし最小出力に一緒に到達し得る。この場合、両者の値を同時に考慮することができる。有利には、場合によって起こり得るコンフリクトを回避するために、両者のうち一方のみが考慮される。
【0019】
この値に到達すると、風力発電装置は、ブレード調整によって風から得られる出力が一定に維持されるよう、引き続き運転される。これは、例えばトルク又は逆トルクが予め一定に設定される場合、従って例えば他励式同期機(これは好ましいバリエーションとして提案される)の場合であれば励磁が一定に維持される場合、実行することができる。このような及び類似の場合、従って、嵐(又は大強風:Sturm)の場合にも、風力発電装置の提案に係る(フィードバック)制御(Regelung)は、出力が監視され、それに依存してロータブレードのブレード角(ピッチ角)が調整されるよう実行することができる。従って、通常は強い(大きな)突風を伴うとりわけそのような大きい風速の場合に困難であり得る風の測定は最早不要である。
【0020】
この場合、出力を一定の値に制御する場合は、この値が正確かつ精密に維持されることはそれほど重要ではなく、寧ろ、当該値が実質的に及び/又は平均値で一定であることが重要である。かくして、風力発電装置は、この所望の小さい値に維持され、同時に出力を生成することができる。生成される電力は、小さいことが可能でありかつ望まれるが、有利には風力発電装置の運転が保証されるような大きさである。従って、少なくとも、風力発電装置の運転を可能にするために、風力発電装置の運転装置に電流(電気)を供給するために十分な大きさの出力の生成が望まれる。この場合、とりわけ、アジマス配向の調整のための調整装置の運転は重要である。
【0021】
有利には、この出力即ち最小出力は、1つの風力発電装置の運転装置に給電するために必要な大きさの少なくとも2倍の大きさであり、かくして、当該必要量を超えて生成された出力によって同じ規模(容量)の更なる1つの風力発電装置を運転することができる。
【0022】
この最後のオプションは、とりわけ、ウインドパーク内の複数の風力発電装置の運転に関するものである。この場合、例えば、複数の風力発電装置は種々異なるように構成される(種々異なる設備を有する)ことも可能であり、また、ある種の安全措置が保証されることも可能である。従って、ある種の出力バッファ(Leistungspuffer)も設けられるであろう。これは、例えば一部が電気エネルギ蓄積装置に中間蓄積され、供給可能状態にされ得ることにより、更なる従って例えば隣接風力発電装置の運転のために使用可能ではあるが、それ自身の風力発電装置のためにも使用可能である。
【0023】
本発明の更なる一実施形態は、予め設定される第1境界値が、支配的(vorherrschend)風(優勢な風速条件における風の状態)の突風度(Boeigkeit)及び/又は突風頻度(Boeenhaeufigkeit)に依存し、及び/又は、回転数及び出力は、風の突風度ないし突風頻度が大きい場合、支配的な風速が予め設定される第1境界値に到達する前に、減少されることを提案する。
【0024】
かくして、支配的風の突風度及び付加的に又は代替的に突風頻度を一緒に本方法に取り入れることが提案される。突風の可能な定義の1つは、風速の実測1分間平均値が数秒以内、例えば最大20秒で少なくとも3秒以内に続けて少なくとも3m/s超過される場合であろう。この定義に基づいて、相応に、突風を確認(検出)することができ、それによって、突風を計数し、その頻度即ち(所定)期間当りの発生数を求めることもできる。
【0025】
とりわけ、大きな突風頻度が存在する場合、支配的風速の第1境界値を小さくすることが提案される。支配的風速としては、この場合も、本発明の他のすべての実施形態についてのものと同様に、風速の実測1分間平均値を使用することができる。代替的に又は付加的に、回転数及び出力は、風の突風度ないし突風頻度が大きい場合、支配的風速が予め設定される第1境界値に到達する前に、減少されることができる。突風度が大きい又は突風頻度が大きい場合、より早期に即ち風速がより小さいうちに回転数ないし出力が減少されることは、原理的に、両方の手段及び方法によって達成されることができる。
【0026】
このアイデアの背景は、突風によって風速が突然数秒以内に大きな値に上昇し、これに風力発電装置が迅速には十分に対応できないために、当該風力発電装置に不所望に大きな負荷が加わり得ることにある。例えば突風により又は一般的に少々より大きい風速により生じる、不所望に大きい負荷は、直ちに風力発電装置が修理不能な損傷を受けること又は場合によってはロータブレードが折れ(曲が)ることは意味しない。寧ろ、まず、一般的には、磨耗が大きくなり、或いは、より急速に(材料の)疲労現象が現れる、換言すれば、不所望に大きな負荷が過度に頻繁に、過度に長期に及び/又は過度に大きく生じると、寿命が短くなり得る。従って、突風頻度が大きい場合、回転数及び/又は出力のより大きな減少というこの措置がなければ、少なくとも短時間に不所望に大きな負荷を風力発電装置に加える風速が高頻度で作用するであろう。相応の頻度によって、これ(そのような風)は、長期間にわたって、風力発電装置又はその個々の部品の寿命の短縮化に影響を及ぼすであろう。
【0027】
同様のことが、発生する突風が極めて強い場合、即ち当該突風が風速の実測1分間平均値を5m/sを明白に超えるよう超過する場合にも当てはまる。この場合、場合によっては大きな突風頻度は存在しないこともあろうが、突風(度)は格別に大きいであろう。この場合、短時間の過大負荷、即ち所望の値を超える負荷は、高頻度ではないであろうが、一層より大きいであろう。結局のところ、それによって長期にわたり風力発電装置の寿命の短縮化も生じ得るであろう。その限りにおいて、この場合、平均突風が風速の実測1分間平均値を超過する値は、突風度の大きさないし強さとして使用することができる。風速がその1分間平均値を超過する最小値である5m/sが規格化(正規化)のために使用される、即ち1に設定される場合、分かり易い一例を挙げれば、突風の風速の平均的超過が10m/sの場合、超過値が5m/sの場合の2倍の大きさの突風度が生じるであろう。
【0028】
勿論、両方の値、即ち突風の頻度及び突風度即ち平均突風の強さ(大きさ)を考慮することも可能である。従って、大きな突風頻度及び大きな突風度が存在すれば、風速が一層より小さい場合において、回転数及び/又は出力が減少されるようにすることが望ましいであろう。
【0029】
そのほかには、すべての実施形態にも当て嵌まり得るが、風速の第1境界値は、従来は、即ち上掲した文献EP 0 847 496 B1で意図されているように、スイッチオフされていた風速の値の辺りにある。とりわけ、この第1境界値は、この場合、定格運転時には不所望に大きな負荷が生じるであろうな値に設定される。有利には、風速の第1境界値は、凡そ23〜28m/s、とりわけ凡そ25m/sである。
【0030】
有利には、風力発電装置は、風速が更に増大すると、即ち第1境界値以降連続的に風速が更に増大すると、風速が第2境界(限界)値に到達するまで回転数及び/又は出力が減少されるよう、運転される。この第2境界値は、有利には、第1境界値を明白に超えている、例えば第1境界値を少なくとも8m/s又は有利には15m/s超えている。この(後者の)領域では、即ち25m/sの領域では、4m/sは、ビューフォート風力階級でいえば、ほぼ1風強さ(einer Windstaerke)に相当する。従って、この場合、第2境界値は、第1境界値よりも少なくとも1風強さないし有利には少なくとも2風強さより大きいであろう。
【0031】
有利には、最小回転数は、定格回転数の最大20%、とりわけ最大10%である。有利には、最小回転数は、定格回転数の少なくとも5%、とりわけ少なくとも10%である。従って、最小回転数は、定格回転数より著しく(有意に)より小さいが、風力発電装置が停止状態にある場合と比べれば明白により大きい。
【0032】
有利には、最小出力は、風力発電装置の定格出力の最大20%、有利には最大10%である。更に、最小出力は定格出力の0%にまで減少し得ること又は定格出力の少なくとも2%、とりわけ少なくとも5%であることが提案される。かくして、最小出力は、定格出力よりも著しく(有意に)より小さい値を有するが、同時に、風力発電装置の運転装置を運転するためには依然として十分に大きい。
【0033】
更に、嵐(荒天:Sturm)は風力発電装置に対する機械的負荷をもたらし得ることだけではなく、そのような状況においてはネット(系統)障害(故障)の蓋然性がより大きいことも認識されている。ネットの存在は、電気エネルギの供給のために不可欠であるだけではなく、風力発電装置がそれ自身のための電気を生成しない場合、風力発電装置の運転装置に給電するために、当該ネットから電気エネルギを取り出すためにも不可欠なのである。本発明ないし本発明の幾つかの実施形態は、この問題、即ち、荒天時にネット障害が生じた場合でさえも、風力発電装置の運転装置になおも電気(電流)を供給可能にするという問題も解決する。かくして、とりわけ、荒天時に停電が起きた場合にも、相応の駆動装置を含むアジマス制御装置は運転されることができ、風力発電装置は風の中に(風の方向に)回転される(整列される)ことができる。かくして、負荷を最小化することができる。
【0034】
有利には、最小回転数は、風力発電装置は風速の第2境界値を超えた領域においてもこの回転数で運転されるのであるが、凡そ4rpm〜8rpmの値、とりわけ6rpmの値である。そのような回転数は、とりわけギアレス式風力発電装置の場合、風力発電装置の劣化(Vergammlen)を回避するために、即ちとりわけ不必要な停止期間による損傷を回避するために、十分であり得る。
【0035】
有利には、出力が生成されずかつ風力発電装置が僅かな回転数で運転されるだけで、十分であり得る。風力発電装置が運転されることができる、即ち(風力発電装置の)運転装置が給電されることができるだけの出力を生成すると有利である。
【0036】
運転装置の運転は、アジマス調整装置の運転、ピッチング即ちロータブレードの位置調整、更には、制御装置の給電に関係し得る。場合によっては、除氷もこれに該当し得るが、これにより、とりわけロータブレードの除氷のための加熱装置を運転するために十分な出力が生成される。
【0037】
本発明に応じ、複数の風力発電装置を運転する方法も提供される。これによれば、とりわけウインドパークの、複数の風力発電装置は、夫々、1つの風力発電装置の運転のための上記の実施形態の少なくとも1つによってなされるように運転される。
【0038】
有利には、この場合、複数の風力発電装置の少なくとも2つは、一方の風力発電装置が他方の風力発電装置に、当該他方の風力発電装置がその運転装置の運転のために必要な電力(出力)を伝送(供給)するよう、互いに接続される。
【0039】
これにより、とりわけ荒天時に、複数の風力発電装置が最小回転数ないし最小出力にまでそれらの回転数及び出力が減少されること、その際、1つの風力発電装置がその運転装置の運転のためにそれ自身では十分な出力を生成しない場合に、当該風力発電装置に他の(1つの)風力発電装置によってこの不可欠な電力(出力)を供給することができることが、達成できる。
【0040】
1つの風力発電装置は、他の(1つの)風力発電装置に対し、風速の第1境界値を超える領域での運転時に、この他の風力発電装置がその運転装置に給電できるほど多くの出力をなおも供給することができると有利である。これは、とりわけ、風速の第2境界値を超える領域での運転時にも、即ち最小回転数ないし最小出力での運転時にも有利である。とりわけ、この他の風力発電装置がアジマス調整を実行できるほどに多くの電力(出力)を伝送(供給)することができる。とりわけアジマス調整によって、風力発電装置を風の中に回転可能にすることが保証され、ロータブレードがフェザリング位置に完全に又はほぼ(完全に)回転されている場合、それによって、負荷を最小に維持することができる。そして、このことは、それ自身のアジマス調整のために十分な電力(出力)を−理由は何であれ−それ自身では用意できない風力発電装置に対しても適用可能であろう。このアジマス調整は、それにも拘らず、他の風力発電装置、とりわけ近隣にある及び/又は同じウインドパーク内に配置された風力発電装置が余分な(余剰の)電力(出力)を供給(用意)できる場合も、依然として可能であろう。
【0041】
このため、有利には、複数の風力発電装置は、1つのウインドパーク内に配置され、かつ、過剰な出力を生成する風力発電装置と不十分な出力を生成している風力発電層の間でのそのような出力分配を調整するために、ウインドパーク中央制御装置によって制御される。
【0042】
本発明に応じ、更に、少なくとも、個別の風力発電装置の運転に関する上記の実施形態の1つに応じて運転される風力発電装置が提案される。有利には、そのような風力発電装置はギアレス式であり、そのため、空気力学的ロータは、回転子とも称される発電機の電気力学的ロータを直接駆動する。
【0043】
有利には、発電機は同期発電機であり、とりわけ好ましくは他励式の、即ち、回転子で直流電流が制御され、磁界が生成され、磁界の強さ(大きさ)は直流電流の大きさで制御されることができる同期発電機である。この場合、更に、トルクも制御ないし調整されることができる。とりわけそのような風力発電装置は、大強風、暴風、更には颶(ぐ)風(ハリケーン)の範囲を含む極めて大きな風速の場合にも、小さい回転数及び出力で引き続き運転されるよう、有利な態様で運転される。出力及び回転数が相応に小さい場合、それに応じてトルクも小さく、従って、風力発電装置は小さい機械的負荷で運転されることができる。この場合、風力発電装置は引き続き運転されるため、とりわけそのようなギアレスコンセプトの精密なガイドベアリング(fuehrende Lager)も少なくともある程度は運動状態に留まることができる。とりわけギアレス式の風力発電装置の場合、しばしば、1又は複数の同じ軸受が、空気力学的ロータと電気力学的ロータ(回転子)を同様に(gleichermassen)ガイドする。この場合、電気力学的ロータのガイドについては、当該空気力学的ロータ(回転子)と発電機のステータの間に相応のエアギャップを維持するために、格別な正確性が必要である。
【0044】
本発明に応じ、更に、少なくとも1つの実施形態に応じて上述したように運転される複数の個別風力発電装置を有するウインドパークが提案されるが、この場合、有利には、そのようなウインドパークの複数の風力発電装置の少なくとも2つの間での相互作用ないし連携(運転)が提案される。かくして、複数の風力発電装置の運転、とりわけウインドパークの複数の風力発電装置の各々の配向を適切なアジマス位置に合わせることが、格別に大きな信頼性で、場合によっては冗長的に、達成することができる。
【0045】
以下に、本発明の好ましい形態を示す。
(形態1)本発明の一視点により、風力発電装置の運転方法が提供される。該方法においては、
・支配的な風速が予め設定される第1境界値を上回ると、風力発電装置の回転数及び出力は減少され、
・予め設定される第1境界値は支配的な風の突風度及び/又は突風頻度に依存し、及び/又は、回転数及び出力は、風の突風度ないし突風頻度が大きい場合、支配的な風速が予め設定される第1境界値に到達する前に、減少され、
・回転数及び出力は、風速が更に増大すると、回転数が予め設定される最小回転数に到達する及び/又は出力が予め設定される最小出力に到達するまで、更に減少され、
・風力発電装置は、風速が一層更に増大しても、最小回転数ないし最小出力を維持する。
(形態2)形態1の方法において、風力発電装置は、一層更に増大した風速のとき、依然としてそのような大きさの各風速に対し、最小回転数ないし最小出力を維持しかつスイッチオフされないことが好ましい。
(形態3)形態1又は2の方法において、予め設定される最小回転数に到達するないし予め設定される最小出力に到達すると、ロータブレードは、風から得られる出力が一定に維持されるよう、そのブレード角が調整されることが好ましい。
(形態)形態1〜の何れかの方法において、最小出力は、少なくとも、風力発電装置を運転することができるために風力発電装置の運転装置に電流を供給するために十分な大きさであることが好ましい。
(形態)形態の方法において、最小出力は、風力発電装置の運転装置に電流を供給するために必要な大きさの少なくとも2倍の大きさであり、かくして、当該風力発電装置及び少なくとも1つの同じ規模の更なる風力発電装置が運転されることができることが好ましい。
(形態)少なくとも2つの風力発電装置の運転方法において、各風力発電装置は形態1〜の何れかの方法によって運転されることが好ましい。
(形態)形態の方法において、前記少なくとも2つの風力発電装置の少なくとも1つは、風速が第1境界値を超えてもなお、前記少なくとも2つの風力発電装置の他の1つに出力を伝送することができ、かくして、この他の1つの風力発電装置がこの伝送された出力によってその運転装置を運転できるほど多くの出力を生成することが好ましい。
(形態)形態1〜の何れかの方法によって運転されるよう構成された風力発電装置も好ましい。
(形態)形態の風力発電装置は、ギアレス型であり、同期発電機を有し、水平軸型発電装置として構成され、及び/又は、そのピッチ角が調整可能なロータブレードを有することが好ましい。
(形態10)形態8又は9の風力発電装置を少なくとも2つ含む及び/又は形態又はの方法によって運転されるよう構成されたウインドパークも好ましい。
(形態11)形態10のウインドパークにおいて、
・荒天時、機能を維持している何れかの風力発電装置から、夫々更なる1つの風力発電装置が一緒に運転されることができるほど多くの出力が生成されることが好ましい。
以下に、本発明を例示的に図面を参照して説明する。
なお、特許請求の範囲に付記した図面参照符号は専ら発明の理解を助けるためのものに過ぎず、本発明を図示の態様に限定することは意図していない。
【図面の簡単な説明】
【0046】
図1】風力発電装置の一例の模式図。
図2】ウインドパークの一例の模式図。
図3】出力(生成電力)及び回転数の風速への依存性の一例についての模式的グラフ。
図4】時間に対してプロットした、突風を伴う風速の推移(変化)の一例の模式的グラフ。
【実施例】
【0047】
図1は、タワー102とナセル(ゴンドラ)104を有する風力発電装置100の一例を示す。ナセル104には、3つのロータブレード108とスピナ110を有するロータ106が配設されている。ロータ106は、運転時、風によって回転運動し、それによって、ナセル104内の発電機を駆動する。
【0048】
図2は、同一又は異なるように構成可能な例えば3つの風力発電装置100を有するウインドパーク112の一例を示す。従って、3つの風力発電装置100は、1つのウインドパーク112の原理的に任意の数の風力発電装置を代表している。これらの風力発電装置100は、その出力(生成電力)、即ちとりわけ生成した電気(電流)を電気的パークネット114を介して供給する。その際、個々の風力発電装置100のそれぞれ生成した電気ないし電力は加算される。大抵は、変圧器116が設けられるが、変圧器116は、ウインドパークの電圧を昇圧し、次いで、一般的にPCC(系統連係点)とも称される給電点118において電気供給ネット120への給電を行う。図2は、ウインドパーク112の単純化した模式図に過ぎず、従って、例えば制御装置は図示されていないが、当然、制御装置は設けられている。更に、例えば、パークネット114は異なるように構成することも可能であり、そのようなパークネットでは、例えば、個々の風力発電装置100の出力端にそれぞれ1つの変圧器が設けられている。尤も、これは他の一実施例として例示したに過ぎない。
【0049】
図3は、風速Vに依存する回転数n及び出力Pの推移(変化)の一例を示す。これによれば、回転数nはスタート風速VW0から増大する。そして、回転数は定格風速VWNのところまで増大する。出力Pはスイッチオン(始動)風速(Zuschaltwindgeschwindigkeit)VPZUのところで小さな値で生成し始める。この風速VPZUのところで、例えば発電機のロータの励磁がスイッチオンされるため、ここで初めて、従ってこの小さな速度において出力(電力)が生成される。そして、出力Pは、定格風速VWNのところまで更に増大する。VPZUからVWNまでのこの領域は部分負荷領域とも称される。出力Pの推移、更には回転数nの推移も、ここでは単純化して直線的に示されているが、通常は、厳密に単調に増大するが、直線的ではなく、寧ろ、曲線的に変化する。
【0050】
定格風速VWNにおいて、両者の値は夫々の定格値に達する、即ち回転数nはその定格回転数nに達し、出力Pはその定格出力Pに達する。ところで、これらは、通常は、これらが設定されている、とりわけ発電機も設定されている風力発電装置のシステム特性である。このことは、とりわけ、空気力学的ロータの回転数nが発電機の電気力学的ロータないし回転子の回転数nと同一であるギアレス式の風力発電装置の場合に妥当する。
【0051】
風速が更に増大しても、出力P及び回転数nはそれらの定格値に留まる。とりわけ、このために、ロータブレードのピッチ角(迎角)が風に対して変化される。即ち、ロータブレードは、風の増大とともに、風(の作用)から(外れるよう)、即ちフェザリング位置の方向に回転される。これは、第1境界(限界)風速VWG1までそのように実行される。この第1境界値VWG1は、とりわけビューフォート風力階級でいう風力9のところ又はその終端部にある、即ち、大強風(Sturm)から暴風(schwerem Sturm)の移行領域にある。
【0052】
そして、この第1境界風速のところで、回転数nも出力Pも第2境界(限界)風速VWG2のところまで減少する。そして、そこで、これらはそれらの最小値即ち最小出力Pminないし最小回転数nminに達する。
【0053】
第1境界風速VWG1のところから第2境界風速VWG2のところへの出力P及び回転数nの減少は図3には直線的に記載されている。しかしながら、直線的な減少は好ましい一実施形態であり、出力P及び/又は回転数nはそれとは異なるように減少することも可能である。例えばこれらは放物線又は合成放物線又は正弦関数(曲線)のように減少することも可能であり、例えば正弦関数(曲線)の90°〜270°の部分を正の領域にシフトした形で減少することも可能であるが、これらは何れも有利な更なる実施例として列挙したに過ぎない。
【0054】
第1境界風速VWG1及び第2境界風速VWG2は、ここでは、夫々、支配的風速の第1境界(限界)値及び支配的風速の第2境界(限界)値の同義語として使用されている。そして、第2境界風速のところで、出力P及び回転数nは夫々それらの最小値Pmin及びnminに達し、そして、風速Vが一層大きく増大しても、これらはその値に維持される。図3には、これらの2つの最小値が原理的により大きな任意の風速に対して維持されることを示すために、記号∞(無限大)が象徴的に記載されている。勿論、風速は∞の「値」に達することはなく、従ってこれは単に分かりやすく説明するためのものに過ぎない。
【0055】
図3の模式図では、出力Pも回転数nも夫々それらの定格値に規格化(正規化)されている。図示によれば、最小回転数nminは定格回転数nの凡そ25%であり、また、最小出力Pminは定格出力Pの凡そ0%である、即ちこの実施例ではゼロ又はほぼゼロに減少されるが、より大きな値も可能であり得る(考慮に値する)。これらは単なる説明のための値であり、定格回転数の25%という値は相当に大きな値であり、より小さい値が有利であろう。なお、現実的には、定格出力Pに対する最小出力Pminは、定格回転数nに対する最小回転数nminよりも大きく減少される。なぜなら、そうでなければ、極めて大きな風速のこの領域即ち第2境界風速を超える風速の領域には依然として最大トルクが存在するであろうからである。尤も、有利には、トルクも減少され、その結果、回転数の減少とともに出力は相応に一層より大きく減少する。その理由は、出力P、回転数n及びトルクmの間には式P=n×mの関係があるからである。
【0056】
図4は、時間tに対する風速Vの推移(変化)を極めて模式的に示す。より大きく変化している曲線は、実際風速、とりわけ瞬間風速ないし瞬時風速VWiを示し、これに対し、極めて一様な曲線は1分間平均値VW1を示す。この模式的例は凡そ13分間にわたるものであり、瞬間風速VWiは図示の期間内に3つの突風B〜Bを有する。かくして、この例は、13分間当たり3つの突風という突風頻度、即ち、4分毎に凡そ1つの突風という突風頻度を示す。これは、突風の頻度としては比較的小さいものであろう。
【0057】
これらの突風の概略的に示した高さ(レベル)は、1分間平均値VW1の上方凡そ7m/s〜15m/sに達している。この場合、突風高さ(レベル)は、平均で、1分間平均値の上方凡そ10m/sであり、従って、突風の最小高さ即ち1分間平均値の上方5m/sの2倍の大きさであろう。この場合、従って、突風度は値2で示すことができるであろう。この2の突風度は平均値であり得るが、その他の点では、突風が凡そ2風力だけ平均風速より大きいという通常の気象状況にほぼ相当する。
【0058】
第1境界風速VWG1が突風頻度及び/又は突風度ないし突風の強さに依存して減少されることが一実施形態に応じ提案される。このことは、図3では、回転数の破線で示した分岐線nで示されており、出力Pについては、破線の分岐線Pで示されている。即ち、図には、突風に依存するシフトが概略的に示されている。境界風速VWG1、更にはVWG2は図では変化されておらず、その結果として、出力PないしP及び回転数nないしnが減少される起点をなす風速値はより小さい風速値にシフトされている。これらの変化された値は、VWG1ないしVWG2として横軸に示されている。
【0059】
図3図4を一緒に考察すれば、相当に小さい突風頻度は、突風に依存する出力P及び突風に依存する回転数nの図示のシフトをもたらさないか又はわずかな程度でしかもたらさないであろう。図4に応じた突風度ないし突風の強さ(大きさ)は、ほぼ平均値であり、従って、相応の実施形態によれば、出力Pないし回転数nのシフトをもたらすであろう。
以下に、本発明の好ましい態様を付記する。
(態様1)風力発電装置の運転方法において、
・支配的な風速が予め設定される第1境界値を上回ると、風力発電装置の回転数及び出力は減少され、
・回転数及び出力は、風速が更に増大すると、回転数が予め設定される最小回転数に到達する及び/又は出力が予め設定される最小出力に到達するまで、更に減少され、
・風力発電装置は、風速が一層更に増大しても、最小回転数ないし最小出力を維持する。
(態様2)上記の方法において、風力発電装置は、一層更に増大した風速のとき、依然としてそのような大きさの各風速に対し、最小回転数ないし最小出力を維持しかつスイッチオフされない。
(態様3)上記の方法において、予め設定される最小回転数に到達するないし予め設定される最小出力に到達すると、ロータブレードは、風から得られる出力が一定に維持されるよう、そのブレード角が調整される。
(態様4)上記の方法において、予め設定される第1境界値は支配的な風の突風度及び/又は突風頻度に依存し、及び/又は、回転数及び出力は、風の突風度ないし突風頻度が大きい場合、支配的な風速が予め設定される第1境界値に到達する前に、減少される。
(態様5)上記の方法において、最小出力は、少なくとも、風力発電装置を運転することができるために風力発電装置の運転装置に電流を供給するために十分な大きさであり、とりわけ、最小出力は、風力発電装置の運転装置に電流を供給するために必要な大きさの少なくとも2倍の大きさであり、かくして、当該風力発電装置及び少なくとも1つの同じ規模の更なる風力発電装置が運転されることができる。
(態様6)少なくとも2つの、とりわけウインドパークにグループ化された風力発電装置の運転方法であって、各風力発電装置は上記の方法によって運転される。
(態様7)上記の方法において、前記少なくとも2つの風力発電装置の少なくとも1つは、風速が第1境界値を超えてもなお、前記少なくとも2つの風力発電装置の他の1つに出力を伝送することができ、かくして、この他の1つの風力発電装置がこの伝送された出力によってその運転装置を運転できるほど多くの出力を生成する。
(態様8)上記の方法によって運転されるよう構成された風力発電装置。
(態様9)上記の風力発電装置は、ギアレス型であり、とりわけ他励式の同期発電機を有し、水平軸型発電装置として構成され、及び/又は、そのピッチ角が調整可能なロータブレードを有する。
(態様10)上記の風力発電装置を少なくとも2つ含む及び/又は上記の方法によって運転されるよう構成されたウインドパーク。
(態様11)上記のウインドパークにおいて、
・荒天時、機能を維持している何れかの風力発電装置から、夫々更なる1つの風力発電装置が一緒に運転されることができるほど多くの出力が生成される。
図1
図2
図3
図4