【実施例】
【0025】
本実施例は、
図2で実証される。白色色素粒子(21)が、負に帯電される一方で、黒色色素粒子(22)は、正に帯電され、両方のタイプの色素粒子は、着色粒子(23)より小さくあり得る。
【0026】
着色粒子(23)は、黒色粒子と同一の電荷極性をもつが、わずかに帯電している。結果として、黒色粒子は、ある駆動電圧下で着色粒子(23)より速く移動する。
【0027】
図2aでは、印加された駆動電圧は、+15V(すなわち、V
H1)である。この場合、白色粒子(21)は、ピクセル電極(25)の付近またはそこにあるように移動し、黒色粒子(22)および着色粒子(23)は、共通電極(24)の付近またはそこにあるように移動する。結果として、黒色が視認側で見られる。着色粒子(23)は、視認側における共通電極(24)に向かって移動するが、しかしながら、それらのより低い電荷強度およびより大きいサイズにより、黒色粒子より遅く移動する。
【0028】
図2bでは、−15V(すなわち、V
H2)の駆動電圧が印加されるとき、白色粒子(21)は、視認側における共通電極(24)の付近またはそこにあるように移動し、黒色粒子および着色粒子は、ピクセル電極(25)の付近またはそこにあるように移動する。結果として、白色が視認側で見られる。
【0029】
V
H1およびV
H2は、反対極性を有し、かつ同一の振幅または異なる振幅を有することが留意される。
図2に示される実施例では、V
H1は、正(黒色粒子と同一の極性)であり、V
H2は、負(白色粒子と同一の極性)である。
【0030】
図2cでは、着色粒子を視認側に駆動するために十分であり、着色粒子と同一の極性を有する、低い電圧(例えば、+5V)が印加されるとき、白色粒子は、下向きに押動され、着色粒子は、視認側に到達するように共通電極(24)に向かって上方に移動する。黒色粒子は、2タイプの色素粒子が接触するときに、2つのより強く逆帯電した粒子、すなわち、黒色粒子および白色粒子を相互から分離するために十分ではない低い駆動電圧により、視認側に移動することができない。
【0031】
3つの色状態のそれぞれの品質に影響を及ぼし得る、2つの問題が存在し得る。
【0032】
問題のうちの1つは、黒色および白色状態の色にじみである。着色粒子が赤色である場合、白色状態は、白色粒子から良好に分離しなかった赤色粒子から生じる、赤色の色にじみ(すなわち、高a
*値)を有することに悩まされ得る。白色および赤色粒子は、反対電荷極性をもつが、白色状態において視認側に示される少量の赤色粒子は、赤色の色にじみを生じさせ得、これは、視認者に不快である。
【0033】
黒色状態もまた、赤色の色にじみに悩まされる。黒色および赤色粒子は、同一電荷極性をもつが、異なるレベルの電荷強度を伴う。より強く帯電された黒色粒子は、より弱く帯電される赤色粒子より高速に移動し、赤色の色にじみを伴わずに、良好な黒色状態を示すことが予期され得るが、実際は、赤色の色にじみは、回避が困難である。
【0034】
第2の問題は、異なる色状態から同一色状態に駆動されるピクセルによって生じ、前の状態が異なる色であるため、結果として生じる色状態が、多くの場合、L
*の差異(すなわち、ΔL
*)および/またはa
*の差異(すなわち、Δa
*)を示す、ゴースト現象である。
【0035】
一実施例では、2つのピクセル群は、黒色状態に並行して駆動される。白色状態から黒色状態に駆動される第1のピクセル群は、15のL
*を示し得、黒色状態から最終黒色状態に駆動される他のピクセル群は、10のL
*を示し得る。この場合、最終黒色状態は、5のΔL
*を有するであろう。
【0036】
図2に示されるような3つの色系の別の実施例では、3つのピクセル群が、黒色状態に並行して駆動される。赤色から黒色状態に駆動される第1のピクセル群は、17のL
*および7のa
*値を示し得る(ここでの高a
*値はまた、色にじみを示す)。黒色状態から最終黒色状態に駆動される第2のピクセル群は、10のL
*および1のa
*値を示し得る。白色状態から最終黒色状態に駆動される第3のピクセル群は、15のL
*および3のa
*を示し得る。この場合、最も深刻なゴーストは、7であるΔL
*および6であるΔa
*から生じる。
【0037】
本発明者らは、そこで、両方の問題における改良を提供することができる、駆動方法を見出した。言い換えると、本駆動方法は、色にじみ(すなわち、黒色および/または白色状態のa
*値を低下させる)だけではなく、また、ゴースト(すなわち、ΔL
*およびΔa
*を低下させる)も低減/排除することができる。
【0038】
図3および4は、本発明の駆動方法を図示する。本方法はそれぞれまた、ピクセルを所望の色状態に駆動することに先立った「リセット」または「事前調整」とも見なされ得る。
【0039】
図3における波形は、3つの部分、すなわち、(i)白色に駆動することと、(ii)白色状態から黒色状態に駆動し、グレー状態をもたらすために十分に長くない、短時間期間t1にわたって、黒色粒子と同一極性を有する駆動電圧(V
H1、例えば、+15V)を印加することと、(iii)振動させることとを含む。
【0040】
図4における波形は、3つの部分、すなわち、(i)黒色に駆動することと、(ii)黒色状態から白色状態に駆動し、グレー状態をもたらすために十分に長くない、短時間期間t2にわたって、白色粒子と同一極性を有する駆動電圧(V
H2、例えば、−15V)を印加することと、(iii)振動させることとを含む。
【0041】
t1またはt2の長さは、駆動される最終色状態(
図3または4のリセットおよび事前調整波形後)だけではなく、また、最終色状態の所望の光学性能(例えば、a
*、ΔL
*、およびΔa
*)にも依存するであろう。例えば、
図3の波形内のt1が40msecであるとき、ゴーストは最も少なく、ピクセルは、赤色、黒色、または白色から駆動されるかどうかにかかわらず、赤色状態に駆動される。同様に、t1が60msecであるとき、ゴーストは最も少なく、ピクセルは、赤色、黒色、または白色から駆動されるかどうかにかかわらず、黒色状態に駆動される。
【0042】
「msec」という表記は、ミリ秒を表す。
【0043】
振動波形は、多くのサイクルにわたって一対の反対駆動パルスを繰り返すことから成る。例えば、振動波形は、20ミリ秒間の+15Vパルス、および20ミリ秒間の−15Vパルスから成ってもよく、そのような一対のパルスは、50回繰り返される。そのような振動波形の合計時間は、2000ミリ秒になるであろう。
【0044】
振動波形内の駆動パルスのそれぞれは、完全黒色状態から完全白色状態、または逆も同様に、駆動するために必要とされる駆動時間の半分を超えずに印加される。例えば、完全黒色状態から完全白色状態、または逆も同様に、ピクセルを駆動するために300ミリ秒かかる場合、振動波形は、それぞれ多くても150ミリ秒にわたって印加される、正および負パルスから成ってもよい。実践では、パルスは、より短いことが好ましい。
【0045】
図3および4において、振動波形が短縮される(すなわち、パルスの数が実際の数より少ない)ことに留意されたい。
【0046】
振動が完了した後、3つのタイプの粒子は、ディスプレイ流体中で混合状態にあるはずである。
【0047】
図3または4の本「リセット」または「事前調整」が完了した後、ピクセルは、次いで、所望の色状態(例えば、黒色、赤色、または白色)に駆動される。例えば、正のパルスが、ピクセルに印加され、黒色に駆動してもよく、負のパルスが、ピクセルに印加され、白色に駆動してもよく、または負のパルスに続いて、より低い振幅の正のパルスが、ピクセルに印加され、赤色に駆動してもよい。
【0048】
本発明の「リセット」または「事前調整」の有無による駆動方法を比較すると、本発明の「リセット」または「事前調整」を伴う方法は、同一レベルの光学性能(ゴーストを含む)を達成する際、より短い波形時間の付加的利点を有する。
【0049】
本発明の駆動方法は、以下のように要約されることができる。
視認側の第1の表面と、非視認側の第2の表面と、流体が共通電極とピクセル電極の層との間で挟持され、全て溶媒または溶媒混合物中に分散させられる、第1のタイプの色素粒子、第2のタイプの色素粒子、および第3のタイプの色素粒子を含む、電気泳動流体とを備える、電気泳動ディスプレイのための駆動方法であって、
(a)3タイプの色素粒子は、相互と異なる光学特性を有し、
(b)第1のタイプの色素粒子および第2のタイプの色素粒子は、反対電荷極性をもち、
(c)第3のタイプの色素粒子は、第2のタイプの色素粒子と同一の電荷極性を有するが、より低い強度にあり、
その方法は、以下のステップ、すなわち、
(i)電気泳動ディスプレイ内のピクセルを第1のタイプの色素粒子の色状態または第2のタイプの色素粒子の色状態に駆動するステップと、
(ii)第1の時間期間にわたって、第1の駆動電圧を第1のタイプの色素粒子の色状態におけるピクセルに印加するステップであって、駆動電圧は、第2のタイプの色素粒子と同一極性を有し、第1の時間期間は、ピクセルを第2のタイプの色素粒子の色状態に駆動するために十分に長くない、ステップ、または
第2の時間期間にわたって、第2の駆動電圧を第2のタイプの色素粒子の色状態におけるピクセルに印加するステップであって、駆動電圧は、第1のタイプの色素粒子と同一極性を有し、第2の時間期間は、ピクセルを第1のタイプの色素粒子の色状態に駆動するために十分に長くない、ステップと、
(iii)振動波形を印加するステップと、
を含む。
【0050】
一実施形態では、第1のタイプの色素粒子は、負に帯電され、第2のタイプの色素粒子は、正に帯電される。
【0051】
一実施形態では、第1のタイプの色素粒子は、白色であって、第2のタイプの色素粒子は、黒色である。
【0052】
一実施形態では、第3のタイプの色素粒子は、赤色である。
【0053】
本発明は、その具体的実施形態を参照して説明されているが、本発明の範囲から逸脱することなく、種々の変更が行われ得、均等物が置換され得ることが、当業者によって理解されるべきである。加えて、特定の状況、材料、組成物、プロセス、1つまたは複数のプロセスステップを、本発明の目的および範囲に適合させるように、多くの修正が行われ得る。全てのそのような修正は、本明細書に添付される請求項の範囲内であることを意図している。