特許第6574850号(P6574850)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ イー インク カリフォルニア, エルエルシーの特許一覧

特許6574850カラーディスプレイデバイスに対する駆動方法
<>
  • 特許6574850-カラーディスプレイデバイスに対する駆動方法 図000002
  • 特許6574850-カラーディスプレイデバイスに対する駆動方法 図000003
  • 特許6574850-カラーディスプレイデバイスに対する駆動方法 図000004
  • 特許6574850-カラーディスプレイデバイスに対する駆動方法 図000005
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6574850
(24)【登録日】2019年8月23日
(45)【発行日】2019年9月11日
(54)【発明の名称】カラーディスプレイデバイスに対する駆動方法
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/167 20190101AFI20190902BHJP
   G09G 3/34 20060101ALI20190902BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20190902BHJP
【FI】
   G02F1/167
   G09G3/34 C
   G09G3/20 642J
   G09G3/20 623C
   G09G3/20 642A
   G09G3/20 611D
【請求項の数】9
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-552046(P2017-552046)
(86)(22)【出願日】2016年4月1日
(65)【公表番号】特表2018-511833(P2018-511833A)
(43)【公表日】2018年4月26日
(86)【国際出願番号】US2016025504
(87)【国際公開番号】WO2016164261
(87)【国際公開日】20161013
【審査請求日】2017年10月3日
(31)【優先権主張番号】62/143,631
(32)【優先日】2015年4月6日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516101190
【氏名又は名称】イー インク カリフォルニア, エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】リン, クレッグ
(72)【発明者】
【氏名】ワン, ミン
【審査官】 堀部 修平
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2014/0092466(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0340735(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0128267(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/167 − 1/17
G09G 3/20
G09G 3/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気泳動ディスプレイを駆動するための駆動方法であって、前記ディスプレイは、第1の視認表面(16)と、第2の非視認表面(17)と、電気泳動流体の層と、前記電気泳動流体の層にわたって電場を印加するための手段(14、15、15a)とを有し、前記電気泳動流体は、第1のタイプの色素粒子(11;21)と、第2のタイプの色素粒子(12;22)と、第3のタイプの色素粒子(13;23)とを含み、前記第1のタイプの色素粒子(11;21)および前記第2のタイプの色素粒子(12;22)および前記第3のタイプの色素粒子(13;23)のすべては、溶媒または溶媒混合物中に分散され、
(a)3つのタイプの色素粒子(11、12、13;21、22、23)は、互いに異なる光学特性を有し、
(b)前記第1のタイプの色素粒子(11;21)および前記第2のタイプの色素粒子(12;22)は、反対電荷極性を有し、
(c)前記第3のタイプの色素粒子(13;23)は、前記第2のタイプの色素粒子(12;22)と同一電荷極性を有するが、より低い電荷強度であり、
前記方法は、
(i)前記電気泳動ディスプレイを前記第1のタイプの色素粒子(11;21)または前記第2のタイプの色素粒子(12;22)のうちの一方のタイプの色素粒子の色状態に駆動するステップ
を含み、
前記方法は、
(ii)ステップ(i)の後、第1の時間期間(t1,t2)にわたって、第1の駆動電圧を前記第1のタイプの色素粒子(11;21)または前記第2のタイプの色素粒子(12;22)のうちの前記一方のタイプの色素粒子の色状態におけるピクセルに印加するステップであって、前記第1の駆動電圧は、前記第1のタイプの色素粒子(11;21)または前記第2のタイプの色素粒子(12;22)をそれぞれ前記視認表面から離れるように駆動する極性を有し、前記第1の時間期間の長さは前記ピクセルを前記第2のタイプの色素粒子(12;22)の色状態と前記第1のタイプの色素粒子(11;21)の色状態との間のグレー状態に駆動するように構成されている、ステップと、
(iii)ステップ(ii)の後、振動波形を印加するステップ
を特徴とする、方法。
【請求項2】
前記第1のタイプの色素粒子は、負に帯電され、前記第2のタイプの色素粒子は、正に帯電される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記3つのタイプの色素粒子は、異なる色を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1のタイプの色素粒子は、白色であり、前記第2のタイプの色素粒子は、黒色である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第3のタイプの色素粒子は、非白色かつ非黒色である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第3のタイプの色素粒子は、赤色である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
ステップ(iii)の後視認側において、前記第1のタイプの色素粒子を前記視認表面に向けて駆動する極性を有する駆動電圧を印加することにより、前記第1のタイプの色素粒子の色状態に駆動するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
ステップ(iii)の後視認側において、前記第2のタイプの色素粒子を前記視認表面に向けて駆動する極性を有する駆動電圧を印加することにより、前記第2のタイプの色素粒子の色状態に駆動するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
ステップ(iii)の後視認側において、前記第3のタイプの色素粒子を前記視認表面に向けて駆動する極性を有する駆動電圧を印加することにより、前記第3のタイプの色素粒子の色状態に駆動するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラーディスプレイデバイスが高品質色状態を表示するための駆動方法を対象とする。
【背景技術】
【0002】
カラーディスプレイを達成するために、多くの場合、色フィルタが使用される。最も一般的なアプローチは、赤、緑、および青色を表示するように、ピクセル化ディスプレイの黒/白色サブピクセルの上に色フィルタを追加することである。赤色が所望されるとき、表示される唯一の色が赤であるように、緑および青色サブピクセルが黒色状態に変えられる。青色が所望されるとき、表示される唯一の色が青であるように、緑および赤色サブピクセルが黒色状態に変えられる。緑色が所望されるとき、表示される唯一の色が緑であるように、赤および青色サブピクセルが黒色状態に変えられる。黒色状態が所望されるとき、3つ全てのサブピクセルが黒色状態に変えられる。白色状態が所望されるとき、3つのサブピクセルは、それぞれ、赤、緑、および青に変えられ、結果として、白色状態が視認者によって見られる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
そのような技法の最大の不利点は、サブピクセルのそれぞれが、所望の白色状態の約3分の1(1/3)の反射率を有するため、白色状態が極めて薄暗いことである。これを補うために、白色レベルが(ここで各サブピクセルがピクセルの面積のわずか4分の1である)赤、緑、または青色レベルを犠牲にして倍増されるように、黒色および白色状態のみを表示することができる、第4のサブピクセルが追加されてもよい。白色ピクセルから光を追加することによって、より明るい色を達成することができるが、これは、色を非常に薄く不飽和状態にさせる色域を犠牲にして達成される。3つのサブピクセルの色飽和を低減させることによって、類似結果を達成することができる。これらのアプローチを用いても、白色レベルは、通常、白黒ディスプレイのレベルの実質的に半分未満であり、十分に読みやすい白黒明度およびコントラストを必要とする電子書籍リーダまたはディスプレイ等のディスプレイデバイスのために許容できない選択にする。
【0004】
本発明は、カラーディスプレイデバイスのための駆動方法を対象とする。
本発明は、例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
視認側の第1の表面と、非視認側の第2の表面と、共通電極とピクセル電極の層との間に狭入される電気泳動流体とを備える、電気泳動ディスプレイを駆動するための駆動方法であって、上記電気泳動流体は、第1のタイプの色素粒子と、第2のタイプの色素粒子と、第3のタイプの色素粒子とを備え、その全ては、溶媒または溶媒混合物中に分散され、
(a)3つのタイプの色素粒子は、相互と異なる光学特性を有し、
(b)上記第1のタイプの色素粒子および上記第2のタイプの色素粒子は、反対電荷極性をもち、
(c)上記第3のタイプの色素粒子は、上記第2のタイプの色素粒子と同一電荷極性を有するが、より低い強度であり、
上記方法は、
(i)上記電気泳動ディスプレイ内のピクセルを上記第1のタイプの色素粒子の色状態または上記第2のタイプの色素粒子の色状態に駆動するステップと、
(ii)第1の時間期間にわたって、第1の駆動電圧を上記第1のタイプの色素粒子の色状態におけるピクセルに印加するステップであって、上記第1の駆動電圧は、上記第2のタイプの色素粒子と同一極性を有し、上記第1の時間期間は、上記ピクセルを上記第2のタイプの色素粒子の色状態に駆動するために十分に長くない、ステップ、または
第2の時間期間にわたって、第2の駆動電圧を上記第2のタイプの色素粒子の色状態におけるピクセルに印加するステップであって、上記第2の駆動電圧は、上記第1のタイプの色素粒子と同一極性を有し、上記第2の時間期間は、上記ピクセルを上記第1のタイプの色素粒子の色状態に駆動するために十分に長くない、ステップと、
(iii)振動波形を印加するステップと、
を含む、方法。
(項目2)
上記第1のタイプの色素粒子は、負に帯電され、上記第2のタイプの色素粒子は、正に帯電される、項目1に記載の方法。
(項目3)
上記3つのタイプの色素粒子は、異なる色を有する、項目1に記載の方法。
(項目4)
上記第1のタイプの色素粒子は、白色であり、上記第2のタイプの色素粒子は、黒色である、項目1に記載の方法。
(項目5)
上記第3のタイプの色素粒子は、非白色かつ非黒色である、項目1に記載の方法。
(項目6)
上記第3のタイプの色素粒子は、赤色である、項目1に記載の方法。
(項目7)
上記視認側において、上記第1のタイプの色素粒子と同一極性を有する駆動電圧を印加し、上記ピクセルを上記第1のタイプの色素粒子の色状態に駆動するステップをさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目8)
上記視認側において、上記第2のタイプの色素粒子と同一極性を有する駆動電圧を印加し、上記ピクセルを上記第2のタイプの色素粒子の色状態に駆動するステップをさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目9)
上記視認側において、上記第3のタイプの色素粒子と同一極性を有する駆動電圧を印加し、上記ピクセルを上記第3のタイプの色素粒子の色状態に駆動するステップをさらに含む、項目1に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1図1は、本発明に適用可能な電気泳動ディスプレイ流体を描写する。
図2図2は、駆動方式の実施例を描写する略図である。
図3図3は、本発明の駆動方法を図示する。
図4図4は、本発明の代替駆動方法を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本デバイスは、図1に示される電気泳動流体を利用する。流体は、誘電溶媒または溶媒混合物中に分散させられる、3タイプの色素粒子を含む。例証を容易にするために、3タイプの色素粒子は、白色粒子(11)、黒色粒子(12)、および着色粒子(13)と称され得る。着色粒子は、非白色および非黒色である。
【0007】
しかしながら、本発明の範囲は、3タイプの色素粒子が視覚的に区別可能な色である限り、任意の色の色素粒子を広く包含することが理解される。したがって、3タイプの色素粒子はまた、第1のタイプの色素粒子、第2のタイプの色素粒子、および第3のタイプの色素粒子とも称され得る。
【0008】
白色粒子(11)については、それらは、TiO、ZrO、ZnO、Al3、Sb3、BaSO、PbSO、または同等物等の無機色素から形成されてもよい。
【0009】
黒色粒子(12)については、それらは、CI色素黒色26または28、もしくは同等物(例えば、マンガンフェライトブラックスピネルまたは銅クロマイトブラックスピネル)、またはカーボンブラックから形成されてもよい。
【0010】
第3のタイプの粒子は、赤、緑、青、マゼンタ、シアン、または黄色等の色であってもよい。このタイプの粒子の色素は、CI色素PR254、PR122、PR149、PG36、PG58、PG7、PB28、PB15:3、PY138、PY150、PY155、またはPY20を含んでもよいが、それらに限定されない。これらは、色指数ハンドブック「New Pigment Application Technology」(CMC Publishing Co, Ltd, 1986)および「Printing Ink Technology」(CMC Publishing Co, Ltd, 1984)で説明される、一般的に使用されている有機色素である。具体的実施例は、Clariant Hostaperm Red D3G 70−EDS、Hostaperm Pink E−EDS、PV fast red D3G、Hostaperm red D3G 70,Hostaperm Blue B2G−EDS、Hostaperm Yellow H4G−EDS、Hostaperm Green GNX,BASF Irgazine red L 3630、Cinquasia Red L 4100 HD、およびIrgazin Red L 3660 HD、Sun Chemicalフタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、ダイアリライドイエロー、またはダイアリライドAAOTイエローを含む。
【0011】
色に加えて、第1、第2、および第3のタイプの粒子は、光学透過、反射率、発光、または機械読取のために意図されたディスプレイの場合、可視範囲外の電磁波長の反射率の変化という意味の疑似色等の他の明確な光学特性を有してもよい。
【0012】
3タイプの色素粒子が分散させられる溶媒は、透明かつ無色であり得る。これは、好ましくは、高い粒子移動度のために、低い粘度と、約2〜約30、好ましくは、約2〜約15の範囲内の誘電率とを有する。好適な誘電溶媒の実施例は、アイソパー、デカヒドロナフタレン(DECALIN)、5−エチリデン−2−ノルボルネン、脂肪油、パラフィン油、シリコン流体等の炭化水素、トルエン、キシレン、フェニルキシリルエタン、ドデシルベンゼン、またはアルキルナフタレン等の芳香族炭化水素、ペルフルオロデカリン、ペルフルオロトルエン、ペルフルオロキシレン、ジクロロベンゾトリフルオリド、3,4,5−トリクロロベンゾトリフルオリド、クロロペンタフルオロ−ベンゼン、ジクロロノナン、またはペンタクロロベンゼン等のハロゲン化溶媒、および3M Company(St. Paul MN)からのFC−43、FC−70、またはFC−5060等のペルフルオロ化溶媒、TCI America(Portland, Oregon)からのポリ(ペルフルオロプロピレンオキシド)等のポリマーを含有する低分子量ハロゲン、Halocarbon Product Corp.(River Edge, NJ)からのHalocarbon Oils等のポリ(クロロトリフルオロエチレン)、AusimontからのGaidenまたはDuPont(Delaware)からのKrytox OilsおよびGreases K−Fluid Series等のペルフルオロポリアルキルエーテル、Dow−corning(DC−200)からのポリジメチルシロキサン系シリコーン油を含む。
【0013】
本発明のディスプレイ流体を利用するディスプレイ層は、2つの表面、すなわち、視認側の第1の表面(16)と、第1の表面(16)の反対側の第2の表面(17)とを有する。したがって、第2の表面は、非視認側にある。「視認側」という用語は、画像が視認される側面を指す。
【0014】
ディスプレイ流体は、2つの表面の間に挟持される。第1の表面(16)側には、ディスプレイ層の最上部全体を覆って広がっている透明電極層(例えば、ITO)である共通電極(14)がある。第2の表面(17)側には、複数のピクセル電極(15a)を備える、電極層(15)がある。
【0015】
ディスプレイ流体は、ディスプレイセルの中に充填される。ディスプレイセルは、ピクセル電極と整合させられる場合もあり、または整合させられない場合もある。「ディスプレイセル」という用語は、電気泳動流体で充填されるマイクロコンテナを指す。「ディスプレイセル」の実施例は、米国特許第6,930,818号で説明されるようなカップ様マイクロセル、および米国特許第5,930,026号で説明されるようなマイクロカプセルを含んでもよい。マイクロコンテナは、全て本願の範囲内である、任意の形状またはサイズであってもよい。
【0016】
ピクセル電極に対応する領域は、ピクセル(またはサブピクセル)と称され得る。ピクセル電極に対応する領域の駆動は、共通電極とピクセル電極との間に電圧電位差(または駆動電圧もしくは電場として知られている)を印加することによって達成される。
【0017】
ピクセル電極は、薄膜トランジスタ(TFT)バックプレーンを用いたアクティブマトリクス駆動システム、または電極が所望の機能を果たす限り、他のタイプの電極アドレッシングであってもよい。
【0018】
2本の垂直な点線の間の空間は、ピクセル(またはサブピクセル)を表す。簡潔にするために、「ピクセル」が駆動方法において参照されるとき、本用語はまた、「サブピクセル」も包含する。
【0019】
3タイプの色素粒子のうちの2つは、反対電荷極性をもち、第3のタイプの色素粒子は、わずかに帯電している。「わずかに帯電している」または「より低い電荷強度」という用語は、より強く帯電した粒子の電荷レベルの約50%未満、好ましくは、約5%〜約30%である、粒子の電荷レベルを指すことを意図している。一実施形態では、電荷強度は、ゼータ電位に関して測定されてもよい。一実施形態では、ゼータ電位は、CSPU−100信号処理ユニットを伴うColloidal Dynamics AcoustoSizer IIM、ESA EN# Attnフロースルーセル(K:127)によって判定される。サンプルで使用される溶媒の密度、溶媒の誘電率、溶媒中の音速、溶媒の粘度等の計器定数は、全て試験温度(25℃)で試験前に入力される。色素サンプルは、(通常、12個未満の炭素原子を有する炭化水素流体である)溶媒中に分散させられ、5〜10重量%に希釈される。サンプルはまた、電荷制御剤対粒子の1:10の重量比を伴う、電荷制御剤(Berkshire Hathawayの子会社であるLubrizol Corporationから入手可能であるSolsperse 17000(R)、「Solsperse」は登録商標である)も含有する。希釈サンプルの質量が判定され、次いで、サンプルがゼータ電位の判定のためにフロースルーセルの中へ装填される。
【0020】
例えば、黒色粒子が正に帯電され、白色粒子が負に帯電される場合には、着色色素粒子は、わずかに帯電し得る。換言すると、本実施例では、黒色および白色粒子がもつ電荷レベルは、着色粒子がもつ電荷レベルより高い。
【0021】
加えて、わずかな電荷をもつ着色粒子は、他の2タイプのより強く帯電した粒子のうちのいずれか1つがもつ電荷極性と同一である、電荷極性を有する。
【0022】
3つのタイプの色素粒子のうち、若干帯電される、1つのタイプの粒子は、好ましくは、より大きいサイズを有し得ることに留意されたい。
【0023】
加えて、本願との関連で、高い駆動電圧(VH1またはVH2)は、1つの極限色状態から別の極限色状態にピクセルを駆動するために十分である駆動電圧として定義される。第1および第2のタイプの色素粒子が、より高く帯電した粒子である場合には、高い駆動電圧(VH1またはVH2)は、第1のタイプの色素粒子の色状態から第2のタイプの色素粒子の色状態に、または逆も同様に、ピクセルを駆動するために十分である駆動電圧を指す。例えば、高い駆動電圧VH1は、適切な時間期間にわたって印加されると、第1のタイプの色素粒子の色状態から第2のタイプの色素粒子の色状態にピクセルを駆動するために十分である駆動電圧を指し、VH2は、適切な時間期間にわたって印加されると、第2のタイプの色素粒子の色状態から第1のタイプの色素粒子の色状態にピクセルを駆動するために十分である駆動電圧を指す。
【0024】
以下は、上記で説明されるような電気泳動流体によって、どのようにして異なる色状態が表示され得るかという駆動方式を図示する、実施例である。
【実施例】
【0025】
本実施例は、図2で実証される。白色色素粒子(21)が、負に帯電される一方で、黒色色素粒子(22)は、正に帯電され、両方のタイプの色素粒子は、着色粒子(23)より小さくあり得る。
【0026】
着色粒子(23)は、黒色粒子と同一の電荷極性をもつが、わずかに帯電している。結果として、黒色粒子は、ある駆動電圧下で着色粒子(23)より速く移動する。
【0027】
図2aでは、印加された駆動電圧は、+15V(すなわち、VH1)である。この場合、白色粒子(21)は、ピクセル電極(25)の付近またはそこにあるように移動し、黒色粒子(22)および着色粒子(23)は、共通電極(24)の付近またはそこにあるように移動する。結果として、黒色が視認側で見られる。着色粒子(23)は、視認側における共通電極(24)に向かって移動するが、しかしながら、それらのより低い電荷強度およびより大きいサイズにより、黒色粒子より遅く移動する。
【0028】
図2bでは、−15V(すなわち、VH2)の駆動電圧が印加されるとき、白色粒子(21)は、視認側における共通電極(24)の付近またはそこにあるように移動し、黒色粒子および着色粒子は、ピクセル電極(25)の付近またはそこにあるように移動する。結果として、白色が視認側で見られる。
【0029】
H1およびVH2は、反対極性を有し、かつ同一の振幅または異なる振幅を有することが留意される。図2に示される実施例では、VH1は、正(黒色粒子と同一の極性)であり、VH2は、負(白色粒子と同一の極性)である。
【0030】
図2cでは、着色粒子を視認側に駆動するために十分であり、着色粒子と同一の極性を有する、低い電圧(例えば、+5V)が印加されるとき、白色粒子は、下向きに押動され、着色粒子は、視認側に到達するように共通電極(24)に向かって上方に移動する。黒色粒子は、2タイプの色素粒子が接触するときに、2つのより強く逆帯電した粒子、すなわち、黒色粒子および白色粒子を相互から分離するために十分ではない低い駆動電圧により、視認側に移動することができない。
【0031】
3つの色状態のそれぞれの品質に影響を及ぼし得る、2つの問題が存在し得る。
【0032】
問題のうちの1つは、黒色および白色状態の色にじみである。着色粒子が赤色である場合、白色状態は、白色粒子から良好に分離しなかった赤色粒子から生じる、赤色の色にじみ(すなわち、高a値)を有することに悩まされ得る。白色および赤色粒子は、反対電荷極性をもつが、白色状態において視認側に示される少量の赤色粒子は、赤色の色にじみを生じさせ得、これは、視認者に不快である。
【0033】
黒色状態もまた、赤色の色にじみに悩まされる。黒色および赤色粒子は、同一電荷極性をもつが、異なるレベルの電荷強度を伴う。より強く帯電された黒色粒子は、より弱く帯電される赤色粒子より高速に移動し、赤色の色にじみを伴わずに、良好な黒色状態を示すことが予期され得るが、実際は、赤色の色にじみは、回避が困難である。
【0034】
第2の問題は、異なる色状態から同一色状態に駆動されるピクセルによって生じ、前の状態が異なる色であるため、結果として生じる色状態が、多くの場合、Lの差異(すなわち、ΔL)および/またはaの差異(すなわち、Δa)を示す、ゴースト現象である。
【0035】
一実施例では、2つのピクセル群は、黒色状態に並行して駆動される。白色状態から黒色状態に駆動される第1のピクセル群は、15のLを示し得、黒色状態から最終黒色状態に駆動される他のピクセル群は、10のLを示し得る。この場合、最終黒色状態は、5のΔLを有するであろう。
【0036】
図2に示されるような3つの色系の別の実施例では、3つのピクセル群が、黒色状態に並行して駆動される。赤色から黒色状態に駆動される第1のピクセル群は、17のLおよび7のa値を示し得る(ここでの高a値はまた、色にじみを示す)。黒色状態から最終黒色状態に駆動される第2のピクセル群は、10のLおよび1のa値を示し得る。白色状態から最終黒色状態に駆動される第3のピクセル群は、15のLおよび3のaを示し得る。この場合、最も深刻なゴーストは、7であるΔLおよび6であるΔaから生じる。
【0037】
本発明者らは、そこで、両方の問題における改良を提供することができる、駆動方法を見出した。言い換えると、本駆動方法は、色にじみ(すなわち、黒色および/または白色状態のa値を低下させる)だけではなく、また、ゴースト(すなわち、ΔLおよびΔaを低下させる)も低減/排除することができる。
【0038】
図3および4は、本発明の駆動方法を図示する。本方法はそれぞれまた、ピクセルを所望の色状態に駆動することに先立った「リセット」または「事前調整」とも見なされ得る。
【0039】
図3における波形は、3つの部分、すなわち、(i)白色に駆動することと、(ii)白色状態から黒色状態に駆動し、グレー状態をもたらすために十分に長くない、短時間期間t1にわたって、黒色粒子と同一極性を有する駆動電圧(VH1、例えば、+15V)を印加することと、(iii)振動させることとを含む。
【0040】
図4における波形は、3つの部分、すなわち、(i)黒色に駆動することと、(ii)黒色状態から白色状態に駆動し、グレー状態をもたらすために十分に長くない、短時間期間t2にわたって、白色粒子と同一極性を有する駆動電圧(VH2、例えば、−15V)を印加することと、(iii)振動させることとを含む。
【0041】
t1またはt2の長さは、駆動される最終色状態(図3または4のリセットおよび事前調整波形後)だけではなく、また、最終色状態の所望の光学性能(例えば、a、ΔL、およびΔa)にも依存するであろう。例えば、図3の波形内のt1が40msecであるとき、ゴーストは最も少なく、ピクセルは、赤色、黒色、または白色から駆動されるかどうかにかかわらず、赤色状態に駆動される。同様に、t1が60msecであるとき、ゴーストは最も少なく、ピクセルは、赤色、黒色、または白色から駆動されるかどうかにかかわらず、黒色状態に駆動される。
【0042】
「msec」という表記は、ミリ秒を表す。
【0043】
振動波形は、多くのサイクルにわたって一対の反対駆動パルスを繰り返すことから成る。例えば、振動波形は、20ミリ秒間の+15Vパルス、および20ミリ秒間の−15Vパルスから成ってもよく、そのような一対のパルスは、50回繰り返される。そのような振動波形の合計時間は、2000ミリ秒になるであろう。
【0044】
振動波形内の駆動パルスのそれぞれは、完全黒色状態から完全白色状態、または逆も同様に、駆動するために必要とされる駆動時間の半分を超えずに印加される。例えば、完全黒色状態から完全白色状態、または逆も同様に、ピクセルを駆動するために300ミリ秒かかる場合、振動波形は、それぞれ多くても150ミリ秒にわたって印加される、正および負パルスから成ってもよい。実践では、パルスは、より短いことが好ましい。
【0045】
図3および4において、振動波形が短縮される(すなわち、パルスの数が実際の数より少ない)ことに留意されたい。
【0046】
振動が完了した後、3つのタイプの粒子は、ディスプレイ流体中で混合状態にあるはずである。
【0047】
図3または4の本「リセット」または「事前調整」が完了した後、ピクセルは、次いで、所望の色状態(例えば、黒色、赤色、または白色)に駆動される。例えば、正のパルスが、ピクセルに印加され、黒色に駆動してもよく、負のパルスが、ピクセルに印加され、白色に駆動してもよく、または負のパルスに続いて、より低い振幅の正のパルスが、ピクセルに印加され、赤色に駆動してもよい。
【0048】
本発明の「リセット」または「事前調整」の有無による駆動方法を比較すると、本発明の「リセット」または「事前調整」を伴う方法は、同一レベルの光学性能(ゴーストを含む)を達成する際、より短い波形時間の付加的利点を有する。
【0049】
本発明の駆動方法は、以下のように要約されることができる。
視認側の第1の表面と、非視認側の第2の表面と、流体が共通電極とピクセル電極の層との間で挟持され、全て溶媒または溶媒混合物中に分散させられる、第1のタイプの色素粒子、第2のタイプの色素粒子、および第3のタイプの色素粒子を含む、電気泳動流体とを備える、電気泳動ディスプレイのための駆動方法であって、
(a)3タイプの色素粒子は、相互と異なる光学特性を有し、
(b)第1のタイプの色素粒子および第2のタイプの色素粒子は、反対電荷極性をもち、
(c)第3のタイプの色素粒子は、第2のタイプの色素粒子と同一の電荷極性を有するが、より低い強度にあり、
その方法は、以下のステップ、すなわち、
(i)電気泳動ディスプレイ内のピクセルを第1のタイプの色素粒子の色状態または第2のタイプの色素粒子の色状態に駆動するステップと、
(ii)第1の時間期間にわたって、第1の駆動電圧を第1のタイプの色素粒子の色状態におけるピクセルに印加するステップであって、駆動電圧は、第2のタイプの色素粒子と同一極性を有し、第1の時間期間は、ピクセルを第2のタイプの色素粒子の色状態に駆動するために十分に長くない、ステップ、または
第2の時間期間にわたって、第2の駆動電圧を第2のタイプの色素粒子の色状態におけるピクセルに印加するステップであって、駆動電圧は、第1のタイプの色素粒子と同一極性を有し、第2の時間期間は、ピクセルを第1のタイプの色素粒子の色状態に駆動するために十分に長くない、ステップと、
(iii)振動波形を印加するステップと、
を含む。
【0050】
一実施形態では、第1のタイプの色素粒子は、負に帯電され、第2のタイプの色素粒子は、正に帯電される。
【0051】
一実施形態では、第1のタイプの色素粒子は、白色であって、第2のタイプの色素粒子は、黒色である。
【0052】
一実施形態では、第3のタイプの色素粒子は、赤色である。
【0053】
本発明は、その具体的実施形態を参照して説明されているが、本発明の範囲から逸脱することなく、種々の変更が行われ得、均等物が置換され得ることが、当業者によって理解されるべきである。加えて、特定の状況、材料、組成物、プロセス、1つまたは複数のプロセスステップを、本発明の目的および範囲に適合させるように、多くの修正が行われ得る。全てのそのような修正は、本明細書に添付される請求項の範囲内であることを意図している。
図1
図2
図3
図4