特許第6574857号(P6574857)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6574857
(24)【登録日】2019年8月23日
(45)【発行日】2019年9月11日
(54)【発明の名称】電子蒸気供給システム
(51)【国際特許分類】
   A24F 47/00 20060101AFI20190902BHJP
【FI】
   A24F47/00
【請求項の数】20
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2017-568124(P2017-568124)
(86)(22)【出願日】2016年6月15日
(65)【公表番号】特表2018-529311(P2018-529311A)
(43)【公表日】2018年10月11日
(86)【国際出願番号】GB2016051767
(87)【国際公開番号】WO2017109448
(87)【国際公開日】20170629
【審査請求日】2018年2月16日
(31)【優先権主張番号】1511361.6
(32)【優先日】2015年6月29日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】513305995
【氏名又は名称】ニコベンチャーズ ホールディングス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100103285
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 順之
(74)【代理人】
【識別番号】100183782
【弁理士】
【氏名又は名称】轟木 哲
(72)【発明者】
【氏名】フレイザー、ローリー
(72)【発明者】
【氏名】ディケンズ、コリン
(72)【発明者】
【氏名】ジェイン、シッダールタ
【審査官】 久島 弘太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特表2012−529936(JP,A)
【文献】 特表2013−511962(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向軸を有する電子蒸気供給システムであって、
コントロールユニットと、実質的にその長手方向軸に沿ってコントロールユニットと係合し、取り外せるように構成され、気化される液体の貯蔵部を含む少なくとも1つのカートリッジと
少なくとも1つの駆動コイルと複数の加熱エレメントとを含む誘導加熱組立体とを含み、加熱エレメントは液体を気化するための少なくとも1つのカートリッジ内に配置され、この少なくとも1つのカートリッジは、貯蔵部から液体をユーザーの吸入によって生じる空気流内に気化するための加熱エレメント上に供給するように構成され、この少なくとも1つのカートリッジは、コントロールユニットと係合した際に加熱エレメントが少なくとも1つの駆動コイル内に配されるように位置し、
電子蒸気供給システムは、複数の加熱エレメントの内の異なる加熱エレメントを選択的に駆動するように構成されている電子蒸気供給システム。
【請求項2】
複数の加熱エレメントの内の任意の個別の加熱エレメントを選択的に駆動することを特徴とする請求項1記載の電子蒸気供給システム。
【請求項3】
複数の加熱エレメントの内の1つ以上の個別の加熱エレメントからなる任意の一部を選択的に駆動することを特徴とする請求項2記載の電子蒸気供給システム。
【請求項4】
複数の加熱エレメントの内の全ての加熱エレメントを駆動することを特徴とする請求項1乃至3いずれか1項記載の電子蒸気供給システム。
【請求項5】
加熱エレメントを2つまたは3つ有することを特徴とする請求項1乃至4いずれか1項記載の電子蒸気供給システム。
【請求項6】
加熱エレメントを3つ超有することを特徴とする請求項1乃至4いずれか1項記載の電子蒸気供給システム。
【請求項7】
複数の加熱エレメントは1つのカートリッジに配置されることを特徴とする請求項1乃至6いずれか1項記載の電子蒸気供給システム。
【請求項8】
複数のカートリッジを含み、各カートリッジは加熱エレメントを含むことを特徴とする請求項1乃至7いずれか1項記載の電子蒸気供給システム。
【請求項9】
複数の加熱エレメントは1つのサセプタの異なる部分に対応することを特徴とする請求項1乃至8いずれか1項記載の電子蒸気供給システム。
【請求項10】
複数の加熱エレメントのそれぞれは別個のサセプタであることを特徴とする請求項1乃至8いずれか1項記載の電子蒸気供給システム。
【請求項11】
それぞれ加熱エレメントに対応する複数の部分を有する1つの駆動コイルがあり、加熱エレメントのそれぞれは駆動コイルの対応する部分を作動させることによって選択的に駆動されることを特徴とする請求項1乃至10いずれか1項記載の電子蒸気供給システム。
【請求項12】
それぞれ対応する加熱エレメントに対応する別個の駆動コイルがあり、加熱エレメントのそれぞれは駆動コイルの対応する部分を作動させることによって選択的に駆動されることを特徴とする請求項1乃至10いずれか1項記載の電子蒸気供給システム。
【請求項13】
複数の加熱エレメントの内の異なる加熱エレメントを選択的に駆動するためにコントロールユニットのバッテリーと前記少なくとも1つの駆動コイルの間に配置されたスイッチ構成をさらに含むことを特徴とする請求項1乃至12いずれか1項記載の電子蒸気供給システム。
【請求項14】
選択的駆動を行うためにユーザーはスイッチ構成の設定を直接決定することができることを特徴とする請求項13記載の電子蒸気供給システム。
【請求項15】
コントロールユニットはユーザインタフェースまたはユーザーからの設定情報を受け取るための通信インタフェースをさらに含み、電子蒸気供給システムはユーザーから受け取った設定情報に基づいてスイッチ構成を設定するためのコントローラーをさらに含むことを特徴とする請求項13または14記載の電子蒸気供給システム。
【請求項16】
コントロールユニットはコントロールユニット内のカートリッジの有無に基づいてスイッチ構成を自動的に設定するための設備を含むことを特徴とする請求項13、14または15記載の電子蒸気供給システム。
【請求項17】
誘導加熱組立体は異なる加熱エレメントが異なる動作加熱特性を有するように構成されていることを特徴とする請求項1乃至16いずれか1項記載の電子蒸気供給システム。
【請求項18】
異なる動作加熱特性は温度と加熱電力の少なくとも1つであることを特徴とする請求項17記載の電子蒸気供給システム。
【請求項19】
長手方向軸を有し、コントロールユニットと、実質的にその長手方向軸に沿ってコントロールユニットと係合し、取り外せるように構成され、ユーザーの吸入によって生じる空気流内に気化される液体の貯蔵部を含む少なくとも1つのカートリッジとを含む電子蒸気供給システムに使用するためのコントロールユニットであって、このコントロールユニットは、少なくとも1つの駆動コイルを含み、この駆動コイルは、液体を気化するための少なくとも1つのカートリッジに位置する複数の加熱エレメントをこれらが前記少なくとも1つの駆動コイル内にあるとき誘導加熱によって駆動するためのものであり、かつ、複数の加熱エレメントの内の異なる加熱エレメントを選択的に駆動するように構成されているコントロールユニット。
【請求項20】
長手方向軸を有し、コントロールユニットと、実質的にその長手方向軸に沿ってコントロールユニットと係合し、取り外せるように構成され、1つの端部に吸気口から延びる空気流通路を含み、該空気流通路にユーザーの吸入によって生じる空気流内に気化させる液体の貯蔵部を含む少なくとも1つのカートリッジとを含む電子蒸気供給システムに使用するためのカートリッジであって、複数の誘電加熱エレメントを含み、これら加熱エレメントは、それらがコントロールユニットの少なくとも1つの駆動コイル内に位置するときに液体を気化するためのものであり、電子蒸気供給システムは複数の加熱エレメントの内の異なる加熱エレメントを選択的に駆動するように構成されているカートリッジ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は電子ニコチン送達システム(例えば電子タバコ)などの電子蒸気供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
図1は従来の電子タバコ10の一例を示す概略図である。この電子タバコはほぼ円柱形で長手方向軸(破線LA)に沿って延びており、2つの主要構成要素、即ちコントロールユニット20とカトマイザー(カートリッジ式アトマイザー)30とを含む。カトマイザーは、ニコチンなどの液剤の貯蔵部を含む内部チェンバーと、気化器(ヒーターなど)と、マウスピース35とを含む。カトマイザー30は、貯蔵部からヒーターへ少量の液体を輸送する芯またはそれに似た設備をさらに含んでもよい。コントロールユニット20は電子タバコ10に電力を供給する充電式バッテリーと、電子タバコを全体的に制御する回路基板とを含む。ヒーターが回路基板に制御されてバッテリーから電力を受けると、ヒーターはニコチンを気化させ、次いでこの蒸気(エアロゾル)はマウスピース35を介して使用者によって吸入される。
【0003】
図1に示すように、コントロールユニット20およびカトマイザー30は長手方向軸LAと平行な方向に分離することによって互いに取り外し可能であるが、装置10の使用時には、コントロールユニット20とカトマイザー30を機械的・電気的に接続する接続部(図1で25Aおよび25Bとして概略的に示す)によって接合される。コントロールユニット20の電気コネクターはカトマイザーとの接続に用いられるが、コントロールユニットをカトマイザー30から取り外すと、充電装置(図示せず)を接続するためのソケットとしても機能する。カトマイザー30はニコチンの供給が尽きるとコントロールユニット20から取り外して処分(必要であれば別のカトマイザーと交換)できる。
【0004】
図2および図3は、それぞれ図1の電子タバコのコントロールユニット20およびカトマイザー30の概略図を示す。なお、図2および図3では、明確にするために様々な部品や細部(例えば配線やより複雑な成形など)を省略した。図2に示すように、コントロールユニット20は、電子タバコ10に給電するためのバッテリーまたはバッテリー210と、電子タバコ10を制御するための(マイクロ)コントローラなどのチップとを含む。このコントローラは小型のプリント回路基板(PCB)215に取り付けられており、PCB215はセンサユニットをさらに含む。使用者がマウスピースで吸入すると、1つ以上の吸気孔(図1および図2では図示せず)から電子タバコに空気が吸い込まれる。センサユニットはこの空気流を検知し、この検知に反応してコントローラはバッテリー210からカトマイザー30内のヒーターに電力を供給する。
【0005】
図3に示すように、カトマイザー30は、マウスピース35からカトマイザーをコントロールユニット20に接合するためのコネクター25Aへとカトマイザー30の中心(長手方向)軸に沿って延びている空気路161を含む。この空気路161の周辺にはニコチン含有液の貯蔵部170が設けられている。この貯蔵部170は、例えば液に浸した綿または発泡体を設けることによって実施されてもよい。カトマイザーはさらに、貯蔵部170の液体を加熱して空気路161を流れマウスピース35から出る蒸気を発生するためのコイルヒーター155を含む。ヒーターはライン166および167を介して給電される。ライン166および167はコネクター25Aを介してバッテリー210の互いに反対極(正極と負極、またはその逆)に接続される。
【0006】
コントロールユニットの一端は、コントロールユニット20をカトマイザー30のコネクター25Aに接続するためのコネクター25Bを含む。コネクター25Aおよび25Bは、コントロールユニット20とカトマイザー30との間の機械的・電気的接続をもたらす。コネクター25Bは2つの電気端子、即ち外部接点240と内部接点250を含み、これらは絶縁体260で分離されている。コネクター25Aは同様に絶縁体172で分離された内部電極175と外部電極171を含む。カトマイザー30をコントロールユニット20に接続すると、カトマイザー30の内部電極175および外部電極171は、コントロールユニット20の内部接点250および外部接点240にそれぞれ係合する。内部接点250は、内部電極175が内部接点250を押してコイルばね255を圧縮するようにコイルばね255に取り付けられており、それによってカトマイザー30をコントロールユニット20に接続したときに良好な電気接触を確実に得るのに役立つ。
【0007】
カトマイザーのコネクターには、電子タバコの長手方向軸から互いに逆方向に延びる2つの突起即ちタブ180A、180Bが設けられている。これらのタブは、カトマイザー30をコントロールユニット20に接続するための差込接続具を提供するのに用いられる。当然のことながら、他の実施形態では、コントロールユニット20とカトマイザー30との間に他の接続形態(はめ込み式の接続具やねじ接続など)を使用してよい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述のように、カトマイザー30は一般に、液体貯蔵部170を使い切ると処分され、新しいカトマイザーが購入され取り付けられる。これに対し、コントロールユニット20は次々とカトマイザーを換えて再使用できる。従って、カトマイザーのコストを比較的低く保つことが特に望ましい。このための一手法は、(i)コントロールユニット、(ii)気化器部品、および(iii)液体貯蔵部に基づく、3つの部分からなる装置を構成することであった。この3つの部分からなる装置では、コントロールユニットおよび気化器はいずれも再利用できるのに対し、最後の部分である液体貯蔵部のみが使い捨て式である。しかし、3つの部分からなる装置を有することによって製造と使用者の操作の両方で複雑さが増す可能性がある。さらに、このような3つの部分からなる装置では、貯蔵部からヒーターに液体を輸送するために図3に示すタイプの芯材の構成を施すのは難しい可能性がある。
【0009】
別の手法はカトマイザー30を使い捨て式ではなく詰め替え式にすることであるが、カトマイザーを詰め替え式にすると潜在的な問題が起こる。例えば、使用者は、カトマイザーに不適切な液体(電子タバコの供給元によって提供されていないもの)を詰め替えようとする可能性がある。この不適切な液体は、電子タバコ自体に損傷を与えるか、場合によっては有毒な蒸気を発生することにより、質の低い消費者経験をもたらす可能性および/または危険である可能性がある。
【0010】
このように、既存の手法では、使い捨て式部品のコストを削減する(または上記使い捨て式部品の必要性を回避する)ことに関してはあまり成功していない。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は添付の特許請求の範囲に定義される。
本発明の種々の実施態様は、長手方向軸を有する電子蒸気供給システムを提供する。本発明の電子蒸気システムは、コントロールユニットと、実質的にその長手方向軸に沿ってコントロールユニットと係合し、取り外せるように構成された少なくとも1つのカートリッジとを含む。この少なくとも1つのカートリッジは、気化される液体の貯蔵部を含む。本発明の電子蒸気供給システムは、少なくとも1つの駆動コイルと複数の加熱エレメントとを含む誘導加熱組立体をさらに含む。加熱エレメントは液体を気化するための少なくとも1つのカートリッジ内に配置されている。この少なくとも1つのカートリッジは、貯蔵部から液体を気化するための加熱エレメント上に供給するように構成されている。この少なくとも1つのカートリッジは、コントロールユニットと係合した際に加熱エレメントが少なくとも1つの駆動コイル内に配されるように位置する。本発明の電子蒸気供給システムは、複数の加熱エレメントの内の異なる加熱エレメントを選択的に駆動するように構成されている。
【0012】
ここに記載した手法は以下に説明する特定の実施態様に限定されないが、ここで提示する特徴のあらゆる好適な組み合わせを含み、実行する。例えば、電子蒸気供給システムは、以下に説明する種々の特徴の1つ以上を適宜含むここに記載する提案に従って提供されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
以下、本発明の実施形態について添付の図面を参照し説明するが、これらの実施形態は例示に過ぎない。
図1】既知の電子タバコの一例を示す概略(分解)図である。
図2図1の電子タバコのコントロールユニットの概略図である。
図3図1の電子タバコのカトマイザーの概略図である。
図4】本発明のいくつかの実施形態による電子タバコを示す概略図であり、カートリッジと組み合わせられたコントロールユニット(上)、コントロールユニット自体(中)、およびカートリッジ自体(下)を示す。
図5】本発明のいくつかの他の実施形態による電子タバコを示す概略図である。
図6】本発明のいくつかの他の実施形態による電子タバコを示す概略図である。
図7】本発明のいくつかの実施形態による図4図5、および図6に示すような電子タバコの制御電子機器の概略図である。
図7A】本発明のいくつかの実施形態による図6に示すような電子タバコの制御電子機器の一部の概略図である。
図7B】本発明のいくつかの実施形態による図6に示すような電子タバコの制御電子機器の一部の概略図である。
図7C】本発明のいくつかの実施形態による図6に示すような電子タバコの制御電子機器の一部の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図4は本発明のいくつかの実施形態による電子タバコ410を示す概略図である(なお、「電子タバコ」という用語は本明細書では「電子蒸気供給システム」、「電子エアロゾル供給システム」など他の同様の用語と互換的に使用される)。電子タバコ410はコントロールユニット420とカートリッジ430を含む。図4はカートリッジ430と組み合わせられたコントロールユニット420(上)、コントロールユニット自体(中)、およびカートリッジ自体(下)を示す。なお、明確にするために様々な実行例の詳細(例えば内部配線など)は省略されている。
【0015】
図4に示すように、電子タバコ410は中心の長手方向軸(LA(破線で示す)とする)を有するほぼ円柱形である。なお、円柱の断面(即ち線LAに垂直な面)は、必要に応じて円形、楕円形、正方形、長方形、六角形、その他の規則的または不規則な形状であってよい。電子タバコ410の一般的な形状(形状因子)は、図1〜3に示す電子タバコ10の形状と同じまたは広い意味で類似する(または同じまたは広い意味で類似するように構成することができる)。このように形状を一致させることは種々の理由、例えば部品と梱包を共有できる、ユーザーの許容性、操作の容易性、ブランド認知などに役立つ。
【0016】
カートリッジ430の一方の端部にはマウスピース435があり、電子タバコ410の(長手方向軸に関して)反対側の端部は先端424と表示されている。カートリッジ430のマウスピース435と長手方向に対向する端部は参照番号431で示され、コントロールユニット420の先端424と長手方向に対向する端部は参照番号421で示される。
【0017】
カートリッジ430は、長手方向軸に沿って動かすことでコントロールユニット420との係合・取り外しができる。より詳細には、カートリッジの端部431はコントロールユニット421の端部との係合・取り外しができる。従って、端部421をコントロールユニット係合部、端部431をカートリッジ係合部と呼ぶ。
【0018】
コントロールユニット420はバッテリー411と回路基板415を含み、それによって電子タバコは制御機能を有する(例えばコントローラ、プロセッサ、ASIC、またはこれらに似た形態の制御チップを備えることによって)。バッテリーは一般に円柱形であり、電子タバコの長手方向軸LAに沿って、または少なくともその近くに、中心軸を有する。図4では回路基板415はバッテリー411から長手方向にカートリッジ430とは反対方向に離して描かれているが、当業者は回路基板415について他にも様々な位置(例えばバッテリーの反対側の端)があることを認識している。さらに、回路基板415はバッテリーの態様に沿って置かれる可能性もある(例えば、電子タバコ410は長方形の断面を有し、回路基板は電子タバコの一方の外壁に隣接して配置され、即ちバッテリー411は電子タバコ410の反対側の外壁に向かって僅かにずれている)。なお、さらに、回路基板415から得られる機能(以下にさらに詳細に記載する)を複数の回路基板に分けてもよく、および/またはPCBに取り付けられていない装置に分けてもよく、これらの追加の装置および/またはPCBを電子タバコ410に適切に配置できる。
【0019】
バッテリーまたは電池411は一般に再充電式であり、1つ以上の再充電機構が支持されていてもよい。例えば、先端部424および/または係合端部421、および/または電子タバコの態様に沿って充電接続部(図4では図示せず)が設けられていてもよい。さらに、電子タバコ410は、1つ以上の再充電接続部またはソケットを介した再充電に加えて(またはその代わりに)バッテリー411の誘導再充電を提供してもよい。
【0020】
コントロールユニット420は、コントロールユニットの係合端部421から長手方向軸LAに沿って延びる管部440を含む。管部440の外側は一般にコントロールユニット420の外壁またはハウジング全体の一部であってもよい外壁442、内側は内壁424によって画定される。空洞426はコントロールユニット420の管部の内壁424と係合端部421によって形成されている。この空洞426は、(図4の上の図に示されているように)コントロールユニットと係合する際、カートリッジ430の少なくとも一部を受け入れ、収容できる。
【0021】
管部の内壁424および外壁442は、長手方向軸LAの周りに形成される環状の空間を画定する。この環状の空間には、コイル(加熱コイルまたは駆動コイル)450が中心軸を電子タバコ410の長手方向軸LAと実質的に整列した状態で配置されている。コイル450はコイルに給電するバッテリー411およびコイルを制御する回路基板415と電気接続されるため、動作時にコイル450はカートリッジ430を誘導加熱することができる。
【0022】
カートリッジは液剤(一般にニコチンを含む)を含む貯蔵部470を含む。この貯蔵部はカートリッジの外壁476と内管または内壁472(これらはいずれも電子タバコ410の長手方向軸LAと実質的に整列されている)の間に形成された、カートリッジの実質的に環状の領域を有する。液剤は貯蔵部470に自由な状態で保持されてもよく、あるいは、貯蔵部470は液体を貯蔵部に保持しやすいように何らかの構造体または材料(例えばスポンジ)を含んでいてもよい。
【0023】
外壁476は、断面積がより少ない部分476Aを有する。このことにより、カートリッジ430をコントロールユニット420と係合するためにカートリッジのこの部分476Aはコントロールユニットの空洞426に受け入れられる。外壁の残りの部分は、貯蔵部470内の空間がより広くなるよう、さらには電子タバコが連続した外面を有するよう、より大きな断面積を有する。即ち、カートリッジ壁476は、コントロールユニット420の管部440の外壁442と実質的に同一平面である。しかし、当然のことながら、電子タバコ410のその他の実行例では、(図4に示す平滑な外面と比較して)より複雑な/構造化された外面を有してもよい。
【0024】
内管472の内側は、マウスピース435によって得られる吸気口461A(コントロールユニットと係合するカートリッジの端部431に位置する)から排気口461Bまでの空気流の方向に延びる通路461を画定する。中央の通路461(即ちカートリッジ全体の空気流の中)にはヒーター455および芯454が配置されている。図4に見られるように、ヒーター455は駆動コイル450のほぼ中央に配置されている。詳細には、ヒーター455の長手方向軸方向の位置は、カートリッジ430の断面積がより小さな部分476Aの開始部の段差がコントロールユニット420の管部440の端部(マウスピース435に近い方)に接するようにする(図4の上の図に示すとおり)ことで調節できる。
【0025】
ヒーター455は誘導加熱組立体のサセプタ(または加熱エレメント)として使用できるように金属製である。より詳細には、誘導加熱組立体は、(バッテリー411によって適切に給電され、かつPCB415上のコントローラによって適切に制御されると)周波数変動の高い磁場を発生する駆動コイル(加熱コイル)450を含む。この磁場はヒーター455のあるコイル中央(即ち空洞426)で最も強力である。磁場が変化すると、導電性ヒーター455で渦電流が誘起されて加熱エレメント455で抵抗加熱が起こる。なお、磁場の高周波変動により渦電流が加熱エレメント表面に集中する(表皮効果による)ため、加熱エレメントの実効抵抗、ひいてはその結果得られる加熱効果が高くなる。
【0026】
さらに、加熱エレメント455は一般に、(鉄系)鋼のような高い透磁率を有する磁性材料(単なる導電性材料ではなく)であるように選択される。この場合、渦電流による抵抗損失は磁気履歴損失(磁区が繰り返し反転することにより起こる)によって補われ、駆動コイル450から加熱エレメント455への電力がより効率的に伝達される。
【0027】
ヒーターの少なくとも一部分は芯454に囲まれている。芯は、蒸発のために貯蔵部470からヒーター455に液体を輸送するよう機能する。芯は、任意の適切な材料(例えば耐熱性の繊維状材料)で作製されてよく、一般的に、通路461から延びて内管472の穴を通り貯蔵部470に到達する。芯454は、貯蔵部から通路461への液漏れを自由に防ぐ(貯蔵部自体に適切な材料を有することでこの液体保持を補助してもよい)という点で、制御された方法でヒーター455に液体を供給するようになっている。代わりに、芯454は、ヒーター455が駆動されるまで貯蔵部470内および芯454自体に液体を保持し、ヒーター455が駆動されると芯454によって保持されていた液体は気化して気流となり、その後通路461に沿って移動し、マウスピース435を通って出る。芯454は次いで貯蔵部470からさらに液体を引き込み、カートリッジが使い切られるまでこの手順はその後の気化(および吸入)とともに繰り返される。
【0028】
図4では芯454を加熱エレメント455とは別個のもの(加熱エレメントを包囲してはいるが)として示しているが、実行例によっては、加熱エレメント455と芯454を組み合わせて一つの部品(芯454としても(ヒーターとしても)機能できる繊維状の多孔質鋼材で作製した加熱エレメントなど)としてもよい。また、図4では加熱エレメント455を支持するように芯454を示しているが、他の実施形態では、加熱エレメント455は、例えば(加熱エレメントによる支持の代わりに、またはそれに加えて)管472の内側に取り付けることによって別個の支持体を備えていてもよい。
【0029】
ヒーター455は実質的に平面状、かつコイル450の中心軸および電子タバコの長手方向軸LAに垂直であってもよい。というのも、誘導は主にこの面で起こるからである。図4はヒーター455および芯454が内管472の全直径に及ぶことを示しているが、一般的にヒーター455および芯454は空気路461の断面全体を覆わない。代わりに、一般には空間が設けられ、空気が吸気口461Aからヒーター455および芯454の周辺を通って内管全体を流れ、ヒーターによって発生した蒸気を取り込むことができる。例えば、長手方向軸LAに沿って見ると、ヒーターおよび芯は、通路461に沿って空気が流れるように中心に穴(図4には図示せず)を有する「O字状の」構成を有してもよい。他にも、「Y字状」または「X字状」など、多くの構成が可能である(なお、このような実行例では、より誘導が起こりやすいように「Y字」または「X字」の腕の部分を比較的広くする)。
【0030】
図4は、吸気口461Aを覆うようにカートリッジの係合端部431を示しているが、カトマイザーのこの端部に1つ以上の穴(図4には図示せず)を設けて所望の吸気量を通路461に引き込めるようにしてもよい。なお、さらに、図4に示す構成ではカートリッジ430の係合端部431とコントロールユニットの対応する係合端部421との間にわずかな間隙422が存在する。吸気口461Aを通じてこの間隙422から空気を出すことができる。
【0031】
この電子タバコは空気が最初に間隙422に入るようにする1つ以上の経路を有してもよい。例えば、カートリッジの外壁476Aと管部440の内壁444との間に十分な間隔を設け、空気が間隙422に移動できるようにしてもよい。このような間隔はカートリッジが空洞426に密着していない場合に自然に発生する可能性がある。あるいは、この空気流を助ける1つ以上の空気経路をこれらの壁の一方または両方に沿ってわずかな溝として設けてもよい。別の可能性は、コントロールユニット420のハウジングに1つ以上の穴を設け、最初に空気をコントロールユニットに引き込み、次いでコントロールユニットから間隙422に通過させることである。例えば、コントロールユニットに空気を取り込むための穴は、図4の矢印428Aおよび428Bで示すように配置されてもよく、係合端部421は空気がコントロールユニット420から出て間隙422に入る(そしてそこからカートリッジ430に入る)ための1つ以上の穴(図4には図示せず)を有してもよい。他の実行例では、間隙422を省略してもよく、空気流は、例えばコントロールユニット420から吸気口461Aを通りカートリッジ430まで直接通過してもよい。
【0032】
この電子タバコは、誘導加熱組立体のための1つ以上の駆動機構(即ち、加熱エレメント455を加熱する駆動コイル450の動作を誘導するため)を有する。1つの可能な駆動機構はコントロールユニットにボタン429を設けることであり、使用者はこのボタンを押してヒーターを駆動してもよい。このボタンは、機械装置、タッチセンサ式パッド、スライド式コントローラなどであってもよい。ヒーターは、使用者がボタン429を押し続けるかそれ以外の方法で積極的に駆動している限り、電子タバコを1回吸うのに適した最大駆動時間(一般には数秒)に従い駆動され続けてもよい。この最大駆動時間に達すると、コントローラは過熱を防ぐために誘導ヒーターを自動的に停止させてもよい。また、コントローラは連続駆動の間に強制的に最小間隔(ここでも一般には数秒間)をあけることもできる。
【0033】
誘導加熱組立体はまた、使用者の吸入によって起こる空気流によって駆動されてもよい。詳細には、コントロールユニット420は吸入によって起こる空気流(または圧力降下)を検知するための空気流センサを有していてもよい。空気流センサは次いでこの検知をコントローラに通知でき、それに応じて誘導ヒーターが作動される。誘導ヒーターは、空気流が検知され続ける限り、ここでも上記のように最大駆動時間(および一般には喫煙間の最小間隔)に従い作動したままであってよい。
【0034】
ボタン429を設ける代わりに、空気流によるヒーターの駆動を利用してもよく(従ってボタン429は省略してもよい)、あるいは、電子タバコは動作するのに二重駆動、即ち空気流の検知とボタン429の押下の両方を必要としてもよい。二重駆動が必要であることは、電子タバコの意図されない駆動に対する予防手段を得るのに役立つ。
【0035】
当然のことながら、空気流センサの使用は一般に、検知に適した、吸入時にコントロールユニットを通過する空気流を含む(この空気流からは使用者が最終的に吸入する空気流の一部しか得られない場合でも)。このような空気流が吸入時にコントロールユニットを通過しない場合、ボタン429を駆動に用いてもよいが、コントロールユニット420の表面(全体ではなく)を通過する空気流を検知する空気流センサを設けることも可能な場合がある。
【0036】
カートリッジをコントロールユニット内に保持できる様々な方法がある。例えば、コントロールユニット420の管部440の内壁444と、断面積のより小さな外壁476Aのそれぞれに、相互係合のためのねじ山(図4には図示せず)を設けてもよい。はめ込み式の接続具やラッチ機構(おそらく解除ボタンまたは同様のものを有する)など、他の形態の機械的係合を用いてもよい。さらに、コントロールユニットは以下に説明するような固定機構を提供する追加の部品を有してもよい。
【0037】
一般に、図4の電子タバコ410の場合、コントロールユニット420へのカートリッジ430の取り付けは図1図3の電子タバコ10の場合よりも単純である。詳細には、電子タバコ410に誘導加熱を利用することにより、カートリッジ430とコントロールユニット420との接続が機械的接続だけでよくなり、抵抗ヒーターへの配線との電気接続までする必要はない。その結果、必要に応じて、カートリッジおよびコントロールユニットのハウジングに適切なプラスチック成形品を用いることで機械的接続を実施してもよい。対照的に、図1図3の電子タバコ10では、カトマイザーおよびコントロールユニットのハウジングは、何らかの形で金属製のコネクターに結合されなければならない。さらに、図1図3の電子タバコ10のコネクターは、コントロールユニットとカトマイザーとの確実で接触抵抗の低い電気的接続を確保するために、比較的正確に作られなければならない。対照的に、電子タバコ410のカートリッジ430とコントロールユニット420との純粋な機械的接続を得るための製造公差は、一般により大きい。これらの要因すべては、カートリッジの製造の単純化と、ひいてはこの使い捨て式の(消耗品である)部品のコストの削減に役立つ。
【0038】
さらに、従来の抵抗加熱は、繊維芯に巻いた金属製加熱コイルを使用する場合が多いが、このような構造体の製造を自動化するのは比較的難しい。対照的に、誘導加熱エレメント455は、一般には何らかの形態の金属製円盤(または他の実質的に平面状の部品)に基づいており、自動製造工程に組み込みやすい構造である。このことも使い捨て式カートリッジ430の製造コストの削減に役立つ。
【0039】
誘導加熱の別の利点は、従来の電子タバコは抵抗加熱コイルに電源ワイヤを結合するのに、はんだを使用する可能性があることである。しかし、このような電子タバコの動作中にコイルから発生した熱によって、はんだから望ましくない成分が揮発し、後に使用者によって吸入されるかもしれないという懸念がある。対照的に、誘導加熱エレメント455に結合するためのワイヤはなく、従ってカートリッジにはんだを使用しなくてもよい。また、従来の電子タバコのような抵抗加熱コイルは、一般に直径の比較的小さなワイヤを含む(抵抗と、ひいては加熱効果を高めるため)。しかし、このような細いワイヤは比較的繊細であるため、何らかの機械的酷使および/または潜在的な局所過熱とそれによる融解によって損傷を受けやすい可能性がある。対照的に、誘導加熱に用いられる円盤状の加熱エレメント455は、一般にそのような損傷に対してより堅牢である。
【0040】
図5および図6は、本発明のいくつかの他の実施形態による電子タバコを示す概略図である。繰り返しを避けるため、図5および図6に示す外観で図4に示すのとほぼ同じものについては、図5および図6の特定の特徴を説明するのに重要である場合を除き、ここでは説明しない。また、図4図6で下2桁が同じ参照番号は一般に同一または類似(あるいは対応する)部品を示すものとする(参照番号の上1桁はその参照番号を含む図に対応する)。
【0041】
図5の電子タバコでは、コントロールユニット520は概ね図4のコントロールユニット420と似ているが、カートリッジ530の内部構造は、図4のカートリッジ430の内部構造とはいくらか異なる。従って、液体貯蔵部470が中央の空気流路461を囲んでいる図4の電子タバコ410の場合のように中央に空気流路を有するのではなく、図5の電子タバコ510では、空気路561はカートリッジの中心の長手方向軸(LA)からずれている。具体的には、カートリッジ530は、カートリッジ530の内部空間を2つの部分に分ける内壁572を含む。第1の部分は内壁572と外壁576の一方の部分で画定され、液剤の貯蔵部570を収容する空間を設けている。第2の部分は内壁572と外壁576の反対側の部分で画定され、電子タバコ510を通る空気路561を画定している。
【0042】
また、電子タバコ510は芯をもたず、加熱エレメント(サセプタ)としても貯蔵部570からの液体の流れを制御する芯としても機能する多孔質加熱エレメント555に依存している。この多孔質加熱エレメントは、例えば、鋼繊維を焼結またはそれ以外の方法で結合させた材料で作られてよい。
【0043】
加熱エレメント555は貯蔵部570の端部でカートリッジのマウスピース535とは反対側の端部に位置し、貯蔵部チェンバーのこの端部側の壁の一部または全体を構成していてもよい。加熱エレメントの一方の面は貯蔵部570内の液体と接しており、反対側の面は空気路561の一部とみなすことができる空気流領域538に接している。具体的には、この空気流領域538は加熱エレメント555とカートリッジ530の係合端部531との間に位置する。
【0044】
使用者がマウスピース535で吸入すると、間隙522からカートリッジ530の係合端部531を通って領域538に空気が吸い込まれる(図4の電子タバコ410に関して説明したのと同様である)。この空気流(および/または使用者によるボタン529の押下)に応じてコイル550が駆動されてヒーター555に給電し、これによってヒーター555は貯蔵部570の液体から蒸気を発生する。この蒸気は次いで吸入によって起きた空気流に引き込まれ、通路561に沿って(矢印で示されるように)移動し、マウスピース535から出る。
【0045】
図6の電子タバコでは、コントロールユニット620は図4のコントロールユニット420とほぼ似ているが、ここでは2個の(より小さな)カートリッジ630Aおよびカートリッジ630Bを収容している。これらのカートリッジのそれぞれは、図4のカートリッジ420の断面積のより小さな部分476Aと構造的に似ている。しかし、カートリッジ630Aおよび630Bのそれぞれの長手方向の範囲は、図4のカートリッジ420の断面積のより小さな部分476Aのわずか半分であり、それによって2個のカートリッジは図4の電子タバコ410の空洞426に対応する電子タバコ610の領域に収容されることができる。さらに、コントロールユニット620の係合端部621は、例えば、カートリッジ630Aおよび630Bを図6に示す位置に維持する(間隙領域622を閉じるのではなく)1つ以上の支柱またはタブ(図6には図示せず)を備えてもよい。
【0046】
電子タバコ610では、マウスピース635をコントロールユニット620の一部とみなしてよい。具体的には、マウスピース635は、コントロールユニット620の残りの部分に締め外しまたは留め外しできる着脱式のキャップまたは蓋として設けられてもよい(あるいは他の任意の適切な固定機構を用いることができる)。マウスピースキャップ635は、新しいカートリッジを挿入したり古いカートリッジを取り出したりするためにコントロールユニット635の残りの部分から取り外された後、電子タバコ610を使用するためにコントロールユニットに再び固定される。
【0047】
電子タバコ610の個々のカートリッジ630A、630Bの動作は、それぞれ対応する貯蔵部670A、670Bへと延びている芯654A、654Bを含む点で、電子タバコ410のカートリッジ430の動作と似ている。さらに、各カートリッジ630A、630Bはそれぞれ、対応する芯654A、654Bに収容されている加熱エレメント655A、655Bを含み、コントロールユニット620が備えている対応するコイル650A、650Bによって駆動されてもよい。ヒーター655A、655Bは、カートリッジ630A、630Bの両方を通ってマウスピース635へと抜ける共通の通路661に向けて液体を気化させる。
【0048】
例えば、異なるカートリッジ630Aおよび630Bを用いて電子タバコ610に異なる風味剤を提供してもよい。また、電子タバコ610は2個のカートリッジを収容しているように図示されているが、当然のことながら、装置によってはより多くの数のカートリッジを収容していてもよい。さらに、カートリッジ630Aと630Bは互いに同じ寸法であるが、装置によっては異なる寸法のカートリッジを収容していてもよい。例えば、電子タバコはニコチン系の液体を有する1個の大きなカートリッジと、必要に応じて風味剤またはその他の添加剤を提供する1個以上の小さなカートリッジとを収容していてもよい。
【0049】
場合によっては、電子タバコ610は可変個数のカートリッジを収容(かつそれらと動作)できてもよい。例えば、マウスピース635に向かって長手方向軸方向に伸びようとするばねまたは他の弾性装置がコントロールユニット係合端部621に取り付けられていてもよい。従って、図6のカートリッジの1つを取り外した場合、このばねは、信頼できる動作のために確実に残りのカートリッジがしっかりとマウスピース側に保たれるようにするのに役立つ。
【0050】
電子タバコが複数のカートリッジを有する場合、一つの選択肢は、それらすべてをカートリッジの長手方向の範囲に及ぶ1個のコイルで駆動することである。あるいは、図6に示すようにカートリッジ630A、630Bに対してそれぞれ対応する個々のコイル650A、650Bが存在してもよい。さらなる可能性として、1個のコイルの異なる部分を選択的に駆動して複数のコイルが存在するように似せ(模倣し)てもよい。
【0051】
電子タバコがそれぞれのカートリッジに対応する複数のコイルをもつ(実際に別個のコイルであっても1個のより大きなコイルの異なる部分で模倣されていてもよい)場合、電子タバコを作動させる(例えば、吸入による空気流の検知および/または使用者によるボタンの押下によって)ことですべてのコイルが駆動されてもよい。しかし、電子タバコ410、510、610では、複数のコイルを選択的に駆動させるようになっていて、作動させるコイルを使用者が選択または特定できる。例えば、電子タバコ610は、駆動に応じてコイル650Aのみが駆動されコイル650Bは駆動されないモードまたはユーザー設定を有してもよい。これにより、次いでコイル650Bではなくコイル650Aの液剤に基づき蒸気が発生する。このことにより、使用者は任意の所与の吸入に対して供給される蒸気に関して、電子タバコ610の動作のより高い柔軟性を得ることができる(が使用者はその特定の吸入のためだけに異なるカートリッジを物理的に取り出したり挿入したりする必要はない)。
【0052】
当然のことながら、図4図6の電子タバコ410、510、および610の様々な実行例は単なる例であり、網羅的であるように意図されたものではない。例えば、図5に示すカートリッジ設計を図6に示すような複数のカートリッジを含む装置に組み込んでもよい。当業者は、例えば様々な実行例の様々な特徴事項を融合するか適合させることによって、また、より一般的には特徴事項を適宜追加、交換、および/または除去することによって達成できる、他の多くの様々な変更を認識している。
【0053】
図7は、図4図6に示す本発明のいくつかの実施形態による電子タバコ410、510、610の主な電子部品を示す概略図である。カートリッジ430内に位置する加熱エレメント455を除き、残りの構成要素はコントロールユニット420内に位置する。当然のことながら、コントロールユニット420は再使用できる装置であるため(使い捨て式、即ち消耗品であるカートリッジ430とは対照的に)、コントロールユニットの製造に関連する単発的なコストの負担は許容範囲である(これはカートリッジの製造に関連する反復的コストとしては許容範囲ではないであろう)。コントロールユニット420の部品は回路基板415に取り付けられていてもよく、コントロールユニット420に別々に収容されていて回路基板自体に物理的に取り付けられることなく回路基板415(有する場合)と連携して動作してもよい。
【0054】
図7に示すように、コントロールユニットはマイクロUSBインタフェースなどの再充電コネクターまたはソケット725に連結された充電式バッテリー411を含む。このコネクター725によってバッテリー411を再充電できる。代わりに、または加えて、コントロールユニットは無線接続によるバッテリー411の再充電を提供してもよい(誘導充電などによって)。
【0055】
コントロールユニット420は、圧力センサまたは空気流センサ716に連結されたコントローラ715(プロセッサまたは特定用途向け集積回路(ASIC)など)をさらに含む。コントローラは、以下により詳細に記載するように、センサ716による空気流の検知に応じて誘導加熱を有効にしてもよい。さらに、コントロールユニット420は、上述のようにボタン429をさらに含み、このボタンを用いて誘導加熱を有効にしてもよい。
【0056】
図7はさらに、電子タバコ用の通信/ユーザインタフェース718を示す。これは、特定の実行例による1つ以上の設備を含んでよい。例えば、ユーザインタフェースは、例えば誤動作、電池の充電状態などを示すために使用者に出力を行う1個以上のライトおよび/またはスピーカを含んでもよい。インタフェース718は、外部装置(スマートフォン、ラップトップコンピュータ、コンピュータ、ノート型コンピュータ、タブレットなど)との無線通信(Bluetooth(登録商標)または近距離無線通信(NFC)など)も提供してよい。電子タバコはこの通信インタフェースを利用して装置の状態や使用統計などの情報を使用者が素早くアクセスできるように外部装置に出力してもよい。さらに、通信インタフェースを利用して電子タバコが指示(ユーザが外部装置に入力した構成設定など)を受信できてもよい。例えば、ユーザインタフェース718およびコントローラ715を利用して、上述のように異なるコイル650A、650B(またはその一部分)を選択的に駆動するよう電子タバコに指示してもよい。場合によっては、通信インタフェース718は無線通信用のアンテナとして機能する加熱コイル450を使用してもよい。
【0057】
コントローラは必要に応じて1つ以上のチップを用いて実施されてもよい。コントローラ715の動作の少なくとも一部は、コントローラで動くソフトウェアプログラムによって全般的に制御される。このようなソフトウェアプログラムは、コントローラ715自体に内蔵されていても別個の部品として提供されてもよいROMなどの不揮発性メモリ(図示せず)に保存されていてもよい。コントローラ715は、必要な場合はROMにアクセスして個々のソフトウェアプログラムをロードし実行してよい。
【0058】
コントローラは装置が適切に駆動されているときまたはそうでないとき(例えば、吸入が検知されたかどうか、および吸入の最大時間を超過していないかどうか)を決定することによって電子タバコの誘導加熱を制御する。電子タバコを蒸気吸入のために駆動するようコントローラが決定した場合、コントローラはバッテリー411がインバータ712に給電するよう準備する。インバータ712は、バッテリー411からの直流出力を、一般に比較的高周波数(例えば1MHz)(ただし、5kHz、20kHz、80kHz、または300kHz、あるいは2つのこのような値で定義される任意の範囲など、その他の周波数を代わりに用いてもよい)の交流電流信号に変換するようになっている。次に、この交流信号は必要に応じて適切なインピーダンス整合(図7では図示せず)を経てインバータから加熱コイル450を通る。
【0059】
加熱コイル450を、例えばコンデンサ(図7では図示せず)と並列接続で組み合わせることによって何らかの形態の共振回路に組み込み、インバータ712の出力をこの共振回路の共振周波数に同調させてもよい。この共振によって比較的高い電流が加熱コイル450に発生し、それによって比較的強い磁場が加熱エレメント455に発生して迅速かつ効果的に加熱エレメント455を加熱し、所望の蒸気またはエアロゾルの出力が発生する。
【0060】
図7Aは、いくつかの実行例による複数のコイルを有する電子タバコ610の制御電子機器の一部を示す(明確にするため、この複数のコイルに直接関連しない制御電子機器の外観は省略されている)。図7Aは、電源782A(一般にバッテリー411と図7のインバータ712に対応する)と、スイッチ構成781Aと、図6に示されている(が図7Aには含まれていない)2個のコイル650A、650B(それぞれ対応する加熱エレメント655A、655Bと関連する)を示す。このスイッチ構成は、図7AにA、B、Cで示す3個の出力装置を有する。2個のコイル650Aと650Bの間に電流路が存在することも想定される。
【0061】
誘導加熱組立体を動作させるには、これらの3個の出力装置のうち2個を閉じ(電流が流れるように)、残りの出力装置は開いておく(電流が流れないように)。出力装置AおよびCを閉じると両方のコイル、ひいては両方の加熱エレメント655A、655Bが駆動され、AおよびBを閉じると加熱コイル650Aのみが選択的に駆動され、BおよびCを閉じると加熱コイル650Bのみが駆動される。
【0062】
加熱コイル650Aおよび650Bを単に1個の全体的なコイル(共に作動しているか停止している)として扱うこともできるが、例えば図7の実行例によって得られるような加熱コイル650Aおよび650Bの一方または両方を選択的に駆動する能力は、以下を含む複数の利点を有する。
a)所与の喫煙について蒸気成分(例えば風味剤)を選択できる。従って、加熱コイル650Aのみを駆動すると貯蔵部670Aのみから蒸気が発生し、加熱コイル650Bのみを駆動すると貯蔵部670Bのみから蒸気が発生し、両方の加熱コイル650A、650Bを駆動すると両方の貯蔵部670A、670Bからの蒸気の組み合わせが発生する。
b)所与の喫煙について蒸気量を制御できる。例えば、貯蔵部670Aと貯蔵部670Bが実際に同じ液体を含む場合、両方の加熱コイル650A、650Bを駆動することによって片方の加熱コイルを単独で駆動する場合に比べて濃い(蒸気濃度が高い)煙を発生できる。
c)バッテリー(充電)寿命を延ばすことができる。既に述べたように、図6の電子タバコに1個のカートリッジ(例えば630B)だけが入っている(カートリッジ630Aも入っているのではなく)ときにこの電子タバコを操作することができてもよい。この場合、カートリッジ630Bに対応し、後に貯蔵部670Bの液体を気化するのに用いられる加熱コイル650Bのみを駆動するのがより効率的である。これに対しカートリッジ630A(入っていない)に対応する加熱コイル650Aは駆動されない(このカートリッジおよび関連する加熱エレメント650Aが電子タバコ610には存在しないため)場合、このことによって蒸気出力量を減らすことなく電力消費が節約される。
【0063】
図6の電子タバコ610は別個の加熱エレメント655A、655Bをそれぞれ対応する加熱コイル650A、650Bに対して有するが、実行例によっては、異なる加熱コイルは1個の(より大きな)加熱エレメントまたはサセプタの異なる部分を駆動してもよい。従って、このような電子タバコでは、異なる加熱エレメント655A、655Bは、異なる加熱コイルが共有するさらに大きなサセプタの異なる部分を表してもよい。加えて(または代わりに)、複数の加熱コイル650A、650Bは、図7Aに関して先に述べたように個々の部分を選択的に駆動できる1個の全体的な駆動コイルの異なる部分を表してもよい。
【0064】
複数の加熱エレメントが所与のパフの蒸気の量を調節するために使用されている場合、より多い数の加熱エレメント、例えば図7Aに示す2つより多い加熱エレメントを有することでよりきめ細かに調節できる。当然のことながら蒸気の量は対応する加熱エレメントにエネルギーを供給するために各加熱コイルへの電力をより多く供給することで相加させることができるが、実際には限界がある。例えば、電力を提供しすぎると加熱エレメントの温度が非常に高くなり、蒸気の化学組成を変えてしまうだけでなく、安全面においての懸念が生じる。
【0065】
図7Bは、複数の加熱コイル650A、650Bの選択性を提供する別の実行例を示す。従って図7Bでは、加熱コイルは互いに電気的に接続されておらず、各加熱コイル650A、650Bはそれぞれ(別々に)、スイッチ構成781Bを通る一対の独立した接続部によって電源782Bに連結されていることが想定される。具体的には、加熱コイル650Aはスイッチ接続部A1およびA2によって電源782Bに連結されており、加熱コイル650Bはスイッチ接続部B1およびB2によって電源782Bに連結されている。この図7Bの構成は、図7Aに関して先に述べたのと同様の利点を提供する。さらに、図7Bの構造を3個以上の加熱コイルと共に動作するよう容易に拡大することもできる。
【0066】
図7Cは、複数の加熱コイル(この場合は650A、650B、および650Cと示された3個のコイル)の選択性を提供する別の実行例を示す。各加熱コイルは、対応する電源782C1、782C2、および782C3に直接接続されている。図7の構成は、任意の1個の加熱コイル650A、650B、650Cの、あるいは任意の加熱コイル対の同時の、あるいは3個の加熱コイルすべての同時の、選択的駆動を提供してもよい。
【0067】
図7Cの構成では、電源782の少なくともいくつかの部分は、異なる加熱コイル650のそれぞれを再現していてもよい。例えば、各電源782C1、782C2、782C3は固有のインバータを含んでもよいが、それらは1個の最終的な電源(バッテリー411など)を共有していてもよい。この場合、バッテリー411は図7Bに示すものと似た(ただし交流電流ではなく直流電流用の)スイッチ構成を介してインバータに接続されていてもよい。あるいは、電源782から加熱コイル650までのそれぞれの対応する電力線に、加熱コイルを駆動するために閉じる(またはこのような駆動を防ぐために開く)ことのできる個々の固有のスイッチを備えてもよい。この構成では、異なる線に亘るこれらの個々のスイッチの集合をスイッチ構成の別の形態とみなすことができる。
【0068】
図7A図7Cのスイッチ切替を管理または制御できる方法は様々である。場合によっては、使用者はスイッチ構成を直接設定する機械的または物理的スイッチを操作してもよい。例えば、電子タバコ610は外部ハウジングにスイッチ(図6では図示せず)を含んでもよく、このスイッチによってカートリッジ630Aをある設定で駆動でき、かつカートリッジ630Bを別の設定で駆動できる。スイッチの別の設定では、両方のカートリッジを共に駆動できるようにしてもよい。あるいは、コントロールユニット610は、各カートリッジに関連する別個のボタンを有してもよく、使用者は所望のカートリッジのボタン(あるいは、両方のカートリッジを駆動する場合には両方のボタンの可能性もある)を押す。別の可能性として、電子タバコのボタンまたは他の入力装置を用いてより濃い煙を選択し(結果的に両方またはすべての加熱コイルを駆動し)てもよい。このようなボタンを用いて風味剤の追加を選択してもよく、スイッチ切替によってその風味剤に関連する加熱コイルを(一般にはニコチンを含む基本液に関する加熱コイルに加えて)動作させてもよい。当業者はこの他にもこのようなスイッチ切替の可能な実行例が分かっている。
【0069】
電子タバコによっては、スイッチ構成を直接的に(例えば機械的または物理的に)制御するのではなく、使用者が図7の通信/ユーザインタフェース718(あるいは任意のその他の類似の設備)によってスイッチ構成を設定してもよい。例えば、このインタフェースによって使用者は異なる風味剤またはカートリッジ(ならびに/あるいは異なる濃さのレベル)の使用を特定できてもよく、その結果、コントローラ715は使用者の入力に従いスイッチ構成781を設定できる。
【0070】
さらなる可能性として、スイッチ構成は自動的に設定されてもよい。例えば、電子タバコ610は、カートリッジ630Aの所定位置にカートリッジがない場合、加熱コイル650Aの駆動を防いでもよい。即ち、このようなカートリッジがない場合、加熱コイル650Aは駆動されない(それによって例えば電力を節約する)ようになっていてもよい。
【0071】
カートリッジの有無を検知するのに利用できる機構は様々である。例えば、コントロールユニット620はカートリッジを関連する位置に挿入することで機械的に操作されるスイッチを備えてもよい。カートリッジが適切な位置にない場合、スイッチは対応する加熱コイルが給電されないように設定される。別の手法は、カートリッジが所与の位置に挿入されているかどうかを検知するための何らかの光学的または電気的設備をコントロールユニットに設けることである。
【0072】
なお、装置によっては、一度カートリッジが適切な位置にあると検知されたら、対応する加熱コイルはいつでも駆動できる状態である(例えば、喫煙(吸入)の検知に応じていつでも駆動される)。自動でもあり使用者による制御を受けるスイッチ構成を有する他の装置では、カートリッジが適切な位置にあると検知された場合でも、後に使用者による設定(または上述の同様のもの)によってそのカートリッジが任意の所与の喫煙の際に駆動可能かどうかが決定されてもよい。
【0073】
図7A〜7Cの制御電子機器について、図6に図示したような複数のカートリッジの使用と関連して説明したが、これらを複数の加熱エレメントを有する1個のカートリッジに関して使用してもよい。即ち、制御電子機器は、1個のカートリッジに含まれるこれらの複数の加熱エレメントのうち1個以上を選択的に駆動できる。このような手法によっても上記の利点を得ることができる。例えば、カートリッジが複数の加熱エレメントを含み1個の共有の貯蔵部のみを含む場合、あるいは、複数の加熱エレメントを含み、各加熱エレメントが対応する貯蔵部を有しかつ各貯蔵部がすべて同じ液体を含む場合、駆動する加熱エレメントを増減することにより使用者は一吸いで得られる蒸気量を増減できる。同様に、1個のカートリッジが複数の加熱エレメントを含み、各加熱エレメントが固有の液体を含む貯蔵部を個別に有する場合、異なる加熱エレメント(またはその組み合わせ)を駆動することにより使用者は異なる液体(またはその組み合わせ)からの蒸気を選択的に消費できる。
【0074】
電子タバコによっては、様々な加熱コイルおよびその対応する加熱エレメント(別個の加熱コイルおよび/または加熱エレメントとして実施されるか、より大きな駆動コイルおよび/またはサセプタの一部として実施されるかにかかわらず)を互いに実質的に同じものにし、均質な構成としてもよい。あるいは、不均質な構成を用いてもよい。例えば、図6の電子タバコ610について、一方のカートリッジ630Aは、他方のカートリッジ630Bに比べて低温に加熱するように、および/または少量の蒸気を出力するようになっていてもよい(より低い加熱電力を供給することによって)。例えば一方のカートリッジ630Aがニコチンを含有する主液剤を含み、他方のカートリッジ630Bは風味剤を含む場合、カートリッジ630Aがカートリッジ630Bよりも多くの蒸気を出力することが望ましい場合がある。また、各加熱エレメント655の動作温度は、気化される液体に応じて調整されてもよい。例えば、動作温度は特定のカートリッジの関連する液体を気化するのに十分高くなければならないが、一般には、その液体を化学分解(解離)するほど高くはない。
【0075】
加熱コイルと加熱エレメントの様々な組み合わせに対して様々な動作特性(例えば温度)をもたせて不均質な構成を作る方法は種々ある。例えば、加熱コイルおよび/または加熱エレメントの物理パラメータ、例えば寸法、形状、材料、コイルの巻き数を適宜変えてもよい。加えて(または代わりに)、例えば交流周波数および/または供給電流を変えることによって加熱コイルおよび/または加熱エレメントの動作パラメータを変えてもよい。
【0076】
様々な問題を解決して技術を進歩させるため、本開示は、特許請求された発明が実施され得る様々な実施形態を例示によって示す。本開示の利点および特徴事項は実施形態の代表的な事例のものに過ぎず、網羅的および/または排他的ではない。これらは特許請求された発明を理解しやすくし、教示するために提示されたに過ぎない。なお、本開示の利点、実施形態、実施例、機能、特徴事項、構造、および/または他の態様は特許請求の範囲によって定義される本開示に対する限定、あるいは特許請求の範囲の均等物に対する限定と考えられるべきではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく他の実施形態を用いてもよいし改良を行ってもよい。様々な実施形態は、開示された構成要素、部品、特徴事項、部分、工程、手段などを本明細書に具体的に記載された以外の様々な組み合わせで適切に含むか、それらで構成されるか、本質的にそれらで構成されてもよい。従って、当然のことながら、特許請求の範囲に明記されている以外の組み合わせで従属請求項の特徴事項を独立請求項の特徴事項と組み合わせてもよい。本開示は、現在は特許請求されていないが将来特許請求されるかもしれない他の発明を含んでよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図7A
図7B
図7C