(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記複数の血管内画像フレームから検出された前記質的情報は、プラーク形態、血栓、ステント血栓、ステント圧着、ステント不完全圧着、ステントエッジ解離、ステントストラットの被覆または検出、内膜新生、近赤外線自家蛍光(NIRAF)、プラークタイプ、対応するインジケータを定義する異なる幾何学的サイズまたは形状、前記質的情報が蛍光情報であることを示す情報、ステントの拡張または拡張不全に関する情報、および組織突出のうちの少なくとも1つを含み、
前記1つもしくは複数の値または前記凡例は、質的情報および/または量的情報を含む、請求項1に記載の方法。
前記表示ステップにおいて、前記解剖学的画像フレームにおける所定の数の連続する位置において表示される情報が検出されないとき、前記解剖学的画像フレームにおける対応する位置において前記1つまたは複数のインジケータが表示されない、請求項11に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下の説明は、特定の例示的な実施形態のものであるが、他の実施形態は、代替形態、等価物および変更形態を含むことができる。更に、例示的な実施形態は、いくつかの新規の特徴を含むことができ、特定の特徴は、本明細書に記載の装置(デバイス)、システムおよび方法を実施するのに必須ではない場合がある。
【0014】
本開示は、血管内イメージングシステムから得られた構造情報および分子情報を迅速に解釈するために、血管の解剖学的画像のレビュー中にユーザを支援する解剖学的画像を表示するための特徴を含む。ユーザは、血管内画像フレームをレビューする必要なく、血管内イメージングシステムから得られた情報を解釈またはレビューすることができる。本開示は、血管内イメージングシステムから得られた質的および量的情報を、血管の解剖学的画像の上に重ね合わせ(overlaying)、ユーザが解剖学的画像の特定の部分に関して構造情報および分子情報をより効率的に解釈できるようにすることを対象とする。
【0015】
図1は、本開示による、血管内画像フレームを取得するための例示的なマルチモダリティー光干渉断層画像法(MM−OCT)システム02を示す。MM−OCTシステム02は、血管の解剖学的画像を表示するためのモニタ04を備える。MM−OCTシステム02の血管内画像フレームから取得される情報は、血管の解剖学的画像の上に重ね合わせ、表示することができる。MM−OCTシステム02が
図1に示されているが、本開示に従って用いることができる血管内イメージングシステムのタイプは、MM−OCTに限定されない。用いることができる他の血管内イメージングシステムは、例として、光干渉断層画像法(OCT)システムまたは血管内超音波検査法(IVUS)システムを含む。
【0016】
表示される解剖学的画像は、多岐にわたる異なる解剖学的イメージングシステムから取得することができる。解剖学的イメージングシステムは、例として、血管造影画像フレーム、コンピュータ断層撮影(CT)、CT血管造影、磁気共鳴イメージング(MRI)または心臓MRIを生成する血管造影システムを含むことができる。解剖学的画像という用語は、別段の記載がない限り、本開示全体にわたって血管造影画像と交換可能に用いられる。血管という用語は、本開示全体にわたって、論考の目的で冠動脈と交換可能に用いることもできる。
【0017】
図1に戻って参照すると、MM−OCTシステム02は、また、2つの光源06と、コンピュータ08と、カテーテル10と、患者インタフェースユニット12とを備える。MM−OCTシステム02は、2つの異なるモダリティを同時に用いて血管内画像フレームを取得することができる。2つの光源06のうちの一方の光源は、OCTイメージングのために用いることができ、他方の光源は、近赤外線(自家)蛍光(NIR(A)F)イメージングのために用いることができる。NIRFイメージングは、通常、高度なコントラストを与えることができる分子標的蛍光造影剤と共に用いられる。NIRAFイメージングおよびNIRFイメージングはともに、血管内、より具体的には冠動脈内の疾患の形成および進行に関連付けられた特定の分子事象を明らかにすることができる。
【0018】
カテーテル10は、例えば冠動脈等の特定の血管の内腔内に配置された光照射器およびデータ収集プローブとして機能する。カテーテル10は、通常、プローブチップと、1つまたは複数の放射線不透過性マーカと、光ファイバと、トルクワイヤとを備える。プローブチップは、1つまたは複数のデータ収集システムを含むことができる。カテーテル10は、冠動脈の画像を得るために、患者の動脈内に螺入される。患者インタフェースユニット12は、コンピュータ08に関連付けられたプロセッサによって制御することができるモータを含む。プロセッサは、画像処理のための全てのステップを実行することができ、モニタ04上に表示される情報を制御する。患者インタフェースユニット12のモータを用いて、トルクワイヤをプルバックすることができる。このプルバック手技により血管の画像が得られる。プルバック経路は、コレジストレーション経路を表し、対象領域(ROI)経路としても知られる。
【0019】
コンピュータ08に関連付けられたプロセッサは、血管の1つまたは複数の血管内画像フレームデータセットを処理するようにプログラムすることができる。プロセッサは、例えば血管造影画像等の血管の解剖学的画像を処理するように構成することもできる。解剖学的画像は、コンピュータ08に関連付けられたイメージングデータベースに記憶することができる。
【0020】
本開示は、上記で説明したMM−OCTシステム02等の血管内イメージングモダリティから得られ、解釈された情報を、ユーザがより良好に理解し、臨床設定においてより効率的に用いることができるようにどのように表示するかに焦点を当てる。例示的な画像処理ワークフローの全体が
図2に示される。処理は、ステップS10において血管内イメージングシステム(
図1のMM−OCTシステム02)を準備することから開始する。ステップS12において、NIR(A)Fシステムが利用可能であるか否かが判断される。NIR(A)Fシステムが利用可能でない場合(ステップS12におけるno)、ステップS14において、血管内イメージングシステムは、NIR(A)F画像フレームを取得することなく血管内画像フレームを取得する。代替的に、NIR(A)Fシステムが利用可能である場合(ステップS12におけるyes)、ステップS16において、血管内イメージングシステムのユーザは、NIR(A)F画像フレームを取得するか否かを判定する。ユーザがNIR(A)F画像フレームを取得しないことを決定する場合(ステップS16におけるno)、ステップS14において、血管内画像フレームが取得される。ユーザがNIR(A)F画像フレームを取得することを決定する場合(ステップS16におけるyes)、ステップS18において、血管内画像フレームおよびNIR(A)F画像フレームの双方が同時に取得される。
【0021】
ステップS20において、NIR(A)F情報は、取得された画像フレームごとにプロセッサによって評価される。その後、ステップS22において、画像フレームごとの血管、内腔エッジおよびステントストラットにおける組織特性が、プロセッサを用いて検出される。検出された情報は、IVUS、OCTまたはMM−OCT等の血管内イメージングから直接得られた情報を参照する質的情報を含む。質的情報は、例として、プラーク形態、血栓、ステント血栓、ステント圧着、ステント不完全圧着(ステントマルアポジション)、ステントエッジ解離、組織突出、ステントストラットカバレッジ、内膜新生およびNIR(A)Fも含むことができる。
【0022】
ステップS24において、プロセッサは、取得された血管内画像フレームごとに検出された情報からの統計情報を計算する。統計情報は、質的情報から計算された情報を参照する量的情報である。量的情報のいくつかの例は、例として、プラークサイズ、内腔面積および直径、ステント面積および直径、ステント不完全圧着距離、ステント不完全圧着深刻度、ステント拡張不全深刻度、生体吸収性ステントの再吸収率、NIR(A)Fの強度および面積、ならびに生理学的測定値(例えば、冠血流予備量比(FFR))を含むことができる。
【0023】
ステップS26において、プロセッサは、解剖学的画像を表す血管造影画像をインポート(import)する。ステップS26は、血管造影画像を血管内画像フレームの画像処理後にインポートすることができることを示しているが、これらのステップは交換可能であり、並列に処理されてもよい。例えば、プロセッサは、血管内画像フレームおよび/またはNIR(A)F画像フレームを取得する前に血管造影画像をインポートすることができる。代替的に、血管造影画像は、血管内画像フレームがMM−OCTシステム02によって取得されるときにプロセッサによってインポートすることができる。ステップS28において、インポートされた血管の血管造影画像が、取得された血管内画像フレームとコレジストレーションされているか否かが判断される。プロセッサが、血管造影画像が血管内画像フレームとコレジストレーションされていないと判断する場合(ステップS28におけるno)、ステップS30においてコレジストレーションを行うことができる。各取得された血管内画像フレームは、血管造影画像上に視覚的に表すことができる取得位置を有する。
【0024】
図2を更に参照すると、ステップS28において、血管造影画像および血管内画像フレームがコレジストレーションされていると判断される場合、コレジストレーション経路が作成される。コレジストレーション経路は、ステップS32において生成されたROI経路を表すことができる。通常、ROI経路は、IVUS/OCTプルバックが行われるエリアである。ROI経路の生成は、プロセッサによって決定される。ROI経路の生成は、血管造影フレーム全体または複数の選択された血管造影フレームについて行うことができる。その後、ステップS34において、ROI経路を含む血管造影画像が表示される。ステップS36において、血管内イメージングシステムおよび/またはNIR(A)Fシステムから得られた質的情報が、表示された血管造影画像上に重ね合わされる。ステップS36において、質的情報から計算された量的情報も、表示された血管造影画像上に重ね合わせることができる。
【0025】
以下の表1に示すように質的情報および/または量的情報を取得するために、以下の画像処理ステップが進行する。まず、血管内画像フレーム(n番目のフレーム)が選択される。このフレームにおいて、内腔、ステントストラット、プラークおよびNIR(A)F信号が検出される。この検出は、
図3Aに示すような角度θごとに径方向(r方向)において行われる。任意のタイプのプラークが検出される場合、質的情報がそれに応じて保存され(n_plaque_i=1、ここで、iは各プラークタイプを表す)、内腔エッジに沿った長さおよびプラークが分散する角度が計算され、
図3Bに示すように、量的情報(n_plaque_i_length,n_plaque_i_angle)の一部として保存される。
【0026】
NIR(A)F信号が検出される場合、かつ、信号強度が閾値量よりも高い場合、質的情報がn_NIR(A)F=1として保存され、最大/最小/平均NIR(A)F強度、およびθ方向において閾値より高い強度が検出される角度が、量的情報(n_NIR(A)F_max,n_NIR(A)F_min,n_NIR(A)F_ave,n_NIR(A)F_angle)として保存される。閾値は、ユーザによって決定することができるか、または臨床的証拠に基づいて、デフォルトとして予め決定することができる。
【0027】
内腔面積n_lumenは、検出された内腔エッジの内面積として計算される。複数のステントストラットが検出される場合、ステント面積n_stentは、ステントストラットを楕円形として補間することによって計算される。加えて、内腔および/またはステントの直径が計算され、その最大値および最小値も保存される(n_lumen_φmax,n_lumen_φmin,n_stent_φmax,n_stent_φmin)。ユーザが、検出された位置から内腔エッジおよび/またはステントストラットの位置を調整する場合、それに応じて、面積および直径の情報が更新される。
【0028】
n_stentが計算されるとき、ステント拡張不全が計算され、n_stent_expanとして保存される。n_stent_expanを計算する1つの例示的な方法は、PCIの前にバルーンカテーテルおよび/またはステントのサイズを求めるのに用いられるフレームの内腔面積に対するn_stentの比である。深刻度n_stent_expan_serverityは、n_stent_expanと、ユーザによって決定されるレベルごとの閾値とを比較することによって、または臨床証拠に基づいて、1(重度)、2(中程度)、または3(軽度)に分類される。代替的に、深刻度n_stent_expan_serverityは、1(yes)または0(no)として分類されてもよい。
【0029】
ステントストラットが検出されると、ステントストラットと内腔との間の距離が、検出されたステントストラットごとにr方向において計算され、最大/最小/平均距離が、量的情報(n_stent_malap_max,n_stent_malap_min,n_stent_malap_ave)として保存される。深刻度情報(n_stent_malap_severity)は、計算された距離と、臨床証拠に基づいて事前設定することができ、ユーザによって変更することができるレベルごとの深刻度閾値とを比較することによって、1(重度)、2(中程度)、または3(軽度)として保存される。代替的に、深刻度n_stent_expan_serverityは、1(yes)または0(no)として分類されてもよい。計算された距離は、n_stent_malap_max,n_stent_malap_minまたはn_stent_malap_aveから選択され、この選択は、ユーザの選好または臨床的証拠に基づく。
【0030】
ステントエッジ解離の情報は、n_stent_dissec=1(yes)または0(no)として記憶される。
【0031】
生体吸収性ステントが埋め込まれるとき、その再吸収率は定量化することができる。生体吸収性ステントストラットが閉領域として視覚化されるとき、検出された閉領域の面積は、検出されたステントストラットごとに計算される。元の面積に対する計算された面積の比は、検出されたステントストラットごとに評価され、最大/最小/平均値がn_stent_bio_max,n_stent_bio_min,およびn_stent_bio_aveとして保存される。元の面積は、製造者の情報に基づいてユーザによって入力される必要がある。
【0032】
表1は、説明された全ての質的情報および量的情報を示すが、これらの情報は本明細書において例として用いられ、いかなる他のタイプの質的情報および量的情報にも限定されない。
【表1】
【0033】
図2に戻って参照すると、ステップS28において、血管造影画像が取得された血管内画像フレームとコレジストレーションされているか否かが判断される。コレジストレーションは、以下のプロセスにおいて行われる。先端における放射線不透過性マーカを有するカテーテルが、血管内イメージングのために用いられる。プロセッサは、画像フレーム内の最も暗い点/マークを探索することによって、血管造影画像フレーム上の放射線不透過性マーカを見つける。コレジストレーションの位置は、マーカと、冠動脈の長手方向に沿ったイメージングのための光学レンズとの間の既知の距離を有する検出されたマーカ位置に近接した点を見つけることによって特定される。他のコレジストレーション方法が存在し、本開示は、この1つの特定のコレジストレーション方法の例に限定されない。
【0034】
図4は、血管造影システムから取得される血管造影画像20の図である。血管造影画像20は、ディスプレイまたはグラフィカルユーザインタフェース上でユーザが見ることができるものを表す。冠動脈22が血管造影画像20内に示される。冠動脈22が
図4に示されているが、本開示は、モニタ等の表示デバイス上に表示される任意の動脈および/または血管に適用可能である。血管造影画像は、放射線不透過性造影剤を患者の血管に注入し、限定ではなく例として、蛍光透視法等のX線ベースの技法を用いてイメージングを行うことにより、カテーテル検査室において得ることができる。
図4に示される冠動脈22は、第1の内腔エッジ28と第2の内腔エッジ30とを含む。第1の内腔エッジ28と第2の内腔エッジ30との間のエリアは、血管造影画像20において冠動脈の内部を表す。血管造影画像20は、内腔直径を測定し、血管の湾曲を視覚化し、最も重要には、ステントおよび血管内イメージングカテーテルを有するかまたは有しないバルーンカテーテル等の任意のカテーテルベースのデバイスを誘導するために用いられる。
【0035】
図4における冠動脈のズームインされた部分は、説明の目的であり、3つの座標、動脈の一部分の断面線26、および血管造影画像20への血管内イメージングから得られた情報の重ね合わせ位置を特定するのに用いることができるROI経路24を明らかにする。重ね合わせ位置を決定する前に、血管造影画像20は、
図2に記載された画像処理中に血管内画像フレームとコレジストレーションされなくてはならない。
【0036】
血管造影画像20は、説明の目的で、血管内イメージングシステムによって得られた血管内イメージング情報のための重ね合わせ位置を特定するのに用いられる座標を見るためのズームイン部分を有する。まず、選択された血管内画像フレームであるn番目のフレームが取得された位置(x
n,y
n)が、コレジストレーション情報を用いて、表示された血管造影フレーム20内で見つけられる。次に、内腔エッジ(28、30)と、コレジストレーション位置を通り、ROI経路24に直交する線26(n_line)との交点が、表示された画像フレーム20において検出される[(x
n_edge1,y
n_edge1)および(x
n_edge2,y
n_edge2)]。情報は、(x
n_edge1,y
n_edge1)および(x
n_edge2,y
n_edge2)内のn_line上に重ね合わされる。重ね合わされた位置の座標は(x
n_info_j,y
n_info_j)であり、ここで、jは、n_plaque_i、n_NIR(A)F、n_stent_expan_serverity、n_stent_malap_severity、およびn_stent_dissec等の各質的情報を表す。
【0037】
jごとに、(x
n,y
n)と(x
n_info_j,y
n_info_j)との間の距離、および(x
n,y
n)に対するn_line上の(x
n_info_j,y
n_info_j)の方向は同じでなくてはならない。複数のタイプの情報の表示を可能にするために、(x
n,y
n)と(x
n_info_j,y
n_info_j)との間の距離は、一定の値を有する異なるjについて、ピクセル座標系において異ならなくてはならない。情報が内腔の内側エリア内で重ね合わされる場合、これは、(x
n_edge1,y
n_edge1)または(x
n_edge2,y
n_edge2)上に重ね合わされるべきでない。(x
n-1_info_j,y
n-1_info_j)および(x
n_info_j,y
n_info_j)が、ピクセル化ディスプレイにおいて互いに隣接して配置されていない場合、これらの2つの点間の最短経路が作成され、(x
n-1_info_j,y
n-1_info_j)または(x
n_info_j,y
n_info_j)のいずれかの上に重ね合わされる情報が重ね合わされる。新たに作成された経路上に重ね合わされる情報は、経路上の点と、(x
n-1_info_i,y
n-1_info_j)または(x
n_info_i,y
n_info_j)(より近い距離における情報が選択される)との間のピクセル距離に基づいて選択される。ピクセル化ディスプレイにおいて(x
n_info_j,y
n_info_j)および(x
n+1_info_j,y
n+1_info_j)が互いに隣接していない場合、同じプロセスが適用される。
【0038】
本開示の別の実施形態において、ユーザが、質的情報を、表示された血管造影画像上に単一の線として重ね合わせることを選好する場合、ユーザは、まず、重ね合わせる質的情報を選択するように要求され、PCI前段階の場合、選択はn_plaque_iまたはn_NIR(A)Fのいずれかであり、PCI後段階の場合、選択は、n_plaque_i、n_NIR(A)F、n_stent_expan_serverity、またはn_stent_malap_severityのいずれかであり、ユーザが選好する場合、n_stent_dissecを追加することが可能である。ユーザがn_plaque_iを選択し、かつiが複数(すなわち、血管内イメージングフレーム全体において、複数のタイプのプラークが検出される)である場合、ユーザは、1つのプラークタイプを重ね合わせるかまたは複数のプラークタイプを重ね合わせることを選択することができる。ユーザが1つのプラークタイプを選択する場合、ユーザは、重ね合わせるタイプを特定する必要がある。ユーザが複数のタイプを選択する場合、ユーザは、重ね合わせるタイプを指定し、プロセッサは、n_plaque_i_lengthおよびn_plaque_i_angleに基づいて、新たな値を生成する。生成された新たな値は、複数の色を用いたグラデーション経路として重ね合わせることができる。
【0039】
デフォルトの重ね合わされた位置は、選択されたn番目のフレームの場合、(x
n,y
n)である。ユーザの選好に基づいて、重ね合わされた位置は、n_line上の(x
n_edge1,y
n_edge1)および(x
n_edge2,y
n_edge2)または内腔エッジ、すなわち、(x
n_edge1,y
n_edge1)または(x
n_edge2,y
n_edge2)において交換することができる。同じ制約および補間ステップは、隣接する血管内画像フレーム間で適用される。
【0040】
図5は、PCIの前に血管内画像フレームからの情報を血管造影画像上に重ね合わせるための複数のステップを示すフローチャートである。ステップS100において、選択された血管造影画像がモニタ上に表示される。ステップS102において、コレジストレーション経路またはROI経路が生成され、表示された血管造影画像上に重ね合わされる。重ね合わされる位置は、コレジストレーションによって決定される。
図5は、内腔検出またはその統計的計算を含まないが、これらのプロセスは、他の特徴のための検出および計算のステップと同時に行うことができる。
【0041】
ステップS104において、血管内画像フレームが選択される。血管内画像フレームの選択後、ステップS106において、血管内画像フレームに基づいて、任意のプラークが検出されたか否かが判断される。プラークが検出された場合(ステップS106におけるYes)、血管造影画像上には、冠動脈内のコレジストレーションされた位置におけるROI経路上またはROI経路付近にインジケータが表示される。
【0042】
ステップS106においてプラークが検出されていない場合、ステップS108はスキップされ、ステップS110において、NIR(A)F信号が検出されたか否かが判断される。ステップS110において、NIR(A)F信号が検出されると判断される場合、プロセスはステップS112に進む。ステップS112において、血管造影画像上に、冠動脈内のコレジストレーションされた位置におけるROI経路上またはROI経路付近にインジケータが表示される。
【0043】
ステップS110において、NIR(A)F信号が検出されない場合、ステップS112はスキップされ、ステップS114において、コレジストレーション位置情報に関連付けられた統計情報が保存される。ステップS116において、選択された血管内画像フレームが、血管内イメージングプルバックからの最後のフレームであるか否かが判断される。選択された血管内フレームが最後のフレームでない場合(ステップS116におけるNo)、ステップS104からの処理が繰り返され、別の血管内画像フレームが選択される。このループは、選択された血管内画像フレームが、血管内イメージングプルバックからの最後のフレームとなるまで行われる。血管内画像フレームが、イメージングプルバックからの最後のフレームである場合(ステップS116におけるYes)、血管内画像フレームから血管造影画像上に情報を重ね合わせるためのプロセスが完了し、ステップS118において終了する。情報は、他の解剖学的特徴をブロックすることなく、冠動脈を表す内側エリア内に重ね合わせることができる。
【0044】
本開示の別の実施形態において、ステップS104において、選択された血管内フレームにおいて冠動脈22の内腔が検出されるとき、システムは、ユーザ選好に基づいて、選択された血管内画像フレームの品質をチェックすることができる。(1)一定の角度範囲内で内腔を検出することができないとき、(2)平均グレースケールレベルが、検出された内腔内のエリアと血管内のエリアとの間で僅かな差に収まっているとき、または(3)検出された内腔境界がピクセル化ディスプレイにおいて接続されていないとき、選択された血管内画像フレームが、十分な画像品質でないと判断される。システムが、選択された血管内フレームが低品質であると判定する場合、かつユーザが望む場合、システムはいかなる他の特徴も検出せず、量的情報も計算しない。
【0045】
一定の数の連続血管内画像フレームが、低品質フレームであると判定される場合、ユーザは、表示される血管造影画像において、対応する位置におけるROI経路24が重ね合わされるか否かを選択することができる。ユーザがROI経路24を重ね合わせることを選択する場合、量的情報を表示するためのテキストボックス、または量的情報を表示するための位置を選択するためのカーソルは、ユーザが量的情報を表示することを選択する場合であっても、表示される血管造影画像において対応する位置に現れない。低品質の連続血管内画像フレームの数が閾値未満である場合、質的情報は、隣接する血管内画像フレームからの質的情報に基づいて重ね合わせることができる。選択された低品質血管内フレームに対応する量的情報は示されない。連続フレーム数の閾値は、ユーザの選好または臨床証拠に基づいて決定することができる。
【0046】
図6は、MM−OCTシステム02のモニタ04上に表示することができる例示的なグラフィカルユーザインタフェース(GUI)40を示す。
図6のGUI40は、血管内イメージングからの冠動脈の重ね合わされた質的情報と共に、血管造影画像を表示する1つのビューを含む。量的情報は、GUI40の左下側の角のテキストボックス52内にテキストとして表示される。テキストボックス52は、冠動脈22の解剖学的特徴がブロックされていないエリアに位置することに留意することが重要である。GUI40は、ROI経路24上に重ね合わされたカーソル48を含む。GUI40のユーザは、ROI経路24に沿ってマウスまたは他の入力デバイスを用いてカーソル48をドラッグして、テキストボックス52内に示された更新された量的情報を得ることができる。GUI40は、カーソル48の位置において収集される更新された量的情報を表示する。ROI経路24は、冠動脈22の中心線の長手方向において、冠動脈22内に重ね合わされる。
【0047】
図6には、冠動脈22のエッジに表示することができる最小内腔面積の位置のインジケータ42も示される。視覚的にGUI40をレビューしているユーザは、インジケータ42がどこに位置するかに基づいて、最小内腔面積42を迅速に特定することができる。インジケータの数および構成は、最小内腔面積付近の他の解剖学的特徴の位置に基づいて決定され、それによって、インジケータは、冠動脈22の付近の側枝等の任意の他の解剖学的特徴をブロックしない。凡例50内のGUI40の角に異なるインデックスを表示することができる。
【0048】
質的情報は、モニタ上で色および/または異なる線タイプ(実線、点線、破線等)を用いて表示することができる。インジケータは、
図6に示されるように、色分けし、および/または特定のタイプの線とすることができる。破線44は、石灰化したプラークのためのインジケータとして用いられる。石灰化したプラークのインジケータ44は、冠動脈22の内側部分における線形表現において重ね合わされる。破線44よりも明るい影における別の破線46が、脂質の多いプラークのためのインジケータとして用いられる。脂質の多いプラークのためのインジケータは、冠動脈22の内側部分における線形表現において重ね合わされる。インジケータ(44、46)およびROI経路24は、冠動脈22の内部において線形に表され、冠動脈22の径方向に対し異なる位置において複数の長手経路上にあるように重ね合わされる。
図6において異なるインジケータを区別するために異なる影および幾何学的形状が用いられるが、色分け等の他の方法を用いて、異なるインジケータ間を区別してもよい。
図6は、NIR(A)F情報が利用不可能であるときのGUI40を示す。
【0049】
PCI前の場合、質的情報は、コレジストレーション位置におけるROI経路24上またはROI経路24付近で冠動脈22の内部空間内に重ね合わせることができる。冠動脈22の内部空間内に重ね合わされた質的情報は、
図6に示されるような複数の異なる長手方向経路上に重ね合わせることができる。これにより、冠動脈22をレビューしているユーザが、内腔エッジ(28、30)間に重ね合わされる様々なタイプの質的情報をはっきりと見ることができる。冠動脈22が小さすぎる場合、質的情報は、内腔エッジに表示することができる。
【0050】
インターベンショナル心臓専門医等のユーザは、表示された血管造影画像をレビューし、GUI40上のカーソル48を用いて、血管内画像フレームをレビューする必要なく、血管内画像フレームに基づいて更新された量的情報をレビューすることができる。インターベンショナル心臓専門医は、血管造影画像上に重ね合わされた質的情報および量的情報と共に表示された血管造影画像を解析することによって、経皮的冠動脈インターベンションが必要とされるか否かを判断することができる。
【0051】
図7は、NIR(A)F情報が利用可能であるときの冠動脈22の血管造影画像を表示するGUI40を示す。
図7のGUI40は、
図7が、NIR(A)Fから得られ、示されるように血管造影画像上に重ね合わされた質的情報および量的情報の双方を含むことを除いて、
図6に類似している。同様に、ユーザにとって、実際のNIR(A)F画像をレビューすることは必要でなく、ユーザは、ROI経路24に沿って冠動脈22に重ね合わされて示されるような質的情報を見ることができる。蛍光情報に基づく量的情報は、カーソル48がROI経路24に沿ってどこにあるかに基づいて計算され、テキストとして表示される。
【0052】
この場合、質的NIR(A)F情報は、ROI経路24のグラデーション60として表示される。グラデーション60は、冠動脈22の内部エリアに沿って線形に表される。グラデーション60が用いられるとき、重ね合わされる情報は、n_NIR(A)F_max、n_NIR(A)F_aveとすることができるか、またはn_NIR(A)F_max、n_NIR(A)F_min、n_NIR(A)F_ave、およびn_NIR(A)F_angleに基づいて生成される新しい値とすることができるか、またはこれらからの任意の組み合わせとすることができる。情報が重ね合わされるとき、任意の重ね合わされる情報は、ROI経路24内に生じる、および/またはROI経路24付近に位置するいかなる解剖学的特徴もブロックするべきでない。PCI前の場合、質的情報は、コレジストレーション位置において、血管の内部空間内で、ROI経路上にまたはROI経路の近くに重ね合わせることができる。血管が小さすぎる場合、質的情報は、血管のエッジに表示することができる。この場合、NIR(A)F質的情報のグラデーション60は、ROI経路24に重なり合う冠動脈22の中心線上に表示される。GUI40の角に位置する凡例50は、グラデーション60に関連付けられた蛍光インジケータを含むように更新される。テキストボックス52は、また、蛍光に関連付けられた量的情報を含むように更新される。
【0053】
GUI40内の血管造影画像をレビューするユーザは、表示された冠動脈22のROI経路24付近を見ることによって、例えばOCT等の血管内イメージングから得られた、石灰化したプラーク、脂質の多いプラーク、および最小内腔面積を表す様々なインジケータを見ることができる。ユーザにとって、OCT画像をレビューすることは必要でない。更に、NIR(A)F等の異なるイメージングモダリティに基づく質的情報は、ユーザによって、単に冠動脈22の中心線上に重ね合わされた蛍光のグラデーション60をレビューすることによってレビューすることができる。テキストボックス52は、2つの異なる血管内イメージングモダリティに基づく全ての量的情報を含み、それによって、ユーザは、冠動脈22の血管造影画像のGUI40上の血管内イメージングに基づく全ての情報を有する。
【0054】
ユーザが、GUI40をレビューした後に、患者がPCIを必要とすると判断する場合、GUI40を、PCIの計画段階のために用いることができる。
図8は、PCI計画段階中のGUI40を示す。インターベンショナル心臓専門医等のユーザは、ユーザがPCIを行うことを計画している冠動脈22の表示された血管造影画像上に、1つまたは複数のマーカ(70、72)を配置することができる。ユーザがマーカ(70、72)を配置すると、量的情報(71、73)、例えば、内腔面積および平均内腔直径が、マーカ(70、72)の付近に示される。ユーザは、
図9のテキストボックス52に示されるように、表示された血管造影画像の角に量的情報を表示することを選択することもできる。ユーザが複数のマーカ(70、72)を配置する場合、マーカ間の距離は、自動的に計算され、
図8および
図9に表示される他の量的情報と同じようにして表示することができる。ユーザが望む場合、プラーク形態および/またはNIR(A)Fの情報等の、血管の内部エリア内に重ね合わされる他の質的情報を、ユーザの選好に基づいてディスプレイから除去することができる。
【0055】
図10は、血管内イメージングからの情報をPCI後の解剖学的画像上に重ね合わせて、GUIにおいてPCI後(ステント留置後)の冠動脈をレビューするための様々なステップを示すフローチャートである。
図10は、説明の目的で、内腔検出または統計計算を含まないが、これらのプロセスは、他の特徴の検出および計算のステップと同時に行うことができる。ステップS100、S102およびS104は、モニタ上で解剖学的画像を表示し、表示された解剖学的画像上にコレジストレーション経路を重ね合わせ、血管内画像フレームを選択することを含む
図5に示すフローチャートと同じである。ステップS200から開始して、選択された血管内画像フレームから任意のステントストラットが検出されるか否かが判断される。ステップS200においてステントストラットが検出されない場合、ステップS104において、異なる血管内画像フレームが選択される。ステップS200においてステントストラットが検出される場合(Yes)、ステップS202においてステント関連情報が計算される。ステップS204において、表示された解剖学的画像における冠動脈内のコレジストレーション位置において、もしくはコレジストレーション付近に、または冠動脈の内腔エッジに、インジケータが配置される。ステップS206において、検出されたステントストラットに関連付けられた統計情報が、コレジストレーション位置情報と共に保存される。ステップS116において、選択された血管内画像フレームが、血管内イメージングプルバックからの最後のフレームであるか否かが判断される。選択された血管内画像フレームが最後のフレームである場合、画像処理はステップS118において終了する。選択された血管内画像フレームが、血管内イメージングプルバックからの最後のフレームでない場合、画像処理ステップは、ステップS104において開始して、後続の血管内画像フレームを選択するために繰り返される。
【0056】
図11は、PCI後(ステント留置後)段階におけるGUI40の図である。ステントは、
図11において視覚化される。PCI後、手技結果に関する情報を、表示された血管造影画像上に重ね合わせることができる。ステントが埋め込まれる場合、ステントストラットが血管内画像フレームから検出される位置において、表示される血管造影画像上に人工ステントマーカ80が重ね合わされる。
図11に示すように、人工ステントマーカ80は、ステント構造を模倣することができる。ユーザは、GUI40を解析し、ステント構造の位置が特定される血管内画像フレームをレビューする必要なく、冠動脈22に沿ってステント構造がどこに位置するかを厳密に特定することができる。GUI40内に表示される血管造影画像内のステント構造を視覚化するユーザの能力を更に促進する。
【0057】
ここで
図12を参照すると、実際のステント位置を計画されたステント位置と比較するPCI後(ステント留置後)段階におけるGUI40が示される。ユーザが、計画されたPCI位置および実際のPCI位置を比較することを望む場合、人工ステントマーカ80のみでなく、PCI計画段階中に指定される計画マーカ(82、84)も血管造影画像内に表示される冠動脈22上に重ね合わされる。計画マーカ(82、84)は、計画されたステント位置を表す。人工ステントマーカ80は、冠動脈22のROI経路24に沿った実際のステント位置を表す。
【0058】
図13は、ユーザが、ステント不完全圧着またはステント拡張不全等のステント関連情報を視覚化することを可能にするPCI後(ステント留置後)段階におけるGUI40の別の概略図である。ステント留置術のために、ステント圧着および拡張に関する質的情報を、表示された血管造影画像上のインジケータとして、色分けされたマップまたは異なる影として重ね合わせることができる。重ね合わせの前に、ユーザは、いずれの情報(ステント不完全圧着またはステント拡張不全)が重ね合わされるべきかを指定する必要がある。ユーザは、例えば、マウスまたはキーボードを介してGUI40上の情報を選択することによって、この情報を選択することができる。
【0059】
図13において、ユーザは、埋め込みボタン94によって示されるようなステント不完全圧着を選択している。ユーザがステント拡張不全に関する情報をレビューすることを望む場合、ユーザはボタン96を選択する。次に、情報は、ユーザの選好に基づいて、冠動脈22の内部空間、またはコレジストレーション位置におけるROI経路24に沿った内腔のエッジのいずれかに重ね合わせることができる。ユーザが、ステント不完全圧着または拡張不全が特定の位置においてどの程度深刻であるかを知りたい場合、ROI経路24上にカーソルを配置することができ、ユーザはこれを所望の位置に動かすことができる。深刻度情報(量的情報の一部)は、カーソルの付近に、またはGUI40の角に示すことができる。
図13において、深刻度情報は、GUIの角に表示される。内腔エッジ(28、30)に沿ったステント不完全圧着の深刻度が、内腔エッジに沿ったインジケータにおいて反映される。軽度のステント不完全圧着は、インジケータ90によって、内腔エッジ(28、30)に沿って表され、重度のステント不完全圧着は、インジケータ92によって表される。
【0060】
図14は、ステントエッジ解離を含むステント関連情報を視覚化するためのPCI後(ステント留置後段階)におけるGUI40を示す。更に、ステントエッジ解離が血管内イメージングにおいて検出される場合、インジケータ100を、表示された血管造影画像上に重ね合わせることができる。インジケータ100は、付近の他の解剖学的特徴をブロックしないことによる方式で示されるべきである。ユーザが、n_plaque_iおよび/またはn_NIR(A)F等の他の質的情報を見ることを望む場合、その情報を、PCI後段階と同じようにして、表示された血管造影画像の上に重ね合わせることができる。
【0061】
PCI後の場合、ステントストラット検出に基づく質的情報は、血管の内部空間、またはコレジストレーション位置における血管のエッジにおいて表示することができる一方、他の質的情報は、冠動脈22の内部空間内に表示することができる。ステントストラット検出に関連する情報は、埋め込まれたステントの付近に表示されるときに、この特定の情報がより容易に解釈されることを可能にするように、冠動脈22のエッジに重ね合わせることができ、組織の特徴化に関連する情報とはっきり区別することができる。ユーザが量的情報を見たい場合、表示された血管造影画像上に重ね合わされたROI経路24上にカーソル48が現れる。ユーザは、ROI経路24の長手方向においてカーソルを動かすことができる。ユーザの選好に基づいて、カーソル位置の付近に、またはモニタの角に、量的情報をテキストとして表示することができる。
【0062】
図15は、
図7の図に類似しているが、ズームイン機能を有するGUI40の図である。ROI経路24および内腔エッジ(28、30)を含む冠動脈22の領域110は、領域112内で拡大され表示される。ズームイン機能は、ユーザが、ROI経路24の拡大ビューを得るためにズームインすることを可能にする。この場合、追加のビューが、GUI40内の元のビューの上に現れる。領域112は、領域110を含む元のビューのROI経路24をブロックしない。領域112における拡大図は、ユーザに、GUI40上に示す血管造影画像の冠動脈22内に表示される質的情報のより良好な視点を与えることができる。領域112内の様々なインジケータによって表される質的情報は、冠動脈22の長手方向経路に沿って線形に表される各インジケータを示す。
【0063】
GUI40は、ユーザが冠動脈22のROI経路24の元の図を表す領域110に対して見ることができる様々な表示オプションを含む。領域120は、ユーザが、
図16に示すような血管内イメージングの3次元(3D)レンダリングにおける質的情報を視覚化することを可能にする。3Dレンダリングを含むズームイン部分は、ユーザが各プラークのサイズおよび/またはエリアを容易に視覚化し、GUI40上に表示される血管造影画像内のNIR(A)F信号を視覚化することを可能にする。領域120は、脂質プラーク122、石灰化プラーク124およびNIR(A)F信号強度126の3Dレンダリングを含む。
【0064】
図17は、1つまたは複数のグラフを利用することができるGUI40のための別の表示構成を示す。領域130は、2つのグラフを含み、1つのグラフ132は最大NIR(A)F強度を表す。グラフ134は、各プラークタイプのパーセンテージを示す。これらの例示的なGUIは、PCI前段階において用いることができ、ズームイン機能もPCI計画およびPCI後段階において利用可能である。ズームイン機能を用いるタイミングを含む全ての構成を、ユーザの選好に基づいて選択することができる。
【0065】
GUIは、ユーザがコレジストレーションの信頼性を見ることを望む場合、この信頼性を表示する能力を有する。ユーザが信頼性を表示することを選択する場合、ユーザは、表示する方法を選択することができ、および/または手技前にデフォルト方法をプリセットすることができる。信頼性は、利用可能な方法を用いてコレジストレーションを行っている間に(
図2におけるステップS30)、プロセッサによって計算することができる。1つの方法によれば、プロセッサは、2つの非連続血管造影画像フレーム間で取得される血管内画像フレームの各々についてコレジストレーション位置を推定する。その後、推定されたコレジストレーション位置は、対応する血管造影画像フレームから直接検出される実際のコレジストレーション位置と比較される。実際の位置と推定位置との差は、信頼性値とみなされる。信頼性値が一定の閾値を超える場合、モニタ上にアラートを表示することができる。閾値は、所定とすることができるか、またはユーザ選好に基づいてユーザによって決定することができる。アラートは、ディスプレイ上のテキストメッセージ、および/または
図18におけるインジケータ140等のグラフィック出力、カーソル上の色分け、および異なる線型もしくは異なる形状のインジケータを含むことができる。インジケータ140は、ユーザが信頼性値を迅速に認識することを可能にするように色分けすることができる。
【0066】
血管内イメージングプルバックが分岐を含む領域において行われる場合、システムは、コレジストレーション経路に基づく分岐位置において内腔エッジを模倣する補間線を生成し、分岐にわたって内腔エッジと同じ方式で補間線を用いて任意の質的情報を重ね合わせる。補間線を生成する例示的な1つの方法は、プロセッサが、コレジストレーション経路と内腔エッジとの間の距離を、分岐の前後で測定し、分岐領域内の測定された距離を有するコレジストレーション経路から離れた線を生成することである。補間線は、分岐の前後のピクセル空間において、検出された内腔エッジに接続されるべきである。
図19は、PCI前段階における例示的なGUIを示す。
【0067】
別の実施形態では、検出された全ての質的情報を、各々が血管造影イメージングを行うように同時に操作されるX線源、X線検出器および造影剤注入デバイスを含む血管造影システムから受信したライブ血管造影画像の上に重ね合わせることによって表示することができる。ライブ血管造影画像は、血管造影システムを有するMM−OCTシステム02等の、血管内イメージングシステムを接続するケーブルを介して、血管造影システムによって送信することができる。1つの例において、血管内イメージングプルバック中に取得された血管造影画像とライブ血管造影画像との間の位置を一致させるために、発見可能であり、双方の画像において対応している特徴を検出することによって、位置合わせ行列が生成される。次に、プロセッサは、位置合わせ行列を介して、ライブ血管造影画像における位置合わせされたコレジストレーション位置に質的情報を配置する。ユーザが、例えば1つまたは複数のユーザ入力を配置することによって、プロセッサが血管内イメージングプルバック中に取得される血管造影画像内の標的血管を特定するのを助ける場合、およびライブ血管造影画像の取得角度が変化していない場合、ユーザ入力を用いてライブ血管造影画像内の標的血管を特定することができる。
【0068】
別の実施形態において、全ての検出された質的情報を、最も近時に取得された血管造影画像の上に重ね合わせることによって表示することができる。ユーザが望む場合、情報は、最も近時に取得された血管造影画像における最後のフレーム上にのみ重ね合わせることもできるし、全てのフレームに重ね合わせることもできる。これは、ユーザが、血管造影画像の前に取得された質的情報を参照するのに役立つ。これが、同時血管造影画像を用いて血管内画像を取得した直後である場合、この血管造影画像は、この実施形態において参照される画像である。血管内イメージングプルバック後に取得された他の血管造影画像が存在する場合、かつユーザが以前に検出および評価された質的情報を見ることを望む場合、質的情報は、上記で説明したのと同様にして、その血管造影画像上に表示することができる。1つの例において、最後のフレーム上の質的情報を表示するプロセスは、血管内イメージングシステムが、ユーザが血管造影画像の取得を終了したこと、例えばX線照射を制御する血管造影システムのペダルを解放したことの信号を検出したときに開始する。信号は、血管内イメージングシステムと、血管造影画像を取得する血管造影システムとを接続するケーブルを介して送信することができる。ケーブルは、X線イメージングモダリティから血管内イメージングシステムに血管造影画像を送信するのに用いることもできる。重ね合わされた位置は、ライブ血管造影画像上に重ね合わせるのに用いられるのと同様の方法で決定することができる。
【0069】
別の実施形態では、PCI後段階において、ユーザが望む場合、画像プロセッサは、PCI後血管造影画像における、表1にリスト化された全ての質的情報を表示することができる。
図20は、全ての質的情報を表示するGUIの1つの例を示す。PCI後血管造影画像は、血管内イメージングプルバックのために同時に取得される画像、ステントが実装された後に取得されるライブ画像、またはPCI後段階において最も近時に取得された血管造影画像とすることができる。
【0070】
別の実施形態では、PCI後段階において、プロセッサは、
図10のステップS202中に、医師が更なるインターベンショナル手技をナビゲートするための新たなタイプの質的情報を生成することができる。1つのそのような例は、後拡張(PCI後拡張)を誘導するための情報を含む。ステント留置の目標は、ステント全体が十分に展開し、良好に圧着したことを確実にすることである。この目標を達成するために、埋め込まれたステントは、後拡張される場合がある。この情報は、3つのレベル、すなわち、第1のレベル1(注意)、第2のレベル2(不十分)、もしくは第3のレベル3(十分)として表示することができるか、または1(後拡張が必要)もしくは0(必要なし)等の二値で表示することができる。このタイプの情報は、n_line上の(x
n_edge1,y
n_edge1)および(x
n_edge2,y
n_edge2)内に、または内腔エッジ上、すなわち(x
n_edge1,y
n_edge1)もしくは(x
n_edge2,y
n_edge2)に重ね合わせることができる。隣接する血管内画像フレーム間に同じ制約および補間ステップが適用される。
【0071】
重ね合わされる位置は、システムによってデフォルトとして設定することができるか、またはユーザの選好に基づいてユーザによって選択することができる。デフォルトとして、システムは、血管自体に関連する情報、すなわち、n_plaque_iおよびn_NIR(A)Fを、n_line上の(x
n_edge1,y
n_edge1)および(x
n_edge2,y
n_edge2)内に重ね合わせることができ、ステント等の埋め込みデバイスに関連する情報、すなわち、n_stent_expan_serverity、n_stent_malap_severitおよびn_stent_dissecを、管腔エッジ、すなわち、(x
n_edge1,y
n_edge1)または(x
n_edge2,y
n_edge2)上に重ね合わせることができる。隣接する血管内画像フレーム間で同じ制約および補間ステップが適用される。
【0072】
別の実施形態では、表示される複数のタイプの質的情報が存在する場合、異なるタイプの質的情報を各内腔エッジ上に、すなわち、(x
n_edge1,y
n_edge1)または(x
n_edge2,y
n_edge2)に表示することができる。重ね合わされた位置は、プロセッサによって事前設定することができるか、またはユーザによって変更することができる。ユーザが望む場合、質的情報の1つのタイプのみが表示される場合であっても、情報を1つのエッジに、すなわち、(x
n_edge1,y
n_edge1)または(x
n_edge2,y
n_edge2)のいずれかに重ね合わせることができる。同じ補間ステップが、隣接する血管内画像フレーム間に適用される。
【0073】
別の実施形態では、各内腔エッジ上に重なり合った様々なタイプの情報を表示しているにもかかわらず、利用可能な重ね合わされた位置よりも多くのタイプの質的情報が存在する場合、プロセッサは、ユーザが望む場合、内腔エッジの外側に質的情報を表示することができる。内腔エッジの外側に重ね合わされた位置は、ピクセル寸法において内腔エッジと別個にされるべきである。
【0074】
別の実施形態では、プロセッサは、血管の冠動脈木およびサイズにおける血管内イメージングプルバックの位置に基づいて量的情報を表示し重ね合わせるための最大数を決定することができる。プルバック位置が冠動脈木の比較的遠位側にあり、かつ側枝がないか、または僅かな数の側枝しかない場合、検出された内腔エッジの外側を、可能な重ね合わされる位置のうちの1つとしてカウントすることができる。プルバックの位置は、プロセッサによって自動的に決定することができるか、またはユーザによって入力することができる。血管内で、ピクセル空間における最小直径での血管のサイズは、重ね合わされる位置の数を決定する要因である。ユーザは、手技の前および/または手技中に、重ね合わされる位置の最大数を選択することができる。ユーザが選択した数が、プロセッサが決定した数を超える場合、システムは、プロセッサが決定した数を選択し、ユーザに知らせるための通知を表示することができる。
【0075】
図21は、冠動脈22の解剖学的画像が血管造影画像でないGUI40の図を示す。本開示の前の図において、冠動脈造影法は、PCIのための主要イメージングモダリティを表していたが、コンピュータ断層撮影(CT)、CT血管造影、磁気共鳴イメージング(MRI)および心臓MRI等の他のイメージングモダリティを用いて、標的冠動脈/動脈の生体構造を理解することができる。これらのイメージングモダリティのうちの1つまたは複数が冠動脈造影法の代わりに用いられる場合、標的冠動脈の3D構造が最初に再構成される。この再構成された構造は、
図21のGUI40に示されるように、モニタ上に表示される。次に、3D構造が血管内画像フレームとコレジストレーションされ、血管内画像フレームからの質的情報および量的情報を、表示された再構成された3D構造上に重ね合わせることができる。モニタは、冠動脈造影画像のように、3D再構成された構造から投影された2D画像を表示することができる。
【0076】
重ね合わされる位置は、上記で説明したのと同様にして、コレジストレーションに基づいて決定される。血管内イメージングからの情報を重ね合わせるための方法は異なっていてもよい。再構成された3D構造が用いられるとき、量的情報は、
図21に示すような再構成された構造の表面上に血管内イメージングからの情報を配置することによって、3Dで表示することができる。ユーザが質的情報のみを見ることを望む場合、この情報は、対応するコレジストレーション位置において3D構造内に重ね合わせることができる。ユーザが2D投影された画像を選好する場合、質的情報および量的情報の双方を、血管造影画像がGUI40内に表示されるときと同様にして表示することができる。
【0077】
ズームイン機能は、ユーザがROI経路24をより詳細に見ることを望む場合にも利用可能である。3D再構成された構造が基本的な表示ビューとして用いられる場合、ズームイン機能は、元のビューの上に重ね合わされる追加のビューにおいて、ROI経路24の拡大図を提供することができる。2D投影画像が基本表示ビューとして用いられる場合、ズームイン機能は、ROI経路24の拡大ビュー、または追加のビューにおけるROI経路24の量的情報の視覚化バージョンのいずれかを提供することができる。
【0078】
図22は、血管造影画像が冠動脈22の解剖学的画像として用いられていないときの、ステント留置後段階におけるGUI40の図を示す。ユーザは、GUI40においてステント不完全圧着を見ることを選択した。ステント構造80のためのインジケータは、冠動脈22内に重ね合わされ、異なる影付きのインジケータが、ステント不完全圧着の深刻度を表す。インジケータ90は軽度のステント不完全圧着を表し、インジケータ92は重度のステント不完全圧着を表す。
【0079】
図23は、
図1のコンピュータ08のハードウェア構成の例示的なブロック図である。しかし、コンピュータ200は、
図1のMM−OCTシステム02以外のイメージングシステムにおいて実施されてもよい。コンピュータ200は、中央処理装置(「CPU」)201、ROM202、RAM204、通信インタフェース206、ハードディスク(および/または他のストレージデバイス)208、ディスプレイインタフェース210、キーボード(または入力インタフェースであり、キーボードに加えてマウスまたは他の入力デバイスも含むことができる)212、および
図2に示されるような上述したコンポーネントのうちの1つまたは複数の間のBUSまたは他の接続線(例えば、接続線214)を含む。コンピュータ200は、他の上述したコンポーネントの1つまたは複数の組み合わせを含むことができる。CPU201は、ストレージ媒体に記憶されたコンピュータ実行可能命令を読み出し、実行するように構成される。コンピュータ実行可能命令は、本明細書に記載の方法および/または計算の実行のための命令を含むことができる。コンピュータ200は、CPU201に加えて、1つまたは複数の追加のプロセッサを含むことができ、そのようなプロセッサは、CPU201を含めて、血管内イメージングシステムから情報を取得し、取得した情報を、解剖学的イメージングシステムから得られた解剖学的画像フレーム上に重ね合わせ、重ね合わされた情報を用いて解剖学的画像を表示するのに用いることができる。コンピュータ200は、ネットワーク接続を介して(例えば、ネットワーク216を介して)接続された1つまたは複数のプロセッサを更に含むことができる。CPU201およびコンピュータ200によって用いられる任意の追加のプロセッサは、同じ電気通信ネットワークまたは異なる電気通信ネットワーク内に位置することができる。
【0080】
I/Oまたは通信インタフェース206は、2つの光源06、通信ケーブルおよびネットワーク(有線または無線)、キーボード212、マウス、タッチスクリーンまたはモニタ04を含むことができる、入力および出力デバイスへの通信インタフェースを提供する。
【0081】
本明細書において論考されるような、解剖学的画像のGUIを表示するための方法等の本開示の任意の方法および/またはデータは、コンピュータ可読ストレージ媒体上に記憶することができる。限定ではないが、ハードディスク(例えば、ハードディスク108、磁気ディスク等)、フラッシュメモリ、CD、光ディスク(例えば、コンパクトディスク(「CD」)、デジタル多用途ディスク(「DVD」)、ブルーレイ(商標)ディスク等)、磁気光ディスク、ランダムアクセスメモリ(「RAM」)(RAM104等)、DRAM、リードオンリーメモリ(「ROM」)、分散コンピューティングシステムのストレージ、メモリカード等(例えば、限定ではないが、不揮発性メモリカード、ソリッドステートドライブ、SRAM等の他の半導体メモリ)、それらの任意選択の組み合わせ、サーバー/データベース等のうちの1つまたは複数のような、一般的に用いられるコンピュータ可読および/または書き込み可能ストレージ媒体を用いて、上述したコンピュータ200のプロセッサまたはCPU201等のプロセッサに、本明細書において開示した方法のステップを実行させることができる。コンピュータ可読ストレージ媒体は、非一時的コンピュータ可読媒体とすることができ、かつ/または、コンピュータ可読媒体は、全てのコンピュータ可読媒体を含むことができ、唯一の例外は、一時的伝播信号である。コンピュータ可読ストレージ媒体は、所定の期間もしくは限られた期間もしくは短期間にわたって、かつ/または電力の存在時にのみ情報を記憶する、限定ではないがランダムアクセスメモリ(RAM)、レジスタメモリ、プロセッサキャッシュ等の媒体を含むことができる。本開示の実施形態は、上記で説明した実施形態のうちの1つまたは複数の機能を実行するためにストレージ媒体(より完全に、「非一時的コンピュータ可読ストレージ媒体」と呼ばれる場合もある)に記録されたコンピュータ実行可能命令(例えば、1つまたは複数のプログラム)を読み出し、実行する、かつ/または上記で説明した実施形態のうちの1つまたは複数の機能を実行するための1つまたは複数の回路(例えば、特定用途向け集積回路(ASIC))を備えるシステムまたは装置のコンピュータによって実現される場合もあり、システムまたは装置のコンピュータによって実行される方法によって、例えば、ストレージ媒体からコンピュータ実行可能命令を読み出し、実行して、上記で説明した実施形態のうちの1つまたは複数の機能を実行し、かつ/または上記で説明した実施形態のうちの1つまたは複数の機能を実行するように1つまたは複数の回路を制御することによって実現される場合もある。
【0082】
上記で説明した装置(デバイス)、システムおよび方法は、コンピュータ実行可能命令を読み出し、それらを実行するように構成された1つまたは複数のコンピュータデバイスに対し、上記で説明した動作を実現するためのコンピュータ実行可能命令を記憶した1つまたは複数のコンピュータ可読媒体を供給することによって実施することができる。この場合、システムまたは装置(デバイス)は、コンピュータ実行可能命令を実行するときに上記で説明した実施形態の動作を実行する。また、1つまたは複数のシステムまたは装置(デバイス)におけるオペレーティングシステムは、上記で説明した実施形態の動作を実施することができる。このため、コンピュータ実行可能命令、またはコンピュータ実行可能命令を記憶する1つまたは複数のコンピュータ可読媒体、またはコンピュータ実行可能命令を記憶した1つまたは複数のコンピュータ可読媒体が実施形態を構成する。
【0083】
上記の開示は、いくつかの例示的な実施形態を説明しているが、本開示は、上記で説明した実施形態に限定されず、以下の特許請求の範囲は、様々な変更および均等な構成を範囲内に含む。