特許第6574866号(P6574866)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6574866
(24)【登録日】2019年8月23日
(45)【発行日】2019年9月11日
(54)【発明の名称】テープカートリッジ
(51)【国際特許分類】
   B41J 17/32 20060101AFI20190902BHJP
   B41J 3/36 20060101ALI20190902BHJP
   B41J 2/32 20060101ALI20190902BHJP
   B41J 2/325 20060101ALI20190902BHJP
   B41J 15/04 20060101ALI20190902BHJP
   B65H 19/12 20060101ALI20190902BHJP
【FI】
   B41J17/32 A
   B41J3/36 T
   B41J2/32 Z
   B41J2/325 A
   B41J15/04
   B65H19/12 B
【請求項の数】4
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2018-71873(P2018-71873)
(22)【出願日】2018年4月3日
(62)【分割の表示】特願2017-47372(P2017-47372)の分割
【原出願日】2015年1月20日
(65)【公開番号】特開2018-111321(P2018-111321A)
(43)【公開日】2018年7月19日
【審査請求日】2018年5月1日
(31)【優先権主張番号】特願2014-60911(P2014-60911)
(32)【優先日】2014年3月24日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2014-60913(P2014-60913)
(32)【優先日】2014年3月24日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000129437
【氏名又は名称】株式会社キングジム
(74)【代理人】
【識別番号】110001623
【氏名又は名称】特許業務法人真菱国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】坂野 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】袖山 秀雄
【審査官】 大浜 登世子
(56)【参考文献】
【文献】 特許第6113207(JP,B2)
【文献】 特許第6321250(JP,B2)
【文献】 特開2011−110854(JP,A)
【文献】 実開平02−082556(JP,U)
【文献】 特開平07−314868(JP,A)
【文献】 特開平09−277678(JP,A)
【文献】 実開昭52−150321(JP,U)
【文献】 特開2012−020543(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0218458(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 17/32
B41J 2/32
B41J 2/325
B41J 3/36
B41J 15/04
B65H 19/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
テープカートリッジが装着されるカートリッジ装着部と、装着された前記テープカートリッジから印刷テープを繰り出しながら送るテープ送り機構部と、前記印刷テープの送りに同期してインクリボンを送るリボン送り機構部と、前記印刷テープに印刷を行うと共に、印刷位置と退避位置との間で移動可能に構成された印刷ヘッド部と、前記カートリッジ装着部に突設され、前記印刷ヘッド部の移動を許容しつつ前記印刷ヘッド部を覆うと共に複数の角部を有するヘッドカバーと、前記ヘッドカバーの1つの角部に突設された凸部と、を備えたテープ印刷装置に対し、着脱自在に装着されるテープカートリッジであって、
前記テープ送り機構部から動力伝達され、前記印刷位置において前記印刷テープおよび前記インクリボンを挟んで前記印刷ヘッド部に対峙するプラテンローラーと、
前記印刷テープ、前記インクリボンおよび前記プラテンローラーを収容するカートリッジケースと、
前記カートリッジケースに設けられ、前記カートリッジ装着部に装着される場合に前記ヘッドカバーが挿入される挿入開口と、
前記凸部に対応し、前記挿入開口の開口周壁部に凹設された凹部を備え
前記ヘッドカバーは、前記印刷ヘッド部の回動支軸側を覆うと共に、相互に交差する第1カバー側壁および第2カバー側壁を有し、
前記凸部は、前記第1カバー側壁に突設された第1凸部と、前記第2カバー側壁に突設された第2凸部とを有し、
前記凹部は、前記第1凸部に対応する第1凹部と、前記第2凸部に対応する第2凹部と、を有し、
前記第1凹部は、前記インクリボンを収容するリボン収容エリア側に凹入し、
前記第2凹部は、前記印刷テープを収容するテープ収容エリア側に凹入していることを特徴とするテープカートリッジ。
【請求項2】
前記凹部は、前記カートリッジケースの表側から裏側まで通しで形成されていることを特徴とする請求項に記載のテープカートリッジ。
【請求項3】
当該テープカートリッジは、前記インクリボンを巻き取る巻取りコアを有し、
前記凹部は、前記プラテンローラーと前記巻取りコアとを結ぶ仮想線上または仮想線近傍に位置することを特徴とする請求項1または2に記載のテープカートリッジ。
【請求項4】
テープカートリッジが装着されるカートリッジ装着部と、装着された前記テープカートリッジから印刷テープを繰り出しながら送るテープ送り機構部と、前記印刷テープの送りに同期してインクリボンを送るリボン送り機構部と、前記印刷テープに印刷を行うと共に、印刷位置と退避位置との間で移動可能に構成された印刷ヘッド部と、前記カートリッジ装着部に突設され、前記印刷ヘッド部の移動を許容しつつ前記印刷ヘッド部を覆うと共に複数の角部を有するヘッドカバーと、前記ヘッドカバーの1つの角部に突設された凸部と、を備えたテープ印刷装置に対し、着脱自在に装着されるテープカートリッジであって、
前記テープ送り機構部から動力伝達され、前記印刷位置において前記印刷テープおよび前記インクリボンを挟んで前記印刷ヘッド部に対峙するプラテンローラーと、
前記インクリボンを巻き取る巻取りコアと、
前記印刷テープ、前記インクリボン前記プラテンローラーおよび前記巻取りコアを収容するカートリッジケースと、を有し、
前記カートリッジケース、前記カートリッジ装着部に装着されるに前記ヘッドカバーが挿入される挿入孔を有し
前記挿入孔は、前記テープカートリッジが前記カートリッジ装着部に装着される際、前記凸部に対向する対向部を備え、
前記対向部は、前記挿入孔の内壁部の一部であることを特徴とするテープカートリッジ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テープ印刷装置のカートリッジ装着部に装着して用いられるテープカートリッジに関し、特に印刷テープおよびインクリボンを搭載したテープカートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のテープカートリッジおよびこれが用いられるテープ印刷装置として、以下のものが知られている(特許文献1参照)。
このテープカートリッジは、印刷テープをテープコアに巻回したテープ体と、インクリボンをリボン繰出しコアに巻回したリボン体と、使用後のインクリボンを巻き取るリボン巻取りコアと、印刷テープをテープ体から繰り出して送るプラテンローラーと、テープ体、リボン体、リボン巻取りコアおよびプラテンローラーを収容したカートリッジケースと、を備えている。
一方、テープ印刷装置のカートリッジ装着部には、底板上に、テープコアを位置決めする位置決め突起と、ヘッドカバーに覆われた印刷ヘッドと、プラテンローラーを回転させるプラテン駆動軸と、リボン巻取りコアを介してインクリボンを巻き取るリボン巻取り駆動軸と、が設けられている。また、カートリッジ装着部の下側空間には、プラテン駆動軸およびリボン巻取り駆動軸を回転させるモーター駆動のテープ送り機構が内蔵されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−20543号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、テープカートリッジを、このようなカートリッジ装着部に装着する場合、自ずとヘッドカバーが装着初期の装着ガイドとして機能する。しかるに、例えばヘッドカバーに、これを補強するリブが設けられた場合、ガイド機能を損なわないように、リブの突出寸法分、テープカートリッジの挿通開口を大きく形成する必要がある。しかし、このようにすると、ヘッドカバーと挿入開口との間に隙間が生じ、印刷ヘッドやプラテンローラー廻りに塵埃等が侵入し易くなるおそれがある。
また、従来のテープカートリッジでは、カートリッジ装着部に装着された状態で、印刷テープおよびインクリボンの送りに際し、プラテン駆動軸からプラテンローラーに回転力が作用する。同様に、インクリボンの巻取りに際し、リボン巻取り駆動軸からリボン巻取りコアに回転力が作用する。プラテンローラーに入力する回転力の一部は、プラテンローラーとその軸受部分との間の摩擦により、軸受部分を介してカートリッジケースに回転モーメントとして作用する。同様に、リボン巻取りコアに入力する回転力の一部も、カートリッジケースに回転モーメントとして作用する。
この場合、プラテンローラーは、正面視時計回りに回転し、リボン巻取りコアは、正面視反時計回りに回転する。このため、テープカートリッジには、プラテンローラー側の回転モーメントと、リボン巻取りコア側の回転モーメントとが合成した力が作用する。この合成力は、プラテンローラーとリボン巻取りコアとを結ぶ仮想線上においては、各々の回転力が互いに打ち消しあうベクトル成分がないため、この仮想線上では仮想線に交差する方向で重なり合い、最も大きな力として作用する。このため、テープ印刷装置が印刷駆動すると、カートリッジ装着部内でテープカートリッジが位置ズレするおそれがあった。そして、テープカートリッジの位置ズレは、印刷ヘッドに対する位置ズレとなり、印刷品質に悪影響を与える。
【0005】
本発明は、カートリッジ装着部に対する装着のガイド機能を損なうことなく、塵埃の侵入を抑制することができ、またカートリッジ装着部内における位置ズレを抑制することができるテープカートリッジを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のテープカートリッジは、テープカートリッジが装着されるカートリッジ装着部と、装着されたテープカートリッジから印刷テープを繰り出しながら送るテープ送り機構部と、印刷テープの送りに同期してインクリボンを送るリボン送り機構部と、印刷テープに印刷を行うと共に、印刷位置と退避位置との間で移動可能に構成された印刷ヘッド部と、カートリッジ装着部に突設され、印刷ヘッド部の移動を許容しつつ印刷ヘッド部を覆うと共に複数の角部を有するヘッドカバーと、ヘッドカバーの1つの角部に突設された凸部と、を備えたテープ印刷装置に対し、着脱自在に装着されるテープカートリッジであって、テープ送り機構部から動力伝達され、印刷位置において印刷テープおよびインクリボンを挟んで印刷ヘッド部に対峙する為のプラテンローラーと、印刷テープ、インクリボンおよびプラテンローラーを収容するカートリッジケースと、カートリッジケースに設けられ、カートリッジ装着部に装着される場合にヘッドカバーが挿入される為の挿入開口と、凸部に対応し、挿入開口の開口周壁部に凹設された凹部を備えたことを特徴とする。
この場合、ヘッドカバーは、印刷ヘッド部の回動支軸側を覆うと共に、相互に交会する第1カバー側壁および第2カバー側壁を有し、凸部は、第1カバー側壁に突設された第1凸部と、第2カバー側壁に突設された第2凸部とを有し、凹部は、第1凸部に対応する第1凹部と、第2凸部に対応する第2凹部と、を有することが好ましい。
この場合、印刷ヘッド部の回動支軸側を覆うと共に、相互に交会する第1カバー側壁および第2カバー側壁を有するヘッドカバーに対し、開口周壁部は、第1カバー側壁に対応する第1開口内壁と、第1開口内壁に交会すると共に第2カバー側壁に対応する第2開口内壁と、を有し、凹部は、第1開口内壁と第2開口内壁とが交会する隅部に凹設されていることが好ましい。
この場合、凹部は、カートリッジケースの表側から裏側まで通しで形成されていることが好ましい。
この場合、当該テープカートリッジは、インクリボンを巻き取る巻取りコアを有し、凹部は、プラテンローラーと巻取りコアとを結ぶ仮想線上または仮想線近傍に位置することが好ましい。
なお、以下の構成でもよい。
本発明のテープカートリッジは、テープカートリッジが装着されるカートリッジ装着部と、装着されたテープカートリッジから印刷テープを繰り出しながら送るテープ送り機構部と、印刷テープの送りに同期してインクリボンを送るリボン送り機構部と、印刷テープに印刷を行うと共に、印刷位置と退避位置との間で移動可能に構成された印刷ヘッド部と、カートリッジ装着部に突設され、印刷ヘッド部の移動を許容しつつ印刷ヘッド部を覆うヘッドカバーと、ヘッドカバーの外周面に突設され、テープカートリッジの装着を案内する凸部と、を備えたテープ印刷装置に対し、着脱自在に装着される為のテープカートリッジであって、印刷テープと、インクリボンと、テープ送り機構部から動力伝達され、印刷位置において印刷テープおよびインクリボンを挟んで印刷ヘッド部に対峙する為のプラテンローラーと、印刷テープ、インクリボンおよびプラテンローラーを収容するカートリッジケースと、カートリッジケースに設けられ、カートリッジ装着部に装着される場合にヘッドカバーが挿入される為の挿入開口と、挿入開口の開口周壁部に設けられ、凸部の突出方向へのテープカートリッジの変位を規制する対向部と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
この場合、対向部は、凹部であることが好ましい。
【0008】
また、この場合、印刷ヘッド部の背面側を覆う第1カバー側壁と、第1カバー側壁と交差する方向において、第1カバー側壁の両外端からそれぞれ延在する2つの第2カバー側壁と、を含む3つのカバー側壁を有するヘッドカバーに対し、挿入開口の開口周壁部は、第1カバー側壁に対応する第1開口内壁と、2つの第2カバー側壁に対応する2つの第2開口内壁と、を含む3つの開口内壁を有し、テープ印刷装置に装着される装着方向から見た場合に3つの開口内壁は、3つのカバー側壁と相補的形状に形成されていることが好ましい。
【0009】
これらの構成によれば、カートリッジ装着部への装着に際し、挿入開口はヘッドカバーにガイドされ、正しい装着姿勢となって装着される。挿入開口の開口周壁部には、ヘッドカバーの凸部を受容する対向部(凹部)が設けられているため、開口周壁部を大きく形成しなくても、装着は円滑に行われる。このため、ヘッドカバーの3つのカバー側壁と、挿入開口の3つの開口内壁との間に、大きな間隙を設ける必要がない。したがって、カートリッジ装着部に対する装着のガイド機能を損なうことなく、塵埃の侵入や位置ズレを抑制することができる。
【0010】
この場合、凸部に対し、凹部が相対的に嵌合されることが好ましい。
【0011】
この構成によれば、カートリッジ装着部への装着により、ヘッドカバーの凸部に挿入開口の凹部が相対的に嵌合するため、挿入開口を介して、カートリッジケースがヘッドカバーに位置決めされる。すなわち、ヘッドカバーに覆われた印刷ヘッド部に対し挿入開口を、ひいてはプラテンローラーを、精度良く位置決めすることができる。
【0012】
また、印刷テープの送り方向と同方向に延在する第1カバー側壁の外面に突設された凸部に対し、凹部は、第1開口内壁に設けられていることが好ましい。
【0013】
ところで、印刷ヘッド部が移動して、カートリッジケースに設けたプラテンローラーを押圧すると、プラテンローラーを介してカートリッジケースに押圧力が作用する。
この構成によれば、印刷ヘッド部の背面側に位置する第1カバー側壁の凸部に第1開口内壁の凹部が位置決めされるため、印刷ヘッド部の押圧力は、凹部を介して、凸部に受けられる。すなわち、印刷ヘッド部の押圧力は、これを覆うヘッドカバーに吸収されるため、この押圧力によりカートリッジケースの位置ズレが抑制される。したがって、印刷品質を安定させることができる。
【0014】
さらに、2つの第2カバー側壁の外面に突設された凸部に対し、2つの第2開口内壁には、凹部がそれぞれ設けられていることが好ましい。
【0015】
ところで、プラテンローラーが、印刷ヘッド部との間に印刷テープおよびインクリボンを挟み込んで回転を開始する(テープ送り)と、カートリッジケースにプラテンローラー廻りの回転力が作用する。
この構成によれば、2つの第2カバー側壁の凸部に2つの第2開口内壁の凹部が位置決めされるため、プラテンローラー廻りの回転力は、2つの凹部を介して、離間して設けられた2つの凸部に受けられる。すなわち、プラテンローラー廻りの回転力は、ヘッドカバーで抑えられるため、この回転力によるカートリッジケースの位置ズレが抑制される。したがって、印刷品質を安定させることができる。
【0016】
一方、凹部は、2つの凹部側壁面を有し、2つの凹部側壁面は、交差する方向において、凸部により位置決めされることが好ましい。
【0017】
また、凹部は、凹部底壁面を有し、凹部底壁面は、装着方向に上り傾斜の傾斜面を含むことが好ましい。
【0018】
これらの構成によれば、凸部に対し対向部は、その凹設方向およびこれに交差する方向の位置決め精度が高められる。したがって、カートリッジケースの挿入開口を、ヘッドカバーに対し、不動に位置決めすることができる。
【0019】
また、カートリッジ装着部の装着ベース面から、インクリボンの送り経路における装着方向先方の端位置の手前まで延在する凸部に対し、凹部は、3つの内壁の装着方向先方の端面から、端位置の手前に対応する位置まで延在していることが好ましい。
【0020】
この構成によれば、装着ベースに突き当てるようにカートリッジ装着部に装着することで、印刷ヘッド部に対する挿入開口の、ひいてはプラテンローラーの、位置決め精度を高めることができる。したがって、高い印刷品質を維持することができる。
【0021】
この場合、3つの開口内壁は、内壁本体と、内壁本体と装着ベース面側のケース壁とが交わるコーナー部と、を有し、凹部は、コーナー部において凹溝で構成され、内壁本体において開口で構成されていることが好ましい。
【0022】
この構成によれば、凹部が、コーナー部において凹溝と内壁本体の開口で構成されているため、内壁本体の内側に、突部位等の張り出し部分が生ずることがない。したがって、凹部が、カートリッジケース内の部品や印刷テープやインクリボンの送り経路と干渉するのを、有効に防止することができる。
【0023】
また、カートリッジケースは、装着方向において分割可能な2つのケースを含み、凹部は、装着方向先方に位置する一方のケースに設けられていることが好ましい。
【0024】
この構成によれば、カートリッジ装着部のヘッドカバーに凸部が設けられていても、一方のケースのみの設計変更でこれに対処することができる。
【0025】
本発明のテープカートリッジは、印刷テープとインクリボンとを有するテープカートリッジが装着されるカートリッジ装着部に、印刷テープを送るための正回転動力を出力する第1出力部と、インクリボンを巻き取るための逆回転動力を出力する第2出力部と、テープカートリッジが装着された状態でテープカートリッジに当接し得る本体側当接部と、が設けられたテープ印刷装置の、カートリッジ装着部に着脱自在に装着される為のテープカートリッジであって、テープ印刷装置に装着された状態となった場合に、テープ印刷装置の第1出力部から正回転動力が入力される第1入力部と、テープ印刷装置の第2出力部から逆回転動力が入力される第2入力部と、テープ印刷装置の第1出力部および第2出力部の回転力によりテープカートリッジに対して生ずる回転力に抗するように、第1出力部と第2出力部とを結ぶ仮想線上または仮想線の近傍に、テープ印刷装置の前記本体側当接部と当接し得るカートリッジ側当接部と、を備えたことを特徴とする。
【0026】
この構成によれば、カートリッジ側当接部が、第1出力部および第2出力部により生ずる回転力に抗するように、本体側当接部に当接可能となっている。よって、第1出力部および第2出力部の回転力に起因する力は、カートリッジ側当接部とカートリッジ装着部の本体側当接部とを強い力で当接させ互いの位置関係を安定させる。また、カートリッジ側当接部が第1出力部と第2出力部とを結ぶ仮想線上または仮想線の近傍に存在しているため、第1出力部および第2出力部の各々の回転力は、この仮想線上または仮想線の近傍の位置では互いに打ち消し合うベクトル成分がなく最大値となる。従って、位置ズレを引き起こす回転力を利用することで、カートリッジ装着部内におけるテープカートリッジの位置ズレを抑制することができる。
【0027】
この場合、第1入力部は、回転自在に構成されたプラテンローラーであり、第2入力部は、回転自在に構成された巻取りコアであることが好ましい。
【0028】
また、印刷ヘッド部と、印刷ヘッド部を覆うと共に複数の角部を有するヘッドカバーとが設けられると共に、前記ヘッドカバーの1の角部に本体側当接部が凸設された、カートリッジ装着部に対し、ヘッドカバーが挿入され得る挿入開口を、更に備え、カートリッジ側当接部は、挿入開口を画成する開口周壁部に凹設されていることが好ましい。
【0029】
この構成によれば、凹凸の噛み合いにより凹凸に交差する方向の位置ズレを更に確実に抑制することができる。
【0030】
この場合、印刷ヘッド部の回動支軸側を覆うと共に、相互に交会する第1カバー側壁および第2カバー側壁を有し、本体側当接部が、第1カバー側壁と第2カバー側壁とが交会する角部に凸設された前記ヘッドカバーに対し、開口周壁部は、第1カバー側壁に対応する第1開口内壁と、第1開口内壁に交会すると共に前記第2カバー側壁に対応する第2開口内壁と、を有し、カートリッジ側当接部は、第1開口内壁と第2開口内壁とが交会する隅部に凹設されていることが好ましい。
【0031】
この構成によれば、カートリッジ側当接部を、開口周壁部における第1開口内壁と第2開口内壁との隅部に凹設するようにしているため、カートリッジ側当接部を開口周壁部に凹設しても、開口周壁部の強度が損なわれることがない。
【0032】
この場合、本体側当接部に対し、カートリッジ側当接部が嵌合することが好ましい。
【0033】
この構成によれば、カートリッジ側当接部を介して、本体側当接部が設けられたカートリッジ装着部に位置決めすることができる。すなわち、上記の回転モーメント以外の力が作用しても、カートリッジ装着部内における位置ズレを防止することができる。
【0034】
また、角部において、第1カバー側壁に凸設した第1凸部と、第2カバー側壁に凸設した第2凸部と、を有する本体側当接部に対し、カートリッジ側当接部は、第1凸部に対応し第1開口内壁に凹設した第1凹部と、第2凸部に対応し第2開口内壁に凹設した第2凹部と、を有していることが好ましい。
【0035】
この構成によれば、第1凹部および第2凹部により、カートリッジ装着部に位置決めすることができる。すなわち、上記の回転モーメント以外の力が作用しても、カートリッジ装着部内における位置ズレを防止することができる。
【0036】
一方、カートリッジ側当接部は、カートリッジ装着部への装着方向に向かって拡開形状に形成されていることが好ましい。
【0037】
この構成によれば、テープカートリッジを装着するに際して本体側当接部に沿ってカートリッジ側当接部がカートリッジ装着部にガイドされるため、カートリッジ装着部に精度良く位置決めすることができる。
【0038】
また、角部と隅部との間の間隙分の突出寸法で、角部に凸設された本体側当接部に対し、隅部に凹設されカートリッジ側当接部に代えて、隅部が、カートリッジ側当接部を兼ねていることが好ましい。
【0039】
この構成によれば、カートリッジ側当接部を、第1開口内壁と第2開口内壁との隅部にあえて凹設することなく、この隅部自身でカートリッジ側当接部を構成することができる。したがって、隅部廻りの構造を単純化することができる。
【0040】
さらに、印刷ヘッド部と、印刷ヘッド部を覆うヘッドカバーとが設けられると共に、ヘッドカバーに本体側当接部が凸設された、カートリッジ装着部に対し、ヘッドカバーが挿入され得る挿入開口を、更に備え、カートリッジ側当接部は、挿入開口を画成する開口周壁部の本体側当接部に対向する部分であることが好ましい。
【0041】
この構成によれば、カートリッジ側当接部を、あえて凹設することなく、この開口周壁部によりカートリッジ側当接部を構成することができる。したがって、開口周壁部の構造を単純化することができる。また、カートリッジ側当接部と本体側当接部との当接方向に交差する方向の外力が少ない場合は、これで十分な位置ズレ防止を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1】実施形態に係るテープ印刷装置の開蓋状態の外観斜視図である。
図2】実施形態に係るテープカートリッジの平面図(a)および側面図(b)である。
図3】カートリッジ装着部の平面図である。
図4】開閉蓋を裏面側から見た斜視図である。
図5】上ケースを取り去った状態のテープカートリッジの平面図(a)および上ケースの裏面図(b)である。
図6】テープカートリッジを裏面側から見た斜視図である。
図7】第1実施形態に係るテープカートリッジをカートリッジ装着部に装着した状態の挿入開口廻りの拡大平面図(a)および拡大断面図(b)である。
図8】カートリッジ装着部のヘッドカバー廻りの拡大平面図(a)および拡大側面図(b)である。
図9】第1実施形態に係るテープカートリッジの挿入開口廻りの拡大斜視図である。
図10】第2実施形態に係るテープカートリッジをカートリッジ装着部に装着した状態の挿入開口廻りの拡大平面図である。
図11】第3実施形態に係るテープカートリッジをカートリッジ装着部に装着した状態の、カートリッジ側当接部廻りの拡大平面図(a)および拡大断面図(b)である。
図12】カートリッジ装着部のヘッドカバー廻りの拡大平面図(a)および拡大側面図(b)である。
図13】第3実施形態に係るテープカートリッジのカートリッジ側当接部廻りの拡大斜視図である。
図14】第4実施形態に係るテープカートリッジをカートリッジ装着部に装着した状態の、カートリッジ側当接部廻りの拡大平面図である。
図15】第4実施形態の第1変形例に係るヘッドカバー廻りの拡大平面図(a)および拡大断面図(b)である。
図16】第4実施形態の第2変形例に係るヘッドカバー廻りの拡大平面図(a)および拡大断面図(b)である。
図17】第5実施形態に係るテープカートリッジをカートリッジ装着部に装着した状態の、カートリッジ側当接部廻りの拡大平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下、添付の図面を参照して、本発明の一実施形態に係るテープカートリッジにつき、これが装着されるテープ印刷装置と共に説明する。このテープ印刷装置は、装着したテープカートリッジから印刷テープおよびインクリボンを繰り出しながら印刷を行い、印刷テープの印刷済み部分を切断して、ラベル(テープ片)を作成するものである。
【0044】
[テープ印刷装置の概要]
図1は、テープ印刷装置およびこれに装着されるテープカートリッジの外観斜視図である。同図に示すように、テープ印刷装置1は、外殻を構成する装置ケース3と、テープカートリッジ100が着脱自在に装着されるカートリッジ装着部5と、カートリッジ装着部5を開閉する開閉蓋7と、を備えている。装置ケース3の上面には、奥側にカートリッジ装着部5が設けられ、中央にディスプレイ11が設けられ、手前側にキーボード13が設けられている。開閉蓋7の近傍には、指掛け用の窪入部15が設けられている。開閉蓋7は、この窪入部15に指を掛け引き上げることで開放される。そして、装置ケース3の側面(左側面)には、印刷テープ102が排出される縦長のテープ排出口17が設けられている。
【0045】
また、テープ印刷装置1は、カートリッジ装着部5に立設された印刷ヘッド21を有する印刷機構部23と、カートリッジ装着部5の裏側空間に内蔵したテープ送り機構部25と、テープ排出口17の近傍に内蔵したテープ切断機構部27と、を備えている。ユーザーは、キーボード13から印刷情報を入力し、ディスプレイ11で印刷情報を確認した後、キー操作により印刷を実行する。印刷が指令されると、テープ送り機構部25が駆動することで、印刷テープ102とインクリボン110とが並走する。さらに、印刷機構部23からインクリボン110へ加えられる熱によって、インクリボン110のインクを印刷テープ102へ転写することで印刷が行われる。この印刷送りにより、印刷テープ102はテープ排出口17から排出されてゆき、印刷が完了すると、テープ切断機構部27が駆動して、印刷テープ102の印刷済み部分が切り離される。
【0046】
[テープカートリッジの概要]
図2および図5に示すように、テープカートリッジ100は、印刷テープ102をテープコア104に巻回したテープロール106と、インクリボン110を繰出しコア112に巻回したリボンロール114と、を備えている。また、テープカートリッジ100は、使用後のインクリボン110を巻き取る巻取りコア116と、印刷ヘッド21がインクリボン110および印刷テープ102を介して当接すると共に印刷テープ102およびインクリボン110を送るプラテンローラー120(プラテン)と、を備えている。さらに、テープカートリッジ100は、これらテープロール106、リボンロール114、巻取りコア116およびプラテンローラー120を収容したカートリッジケース130を備えている。このように、本実施形態のテープカートリッジ100は、外殻をカートリッジケース130で覆われた、いわゆるシェル構造を有している。
【0047】
また、テープカートリッジ100には、テープ印刷装置1に装着されたときに、印刷ヘッド21が挿入される挿入開口134が、カートリッジケース130に形成されている。また、テープカートリッジ100は、カートリッジケース130に形成され印刷テープ102が送り出されるテープ送出口138を備えている。なお、挿入開口134は、貫通孔であってもよいし、袋孔であってもよい。また、詳細は後述するが、テープロール106は、カートリッジケース130の内側に突設した円筒状のコア軸192に回転自在に支持されている。
【0048】
上記のテープ送り機構部25により、プラテンローラー120および巻取りコア116が駆動されると、印刷テープ102はテープコア104から繰り出され、インクリボン110は繰出しコア112から繰り出される。繰り出された印刷テープ102およびインクリボン110は、プラテンローラー120の部分で並走し、印刷ヘッド21によって印刷に供される。印刷が行われた印刷テープ102の繰出し端部(印刷済部分)は、テープ送出口138からテープ排出口17に向かって送り出される。一方、インクリボン110は、挿入開口134の周壁部分を周回し、巻取りコア116に巻き取られる。なお、テープカートリッジ100には、印刷テープ102のテープ幅に応じて、厚みの異なる複数種のものが用意されている。
【0049】
[テープ印刷装置の詳細]
図1および図3に示すように、カートリッジ装着部5は、テープカートリッジ100の平面形状と相補的な平面形状に形成されると共に、装着可能な複数種のテープカートリッジ100のうち、最大厚のテープカートリッジ100に対応する深さを有して、窪入形成されている。この場合、カートリッジ装着部5の底板部を構成する装着ベース31と側板部33とは、樹脂等で一体に形成(成形)されている。カートリッジ装着部5と上記のテープ排出口17との間には、スリット状のテープ排出経路35が形成されており、この部分に、上記のテープ切断機構部27が内蔵されている。
【0050】
カートリッジ装着部5の装着ベース31には、上記のコア軸192が嵌合して位置決めされる位置決め突起41と、ヘッドカバー43に覆われた印刷ヘッド21と、が立設されている。また、装着ベース31には、プラテンローラー120を回転駆動するプラテン駆動軸45と、巻取りコア116を回転駆動する巻取り駆動軸47と、が立設されている。さらに、巻取り駆動軸47の近傍に位置して装着ベース31には、印刷テープ102の種別(属性情報)を検出するテープ検出部51と、繰出しコア112および巻取りコア116の回転止めを解除するコア解除部53と、が設けられている。
【0051】
さらに、装着ベース31には、その対角位置に一対の小突起55が設けられ、加えて装着したテープカートリッジ100の中間部を掛け止めする一対の掛止め片57が設けられている。そして、装着ベース31の裏側空間には、プラテン駆動軸45および巻取り駆動軸47を回転させるモーターおよびギヤ列(いずれも、図示省略)等で構成されている上記のテープ送り機構部25が内蔵されている。テープ送り機構部25は、ギヤ列で動力分岐し、プラテン駆動軸45および巻取り駆動軸47を同期回転させる。
【0052】
印刷機構部23は、サーマルヘッドで構成された印刷ヘッド21と、印刷ヘッド21を支持すると共に、回動支軸63を介して印刷ヘッド21を回動させるヘッド支持フレーム61と、を有している。また、印刷機構部23は、ヘッド支持フレーム61を介して印刷ヘッド21を印刷位置と退避位置との間で回動させるヘッドリリース機構(図示省略)と、印刷ヘッド21(およびヘッド支持フレーム61)を覆うヘッドカバー43と、を有している。
【0053】
ヘッドリリース機構は、上記の開閉蓋7の開閉に連動して作動し、開閉蓋7の閉塞動作に連動して印刷ヘッド21を印刷位置に移動(回動)させる。また、ヘッドリリース機構は、開放動作に連動して印刷ヘッド21を退避位置に移動(回動)させる。印刷位置に移動した印刷ヘッド21は、プラテンローラー120にインクリボン110と印刷テープ102を介して当接し、退避位置に移動した印刷ヘッド21は、プラテンローラー120から離間する。これにより、テープカートリッジ100を着脱する際に、印刷テープ102やインクリボン110の印刷ヘッド21への干渉が防止される。
【0054】
印刷ヘッド21には、複数の発熱素子が設けられ、複数の発熱素子は、プラテンローラー120の軸方向と同方向に列設されている。そして、印刷テープ102およびインクリボン110の送りと、複数の発熱素子の選択的駆動により印刷が行われる。
【0055】
ヘッドカバー43は、平面視略矩形に形成されおり、上記の装着ベース31(カートリッジ装着部5)と一体に形成(成形)されている。また、ヘッドカバー43は、装着ベース31から垂直に大きく突出しており、その内側において印刷ヘッド21の回動を許容し、外側においてテープカートリッジ100の装着ガイドとして機能する。
【0056】
テープ検出部51は、複数のマイクロスイッチ51aで構成されており、後述するテープカートリッジ100の被検出部180に対し選択的に係合し、印刷テープ102のテープ幅やテープ色、材質等の種別を検出する。そして、この検出結果に基づいて、印刷ヘッド21やテープ送り機構部25の駆動が制御される。コア解除部53は、繰出しコア112用および巻取りコア116用の2つの解除ピン53aで構成されている。詳細は後述するが、カートリッジケース130には、繰出しコア112および巻取りコア116にそれぞれ掛止めされる回転止めフック206が設けられている(図6参照)。テープカートリッジ100を装着すると、これら回転止めフック206に解除ピン53aが係合し、繰出しコア112および巻取りコア116の回転止めが解除される。
【0057】
プラテン駆動軸45は、プラテンローラー120を挿通するように長く延びた固定軸45aと、固定軸45aの基部に回転自在に軸支されたスプライン形状の可動軸45bとを有している。テープ送り機構部25の回転動力は、この可動軸45bに伝達され、更に可動軸45bからプラテンローラー120に伝達される。同様に、巻取り駆動軸47は、固定軸47aと、固定軸47aに回転自在に軸支されたスプライン形状の可動軸47bとを有している。この場合も、テープ送り機構部25の回転動力は、可動軸47bに伝達され、更に可動軸47bから巻取りコア116に伝達される。
【0058】
テープカートリッジ100をカートリッジ装着部5に装着すると、位置決め突起41にコア軸192(テープコア104)が係合し、プラテン駆動軸45にプラテンローラー120か係合し、更に巻取り駆動軸47に巻取りコア116が係合する。そして、開閉蓋7を閉塞すると、印刷ヘッド21が回動し、印刷テープ102およびインクリボン110を挟んでプラテンローラー120に当接して、テープ印刷装置1は印刷待機状態となる。
【0059】
図1および図4に示すように、開閉蓋7は、奥側に設けたヒンジ部71を介して、装置ケース3に回動自在に、すなわち開閉自在に取り付けられている。開閉蓋7は、平面視矩形に形成され開閉蓋本体73と、開閉蓋本体73の中央に設けた覗き窓75と、を有している。また、開閉蓋7は、開閉蓋本体73の裏面に突設されヒンジ部71に回動自在に軸支された一対の軸支片77と、開閉蓋本体73の裏面に突設され印刷ヘッド21を回動させる作動レバー79と、を有している。さらに、開閉蓋7は、開閉蓋本体73の裏面に突設されテープカートリッジ100を押し込む2つの押込み突起81と、開閉蓋本体73の裏面に突設され、内蔵する蓋閉塞検出スイッチ(図示省略)を作動(ON)する押下突起83と、を有している。
【0060】
覗き窓75は、横長に形成され、開閉蓋本体73とは別体となる透明(可視光に対し透明)な樹脂で構成されている。この覗き窓75越しに、カートリッジ装着部5に装着されたテープカートリッジ100が、視認(印刷テープ102の種別やテープ残量)できるようになっている。また、一対の軸支片77、作動レバー79、2つの押込み突起81および押下突起83と、開閉蓋本体73とは、樹脂で一体に形成(成形)されている。
【0061】
作動レバー79は、開閉蓋本体73の裏面から大きく突出しており、開閉蓋7の閉塞に伴って、カートリッジ装着部5の側方に設けたスリット開口87に挿入される。スリット開口87に挿入された作動レバー79は、上記のヘッドリリース機構を作動させ、印刷ヘッド21を回動させる。同様に、押下突起83は、開閉蓋7の閉塞に伴って、スリット開口87に隣接する矩形開口91に挿入され、蓋閉塞検出スイッチを作動(ON)させる。
【0062】
一方の押込み突起81は、テープカートリッジ100のプラテンローラー120の近傍位置に対応している。他方の押込み突起81は、上記のテープ検出部51の直上位置に対応している。開閉蓋7を閉塞すると、2つの押込み突起81は、テープカートリッジ100がカートリッジ装着部5の装着ベース31に着座するようにこれを押し込むと共に、テープカートリッジ100の浮き上がりを防止する。
【0063】
[テープカートリッジの詳細]
次に、図2図5および図6を参照して、テープカートリッジ100について詳細に説明する。なお、テープカートリッジ100の説明では、図2を例に、テープカートリッジ100の上正面である装着方向手前の面を「表面」と、逆側の装着方向奥側の面を「裏面」と、左側の側面を「左側面」と、右側の側面を「右側面」と、上側(前側)の円弧状の側面を「先端面」と、下側(後側)の側面を「基端面」と、称呼するものとする。
【0064】
テープカートリッジ100は、上述のように、カートリッジケース130と、これに収容したテープロール106、リボンロール114、巻取りコア116およびプラテンローラー120と、を備えている。また、テープカートリッジ100は、カートリッジケース130に形成され挿入開口134と、プラテンローラー120の近傍において左側面に形成したテープ送出口138と、テープロール106が収容されている部位の表面、左側面および右側面に亘って貼着された識別シール141(図1参照)と、を備えている。識別シール141には、カートリッジケース130に収容されている印刷テープ102のテープ幅やテープ色、材質等が、表面および左側面の2箇所に表示されている。
【0065】
カートリッジケース130は、テープカートリッジ100の外郭を構成するものであり(シェル構造)、右側面の基端側が幾分突出した、平面視「L」字状の外観を呈している。表裏方向においてカートリッジケース130は、カートリッジ装着部5に装着したときに奥側となる下ケース150と、手前側となる上ケース152と、で構成されている。実施形態のカートリッジケース130は、上ケース152が透明な樹脂の成型品で構成され、下ケース150が不透明な樹脂の成型品で構成されている。
【0066】
上ケース152は、カートリッジケース130の表面を構成する天壁部156と、天壁部156の周縁部に垂設された上周壁部158と、で一体に形成(成形)されている。また、下ケース150は、カートリッジケース130の裏面を構成する底壁部160と、底壁部160の周縁部に立設された下周壁162と、上記の挿入開口134を画成すべく底壁部160に立設された開口周壁部164と、で一体に形成(成形)されている。
【0067】
上ケース152における上周壁部158の下端面には、適宜の間隔で複数の接合ピン170が設けられる一方、下ケース150の下周壁162には、この複数の接合ピン170に対応して複数の接合孔172が設けられている(図5参照)。下ケース150に、テープロール106やリボンロール114等の構成部品をセットした後、複数の接合孔172に複数の接合ピン170を圧入するように上ケース152を接合することにより、テープカートリッジ100が組み立てられる。なお、各接合孔172は、成形の容易性を考慮し貫通孔となっている。
【0068】
一方、下ケース150の左側面および右側面には、上記の一対の掛止め片57に掛け止めされる一対の掛止受け部174が設けられている(図2および図6参照)。装着したテープカートリッジ100の一対の掛止受け部174に、カートリッジ装着部5側の一対の掛止め片57が掛け止めされることにより、テープカートリッジ100の浮き上がりが防止される。また、下ケース150の裏面には、上記の一対の小突起55が幾分余裕をもって嵌合する嵌合小穴176が設けられている(図6参照)。装着したテープカートリッジ100の一対の嵌合小穴176に、カートリッジ装着部5側の一対の小突起55が嵌合することにより、装着ベース31上におけるテープカートリッジ100の簡単な位置決めが為される。
【0069】
さらに、下ケース150の裏面には、基端面側の左隅部(表面側から見て右隅部)に位置して、上記のテープ検出部51に対応する被検出部180が設けられている(図6参照)。被検出部180は、テープ検出部51の複数のマイクロスイッチ51aに対応する部分に成され、この部分に設けた受け穴180aの有無により、複数のビットパターンを得るようにしている。すなわち、このビットパターンが、上記した印刷テープ102の種別に対応している。
【0070】
図5に示すように、カートリッジケース130内の上側空間(先端面側)には、広くテープロール106が収容されるテープ収容エリア190が構成されている。テープ収容エリア190の中央には、下ケース150に一体に形成(成形)されたコア軸192が立設されている。コア軸192は、円筒状に形成されており、その外周面にはテープロール106(テープコア104)が回転自在に軸支されている。また、プラテンローラー120の近傍に位置してテープ収容エリア190には、繰り出された印刷テープ102をプラテンローラー120に導くテープガイド194が、下ケース150に一体に立設されている。
【0071】
すなわち、カートリッジケース130の内部には、テープロール106を起点とし、テープガイド194およびプラテンローラー120を経てテープ送出口138に至るテープ送り経路196が構成されている。テープロール106から繰り出された印刷テープ102は、テープガイド194を介してプラテンローラー120に導かれ、ここで印刷に供され、更にプラテンローラー120からテープ送出口138に導かれる。
【0072】
テープロール106は、印刷テープ102およびテープコア104を有すると共に、ロール状の印刷テープ102の両端面に貼着された2枚のフイルム198を有している。この2枚のフイルム198は、テープコア104に巻回した印刷テープ102のバラケを防止している。また、テープコア104には、図示では省略したが、逆転止め機構が組み込まれている。テープカートリッジ100を持ち運びするときには、この逆転止め機構により、印刷テープ102の逆転が防止される。一方、テープカートリッジ100をテープ印刷装置1のカートリッジ装着部5に装着すると、上記の位置決め突起41により逆転止め機構の逆転止めが解除され、印刷テープ102の送りが可能になる。
【0073】
カートリッジケース130内の基部右側には、挿入開口134に隣接してリボン収容エリア200が構成されている。リボン収容エリア200の右寄りには、リボンロール114(繰出しコア112)を回転自在に支持する繰出し側軸受部202が、また左寄りには、巻取りコア116を回転自在に支持する巻取り側軸受部204が、それぞれカートリッジケース130に一体に形成されている。すなわち、上ケース152および下ケース150に、それぞれ繰出し側軸受部202および巻取り側軸受部204が形成されている。
【0074】
下ケース150に形成された繰出し側軸受部202および巻取り側軸受部204の切欠き部分には、先端部をこれら繰出し側軸受部202および巻取り側軸受部204に臨ませた回転止めフック206が、それぞれ一体に形成されている。そして、一方の回転止めフック206は繰出しコア112に、他方の回転止めフック206は巻取りコア116に、それぞれ回転止め状態に係合されている。
【0075】
繰出し側軸受部202の近傍に位置してリボン収容エリア200には、繰り出されたインクリボン110をプラテンローラー120に導く第1リボンガイド210が、下ケース150に一体に立設されている。また、上記の開口周壁部164の外周側には、インクリボン110の周回をガイドする複数の第2リボンガイド212が一体に形成されている。
【0076】
すなわち、カートリッジケース130の内部には、リボンロール114を起点とし、第1リボンガイド210、プラテンローラー120および複数の第2リボンガイド212を経て巻取りコア116に至るリボン送り経路214が構成されている。リボンロール114から繰り出されたインクリボン110は、第1リボンガイド210を介してプラテンローラー120に導かれ、ここで印刷に供され、更にプラテンローラー120から開口周壁部164(複数の第2リボンガイド212)を周回して巻取りコア116に巻き取られる。
【0077】
なお、開口周壁部164を周回するリボン送り経路214には、インクリボン110の下方への位置ズレを規制すべく、複数のリブ状規制部168が設けられている(図7参照)。複数のリブ状規制部168は、下ケース150の底壁部160上において、第1リボンガイド210の位置、第2リボンガイド212の位置、開口周壁部164の角部の位置等に、それぞれリブ状を為すように設けられている。
【0078】
リボンロール114は、インクリボン110および繰出しコア112を有すると共に、繰出しコア112に制動負荷を付与する円環状の板ばね220を有している(図5(b)参照)。板ばね220は、周方向において波状に形成されており、軸方向において上ケース152の天壁部156と繰出しコア112との間に介設されている。すなわち、繰出しコア112には、この板ばね220の弾発力により回転制動負荷が付与される。これにより、巻取りコア116により繰り出されてゆくインクリボン110には、バックテンションが付与されその弛みが防止される。
【0079】
繰出しコア112は円筒状に形成され、その下ケース150側の端部には、周方向に複数の切欠き222が形成されている(図6参照)。そして、複数の切欠き222には、上記の回転止めフック206が係脱するようになっている。なお、繰出しコア112を支持する下ケース150側の繰出し側軸受部202は円形の開口で構成されているが、上ケース152側の繰出し側軸受部202は、円筒状の突出部分で構成されている。そして、この突出部分に上記の板ばね220が装着されている(いずれも、図5(b)参照)。
【0080】
同様に、巻取りコア116は円筒状に形成され、その下ケース150側の端部には、周方向に複数の切欠き224が形成されている。そして、複数の切欠き224には、上記の回転止めフック206が係脱する。また、巻取りコア116の内周面にはスプライン溝226が形成され、上記の巻取り駆動軸47にスプライン係合する。これにより、巻取り駆動軸47の回転力が巻取りコア116に伝達され、インクリボン110が巻き取られる。
【0081】
カートリッジケース130内の基部左側には、挿入開口134に隣接してプラテン収容エリア230が構成されている。プラテン収容エリア230の中央には、下ケース150に形成した楕円状開口の下軸受部234と(図6参照)、上ケース152に形成した楕円状開口の上軸受部232と(図5(b)参照)が設けられている。そして、上軸受部232および下軸受部234には、プラテンローラー120が回転自在且つ僅かに横移動可能に支持されている。すなわち、楕円状の上軸受部232および下軸受部234に支持されたプラテンローラー120は、プラテン駆動軸45に係合するホーム位置と、印刷テープ102を挟み込んでテープガイド194に接する挟持位置との間で、横移動(微小移動)可能に構成されている。
【0082】
ところで、このテープカートリッジ100は、印刷テープ102の繰出し端部を、テープ送出口138から外部に僅かに突出された状態で持ち運びされる(図1参照)。その際、誤って印刷テープ102の繰出し端部に押込み力や引込み力が作用すると、これに引きずられたプラテンローラー120が上記の挟持位置に移動する。これにより、印刷テープ102の繰出し端部が、テープ送出口138からカートリッジケース130内に引き込まれることが防止される。
【0083】
プラテンローラー120は、円筒状のローラー基体240と、ローラー基体240の外周面に装着したゴムローラー242と、を有している。ゴムローラー242は、軸方向において印刷ヘッド21に対応する長さを有しており、印刷位置に移動した印刷ヘッド21は、印刷テープ102およびインクリボン110を挟み込んでこのゴムローラー242に接触する。また、ローラー基体240の内周面にはスプライン溝244が形成され、上記のプラテン駆動軸45にスプライン係合する。これにより、プラテン駆動軸45の回転力がプラテンローラー120に伝達され、印刷テープ102(およびインクリボン110)が印刷送りされる。
【0084】
[第1・第2実施形態の導入部]
ところで、図7に示すように、開口周壁部164により画成された挿入開口134は、カートリッジ装着部5のヘッドカバー43が挿入される部位であり、ヘッドカバー43は、その基部に、外側に突出するように設けた3つのガイド凸部67(凸部)を有している。一方、開口周壁部164は、ヘッドカバー43に設けた上記の3つのガイド凸部67に対応する3つのガイド凹部169(対向部)を有している。カートリッジ装着部5にテープカートリッジ100を装着すると、ヘッドカバー43の3つのガイド凸部67に、テープカートリッジ100の3つのガイド凹部169がそれぞれ嵌合し、テープカートリッジ100がカートリッジ装着部5に位置決めされる(詳細は後述する)。
【0085】
[ガイド凹部とガイド凸部(第1実施形態)]
次に、図7ないし図9を参照して、第1実施形態に係るテープカートリッジ100のガイド凹部169の構造について、ヘッドカバー43のガイド凸部67の構造と共に詳細に説明する。なお、ヘッドカバー43に覆われた印刷ヘッド21およびこれを支持するヘッド支持フレーム61等により、請求項にいう印刷ヘッド部が構成されている。
【0086】
図7および図8の拡大図に示すように、カートリッジ装着部5の装着ベース31に立設されたヘッドカバー43には、3箇所にガイド凸部67(凸部)がそれぞれ外側に向かって突出するように設けられている。ヘッドカバー43は、印刷ヘッド21の背面側を覆う後カバー側壁280と、後カバー側壁280の両外端からそれぞれ直角に延びる左カバー側壁282および右カバー側壁284と、後カバー側壁280に対面する前カバー側壁286と、印刷ヘッド21(印刷ヘッド部)を上側から覆うカバー天壁288と、で一体に形成されている。左カバー側壁282は、後カバー側壁280から短く延在し、右カバー側壁284は、後カバー側壁280から長く延在している。なお、請求項3に言う「第1カバー側壁」は、後カバー側壁280に相当し、「第2カバー側壁」は、左カバー側壁282および右カバー側壁284に相当する。
【0087】
3つのガイド凸部67は、装着ベース31上において、後カバー側壁280の外面に突設した後ガイド凸部300と、左カバー側壁282の外面に突設した左ガイド凸部302と、右カバー側壁284の外面に突設した右ガイド凸部304と、を有している。後ガイド凸部300は、後カバー側壁280の延在方向に中間位置に配設され、断面矩形形状に形成されている。左ガイド凸部302は、左カバー側壁282の後カバー側壁280寄りの位置に配設され、断面矩形形状に形成されている。同様に、右ガイド凸部304は、右カバー側壁284の後カバー側壁280寄りの位置に配設され、断面矩形形状に形成されている。
【0088】
また、後ガイド凸部300、左ガイド凸部302および右ガイド凸部304は、装着ベース31からの高さが同一になるように形成され、その高さは、装着したテープカートリッジ100における上記のリブ状規制部168より低くなるように設計されている(図7(b)および図8(b)参照)。詳細は後述するが、ガイド凸部67に対応するガイド凹部169が、リブ状規制部168の下側に位置するようにし、ガイド凹部169がリボン送り経路214に突出しないよう設計されている。そして、後ガイド凸部300、左ガイド凸部302および右ガイド凸部304は、ヘッドカバー43および装着ベース31と一体に形成(成形)され、テープカートリッジ100の装着ガイド、およびヘッドカバー43を補強するリブとして機能している。
【0089】
図7および図9の拡大図に示すように、3つのガイド凸部67を受容するテープカートリッジ100の3つのガイド凹部169は、挿入開口134を画成する開口周壁部164に形成されている。開口周壁部164は、後カバー側壁280に対応する後開口内壁310と、左カバー側壁282に対応する左開口内壁312と、右カバー側壁284に対応する右開口内壁314と、前カバー側壁286に対応する前開口内壁316と、を有している。そして、後開口内壁310、左開口内壁312および右開口内壁314により構成される内側の輪郭(装着方向から見た輪郭)と、後カバー側壁280、左カバー側壁282および右カバー側壁284により構成される外側の輪郭(装着方向から見た輪郭)とは、相補的形状に形成されている。なお、請求項3に言う「第1開口内壁」は、後開口内壁310に相当し、「第2開口内壁」は、左開口内壁312および右開口内壁314に相当する。
【0090】
3つのガイド凹部169は、後開口内壁310に形成され、後ガイド凸部300が嵌合する後ガイド凹部330と、左開口内壁312に形成され、左ガイド凸部302が嵌合する左ガイド凹部332と、右開口内壁314に形成され、右ガイド凸部304が嵌合する右ガイド凹部334と、を有している。そして、後ガイド凹部330は、断面矩形形状の後ガイド凸部300に対し、相補的形状となる断面矩形形状に形成されている。また、左ガイド凹部332は、左ガイド凸部302に対し相補的形状となる断面矩形形状に形成されている。同様に、右ガイド凹部334は、右ガイド凸部304に対し相補的形状となる断面矩形形状に形成されている。
【0091】
この場合、後ガイド凹部330、左ガイド凹部332および右ガイド凹部334は、いずれも相互に平行な2つの凹部側壁面340を有しており、この2つの凹部側壁面340が、各ガイド凸部67の側面に接触するようになっている。これにより、後ガイド凹部330は、後ガイド凸部300により左右方向(突設方向に直交する方向)に位置決めされる。同様に、左ガイド凹部332は、左ガイド凸部302により前後方向(突設方向に直交する方向)に、右ガイド凹部334は、右ガイド凸部304により前後方向(突設方向に直交する方向)に、それぞれ位置決めされる。
【0092】
また、後ガイド凹部330、左ガイド凹部332および右ガイド凹部334は、いずれも装着方向に上り傾斜の傾斜面を含む凹部底壁面342を有している(図7(b)参照)。これにより、カートリッジ装着部5にテープカートリッジ100を装着すると、後ガイド凸部300により、後ガイド凹部330における、後ガイド凸部300が突出する方向の変位が規制される。この押圧力は、例えばプラテンローラー120の上軸受部232および下軸受部234を介して、テープカートリッジ100に伝達され、後ガイド凹部330を後ガイド凸部300に向けて変位させようとするが、後ガイド凸部300によって規制される。同様に、左ガイド凹部332は、左ガイド凸部302から左方への位置規制を受け、右ガイド凹部334は、右ガイド凸部304から右方への位置規制を受ける。このため、テープカートリッジ100は、左右方向において不動に位置決めされる。
【0093】
一方、後ガイド凹部330、左ガイド凹部332および右ガイド凹部334は、底壁部160からの高さが同一になるように形成され、その高さは、上記のリブ状規制部168より僅かに低くなるように設計されている(図7(b)参照)。これにより、3つのガイド凹部169が、リボン送り経路214に突出しないよう設計されている。
【0094】
そして、実際の後ガイド凹部330、左ガイド凹部332および右ガイド凹部334は、いずれも開口周壁部164と底壁部160とが交わるコーナー部350に配設されており(図7(b)および図9参照)、これら凹部330,332,334は、コーナー部350において凹溝で構成され、開口周壁部164側(内壁本体)において開口で構成されている。これにより、3つのガイド凹部169は、その機能を損なうことなく、簡単に形成することができる。
【0095】
このように、カートリッジ装着部5にテープカートリッジ100を装着すると、ヘッドカバー43の3つのガイド凸部67に、テープカートリッジ100の3つのガイド凹部169がそれぞれ嵌合し、テープカートリッジ100がカートリッジ装着部5に位置決めされる。このため、テープカートリッジ100に、印刷ヘッド21の押圧力や、プラテン駆動軸45および巻取り駆動軸47の回転力(回転モーメント)が作用しても、テープカートリッジ100が位置ズレすることがない。したがって、テープカートリッジ100の位置ズレを抑制することができる。したがって、テープカートリッジ100の位置ズレによる印刷品質の低下を防止することができる。
【0096】
また、ガイド凸部67とガイド凹部169との協働により、テープカートリッジ100の装着がガイドされるため、ヘッドカバー43と挿入開口134との間の間隙を極力狭くすることができ、この部分からの塵埃等の侵入を有効に防止することができる。
【0097】
[ガイド凹部とガイド凸部(第2実施形態)]
次に、図10を参照して、第2実施形態に係るテープカートリッジ100Aのガイド凹部169Aの構造について、ヘッドカバー43のガイド凸部67の構造と共に詳細に説明する。また、第2実施形態では、主に第1実施形態と異なる部分について説明する。
【0098】
同図に示すように、この実施形態では、ヘッドカバー43に4つのガイド凸部67が設けられ、これに対応して、テープカートリッジ100Aの開口周壁部164には、4つのガイド凹部169Aが設けられている。
【0099】
4つのガイド凸部67は、後カバー側壁280の外面に突設した2つの後ガイド凸部300と、左カバー側壁282の外面に突設した左ガイド凸部302と、右カバー側壁284の外面に突設した右ガイド凸部304と、を有している。一方の後ガイド凸部300と左ガイド凸部302とは、後カバー側壁280と左カバー側壁282とのコーナー近傍に配設され、また他方の後ガイド凸部300と右ガイド凸部304とは、後カバー側壁280と右カバー側壁284とのコーナー近傍に配設されている。
【0100】
4つのガイド凸部67に対応して、4つのガイド凹部169Aは、後開口内壁310に形成され、2つの後ガイド凸部300が嵌合する2つの後ガイド凹部330と、左開口内壁312に形成され、左ガイド凸部302が嵌合する左ガイド凹部332と、右開口内壁314に形成され、右ガイド凸部304が嵌合する右ガイド凹部334と、を有している。
【0101】
このように、開口周壁部164の2つのコーナーの一方(左側)のコーナーにおいて、一方の後ガイド凸部300に一方の後ガイド凹部330が嵌合すると共に、左ガイド凸部302に左ガイド凹部332が嵌合する。また、他方(右側)のコーナーにおいても、他方の後ガイド凸部300に他方の後ガイド凹部330が嵌合すると共に、右ガイド凸部304に右ガイド凹部334が嵌合する。これにより、開口周壁部164の2つのコーナーは、それぞれ前後左右に位置決めされる。すなわち、テープカートリッジ100Aは、印刷ヘッド21近傍の離間した2箇所において、それぞれ前後左右に位置決めされる。
【0102】
このような第2実施形態においても、カートリッジ装着部5にテープカートリッジ100Aを装着すると、ヘッドカバー43の4つのガイド凸部67に、テープカートリッジ100Aの4つのガイド凹部169Aがそれぞれ嵌合し、テープカートリッジ100Aがカートリッジ装着部5に不動に位置決めされる。このため、テープカートリッジ100Aに外力が作用しても、その位置ズレが防止され、テープカートリッジ100Aの位置ズレによる印刷品質の低下を有効に防止することができる。
【0103】
なお、第1・第2実施形態において、ガイド凸部67およびガイド凹部169の数は、任意である。また、ガイド凸部67およびガイド凹部169の長さも任意であり、例えばその一部または全部をヘッドカバー43の高さと同じ長さのガイド凸部67、および開口周壁部164の高さと同じ長さのガイド凹部169としてもよい。
また、ガイド凹部169に代えて、挿入開口134の後開口内壁310、左開口内壁312および右開口内壁314の全体を、第1・第2実施形態のガイド凹部169Aにおける底部まで後退させた形状としてもよい。かかる形状とすることで、主たる位置ズレの方向がこの内壁に交差する方向の場合は、上述した第1・第2実施形態と同様な効果を得ることができる。したがって、挿入開口134を簡素な形状とすることができ、製造が容易になると共に、テープカートリッジ100,100Aの装着も引っかかりなく円滑に行うことができる。
【0104】
[第3〜第5実施形態の導入部]
ところで、本実施形態のテープカートリッジ100では、プラテン駆動軸45からプラテンローラー120に回転力が入力されると共に、巻取り駆動軸47から巻取りコア116に回転力が入力される。このため、プラテンローラー120の軸受け部分の摩擦を介して、カートリッジケース130に回転モーメントとして作用すると共に、巻取りコア116の軸受け部分の摩擦を介して、カートリッジケース130に回転モーメントとして作用する。この2つの回転モーメントは、相互に逆方向に作用し、その合成力Mが、プラテンローラー120と巻取りコア116とを結ぶ仮想線L上においては互いに打ち消し合うベクトル成分が無いため、仮想線Lに交差する方向に最も大きく作用する(図11(a)参照)。そこで、本実施形態では、ヘッドカバー43に本体側当接部65を設けると共に、テープカートリッジ100Bにカートリッジ側当接部166を設けて、上記の合成力Mに抗するようにしている(図11(a)参照)。
【0105】
具体的には、図11に示すように、ヘッドカバー43は、上記の回動支軸63側の角部370に、外側に突出するように設けた本体側当接部65を有している。一方、開口周壁部164により画成された挿入開口134は、カートリッジ装着部5のヘッドカバー43が挿入される部位であり、開口周壁部164は、ヘッドカバー43に設けた上記の本体側当接部65に対応するカートリッジ側当接部166を有している。カートリッジ装着部5にテープカートリッジ100Bを装着すると、ヘッドカバー43の本体側当接部65に、テープカートリッジ100Bのカートリッジ側当接部166が当接し、テープカートリッジ100Bがカートリッジ装着部5に位置決めされる(詳細は後述する)。
【0106】
[カートリッジ側当接部と本体側当接部(第3実施形態)]
次に、図11ないし図13を参照して、第3実施形態に係るテープカートリッジ100Bのカートリッジ側当接部166の構造について、ヘッドカバー43の本体側当接部65の構造と共に詳細に説明する。なお、ヘッドカバー43に覆われた印刷ヘッド21およびこれを支持するヘッド支持フレーム61により、請求項にいう印刷ヘッド部が構成されている。
【0107】
図11および図12の拡大図に示すように、カートリッジ装着部5の装着ベース31に立設されたヘッドカバー43には、上記の回動支軸63側の角部370に本体側当接部65が設けられている。ヘッドカバー43は、印刷ヘッド21の背面側を覆う後カバー側壁280と、後カバー側壁280の両外端からそれぞれ直角に延びる左カバー側壁282および右カバー側壁284と、を有している。また、ヘッドカバー43は、印刷ヘッド21の前側半部を覆う前カバー側壁286と、印刷ヘッド21を上側から覆うカバー天壁288と、を有している。そして、これらは、一体に形成されている。なお、請求項15に言う「第1カバー側壁」は、右カバー側壁284に相当し、「第2カバー側壁」は、前カバー側壁286に相当する。
【0108】
本体側当接部65は、右カバー側壁284と前カバー側壁286とが交わる(交会する)角部370に突設(凸設)されている。具体的には、本体側当接部65は、断面矩形に形成され、上記の角部370における頂部位に突設されている。また、本体側当接部65は、装着ベース31からヘッドカバー43と同一高さとなるように延在している。上述のように、ヘッドカバー43と装着ベース31とは、一体に形成(成形)されており、本体側当接部65も、これらと一体に形成(成形)されている。
【0109】
図11および図13の拡大図に示すように、本体側当接部65を受容するテープカートリッジ100Bのカートリッジ側当接部166は、挿入開口134を画成する開口周壁部164において、上記の角部370に対応する隅部372に形成されている。このカートリッジ側当接部166は、図7に示すように、プラテンローラー120と巻取りコア116とを結ぶ仮想線Lの近傍に位置する。開口周壁部164は、後カバー側壁280に対応する後開口内壁310と、左カバー側壁282に対応する左開口内壁312と、を有している。また、開口周壁部164は、右カバー側壁284に対応する右開口内壁314と、前カバー側壁286に対応する前開口内壁316と、を有している。そして、後カバー側壁280と後開口内壁310とは、間隙を存して対面している。同様に、左カバー側壁282と左開口内壁312、右カバー側壁284と右開口内壁314、前カバー側壁286と前開口内壁316、もそれぞれ間隙を存して対面している。なお、請求項15に言う「第1開口内壁」は、右開口内壁314に相当し、「第2開口内壁」は、前開口内壁316に相当する。
【0110】
カートリッジ側当接部166は、右開口内壁314と前開口内壁316とが交わる(交会する)隅部372に凹設されている。この場合、カートリッジ側当接部166は、断面矩形の本体側当接部65に対し、相補的形状となる断面矩形に形成されている。また、本体側当接部65に対応して、カートリッジ側当接部166は、カートリッジケース130の表側から裏側まで通しで形成されている。そして、カートリッジ側当接部166は、プラテンローラー120と巻取りコア116とを結ぶ仮想線Lに交差する方向において、本体側当接部65に当接し、且つ嵌合している。なお、図示では、当接していないが、回転モーメントが作用し、公差分テープカートリッジ100Bが動いたときに両当接部が当接し、テープカートリッジ100Bの動きを規制する。
【0111】
カートリッジ側当接部166は、相互に平行な2つの側壁面374を有しており、この2つの側壁面374が、本体側当接部65の側面に接触するようになっている。これにより、カートリッジ側当接部166(カートリッジケース130)は、本体側当接部65により、上記の仮想線Lの方向(凸設方向に直交する方向)に位置決めされる。なお、この2つの側壁面374は、装着ベース31側に向かって拡開するように、それぞれ傾斜面を有することが好ましい。このようにすれば、テープカートリッジ100Bを装着するときにこの傾斜面がガイドとして機能し、カートリッジケース130を、仮想線Lの方向に精度良く位置決めすることができる。
【0112】
このような第3実施形態では、カートリッジ装着部5にテープカートリッジ100Bを装着すると、ヘッドカバー43の本体側当接部65に、テープカートリッジ100Bのカートリッジ側当接部166が嵌合し且つ突き当てられる。カートリッジ側当接部166が、プラテンローラー120と巻取りコア116とを結ぶ仮想線L上(図11からも明らかなように、近傍を含む)に存在しているため、プラテン駆動軸45と巻取り駆動軸47の駆動力を源とする回転力(回転モーメント)は、各々が打消す方向のベクトル成分がほとんど無く、重ね合わされた力(合成された力)となる。このため、テープカートリッジ100Bに、プラテン駆動軸45および巻取り駆動軸47の回転力(回転モーメント)が作用しても、本体側当接部65とカートリッジ側当接部166とは、前述した重ね合わされた力で突き合されることになり、テープカートリッジ100Bの位置ズレが抑制される。したがって、テープカートリッジ100Bの位置ズレによる印刷品質の低下を防止することができる。
【0113】
なお、第3実施形態では、本体側当接部65をヘッドカバー43と同一高さと同一となるように形成しているが、これより短く(低く)形成してもよい。同様に、カートリッジ側当接部166も短く形成してもよい。また、前述のとおりテープカートリッジ100Bには、印刷テープ102の複数の幅に合わせて複数の厚みのものが存在する。厚みの大きいものの場合は、印刷ヘッド21(ヘッドカバー43)が挿入される挿入開口134が、必ずしも貫通孔である必要はなく、印刷ヘッド21を収容できるものであれば天井のある袋孔であってもよい。その場合は、この袋孔の袋の深さの範囲内の長さでカートリッジ側当接部166を設ければよい。
【0114】
[カートリッジ側当接部と本体側当接部(第4実施形態)]
次に、図14を参照して、第4実施形態に係るテープカートリッジ100Cのカートリッジ側当接部166Aの構造について、ヘッドカバー43の本体側当接部65の構造と共に詳細に説明する。また、第4実施形態では、主に第3実施形態と異なる部分について説明する。
【0115】
図14に示すように、第4実施形態においても、本体側当接部65は、ヘッドカバー43における右カバー側壁284と前カバー側壁286とが交わる角部370に突設(凸設)されている。具体的には、本体側当接部65は、角部370の頂部位近傍において、右カバー側壁284に凸設した断面矩形形状の第1凸部65aと、前カバー側壁286に凸設した断面矩形形状の第2凸部65bと、を有している。また、第1凸部65aおよび第2凸部65bは、いずれも装着ベース31からヘッドカバー43と同一高さとなるように延在している。なお、この高さ関係のバリエーションについては、第3実施形態のものと同様である。
【0116】
一方、カートリッジ側当接部166Aも、開口周壁部164における右開口内壁314と前開口内壁316とが交わる隅部372に凹設されている。具体的には、カートリッジ側当接部166Aは、上記の第1凸部65aに対応して右開口内壁314に凹設した第1凹部380を有している。また、カートリッジ側当接部166Aは、上記の第2凸部65bに対応して前開口内壁316に凹設した第2凹部382と、を有している。この場合も、第1凹部380は、第1凸部65aに対し相補的形状となる断面矩形に形成され、第2凹部382は、第2凸部65bに対し相補的形状となる断面矩形に形成されている。
【0117】
また、第1凹部380および第2凹部382は、いずれもカートリッジケース130の表側から裏側まで通しで形成されている。そしてこの場合も、第1凹部380および第2凹部382は、それぞれ相互に平行な2つの側壁面374を有しており、この2つの側壁面374が、対応する第1凸部65aおよび第2凸部65bの側面に接触するようになっている。これにより、カートリッジケース130は、前後左右に位置決めされる。
【0118】
このような第4実施形態では、カートリッジ装着部5にテープカートリッジ100Cを装着する。すると、ヘッドカバー43の第1凸部65aおよび第2凸部65b(本体側当接部65)に、テープカートリッジ100Cの第1凹部380および第2凹部382(カートリッジ側当接部166A)がそれぞれ嵌合し且つ突き当てられる。このため、テープカートリッジ100Cに、プラテン駆動軸45および巻取り駆動軸47の回転力(回転モーメント)が作用しても、テープカートリッジ100Cが位置ズレすることがない。
【0119】
[第4実施形態の第1変形例]
次に、図14および図15を参照して、第4実施形態の第1変形例について説明する。この変形例では、カートリッジ側当接部166Aの形態は、第4実施形態のものと同一であるが(図14参照)、本体側当接部65の形態が、第4実施形態のものと異なっている。そこで、以下、本体側当接部65について説明する。
【0120】
図15(a)は、ヘッドカバー43廻りの拡大平面図であり、図15(b)は、ヘッドカバー43廻りの拡大断面図である。これらの図に示すように、第1変形例の本体側当接部65も、第1凸部65aおよび第2凸部65bを有しており、この第1凸部65aが第4実施形態と異なる形態を有している。第1凸部65aは、ヘッドカバー43と一体に形成されているものの、その下半部400は、ヘッドカバー43側(内側)が深い切込みとなるように、下方に向かって先細りの形状に形成されている。一方、ヘッドカバー43には、第1凸部65aの下半部400を受容するスリット部402が形成されている。すなわち、第1凸部65aの下半部400は、図示の左右方向にばね性を奏するようになっている。
【0121】
また、第1凸部65aは、下半部400の外側が段部404を存して迫り出しており、この迫出し部406が、カートリッジ側当接部166Aに当接するようになっている。さらに、第1凸部65aの下端部408は、装着ベース31に形成された矩形開口410に遊挿されている。テープカートリッジ100Cを装着すると、第1凸部65aがカートリッジ側当接部166Aの第1凹部380に接触し、第1凹部380を外側(図示の右方向)に押圧(付勢)する。すなわち、テープカートリッジ100Cをカートリッジ装着部装着すると、テープカートリッジ100Cは、第1凸部65aおよび第1凹部380を介して、図示の右方向に押圧される。
【0122】
このように、第1変形例では、第1凸部65aにばね性を持たせるようにしているため、テープカートリッジ100Cは、左右方向においてヘッドカバー43に不動に位置決めされる。したがって、テープカートリッジ100Cの位置ズレを有効に防止することができる。なお、第2凸部65bにおいても、第1凸部65aと同様の形態とすることが可能である。
【0123】
[第4実施形態の第2変形例]
次に、図16を参照して、第4実施形態の第2変形例について説明する。この変形例でも、カートリッジ側当接部166Aの形態は、第4実施形態のものと同一であるが(図14参照)、本体側当接部65の形態が、第4実施形態のものと異なっている。またこの場合も、本体側当接部65は、第1凸部65aおよび第2凸部65bを有しており、この第1凸部65aが第4実施形態と異なる形態を有している。
【0124】
図16(a)は、ヘッドカバー43廻りの拡大平面図であり、図16(b)は、ヘッドカバー43廻りの拡大断面図である。これらの図に示すように、第2変形例では、ヘッドカバー43の角部370の上面に検出スイッチ420が設けられており、この検出スイッチ420と第1凸部65aとの協働により、テープカートリッジ100Cの装着が検出される。
【0125】
ヘッドカバー43の上面には、取付け片422が一体に立設され、この取付け片422に検出スイッチ420が下向きに取り付けられている。また、検出スイッチ420は、そのスイッチ端420aを付勢するばねを内蔵したマイクロスイッチ等で構成されている。
【0126】
一方、第1凸部65aは、ヘッドカバー43に対し別体に形成され、ヘッドカバー43の上部に回動自在に支持されている。第1凸部65aの下半部400は、第1変形例のものと同様の形態を有し、これに対応してヘッドカバー43には、スリット部402が形成されている。第1凸部65aの上半部424は、「L」字状に延び、検出スイッチ420のスイッチ端420aに接触している。
【0127】
テープカートリッジ100Cを装着すると、第1凸部65aがカートリッジ側当接部166Aの第1凹部380に接触して、僅かに回動する。この回動により、検出スイッチ420がONし、テープカートリッジ100Cの装着が検出される。また、テープカートリッジ100Cを取り外すと、逆の手順で、テープカートリッジ100Cの非装着が検出される。一方、テープカートリッジ100Cの装着によって回動する第1凸部65aは、検出スイッチ420の内蔵ばねから付勢力を受け、第1凹部380を外側(図示の右方向)に押圧(付勢)する。すなわち、テープカートリッジ100Cをカートリッジ装着部5に装着すると、テープカートリッジ100Cは、第1凸部65aおよび第1凹部380を介して、図示の右方向に押圧される。
【0128】
このように、第2変形例では、検出スイッチ420と第1凸部65aとの協働により、テープカートリッジ100Cが装着されているか否かを検出することができる。また、検出スイッチ420のばね力(内蔵ばね)を、第1凸部65aを介して第1凸部65aに作用させるようにしているため、テープカートリッジ100Cは、左右方向においてヘッドカバー43に不動に位置決めされる。したがって、テープカートリッジ100Cの位置ズレを有効に防止することができる。
【0129】
[カートリッジ側当接部と本体側当接部(第5実施形態)]
次に、図17を参照して、第5実施形態に係るテープカートリッジ100Dのカートリッジ側当接部166Bの構造について、ヘッドカバー43の本体側当接部65の構造と共に詳細に説明する。また、第5実施形態では、主に第3実施形態と異なる部分について説明する。
【0130】
図17に示すように、この実施形態では、ヘッドカバー43の本体側当接部65が、第1実施形態の本体側当接部65より短く形成されている。なお、この高さ関係のバリエーションについては、第3実施形態のものと同様である。
上述のように、右カバー側壁284と右開口内壁314との間には間隙が設けられ、前カバー側壁286と前開口内壁316との間にも間隙が設けられている。このため、これらの角部370と、これらの隅部372と間にも間隙が生じている。
【0131】
本実施形態の本体側当接部65は、この角部370と隅部372との間隙分の突出寸法で、ヘッドカバー43に突設されている。一方、本体側当接部65には、右開口内壁314と前開口内壁316とが交わる隅部372の入隅部位が当接している。すなわち、第5実施形態のカートリッジ側当接部166Bは、隅部372の入隅部位により構成されている。言い換えれば、隅部372の入隅部位が、カートリッジ側当接部166Bを兼ねている。この場合、隅部372の入隅部位は、成形上の要請で円弧状に形成されており、これに対応する本体側当接部65の先端も円弧状(相補的な円弧状)に形成されている。
【0132】
このような第5実施形態では、カートリッジ装着部5にテープカートリッジ100Dを装着すると、ヘッドカバー43の本体側当接部65に、テープカートリッジ100Dの隅部372(カートリッジ側当接部166B)が突き当てられる。このため、テープカートリッジ100Dに、プラテン駆動軸45および巻取り駆動軸47の回転力(回転モーメント)が作用しても、テープカートリッジ100Dが位置ズレすることがない。
【0133】
なお、上述した第3から第5実施形態において、本体側当接部65は、角部370またはその近傍に設けられ、カートリッジ側当接部166は、隅部372またはその近傍に設けられている。しかし、必ずしもこれらの位置でなくても、カートリッジ側当接部166は、図11に示すプラテンローラー120と巻取りコア116とを結ぶ仮想線L上(近傍を含む)に位置すれば、本発明の作用効果を得ることができる。また、カートリッジ側当接部166は、凹部または隅部として例示されている。しかし、必ずしもそのような形態である必要はない。例えば、プラテンローラー120と巻取りコア116とを結ぶ仮想線L上(近傍を含む)に位置し、本体側当接部65からの力を受け止めることができさえすれば、カートリッジ側当接部166は、単なる開口周壁部164の壁の本体側当接部65に対向する壁の一部であってもよい。
【符号の説明】
【0134】
5…カートリッジ装着部、43…ヘッドカバー、45…プラテン駆動軸、47…巻取り駆動軸、65a…第1凸部、65b…第2凸部、100C…テープカートリッジ、116…巻取りコア、120…プラテンローラー、130…カートリッジケース、164…開口周壁部、166A…カートリッジ側当接部、282…左カバー側壁、284…右カバー側壁、286…前カバー側壁、288…カバー天壁、310…後開口内壁、312…左開口内壁、314…右開口内壁、316…前開口内壁、370…角部、372…隅部、374…側壁面、380…第1凹部、382…第2凹部、L…仮想線、M…合成力
図1
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