【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の様々な実施形態は、銀ナノプレートの高光学濃度溶液を調製するための方法、ならびにそれらの方法によって調製されるナノ粒子および溶液を提供する。一実施形態では、本方法は、安定化剤とともにナノ粒子表面と結合しているか、またはそうでなければ連結されている1または複数の元の成分(例えば、化学薬剤または生物学的薬剤)の置き換えを含む。もう一つの実施形態では、安定化剤は、元の成分を置き換えるのではなくて、むしろ元の成分を補充または変更する。安定化剤は、濃縮の前、間、および/または後にナノプレートを安定化させ、それによって銀ナノプレートの安定した高光学濃度溶液の製造を可能にする生物学的薬剤または化学薬剤であり得る。一実施形態では、本方法はまた、溶液内の銀ナノプレートの濃度を増加させ、従って溶液光学濃度を増加させる方法も含む。いくつかの実施形態では、高光学濃度溶液の安定性(例えば、溶液中のナノ粒子の特徴、例えば、形状、大きさ、光学的性質、ピーク応答、プラズモン特性など)は、本方法の間、影響を受けないかまたは実質的に影響を受けない。本発明のいくつかの実施形態は、安定化剤(例えば、表面結合分子、化学薬剤、および/または生物学的薬剤)によって安定化された銀ナノプレートの高光学濃度溶液を含む。一実施形態では、本発明は、表面に物理吸着されている、特異的相互作用を通じて表面と分子的に結合している、または各々のナノ粒子を封入する、化学薬剤または生物学的薬剤によって表面が官能化された銀ナノプレートの溶液を含む。
【0008】
一実施形態では、銀ナノプレートの高光学濃度溶液は基板と会合する。一実施形態では、溶液中のナノプレートの一部が基板と結合してナノプレート−基板複合材料を作り出す。銀ナノプレートの高光学濃度溶液は基板と触れて、基板の表面積のかなりの部分がナノプレートで被覆されているナノプレート複合材料を生成することができる。一部の実施形態では、基板は、繊維、布地、メッシュ、包帯、ソックス、ラップ、その他の衣料品、スポンジ、高多孔性基板、1ミクロンよりも大きいエッジ長さをもつ粒子、ビーズ、毛髪、皮膚、紙、吸収性ポリマー、発泡体、木材、コルク、スライド、粗面、生体適合性基板、フィルタ、および/または医療用インプラントを含む。
【0009】
いくつかの実施形態では、安定した銀ナノプレート溶液の光学濃度を増加させるための方法は、(i)板形状を有する複数の銀ナノプレートを含み、0.1〜10cm
-1の間のピーク光学濃度を有する溶液を準備すること;(ii)安定化剤を溶液に添加すること;(iii)緩衝液を溶液に添加すること;および(iv)緩衝液を含有する溶液を濃縮して濃縮溶液を形成することを含み、この際、該濃縮溶液は、板形状を有する複数の銀ナノプレートを含み、該濃縮溶液は、10cm
-1よりも高いピーク光学濃度を有する。
【0010】
いくつかの実施形態では、安定した銀ナノプレートの高光学濃度溶液を製造するための方法は、以下の:(i)安定化剤を銀ナノプレートの溶液に添加すること、(ii)緩衝液(例えば、水溶性の塩を含有する緩衝液など)を銀ナノプレートの溶液に添加すること、(iii)安定化剤と緩衝液および銀ナノプレートを、銀ナノプレートの表面で安定化剤が緩衝液中の水溶性塩と相互作用するのに十分な時間にわたって混合すること、ならびに(iv)溶液を10cm
-1よりも高いピーク光学濃度(例えば、50〜1500cm
-1)に濃縮することを含む。
【0011】
安定化剤には、クエン酸ナトリウム、水溶性ポリマー、(例えばポリスチレンスルホン酸ナトリウムおよび/またはスルホン酸塩で誘導体化された炭化水素ポリマーなど)、ポリビニル系ポリマー(例えばポリビニルアルコール(PVA)および/またはポリビニルピロリドン(PVP)など)、ポリエチレングリコール、ポリアクリル酸、またはデキストランの1またはそれ以上が含まれ得る。水溶性塩には、硫酸塩、炭酸塩、クロム酸塩、ホウ酸塩、リン酸塩、および亜硫酸塩、酢酸塩、および硝酸塩の1またはそれ以上が含まれ得る。様々な実施形態では、安定化剤と、1または複数の水溶性塩を含有する緩衝液との組合せが、ナノプレート配合物に対する安定化を提供し、この際、塩の成分の1つが安定化剤と相互作用して安定化剤を架橋し、銀ナノプレート上の被膜の安定性を向上させることができる。一実施形態では、最初の銀ナノプレートの溶液は、1または複数の安定化剤および銀源(例えば、銀塩、銀シードなど)を含む溶液から生成することができ、この際、銀源を還元する(例えば、光交換、pH制御光交換、熱成長、鋳型成長、および/またはシード媒介成長)ために、化学薬剤、生物学的薬剤、混合、電磁線、および/または熱が使用される。
【0012】
様々な実施形態では、銀ナノプレートの溶液を濃縮するための方法には、10cm
-1よりも低い(例えば、0.1〜9.9cm
-1、1〜9cm
-1、3〜7cm
-1、1〜5cm
-1、および/または5〜10cm
-1)ピーク光学濃度を有する複数の銀ナノプレートを含む溶液を準備する工程、安定化剤を溶液に添加する工程、水溶性塩を含有する緩衝液を溶液に添加する工程、および、溶液を10cm
-1よりも高いピーク光学濃度(例えば、80〜150cm
-1、900〜1100cm
-1、100cm
-1、1000cm
-1またはそれ以上)に濃縮する工程が含まれる。様々な実施形態では、ピーク光学濃度は、10%、50%、100%、200%、500%、1,000%、10,000%またはそれ以上増加する、かつ/あるいは1:1.5、1:2、1:5、1:10またはそれ以上の比で増加する、かつ/あるいは1、1.5、2、5、10、25、50、100、1000倍またはそれ以上倍加する。
【0013】
様々な実施形態では、銀ナノプレートは、1.5〜50の間のアスペクト比(例えば、1.5〜10、25〜50)を有する。一実施形態では、銀ナノプレートは、10nm〜300nmの間(例えば、50〜250、65〜100nm)のエッジ長さを含む。様々な実施形態では、安定化剤は、クエン酸ナトリウム、またはポリスチレンスルホン酸ナトリウムおよびスルホン酸塩で誘導体化された炭化水素ポリマーからなる群から選択される少なくとも1種の水溶性ポリマーを含む。一部の実施形態では、水溶性塩は、硫酸塩、炭酸塩、クロム酸塩、ホウ酸塩、リン酸塩、および亜硫酸塩、酢酸塩、および硝酸塩の1またはそれ以上を含む。一実施形態では、安定化剤は、ポリビニルピロリドン(pyrollidone)、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリアクリル酸、およびデキストランからなる群の少なくとも1つを含む。一実施形態では、安定化剤はチオール含有分子を含む。チオール含有分子は、ジヒドロリポ酸またはその誘導体を含み得る。本方法には、所望により、濃縮したナノプレートを単離する工程および単離した濃縮ナノプレートを(例えば、シリカまたは別の材料で)封入する工程が含まれる。一実施形態では、本方法には、封入したナノプレートを10cm
-1よりも高い光学濃度(例えば、100cm
-1、1000cm
-1またはそれ以上)に濃縮する工程が含まれる。安定化剤は、銀ナノプレートの形成の前に添加される。一実施形態では、ナノプレートは、接線流濾過によって濃縮される。一実施形態では、銀濃度は、1.0mg/mLよりも高い(例えば、1〜1000、10〜300mg/mL)。
【0014】
様々な実施形態では、金属酸化物で被覆された銀ナノプレートを生成するための方法が提供される。この方法には、500〜1500nmの間のピーク吸収スペクトル(例えば、600〜1400、800〜1200nm)および10cm
-1よりも高い光学濃度(例えば、100cm
-1、1000cm
-1またはそれ以上)を有する銀ナノプレートの溶液を準備する工程、ならびにこの溶液を金属酸化物または金属酸化物前駆体の溶液と銀ナノプレートの外面に金属酸化物被膜を形成するために十分な量で接触させる工程が含まれ得る。ある種の実施形態では、銀ナノプレートは、金属酸化物前駆体と接触する前に、例えば銀ナノプレートの外面に安定化ポリマーを配置することによるなど、安定化ポリマー(例えば、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、またはその組合せ)と会合する。様々な実施形態では、金属酸化物は、シリカであるかまたはシリカを含む。
【0015】
様々な実施形態では、銀ナノプレートの溶液を生成するための方法には、還元剤、安定化剤、水溶性ポリマー、および銀塩を含む溶液を準備する工程、該溶液から複数の銀シードを形成する工程、溶液中で複数の銀シードを複数の銀ナノプレートに成長させて銀ナノプレート溶液を形成する工程、安定化剤を銀ナノプレート溶液に添加する工程、水溶性塩を含有する緩衝液を銀ナノプレート溶液に添加する工程、および銀ナノプレート溶液を10cm
-1よりも高いピーク光学濃度(例えば、100cm
-1、1000cm
-1またはそれ以上)に濃縮する工程が含まれる。
【0016】
様々な実施形態では、組成物は、銀ナノプレートの溶液を含むかまたはそれから本質的になり、銀ナノプレートは、ポリビニルポリマーを含む。一部の実施形態では、ポリビニルポリマーは、ポリビニルピロリドンまたはポリビニルアルコールを含む。いくつかの実施形態では、組成物(例えば、溶液)は、1または複数の塩、例えば水溶性塩(例えば、硫酸塩、炭酸塩、クロム酸塩、ホウ酸塩、リン酸塩、および亜硫酸塩、酢酸塩、および硝酸塩)などを含む。
【0017】
様々な実施形態では、ポリビニルポリマーは塩と会合し、ポリビニルポリマーは銀ナノプレートの少なくとも一部分を被覆し、かつ/またはポリビニルポリマーは銀ナノプレートの外面に配置されている。一実施形態では、溶液は銀ナノプレートを、溶液中に存在する非金属被覆材料に付着するのに効果的な濃度で含む。溶液は、濃縮されるように配合されてよい。一部の実施形態では、溶液または銀ナノプレートの光学濃度は、10cm
-1よりも高い(例えば、100cm
-1、1000cm
-1またはそれ以上)。溶液は、塩(硫酸塩、炭酸塩、クロム酸塩、ホウ酸塩、リン酸塩、および亜硫酸塩、酢酸塩、および硝酸塩)を0.1mMよりも高い濃度(例えば、0.1mM〜10mM)で含有してよい。一実施形態では、溶液は、7よりも大きい(例えば、8〜13)pHを有する。一部の実施形態では、銀ナノプレートの吸収スペクトルは、500〜1500nmの間のピーク波長(例えば、600〜1400、550〜1100、810〜830、1000〜1100nm)を含む。一実施形態では、溶液は、炭酸水素塩を含む。銀ナノプレートは、シリカで被覆されていてよい。銀ナノプレートは、10nm〜500nmの間のエッジ長さ(例えば、50〜300、100〜150nm)を有することができる。
【0018】
様々な実施形態では、組成物は、ポリビニルポリマーを含むシェル材料に結合した銀ナノプレートの溶液を含むかまたはそれから本質的になる。一実施形態では、銀ナノプレートは、ポリビニルポリマーで実質的に被覆されている。様々な実施形態では、組成物には金属酸化物が含まれ、金属酸化物はシリカを含み、ポリビニルポリマーはポリビニルアルコールまたはポリビニルピロリドンを含み、銀ナノプレートはポリビニルアルコールおよびシリカに結合している、かつ/または銀ナノプレートは、ポリビニルピロリドンおよびシリカまたはその任意の組合せに結合している。一実施形態では、組成物には、アミン部分およびメルカプト部分から選択される、1つの部分が含まれる。一実施形態では、この部分はシリカに結合している。一実施形態では、組成物には、アルミニウムが含まれる。一実施形態では、溶液の光学濃度は、10cm
-1よりも高い(例えば、100〜1100cm
-1、またはそれ以上)。一実施形態では、銀ナノプレートの光学濃度は、10cm
-1よりも高い(例えば、100cm
-1、1000cm
-1、11〜5000cm
-1、またはそれ以上)。一部の実施形態では、溶液は、水溶性塩(例えば硫酸塩、炭酸塩、クロム酸塩、ホウ酸塩、リン酸塩、および亜硫酸塩、酢酸塩、および硝酸塩など)を0.1mMよりも高い濃度で(例えば、0.5mM〜2mM、0.1mM〜10mM)含む。一実施形態では、pHは7よりも大きい(例えば、8、9、10、11、12、13)。一実施形態では、銀ナノプレートは、500〜1500nmの間のピーク波長(例えば、700〜1300、810〜830、1000〜1100nm)を含む。
【0019】
様々な実施形態では、組成物には、ポリビニルポリマーを含むシェル材料によって少なくとも部分的に被覆された銀ナノプレートが含まれ、この際、シェル材料の平均厚さは、1nm〜50nmの間(例えば、5、15、40nm)である。一実施形態では、銀ナノプレートは、10nm〜500nmの間(例えば、25、100、250、300nm)の少なくとも1つのエッジ長さを有する。
【0020】
様々な実施形態では、キットは、10cm
-1よりも高い光学濃度(例えば、100cm
-1、1000cm
-1またはそれ以上)をもつナノプレートを含む1または複数の容器、ナノプレートを金属酸化物のシェルで被覆するために適した溶液、およびその取扱説明書を含むかまたはそれから本質的になる。一実施形態では、ナノプレートはポリビニルポリマーを含む。一実施形態では、ポリビニルポリマーは、水溶性塩(例えば、硫酸塩、炭酸塩、クロム酸塩、ホウ酸塩、リン酸塩、および亜硫酸塩、酢酸塩、および硝酸塩)と相互作用する(例えば、架橋するかまたはそうでなければ結合する)。
【0021】
様々な実施形態では、溶液には、シリカ被膜によって少なくとも部分的に被覆された銀ナノプレートが含まれ、この際、銀ナノプレートは、10cm
-1よりも高い(例えば、11〜5000cm
-1、90〜1100cm
-1、またはそれ以上)ピーク光学濃度を含む。一実施形態では、シリカ被膜は、2〜100nmの間(例えば、10〜70、30〜90、40〜60nm)のシェル厚さを有する。一実施形態では、溶液は、水溶性塩(例えば、硫酸塩、炭酸塩、クロム酸塩、ホウ酸塩、リン酸塩、および亜硫酸塩、酢酸塩、および硝酸塩)を0.1mMよりも高い濃度(例えば、0.1mM〜10mM)で含む。一実施形態では、溶液は、7よりも大きいpH(例えば、9、12、13)を有する。一実施形態では、銀ナノプレートは、500nm〜1500nmの間(例えば、800〜1400nm)のピーク波長を含むピーク吸収スペクトルを有する。一実施形態では、シリカ被膜は、銀ナノプレートの外面に配置される。一実施形態では、被膜には、アミン部分またはメルカプト部分が含まれる。一実施形態では、被膜には、アルミニウムがさらに含まれる。一実施形態では、被膜には、炭酸水素塩が含まれる。一実施形態では、被膜には、ポリビニルピロリドンが含まれる。一実施形態では、銀ナノプレートは、1nm〜50nmの間(例えば、10〜40、15〜25、5〜30)の厚さを備える。一実施形態では、銀ナノプレートは、10nm〜500nmの間の少なくとも1つのエッジ長さ(例えば、20〜400、50〜250、300〜450)を備える。
【0022】
一部の実施形態では、極めて高い光学濃度をもつ銀ナノプレートの溶液を生成するための方法には、(i)濃度安定化化学薬剤を銀ナノプレートの溶液または前駆体試薬に添加する工程および(ii)銀ナノプレートの濃度を増加させて溶液の光学濃度を増加させる工程が含まれる。
【0023】
様々な実施形態では、銀ナノプレートは、1.5〜25の間(例えば、1.5〜10、1.5〜5、10〜30、25〜50)のアスペクト比を有し;かつ/またはナノプレートは、約10nm〜250nmの間(例えば、25〜180、50〜150nm)のエッジ長さを有し;および/またはナノプレートは横断面が三角形であり;かつ/またはナノプレートは断面が円形である。一実施形態では、ナノプレート断面の周囲は、4〜8の間(例えば、5、6、7)のエッジを有する。様々な実施形態では、銀ナノプレートの溶液は、光変換法、pH制御光変換法、熱成長法、シード媒介成長法、および/または1または複数の形状安定化剤および銀源を含む溶液の1または複数を用いて形成される。様々な実施形態では、化学薬剤または生物学的薬剤、および/または電磁線、および/または熱、またはその組合せを用いて銀源を還元する。一実施形態では、銀ナノプレートの溶液は、還元剤、形状安定化剤、光源、熱源、および銀源の一部の組合せから形成される。
【0024】
一実施形態では、酸、塩基、または緩衝液(「緩衝剤」とも呼ばれる)を添加して溶液pHを変化させる。様々な実施形態では、濃度安定化化学薬剤は、銀ナノプレートの形成の前、間、および/または後に添加される。一実施形態では、濃度安定化化学薬剤は、形状安定化剤として働く。一実施形態では、濃度安定化化学薬剤は、還元剤として働く。一実施形態では、濃度安定化化学薬剤は、溶液pHを変える薬剤として働く。
【0025】
一実施形態では、濃度安定化化学薬剤は、水溶性ポリマーである。様々な実施形態では、ポリマーは、ポリスルホン酸塩、ポリスチレンスルホン酸ナトリウムの誘導体、ビニルポリマーの誘導体、およびポリビニルアルコール(PVA)のいずれかまたは複数である。様々な実施形態では、PVAは、約80,000ダルトン未満、約80,000ダルトン〜120,000ダルトンの間、および/または約120,000ダルトンよりも大きい分子量を有する。一実施形態では、ポリマーは、ポリビニルピロリドン(PVP)である。様々な実施形態では、PVPは、約20,000ダルトン未満、約20,000ダルトンよりも大きい、約20,000ダルトン〜60,000ダルトンの間、および/または約60,000ダルトンよりも大きい分子量を有する。一実施形態では、ポリマーは、エチレンオキシド誘導体である。
【0026】
一実施形態では、ポリマーは、ポリエチレングリコール(PEG)である。様々な実施形態では、PEGは、約5,000ダルトン未満、約5,000ダルトン〜10000ダルトンの間、および/または約10000ダルトンよりも大きい分子量を有する。一実施形態では、PEGは、単一の官能基を含有する。一実施形態では、PEGは2つの官能基を含有する。一部の実施形態によれば、1または複数の官能基は、以下の:アミン、チオール、アクリル酸塩、アルキン、マレイミド、シラン、アジド、ヒドロキシル、脂質、ジスルフィド、蛍光分子、および/またはビオチン、またはその組合せの1またはそれ以上からなる。一実施形態では、1または複数の官能基は、アミン、チオール、アクリル酸塩、アルキン、マレイミド、シラン、アジド、ヒドロキシル、脂質、ジスルフィド、蛍光分子、および/またはビオチンのいずれかまたは複数であり得る。一実施形態では、濃度安定化剤は、炭水化物誘導体である。様々な実施形態では、ポリマーは、単糖、二糖、オリゴ糖、多糖、および/またはデキストランである。様々な実施形態では、デキストランは、約2000ダルトン未満(例えば、500、1000、1500ダルトン)、約2000ダルトン〜5000ダルトンの間(例えば、3000、4000ダルトン)、および/または約5000ダルトンよりも大きい(例えば、6000、8000、10000ダルトンまたはそれ以上)分子量を有する。
【0027】
様々な実施形態では、濃度安定化化学薬剤は、フェノール、モノマーフェノール、二量体フェノール、三量体フェノール、ポリフェノール、タンニン酸、アラビアゴム、生体分子、タンパク質、ウシ血清アルブミン、ストレプトアビジン、ビオチン、ペプチド、オリゴヌクレオチド、天然に存在するオリゴヌクレオチド、合成オリゴヌクレオチド、金属もしくは半金属酸化物、および/または二酸化ケイ素シェルのいずれかまたは複数である。一実施形態では、二酸化ケイ素シェルは、厚さが約1nm未満から約100nmに及ぶ(例えば、2〜90、5〜25、30〜70)。一実施形態では、安定化剤の組合せが使用される。
【0028】
様々な実施形態では、溶媒は、水、アルコール、エタノール、イソプロピルアルコール、t−ブタノール、水とアルコールとの混合物の1または複数であり得る。
【0029】
一実施形態では、銀ナノプレートの濃度は、接線流濾過を用いて増加させる。一実施形態では、接線流濾過は、接線流濾過膜を用いて実施される。一実施形態では、接線流膜は、セルロースエステルまたはセルロースエステルの混合物製である。
【0030】
様々な実施形態では、接線流膜は、1または複数のポリエーテルスルホン(polyetheresulfone)および/またはポリスルホン製である。様々な実施形態では、接線流膜は、約10kD未満(例えば、1、5、8kD)、約10kD〜500kDの間(例えば、50、250、400kD)、約500kDよりも大きい(例えば、750、1000、5000kDまたはそれ以上)、約0.05μm未満(例えば、0.01、0.03μm)、約0.05μm〜0.5μmの間(例えば、0.1、0.25、0.4μm)、および/または約0.5μmよりも多くの(例えば、1.0、2、5、10、100μm)の分子量カットオフを有する。
【0031】
様々な実施形態では、銀ナノプレート溶液を濃縮して、約10cm
-1よりも高い、約50cm
-1よりも高い、約75cm
-1よりも高い、約100cm
-1よりも高い、および/または約500cm
-1よりも高い(例えば、100〜1000、100〜2000cm
-1)光学濃度をもつ溶液を生成する。
【0032】
一実施形態では、濃縮溶液の溶媒は、接線流濾過を用いて交換される。一実施形態では、濃縮溶液は、接線流濾過を用いて残留化学物質を除去するために処理される。
【0033】
様々な実施形態では、銀ナノ粒子を含むナノ粒子の溶液は、100cm
-1よりも高い(例えば、200、500、700、1500cm
-1、またはそれ以上)光学濃度をもつポリマーで被覆される。一実施形態では、銀ナノプレートの溶液は、基板とともにインキュベートされる。一実施形態では、基板は、銀ナノプレートの溶液から取り出されて乾燥される。
【0034】
本発明の一実施形態は、標的組織領域の熱変調を実施するのに適した、プラズモンナノ粒子、例えば、銀ナノプレートなどの溶液を作製するための方法を提供する。標的組織の熱変調は、有効量のプラズモンナノ粒子が標的組織領域のドメインに局在し、標的組織領域のドメインの熱変調を誘発するために効果的な量で励起表面プラズモン共鳴源から送られるエネルギーに標的組織領域をさらすような条件下で、複数のプラズモンナノ粒子を含む組成物を被験体に投与した場合に達成することができる。様々な実施形態では、本明細書に記載される材料は、組織の切除を伴うかまたは切除を伴わない標的加熱を実施するのに有用である。例えば、一実施形態では、(i)被験体の皮膚表面に銀ナノプレートを含むプラズモンナノ粒子の組成物を局所投与する工程;(ii)皮膚表面から皮膚組織の成分へプラズモン粒子を再分配するための浸透手段を提供する工程;および(iii)光によって皮膚表面の照射をもたらす工程を含む、組織の切除を伴うかまたは切除を伴わない標的加熱を、処置を必要とする哺乳動物被験体を処置するために実施するための方法が提供される。
【0035】
いくつかの実施形態では、本発明は、適切な投与方法および励起方法で光に基づくエネルギー源とともに使用された場合に、ナノ粒子の使用によって、皮膚および下にある組織、またはその他の接近可能な組織空間の非侵襲性または最小限侵襲性の処置を達成することのできる組成物を含む。プラズモンナノ粒子、例えば、銀ナノプレートなどの光学濃度溶液を短いパルス幅のレーザー励起(例えば、0.1ms〜1sのパルス幅)とともに使用することは、急峻で一時的な熱勾配を作り出すことができ、それは粒子が局在しているいくつかの細胞層の中の構造、例えばにきび処置および孔径縮小のための毛嚢脂腺単位、皮膚のリサーフェシングおよび小さい外面の瘢痕の組織修復のための標的化された上皮層および皮層、および永久脱毛のための毛包に、切除を伴ってまたは切除を伴わずに熱を選択的に標的化する。処置としては、限定されるものではないが、脱毛、毛髪成長および再成長、および皮膚の若返りまたはリサーフェシング、にきびの除去または縮小、シワの減少、毛穴の縮小、セルライトおよびその他の皮膚の脂質沈着の除去、いぼおよび真菌の除去、肥厚性瘢痕、萎縮性瘢痕、およびケロイドを含む瘢痕の菲薄化または除去、異常な色素沈着(例えばポートワイン母斑など)、刺青の除去、および/または皮膚の不整合性(例えば、肌目、色、色調、弾力、水和)を挙げることができる。その他の治療法または予防法としては、限定されるものではないが、多汗症、無汗症、フライ症候群(味覚性発汗)、ホルネル症候群、およびRoss症候群、日光角化症(actinici keratosis)、毛包性角化症、皮膚炎、白斑、粃糠疹、乾癬、扁平苔癬、湿疹、脱毛症、乾癬、悪性もしくは非悪性皮膚腫瘍の処置が挙げられる。
【0036】
本発明のさらなる目的、特徴および利点は、本発明の説明となる実施形態を示す添付の図と併せて以下の詳細な説明から明らかとなり、以下が図面の説明である。これらの図面は例であり、実施形態を制限するために使用されるものではない。さらに、述べられた特徴を有する実施形態の列挙は、さらなる特徴を有するその他の実施形態または述べられた特徴の異なる組合せを組み込むその他の実施形態を排除するものではない。さらに、一つの実施形態の(例えば1つの図での)特徴は、その他の実施形態の説明(および図)と組み合わされてよい。