(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6574887
(24)【登録日】2019年8月23日
(45)【発行日】2019年9月11日
(54)【発明の名称】水溶性食物繊維含有炭酸飲料
(51)【国際特許分類】
A23L 2/00 20060101AFI20190902BHJP
【FI】
A23L2/00 T
A23L2/00 B
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-201086(P2018-201086)
(22)【出願日】2018年10月25日
【審査請求日】2018年12月11日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 1.掲載年月日 平成30年4月 2.掲載アドレス https://www.fld.caa.go.jp/caaks/cssc02/?recordSeq=41804270080202 https://www.fld.caa.go.jp/caaks/cssc02/shinkyu?taisyouHyouFile=C418%255CC418_shinkyu.pdf https://www.fld.caa.go.jp/caaks/cssc03/?recordSeq=41804270080202 https://www.fld.caa.go.jp/caaks/cssc03/anzen_hyouka?hyoukaSyousaiFile=C418%255CC418_anzen_hyouka.pdf https://www.fld.caa.go.jp/caaks/cssc04/?recordSeq=41804270080202 https://www.fld.caa.go.jp/caaks/cssc04/youshiki1_2?yousiki3132File=C418%255CC418_youshiki1_2.pdf https://www.fld.caa.go.jp/caaks/cssc04/youshiki3?yousiki33File=C418%255CC418_youshiki3.pdf https://www.fld.caa.go.jp/caaks/cssc04/bunsekihoho?bunsekihohoFile=C418%255CC418_bunsekihoho.pdf https://www.fld.caa.go.jp/caaks/cssc05/?recordSeq=41804270080202 https://www.fld.caa.go.jp/caaks/cssc06/?recordSeq=41804270080202 https://www.fld.caa.go.jp/caaks/cssc06/youshiki5?yousiki5216File=C418%255CC418_youshiki5.pdf
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 1.掲載年月日 平成30年4月 2.掲載アドレス https://www.fld.caa.go.jp/caaks/cssc07/?recordSeq=41804270080202 https://www.fld.caa.go.jp/caaks/cssc07/hyouji_mihon?hyoujimihonFile=C418%255CC418_hyouji_mihon.pdf https://www.fld.caa.go.jp/caaks/cssc08/?recordSeq=41804270080202 https://www.fld.caa.go.jp/caaks/cssc08/sayoukijyo?sayoukijyoFile=C418%255CC418_sayoukijyo.pdf
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】596126465
【氏名又は名称】アサヒ飲料株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087398
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 勝文
(74)【代理人】
【識別番号】100128783
【弁理士】
【氏名又は名称】井出 真
(74)【代理人】
【識別番号】100128473
【弁理士】
【氏名又は名称】須澤 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100160886
【弁理士】
【氏名又は名称】久松 洋輔
(72)【発明者】
【氏名】久保田 洋史
(72)【発明者】
【氏名】金沢 稔子
【審査官】
北村 悠美子
(56)【参考文献】
【文献】
特開2015−198624(JP,A)
【文献】
特開2018−099092(JP,A)
【文献】
特開2007−282593(JP,A)
【文献】
国際公開第2016/092914(WO,A1)
【文献】
特表2010−514794(JP,A)
【文献】
3・1・2 レモンフレーバー,特許庁公報 周知・慣用技術集(香料)第II部 食品用香料,日本国特許庁
【文献】
3・1・3 ライムフレーバー,特許庁公報 周知・慣用技術集(香料)第II部 食品用香料,日本国特許庁
【文献】
3・1・4 グレープフルーツフレーバー,特許庁公報 周知・慣用技術集(香料)第II部 食品用香料,日本国特許庁
【文献】
3・1・1 オレンジフレーバー,特許庁公報 周知・慣用技術集(香料)第II部 食品用香料,日本国特許庁
【文献】
Sparkling Water,2018年10月,Mintel GNPD 記録番号(ID#)60566629 <https://www.gnpd.com/sinatra/recordpage/6056629/from_search/VI1ERMcvdB/?page=1>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 2/00−2/84
A23L 3/00−3/54
A23L 5/00−5/49
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
FSTA(STN)
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
その含有量が15g/L以下である難消化性デキストリンを含有し、高甘味度甘味料を非含有である無糖炭酸飲料であって、
その含有量が8.3ppb以上であるシトラールと、
その含有量が9.1ppb以上であるリモネンと、を含み、シトラールとリモネンとの比率が質量比で15.2:9.1〜8.3:50.0である、無糖炭酸飲料。
【請求項2】
容器詰めの無糖炭酸飲料である、請求項1に記載の無糖炭酸飲料。
【請求項3】
外観が透明である容器に収容されている、請求項2に記載の無糖炭酸飲料。
【請求項4】
難消化性デキストリン濃度が5g/L以上15g/L以下である、請求項1から3のいずれか一つに記載の無糖炭酸飲料。
【請求項5】
発光ダイオードにより500万Lux・hの条件で照射される、請求項1から4のいずれか一つに記載の無糖炭酸飲料。
【請求項6】
その含有量が15g/L以下である難消化性デキストリンを含有する容器詰めの無糖炭酸飲料において、
シトラールをその含有量を8.3ppb以上であるようにして含有させ、且つ
その含有量が6.1ppb以上であるヌートカトン、その含有量が7.6ppb以上であるバレンセンおよびその含有量が9.1ppb以上であるリモネンからなる群から選択される一種または二種以上の化合物を含有させることを含む、発光ダイオードによる照射により発生する難消化性デキストリン由来の劣化臭を感じられるのを抑える方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、難消化性デキストリンなどの水溶性食物繊維を含有する炭酸飲料に関し、特に糖類を実質的に含有しない炭酸飲料(無糖炭酸飲料)に関する。
【背景技術】
【0002】
健康意識の高まりに対応すべく、様々な種類の保健機能性物質を含む飲食品が開発されている。このような飲食品に含有される保健機能性物質の一つとして難消化性デキストリンが知られている。
難消化性デキストリンとは、トウモロコシやジャガイモなどの植物を原料として得られる澱粉を焙焼し、つづいてアミラーゼなどの澱粉消化酵素を用いて加水分解した後、該加水分解物から得られる水溶性の食物繊維であって、ヒトが消化しづらい難消化性成分をいう。
難消化性デキストリンには整腸作用、食後における血糖値の上昇に対する抑制作用、血中の中性脂肪やコレステロールに対する低下作用などの多くの機能性が報告されている。そのため、難消化性デキストリンを配合した飲食品が提案されている(例えば特許文献1〜3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016−174552号公報
【特許文献2】特開2014−226073号公報
【特許文献3】特開2015−198624号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、発光ダイオード(Light Emitting Diode,LED)による照射によって生じ得る、水溶性食物繊維含有炭酸飲料における劣化臭を抑制できる新規な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
昨今、炭酸水とも称される無糖炭酸飲料の市場が急激に伸長している。
本発明者は、水溶性食物繊維を含有する炭酸飲料を調製し、これをLED照明下においたところ、白熱灯や蛍光灯照射下においた場合では感じられなかった樹脂臭やカメムシ臭とも表現できる劣化臭(以下、単にLED劣化臭ともいう)が生じていることに気が付いた。このような劣化臭は本発明者によってはじめて確認されており、その解決方法については特許文献1などの従来技術では何ら示されていない。
また、LED劣化臭は、無糖炭酸飲料などの糖類を実質的に含有しない飲料においては、糖分を含有するような他の飲料と比較して、より摂取者に感じられやすい傾向がある。
【0006】
本発明者は鋭意研究の結果、水溶性食物繊維を含有する無糖炭酸飲料においてシトラールと、ヌートカトン、バレンセンおよびリモネンからなる群から選択される一種または二種以上の化合物とをそれぞれ所定の含有量以上で含有させることで、飲んだときにLED劣化臭が感じられるのを抑えることができることを見出し、本発明を完成させた。
【0007】
本発明の要旨は以下のとおりである。
[1] 水溶性食物繊維を含有する無糖炭酸飲料であって、
その含有量が0.1ppb以上であるシトラールと、
その含有量が5ppb以上である、ヌートカトン、バレンセンおよびリモネンからなる群から選択される一種または二種以上の化合物と、を含む無糖炭酸飲料。
[2] 容器詰めの無糖炭酸飲料である、[1]に記載の無糖炭酸飲料。
[3] 外観が透明である容器に収容されている、[2]に記載の無糖炭酸飲料。
[4] 水溶性食物繊維濃度が5g/L以上20g/L以下である、[1]から[3]のいずれか一つに記載の無糖炭酸飲料。
[5] 発光ダイオードにより500万Lux・hの条件で照射される、[1]から[4]のいずれか一つに記載の無糖炭酸飲料。
[6] 前記水溶性食物繊維として難消化性デキストリンを含有する、[1]から[5]のいずれか一つに記載の無糖炭酸飲料。
[7] シトラールとヌートカトン、バレンセンおよびリモネンからなる群から選択される一種または二種以上の化合物との比率が質量比で10:1〜1:10である、[1]から[6]のいずれか一つに記載の無糖炭酸飲料。
[8] 水溶性食物繊維を含有する容器詰めの無糖炭酸飲料において、
シトラールをその含有量を0.1ppb以上であるようにして含有させ、且つ
ヌートカトン、バレンセンおよびリモネンからなる群から選択される一種または二種以上の化合物をその含有量を5ppb以上として含有させることを含む、発光ダイオードによる照射により発生する劣化臭の抑制方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、LEDによる照射によって生じ得る、水溶性食物繊維含有炭酸飲料における劣化臭を抑制できる新規な技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】試験例1に係るグラフである(LEDによる照射)。
【
図2】試験例1に係るグラフである(蛍光灯による照射)。
【
図3】試験例2に係るグラフである(citral+nootkatone)。
【
図4】試験例2に係るグラフである(citral+valencene)。
【
図5】試験例2に係るグラフである(citral+limonene)。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の1つの実施形態について、詳細に説明する。
本実施形態は水溶性食物繊維を含有する無糖炭酸飲料に関する。該無糖炭酸飲料は、その含有量が0.1ppb以上であるシトラールと、その含有量が5ppb以上である、ヌートカトン、バレンセンおよびリモネンからなる群から選択される一種または二種以上の化合物とを含有する。
【0011】
本明細書において炭酸飲料とは、飲料中に溶存している二酸化炭素(炭酸ガス)を含有する飲料をいう。
【0012】
また、実質的に糖類を非含有である炭酸飲料(無糖炭酸飲料)は、炭酸水とも称されている。なお、水(原料水)は無糖炭酸飲料の製造に用いられている水を用いることができ、特に限定されない。
【0013】
健康増進法に基づく栄養表示基準においては、飲料100mlあたり0.5g未満であれば無糖と表示することができる。本明細書においても当該規定と同様に糖類の含有量が100mlあたり0.5g未満を無糖炭酸飲料といい、好ましくは飲料100mL中0.0gである。なお、本明細書において糖類とは、果糖ぶどう糖液糖や砂糖などの単糖類および二糖類をいう。特に限定されないが、糖類以外の甘味料、例えばアスパルテームなどの高甘味度甘味料についても含有しないことが好ましい。
【0014】
本実施形態の無糖炭酸飲料についてそのガスボリュームは特に限定されず当業者が適宜設定でき、例えば、2.0以上5.5以下、好ましくは2.5以上5.0以下、より好ましくは3.0以上4.8以下とすることができる。
本明細書において、ガスボリュームとは、1気圧、0℃における容器詰飲料中に溶解している炭酸ガスの容積と飲料の容積比をいう。
ガスボリュームは、試料を20℃とした後、ガス内圧力計を取り付け、一度活栓を開いてガス抜き(スニフト)操作を行い、直ちに活栓を閉じてから激しく振とうし、圧力が一定になった時の値として得ることができる。
【0015】
本実施形態の無糖炭酸飲料において含有される水溶性食物繊維とは、ヒトの消化酵素では消化されない多糖類を主体とした高分子成分のうち水溶性のものを意味する。
本実施形態の無糖炭酸飲料において含有される水溶性食物繊維は特に制限はなく、例えば難消化性デキストリン、イソマルトデキストリン、ペクチン、ポリデキストロース、アルギン酸、ラミナリン、グアーガム分解物、グルコマンナン、カラギーナン、フコイジンなどを挙げることができる。例えばこれらのうち1種または2種以上が本実施形態の無糖炭酸飲料に含有されるようにしてもよい。
このうち、本実施形態の無糖炭酸飲料の構成を適用することで他の水溶性食物繊維の場合よりもLED劣化臭を抑えることができるため、水溶性食物繊維として難消化性デキストリンが含有されることが好ましい。
難消化性デキストリンとしては例えば市販の難消化性デキストリンを用いることができる。また、難消化性デキストリンと共に他の成分も含む、組成物の態様で配合されるものでもよいほか、水素添加により製造される、難消化性デキストリンの還元物(還元難消化性デキストリン)であってもよい。
本実施形態において水溶性食物繊維の含有量は特に限定されず適宜設定できるが、LED劣化臭をより抑えることができるため、5g/L以上20g/L以下の濃度で含有されることが好ましく、より好ましくは10g/L以上15g/L以下である。
飲料中の水溶性食物繊維濃度は、例えば製造に用いられる原材料に基づき算出することができるほか、平成11年4月26日衛新第13号(「栄養表示基準における栄養成分等の分析方法等について」)に記載の食物繊維の分析方法である高速液体クロマトグラフ法(酵素−HPLC法)などにより測定することができる。
【0016】
本実施形態の無糖炭酸飲料は、シトラールと、ヌートカトン、バレンセンおよびリモネンからなる群から選択される一種または二種以上の化合物とを含有する。
シトラール(C
10H
16O)は、ゲラニアールとネラール(立体異性体)という化合物として存在しており、これらの割合等は特に限定されない。シトラールは一般には精油に含まれる芳香成分の一つとして知られている。
本実施形態の無糖炭酸飲料は、シトラールを0.1ppb以上含有する。また、LED劣化臭をより抑えることができるため、1ppb以上が好ましく、より好ましくは5ppb以上である。
【0017】
ヌートカトン(C
15H
22O)は、セスキテルペン類に属する化合物であり、このうち天然に存在するd−ヌートカトンはグレープフルーツ等に香味成分として含まれる化合物である。本実施形態において、ヌートカトンはd体、l体のいずれか、またはラセミ体等の混合物であってもよく、特に限定されない。
バレンセン(C
15H
24)は、セスキテルペン類に属する化合物であり、オレンジ等に香気成分として含まれる化合物である。
リモネン(C
10H
16)は、モノテルペン類に属する化合物であり、レモン等に香気成分として含まれる化合物である。
本実施形態の無糖炭酸飲料は、これら3種の化合物のうち少なくとも1種を含有し、その含有量は5ppb以上である。また、LED劣化臭をより抑えることができるため、15ppb以上が好ましく、より好ましくは25ppb以上である。
【0018】
シトラール、ヌートカトン、バレンセンおよびリモネンについて、これらの含有量の上限値は特に限定されないが、シトラールが10ppm以下(より好ましくは3ppm以下、さらにより好ましくは1ppm以下)であり、且つヌートカトン、バレンセンおよびリモネンのうち含有される少なくとも一種の化合物について30ppm以下(より好ましくは10ppm以下、さらにより好ましくは5ppm以下、さらにより一層好ましくは1ppm以下)であることが好ましい。該上限値を満足することで、該上限値を超えてこれらの化合物を含有する場合と比較して、飲料を飲んだときに感じられるこれら化合物由来の香りの影響をより小さくしてLED劣化臭を抑えることができる。
【0019】
シトラールとヌートカトン、バレンセンおよびリモネンのうち少なくとも一種について、その比率は特に限定されないが、よりLED劣化臭を抑えることができるためシトラール:ヌートカトン、バレンセンおよびリモネンのうち少なくとも一種について、質量比で10:1〜1:100を満足することが好ましく、より好ましくは10:1〜1:10である。また、おいしさの観点も考慮しても、上記の質量比で10:1〜1:10の場合がより好ましいといえる。
【0020】
シトラール、ヌートカトン、バレンセンおよびリモネンについて、含有量はその添加量から算出することができる。また、本実施形態において、炭酸飲料中のシトラール、ヌートカトン、バレンセンおよびリモネンの含有量は、ガスクロマトグラフ質量分析計(GC/MS)を用いた固相マイクロ抽出法(SPME)法により定量することができる。具体的には、例えば、装置としてアジレント・テクノロジー社製、7890A GC/5975C MSDを用いることができ、以下に示すような条件で行うことができる。
定量には絶対検量線法を用いることができる。例えば、測定サンプルについて3サンプルずつ準備し、その定量結果の平均値を測定結果とすることができる。準備した測定サンプルを含む20mLバイアル瓶を、70℃で10分間の加熱処理を施した後、当該バイアル瓶の気相部分にSUPELCO社製のSPMEファイバー(DVB/CAR/PDMS)を挿入し、5分間揮発成分を捕集する。このSPMEファイバーをGC/MSに設置し、300秒間焼成することにより、捕集した揮発成分を脱離することができる。
GC/MSの分析条件は以下の通りである。
カラム:アジレント・テクノロジー社製、DB−WAX 0.25mm×30m×0.25μm
オーブン温度:40℃で5分、その後3℃/分で180℃まで昇温。
キャリアガス:ヘリウム
注入口温度:230℃
注入方法:スプリットレス
【0021】
本実施形態の無糖炭酸飲料は、水溶性食物繊維、シトラール、ヌートカトン、バレンセンおよびリモネンに加えて、本発明の目的を達成することができる範囲内において他の成分を含んでもよく、特に限定されない。
【0022】
例えば、果物などの所定のものを想起させる香りを付与できる成分(香料とも称される)が添加されて本実施形態の無糖炭酸飲料が製造されてもよい。
使用される香料として、例えば、レモンフレーバー、ライムフレーバー、グレープフルーツフレーバー、オレンジフレーバー、スウィーティーフレーバー、シークァーサーフレーバー、ゆずフレーバー、みかんフレーバー、スダチフレーバーなどの柑橘類フレーバー、カリンフレーバー、シソフレーバー、アップルフレーバー、クリームフレーバー、トロピカルフルーツフレーバー、ミルク系フレーバー、メロンフレーバー、ミントフレーバー、ハニーフレーバー、ヨーグルトフレーバー、ベリーフレーバー、グレープフレーバー、アセロラフレーバー、アボカドフレーバー、あんずフレーバー、イチゴフレーバー、いちじくフレーバー、柿フレーバー、キウイフレーバー、カシスフレーバー、クランベリーフレーバー、さくらんぼフレーバー、スイカフレーバー、すももフレーバー、ヤマモモフレーバー、ドリアンフレーバー、パイナップルフレーバー、パパイヤフレーバー、バナナフレーバー、ブルーベリーフレーバー、マスカットフレーバー、マンゴーフレーバー、桃フレーバー、洋ナシフレーバー、ライチフレーバー、ラズベリーフレーバー、ストロベリーフレーバー、ウメフレーバー、緑茶フレーバー、ウーロン茶フレーバー、紅茶フレーバー、ココアフレーバー、チョコレートフレーバー、コーヒーフレーバー、カシアフレーバー、ローズマリーフレーバー、モミノキフレーバー、マツブサフレーバー、モロヘイヤフレーバー、ヤクチフレーバー、ユーカリフレーバー、シナモンフレーバー、ジンジャーフレーバー、タイムフレーバー、ナツメグフレーバー、ハッカフレーバー、マタタビフレーバー、マチコフレーバー、マツフレーバー、マツオウジフレーバー、マッシュルームフレーバー、マツタケフレーバー、マメフレーバー、マリーゴールドフレーバー、バニラフレーバー、スパイス系フレーバー、ナッツ系フレーバー、洋酒系フレーバー、フラワー系フレーバー、野菜系フレーバー等が挙げられる。
本実施形態の無糖炭酸飲料に含まれるシトラールと、ヌートカトン、バレンセンおよびリモネンについて、シトラールが10ppm以下であると共にヌートカトン、バレンセンおよびリモネンのうち含有される少なくとも一種の化合物が30ppm以下である場合には、シトラール、ヌートカトン、バレンセンおよびリモネン以外に由来する香りをより感じられるようにしつつ、LED劣化臭も抑えられるため、好ましい。
【0023】
さらに、本実施形態の無糖炭酸飲料は、その他の成分、例えば市販の飲料において用いられている飲料成分が含まれるようにしてもよい。このような成分としては、上述の香料のほかに、消泡剤、酸味料、炭酸水素ナトリウムやクエン酸ナトリウムやリン酸ナトリウムや塩化ナトリウムなどのナトリウム塩、硫酸マグネシウムなどのマグネシウム塩、リン酸カリウムなどのカリウム塩、塩化カルシウムなどのカルシウム塩、pH調整剤、保存料、抗酸化剤、甘味料、アミノ酸などを挙げることができる。なお、これらの成分を含まない飲料(例えば、シトラールとヌートカトン、バレンセンおよびリモネンのうち少なくとも一種以外では、水、水溶性食物繊維、および商品設計などの必要に応じて含有される香料のみからなる飲料)においてはマスキングできる成分の添加が他の飲料よりも限られる。また、本実施形態に係わる構成の適用によりこれらの成分を含まない上記飲料においてはLED劣化臭を抑える効果をより得ることができる。そのため、本実施形態に係るシトラールとヌートカトン、バレンセンおよびリモネンのうち少なくとも一種についての含有量が適用され、LED劣化臭が抑えられていることが好ましい。
【0024】
また、本実施形態の無糖炭酸飲料は、外観が無色透明などの透明である飲料とすることができる。
本明細書において、透明とは720nmの吸光度が0.01以下である飲料をいう。また、無色透明とは、透けて見え、特定の色もなく、水と同様の外観である状態をいう。720nmの吸光度は、例えば、分光光度計を用い、光路長1cmとして測定することができる。
透明である飲料においてはLED劣化臭をマスキングできる成分の添加が他の飲料よりも限られる。そのため、本実施形態に係るシトラールとヌートカトン、バレンセンおよびリモネンのうち少なくとも一種についての含有量が適用され、LED劣化臭が抑えられていることが好ましい。
【0025】
本実施形態の無糖炭酸飲料は、例えば、原料水に、水溶性食物繊維その他必要に応じて加えられるその他の成分を添加するとともに、シトラールを0.1ppb以上含有させ、ヌートカトン、バレンセンおよびリモネンからなる群から選択される一種または二種以上の化合物を5ppb以上含有させる処理と、飲料中に二酸化炭素を溶存させる処理とを行うことで製造することができる。水溶性食物繊維などの成分を添加する方法や順序などは特に限定されず、当行者が適宜設定できる。上記の原料水は、水自体のほか、含有されるその他の成分の溶液等であってもよい。
水溶性食物繊維は、単独で配合されても、また、他の含有成分と共に配合されるようにしてもよく、特に限定されない。
シトラール、ヌートカトン、バレンセンおよびリモネンについても、単独で配合されても、また、他の含有成分(例えば、上述の香料など)と共に配合されるようにしてもよい。
また、飲料中に二酸化炭素を溶存させる処理も特に限定されず、例えば、原料水に水溶性食物繊維を溶解させて得られる溶液に二酸化炭素を溶存させた水を混合して炭酸飲料とする方法(ポストミックス法)や、上述の溶液に二酸化炭素を直接噴き込んで溶解させる方法(プレミックス法)が挙げられる。
【0026】
本実施形態の無糖炭酸飲料は、容器に封入された容器詰飲料とすることができる。
容器への封入方法などは特に限定されず、例えば常法に従って行うことができる。
容器も炭酸飲料に用いられる公知のものを適宜選択して用いることができ、素材や形状など特に限定されない。容器の具体例としては、例えば、透明又は半透明のビン、PETボトル等の透明又は半透明のプラスチック容器、スチール缶やアルミニウム缶等の金属缶などが挙げられ、このうちLED照明による影響を受けやすいと考えられる透明な容器に収容される容器詰飲料において本発明の構成が適用されることが好ましい。
【0027】
以上、本実施形態によれば、水溶性食物繊維を含有する無糖炭酸飲料において、その含有量が0.1ppb以上であるシトラールと、その含有量が5ppb以上である、ヌートカトン、バレンセンおよびリモネンからなる群から選択される一種または二種以上の化合物とを含有させることで、LED劣化臭が感じられるのを抑えることができる。具体的には、例えば、LEDにより500万Lux・hの条件で照射されるときの劣化臭が感じられるのを抑えることができる。
その結果、水溶性食物繊維を含有する飲料について嗜好性を高めることができるので、商品価値のより高い飲料とすることができる。
また、本発明の一態様として、溶性食物繊維を含有する容器詰めの無糖炭酸飲料において、シトラールをその含有量を0.1ppb以上であるようにして含有させ、且つヌートカトン、バレンセンおよびリモネンからなる群から選択される一種または二種以上の化合物をその含有量を5ppb以上として含有させることを含む、発光ダイオード照明による照射により発生する劣化臭の抑制方法も提供することができる。
【実施例】
【0028】
以下の実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【0029】
[飲料の調製1]
難消化性デキストリン(製品名:ファイバーソル2、松谷化学社製)を13g/Lの濃度で水に溶解させるとともに、シトラールと、ヌートカトン、バレンセンまたはリモネンとを表1に記載する濃度で水に溶解させた。次いでポストミックス法により炭酸ガスを含有させ、無色透明のペットボトル(500ml)に封入し、実施例、比較例の容器詰無糖炭酸飲料を得た(ガスボリューム:3.5)。
【0030】
[試験例1]
上記のようにして得られた実施例1〜3、比較例1〜4の飲料について、評価パネル5名による、おいしさおよびLED劣化臭(樹脂臭、カメムシ臭)の強さに関する評価を行った。試飲サンプルは4℃でパネルに提供した。各飲料については、官能試験に供する前にLEDによる照射(500万lx・h)または蛍光灯による照射(50万lx・h)を行った。また、上記4種の化合物を含有させない以外は同様の方法で調製した炭酸飲料を対照として用いた。
評価はLEDによる照射を行っていない対照の飲料についておいしさは4点、LED劣化臭は1点とした1〜7点の7段階評価で行った(おいしさ:最もおいしいものを7点とした。LED劣化臭:最もLED劣化臭が強く感じられるものを7点とした)。
結果を表1と
図1、2に示す。
【0031】
【表1】
【0032】
表1、
図1に示す結果から、LEDによる照射によりLED劣化臭が強く感じられるようになり、飲料のおいしさも低下することが理解できる。シトラールとヌートカトン、バレンセンまたはリモネンとを含有する実施例の飲料においては、飲んだときに感じられるLED劣化臭が抑制されていた。
なお、蛍光灯による照射による場合、LED劣化臭の程度はLEDによる照射の場合より小さかった(
図2)。
【0033】
[飲料の調製2]
シトラールおよびヌートカトン、バレンセンまたはリモネンの濃度を表2〜4に記載する値とした以外は上記調製1と同様の方法で実施例、比較例の容器詰無糖炭酸飲料を得た(ガスボリューム:3.5)。
【0034】
[試験例2]
表2〜4に示す飲料について、試験例1と同様に、LEDによる照射を行った後に評価パネル5名によるおいしさおよびLED劣化臭に関する評価を行った。
結果を表2〜4および
図3〜5に示す。
【0035】
【表2】
【0036】
【表3】
【0037】
【表4】
【0038】
シトラールとヌートカトン、バレンセンまたはリモネンについて、モル比で10:1〜1:100の範囲で比率を変化させた場合にも、試験例1の場合と同様に、各化合物単独で添加した場合(表1に示すとおり、シトラール:2.6、リモネン:4、ヌートカトン:3.2、バレンセン:2.6)と比較してLED劣化臭が抑えられていた。
また、シトラールとヌートカトン、バレンセンまたはリモネンについて、モル比で10:1〜1:10の範囲とすることで、各化合物単独で添加した場合(表1に示すとおり、シトラール:3.4、リモネン:2.8、ヌートカトン:2.8、バレンセン:3.0)と比較しておいしさについても改善されていた。
【要約】
【課題】 発光ダイオード(LED)による照射によって生じ得る、水溶性食物繊維含有飲料における劣化臭を抑制できる新規な技術を提供する。
【解決手段】 水溶性食物繊維を含有する無糖炭酸飲料であって、その含有量が0.1ppb以上であるシトラールと、その含有量が5ppb以上である、ヌートカトン、バレンセンおよびリモネンからなる群から選択される一種または二種以上の化合物と、を含む無糖炭酸飲料。
【選択図】 なし