【課題を解決するための手段】
【0037】
このために、本発明は、
−潜在的に湿った気体である第1の気体が循環するのに適している少なくとも1つの第1のチャンバ、
−潜在的に湿った気体を最大動作圧力P
maxまで前記第1のチャンバの入口に供給するのに適した少なくとも1つの第1の供給ラインであって、ゼロ値から最大値D
H,maxの間に前記第1の気体の流量D
Hを調整するのに適した第1の流量調整器を備える少なくとも1つの第1の供給ライン、
−第2の気体が循環するのに適した少なくとも1つの第2のチャンバ、
−前記第2のチャンバの入口に第2の気体を供給するのに適した少なくとも1つの第2の供給ラインであって、ゼロ値から最大値D
O,maxの間に前記第2の気体の流量D
Oを調整するのに適した第2の流量調整器を備える少なくとも1つの第2の供給ライン、
−前記第1及び第2のチャンバが収容される筐体であって、前記筐体内で均等化気体と称される第3の気体が循環するのに適しており、前記最大動作圧力P
maxまで前記均等化気体の圧力下で作動するのに適している筐体、
−好ましくは空気である均等化気体を前記筐体の内部に供給するのに適した第3の供給ラインであって、ゼロ値から最大値D
air,maxの間に前記均等化気体の流量D
airを調整するのに適した第3の流量調整器を備える第3の供給ライン、
−大気圧から前記最大圧力値P
maxの間の、前記第1及び第2のチャンバの各々及び前記筐体の圧力を測定するのに適した圧力センサ(P
H、P
O、P
air)、
−前記筐体の外側に配置され、それぞれ前記第1の1つのチャンバ又は複数のチャンバの、前記第2の1つのチャンバ又は複数のチャンバの、及び前記筐体の出口ラインに配置される少なくとも3つの調整弁(V
H、V
O、V
air)であって、各弁が、考えられる前記最大圧力P
maxにおける前記湿った気体の凝縮温度より高い温度で各々が作動するのに適しており、各弁が、0%から100%まで開くのに適しており、前記最大圧力P
max及び前記3つの出口ラインの各々で考えられる前記気体の平均流量に適した容量K
vを有する、少なくとも3つの調整弁(V
H、V
O、V
air)、
−前記湿った気体を含む前記ラインを、考えられる前記最大圧力P
maxでこの湿った気体の前記凝縮温度より高い温度に加熱する手段、及び、
−前記第1の1つのチャンバ又は複数のチャンバ、前記第2の1つのチャンバ又は複数のチャンバ及び前記筐体の間の最小の圧力差を得るための前記圧力センサによって測定された圧力値の差の関数として調整弁(V
H、V
O、V
Air)に指令を送って自動的に制御する指令及び自動制御手段を含み、
前記筐体及び前記チャンバの上流及び下流に気体を循環するための前記ラインの容積、すなわち、前記第1の1つのチャンバ又は複数のチャンバの容積であるVol
H、前記第2の1つのチャンバ又は複数のチャンバの容積であるVol
O、及び、前記筐体の容積Vol
airを含むことによって、前記流量調整器が、Vol
H/D
H,max=Vol
O/D
O,max=Vol
air/D
air,maxの比に適合するような大きさである、システムに関する。
【0038】
この場合及び本発明の範囲内の「潜在的に湿った気体」は、本発明によるシステムの入口で既に濡れているか、又はその製造中若しくはそのシステム内のその通路で湿った状態に移行する状態を有する気体を意味する。
【0039】
この場合及び本発明の範囲内の「湿ったガス」は、水蒸気部分又は水蒸気のみからなる気体を含む気体(又は気体混合物)を意味する。
【0040】
任意に、気体は、水以外の液体の気化によって生じる蒸気部分を含むことができる。
【0041】
代替案によれば、本発明によるシステムは、前記第1の1つのチャンバ又は複数のチャンバの出口ライン上で、前記調整弁V
Hの下流に配置された、前記湿った気体用の凝縮器を含む。従って、このシステムは、凝縮器を必ずしも備えているとは限らない。実際、一部の用途では、システムの出口の湿った気体をそのまま凝縮する必要なくそのまま使用することができる。これは、湿った気体がメタン化反応器などの特定のタイプの反応器又は容器に供給される場合に当てはまることがある。
【0042】
有利な実施形態によれば、前記第2の気体V
0及び前記均等化気体V
air用の弁の完全な開閉状態を避けるために、前記指令及び自動制御手段はさらに、前記第2の気体V
0及び前記均等化気体V
Air用の調整弁の開放状態の関数として前記第2の気体D
O及び前記均等化気体D
Air用の流量調整器に指令を送って自動的に制御するのに適している。
【0043】
有利な使用によれば、このシステムは、アノード、カソード並びに前記アノード及び前記カソードの間に挿入された電解質をそれぞれが含む固体酸化物基本電解セル又は共電解セルのスタックを備える高温電気分解又は共電解(HTE)反応器を備え、前記セルが、直列に電気的に接続され、前記スタックが、前記セルに電流を供給する2つの電気端子を備え、第1のチャンバとして前記カソードに水蒸気及び水素、又は、蒸気、水素及び二酸化炭素(CO
2)を循環するためのチャンバ、及び、第2のチャンバとして前記アノードに空気又は窒素又は酸素又は酸素を含む気体混合物を循環するためのチャンバを画定する。
【0044】
別の有利な使用によれば、このシステムは、アノード、カソード並びに前記アノード及び前記カソードの間に挿入された電解質をそれぞれが含む固体酸化物基本電気化学セルのスタックを備える高温燃料電池(SOFC)スタックを備え、前記セルが、直列に電気的に接続され、前記スタックが、前記セルの電流回復のための2つの電気端子を備え、第1のチャンバとして前記アノードに二水素又は他の燃料気体又は燃料気体を含む混合物を循環するためのチャンバ、及び、第2のチャンバとして前記カソードに空気又は窒素又は酸素又は酸素を含む気体混合物を循環するチャンバを画定する。
【0045】
この場合、第1のチャンバの入口の気体は、必ずしも濡れていないが、水蒸気は、この第1のチャンバの電気化学反応の生成物であるため、出口で濡れている。
【0046】
このシステムは、可逆的であってもよく、燃料電池スタックは、高温電解槽であってもよく、逆も可能である。
【0047】
本発明は、「平均的な温度」すなわち、400℃で、燃料電池スタック又は電解槽又は“プロトンセラミック燃料電池”を意味するPCFCで使用される。
【0048】
一般に、固体酸化物電気化学システムの技術分野外では、本発明は、主筐体内に収容された幾つかの密閉されたチャンバの圧力調整が必要であり、その各々において圧力下で気体が循環されるのに必要なすべてのシステムに使用される。
【0049】
本発明の代替案によれば、このシステムは、それぞれ前記第1のチャンバの各々、前記第2のチャンバの各々及び前記筐体の圧力をそれぞれが測定するのに適した絶対圧力(P
H、P
0、P
air)用の少なくとも3つのセンサを備える。
【0050】
あるいは、このシステムは、各々が前記第1のチャンバの各々の圧力を測定するのに適した、絶対圧力(P
H)用の少なくとも1つのセンサを備え、前記第2の1つのチャンバ又は複数のチャンバ及び前記第1の1つのチャンバ又は複数のチャンバの圧力差ΔP
O=(P
O−P
H)、並びに、前記筐体及び前記第1の1つのチャンバ又は複数のチャンバの圧力差ΔP
air=(P
air−P
H)をそれぞれ測定するのに適した少なくとも2つの差動センサを備える。
【0051】
本発明の他の代替案によれば、このシステムはさらに、各々が前記調整弁V
H、V
O及びV
airとそれぞれ並列に配置されたバイパス弁V
H,bypass、V
O,bypass及びV
air,bypassをさらに備える。これらのバイパス弁は、開かれているときに大気圧で作動する。このため、これらのバイパス弁は、流路におけるヘッド損失を低減するために、気体を循環させるためのラインとほぼ同じ大きさの流路径を有する。
【0052】
したがって、本発明は、本質的に、
−所定の動作点の電気化学的安定性を確保するために、一方のチャンバの上流で湿った気体の流量D
Hを調整する段階と、
−さらに一般的には高温である湿った気体を含む気体のスタックの下流に配置された調整弁V
H、V
O及びV
airによって圧力を支配する段階と、
からなる。
【0053】
システムの動作中、調整弁で気体の膨張が起こり、その結果、冷却が行われる。
【0054】
従って、本発明による解決策は、弁の穴を詰まらせ得る液状の水滴を形成する可能性があると熱科学の専門家が考えているので、このような冷却を拒否する熱科学の専門家の通常の勧告に反している。
【0055】
これを防ぐために、熱科学の専門家は、むしろ調整弁に着く前に気体を乾燥させることを提案している。
【0056】
しかし、本発明者らは、その経験を通して、水蒸気を含むラインが、考えられる最大圧力P
maxにおける水蒸気の凝縮温度よりも高い温度に保たれるならば、湿った気体を調整することからなる本発明による解決策が、非常に良好に動作すると考えている。
【0057】
さらに、湿った気体の調整は、この膨張のおかげで、水蒸気の大部分を除去するために冷却される凝縮器に気体が送られる前に気体の冷却に寄与する、HTE反応器又はSOFCスタックのような固体酸化物系に対しても利点を有する。
【0058】
3つの区画、すなわち、第1のチャンバ、第2のチャンバ、及び筐体のそれぞれにおいておおよそ同じの大きさの圧力変化を有するためには、考えられる区画の容積とそれに注入され得る最大気体流量との間に同じ比を有することが好ましい。
【0059】
筐体及びチャンバの上流及び下流の循環気体のためのラインの容積、すなわち、第1のチャンバの容積であるVol
H、第2のチャンバの容積であるVol
O、及び筐体の容積であるVol
airを含むことによって、ガス流量計(流量調整器)は、好ましくは、Vol
H/D
H,max=Vol
O/D
O,max=Vol
air/D
air,maxの比に適合するように採寸される。
【0060】
筐体が完全に密閉されていないリスクがあるシステムの特定の場合では、筐体内の最大均等化気体流量D
Air,maxが、気体流量の増加によって補償する必要がある筐体の漏れを考慮に入れて過大になることが保証される。
【0061】
従来技術のいくつかの解決法、特に刊行物[7]に開示されている解決策とは対照的に、本発明による流量の調整は、バッファ容積を使用する必要なしに行われる。
【0062】
本発明はまた、
(a)以下の動作設定値を規定する段階:
(a1)所定の電気化学的な動作点に必要な潜在的に湿った気体の量に対応する流量D
Hを規定する段階と、
(a2)所定の電気化学的な動作点に必要な第2の気体の量に対応する流量D
Oを規定する段階と、
(a3)漏れに関する検出及び安全性、並びに、前記筐体内の爆発性雰囲気の形成を防止するのに必要な第2の気体の量に対応する流量D
airを規定する段階と、
(a4)前記所定の動作点における圧力P
setpointを規定する段階と、
(a5)前記第2の1つのチャンバ又は複数のチャンバ内で支配的な圧力の偏差と前記第1の1つのチャンバ又は複数のチャンバ内で支配的な圧力の偏差との間の圧力の偏差に対応する差圧ΔP
O,setpointを規定する段階と、
(a6)前記筐体内の圧力の偏差と前記第1の1つのチャンバ又は複数のチャンバ内で支配的な圧力の偏差との間の圧力の偏差に対応する差圧ΔP
air,setpointを規定する段階と、
(b)以下の調整を使用する段階:
(b1)前記湿った気体の流量D
Hを調整するために、前記湿った気体の流量調整器を作動させる段階と、
(b2)前記第2の1つのチャンバ又は複数のチャンバに入る前記流量D
Oを調整するために前記第2の気体の流量調整器を作動させる段階と、
(b3)前記筐体に入る前記流量D
airを調整するために前記均等化気体の流量調整器を作動させる段階と、
(b4)前記第1の1つのチャンバ又は複数のチャンバの実際の圧力P
Hを前記設定値P
setpointに調整するために、前記湿った気体用の調整弁V
Hを作動させる段階と、
(b5)前記第2の1つのチャンバ又は複数のチャンバと前記第1の1つのチャンバ又は複数のチャンバとの間の実際の差圧ΔP
O=(P
O−P
H)が前記設定値(ΔP
O,setpoint−ΔP
O)に関して測定された誤差の関数として調整され、前記第2の気体の圧力P
Oが、前記設定値の差圧ΔP
O,setpointを有する前記第1の1つのチャンバ又は複数のチャンバのP
Hに従うように、前記第2の気体の弁V
0を作動させる段階と、
(b6)前記筐体と前記第1の1つのチャンバ又は複数のチャンバとの間の実際の差圧ΔP
air=(P
air−P
H)が前記設定値(ΔP
air,setpoint−ΔP
air)に関して測定された誤差の関数として調整され、前記筐体の均等化気体の圧力P
airが、前記設定値の差圧ΔP
air,setpointを有する前記第1の1つのチャンバ又は複数のチャンバのP
Hに従うように、前記均等化気体の弁V
airを作動させる段階と、
を含む、上記のシステムの動作方法に関する。
【0063】
この方法の代替案によれば、前記第2の気体の調整弁V
0及び前記均等化気体の調整弁V
airがそれぞれ完全な閉状態に近い場合、前記第2の気体D
0及び前記均等化気体D
airの流量増加段階が提供される。
【0064】
逆に、前記第2の気体の調整弁V
0及び前記均等化気体の調整弁V
airがそれぞれ完全な開状態に近い場合、前記第2の気体D
0及び前記均等化気体D
Airの流量減少段階を提供することができる。
【0065】
換言すれば、段階b1からb6の調整に加えて、好ましくは自動制御によって流量D
O及びD
airの増減を提供することが可能であり、第2の気体のための調整弁V
O及び筐体内の均等化気体のための調整弁V
airは、その閉鎖限界又は開放限界に達する危険性がある。従って、
−V
Oが閉鎖する危険性がある場合、流量D
Oは増加する。
−V
Oが完全に開く危険性がある場合、流量D
Oは減少する。
−V
airが閉鎖する危険性がある場合、流量D
airは増加する。
−V
airが完全に開く危険性がある場合、流量D
airは減少する。
【0066】
圧力上昇段階では、潜在的に湿った気体のための調整弁V
Hが完全に閉鎖されることがある。この場合、システムが固体酸化物電気化学システムである場合、気体の生成を停止させるか、又は気体の流量を最小値に維持するための安全対策が確実に行われる。
【0067】
特に、システムが電解(共電解)反応器を含む場合、湿った気体(水蒸気及び生成された水素)のための調整弁V
Hの完全閉鎖は、もはや電解セル上の反応性気体の循環が実質的になく、従って、ゼロ電流強度の設定値を与えることによって水素の生産を止めるためのセーフガードを実施することが推奨される。
【0068】
同様に、SOFCスタックモードでは、おそらく、セルに酸化剤を供給するために酸素流量を維持する必要がある。これにより、流量調整器が下回らない酸素流量最小値D
Oを設定することができる。別の可能性は、ゼロ電流強度の設定値を与えることによって、電気の生成を止めるためのセーフガードを実施することにある。