特許第6574909号(P6574909)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6574909
(24)【登録日】2019年8月23日
(45)【発行日】2019年9月11日
(54)【発明の名称】パークロックデバイス
(51)【国際特許分類】
   B60T 1/06 20060101AFI20190902BHJP
【FI】
   B60T1/06 G
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-550198(P2018-550198)
(86)(22)【出願日】2017年11月6日
(86)【国際出願番号】JP2017039993
(87)【国際公開番号】WO2018088374
(87)【国際公開日】20180517
【審査請求日】2018年11月19日
(31)【優先権主張番号】特願2016-219386(P2016-219386)
(32)【優先日】2016年11月10日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000231350
【氏名又は名称】ジヤトコ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】特許業務法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】榎本 隆
【審査官】 山田 康孝
(56)【参考文献】
【文献】 特表2018−550198(JP,A)
【文献】 特開2014−148199(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60T 1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パークロッドと、
パークロック係合状態からパークロック解除状態に変化するにつれて付勢力が増加する付勢部材と、
を有し、
前記パークロッドの作動ストロークに対する前記パークロッドの受けるリターン荷重の変化を示す傾きであって前記パークロック解除状態時における傾きが、前記パークロック係合状態時よりも小さくなるように、前記付勢部材が回動可能に支持されている、
パークロックデバイス。
【請求項2】
請求項1に記載のパークロックデバイスであって、
前記パークロック解除状態時に前記パークロッドの受けるリターン荷重が、前記パークロック係合状態時よりも小さくなる、
パークロックデバイス。
【請求項3】
請求項1に記載のパークロックデバイスであって、
前記付勢部材の一端は、固定部材に固定され、
前記付勢部材の他端は、移動部材に支持されている、
パークロックデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パークロックデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
車両のパークロックを行うパークロックデバイスが知られている。JP2014−80110Aには、パークロッドをパークロック解除方向に駆動する油圧アクチュエータ内にピストンと同軸にリターンスプリングを配置した車両用パーキングロック装置が開示されている。
【発明の概要】
【0003】
パークロックデバイスをパークロック係合状態に移行させるときには、大きなスプリング荷重を発生させることが好ましい。ところがこの場合、JP2014−80110Aの技術のようにスプリングを配置すると、スプリングの荷重特性、つまりストロークに応じた荷重の変化が線形となる結果、パークロック解除状態を維持する際にも大きな荷重が作用する虞がある。
【0004】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたもので、パークロック解除状態を維持する際のリターン荷重を低減することが可能なパークロックデバイスを提供することを目的とする。
【0005】
本発明のある態様のパークロックデバイスは、パークロッドと、パークロック係合状態からパークロック解除状態に変化するにつれて付勢力が増加する付勢部材と、を有し、前記パークロッドの作動ストロークに対する前記パークロッドの受けるリターン荷重の変化を示す傾きであって前記パークロック解除状態時における傾きが、前記パークロック係合状態時よりも小さくなるように、前記付勢部材が回動可能に支持されている構成とされる。
【0006】
付勢部材そのものの荷重特性に応じた付勢力は、パークロック係合状態からパークロック解除状態に変化するにつれて増加する。その一方で、例えば付勢部材そのものの荷重特性が線形で付勢力の作用方向が一定の場合には、リターン荷重も線形に変化し、パークロック解除状態で最大荷重に到達することになる。リターン荷重は、付勢部材がパークロッドに及ぼす荷重であり、付勢部材の設置態様によって付勢部材の付勢力そのものとは異なってくる荷重である。
【0007】
上記態様によれば、付勢部材を回動可能に支持するので、付勢力の作用方向を変化させることができる。したがって、リターン荷重の変化特性を付勢力の作用方向の変化に応じた非線形な特性とすることができる。そして、このようにリターン荷重の変化特性を非線形にすれば、パークロック解除状態時に最大となるリターン荷重を抑制することや、リターン荷重のピークをパークロック解除状態時からパークロック係合状態時側にずらすことができる。
【0008】
このため、上記態様によれば、例えば付勢部材そのものの荷重特性に基づく傾きでリターン荷重を線形に変化させた場合と比較して、パークロック解除状態を維持する際のリターン荷重を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、パークモジュールの概略構成図の第1図である。
図2図2は、パークモジュールの概略構成図の第2図である。
図3図3は、作動ストロークに応じたリターン荷重の変化特性を示す図である。
図4図4は、パークモジュールの変形例の第1図である。
図5図5は、パークモジュールの変形例の第2図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
【0011】
図1図2は、パークモジュール1の概略構成図である。図1では、パークロック係合状態PEでパークモジュール1を示す。図2では、パークロック解除状態PRでパークモジュール1を示す。
【0012】
パークモジュール1は、パークロックデバイスであり、変速機とともに車両に設けられ、変速機の出力軸を機械的にロックする。パークモジュール1は、パーキングギヤ2と、パーキングポール3と、パークロッド4と、カム5と、カムスプリング6と、スリーブ7と、リンクレバー8と、パークアクチュエータ9と、ロック機構10と、油圧回路11と、リターンスプリング20とを備える。
【0013】
パーキングギヤ2は、変速機の出力軸に固定され、出力軸と共に回転または停止する。パーキングギヤ2には、パーキングポール3が係合する。
【0014】
パーキングポール3は、パークロッド4の動きに応じて揺動する。パーキングポール3が揺動すると、パーキングギヤ2とパーキングポール3との係合状態が変更される。
【0015】
図1に示すように、パーキングギヤ2とパーキングポール3とが係合した状態では、パーキングギヤ2が機械的にロックされ、出力軸もロックされる。これにより、パークモジュール1がパークロック係合状態PEになり、車両の移動が規制される。
【0016】
図2に示すように、パーキングギヤ2とパーキングポール3との係合が解除された状態では、パーキングギヤ2及び出力軸のロックが解除され、パーキングギヤ2及び出力軸が回転可能となる。これにより、パークモジュール1がパークロック解除状態PRになり、車両の移動規制が解除される。
【0017】
パークロッド4は、パークアクチュエータ9によって、図1に示されるパークロックポジションと、図2に示される非パークロックポジションとに移動される。
【0018】
パークロッド4の一端側には、カム5が取り付けられる。カム5は、パーキングポール3に接触し、パークロッド4の動きに応じてパーキングポール3を揺動させる。カム5は、パークロッド4が図1に示されるパークロックポジションにある場合に、パーキングギヤ2とパーキングポール3とを係合させる。カム5は、パークロッド4が図2に示される非パークロックポジションにある場合に、パーキングギヤ2とパーキングポール3との係合を解除する。カムスプリング6は、パークロッド4が図1に示されるパークロックポジションにある場合に、カム5をパーキングポール3に向けて付勢する。
【0019】
スリーブ7は、パークロッド4に対しパーキングポール3とは反対側に設けられる。スリーブ7は、パーキングポール3とは反対側からカム5又はパークロッド4に当接することで、パーキングポール3とカム5又はパークロッド4との接触状態を保持する当接部材として不動に設けられる。
【0020】
パークロッド4の他端側には、リンクレバー8の一端部が接続される。リンクレバー8は、パークアクチュエータ9の力をパークロッド4に伝達する。リンクレバー8は、L字状の形状を有し、リンクレバー8の中間部には、回転軸が設けられる。リンクレバー8は、回転軸周りに回転することで、パークアクチュエータ9の伸長動作時にパークロッド4をパークロック解除方向に移動させ、パークアクチュエータ9の短縮動作時にパークロッド4をパークロック方向に移動させる。リンクレバー8の一端部には、リターンスプリング20の取付部8aが設けられる。
【0021】
パークアクチュエータ9は、パークロッド4を駆動する。パークアクチュエータ9は、パークロッド4の動作方向と概ね直交する方向に動作方向を有するように設けられる。パークアクチュエータ9は、パーキングレンジが選択された場合に、パークロッド4を図1に示されるパークロックポジションに駆動する。
【0022】
パークアクチュエータ9は具体的には、シリンダ91と、ピストン92と、受圧室93とを有する油圧シリンダで構成される。シリンダ91はピストン92を収容し、ピストン92はシリンダ91内を摺動する。ピストン92は、ピストン部921とロッド部922とを有する。
【0023】
ピストン部921は、シリンダ91内を摺動する。ピストン部921には、シリンダ91との間のクリアランスをシールするシールリングが設けられる。ピストン部921は、シリンダ91の底部側に受圧面92aを有する。
【0024】
ロッド部922は、受圧面92aとは反対側からピストン部921に接続する。ロッド部922は、シリンダ91から外部に突出するように設けられる。ロッド部922のうち図1に示すパークロック状態でシリンダ91から外部に突出する部分には、リンクレバー8の他端部が接続される。
【0025】
ロッド部922には、係合部92bが設けられる。係合部92bは、ロッド部922のうち図2に示すパークロック解除状態PRでシリンダ91から外部に突出する部分に設けられる。係合部92bには、図2に示すパークロック解除状態PRでロック機構10が係合する。ピストン92は単一の部材で構成されてもよく、複数の部材の組み合わせとされてもよい。
【0026】
受圧室93は、シリンダ91、ピストン92で形成される。受圧室93には、受圧面92aが位置し、油圧回路11から油が供給される。
【0027】
ロック機構10は、図2に示すパークロック解除状態PRで係合部92bに係合する。これにより、ピストン92がパークロック解除位置でロックされ、パークロッド4の移動が制止される。結果、パークモジュール1がパークロック解除状態PRでロックされる。ロック機構10は、電子制御可能なアクチュエータを有して構成される。
【0028】
油圧回路11は、油圧供給部12と、制御油路13と、ソレノイドバルブ14と、油貯留部15とを有する。
【0029】
油圧供給部12は、受圧室93へ油を供給する。制御油路13は、油圧供給部12と受圧室93とを接続する。制御油路13は、シリンダ91の底部を貫通してシリンダ91内に開口する。制御油路13には、ソレノイドバルブ14が設けられる。ソレノイドバルブ14は、制御油路13を連通する連通状態と、制御油路13を遮断する遮断状態とで油の流通経路を切り替える。図2に示すように、ソレノイドバルブ14は連通状態で、制御油路13を介して受圧室93に油を供給可能な供給状態とされる。
【0030】
図1に示すように、ソレノイドバルブ14が遮断状態とされると、制御油路13が分断される。この場合、ソレノイドバルブ14はさらに、受圧室93と油貯留部15とを連通する。このため、ソレノイドバルブ14は遮断状態で、受圧室93から油をドレン可能なドレン状態とされる。油貯留部15は、パークアクチュエータ9等からドレンされた油を貯留する。
【0031】
リターンスプリング20は、パークロッド4をパークロック係合方向に付勢する。リターンスプリング20は、パーキングレンジ以外のレンジが選択された場合に、パークロッド4を図2に示される非パークロックポジションに駆動する。リターンスプリング20は具体的には、トーションスプリングで構成されており、パークモジュール1が図1に示すパークロック係合状態PEから図2に示すパークロック解除状態PRに変化するにつれて付勢力Fが増加する付勢部材を構成する。
【0032】
リターンスプリング20は、回動可能に支持されている。具体的にはリターンスプリング20の一端は、固定部材30に固定されており、リターンスプリング20の他端は、取付部8aに支持されている。取付部8aは移動部材であり、リターンスプリング20を回動させるように移動する。具体的には取付部8aは、リンクレバー8の回転によってリンクレバー8の回転軸周りに回転することで、リターンスプリング20を回動させるように移動する。
【0033】
リターンスプリング20は、図2に示すパークロック解除状態PRに向かってピストン92のストロークが大きくなるほど、作用角θが小さくなるように設けられる。作用角θは、リンクレバー8の回転中心点P1とリターンスプリング20の作用点P2とを結ぶ直線と、リターンスプリング20の付勢力Fの作用方向とがなす鋭角である。
【0034】
図1に示すパークロック係合状態PEでは、作用角θは、具体的には90°に設定されている。この場合、付勢力Fは作用点P2から回転中心点P1に向かう方向には働かない。このため、付勢力Fがそのままピストン92に作用する。
【0035】
図2に示すパークロック解除状態PRでは、リンクレバー8がパークロック係合状態PEのときから回動される。結果、付勢力Fそのものの大きさは、矢印の長さで模式的に示すように、パークロック係合状態PEのときよりも増加する。
【0036】
その一方で、パークロック解除状態PR時には、作用角θがパークロック係合状態PE時よりも小さくなる。この場合、付勢力Fは、作用点P2から回転中心点P1に向かう方向に作用する分力F1と、第1の方向と直交する方向に作用する分力F2との合力として表される。
【0037】
分力F1は、リンクレバー8を介してピストン92を移動させるようには作用しない。したがってこの場合には、分力F2が、ピストン92を移動させるように作用する。
【0038】
分力F2は、作用角θの減少に応じて付勢力Fが増加するとこれに応じて増加する。その一方で、分力F2そのものの大きさ、換言すれば付勢力Fに対する分力F2の大きさは、作用角θに応じた大きさになるので、作用角θの減少に応じて減少する。つまり、分力F2は、これらの要因の重なり合いによって、作用角θに応じて変化する。
【0039】
パークモジュール1では、パークロック解除状態PR時に、パークロック係合状態PEからの作用角θの減少によって、付勢力Fの増加に応じた分力F2の増加分よりも、分力F2そのものの減少による減少分が上回るように分力F2が設定される。具体的にはこのように分力F2が設定されるように、リンクレバー8及びリターンスプリング20が設けられる。
【0040】
これにより、例えば図1図2に示すように、パークロック解除状態PR時にピストン92に作用する分力F2を、パークロック係合状態PE時にピストン92に作用する付勢力Fよりも小さくすることができる。つまり、パークロック解除状態PR時にリターンスプリング20からピストン92に作用する荷重をパークロック係合状態PE時よりも小さくすることができる。
【0041】
ピストン92とリンクレバー8を介して連動するパークロッド4には、リターン荷重RLが作用する。リターン荷重RLは、リターンスプリング20がパークロッド4に及ぼす荷重であり、カムスプリング6の力や、油圧の作用でパークロッド4に及ぶ力の成分を含まない。リターン荷重RLは、リターンスプリング20からピストン92に作用する荷重に応じた大きさを有する。
【0042】
このため、パークロック解除状態PR時にパークロッド4の受けるリターン荷重RLも、パークロック係合状態PE時よりも小さくなる。リターン荷重RLは、以下で説明する第2の例のように設定することもできる。
【0043】
図3は、作動ストロークSTに応じたリターン荷重RLの変化特性を示す図である。横軸の作動ストロークSTは、パークロッド4の作動ストロークを対応するパークロックの状態によって示す。曲線R1は第1の例を示し、曲線R2は第2の例を示す。第1の例は、図1図2に示すように分力F2を設定した場合に対応する。図3では、比較例として、パークアクチュエータ9内にピストン92と同軸状にコイルスプリングからなるリターンスプリングを配置した場合を破線で併せて示す。
【0044】
まず、比較例について説明する。比較例では、コイルスプリングからなるリターンスプリングの荷重特性は線形で付勢力の作用方向は一定となっている。このため、比較例ではリターン荷重RLが線形に変化し、パークロック解除状態PRで最大荷重に到達する。比較例では、パークロック係合状態PEにおけるリターン荷重RLは、パークモジュール1と同じ大きさに設定されている。
【0045】
第1の例では、曲線R1で示されるように、作動ストロークSTがパークロック係合状態PE時のストロークからパークロック解除状態PR時のストロークに到達する前に、リターン荷重RLのピークが設定される。結果、作動ストロークSTがパークロック係合状態PE側から第1中間状態M1時のストロークを超えると、リターン荷重RLが比較例の場合を下回る。
【0046】
作動ストロークSTに対するリターン荷重RLの変化を示す曲線R1の傾きは、作動ストロークSTがパークロック解除状態PR時のストロークに近づくほど小さくなる。曲線R1の傾きはさらに、ピークに応じた作動ストロークSTを境に、パークロック係合状態PE側で正となり、パークロック解除状態PR側で負となる。結果、パークロック解除状態PR時における曲線R1の傾きは負の傾きとなって、パークロック係合状態PE時よりも小さくなる。
【0047】
第2の例では、曲線R2で示されるように、パークロック解除状態PR時にリターン荷重RLが最大となる。曲線R2の傾きは、作動ストロークSTがパークロック係合状態PE時のストロークからパークロック解除状態PR時のストロークに近づくほど小さくなる。
【0048】
曲線R2の傾きは具体的には、パークロック係合状態PE時、及び第1中間状態M1時よりもパークロック解除状態PR側の第2中間状態M2時の間で、比較例の場合よりも小さくなる。そして、作動ストロークSTがパークロック係合状態PE側から第2中間状態M2時のストロークを超えると、リターン荷重RLが比較例を下回る。また、リターン荷重RLがこのように変化する結果、パークロック解除状態PR時における曲線R2の傾きは、パークロック係合状態PE時よりも小さくなる。
【0049】
曲線R1、曲線R2の傾きは、換言すれば、作用角θが減少するほど小さくなるといえ、また、作用角θの減少に応じて小さくなるといえる。第1の例、第2の例ではともに、パークロック解除状態PR時における傾きをパークロック解除状態PR時における比較例の傾きよりも小さくすることができる。また、パークロック解除状態PR時におけるリターン荷重RLもパークロック解除状態PR時における比較例のリターン荷重RLよりも小さくすることができる。
【0050】
パークロック解除状態PR時におけるリターン荷重RLを低減することで具体的には、パークロック解除状態PRを維持するロック機構10の負荷を低減することができ、ロック機構10の小型化を図ることができる。
【0051】
次に本実施形態の主な作用効果について説明する。
【0052】
パークモジュール1は、パークロッド4と、パークロック係合状態PEからパークロック解除状態PRに変化するにつれて付勢力Fが増加するリターンスプリング20と、を有する。パークモジュール1では、作動ストロークSTに対するリターン荷重RLの変化を示す傾きであってパークロック解除状態PR時における傾きが、パークロック係合状態PE時よりも小さくなるように、リターンスプリング20が回動可能に支持されている。
【0053】
このような構成によれば、リターンスプリング20を回動可能に支持するので、付勢力Fの作用方向を変化させることができる。したがって、リターン荷重RLの変化特性を付勢力Fの作用方向の変化に応じた非線形な特性とすることができる。そして、このようにリターン荷重RLの変化特性を非線形にすれば、パークロック解除状態PR時に最大となるリターン荷重RLを抑制したり、パークロック解除状態PRに到達する前の作動ストロークSTでリターン荷重RLをピークに到達させたりすることができる。
【0054】
このため、このような構成によれば、前述の比較例のようにリターンスプリングそのものの荷重特性に基づく傾きでリターン荷重RLを線形に変化させた場合と比較して、パークロック解除状態PRを維持する際のリターン荷重RLを低減することができる。
【0055】
パークモジュール1では、リターン荷重RLは、前述の第1の例のように、パークロック解除状態PR時にパークロック係合状態PE時よりも小さくなる構成とすることができる。
【0056】
このような構成によれば、パークロック解除状態PRを維持する際のリターン荷重RLを大幅に低減することができる。
【0057】
パークモジュール1では、リターンスプリング20の一端は、固定部材30に固定され、リターンスプリング20の他端は、取付部8aに支持されている。
【0058】
パークモジュール1は、このような構成とすることで、リターンスプリング20を回動可能に支持することができる。
【0059】
パークモジュール1は、次のように構成されてもよい。
【0060】
図4図5は、パークモジュール1の変形例を示す図である。図4では、パークロック係合状態PEでパークモジュール1を示す。図5では、パークロック解除状態PRでパークモジュール1を示す。図4図5に示すように、パークモジュール1は、リターンスプリング20に荷重特性が線形となるコイルスプリングを適用した構成とすることもできる。この場合でも、作用角θに応じて上述したように分力F2を変化させることで、パークロック解除状態PRを維持する際のリターン荷重RLを低減することができる。
【0061】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【0062】
例えば、上述した実施形態では、作動ストロークSTに応じたリターン荷重RLの変化特性を示す図3を用いて、パークモジュール1について説明した。しかしながら、同様の特性は例えば、作動ストロークSTの代わりに、ピストン92の作動ストロークを用いたり、リターン荷重RLの代わりに、リターンスプリング20からピストン92に作用する荷重を用いたりすることで表すこともできる。
【0063】
換言すれば、作動ストロークSTに対するリターン荷重RLの変化を示す傾きであってパークロック解除状態PR時における傾きが、パークロック係合状態PE時よりも小さくなる、ということは、作動ストロークSTやリターン荷重RLを作動ストロークSTやリターン荷重RLを指標可能なパラメータで文言上、代替した場合を含む。
【0064】
本願は2016年11月10日に日本国特許庁に出願された特願2016−219386に基づく優先権を主張し、この出願のすべての内容は参照により本明細書に組み込まれる。
図1
図2
図3
図4
図5