【実施例】
【0056】
図1及び
図2において、10は本発明の実施例1に係る人の行為に関する評価システムで、この人の行為に関する評価システム10は、組織(評価者又は評価対象者)に属する評価対象者(人)の行為、すなわち思考と行動の1つである“目標管理(PDCA)”について、評価対象者の考えや行為の明確化、より詳しくは、計画重視に基づく行為及びこの行為の完成の具現化までの過程等を、評価表を利用して評価するものである。
図2に示すように、評価表は、X軸方向(Y軸方向でもよい)に、予め設定された目標管理に関する3つの評価項目(評価事項)が配置されるとともに、Y軸方向(X軸方向でもよい)に、各評価項目に関して、下向きに“易”から“難”へとランクが移行する序列に従って“c〜a”の評価項目のランクが配置されたものである。すなわち、評価表における“各評価項目”と“各評価項目のランク”とがそれぞれ交わる合計9つのマスに、1つの評価項目(例えばC等)に対して、それぞれ細分化された3つの質問事項(例えば、C−1〜C−3等)が縦並び(Y軸方向)に配置されている。
【0057】
図1に示すように、人の行為に関する評価システム10は、パソコンを本体としている。このパソコンの制御部(CPU)11には、キーボード12と、記憶部13と、評価点序列判定部14と、境界等判定部15と、異常点抽出部19と、評価点視覚表示部20と、評価項目変更部21と、評価表表示部23と、ディスプレイ24、プリンタ25とがそれぞれ電気的に接続されている。
以下、これらの構成体を具体的に説明する。
パソコンは、組織の人事室に配された市販のノート式のパソコンである。
キーボード12は、組織の人事課の社員(評価者)が、組織の中堅チーフ職である評価対象者の目標管理能力について評価する際に、評価作業用紙の各質問事項に対して、評価者が解答して得られた各評価点を、オペレータがパソコンに入力する入力部である。
【0058】
ここでの記憶部13は、パソコンのハードディスクである。
記憶部13には、(1) 3つの評価項目と、(2) 各質問事項と、(3) 各質問事項に対する予め設定されたc〜aのランク別の序列と、(4) c〜aのランク別の各評価基準点と、(5) ランク別の各評価基準点と、対応する質問事項について評価対象が取得した複数の評価点とを対比したときの、予め設定された許容誤差である評価許容値と、(6)各評価点において、評価許容値を超えて、事前に決められた不適正な異常点の判定基準となる異常判定値と、(7) この評価表のテンプレートとが、それぞれデータとして記憶されている。
【0059】
評価点序列判定部14とは、各評価項目において、各質問事項の序列通りに各評価点が並んでいるかを判定するプログラムである。
境界等判定部15とは、各評価項目について、ランク別の評価基準点と、対応する各評価点等とをそれぞれ対比(各質問事項の隣接するランク間の評価点同士の対比でもよい)し、その点差が評価許容値を超えた評価項目のランクを、評価対象者(評価者又は評価対象者)の理解度、習熟度、達成度及び有用度のうちの何れかの境界(のランク)と判定するとともに、その点差が評価許容値を異常に超えている場合(異常判定値を超えた場合)に、異常ランク若しくは異常点と判定するプログラムである。この境界等判定部15は、パソコンのCPUから構成されている。以下、実施例1に記載された全てのプログラムは、同様にパソコンのCPUからなる。
【0060】
異常点抽出部19とは、各評価項目に配された各評価点と、対応するランクの評価基準点とをそれぞれ対比(各質問事項の隣接するランク間の評価点同士の対比でもよい)した際に、予め設定された異常判定値を超えて序列からプラス方向又はマイナス方向に乖離しているものを、不適正な異常点として抽出するプログラムである。
評価点視覚表示部20とは、各評価項目におけるランク別の各評価点を、グラフ又は図形としてディスプレイ24の画面に表示、又は、プリンタ25により印刷された紙面上に印刷するプログラムである。
【0061】
評価項目変更部21とは、ランク別に配された各評価項目について、組織の趣意、要点、有用度、重要度の何れかに応じてのランクの並べ替え、又は、新たな評価事項の追加を行うプログラムである。
評価表表示部23とは、作成されたマトリクス表をディスプレイ24に表示するプログラムである。
ディスプレイ24は、パソコンの液晶画面である。
プリンタ25は、パソコンにLANケーブルを介して電気的に接続されたレーザ方式のものである。
【0062】
ここで、
図2及び
図3を参照して、評価表を説明する。
図2に示すように、この評価表は、X軸方向に“目標の計画化C(P:計画)”、“合理的行動B(D:実行)”、“未達原因の解明と効果的措置A(C、A:反省と再行動)”の3つの評価項目がそれぞれ配されるとともに、Y軸方向に評価項目の“c〜a”の3つのランクが配置され、C〜Aの評価項目とc〜aのランクとが交わる合計9つのマスに、9つの質問事項(C−1〜C−3、B−1〜B−3、A−1〜A−3)が配されている。
なお、人の行為に関する各評価項目の質問事項の内容は、
図3の表に記載している。また、各質問事項では、5段階採点方式(不良1点、やや不良2点、普通3点、やや良4点、良5点)を採用している。
各評価項目のcランクの評価基準点は5点、bランクの評価基準点は4点、aランクの評価基準点は3点である。また、評価許容値は1点である。
更に、隣接するランク間の評価点の差が評価基準点から3点(異常判定値)以上、序列からプラス方向又はマイナス方向に乖離したときに異常点としている。
【0063】
以下、
図1〜
図3を参照して、本発明の実施例1に係る人の行為に関する評価システム10の作動について説明する。
図1に示すように、あらかじめ、人事課に属した評価者が、中堅チーフ職である評価対象者の目標管理能力について評価する。すなわち、評価作業用紙に記載された各質問事項(評価者から見た評価対象者についての質問)に評価者が解答し、次いで、これらの解答結果を、人事課のオペレータがキーボード12を使用してパソコンに入力する。
【0064】
その後、
図1〜
図3に示すように、人の行為に関する評価システム10を作動する。
すなわち、まず評価点序列判定部14により、
図2の評価表の各評価項目において、各質問事項の序列通りに各評価点が並んでいるかを判定する。
その後、その判定結果に基づき、境界等判定部15により、各評価項目について、ランク別の評価基準点と、対応する各評価点等とをそれぞれ対比し、その点差が評価許容値を超えた評価項目のランクを、(評価者の)評価対象者(に対して)の理解度、習熟度、達成度及び有用度のうちの何れかの境界(のランク)と判定するとともに、その点差が評価許容値を異常に超えている場合(異常判定値を超えた場合)に、異常ランク若しくは異常点と判定する。
【0065】
以下、これについて具体的に説明する。
図2に示す評価表の「合理的行動(B)」の評価項目において、aランクの評価基準点が3点に対してB−3の評価点が1点であるため、その誤差は2点で評価許容値の1点を超えている。これにより、境界等判定部15が、B−2とB−3との間を、評価対象者(又は評価者)の理解度、習熟度、達成度及び有用度のうちの何れかの境界として判定する。また、bランクの評価基準点“4点”対して、B−2の評価点が“1点”(マイナス方向に乖離)であるため、異常点抽出部19がこれを異常点(異常ランクB−2)として抽出する。その結果、評価項目の内容「合理的行動(B)」に対して、上述したようにB−2が異常点として除去されて、境界等判定部15によりB−1とB−3との間に境界が引かれ、評価対象者はB−1までしか習熟、理解又は達成できていないもの(そこまでの有用度)と認識される。
【0066】
また、評価表の「未達原因の解明と効果的措置(A)」において、aランクの評価基準点が3点に対してA−3の評価点が1点であるため、その誤差は2点で評価許容値の1点を超えている。これにより、境界等判定部15は、A−2とA−3との間を、評価対象者の理解度等の境界として判定する。更に、bランクの評価基準点が4点に対してA−2の評価点が2点であるため、その誤差は2点で評価許容値の1点を超えている。これにより、境界等判定部15は、A−1とA−2との間も、評価対象者の理解度、習熟度、達成度及び有用度のうちの何れかの境界として判定する。したがって、この「未達原因の解明と効果的措置(A)」にあっては境界が2つ存在する。その結果、評価者(組織を含む)は、評価対象者が、A−1までしか評価対象者の習熟、理解又は達成はできていない(そこまでの有用度)と認識することができる。
【0067】
このように、人の行為に関する評価システム10では、評価基準点と評価許容値と異常判定値を設けたことにより、より高精度に、目標管理についての各評価項目に対する評価対象者の理解度、習熟度、達成度及び有用度のうちの何れかの境界、又は、異常ランク若しくは異常点を判定することができる。これにより、評価者(人事課の社員、組織)が、各評価項目についての評価対象者の理解度、習熟度、達成度及び有用度のうちの何れかの境界、又は異常ランク、更には異常点を、段階的かつピンポイントで正確に判断(認識)することができる。
また、人の行為に関する評価システム10では、このように評価項目に属する質問事項を所定のランクごとに細分化したため、この評価の趣意や評価のポイントが明確化する。これにより、評価者は、評価項目の各質問事項に対して高い問題意識で臨むようになり、評価対象に関する評価者(又は評価対象者)の評価の精度を高めることができる。
【0068】
次に、
図1、
図4及び
図5を参照して、本発明の実施例2に係る人の能力に関する評価システムについて説明する。
図1のブロック図に示すように、この実施例2に係る人の能力に関する評価システム10Aは、評価対象者のeラーニングに関する理解能力をテーマにしたものであって、一部の例外(天才や秀才)を除き、その能力アップに重要な目的意識への執着の程度及び習熟の過程等を、
図4の評価表を利用して評価するものである。eラーニング(e−Learning)とは、インターネットを利用した学習形態である。
【0069】
以下、これを具体的に説明する。
図4に示す評価表において、X軸方向に「学習目標の習熟意欲(C)」、「計画に基づく行動(B)」、「弱点や問題点の解消(A)」の3つの評価項目がそれぞれ配されるとともに、Y軸方向に評価項目の“c〜a”の3つのランクが配置され、C〜Aの評価項目とc〜aのランクとが交わる合計9つのマスに、9つの質問事項(C−1〜C−3、B−1〜B−3、A−1〜A−3)が配されている。
なお、eラーニングに関する各評価項目の質問事項の内容は、
図5の表に記載している。また、各質問事項では、同じく5段階採点方式(不良1点、やや不良2点、普通3点、やや良4点、良5点)を採用している。
更に、各評価項目のcランクの評価基準点は4点、bランクの評価基準点は3点、aランクの評価基準点は2点である。ここでの評価許容値は1点である。
【0070】
図4に示す評価表の「学習目標の習熟意欲(C)」の評価項目において、bランクの評価基準点が3点に対してC−2の評価点が1点であるため、その誤差は評価許容値の1点を超えている。これにより、境界等判定部15が、C−1とC−2との間を評価対象者(又は評価者)の理解度、習熟度、達成度及び有用度のうちの何れかの境界として判定する。また同様に、「弱点や問題点の解消(A)」の評価項目において、bランクの評価基準点が3点に対してA−2の評価点が1点であるため、境界等判定部15が、A−1とA−2との境目を評価対象者の習熟度又は理解度等の境界として判定する。
これにより、評価者(組織を含む)は、評価対象者が、評価項目の内容「学習目標の習熟意欲(C)」に対して、C−1までしか習熟、理解若しくは達成できていない(そのレベルの有用度である)ことを認識(把握)できるとともに、「弱点や問題点の解消(A)」においても、A−1までしか習熟、理解若しくは達成できていない(そこまでの有用度)と認識できる。
【0071】
また、人の能力に関する評価システム10Aでは、評価基準点と評価許容値とを設けたことにより、より高精度に、eラーニングに対する評価対象者(又は評価者)の理解度、習熟度、達成度及び有用度のうちの何れかの境界、又は、異常ランク若しくは異常点を判定することができる。
その他の構成、作用及び効果については、実施例1から推測可能な範囲であるため、説明を省略する。
【0072】
次に、
図1、
図6及び
図7を参照して、本発明の実施例3に係る企業の価値に関する評価システムについて説明する。
図1のブロック図及び
図6の評価表に示すように、この実施例3に係る企業の価値に関する評価システム10Bは、組織体の健全性や安全性の確立が企業の価値決定の重要要素を構成することから、企業(組織体)を構成する社員(組織構成員)のリスク対応スキル及びリスク解消の過程等を、この表を利用して評価するためのものである。
【0073】
以下、これを具体的に説明する。
図6に示す評価表において、X軸方向に“リスク認識スキル(C)、リスク対応スキル(B)、リスク解消スキル(A)”の3つの評価項目がそれぞれ配されるとともに、Y軸方向に評価項目の“c〜a”の3つのランクが配置され、C〜Aの評価項目とc〜aのランクとが交わる合計9つのマスに、9つの質問事項(C−1〜C−3、B−1〜B−3、A−1〜A−3)が配されている。
なお、企業の価値に関する各評価項目の質問事項の内容は、
図7の表に記載している。また、各質問事項では、同じく5段階採点方式(不良1点、やや不良2点、普通3点、やや良4点、良5点)を採用している。
更に、各評価項目のcランクの評価基準点は3点、bランクの評価基準点は2点、aランクの評価基準点は1点である。ここでの評価許容値は1点である。
【0074】
図6に示す評価表の「リスク解消スキル(A)」の評価項目において、bランクの評価基準点が2点に対してA−2の評価点が4点であるため、その誤差は評価許容値の1点を超えている。これにより、境界等判定部15が、A−1とA−2との間を、その評価項目に対する評価者(又は評価対象者)の理解度、習熟度、達成度及び有用度のうちの何れかの境界として判定する。
その結果、評価者(組織を含む)は、社員のリスク対応スキルが、「リスク解消スキル(A)」の評価項目に対して、A−1までは習熟、理解若しくは達成に矛盾がなく、A−2においてこれらが逸脱している(そこまでの有用度)と認識できる。
また、企業の価値に関する評価システム10Bでは、評価基準点と評価許容値とを設けたことにより、より高精度に、企業の価値についての各評価項目に対する評価者(又は評価対象者)の理解度、習熟度、達成度及び有用度のうちの何れかの境界、又は、異常ランク若しくは異常点を判定することができる。
その他の構成、作用及び効果については、実施例1から推測可能な範囲であるため、説明を省略する。
【0075】
次に、
図1、
図8及び
図9を参照して、本発明の実施例4に係る物の価値に関する評価システムについて説明する。
図1のブロック図及び
図8の評価表に示すように、この実施例4に係る物の価値に関する評価システム10Cは、視覚や思惟の対象となる物権の客体である車両に関して、“車両の価値”の維持及び評価の過程等を、この表を利用して評価するものである。
【0076】
以下、これを具体的に説明する。
図8に示す評価表において、X軸方向に“基本的価値の維持(車両の点検及び維持)C、性能的価値の維持(車両の管理体制の確保)B、総合的価値の維持(運行管理体制の確保)A”の3つの評価項目がそれぞれ配されるとともに、Y軸方向に評価項目の“c〜a”の3つのランクが配置され、C〜Aの評価項目とc〜aのランクとが交わる合計9つのマスに、9つの質問事項(C−1〜C−3、B−1〜B−3、A−1〜A−3)が配されている。
なお、車両の価値に関する各評価項目の質問事項の内容は、
図9の表に記載している。また、各質問事項では、同じく5段階採点方式(不良1点、やや不良2点、普通3点、やや良4点、良5点)を採用している。
更に、各評価項目のcランクの評価基準点は3点、bランクの評価基準点は2点、aランクの評価基準点は1点である。ここでの評価許容値は1点である。
【0077】
図8に示す評価表の「基本的価値の維持(C)」の評価項目において、bランクの評価基準点が2点に対してC−2の評価点が4点であるため、その誤差は評価許容値の1点を超えている。これにより、境界等判定部15が、C−1とC−2との間を評価者の理解度、習熟度、達成度及び有用度のうちの何れかの境界として判定する。
その結果、評価者(組織を含む)は、“車両の価値”に関する評価項目の内容「基本的価値の維持(C)」に対して、C−1までは評価者(自己)の習熟、理解若しくは達成に矛盾がなく、C−2においてこれらが逸脱している(そこまでの有用度)と認識できる。
また、物の価値に関する評価システム10Cでは、評価基準点と評価許容値とを設けたことにより、より高精度に、評価対象である車両の価値についての評価者の理解度、習熟度、達成度及び有用度のうちの何れかの境界、又は、異常ランク若しくは異常点を判定することができる。
その他の構成、作用及び効果については、実施例1から推測可能な範囲であるため、説明を省略する。
【0078】
次に、
図1、
図10及び
図11を参照して、本発明の実施例5に係る事の価値に関する評価システムについて説明する。
図1のブロック図及び
図10の評価表に示すように、この実施例5に係る事の価値に関する評価システム10Dは、思考や観察の対象となる抽象的事項をテーマにしたものであって、ここでは各種の管理体制に関する維持及び評価の過程等を、この表を利用して評価するものである。
【0079】
以下、これを具体的に説明する。
図10に示す評価表において、X軸方向に“各種管理体制の基本事項(C)、各種管理体制の実践事項(B)、各種管理体制の効果事項(A)”の3つの評価項目がそれぞれ配されるとともに、Y軸方向に評価項目の“c〜a”の3つのランクが配置され、C〜Aの評価項目とc〜aのランクとが交わる合計9つのマスに、9つの質問事項(C−1〜C−3、B−1〜B−3、A−1〜A−3)が配されている。
なお、各種管理体制に関する各評価項目の質問事項の内容は、
図11の表に記載している。また、各質問事項では、同じく5段階採点方式(不良1点、やや不良2点、普通3点、やや良4点、良5点)を採用している。
更に、各評価項目のcランクの評価基準点は3点、bランクの評価基準点は2点、aランクの評価基準点は1点である。ここでの評価許容値は1点である。
【0080】
図10に示す評価表の「各種管理体制の実践事項(B)」の評価項目において、bランクの評価基準点が2点に対してB−2の評価点が4点であるため、その誤差は評価許容値の1点を超えている。これにより、境界等判定部15が、B−1とB−2との間を評価者(又は評価対象者)の理解度、習熟度、達成度及び有用度のうちの何れかの境界として判定する。
これにより、評価者は評価項目の内容「各種管理体制の実践事項(B)」に対して、B−1までは評価者(自己)の習熟、理解若しくは達成に矛盾がなく、B−2においてこれらが逸脱している(そこまでの有用度)と認識できる。
また、事の価値に関する評価システム10Dでは、評価基準点と評価許容値とを設けたことにより、より高精度に、評価対象である管理体制についての評価者の理解度、習熟度、達成度及び有用度のうちの何れかの境界、又は、異常ランク若しくは異常点を判定することができる。
【0081】
更に、各評価項目におけるランク別の評価点等を、評価点視覚表示部20を用いて、三角形や四角形以上の多角形の図形として、ディスプレイ24での画面表示、又は、プリンタ25による印刷されたグラフとして視覚的に表示することもできる(
図12(a),
図12(b)を参照)。
図12(a)は、
図10の各種管理体制におけるc〜aランクの評価項目の評価基準点を図形化したものである。同様に、
図12(b)は
図10の「各種管理体制の実践事項(B)」における評価点を図形化したものである。
これにより、各評価項目の評価点等の数値をそれぞれ確認しなくても、各評価基準点と各評価項目の全体的な数値(評価点)内容とを対比して、一見しただけで視覚的に認識することができる。
【0082】
更にまた、各評価項目は、評価項目変更部21を利用して、組織の趣意、要点、有用度、重要度の何れかに応じて並べ替え、又は、評価項目の追加を行うことができる。
すなわち、組織の運営実態などは各組織により大きく異なるため、業種の違いなどでそれぞれの組織に必要な評価項目が異なる。これにより、どの要望にも具体的に機能するために、評価項目の序列を並べ替えることができる。また、組織にとって必要かつ不可欠な評価項目の内容が不足する場合には、新たな評価項目の追加を行うこともできる。
したがって、その組織にとって最適な評価項目を評価表に配置(必要であれば各評価項目にランク付け可能)となり、その評価項目の質問事項を明確化することができる。
その他の構成、作用及び効果については、実施例1から推測可能な範囲であるため、説明を省略する。
【0083】
次に、
図1、
図13(a),
図13(b)の表を参照して、本発明の実施例6に係る人の行為に関する評価システムについて説明する。
図1のブロック図に示すように、この実施例6の人の行為に関する評価システム10Eは、実施例1の評価基準点を利用することなく、序列から逸脱した評価点のランクを、目標管理についての評価対象者(又は評価者)の理解度、習熟度、達成度及び有用度のうちの何れかの境界として判定する点と、その判定結果を、
図13(a)の表中に図形(下向き三角形)として表示し、それを可視化する点とを特徴としている。
【0084】
実施例6では、
図13(a)に示すように、評価表として、X軸方向に4つの評価項目(No.1:計画阻害要因の把握、No.2:目標の計画化、No.3:合理的行動、No.4:未達原因の解明と措置)が配され、Y軸方向にe(易)〜a(難)ランクの5種類の質問事項が配されたものを利用する。ここでの序列は、それぞれ隣接するランク間の2つの質問事項において、「易ランク側の質問事項の評価点より、難ランク側の評価点の方が、値が小さくなる」という基準に従って並べた順序である。
【0085】
以下、
図13(a)の評価表を用いて、実施例6を具体的に説明する。
このとき、No.1〜No.4の4種類の評価項目にそれぞれ帰属するe〜aランクの各質問事項は、合計20個が存在する(No.1−e〜No.1−a、No.2−e〜No.2−a、No.3−e〜No.3−a、No.4−e〜No.4−a)。また、各質問事項では、5段階採点方式(不良1点、やや不良2点、普通3点、やや良4点、良5点)を採用している。
【0086】
No.1の評価項目(計画阻害要因の把握)において、No.1−dの評価点が3点に対してNo.1−cの評価点が4点と大きいため、評価点序列判定部14がここは序列に反していると判定する。これに基づき、境界等判定部15が、No.1−dとNo.1−cとの間を、No.1の評価項目に対する評価者又は評価対象者の理解度、習熟度、達成度及び有用度のうちの何れかの境界として判定する。その結果、組織(評価者や評価対象者)は、No.1の評価項目の内容に対して、dランクまでは評価者又は評価対象者の習熟、理解若しくは達成に矛盾がなく、cランクにおいてこれらが逸脱している(そこまでの有用度)と認識できる。
また、No.2の評価項目(目標の計画化)において、No.2−eの評価点が4点に対してNo.2−dの評価点が5点と大きいため、評価点序列判定部14がここは序列に反すると判定する。これに基づき、境界等判定部15が、No.2−eとNo.2−dとの間を、No.2の評価項目に対する評価対象者の理解度等の境界として判定する。その結果、組織は、No.2の評価項目の内容に対して、eランクまでは評価者又は評価対象者の習熟、理解若しくは達成に矛盾がなく、dランクにおいてこれらが逸脱している(そこまでの有用度)と認識できる。
【0087】
No.3の評価項目(合理的行動)において、No.3−dの評価点が2点に対してNo.3−cの評価点が3点と大きいとともに、No.3−bの評価点が2点に対してNo.3−aの評価点が4点と大きい。そのため、評価点序列判定部14は、これらのランク間を序列に反すると判定する。これに基づき、境界等判定部15は、No.3−dとNo.3−cとの間、及び、No.3−bとNo.3−aとの間を、No.3の評価項目に対する評価者又は評価対象者の理解度等の境界として判定する。その結果、組織は、評価対象者がNo.3の評価項目の内容に対して、dランクまでは評価者又は評価対象者の習熟、理解若しくは達成に矛盾がなく、cランクにおいてこれらが逸脱している(そこまでの有用度)と認識できる。
【0088】
No.4の評価項目(未達原因の解明と措置)において、No.4−dの評価点が3点に対してNo.4−cの評価点が3点と同じであるため、評価点序列判定部14がここは序列に反すると判定する。これに基づき、境界等判定部15が、No.4−dとNo.4−cとの間を、No.4の評価項目に対する評価者又は評価対象者の理解度等の境界として判定する。その結果、組織は、評価対象者がNo.4の評価項目の内容に対して、dランクまでは評価者又は評価対象者の習熟、理解若しくは達成に矛盾がなく、cランクにおいてこれらが逸脱している(そこまでの有用度)と認識できる。
これらの評価結果は、
図13(a)の表中に下向き三角形の図形と、ランク間のボーダーラインの線引きとで表示され、可視化されている。これにより、
図13(a)の評価表を一見するだけで、評価者又は評価対象者の習熟等のランク境界を同時に把握することができる。
【0089】
また、
図13(b)は、上記評価表の評価点において、予め設定された序列に反する評価点を異常点として、丸印を付した表である。これにより、
図13(b)の評価表を一見するだけで、丸印(異常点)が付された各マスを基準にして、評価者又は評価対象者の習熟、理解若しくは達成に矛盾がないランクと、これらが逸脱しているランクとを認識できる。
なお、ここでは“人の行為”についてのみ説明したが、これに限定されず、“人の能力”、“企業”及び“物事”についても同様である。
その他の構成、作用及び効果は、実施例1から推測可能な範囲であるため、説明を省略する。
【0090】
次に、
図1及び
図14の表を参照して、本発明の実施例7に係る人の行為に関する評価システムについて説明する。
図1のブロック図に示すように、実施例7の人の行為に関する評価システム10Fは、評価対象者(人)の行為、すなわち思考と行動の違いにより、目標管理に属する評価項目(質問事項)にも序列を設定した例である。
【0091】
以下、
図14の表を具体的に説明する。表中において、cランクの質問事項“「目標の計画化」はあるか?”の評価基準点は5P、bランクの質問事項“「合理的行動」をしているか?”の評価基準点は4P、aランクの質問事項“「未達原因の解明と効果的措置」を行っているか?”の評価基準点は3Pのように、易から難へ向かって横方向(X軸方向)にランク別の序列が存在する。
ここで、評価者のcランクの評価点が5P、bランクの評価点が4P、aランクの評価点が1Pの場合、評価点序列判定部14は、bランクとaランクとの間が序列に反すると判定する。これに基づき、境界等判定部15が、bランクとaランクとの間を評価者又は評価対象者の理解度、習熟度、達成度及び有用度のうちの何れかの境界として判定する。その結果、組織(評価者)は、評価対象者が目標管理に属する評価項目の内容に対して、bランクまでしか習熟や理解若しくは達成ができていない(そこまでの有用度)と認識できる。
その他の構成、作用及び効果は、実施例1から推測可能な範囲であるため、説明を省略する。
【0092】
次に、
図1、
図15〜
図18を参照して、本発明の実施例8に係る人の行為に関する評価システムについて説明する。
図1のブロック図に示すように、この人の行為に関する評価システム10Gは、組織に属する評価対象者の“目標管理”について、評価対象者の考えや行為の明確化、より詳しくは、計画重視に基づく行為及びこの行為の完成の具現化までの過程等を、マトリクス表(評価表)を利用して評価するものである。
【0093】
図15及び
図16に示すマトリクス表は、X軸方向(Y軸方向でもよい)に、予め設定された目標管理に関する3つの評価項目(評価事項)が配置される一方、Y軸方向(X軸方向でもよい)に、目標管理に関して、下向きに“易”から“難”へとランクが移行する序列に従って“B,A”のランク別の2つのスキル特性(評価事項)が配置されるとともに、マトリクス表における各スキル特性と各評価項目とがそれぞれ交わる合計6つのマスに、1つの評価項目(例えばC等)に対して、それぞれ細分化された3つの質問事項(例えば、C−1〜C−3等)がそれぞれ縦並び(Y軸方向)に配置されたものである(質問の合計は18)。このうち、各スキル特性(例えば、実践的スキル特性等)に帰属する評価対象者に対しての“c〜a”の各質問事項は、“易”から“難”へと下向きにランクが移行するランク別に細分化された目標管理に関するものである。
【0094】
まず、
図15に示すBランクの実践的スキル特性について、具体的に説明する。
ここでは、X軸方向に“PDCAの効果的実践(C)”、“計画に基づく行動(B)”、“合理的行動の重視(A)”の3つの評価項目がそれぞれ配されるとともに、Y軸方向に評価項目の“c〜a”の3つのランクが配置され、C〜Aの評価項目とc〜aのランクとが交わる合計9つのマスに、9つの質問事項(C−1〜C−3、B−1〜B−3、A−1〜A−3)が配されている。
【0095】
なお、
図15中の各評価項目の質問事項の内容は、
図17の表に記載している。また、各質問事項では、5段階採点方式(不良1点、やや不良2点、普通3点、やや良4点、良5点)を採用している。
各評価項目のcランクの評価基準点は5点、bランクの評価基準点は4点、aランクの評価基準点は3点である。また、評価許容値は1点である。
更に、隣接するランク間の評価点の差が評価基準点から3点(異常判定値)以上、序列からプラス方向又はマイナス方向に乖離したときに異常点としている。
図15に示すBランクの実践的スキル特性に関しては、3つの評価項目の全ての質問事項に対する評価点が、対応するc〜aランクの評価基準点を基準とした評価許容値内で、評価対象者は全ての評価項目について理解していることが判明した。
【0096】
次に、
図16に示すAランクの管理的スキル特性について、具体的に説明する。
ここでは、X軸方向に“目標管理技術の高度化(C)”、“目標管理の計画的対応(B)”、“目標管理技術の習熟姿勢(A)”の3つの評価項目がそれぞれ配されるとともに、Y軸方向に評価項目の“c〜a”の3つのランクが配置され、C〜Aの評価項目とc〜aのランクとが交わる合計9つのマスに、9つの質問事項(C−1〜C−3、B−1〜B−3、A−1〜A−3)が配されている。
【0097】
なお、
図16中の人の行為に関する各評価項目の質問事項の内容は、
図18の表に記載している。また、各質問事項では、5段階採点方式(不良1点、やや不良2点、普通3点、やや良4点、良5点)を採用している。
各評価項目のcランクの評価基準点は5点、bランクの評価基準点は4点、aランクの評価基準点は3点である。また、評価許容値は1点である。
更に、隣接するランク間の評価点の差が評価基準点から3点(異常判定値)以上、序列からプラス方向又はマイナス方向に乖離したときに異常点としている。
【0098】
図16に示すAランクの管理的スキル特性での「目標管理の計画的対応(B)」の評価項目において、aランクの評価基準点が3点に対してB−3の評価点が1点であるため、その誤差は2点で評価許容値の1点を超えている。これにより、境界等判定部15が、B−2とB−3との間を、評価対象者の理解度、習熟度、達成度及び有用度のうちの何れかの境界として判定する。また、bランクの評価基準点“4点”対して、B−2の評価点が“1点”(マイナス方向に乖離)であるため、異常点抽出部19がこれを異常点(異常ランクB−2)として抽出する。その結果、評価項目の内容「目標管理の計画的対応(B)」に対して、上述したようにB−2が異常点として除去されて、境界等判定部15によりB−1とB−3との間に境界が引かれ、評価対象者(又は評価者)はB−1までしか習熟、理解又は達成できていないもの(そのレベルの有用度)と認識される。
【0099】
また、「目標管理技術の習熟姿勢(A)」において、aランクの評価基準点が3点に対してA−3の評価点が1点であるため、その誤差は2点で評価許容値の1点を超えている。これにより、境界等判定部15は、A−2とA−3との間を、評価対象者の理解度等の境界として判定する。更に、bランクの評価基準点が4点に対してA−2の評価点が2点であるため、その誤差は2点で評価許容値の1点を超えている。これにより、境界等判定部15は、A−1とA−2との間も、評価対象者の理解度、習熟度、達成度及び有用度のうちの何れかの境界として判定する。したがって、この「目標管理技術の習熟姿勢(A)」にあっては境界が2つ存在する。その結果、A−1までしか評価対象者の習熟、理解又は達成はできていないものと認識される。
【0100】
このように、実施例8では、X軸方向に3つの評価項目を配置し、Y軸方向にランク別の2つのスキル特性とをそれぞれ配置し、かつこれらが交わる各マスに、ランク別に細分化された複数の質問事項を配置したマトリクス表を利用している。これにより、評価者(組織を含む)はX,Y軸方向の各評価事項と各スキル特性との関係性が一目で明らかになり、かつ各スキル特性に属する評価事項に対する評価対象者(又は評価者)の理解度若しくは習熟度又は達成度若しくは有用度も、ピンポイントで視認することができる。
その他の構成、作用及び効果は、実施例1から推測可能な範囲であるため、説明を省略する。