(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6574931
(24)【登録日】2019年8月30日
(45)【発行日】2019年9月18日
(54)【発明の名称】縫合糸送達のためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
A61B 17/062 20060101AFI20190909BHJP
【FI】
A61B17/062 100
【請求項の数】24
【全頁数】33
(21)【出願番号】特願2016-570797(P2016-570797)
(86)(22)【出願日】2015年6月1日
(65)【公表番号】特表2017-516581(P2017-516581A)
(43)【公表日】2017年6月22日
(86)【国際出願番号】IB2015001590
(87)【国際公開番号】WO2015186001
(87)【国際公開日】20151210
【審査請求日】2017年6月13日
(31)【優先権主張番号】62/006,709
(32)【優先日】2014年6月2日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】502156504
【氏名又は名称】テルモ メディカル コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100101890
【弁理士】
【氏名又は名称】押野 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100098268
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 豊
(72)【発明者】
【氏名】タン・シャオ−ウェイ
(72)【発明者】
【氏名】ウェン・ユ−シー
(72)【発明者】
【氏名】ハン・シー−ジュイ
(72)【発明者】
【氏名】チェン・チュン−チュ
(72)【発明者】
【氏名】ワン・シー−ミン
(72)【発明者】
【氏名】ファン・チュン−チア
【審査官】
近藤 利充
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2014/130882(WO,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2013/0144316(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0296347(US,A1)
【文献】
特開2009−233438(JP,A)
【文献】
特表2001−522269(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2013/0178872(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 13/00 − 18/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
組織の開口部を縫合するための縫合糸送達装置において、
細長い配備シャフトと、
前記シャフトにより支持される針配備組立体であって、遠位位置において挿入プロファイルを有し、前記シャフトに対して近位に動かされたときに穿刺角度まで半径方向外側に偏向するように構成された、縫合材料を運ぶ複数の針を含む、針配備組立体と、
前記針配備組立体より近位の場所で前記シャフトにより支持される安定化装置であって、前記安定化装置は、非拡張挿入プロファイルと拡張プロファイルとの間で再構成可能である、安定化装置と、
遠位端部にキャッチャーを有する、前記シャフト上に同軸かつスライド可能に配されているキャッチャーチューブであって、前記キャッチャーは、前記針が、前記キャッチャーに係合する近位位置まで、縫合されるべき組織を通過すると、前記縫合材料を運ぶ前記複数の針それぞれの少なくとも一部を保持するように構成されており、前記キャッチャーは、弾性材料で作られている、キャッチャーチューブと、
前記キャッチャーチューブ上に同軸かつスライド可能に配されたシースであって、前記シースの遠位端部は、拡張時の前記安定化装置に対して、縫合されるべき組織を挟むように構成されている、シースと、
を含む、縫合糸送達装置。
【請求項2】
請求項1に記載の縫合糸送達装置において、
前記キャッチャーは、拡張可能である、縫合糸送達装置。
【請求項3】
請求項1に記載の縫合糸送達装置において、
前記シャフトの近位端部にハンドルをさらに含み、
前記ハンドルは、前記安定化装置を拡張させるように構成された第1のアクチュエータを有する、縫合糸送達装置。
【請求項4】
請求項3に記載の縫合糸送達装置において、
前記第1のアクチュエータは、前記シースを、前記シャフトに対して遠位に動かすようにさらに構成されている、縫合糸送達装置。
【請求項5】
請求項4に記載の縫合糸送達装置において、
前記第1のアクチュエータは、近位位置から遠位位置に動くことができるスライダを含む、縫合糸送達装置。
【請求項6】
請求項5に記載の縫合糸送達装置において、
前記スライダは、前記シースおよび前記キャッチャーチューブの近位端部に連結され、
前記安定化装置の近位端部は、前記キャッチャーチューブに固定され、前記安定化装置の遠位端部は、前記シャフトに固定され、前記スライダの、前記近位位置から前記遠位位置への移動は、
前記キャッチャーチューブを前記シャフトに対して遠位に動かして、前記安定化装置の前記近位端部と前記安定化装置の前記遠位端部との間の距離を縮めて、前記安定化装置を拡張させ、
前記シースを前記シャフトに対して遠位に動かして、前記シースの前記遠位端部と拡張した前記安定化装置との間に、縫合されるべき組織を挟むように、構成されている、縫合糸送達装置。
【請求項7】
請求項6に記載の縫合糸送達装置において、
前記ハンドルは、前記キャッチャーチューブと前記シャフトとのさらなる相対運動を防ぎ、かつ前記シースと前記シャフトとのさらなる相対運動を防ぐために、前記スライダが前記遠位位置にあるときに、自動的に係合するように構成された、安定化装置制御装置をさらに含む、縫合糸送達装置。
【請求項8】
請求項7に記載の縫合糸送達装置において、
前記ハンドルは、前記安定化装置が前記非拡張挿入プロファイルに戻ることができるよう、前記スライダが前記遠位位置にあるときに前記安定化装置制御装置を係合解除し、前記キャッチャーチューブと前記シャフトとのさらなる相対運動を可能にするように構成された解放トリガーをさらに含む、縫合糸送達装置。
【請求項9】
請求項1に記載の縫合糸送達装置において、
前記安定化装置は、前記安定化装置の近位端部と前記安定化装置の遠位端部との間の距離が縮んだときに外側に偏向する、少なくとも1つの偏向可能な翼部を含む、縫合糸送達装置。
【請求項10】
請求項9に記載の縫合糸送達装置において、
前記偏向可能な翼部は、前記縫合されるべき組織に対して前記縫合糸送達装置の挿入角度を補うように構成された非対称構成を、拡張時に有する、縫合糸送達装置。
【請求項11】
請求項1に記載の縫合糸送達装置において、
前記シャフトの近位端部にハンドルをさらに含み、
前記ハンドルは、前記シャフトに対して近位および遠位に前記針を動かすように構成された第2のアクチュエータを有する、縫合糸送達装置。
【請求項12】
請求項11に記載の縫合糸送達装置において、
前記第2のアクチュエータは、前記複数の針を前記遠位位置から前記近位位置まで動かすように構成された第1の移動範囲を有する、縫合糸送達装置。
【請求項13】
請求項12に記載の縫合糸送達装置において、
前記第2のアクチュエータは、前記キャッチャーによって保持されていない前記複数の針それぞれの一部を、前記近位位置から前記遠位位置まで動かすように構成された第2の移動範囲を有する、縫合糸送達装置。
【請求項14】
請求項13に記載の縫合糸送達装置において、
前記第2のアクチュエータは、プランジャーラックに連結されたプランジャーを含み、
トリガーラックおよびピニオンをさらに含み、
前記複数の針は、前記シャフト内部にスライド可能かつ同軸に配されたトリガーワイヤによって前記トリガーラックに連結され、前記第1の移動範囲にある間、前記トリガーラックおよび前記プランジャーラックは、前記ピニオンに係合し、前記プランジャーラックが遠位に動くと、前記トリガーワイヤが前記シャフトに対して近位に動く、縫合糸送達装置。
【請求項15】
請求項14に記載の縫合糸送達装置において、
前記第2の移動範囲にある間、前記プランジャーラックは、前記ピニオンに係合せず、前記トリガーラックに直接係合し、前記プランジャーラックが遠位に動くと、前記トリガーワイヤが前記シャフトに対して遠位に動く、縫合糸送達装置。
【請求項16】
請求項6に記載の縫合糸送達装置において、
前記ハンドルは、前記シャフトに対して前記針を近位および遠位に動かすように構成された第2のアクチュエータを有する、縫合糸送達装置。
【請求項17】
請求項16に記載の縫合糸送達装置において、
前記第2のアクチュエータは、前記複数の針を前記遠位位置から前記近位位置まで動かすように構成された第1の移動範囲、および前記キャッチャーによって保持されていない前記複数の針それぞれの一部を前記近位位置から前記遠位位置まで動かすように構成された第2の移動範囲を有する、縫合糸送達装置。
【請求項18】
請求項17に記載の縫合糸送達装置において、
前記第2のアクチュエータは、プランジャーラックに連結されたプランジャーを含み、
トリガーラックおよびピニオンをさらに含み、
前記複数の針は、前記シャフト内部にスライド可能かつ同軸に配されたトリガーワイヤによって前記トリガーラックに連結され、前記第1の移動範囲にある間、前記トリガーラックおよび前記プランジャーラックは前記ピニオンに係合し、前記プランジャーラックが遠位に動くと、前記トリガーワイヤが前記シャフトに対して近位に動き、前記第2の移動範囲にある間、前記プランジャーラックは、前記ピニオンに係合せず、前記トリガーラックに直接係合し、前記プランジャーラックが遠位に動くと、前記トリガーワイヤが前記シャフトに対して遠位に動く、縫合糸送達装置。
【請求項19】
請求項18に記載の縫合糸送達装置において、
前記ハンドルは、前記キャッチャーチューブと前記シャフトとのさらなる相対運動を防ぐために、前記スライダが前記遠位位置にあるときに自動的に係合するように構成された安定化装置制御装置をさらに含み、
前記第2のアクチュエータが前記第2の移動範囲の終わりまで動くと、前記安定化装置制御装置が係合解除され、前記キャッチャーチューブと前記シャフトとのさらなる相対運動が可能となり、前記安定化装置は、前記非拡張挿入プロファイルに戻ることができる、縫合糸送達装置。
【請求項20】
請求項1に記載の縫合糸送達装置において、
前記複数の針はそれぞれ、針基部、および前記縫合材料を運ぶ取り外し可能な針先端部を含み、前記針先端部はそれぞれ、前記複数の針が前記近位位置に動くと前記キャッチャーに係合し、前記キャッチャーは、前記針基部がそれぞれ前記遠位位置に戻るときに、前記針先端部それぞれを保持する、縫合糸送達装置。
【請求項21】
請求項20に記載の縫合糸送達装置において、
前記針先端部の寸法は、前記針基部の寸法とは異なる、縫合糸送達装置。
【請求項22】
請求項20に記載の縫合糸送達装置において、
前記針基部それぞれ、および対応する前記針先端部は、近位に動いて前記キャッチャーと係合するまで前記針基部上の所定の位置に前記針先端部を保持する保持力を有するように構成されている、縫合糸送達装置。
【請求項23】
請求項22に記載の縫合糸送達装置において、
前記保持力は、少なくとも部分的に、表面処理部によって決まる、縫合糸送達装置。
【請求項24】
請求項23に記載の縫合糸送達装置において、
前記表面処理部は、ニチノール酸化物の層である、縫合糸送達装置。
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔関連出願〕
本出願は、2014年6月2日に出願された米国仮特許出願第62/006,709号の優先権およびその利益を主張するものであり、この仮特許出願の内容はすべて、参照により全体として本明細書に組み込まれる。
【0002】
〔本開示の分野〕
本開示は、概して、患者の脈管構造または他の身体管腔における開口部を閉じるための技術および装置に関する。例えば、本開示は、外科処置後に必要となり得るもののような、開口部周囲の組織を近づけるために動脈および静脈の穿刺部位を縫合するためのシステム、装置、および方法に関する。
【0003】
〔背景〕
回復時間の改善のため、さまざまな介入処置および診断処置が、患者の身体内部の所望の場所にアクセスすることによって、低侵襲的に実行され得る。都合のよい進入点にて脈管構造にカテーテルまたは他の細長い装置を導入することにより、このような処置は、身体管腔を通して装置を所望の位置までガイドすることで、離れた場所で行われ得る。これらの技術は、従来の切開処置よりも患者に与える影響が少ないが、脈管構造にアクセスするには、動脈または静脈に開口部を形成することが必要であり、この開口部は、後で修復されなければならない。
【0004】
さまざまな方法を使用して、アクセス開口部を閉じることができる。従来的には、止血は、開口部を通る血液の流れを実質的に減少させて血塊を形成するよう、手で圧縮することにより達成され得る。概してうまくいくものであるが、圧縮には、かなりの時間がかかることがあり、また、患者の不快感をかなり伴う場合がある。さらに、虚血もしくは血栓を結果として生じ得る、意図しない管腔の完全閉塞などの合併症が起こる場合がある。これらの側面は、装置を導入するのに必要な開口部のサイズ、抗凝血薬が使用されているかどうか、また、患者の体調によって悪化する場合がある。
【0005】
これらの問題を改善するため、止血を達成し、歩行できるまでの時間を短縮するために、開口部を縫合する技術が、開発されてきた。処置の低侵襲性を維持するため、これらの技術の多くが実行されるのに適している。例えば、縫合糸送達装置が、処置を行うのに使用される同じ開口部を通して導入され得る。典型的には、1つ以上の針が、縫合糸送達装置によって配備されて、血管壁を貫通し、縫合材料を引っ張り、縫合糸は、外膜表面の上に固定されて、開口部を閉じることができる。
【0006】
縫合糸送達装置を使用することに伴う利益にもかかわらず、いくつかの問題が存在する。具体的には、1つの針または複数の針が血管壁に対して正確に位置付けられて、開口部から十分遠く離れた組織を貫通し、その結果、縫合するのに十分に丈夫な場所が得られることが、望ましい。術者に必要とされるスキルの量を最小限に抑えるために再現可能な形で針を配備し作動させるように構成された装置を提供することも、望ましい。したがって、本開示は、身体管腔の開口部を縫合すると共に、これらおよび他の所望の特徴を提供するシステムおよび方法に関する。
【0007】
〔概要〕
本開示は、組織を縫合するための縫合糸送達装置を含む。縫合糸送達装置は、細長い配備シャフトと、シャフトによって支持された針配備組立体であって、遠位位置において挿入プロファイルを有し、シャフトに対して近位に動かされると穿孔角度まで半径方向外側に偏向するように構成された縫合材料を運ぶ複数の針を含む、針配備組立体と、針配備組立体より近位の場所でシャフトによって支持された安定化装置であって、安定化装置は、非拡張挿入プロファイルと拡張プロファイルとの間で再構成可能である、安定化装置と、キャッチャーを遠位端部に有する、シャフト上に同軸上かつスライド可能に配されたキャッチャーチューブであって、キャッチャーは、針が、キャッチャーに係合する近位位置まで、縫合されるべき組織を通過すると、縫合材料を運ぶ複数の針それぞれの少なくとも一部を保持するように構成されている、キャッチャーチューブと、キャッチャーチューブ上に同軸上かつスライド可能に配されたシースと、を含むことができ、シースの遠位端部は、拡張時の安定化装置に対して、縫合されるべき組織を挟むように構成されている。
【0008】
一態様では、装置は、安定化装置を拡張させるためにアクチュエータを備えたハンドルを有し得る。第1のアクチュエータは、シャフトに対して遠位にシースを動かすこともできる。第1のアクチュエータは、近位位置から遠位位置まで動くことができるスライダであってよい。スライダは、シースおよびキャッチャーチューブの近位端部に連結されてよく、安定化装置の近位端部は、キャッチャーチューブに固定されてよく、安定化装置の遠位端部は、シャフトに固定されてよく、スライダが近位位置から遠位位置まで動くと、キャッチャーチューブがシャフトに対して遠位に動き、安定化装置の近位端部と安定化装置の遠位端部との間の距離を縮めて、安定化装置を拡張させ、また、シースがシャフトに対して遠位に動き、縫合されるべき組織を、シースの遠位端部と拡張した安定化装置との間に挟む。さらに、ハンドルは、キャッチャーチューブとシャフトとの間のさらなる相対運動を防ぎ、かつシースとシャフトとの間のさらなる相対運動を防ぐために、スライダが遠位位置にあるときに自動的に係合する、安定化装置制御装置を有し得る。さらに、ハンドルは、安定化装置が非拡張挿入プロファイルに戻ることができるように、スライダが遠位位置にあるときに安定化装置制御装置を係合解除し、キャッチャーチューブとシャフトとの間のさらなる相対運動を可能にする、解放トリガーを有してよい。
【0009】
一態様では、安定化装置は、安定化装置の近位端部と安定化装置の遠位端部との間の距離が縮まると外側に偏向する、少なくとも1つの偏向可能な翼部を有し得る。偏向可能な翼部は、縫合されるべき組織に対する縫合糸送達装置の挿入角度を補うように構成された非対称構成を、拡張した際に有し得る。
【0010】
一態様では、装置は、シャフトの近位端部にハンドルを有してよく、ハンドルは、シャフトに対して針を近位および遠位に動かすために、第2のアクチュエータを備えている。第2のアクチュエータは、複数の針を遠位位置から近位位置に動かす第1の移動範囲を有する。第2のアクチュエータは、キャッチャーにより保持されていない複数の針それぞれの一部を近位位置から遠位位置に動かす第2の移動範囲も有し得る。第2のアクチュエータは、プランジャーラックに連結されたプランジャーであってよく、装置は、トリガーラック、およびピニオンを含んでもよく、複数の針は、シャフト内部にスライド可能かつ同軸に配されたトリガーワイヤによってトリガーラックに連結され、第1の移動範囲にある間、トリガーラックおよびプランジャーラックはピニオンに係合し、プランジャーラックが遠位に動くことで、トリガーワイヤはシャフトに対して近位に動く。さらに、第2の移動範囲にある間、プランジャーラックは、ピニオンに係合できず、トリガーラックに直接係合することができ、プランジャーラックが遠位に動くと、トリガーワイヤがシャフトに対して遠位に動く。
【0011】
装置は、第1および第2のアクチュエータの両方を含むこともできる。ある実施形態では、第2のアクチュエータが第2の移動範囲の終わりまで動くと、安定化装置制御装置が係合解除されて、キャッチャーチューブとシャフトとのさらなる相対運動を可能にすることができ、安定化装置は、非拡張挿入プロファイルに戻ることができる。
【0012】
一態様では、複数の針はそれぞれ、針基部と、縫合材料を運ぶ取り外し可能な針先端部と、を含み得る。各針先端部は、複数の針が近位位置まで動くとキャッチャーに係合することができ、キャッチャーは、針基部がそれぞれ遠位位置に戻ると、各針先端部を保持することができる。各針基部および対応する針先端部は、近位に動かされてキャッチャーと係合するまで、針基部上の所定の位置に針先端部を保持するための保持力を有し得る。保持力は、少なくとも部分的に、ニチノール酸化物の層であってよい表面処理部(surface treatment)によって決まり得る。
【0013】
本開示は、1つのアクチュエータを有する、組織を縫合するための縫合糸送達装置も含み得る。例えば、この縫合糸送達装置は、細長い配備シャフトと、シャフトによって支持された針配備組立体であって、遠位位置において挿入プロファイルを有し、かつシャフトに対して近位に動かされると穿刺角度まで半径方向外側に偏向するように構成された縫合材料を運ぶ複数の針を含む、針配備組立体と、遠位端部にキャッチャーを有する、シャフトの上に同軸かつスライド可能に配されたキャッチャーチューブと、を有してよく、キャッチャーは、針が、キャッチャーに係合する近位位置まで、縫合されるべき組織を通過すると、縫合材料を運ぶ複数の針それぞれの少なくとも一部を保持するように構成されている。シャフトの近位端部にあるハンドルが、針をシャフトに対して近位および遠位に動かすように構成されたアクチュエータを有し得る。
【0014】
本開示は、縫合糸を送達する方法も含む。例えば、適切な方法は、細長い配備シャフト、シャフトによって支持され、縫合材料を運ぶ複数の針を含む針配備組立体、針配備組立体より近位の場所でシャフトによって支持される安定化装置、遠位端部にキャッチャーを有する、シャフトの上に同軸かつスライド可能に配されたキャッチャーチューブ、およびキャッチャーチューブの上に同軸かつスライド可能に配されたシースを提供することと、細長い配備シャフトを、患者の体内の所望の位置まで前進させることと、安定化装置を非拡張挿入プロファイルから拡張プロファイルに再構成することと、縫合されるべき組織を、シースの遠位端部と拡張した安定化装置との間に挟むことと、シャフトに対して近位に動かすことで、遠位位置における挿入プロファイルから穿刺角度まで、複数の針を半径方向外側に偏向させることと、縫合されるべき組織を通過することによって近位位置まで動かされたときにキャッチャーを複数の針と係合させることと、縫合材料を運ぶ複数の針それぞれの少なくとも一部を、キャッチャーで保持することと、キャッチャーによって保持されていない複数の針それぞれの一部を、遠位位置における挿入プロファイルに戻すことと、を含み得る。
【0015】
一態様では、安定化装置を再構成すること、および縫合されるべき組織を挟むことは、第1のアクチュエータを操作することにより実施され得る。安定化装置の近位端部は、キャッチャーチューブに固定されてよく、安定化装置の遠位端部は、シャフトに固定されてよく、第1のアクチュエータを操作することで、キャッチャーチューブはシャフトに対して遠位に動いて、安定化装置の近位端部と安定化装置の遠位端部との間の距離を縮め、安定化装置を拡張させ、また、シースはシャフトに対して遠位に動く。
【0016】
一態様では、複数の針を半径方向外側に偏向させること、キャッチャーを複数の針と係合させること、およびキャッチャーによって保持されていない複数の針それぞれの一部を遠位位置に戻すことは、第2のアクチュエータを操作することにより実施され得る。第2のアクチュエータを操作することは、複数の針を遠位位置から近位位置へ動かす第1の移動範囲にわたり第2のアクチュエータを動かすことと、キャッチャーにより保持されていない複数の針それぞれの一部を近位位置から遠位位置へ動かす第2の移動範囲にわたり第2のアクチュエータを動かすことと、を含み得る。
【0017】
さらに別の態様では、本開示は、細長い配備シャフト、シャフトにより支持され、縫合材料を運ぶ複数の針を含む針配備組立体、および遠位端部にキャッチャーを有する、シャフトの上に同軸かつスライド可能に配されたキャッチャーチューブを提供することと、細長い配備シャフトを患者の体内の所望の位置まで前進させることと、シャフトに対して近位に動かすことで遠位位置における挿入プロファイルから穿刺角度へと複数の針を半径方向外側に偏向させることと、縫合されるべき組織を通過することにより近位位置まで動かされたときにキャッチャーを複数の針と係合させることと、縫合材料を運ぶ複数の針それぞれの少なくとも一部をキャッチャーで保持することと、キャッチャーにより保持されていない複数の針それぞれの一部を、遠位位置における挿入プロファイルに戻すことと、によって、縫合糸を送達する方法を含む。
【0018】
さらなる特徴および利点は、添付図面に例示されるような、本開示の好適な実施形態に関する、以下のさらに具体的な説明から明らかとなるであろう。添付図面では、同様の参照符号は、図面全体にわたって、概して同じ部分または要素を指す。
【0019】
〔詳細な説明〕
最初に、特に例示された材料、構造、手順、方法、または仕組みはさまざまであってよいので、本開示はこれらに制限されないことを理解されたい。よって、本明細書に記載されたものと同様または等価のいくつかのそのようなオプションを、本開示の実施において、または実施形態において使用することができるが、好適な材料および方法を本明細書に記載する。
【0020】
本明細書で使用される用語は、本開示の特定の実施形態を説明する目的のためだけのものであり、限定することを意図していないことも、理解されたい。
【0021】
添付図面と関連して以下に記載する詳細な説明は、本開示の例示的な実施形態の説明として意図されており、本開示が実施され得る例示的な実施形態のみを表すことは意図していない。この説明全体で使用される「例示的な」という用語は、「実施例、例、または例示として役立つ」ことを意味しており、必ずしも、他の例示的な実施形態と比べて好適または有利なものと解釈されるべきではない。詳細な説明は、本明細書の例示的な実施形態の全体的な理解をもたらす目的で、特定の詳細事項を含む。本明細書の例示的な実施形態が、これらの特定の詳細事項なしで実施され得ることは、当業者には明らかであろう。場合によっては、本明細書で提示される例示的な実施形態の新規性をあいまいにしないように、周知の構造および装置が、ブロック図の形で示される。
【0022】
便宜上、また明白にする目的でのみ、上部、底、左、右、上、下、上方、上位(above)、下位(below)、下方(beneath)、後方、後ろ、および前などの、方向を示す用語は、添付図面に関して使用され得る。これらおよび類似の方向を示す用語は、決して本開示の範囲を制限するよう解釈されるべきではない。
【0023】
別段定義のない限り、本明細書で使用される技術的および科学的用語はすべて、本開示が属する分野の当業者により一般的に理解されるのと同じ意味を有する。例えば、「縫合する」という用語は、穿刺部、開口部、または他の創傷を閉じるために可撓性材料で2つの表面またはエッジを引っ張り合わせることを含み、縫合糸は、ポリマー、ガット、金属ワイヤ、もしくは他の適切な等価物など、合成または天然であってよい材料である。
【0024】
最後に、本明細書および請求項で使用されるように、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」は、内容で明らかに別様のことが示されていない限り、複数の参照物を含む。
【0025】
本開示によると、介入処置の後で止血を促進するために縫合糸をつける装置は、患者の脈管構造の中に装置を位置付けること、装置の拡張部分を用いて組織を挟んで、縫合糸を配備するために組織を安定化させることと、縫合材料を運ぶ針を穿刺角度で配備して、安定した組織に針を通すことと、装置を非拡張状態に戻して、挟まれた組織を解放し、装置を引き出すことと、を伴う、処置シーケンスを実行するように構成され得る。具体的には、以下に記載するように、本開示の態様は、再現可能な形で装置に処置を実行させるアクチュエータを用いて、これらの処置の少なくとも一部を自動化する技術を詳細に説明している。例えば、第1のアクチュエータを用いて、装置の遠位部分を拡張し、組織を挟むことができ、第2のアクチュエータを用いて、縫合材料を運ぶ針を穿刺角度で配備し、挟まれた組織を通して針を打ちこみ、針の穿刺端部を捕捉し、装置の遠位部分を、その非拡張状態に戻すことができる。
【0026】
まず
図1を参照すると、本開示の装置を用いて縫合糸を配備する、例としての手順は、例えば装置の遠位端部にポートを有する逆流出血内腔(bleed back lumen)を用いることによって、所望の場所に装置を位置付ける、100で概して始まり、ポートが血管内部に位置するとき、血液がポートに入り、内腔を通って流れ、装置の近位部分で視覚的表示を提供する。位置付け後、102では、所望の縫合部位における軟組織は、装置の遠位部分上で安定化装置を拡張させ、安定化装置と、比較的より近位にある装置の一部との間に組織を挟むことによって、安定させられる。遠位の拡張可能な安定化装置は、縮小した挿入プロファイル、および縫合糸の送達中に組織を安定させるための拡張プロファイルを示す。安定化装置の相対運動により、組織は、安定化装置と、比較的より近位の部分との間に固定され、装置により支持された、針で配備された縫合糸のための標的を与えることができる。以下の説明から理解されるように、相対運動は、近位部分に向かう安定化装置の動き、安定化装置に向かう近位部分の動き、またはこれらの両方を含み得る。挟まれた組織は、閉じられている穿刺部を取り囲む血管壁の部分を含み得る。
【0027】
次に、104では、挟まれた組織より遠位に配された、縫合材料を運ぶ複数の針は、106での針の近位への動きにより挟まれた組織が貫通されるような穿刺角度で配備される。針が挟まれた組織を貫通した後、針の少なくとも一部は、108において、近位で捕捉される。いくつかの実施形態では、これは、以下で説明するように、縫合材料を運ぶ取り外し可能な針先端部を捕捉することを含み得る。装置を引き抜くための準備をするため、110では、安定化装置および針配備機構は、それらの送達構成に戻る。本開示の技術によると、これらの作業の一部またはすべてを自動化することが望ましくなり得る。例えば、ある実施形態では、第1のアクチュエータは、102を実行するのに使用されてよく、第2のアクチュエータは、104〜110を実行するのに使用されてよい。押しボタン、スライドスライダ、プルレバー、および/または押しプランジャーを含む、任意の適切なアクチュエータ構成を用いることができる。任意の所望の数およびシーケンスの作業が、それらの作業を1つのアクチュエータにリンクさせることで、連動および/または自動化され得る。
【0028】
本開示の態様を例示するのを助けるため、
図2は、一実施形態による縫合糸送達装置200の概略的な概観である。装置200は、スライダ204として構成された第1のアクチュエータおよびプランジャー206として構成された第2のアクチュエータを有する、ハンドル202を含む。装置200の細長い遠位部分は、患者の血管内に配備されるカテーテル208を含む。ガイドワイヤ交換ポート210は、既知の技術を使用して、患者の脈管構造内部に既に位置付けられているガイドワイヤの上でカテーテル208を前進させるのを容易にするために、使用され得る。カテーテル208より近位には、針配備組立体212および安定化装置214がある。安定化装置214は、挿入のために示された縮小プロファイルと、拡張構成との間で再構成され得る。拡張構成にある間、シース216の遠位端部と安定化装置214との相対運動は、縫合糸送達を準備する上で、組織を挟むために使用され得る。この実施形態では、スライダ204は、安定化装置214を拡張させ、シース216と安定化装置214との相対運動を発生させるために、作動され得る。さらに、針配備組立体212内部の複数の針が、最初に挿入プロファイルから穿刺角度まで持ち上げられ、その後、安定化装置214とシース216との間に挟まれた組織を貫通するよう駆動されるように、プランジャー206が作動され得る。プランジャー206を作動させ続けると、針の少なくとも一部が、シース216内部に捕捉され得る。その後、安定化装置214および針配備組立体212は、それらの挿入プロファイルに戻って、装置200の引き抜きを容易にする。図示のとおり、装置200は、ハンドル202上に逆流出血インジケータ218を含んでよく、これは、安定化装置214に隣接して位置付けられたポートと連通していて、安定化装置214が患者の血管内部に位置づけられたときに血流の形で視覚的フィードバックを与える。さらに、装置200は、針および縫合材料を配備せずに処置を中止することが望ましくなった場合に、関連する作業を実行することなく、またプランジャー206を作動させることなく、安定化装置214をその挿入プロファイルに戻すために、解放トリガー220を含み得る。
【0029】
一実施形態では、装置200は、ガイドワイヤ交換ポート210の近位にカテーテル止血弁を含み得る。この弁は、カテーテル208内部に位置付けられてよく、延在する本体を備えた1つ以上の可撓性の弁を含んで、弁とガイドワイヤ交換ポート210との間に内腔を形成して、その内腔への移動を容易にする斜面により、ガイドワイヤの導入を促進することができる。弁の上のストッパーは、接着剤、クリンプリング、摩擦、または任意の他の適切な方法を使用することなどにより、カテーテル208内部に弁を固定するのに役立ち得る。可撓性の弁は、ガイドワイヤが引き抜かれるときにガイドワイヤを通過させ、血流を遮断するように、構成され得る。
【0030】
この実施形態に関するさらなる詳細が
図3に描かれており、この図は、針配備組立体212および安定化装置214を概略的に示している。針配備組立体212は、ピストンまたは他の適切な構造体として実行され得る、針押圧要素224から近位に突出する複数の針基部222を含み、各針は、取り外し可能な針先端部226を有している。縫合材料は、(明瞭にするため、図面には示していない)針先端部226の孔を通されるか、または別様にその孔に固定されることができる。トリガーワイヤ228は、ピストン224に固定され、以下でさらに詳細に説明するように、プランジャー206により作動されるよう、ハンドル202まで近位に延びている。送達のため、針基部222および先端部226は、シャフト232の遠位端部に形成された対応する斜面230より遠位に位置付けられている。トリガーワイヤ228は、シャフト232内部に同軸にスライド可能に配され、トリガーワイヤ228の近位への相対運動により、針基部222および先端部226は、斜面230によって穿刺角度まで半径方向外側に偏向される。安定化装置214は、少なくとも1つの偏向可能な翼部238によって接合される、近位バンド234および遠位バンド236で形成されている。近位バンド234は、シャフト232上において同軸に配され、スライド可能である、キャッチャーチューブ242に固定されている。そして、キャッチャー240は、シース216内部に同軸に配され、かつスライド可能である。これに対応して、遠位バンド236は、シャフト232に固定される。キャッチャー240を、シャフト232に対して遠位に動かすことにより、近位バンド234と遠位バンド236との間の距離を縮めることができ、偏向可能な翼部238が半径方向外側に突出して、安定化装置214をその挿入プロファイルから拡張させる。
【0031】
針組立体212に関する詳細は、
図4に示されており、この図は、針基部222と針先端部226との間の相互作用を概略的に描いている。図示のとおり、各針基部222は、針先端部226の凹部248内部に嵌まるように構成された支柱246を含み得る。針先端部226を、針基部222に対して特定の回転方向に位置付けることが望ましい場合がある。一態様では、支柱246および対応する凹部248の非対称構成により、針先端部226が所望の回転方向で固定されることができる。例えば、支柱246上のリブまたは他の同様の特徴部は、凹部248の相補的な特徴部と噛み合うことができる。針先端部上の支柱と基部の凹部とを使用することなど、針先端部226を針基部222に固定する他の手段を、所望されるとおりに使用することができる。縫合材料250は、クリンプ、加熱、結び目形成、または接着剤もしくはプラグを使用することなど、任意の適切な方法を用いて、針先端部226の孔227内に保持され得る。前記のとおり、針先端部226は、針基部222から取り外し可能であってよい。さまざまな技術を用いて、針先端部226と基部222との間の所望の保持角度を達成することができる。例えば、針先端部226は、支柱246上に置かれる前または後でクリンプされてよく、あるいは、何らかの他の形態の構造的相互作用が作り出されてもよい。他の実施形態では、接着剤を用いてよく、あるいは、凹部248は、支柱246よりいくらか小さくなるサイズにされてよく、かつ、針先端部226は、割れ目を有してよく、先端部材料の弾性により、針先端部を所定の位置に保持することが可能となる。支柱246の表面品質およびコーティングは、針先端部226の保持にも影響を及ぼし得る。例えば、針基部222および針先端部226のうちの一方または両方が、超弾性特性および形状記憶特性を有するニチノール(登録商標)などのニッケル‐チタン合金から形成され得る。一態様では、針基部222および針先端部226のうちのいずれかまたは両方は、適切な保持力を有するために、ニチノール酸化物の層を有し得る。実施形態は、4本の針に関連して論じられているが、任意の適切な数の針を、所望のとおりに使用することができる。
【0032】
前記のとおり、針配備組立体212による縫合糸送達は、挟まれた組織を遠位から近位の方向に貫通するように構成された穿刺角度まで針を半径方向外側に偏向させ、その後、針の少なくとも一部、例えば縫合材料250を運ぶ針先端部226を捕捉することを含み得る。これらの動作の側面に関する詳細は、
図5〜
図8の一続きの図面に概略的に例示されている。
図5から始めて、針先端部226および針基部222は、凹部内に位置することなどにより、シャフト232に適合することで、挿入用の縮小プロファイルを示している。次に、
図6は、針先端部226および針基部222が、
図3を参照して説明したように針押圧要素224およびトリガーワイヤ228によって近位に駆動されたところを示している。針先端部226および針基部222は、斜面230によって外側に偏向され、シース216とキャッチャー240との間の半径方向空間に入る。キャッチャー240は、円錐形状の遠位端部を用いて、針をこの空間内にガイドするのを助けることができる。
図7に示すように、いったん針先端部226がキャッチャー240を越えて近位に延びると、針先端部は、キャッチャー240の近位エッジ252により係合されてよく、針基部222が遠位に引き抜かれたときに保持される。最後に、
図8は、針基部222が遠位に完全に引き抜かれていて、シャフト232に適合することにより縮小プロファイルを再度有しているところを示している。針先端部226、およびこれに対応して縫合材料250は、キャッチャー240の近位エッジ252によって保持される。キャッチャー240の円錐構成は、針先端部226の近位方向への移動を容易にするとともに、遠位方向への移動に耐えることを容易にし得る。
【0033】
シース216は、針の移動経路の外側境界線を定め、シース216の内側に同軸に配されたキャッチャー240は、内側境界線を定める。シース216およびキャッチャー240は、小さい半径方向の隙間を画定するか、または1点以上で(at one point or more)半径方向に接触するように、互いに対してサイズ決めされ位置付けられ得る。針先端部226は、シース216とキャッチャー240との間を長さ方向に通ることができる。一実施形態では、小さい隙間が、キャッチャー240とシース216との間に存在してよく、十分な摩擦で針の少なくとも一部がキャッチャー240とシース216との間に保持されるまで針の通過を可能にするようにサイズ決めされてよい。針の捕捉および保持は、針配備組立体212が遠位方向に後退させられたときに針基部222から針先端部226を係合解除するのに十分な力を有するシース216およびキャッチャー240に対する摩擦により、生じ得る。あるいは、キャッチャー240の近位エッジ252は、隙間がまったくないか、または針先端部226の寸法より小さい隙間が存在するように、シース216と接触していてよいが、一方または両方の材料は、針先端部226を変形させ、その通過を可能にするよう十分に柔軟である。一態様では、針先端部226は、針基部222より寸法が幅広く、近位エッジ252との係合を促進することができる。例えば、針先端部および針基部は、外径がそれぞれ0.5mmおよび0.4mmであってよい。シース216とキャッチャー240との間に半径方向の隙間を示す実施形態では、この空間は、装置に沿って長さ方向に実質的に一定であってよく、あるいは、テーパー状になっていてよく、針先端部226が入るのを容易にするよう遠位端部の近くで幅広く、また針先端部226の保持のための摩擦を増大させるよう近位端部に向かって狭くなる。摩擦は、キャッチャー240および/またはシース216について、所望の特性を有する材料を選択することによって、高められ得る。同様に、摩擦は、機械的デザインによって高められることもできる。他の実施形態では、針先端部226と針基部222との間のかなりの摩擦を必要としないかもしれない。針の係合解除は、キャッチャー240とシース216との間に湾曲した通路を提供することによっても容易にされてよく、針は相対的に近位に動かされたときに、この通路を通過する。
【0034】
次に
図9を見ると、ある実施形態では、キャッチャー240は、安定化装置インターフェース256の近位に位置づけられたキャッチャーディッシュ254など、保持のため針先端部226に係合する専用の要素を含み得る。キャッチャーディッシュ254および安定化装置インターフェース256の両方が、キャッチャーチューブ242により支持され得る。安定化装置インターフェース256の材料は、安定化装置214との硬い接続を形成するように選択されてよく、キャッチャーディッシュ254の材料は、針先端部226が近位方向に通るのを可能にするが、遠位方向に引き抜かれるのに耐えるよう、前述した弾力または摩擦特性を示すように選択され得る。一態様では、キャッチャーディッシュ254は、チタン合金、例えばTi6Al4V、ステンレス鋼、または他の類似の材料から形成され得る。一態様では、キャッチャーディッシュ254は、針先端部226がこの材料を貫通することができるように構成されてよく、針基部222が引き抜かれたときに針先端部226を保持するよう、十分な係合が生じる。同様に、キャッチャーディッシュ254は、スリットを有してよく、針先端部226は、近位位置まで動かされるときに、これらのスリットを通過する。針先端部226が遠位側から近位側まで通過するときにスリットの周りで材料が近位に偏向することにより、針先端部226の保持を容易にするインターフェースが生じ得る。
【0035】
安定化装置インターフェース256は、針先端部226が近位方向に移動するときに針先端部226をガイドするのを助けるため、ガイド258または類似の構造特徴部を含み得る。一態様では、キャッチャーディッシュ254は、シース216に対し、軽い外向きの力を及ぼすことができる。キャッチャーディッシュ254の円錐形状は、シース216とキャッチャー240との間の空間を通じて針先端部226をガイドするよう作用し得る。キャッチャーディッシュ254がシース216に接触する場合、材料は、わずかに内側に変形して、針先端部226の貫通を可能にすることができる。針先端部226が完全に近位エッジ252を通り過ぎると、キャッチャーディッシュ254は、シース216に向かって跳ね返り、遠位方向への運動に対する機械的停止部として機能し得る。したがって、針配備組立体212が後退させられると、針先端部226は、針基部222から切り離され得る。キャッチャーディッシュ254とシース216との間の任意の隙間は、針基部222がいったん後退させられると、実質的に閉じる。(明瞭化のためにここでは不図示の)縫合材料250を運ぶ針先端部226は、次に、キャッチャーディッシュ254より近位に保持され得る。
【0036】
次に
図10を見ると、針配備組立体212の実施形態に関するさらなる詳細が描かれている。図示のとおり、針基部222および針先端部226は、近位方向に動かされ、半径方向外側に偏向されている。この図面では、安定化装置214は、針の配備に関する態様を不明瞭にしないよう、その非拡張構成で図示されているが、以下に記載するように、通常の操作中は、安定化装置214は、針配備のために拡張し得る。斜面230は、近位リング260上で針先端部226および針基部222をガイドする。いくつかの実施形態では、近位リング260は省略されてよく、斜面230が単独で使用されて、針を所望の穿刺角度まで偏向させることができる。さらに、針先端部226および針基部222は、遠位リング262を通って移動し、かつ遠位リング262により拘束され、遠位リング262の遠位側でシャフト232に一致する。遠位リング262は、除去または座屈を防ぐための複数の針のガイドとして役立ち得る。針が配備されるとき、針先端部226および針基部222は、遠位リング262の下に延び、近位リング260の上を移動して、針を穿刺角度で突出させる。穿刺角度は、近位リング260と遠位リング262との間の距離によって、および/またはそれらの相対直径によって、ならびに斜面230の角度によって、確立され得る。
【0037】
安定化装置214の一実施形態に関するさらなる詳細が、
図11に概略的に描かれている。
図3と比較すると、キャッチャーチューブ242が、シャフト232に対して遠位に動かされている。前述のとおり、安定化装置214の近位バンド234は、キャッチャーチューブ242に固定され、遠位バンド236はシャフト232に固定される。近位バンド234と遠位バンド236との間の距離が相対的に減少することにより、偏向可能な翼部238が半径方向外側に突出しており、安定化装置214を拡張させている。よって、シース216とシャフト232との間の相対運動により、縫合されるべき組織266が、拡張した安定化装置214とシース216との間に挟まれ得る。偏向可能な翼部238は、安定化装置214の拡張プロファイルの制御を助けるために、偏向可能な翼部に沿った中間の場所ならびに/または近位バンド234および遠位バンド236への接続部における場所を含む、所望の場所にあるヒンジ点264を特徴としてよい。例えば、装置200は、閉じられるべき穿刺部を有する血管壁に対して約45°の角度で挿入され得る。これに対応して、組織266の相対平面は、装置200の長さ方向軸に対して実質的に垂直でなくてよい。適切なヒンジ点264を選択することにより、偏向可能な翼部238は、組織266の予測角度をより厳密に追跡するプロファイルを提供するように構成され得る。図示の実施形態では、前方の偏向可能な翼部238aは、装置200の長さ方向軸に対して、相対的に浅い角度を呈するように拡張し得る。同様に、後方の偏向可能な翼部238bは、拡張したときに、相対的に鋭い角度を呈することができる。図示のとおり、偏向可能な翼部238aおよび238bにより呈される角度は、組織266を安定させるよう、支持の強化をもたらし得る。一態様では、装置のより鋭い挿入角度に隣接した組織は、下方に流れる傾向が大きく、また、反転し得る。偏向可能な翼部238bにより呈される、より鋭い角度は、反転した組織を持ち上げるのを助けることができる。いくつかの実施形態では、偏向可能な翼部238bに対応する1つの偏向可能な翼部は、挟まれた組織を安定させるために十分となり得る。
【0038】
さらに、
図11は、シャフト232が安定化装置214に隣接した遠位逆流出血ポート269および270を有してよいことを示しており、これらのポートは、ハンドル202上の逆流出血インジケータ218と連通している。装置200が患者の脈管構造内部の所望の場所に位置付けられると、血液は、ポート269および/もしくは270に入り、シャフト232のチャネルを通って移動し、インジケータ218において見ることができる。したがって、インジケータ218における血流は、患者の血管に対する装置200の相対位置に関するフィードバックを提供することができる。一態様では、ポート269および270のいずれかまたは両方を使用することができる。ポート269は、安定化装置214が拡張し、シース216に対し組織266が挟みつけられた後、出血の指標を提供し続ける。比較すると、ポート270は、最初に血管内に位置づけられたときに出血の指標を提供し得るが、安定化装置214とシース216との間で挟みつけが生じると組織266により遮られることができ、これにより、挟みつけが生じたことが信号伝達される。
【0039】
安定化装置214の異なる適切な構成を示す、追加の例示的な実施形態が、
図12〜
図19に描かれている。概して、
図12、
図14、
図16、
図18は、安定化装置214の代替的な構成の平面図を示しており、これらは、長さ方向軸に沿って切り取られ、平坦に置かれた安定化装置の2次元(2D)図面として表されており、向かい合ったサイドエッジを接合すると、円筒体が形成される。各偏向可能な翼部238の特徴は、近位、遠位、および中間のヒンジ点264の相対的な位置付けによって、確立され得る。各偏向可能な翼部238の全長は、近位ヒンジ点264と遠位ヒンジ点264との間の相対距離によって変わり、中間のヒンジ点264の位置付けは、各偏向可能な翼部238の近位部分および遠位部分の長さを確立して、装置200の長さ方向軸に対して偏向可能な翼部238の近位部分により形成される角度を制御する。そして、
図13、
図15、
図17、
図19は、約45°の挿入角度、および患者の血管壁に関して偏向可能な翼部により形成された相対角度で患者の脈管構造内部に位置づけられた場合の、拡張構成を示す。これらの図面では、サイドの偏向可能な翼部は、明瞭化のために図示されていない。実施形態は、4つの偏向可能な翼部238との関連で論じられているが、任意の適切な数の翼部を利用する他の構成も、所望のとおりに用いられ得る。
【0040】
図12および
図13に関し、安定化装置214aについて第1の例示的な構成が、図示されている。この実施形態では、
図12に描かれたように、前方の偏向可能な翼部238aは、実質的に等しい近位部分および遠位部分を有する。後方の偏向可能な翼部238bは、より長い全長、および比較的短い近位部分を有し、長さ方向軸に対して比較的鋭い角度を確立する。サイドの偏向可能な翼部238cは、前方の偏向可能な翼部238aと等しい全長と、比較的長い近位部分と、を有する。対応する
図13に示すように、前方の偏向可能な翼部238aの近位部分は、血管壁268と実質的に同じ角度を示し、後方の偏向可能な翼部238bの近位部分は、より鋭い角度を形成する。後方の偏向可能な翼部238bはまた、近位のヒンジ点264により確立されるように、比較的より近位側に位置付けられている。
【0041】
次に、
図14および
図15は、安定化装置214bとの関連で第2の例示的な構成を示している。ここで、
図14は、前方の偏向可能な翼部238aおよび後方の偏向可能な翼部238bを、実質的に等しい長さを有するものとして描いており、前方の偏向可能な翼部238aの近位部分は、後方の偏向可能な翼部238bの遠位部分と長さが同様で、向かい合った対称をなしている。対応する
図15に示すように、前方の偏向可能な翼部238aの近位部分は、長さ方向軸との比較的浅い角度を示し、後方の偏向可能な翼部238bの近位部分に対して相対的に垂直な関係を示している。
【0042】
図16および
図17に示す第3の例示的な実施形態は、安定化装置214cを含む。
図16に描くように、前方の偏向可能な翼部238aおよび後方の偏向可能な翼部238bは、同様の全長を有し、また、同様の比率の近位部分および遠位部分を有している。サイドの偏向可能な翼部238cは、比較的短い全長を有し、近位部分が比較的長い。したがって、
図17は、前方の偏向可能な翼部238aの近位部分および後方の偏向可能な翼部238bの近位部分の両方が、長さ方向軸に対して比較的鋭い角度を示すことを示している。
【0043】
図18および
図19に関して、第4の例示的な構成が、安定化装置214dについて示されている。
図18に描かれるように、前方の偏向可能な翼部238aは、実質的に等しい近位部分および遠位部分を有する。後方の偏向可能な翼部238bは、より長い全長と、比較的短い近位部分とを有して、長さ方向軸に対して比較的鋭い角度をなしている。安定化装置214aと比べると、前方の偏向可能な翼部238bは、比較的近位に位置付けられている。サイドの偏向可能な翼部238cは、前方の偏向可能な翼部238aと等しい全長を有し、また比較的長い近位部分を有している。対応する
図19に示すように、前方の偏向可能な翼部238aの近位部分は、血管壁268と実質的に同じような角度を示し、後方の偏向可能な翼部238bの近位部分は、より鋭い角度を形成している。
【0044】
前記のことから、非対称の偏向可能な翼部を有する安定化装置デザインを採用することで、いくつかの利点がもたらされることが、認識されるであろう。長さ、位置、およびヒンジ点を調節することにより、安定化装置214は、閉じられている穿刺部に隣接した標的の血管壁の解剖学的構造に、よりぴったりと一致するように構成され得る。偏向可能な翼部、特に後方の偏向可能な翼部238bと、シース216との相互作用は、反転した組織を持ちあげるのに役立ち得る。組織266との積極的な相互作用をもたらすことにより、安定化装置214およびシース216の両方が、装置200を血管壁268に固着させ、正しい位置付けについて触知できるフィードバックを提供するよう動作することができる。さらに、貫通前に針先端部226までの距離を維持することにより、偏向可能な翼部238は、挟まれた組織と交差する前に正しい穿刺角度へと針先端部226および針基部222を配備することができる。安定化装置214の構成は、滑らかさを改良し、血管壁への損傷を低減するために鋭いエッジおよび開口部を最小限に抑えるよう選択されることもできる。同様に、サイドの偏向可能な翼部238cは、血管との衝撃を最小限にするが、拡張した安定化装置に構造的完全性を与えるように構成され得る。
【0045】
前記のとおり、組織を挟み、その後、針配備組立体214の移動およびキャッチャー240での針先端部226の捕捉により針先端部226によって縫合材料250を送達する、安定化装置214およびシース216の動作は、トリガーワイヤ228、シャフト232、キャッチャーチューブ242および/またはシース216など、本開示の同軸要素間の相対運動を伴い得る。例えば、安定化装置214は、近位バンド234および遠位バンド236を一緒に圧縮するため、シャフト232に対して遠位にキャッチャーチューブ242を動かすことによって、拡張され得る。別の態様では、組織266は、シャフト232に対してシース216を遠位に動かすことなどによって、シース216および拡張した安定化装置214を一緒に移動させることで、挟まれ得る。さらに別の態様では、針先端部226および針基部222は、シャフト232に対するトリガーワイヤ228の近位への相対運動によって、穿刺角度まで偏向させられ、挟まれた組織266を通って近位側へ駆動されることができる。針先端部226の捕捉後、針基部222は、シャフト232に対するトリガーワイヤ228の遠位への相対運動によって、それらの挿入プロファイルに戻ることができる。さらに、安定化装置214は、シャフト232に対するキャッチャーチューブ242の近位への相対運動によって、その非拡張挿入プロファイルに戻ることができる。
【0046】
したがって、本開示の態様は、付随する動作を実行するため、前記の同軸要素の所望の相対運動を生じるためにハンドル202を使用することを含む。特に、実施形態は、スライダ204および/またはプランジャー206を作動させることによるものを含め、
図1について前述した操作のうちの1つ以上を実行するため、同軸要素の複数の動きを連携させるためにハンドル202を使用することを含む。これらの技術を例示するのに役立つよう、
図20〜
図27は、スライダ204およびプランジャー206に連結されたハンドル202および関連する構成要素と、作動された際のそれらの相対運動の詳細を概略的に示している。
【0047】
まず、
図20を見ると、ハンドル202の側面図が示され、スライダ204は、送達のために非拡張構成にある安定化装置に対応する、最近位位置にある。スライダ204は、シース216に直接結合され、スライダ204の遠位移動は、シース216の遠位移動へと変換される。スライダ204は、ピン278によって安定化装置従動子272にも結合され、スライダ204の遠位移動により、心棒276上で安定化装置従動子272を旋回させる。ピン278は、キャッチャーチューブ242に固定され、安定化装置従動子272のスロットによって捕捉され、キャッチャーチューブ242はまた、スライダ204によって遠位に動かされる。安定化装置制御装置280は、スライダ204に向かって上方に付勢され、スライダプロファイル282によって示された位置を有する。トリガー安全装置(Trigger safe)284も、上方に付勢され、スライダプロファイル282により拘束される。シャフト232は、シース216およびキャッチャーチューブ242内部で同軸に延び、基部286により、ハンドル202に固定される。トリガーワイヤ228は、トリガーラック288に連結され、トリガーラック288の近位移動により、トリガーワイヤ228が、シャフト232内部で同軸に引き抜かれる。この構成では、トリガー安全装置284は、トリガーラック288を所定の位置にロックし、組織が挟まれるまでトリガーワイヤ228が動くのを防ぐ。
【0048】
前述したような逆流出血インジケータ218を使用することなどにより、いったん装置200が患者の脈管構造内部の所望の場所に位置づけられたら、術者は、スライダ204を作動させることにより、安定化装置214を拡張させ、拡張した安定化装置とシース216との間に組織を挟むことができる。
図21に示すように、スライダ204が遠位に動くと、シース216も、ハンドル202に対して遠位に動く。同時に、スライダ204の遠位への移動が、安定化装置従動子272を通じて変換されて、キャッチャーチューブ242を、ハンドル202に対して遠位に動かし、これに対応して、シャフト232に対して動かす。この図面で示す位置では、キャッチャーチューブ242は、その移動範囲の端近くにあり、安定化装置214は、拡張されており、安定化装置従動子272がさらに遠位に動くことで、ピン278が解放されて、キャッチャーチューブ242がスライダ204から外れる。スライダ204を遠位に動かし続けると、
図22に示すような構成となる。シース216は、スライダ204を作動し続けるのと連動して、遠位に動いて、その遠位端部と拡張した安定化装置214との間に組織を挟む。スライダ204が最遠位位置に到達すると、スライダプロファイル282により、安定化装置制御装置280は、上方に移動し、ピン278に係合して、キャッチャーチューブ242の近位運動を防ぐ。同様に、スライダプロファイル282はまた、トリガー安全装置284を解放して、トリガー安全装置が上方に移動して、トリガーラック288のロックを解除することを可能にする。この上方位置では、トリガー安全装置284はまた、スライダプロファイル282の近位端部に係合して、スライダ204を遠位位置にロックする。この段階で、スライダ204の完全な作動により、安定化装置214が拡張され、安定化装置214とシース216の遠位端部との間に組織が挟まれている。一部の状況では、針および縫合材料を配備する前に操作を中断することが望ましい場合がある。例えば、術者は、石灰化した組織、または縫合糸送達に禁忌を示す何らかの他の状況に遭遇するかもしれない。
図2に示す解放トリガー220は、トリガー安全装置284に連結されて、術者が、トリガーラック288を再びロックしてスライダ204をロック解除する下方位置までトリガー安全装置284を手動で戻すことを可能にすることができ、術者は、スライダ204を近位に動かし、前述した操作を逆転させて、挟まれた組織を解放し、安定化装置214にその非拡張構成をとらせることができる。
【0049】
スライダ204の作動によって、安定化装置214とシース216との間に組織を挟んだ後、プランジャー206は、針先端部226および針基部222を配備させるよう作動されることができ、これによって、針先端部226および針基部222は、挟まれた組織を貫通して、キャッチャー240およびシース216によって捕捉される。
図23は、プランジャー206がその最近位位置にある、ハンドル202の上面図を概略的に描いている。プランジャー206は、プランジャーラック290に直接連結され、ピニオン292は、プランジャー206の最近位位置から中間位置までの第1の移動範囲にわたってプランジャーラック290およびトリガーラック288に係合する。前述のとおり、スライダ204は、その最遠位位置まで前進しており、トリガー安全装置284は、スライダプロファイル282によって上方へ移動することができ、トリガーラック288をロック解除する。これに対応して、第1の移動範囲にわたり遠位にプランジャー206を作動させると、ピニオン292が回転して、トリガーラック288が近位方向に引き抜かれる。トリガーラック288はトリガーワイヤ228に連結されているので、第1の移動範囲にわたりプランジャー206を作動させると、針押圧要素224も近位に動かされ、針先端部226が
図7に示すような捕捉のためにキャッチャー240とシース216との間を移動する前に、針基部222および針先端部226が、まず
図5に示した挿入プロファイルから穿刺角度へと外側へ偏向し、挟まれた組織を貫通する。
【0050】
プランジャー206の第1の移動範囲の終わりに、ピニオン292は、
図24に示すように、プランジャーラック290から係合解除される。同時に、プランジャーラック290の遠位端部は、トリガーラック288の近位端部に直接係合し、プランジャー206を第2の移動範囲にわたり遠位に動かし続けると、今度はトリガーラック288が、またそれに対応して、トリガーワイヤ228が遠位に押されて、針押圧要素224をその元の位置に戻す。次に、この動きにより、針基部222が引き抜かれて、シャフト232に一致する挿入プロファイルになる。第2の移動範囲のプランジャー206の最近位位置は、
図25に示されている。図から分かるように、第2の移動範囲にわたってプランジャー206を作動させることで、トリガーラック288の方向が逆になり、トリガーラックが、針配備組立体212をその元の位置に戻すのに十分な量だけ、
図24に示す位置より相対的に遠位に動く。
【0051】
完全な遠位位置の直前の位置までプランジャー206を作動させることによるハンドル202の構成は、
図26の側面図に概略的に示されている。プランジャーラック290とトリガーラック288との間の係合により、トリガーラックが遠位に動かされており、遠位端部は、リセットリンク294に係合し、これは近位方向に付勢される。ハンドル202の完全な遠位構成は、
図27に示されている。トリガーラック288を追加で遠位に動かすことで、リセットリンク294が遠位に押しやられており、安定化装置制御装置272に係合して、これをその下方位置まで動かす。次に、これによって、ピン278が解放され、キャッチャーチューブ242はその開始位置まで近位に動く。キャッチャーチューブ242は、バネ296により近位方向に付勢され得る。さらに、安定化装置214の材料は、その非拡張構成に戻る傾向を有する、弾性特性を有し得る。例えば、安定化装置は、超弾性特性および形状記憶特性を有するニチノール(登録商標)などのニッケル−チタン合金から形成され得る。したがって、安定化装置制御装置272をその下方位置まで動かすと、キャッチャーチューブ242が近位に動き、安定化装置214はその挿入プロファイルをとることができる。
【0052】
前述のようにスライダ204およびプランジャー206を作動させた後、安定化装置214は、その非拡張構成に戻ることができ、針配備組立体212は、
図28に示すような、その挿入プロファイルをとることができる。さらに、針先端部226は、キャッチャーディッシュ254およびシース216により捕捉されていて、縫合材料250のループが、組織266を通されたまま残る。この段階で、装置200を引き抜くことができる。余分な縫合材料250は、
図29に示すように、ハンドル202の中に保管されてよく、装置200が引き抜かれ、縫合材料250が糸巻きに巻かれて、張力を軽減して、組織266が裂けるのを最小限に抑える。
【0053】
前記のとおり、本開示の装置は、血管内処置中に作られた開口部を閉じ、その修復を促進するために使用され得る。例えば、セルジンガー技術が、大腿動脈にアクセスするための既知の処置であり、縫合糸送達装置100は、この動脈に作られた開口部を閉じるのに使用され得る。さらに一般的には、本開示の装置は、さまざまなサイズの血管アクセス部位を閉じ、5F〜24Fの範囲のシースを用いたカテーテル挿入処置を受けた患者の、止血までの時間および歩行までの時間を減らすための、縫合糸の送達に使用され得る。さらになお一般的には、本開示は、軟組織および器官の切開部またはオリフィスを閉じることを伴う任意の臨床処置に適用可能である。例えば、縫合糸送達装置200または適切に構成された実施形態は、胃腸穿孔、穿孔性潰瘍などの外科処置または介入処置での軟組織の開口部または裂け目の閉鎖、低侵襲手術または天然のオリフィス経管腔的内視鏡手術に付随するトロカール切開部の閉鎖、卵円孔開存(PFO)の閉鎖、脊椎の環状修復(spinal annular repair)、および縫合の恩恵を受け得る他の処置に、使用され得る。
【0054】
第1のアクチュエータはスライダ204との関連で前述されるが、任意の適切な機械的手段、例えば、ボタン、レバー、スライダ、トリガー、プランジャー、回転子、クランク、または他の適切なアクチュエータを、術者が使用して、血管の内側の遠位装置構成要素および血管の外側の近位装置構成要素を血管壁に押し付ける、関連する装置機構を作動させ、それによって、装置構成要素間に血管壁を挟むことができることが、認識されるであろう。同様に、第2のアクチュエータはプランジャー206との関連で記載されているが、任意の適切な機械的手段、例えば、ボタン、レバー、スライダ、トリガー、プランジャー、回転子、クランク、または他の適切なアクチュエータにより、使用者は、縫合糸を運ぶ針を動かす、関連する装置機構を作動させて、血管壁の片側から反対側まで(例えば、内側の血管壁から外側の血管壁まで)貫通させた後、縫合糸を有する針が、血管壁の外側に位置づけられた近位装置構成要素により捕捉または保持される。いくつかの実施形態では、針は、互いから切り離され得る部分を有してもよい。針の捕捉は、針本体または基部から針先端部を係合解除するかまたは切り離すことを伴ってよく、これにより、縫合糸を有する針先端部は、血管の外側の近位装置構成要素によって保持される。前記のとおり、第2のアクチュエータは、針の近位および遠位の相対移動に対応する、第1および第2の移動範囲を有し得る。したがって、回転リンクは、第1の180°および第2の180°など、所望の移動範囲を提供することができる。
【0055】
装置は、縫合材料250に取り付けられ、トリガーワイヤ228に接続された、針を支持する針押圧要素224などの、針押圧要素を含む針配備組立体を有し得る。トリガーワイヤ228は、針が血管壁を貫通し、血管壁の外側の近位構成要素(例えば、キャッチャー240およびシース216)により捕捉されるまで、針押圧要素224を近位に動かす。針は、互いから切り離され得る部分を有し得る。例えば、針本体または基部222は、針押圧要素によって保持されてよく、針先端部226は、力が加えられると、切り離されてよい。縫合糸を有する針先端部は、キャッチャー240および/またはキャッチャーディッシュ254など、血管壁の外側の捕捉要素によって保持され、針押圧要素により保持された針基部から切り離されることができる。針基部を支持する針押圧要素は、装置上の、元の遠位位置に戻る。あるいは、縫合糸を有する針は、保持され、針押圧要素から切り離されることができる。針押圧要素は、装置上の、元の遠位位置に戻る。
【0056】
針基部からの針先端部の切り離しは、針押圧要素を後退させる前、またはそれと同時に起こり得る。あるいは、針押圧要素からの針の分離は、針押圧要素を後退させる前、またはそれと同時に起こり得る。
【0057】
針は、組織を貫通し、次にキャッチャーの中に入るように配備される。針は、摩擦によってキャッチャーの中に保持され得る。摩擦は、さまざまなデザイン、構成要素、および材料によってもたらされ得る。キャッチャーは、針の発射中、静止していてよく、あるいは、針配備部材に向かって遠位に動くことができ、あるいは、ハンドルに向かって近位に動くことができる。シースは、近位端部に向かって長さ方向に装置に沿って針の動きをガイドする(または針の動きの境界を定める)ために使用され得る。例えば、針を摩擦により保持することは、シースとキャッチャーとの間の可変空間により生じ得る。シースとキャッチャーとの間の空間は、針が入るときは広く、針を捕捉するときは狭くなってよい。あるいは、シースとキャッチャーとの間の空間は、針が入るために広くなり、針を捕捉するために狭くなってよい。別の実施例では、針は、キャッチャーまたはシースの材料との相互作用の摩擦により捕捉されてよく、シースとキャッチャーとの間の空間は、長さ方向に変化しない。
【0058】
針は、受動的または能動的に、キャッチャーの中に捕捉され得る。受動的な実施形態では、構成要素の動きがまったくないか、1つの構成要素の動きがある。シースとキャッチャーとの間の可変空間は、一定の勾配であってよい。さらに、シースとキャッチャーとの間の空間は、遠位端部で広く、近位端部で狭くなっていてよい。よって、一実施形態では、シースおよびキャッチャーは、静止したままで、針は、シースおよびキャッチャーにより画定された空間の中に入る。言い換えれば、針は、遠位に動き、シースとキャッチャーとの間の狭い空間により保持される。受動的な方法の別の実施形態では、シースは遠位に動いて、針を受容するための空間を画定する。針は、シースおよびキャッチャーにより画定された空間の中に入り、シースの内壁により束縛/ガイドされる。針は遠位に動いて、シースとキャッチャーとの間の狭い空間により保持される。シースは、キャッチャーが静止したままである間に近位に後退する。
【0059】
能動的な実施形態では、シースとキャッチャーとの間の空間は、動的な勾配であってよい。シースとキャッチャーとの相対移動は、針が動く間に近位に変化して、シースとキャッチャーとの間の内部空間を狭くして、針を捕捉および保持することができる。シースおよびキャッチャーは、互いに対して動いて、針が内部空間に入るための、より大きな空間を作り出すことができる。シースおよびレシーバーは、互いに対して動いて、内部空間を縮小し、針を捕捉することができる。一実施形態では、シースとキャッチャーとの間の空間は、シースが針を受容するため遠位に動く間、開いている。シースとキャッチャー/レシーバーとの間の空間は、キャッチャーが遠位に動く間にシースを近位に後退させることによって、またはキャッチャーが静止している間にシースを近位に後退させることによって、縮小され得る。別の実施形態では、シースは、軟組織に接して位置付けられる。シースとキャッチャーとの間の空間は、キャッチャーを遠位に動かすことによって、針を受容するよう縮小され得る。
【0060】
別の実施形態では、シースとキャッチャーとの間の可変空間は、針の捕捉および保持をよりしっかりと増大させるために、機械的な係合を含み得る。シースは、遠位に動いて、針を受容する空間を画定し得る。針は、次に、シースおよびキャッチャーにより画定された空間に入る。針は、遠位に動いて、シースとキャッチャーとの間の狭い空間によって保持される。針の保持は、針に係合するよう機械的圧縮によって高められ得る。最後に、シースは、キャッチャーが静止したままである間に、近位に後退する。当業者は、本明細書に記載したもの以外で、針の捕捉および保持を確実にする他の方法が実施され得ることを、認識するであろう。
【0061】
軟組織安定化装置214は、縫合糸を配備する前に軟組織と装置との間に安定性をもたらし、処置中に装置に対する使用者の影響を最小限に抑えるために使用される。軟組織安定化装置は、装置の挿入を容易にする第1の構成(閉じるかまたは薄型の状態)、および組織の安定化を可能にする第2の構成(配備または拡張状態)を有する。軟組織安定化装置は、足がかり(footing)、ループ、フック、アンカー、非対称の偏向可能な翼部、または偏向可能な翼部など、潜在的な変形体を有し、金属、ニチノール、またはポリマーなど、可撓性または弾性の金属で作られ得る。
【0062】
一実施形態では、安定化装置は、1つのアクチュエータを用いて針の配備および縫合糸送達を行うため、省略されてよい。例えば、
図30は、ハンドル302、およびプランジャー304として構成されたアクチュエータを含む、縫合糸送達装置300の概略的概観である。装置300の細長い遠位部分は、患者の血管内部に配備されるカテーテル306を含む。ガイドワイヤ交換ポート308は、既知の技術を用いて患者の脈管構造の中に既に位置付けられたガイドワイヤの上でカテーテル306を前進させるのを容易にするために使用され得る。カテーテル306の近位には、針配備組立体310がある。プランジャー304は、(この図面には示されていない)トリガーワイヤに連結されてよく、プランジャー304を近位に動かすと、トリガーワイヤが、対応して近位に動く。この連結は、直接的な1対1の動きを伴ってよく、あるいは、ラックアンドピニオン係合、または他の同様の機構を特徴として、所望の程度の機械効率をもたらすことができる。理解されるように、これは、プランジャー304の第1の量の移動により、トリガーワイヤの、より多い量の移動をもたらすか、または第1の量の力をプランジャー304に加えさせることで、より多い量の力をトリガーワイヤに加えさせることを含み得る。この実施形態の文脈では、プランジャー304として記載されているが、前述したアクチュエータ機構のいずれか、または任意の他の適切な機構を、用いることができる。針配備組立体310は、シース314がシャフト312上に同軸に配された状態で、以下で詳述するようにシャフト312の遠位部分により支持され得る。図示のとおり、装置300は、ハンドル302上に逆流出血インジケータ316を含んでよく、これは、針配備組立体310に隣接して位置付けられたポートと連通して、針配備組立体310が患者の血管内に位置付けられると、血流の形で視覚的フィードバックを与える。
【0063】
この実施形態に関するさらなる詳細が、
図31に描かれており、この図は、針押圧要素320から近位に突出する複数の針基部318を含む針配備組立体310を概略的に示しており、各針は、取り外し可能な針先端部322を有する。縫合材料は、(明瞭にするためこの図では示していない)針先端部322の孔に通されるか、または別様にこれに固定され得る。トリガーワイヤ324は、針押圧要素320に固定され、プランジャー304によって作動されるようハンドル302まで近位に延びている。送達のため、針基部318および先端部322は、シャフト312に形成された対応する斜面326の遠位に位置付けられる。トリガーワイヤ324は、シャフト312内部にスライド可能に同軸に配され、トリガーワイヤ324の近位への相対運動により、針基部318および先端部322は、斜面326によって穿刺角度まで半径方向外側に偏向される。他の適切な構成を使用して、トリガーワイヤ324により生じる針の近位への相対運動の結果として外側への偏向をもたらしてよく、これには、例えば前述した近位および遠位のリングが含まれる。任意の適切な数の針を用いてよく、例えば、図示のように、2つの針基部318と針先端部322との組、またはそれ以上であってもよい。キャッチャー328は、シース316内部に同軸に配され、少なくとも針先端部322は、本明細書に記載された方法のいずれかでの近位への相対運動の後、キャッチャー328およびシース316のうちの一方または両方により係合され得る。
【0064】
本明細書には、特定の例示的な実施形態が記載されている。しかしながら、この実施形態に関連する当業者は、本開示の原理が、適切な改変により、他の適用まで容易に拡張され得ることを、理解するであろう。
【0065】
〔実施の態様〕
(1) 組織の開口部を縫合するための縫合糸送達装置において、
細長い配備シャフトと、
前記シャフトにより支持される針配備組立体であって、遠位位置において挿入プロファイルを有し、前記シャフトに対して近位に動かされたときに穿刺角度まで半径方向外側に偏向するように構成された、縫合材料を運ぶ複数の針を含む、針配備組立体と、
前記針配備組立体より近位の場所で前記シャフトにより支持される安定化装置であって、前記安定化装置は、非拡張挿入プロファイルと拡張プロファイルとの間で再構成可能である、安定化装置と、
遠位端部にキャッチャーを有する、前記シャフト上に同軸かつスライド可能に配されているキャッチャーチューブであって、前記キャッチャーは、前記針が、前記キャッチャーに係合する近位位置まで、縫合されるべき組織を通過すると、前記縫合材料を運ぶ前記複数の針それぞれの少なくとも一部を保持するように構成されている、キャッチャーチューブと、
前記キャッチャーチューブ上に同軸かつスライド可能に配されたシースであって、前記シースの遠位端部は、拡張時の前記安定化装置に対して、縫合されるべき組織を挟むように構成されている、シースと、
を含む、縫合糸送達装置。
(2) 実施態様1に記載の縫合糸送達装置において、
前記キャッチャーは、弾性材料で作られている、縫合糸送達装置。
(3) 実施態様1に記載の縫合糸送達装置において、
前記キャッチャーは、拡張可能である、縫合糸送達装置。
(4) 実施態様1に記載の縫合糸送達装置において、
前記シャフトの近位端部にハンドルをさらに含み、
前記ハンドルは、前記安定化装置を拡張させるように構成された第1のアクチュエータを有する、縫合糸送達装置。
(5) 実施態様4に記載の縫合糸送達装置において、
前記第1のアクチュエータは、前記シースを、前記シャフトに対して遠位に動かすようにさらに構成されている、縫合糸送達装置。
【0066】
(6) 実施態様5に記載の縫合糸送達装置において、
前記第1のアクチュエータは、近位位置から遠位位置に動くことができるスライダを含む、縫合糸送達装置。
(7) 実施態様6に記載の縫合糸送達装置において、
前記スライダは、前記シースおよび前記キャッチャーチューブの近位端部に連結され、
前記安定化装置の近位端部は、前記キャッチャーチューブに固定され、前記安定化装置の遠位端部は、前記シャフトに固定され、前記スライダの、前記近位位置から前記遠位位置への移動は、
前記キャッチャーチューブを前記シャフトに対して遠位に動かして、前記安定化装置の前記近位端部と前記安定化装置の前記遠位端部との間の距離を縮めて、前記安定化装置を拡張させ、
前記シースを前記シャフトに対して遠位に動かして、前記シースの前記遠位端部と拡張した前記安定化装置との間に、縫合されるべき組織を挟むように、構成されている、縫合糸送達装置。
(8) 実施態様7に記載の縫合糸送達装置において、
前記ハンドルは、前記キャッチャーチューブと前記シャフトとのさらなる相対運動を防ぎ、かつ前記シースと前記シャフトとのさらなる相対運動を防ぐために、前記スライダが前記遠位位置にあるときに、自動的に係合するように構成された、安定化装置制御装置をさらに含む、縫合糸送達装置。
(9) 実施態様8に記載の縫合糸送達装置において、
前記ハンドルは、前記安定化装置が前記非拡張挿入プロファイルに戻ることができるよう、前記スライダが前記遠位位置にあるときに前記安定化装置制御装置を係合解除し、前記キャッチャーチューブと前記シャフトとのさらなる相対運動を可能にするように構成された解放トリガーをさらに含む、縫合糸送達装置。
(10) 実施態様1に記載の縫合糸送達装置において、
前記安定化装置は、前記安定化装置の近位端部と前記安定化装置の遠位端部との間の距離が縮んだときに外側に偏向する、少なくとも1つの偏向可能な翼部を含む、縫合糸送達装置。
【0067】
(11) 実施態様10に記載の縫合糸送達装置において、
前記偏向可能な翼部は、前記縫合されるべき組織に対して前記縫合糸送達装置の挿入角度を補うように構成された非対称構成を、拡張時に有する、縫合糸送達装置。
(12) 実施態様1に記載の縫合糸送達装置において、
前記シャフトの近位端部にハンドルをさらに含み、
前記ハンドルは、前記シャフトに対して近位および遠位に前記針を動かすように構成された第2のアクチュエータを有する、縫合糸送達装置。
(13) 実施態様12に記載の縫合糸送達装置において、
前記第2のアクチュエータは、前記複数の針を前記遠位位置から前記近位位置まで動かすように構成された第1の移動範囲を有する、縫合糸送達装置。
(14) 実施態様13に記載の縫合糸送達装置において、
前記第2のアクチュエータは、前記キャッチャーによって保持されていない前記複数の針それぞれの一部を、前記近位位置から前記遠位位置まで動かすように構成された第2の移動範囲を有する、縫合糸送達装置。
(15) 実施態様14に記載の縫合糸送達装置において、
前記第2のアクチュエータは、プランジャーラックに連結されたプランジャーを含み、
トリガーラックおよびピニオンをさらに含み、
前記複数の針は、前記シャフト内部にスライド可能かつ同軸に配されたトリガーワイヤによって前記トリガーラックに連結され、前記第1の移動範囲にある間、前記トリガーラックおよび前記プランジャーラックは、前記ピニオンに係合し、前記プランジャーラックが遠位に動くと、前記トリガーワイヤが前記シャフトに対して近位に動く、縫合糸送達装置。
【0068】
(16) 実施態様15に記載の縫合糸送達装置において、
前記第2の移動範囲にある間、前記プランジャーラックは、前記ピニオンに係合せず、前記トリガーラックに直接係合し、前記プランジャーラックが遠位に動くと、前記トリガーワイヤが前記シャフトに対して遠位に動く、縫合糸送達装置。
(17) 実施態様7に記載の縫合糸送達装置において、
前記ハンドルは、前記シャフトに対して前記針を近位および遠位に動かすように構成された第2のアクチュエータを有する、縫合糸送達装置。
(18) 実施態様17に記載の縫合糸送達装置において、
前記第2のアクチュエータは、前記複数の針を前記遠位位置から前記近位位置まで動かすように構成された第1の移動範囲、および前記キャッチャーによって保持されていない前記複数の針それぞれの一部を前記近位位置から前記遠位位置まで動かすように構成された第2の移動範囲を有する、縫合糸送達装置。
(19) 実施態様18に記載の縫合糸送達装置において、
前記第2のアクチュエータは、プランジャーラックに連結されたプランジャーを含み、
トリガーラックおよびピニオンをさらに含み、
前記複数の針は、前記シャフト内部にスライド可能かつ同軸に配されたトリガーワイヤによって前記トリガーラックに連結され、前記第1の移動範囲にある間、前記トリガーラックおよび前記プランジャーラックは前記ピニオンに係合し、前記プランジャーラックが遠位に動くと、前記トリガーワイヤが前記シャフトに対して近位に動き、前記第2の移動範囲にある間、前記プランジャーラックは、前記ピニオンに係合せず、前記トリガーラックに直接係合し、前記プランジャーラックが遠位に動くと、前記トリガーワイヤが前記シャフトに対して遠位に動く、縫合糸送達装置。
(20) 実施態様19に記載の縫合糸送達装置において、
前記ハンドルは、前記キャッチャーチューブと前記シャフトとのさらなる相対運動を防ぐために、前記スライダが前記遠位位置にあるときに自動的に係合するように構成された安定化装置制御装置をさらに含み、
前記第2のアクチュエータが前記第2の移動範囲の終わりまで動くと、前記安定化装置制御装置が係合解除され、前記キャッチャーチューブと前記シャフトとのさらなる相対運動が可能となり、前記安定化装置は、前記非拡張挿入プロファイルに戻ることができる、縫合糸送達装置。
【0069】
(21) 実施態様1に記載の縫合糸送達装置において、
前記複数の針はそれぞれ、針基部、および前記縫合材料を運ぶ取り外し可能な針先端部を含み、各針先端部は、前記複数の針が前記近位位置に動くと前記キャッチャーに係合し、前記キャッチャーは、前記針基部がそれぞれ前記遠位位置に戻ると、各針先端部を保持する、縫合糸送達装置。
(22) 実施態様21に記載の縫合糸送達装置において、
前記針先端部の寸法は、前記針基部の寸法とは異なる、縫合糸送達装置。
(23) 実施態様21に記載の縫合糸送達装置において、
各針基部および対応する針先端部は、近位に動いて前記キャッチャーと係合するまで前記針基部上の所定の位置に前記針先端部を保持する保持力を有するように構成されている、縫合糸送達装置。
(24) 実施態様23に記載の縫合糸送達装置において、
前記保持力は、少なくとも部分的に、表面処理部によって決まる、縫合糸送達装置。
(25) 実施態様24に記載の縫合糸送達装置において、
前記表面処理部は、ニチノール酸化物の層である、縫合糸送達装置。
【0070】
(26) 縫合糸を送達する方法において、
細長い配備シャフト、前記シャフトにより支持され、縫合材料を運ぶ複数の針を含む、針配備組立体、前記針配備組立体より近位の場所で前記シャフトにより支持される安定化装置、遠位端部にキャッチャーを有する、前記シャフト上に同軸かつスライド可能に配されたキャッチャーチューブ、および前記キャッチャーチューブ上に同軸かつスライド可能に配されたシースを提供することと、
前記細長い配備シャフトを身体内の所望の位置まで前進させることと、
非拡張挿入プロファイルから拡張プロファイルに前記安定化装置を再構成することと、
縫合されるべき組織を、前記シースの遠位端部と拡張した前記安定化装置との間に挟むことと、
前記シャフトに対して近位に動かすことで、遠位位置における挿入プロファイルから穿刺角度まで前記複数の針を半径方向外側に偏向させることと、
前記縫合されるべき組織を通過することによって近位位置まで動かされたときに前記キャッチャーを前記複数の針と係合させることと、
前記縫合材料を運ぶ前記複数の針それぞれの少なくとも一部を、前記キャッチャーで保持することと、
前記針によって保持されていない前記複数の針それぞれの一部を、前記遠位位置における前記挿入プロファイルに戻すことと、
を含む、方法。
(27) 実施態様26に記載の方法において、
前記安定化装置を再構成すること、および前記縫合されるべき組織を挟むことは、第1のアクチュエータを操作することにより実施される、方法。
(28) 実施態様27に記載の方法において、
前記安定化装置の近位端部は、前記キャッチャーチューブに固定され、前記安定化装置の遠位端部は、前記シャフトに固定され、
前記第1のアクチュエータを操作することで、前記キャッチャーチューブは前記シャフトに対して遠位に動いて、前記安定化装置の前記近位端部と前記安定化装置の前記遠位端部との間の距離を縮め、前記安定化装置を拡張させ、また前記シースは前記シャフトに対して遠位に動く、方法。
(29) 実施態様26に記載の方法において、
前記複数の針を半径方向外側に偏向させること、前記キャッチャーを前記複数の針と係合させること、および前記キャッチャーによって保持されていない前記複数の針それぞれの一部を前記遠位位置に戻すことは、第2のアクチュエータを操作することにより実施される、方法。
(30) 実施態様29に記載の方法において、
前記第2のアクチュエータを操作することは、前記複数の針を前記遠位位置から前記近位位置へ動かす第1の移動範囲にわたり前記第2のアクチュエータを動かすことと、前記キャッチャーにより保持されていない前記複数の針それぞれの一部を前記近位位置から前記遠位位置へ動かす第2の移動範囲にわたり前記第2のアクチュエータを動かすことと、を含む、方法。
【0071】
(31) 組織の開口部を縫合するための縫合糸送達装置において、
細長い配備シャフトと、
前記シャフトにより支持された針配備組立体であって、遠位位置において挿入プロファイルを有し、前記シャフトに対して近位に動かされると穿刺角度まで半径方向外側に偏向するように構成された、縫合材料を運ぶ複数の針を含む、針配備組立体と、
前記シャフト上に配されたキャッチャーであって、前記複数の針が、前記キャッチャーに係合する近位位置まで、縫合されるべき組織を通過すると、前記縫合材料を運ぶ前記複数の針それぞれの少なくとも一部を保持するように構成されている、キャッチャーと、
を含む、縫合糸送達装置。
(32) 実施態様31に記載の縫合糸送達装置において、
前記キャッチャーは、弾性材料で作られている、縫合糸送達装置。
(33) 実施態様31に記載の縫合糸送達装置において、
前記キャッチャーは、拡張可能である、縫合糸送達装置。
(34) 実施態様31に記載の縫合糸送達装置において、
前記複数の針はそれぞれ、針基部、および前記縫合材料を運ぶ取り外し可能な針先端部を含み、各針先端部は、前記複数の針が前記近位位置へ動くと前記キャッチャーに係合し、前記キャッチャーは、前記針基部がそれぞれ前記遠位位置へ戻ると、各針先端部を保持する、縫合糸送達装置。
(35) 実施態様34に記載の縫合糸送達装置において、
前記針先端部の寸法は、前記針基部の寸法とは異なる、縫合糸送達装置。
【0072】
(36) 実施態様34に記載の縫合糸送達装置において、
各針基部および対応する針先端部は、近位に動かされて前記キャッチャーと係合するまで、前記針基部上の所定の位置に前記針先端部を保つ保持力を有するように構成されている、縫合糸送達装置。
(37) 実施態様36に記載の縫合糸送達装置において、
前記保持力は、少なくとも部分的に、表面処理部によって決まる、縫合糸送達装置。
(38) 実施態様37に記載の縫合糸送達装置において、
前記表面処理部は、ニチノール酸化物の層である、縫合糸送達装置。
(39) 実施態様31に記載の縫合糸送達装置において、
前記キャッチャー上に同軸に配されたシースをさらに含み、
前記シースの遠位端部は、前記近位位置にあるときに前記針に係合するように前記キャッチャーと協働する、縫合糸送達装置。
(40) 実施態様31に記載の縫合糸送達装置において、
前記シャフトの近位端部にハンドルをさらに含み、
前記ハンドルは、前記シャフトに対して前記針を近位および遠位に動かすように構成されたアクチュエータを有する、縫合糸送達装置。
【0073】
(41) 縫合糸を送達する方法において、
細長い配備シャフト、前記シャフトにより支持され、縫合材料を運ぶ複数の針を含む針配備組立体、および前記シャフトの上に同軸に配されたキャッチャーを提供することと、
前記細長い配備シャフトを体内の所望の位置まで前進させることと、
前記シャフトに対して近位に動かすことで、遠位位置における挿入プロファイルから穿刺角度まで前記複数の針を半径方向外側に偏向させることと
縫合されるべき組織を通過することにより近位位置まで動かされたときに前記キャッチャーを前記複数の針と係合させることと、
前記縫合材料を運ぶ前記複数の針それぞれの少なくとも一部を、前記キャッチャーで保持することと、
前記針により保持されていない前記複数の針それぞれの一部を、前記遠位位置における前記挿入プロファイルに戻すことと、
を含む、方法。
(42) 実施態様41に記載の方法において、
前記複数の針を半径方向外側に偏向させること、前記キャッチャーを前記複数の針と係合させること、および前記キャッチャーにより保持されていない前記複数の針それぞれの一部を、前記遠位位置に戻すことは、前記細長い配備シャフトの近位端部においてアクチュエータを操作することにより実行される、方法。
(43) 実施態様42に記載の方法において、
前記複数の針はそれぞれ、針基部、および前記縫合材料を運ぶ取り外し可能な針先端部を含み、各針先端部は、前記複数の針が前記近位位置に動くと前記キャッチャーに係合し、前記キャッチャーは、前記針基部がそれぞれ前記遠位位置に戻ると、各針先端部を保持する、方法。
(44) 実施態様43に記載の方法において、
各針基部および対応する針先端部は、近位に動いて前記キャッチャーと係合するまで前記針基部上の所定の位置に前記針先端部を保持する保持力を有するように構成されている、方法。
(45) 実施態様44に記載の方法において、
前記保持力は、少なくとも部分的に、表面処理部によって決まる、方法。
【0074】
(46) 実施態様41に記載の方法において、
前記キャッチャー上に同軸に配されたシースが、前記近位位置にあるときに前記針と係合するように前記キャッチャーと協働する遠位端部を含む、方法。
(47) 実施態様41に記載の方法において、
前記針を前記シャフトに対して近位および遠位に動かすように前記シャフトの近位端部にあるハンドルを作動させることをさらに含む、方法。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【
図1】一実施形態による、縫合糸を送達するための適切な手順を表すフローチャートを描いたものである。
【
図2】一実施形態による、
図1の縫合糸送達装置の概観を概略的に描いたものである。
【
図3】一実施形態による、縫合糸送達装置の針配備組立体および安定化装置の詳細図を概略的に描いたものである。
【
図4】一実施形態による、針先端部および針基部を概略的に描いたものである。
【
図5】一実施形態による、キャッチャーとの針先端部の係合を概略的に描いたものである。
【
図6】一実施形態による、キャッチャーとの針先端部の係合を概略的に描いたものである。
【
図7】一実施形態による、キャッチャーとの針先端部の係合を概略的に描いたものである。
【
図8】一実施形態による、キャッチャーとの針先端部の係合を概略的に描いたものである。
【
図9】一実施形態による、キャッチャーディッシュとの針先端部の係合を概略的に描いたものである。
【
図10】一実施形態による、穿刺角度までの針の偏向を概略的に描いたものである。
【
図11】一実施形態による、縫合されるべき組織を、拡張した安定化装置とシースとの間に挟んだところを概略的に描いたものである。
【
図12】本開示による、安定化装置の第1の実施形態を概略的に描いたものである。
【
図13】
図12の安定化装置の実施形態を、患者の血管壁との関係で概略的に描いたものである。
【
図14】本開示による、安定化装置の第2の実施形態を概略的に描いたものである。
【
図15】
図14の安定化装置の実施形態を、患者の血管壁との関係で概略的に描いたものである。
【
図16】本開示による、安定化装置の第3の実施形態を概略的に描いたものである。
【
図17】
図16の安定化装置の実施形態を、患者の血管壁との関係で概略的に描いたものである。
【
図18】本開示による、安定化装置の第4の実施形態を概略的に描いたものである。
【
図19】
図18の安定化装置の実施形態を、患者の血管壁との関係で概略的に描いたものである。
【
図20】一実施形態による、第1のアクチュエータの近位位置を概略的に描いたものである。
【
図21】一実施形態による、第1のアクチュエータの中間位置を概略的に描いたものである。
【
図22】一実施形態による、第1のアクチュエータの遠位位置を概略的に描いたものである。
【
図23】一実施形態による、第2のアクチュエータの近位位置を概略的に描いたものである。
【
図24】一実施形態による、ピニオンがプランジャーラックから係合解除された、第2のアクチュエータの中間位置を概略的に描いたものである。
【
図25】一実施形態による、プランジャーラックがトリガーラックと係合された、第2のアクチュエータの中間位置を概略的に描いたものである。
【
図26】一実施形態による、第2のアクチュエータの別の図を概略的に描いたものである。
【
図27】安定化装置が非拡張挿入プロファイルに戻ることができるように、安定化装置制御装置を係合解除し、キャッチャーチューブとシャフトとのさらなる相対運動を可能にするために第2の移動範囲の終わりにおける第2のアクチュエータの別の図を一実施形態に従って概略的に描いたものである。
【
図28】一実施形態による、縫合材料が挟まれた組織を通過した状態の、キャッチャーによる針先端部の保持を概略的に描いたものである。
【
図29】一実施形態による、装置のハンドル内部での縫合材料の保管を概略的に描いたものである。
【
図30】一実施形態による、1つのアクチュエータを有する縫合糸送達装置を概略的に描いたものである。
【
図31】一実施形態による、
図30の針配備組立体の詳細図を概略的に描いたものである。