特許第6574956号(P6574956)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6574956ウォームギアを用いた直動アクチュエータ及びその直動方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6574956
(24)【登録日】2019年8月30日
(45)【発行日】2019年9月18日
(54)【発明の名称】ウォームギアを用いた直動アクチュエータ及びその直動方法
(51)【国際特許分類】
   F16H 1/16 20060101AFI20190909BHJP
   H02K 7/06 20060101ALI20190909BHJP
【FI】
   F16H1/16 Z
   H02K7/06 A
【請求項の数】8
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-141238(P2015-141238)
(22)【出願日】2015年7月15日
(65)【公開番号】特開2017-20635(P2017-20635A)
(43)【公開日】2017年1月26日
【審査請求日】2018年2月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000203634
【氏名又は名称】多摩川精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100147500
【弁理士】
【氏名又は名称】田口 雅啓
(74)【代理人】
【識別番号】100166235
【弁理士】
【氏名又は名称】大井 一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100179914
【弁理士】
【氏名又は名称】光永 和宏
(74)【代理人】
【識別番号】100179936
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 明日香
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 優佑
【審査官】 前田 浩
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭59−8544(JP,A)
【文献】 特開平1−117989(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 1/16
H02K 7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
両側板(1b,1c)を有する枠体(1)の頂板(1a)に設けられたサーボモータ(2)と、前記枠体(1)内に回転自在に設けられ前記サーボモータ(2)の回転軸(2A)に接続された第1ウォームギア(72)と、前記枠体(1)に回転かつ直動自在に設けられ、前記第1ウォームギア(72)の第1軸方向(A)と直交する第2軸方向(B)に沿って位置する軸(6)と、前記軸(6)上に設けられ、前記第1ウォームギア(72)と噛合する平歯車(70)と、前記軸(6)上に設けられ、前記平歯車(70)とは離間して位置する第2ウォームギア(71)と、前記枠体(1)内に設けられ、前記第2軸方向(B)に対して直交する前記第1軸方向(A)に沿う軸方向を有するウォームホイール(73)と、を備え、
前記サーボモータ(2)により回転する前記第1ウォームギア(72)の回転は前記平歯車(70)を介して直交変換されて前記軸(6)が回転し、前記軸(6)と共に回転する前記第2ウォームギア(71)が固定配置の前記ウォームホイール(73)と噛合していることにより、前記軸(6)は回転しつつ前記第2軸方向(B)に沿って直動するように構成したことを特徴とするウォームギアを用いた直動アクチュエータ。
【請求項2】
前記両側板(1b,1c)を貫通した前記軸(6)の端部(6a,6b)には、断面凹状をなす接続部材(6A,6B)が設けられ、前記接続部材(6A,6B)は、前記軸(6)に対して連れ回りしない構成であることを特徴とする請求項1記載のウォームギアを用いた直動アクチュエータ。
【請求項3】
前記軸(6)の両端部(6a,6b)は、前記枠体(1)の前記両側板(1b,1c)から外方へ貫通・突出していることを特徴とする請求項1又は2記載のウォームギアを用いた直動アクチュエータ。
【請求項4】
前記両側板(1b,1c)には、ボールスプラインからなる軸受(16,17)が設けられ、前記軸(6)は、前記各軸受(16,17)を貫通していることを特徴とする請求項1ないし3の何れか1項記載のウォームギアを用いた直動アクチュエータ。
【請求項5】
両側板(1b,1c)を有する枠体(1)の頂板(1a)に設けられたサーボモータ(2)と、前記枠体(1)内に回転自在に設けられ前記サーボモータ(2)の回転軸(2A)に接続された第1ウォームギア(72)と、前記枠体(1)に回転かつ直動自在に設けられ、前記第1ウォームギア(72)の第1軸方向(A)と直交する第2軸方向(B)に沿って位置する軸(6)と、前記軸(6)上に設けられ、前記第1ウォームギア(72)と噛合する平歯車(70)と、前記軸(6)上に設けられ、前記平歯車(70)とは離間して位置する第2ウォームギア(71)と、前記枠体(1)内に設けられ、前記第2軸方向(B)に対して直交する前記第1軸方向(A)に沿う軸方向を有するウォームホイール(73)と、を用い、
前記サーボモータ(2)により回転する前記第1ウォームギア(72)の回転は前記平歯車(70)を介して直交変換されて前記軸(6)が回転し、前記軸(6)と共に回転する前記第2ウォームギア(71)が固定配置の前記ウォームホイール(73)と噛合していることにより、前記軸(6)は回転しつつ前記第2軸方向(B)に沿って直動するように構成したことを特徴とするウォームギアを用いた直動アクチュエータの直動方法。
【請求項6】
前記両側板(1b,1c)を貫通した前記軸(6)の端部(6a,6b)には、断面凹状をなす接続部材(6A,6B)が設けられ、前記接続部材(6A,6B)は、前記軸(6)に対して連れ回りしないようにしたことを特徴とする請求項4記載のウォームギアを用いた直動アクチュエータの直動方法。
【請求項7】
前記軸(6)の両端部(6a,6b)は、前記枠体(1)の前記両側板(1b,1c)から外方へ貫通・突出していることを特徴とする請求項5又は6記載のウォームギアを用いた直動アクチュエータの直動方法。
【請求項8】
前記両側板(1b,1c)には、ボールスプラインからなる軸受(16,17)が設けられ、前記軸(6)は、前記各軸受(16,17)を貫通していることを特徴とする請求項5ないし7の何れか1項に記載のウォームギアを用いた直動アクチュエータの直動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウォームギアを用いた直動アクチュエータ及びその直動方法に関し、特に、一対のウォームギアと平歯車とウォームホイールを用い、直交変換によって軸を回転しつつ直動させるための新規な改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、用いられていたこの種のリニアアクチュエータとしては、例えば、特許文献1に開示されている構成を挙げることができる。
すなわち、図5及び図6で示されるように、例えば、家具調整用のリニアアクチュエータは、可逆電気モータ2付きハウジング1を備えており、前記モータは、伝動装置11,13を介して力吸収軸受16付きスピンドル4を駆動するようになっている。スピンドル4上にナット5があり、そこに外管7によって取り囲まれた作動ロッド6が固定される。アクチュエータは、作動ロック6とリアマウントとを備え、当該リアマウントにアクチュエータが内蔵される構造となっている。モータハウジングは支持構造の一部であり、コンソールは外管7、スピンドル軸受、及びリアマウント用の固定具によりモータハウジングに固定され、ここに発生する力を吸収するように設計されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2004−511194号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のリニアアクチュエータは、以上のように構成されていたため、次のような課題が存在していた。
すなわち、複数の伝導装置とナットと力吸収軸受等を必要とするため、部品点数が多くなり、組立工数も多くなっていた。
また、全体形状がピストル型をなしているため、作動ロッドは一方のみに出没し、後端側にマウントのみで、作動ロッドを外管の両側に貫通させて、両側で作動ロッドを用いるようにすることは不可能であった。
また、図示していないが、従来、ウォームギア対ウォームホイールの組合せを用い、ウォームギアを回転させるとウォームホイールが回転する直交変換ギアが一般的であるが、本願のように回転直動変換を行うための機構は開発されていなかった。
また、他の従来構成として、ラックとボールネジ機構を用いることができるが、モータ等の付属部品を取り付けると、構造が複雑となり、小型化が困難であった。
【0005】
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたもので、特に、一対のウォームギアと平歯車とウォームホイールを用い、直交変換によって軸を回転しつつ直動させる回転直動変換を行うようにしたウォームギアを用いた直動アクチュエータ及びその直動方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によるウォームギアを用いた直動アクチュエータは、枠体に設けられたサーボモータと、前記枠体内に回転自在に設けられ前記サーボモータの回転軸に接続された第1ウォームギアと、前記枠体に回転かつ直動自在に設けられ、前記第1ウォームギアの第1軸方向と直交する第2軸方向に沿って位置する軸と、前記軸上に設けられ、前記第1ウォームギアと噛合する平歯車と、前記軸上に設けられ、前記平歯車とは離間して位置する第2ウォームギアと、前記枠体内に設けられ、前記第2軸方向に対して直交する前記第1軸方向に沿う軸方向を有するウォームホイールと、を備え、前記サーボモータにより回転する前記第1ウォームギアの回転は前記平歯車を介して直交変換されて前記軸が回転し、前記軸と共に回転する前記第2ウォームギアが固定配置の前記ウォームホイールと噛合していることにより、前記軸は回転しつつ前記第2軸方向に沿って直動するようにした構成であり、また、前記軸の端部には、断面凹状をなす接続部材が設けられ、前記接続部材は、前記軸に対して連れ回りしない構成であり、また、前記軸の両端部は、前記枠体の両側板から外方へ貫通・突出している構成であり、また、前記両側板には、ボールスプラインからなる軸受が設けられ、前記軸は、前記各軸受を貫通している構成であり、また、本発明によるウォームギアを用いた直動アクチュエータの直動方法は、枠体に設けられたサーボモータと、前記枠体内に回転自在に設けられ前記サーボモータの回転軸に接続された第1ウォームギアと、前記枠体に回転かつ直動自在に設けられ、前記第1ウォームギアの第1軸方向と直交する第2軸方向に沿って位置する軸と、前記軸上に設けられ、前記第1ウォームギアと噛合する平歯車と、前記軸上に設けられ、前記平歯車とは離間して位置する第2ウォームギアと、前記枠体内に設けられ、前記第2軸方向に対して直交する前記第1軸方向に沿う軸方向を有するウォームホイールと、を用い、前記サーボモータにより回転する前記第1ウォームギアの回転は前記平歯車を介して直交変換されて前記軸が回転し、前記軸と共に回転する前記第2ウォームギアが固定配置の前記ウォームホイールと噛合していることにより、前記軸は回転しつつ前記第2軸方向に沿って直動するようにした方法であり、また、前記軸の端部には、断面凹状をなす接続部材が設けられ、前記接続部材は、前記軸に対して連れ回りしないようにした方法であり、また、前記軸の両端部は、前記枠体の両側板から外方へ貫通・突出している方法であり、また、前記両側板には、ボールスプラインからなる軸受が設けられ、前記軸は、前記各軸受を貫通している方法である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によるウォームギアを用いた直動アクチュエータ及びその直動方法は、以上のように構成されているため、次のような効果を得ることができる。
すなわち、第1ウォームギアと平歯車の組合せ、及び、第2ウォームギアとウォームホイールの組合せの2段の減速が可能となり、大減速が可能で安価で単純構造の直動アクチュエータを得ることができる。
また、前述の減速構造であることにより、モータ停止、システムダウン等の異常時においても、軸の絶縁位置を保持することができる。
また、軸の端部に接続された接続部材が軸に対して連れ回りしないように構成されているため、接続部材は回転しない状態で第2軸方向に沿う直動のみを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明によるウォームギアを用いた直動アクチュエータを示す断面図である。
図2図1の要部の平面構成図である。
図3図1の右側面図である。
図4図1の左側面図である。
図5】従来構成を示す外観図である。
図6図5のA−A断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、一対のウォームギアと平歯車とウォームホイールを用い、直交変換によって軸を回転しつつ直動させるようにしたウォームギアを用いた直動アクチュエータ及びその直動方法を提供することを目的とする。
【実施例】
【0010】
以下、図面と共に本発明によるウォームギアを用いた直動アクチュエータ及びその直動方法の好適な実施の形態について説明する。
尚、従来例と同一又は同等部分には、同一符号を付して説明する。
図1において、符号1で示されるものは、全体形状が箱又は枠状をなす四角形の枠体であり、この枠体1の図で見て頂板1aにはサーボモータ2が設けられ、このサーボモータ2は周知の制御部100によってその回転動作を正確に制御することができるように構成されている。
【0011】
前記枠体1の両側に設けられた一対の側板1b,1cには、ボールスプラインからなる軸受16,17が各々設けられている。
前記各側板1b,1c間には、前記各軸受16,17を貫通して1本の軸6が外側に突出する状態で配設され、回転しつつ第2軸方向Bに沿って直動できるように構成されている。
【0012】
前記軸6の両端、すなわち、各端部6a,6bは、前記各軸受16,17を貫通し、かつ、各軸受16,17及び各側板1b,1cの外側に突出して位置している。
前記各端部6a,6bには、断面凹状をなす接続部材6A,6Bが嵌め込まれ、前記軸6が回転(自転)しつつ直動している状態でも、前記各端部6a,6bは各孔部6aA,6bB内で面同士が空回りするように構成されている。従って、前記各接続部材6A,6Bは、前記軸6に対して、連れ回りすることなく、非回転状態で第2軸方向Bに沿って直動することができるように構成されている。
【0013】
前記軸6上には、互いに所定距離だけ離間した状態で、平歯車70と第2ウォームギア71が配設されている。
前記サーボモータ2の回転軸2Aは、前記軸6の第2軸方向Bに対して直交する第1軸方向Aに沿って延設され、前記回転軸2A上に設けられた第1ウォームギア72は前記平歯車70と噛合している。
【0014】
前記平歯車70と第1ウォームギア72とは、図2に示されているように、前記第1ウォームギア72の回転が平歯車70に噛合していることにより、回転が直交変換され、前記第1ウォームギア72の回転によって前記軸6が回転(自転)するように構成されている。
【0015】
前記枠体1の頂板1aの下面1aAには、回転自在なウームホイール73を有する軸体74が固定され、前記ウォームホイール73が前記第2ウォームギア71に噛合している。
前記第2ウォームギア71が前記ウォームホイール73と噛合した状態で前記軸6と共に回転することにより、前記ウォームホイール73は、枠体1に固定状態であるため、前記軸6が回転しつつ第2軸方向Bに沿って直動することができるように、回転・直動可能に構成されている。従って、前述のように、軸6が直動する場合は、平歯車70が、第1ウォームギア72に対して滑ることになる。
【0016】
従って、前述の構成において、前記制御部100を介して前記サーボモータ2の回転軸2Aを回転させると、前記回転軸2Aの回転は、前記第1ウォームギア72と前記平歯車70を介して直交変換されて前記軸6が回転し、この軸6の回転が前記第2ウォームギア71と前記ウォームホイール73を介して軸6の直動に変換されることによって、前記軸6の直動を得ることができる。
【0017】
尚、本発明によるウォームギアを用いた直動アクチュエータ及びその直動方法の要旨とするところは、次の通りである。
すなわち、枠体1に設けられたサーボモータ2と、前記枠体1内に回転自在に設けられ前記サーボモータ2の回転軸2Aに接続された第1ウォームギア72と、前記枠体1に回転かつ直動自在に設けられ、前記第1ウォームギア72の第1軸方向Aと直交する第2軸方向Bに沿って位置する軸6と、前記軸6上に設けられ、前記第1ウォームギア72と噛合する平歯車70と、前記軸6上に設けられ、前記平歯車70とは離間して位置する第2ウォームギア71と、前記枠体1内に設けられ、前記第2軸方向Bに対して直交する前記第1軸方向Aに沿う軸方向を有するウォームホイール73と、を備え、前記サーボモータ2により回転する前記第1ウォームギア72の回転は前記平歯車70を介して直交変換されて前記軸6が回転し、前記軸6と共に回転する前記第2ウォームギア71が固定配置の前記ウォームホイール73と噛合していることにより、前記軸6は回転しつつ前記第2軸方向Bに沿って直動するようにした構成と方法であり、また、前記軸6の端部6a,6bには、断面凹状をなす接続部材6A,6Bが設けられ、前記接続部材6A,6Bは、前記軸6に対して連れ回りしない構成と方法であり、また、前記軸6の両端部6a,6bは、前記枠体1の両側板1b,1cから外方へ貫通・突出している構成と方法であり、また、前記両側板1b,1cには、ボールスプラインからなる軸受16,17が設けられ、前記軸6は、前記各軸受16,17を貫通している構成と方法である。
【産業上の利用可能性】
【0018】
本発明によるウォームギアを用いた直動アクチュエータ及びその直動方法は、軸を回転させつつ直動させることができ、簡単な構造で安価に製作することができる。
【符号の説明】
【0019】
1 枠体
1a 頂板
1b,1c 側板
1aA 下面
2 サーボモータ
2A 回転軸
6 軸
6A,6B 接続部材
6aA,6bB 孔部
16,17 ボールスプライン(軸受)
A 第1軸方向
B 第2軸方向
70 平歯車
71 第2ウォームギア
72 第1ウォームギア
73 ウォームホイール
74 軸体
図1
図2
図3
図4
図5
図6