(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明に用いられる不飽和基を有するポリロタキサン(A)は、環状分子の開口部が直鎖状分子によって串刺し状に包接されてなる擬ポリロタキサンおよび、擬ポリロタキサンの両端に前記環状分子が脱離しないように封鎖基を配置してなるポリロタキサンの環状分子が少なくとも1種のエチレン性不飽和結合を有するポリロタキサンである。これらのポリロタキサン(A)は1種類単独で使用してもよいし、また2種類以上併用してもよい。
【0017】
本発明に用いられる不飽和基を有するポリロタキサン(A)の含有量は、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(E)全体に対して1.0〜20.0質量%であることが好ましい。1.0質量%以上である場合には、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(E)を活性エネルギー線照射により重合して得られるモデル材の引張強度、弾性等が良好であり、また、20.0質量%以下である場合には、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(E)の液粘度が低く、インクジェットインクに用いる場合の吐出適性が十分に満足できるため好ましく。さらに、硬化後の樹脂が立体造型物のモデル材として柔軟性と強靭性を併せ持たせるため、3.0〜15.0質量%であることがより好ましい。
【0018】
本発明に用いられるポリロタキサン(A)の直鎖状分子は、環状分子の開口部に串刺し状に包接され得るものであれば特に限定されない。直鎖状分子として具体的には、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアセタール系樹脂、ポリビニルメチルエーテル、ポリアミン、ポリエチレンイミン、カゼイン、ゼラチン、でんぷん等及び/またはこれらの共重合体、セルロース系樹脂(カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等)、ポリエチレン、ポリプロピレン、およびその他オレフィン系単量体との共重合樹脂等のポリオレフィン系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレンやアクリロニトリル−スチレンの共重合樹脂等のポリスチレン系樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリメチルメタクリレートや(メタ)アクリル酸エステル共重合体、アクリロニトリル−メチルアクリレート共重合樹脂等のアクリル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、ポリビニルブチラール樹脂等、及びこれらの誘導体又は変性体、ポリイソブチレン、ポリテトラヒドロフラン、ポリアニリン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、ナイロン等のポリアミド類、ポリイミド類、ポリイソプレン、ポリブタジエン等のポリジエン類、ポリジメチルシロキサン等のポリシロキサン類、ポリスルホン類、ポリイミン類、ポリ無水酢酸類、ポリ尿素類、ポリスルフィド類、ポリフォスファゼン類、ポリケトン類、ポリフェニレン類、ポリハロオレフィン類、並びにこれらの誘導体等が挙げられる。ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラヒドロフラン、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルアルコール及びポリビニルメチルエーテル、ポリジメチルシロキサンからなる群から選ばれるのが好ましく、ポリエチレングリコールであることがより好ましい。これらの直鎖状分子は1種類単独で使用してもよいし、また2種類以上併用してもよい。直鎖状分子の分子量は、数平均で3,000〜1,000,000であり、好ましくは5,000〜100,000、より好ましくは10,000〜50,000である。
【0019】
本発明に用いられるポリロタキサン(A)の環状分子は、水酸基を有する環状分子であることが好ましく、具体的には、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン及びγ−シクロデキストリン等が挙げられ、α−シクロデキストリンであることが特に好ましい。また、環状分子の水酸基の一部が他の基により置換されてもよい。なお他の基として、本発明のポリロタキサンを親水性化するための親水性基、或いは疎水性化するための疎水性基等を挙げることができる。これらの環状分子は1種類単独で使用してもよいし、また2種類以上併用してもよい。
【0020】
本発明に用いられるポリロタキサン(A)において、環状分子が直鎖状分子により串刺し状に包接される際に環状分子が最大限に包接される量を1.0とした場合、前記環状分子が0.001〜0.6の量で直鎖状分子に串刺し状に包接されるのが好ましく、0.01〜0.5であることがより好ましく、0.05〜0.4であることが更に好ましい。なお、環状分子の最大包接量は、直鎖状分子の長さと環状分子の厚さとにより、決定することができる。
【0021】
本発明に用いられるポリロタキサン(A)の封鎖基は、擬ポリロタキサンの両端に配置され、環状分子が脱離しないように作用する基であれば、特に限定されない。封鎖基として具体的にはアダマンタン基類、トリチル基類、ジニトロフェニル基類、シクロデキストリン類、フルオレセイン類、シルセスキオキサン類、ピレン類、ステロイド類、置換ベンゼン類(置換基として、アルキル基、アルキルオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン基、シアノ基、スルホニル基、カルボキシル基、アミノ基、フェニル基等を挙げることができ、置換基は1つ又は複数存在してもよい。)、置換されていてもよい多核芳香族類(置換基として、アルキル基、アルキルオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン基、シアノ基、スルホニル基、カルボキシル基、アミノ基、フェニル基等を挙げることができ、置換基は1つ又は複数存在してもよい。)等が挙げられる。これらの封鎖基は1種類単独で使用してもよいし、また2種類以上併用してもよい。なお、アダマンタン基類、トリチル基類、ジニトロフェニル基類、シクロデキストリン類、フルオレセイン類、シルセスキオキサン類、及びピレン類からなる群から選ばれるのが好ましく、アダマンタン基類又はトリチル基類であることがより好ましい。
【0022】
本発明に用いられるポリロタキサン(A)の不飽和基は、環状分子に直接または鎖状分子を介して結合している。不飽和基はラジカル重合性を有すれば特に限定されず、具体的にはビニル基、アリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基等が挙げられる。これらの不飽和基は1種類単独で使用してもよいし、また2種類以上併用してもよい。なおアクリロイル基及びメタクリロイル基が好ましく、アクロイル基であることがより好ましい。
【0023】
また、前記の鎖状分子は環状分子の水酸基と結合していれば特に限定されない。鎖状分子として具体的には、アルキレン類、アルケニレン類、アルキレングリコール類、ポリカプロラクトン類、ポリカーボネート類、ポリエステル類、ポリアミド類、ポリウレタン類等が挙げられる。これらの鎖状分子は1種類単独で使用してもよいし、また2種類以上併用してもよく、2種以上の鎖状分子を結合し1本の鎖状分子として使用しても良い。
【0024】
アルキレン類、アルケニレン類としては炭素数1〜8の直鎖アルキレン基または直鎖アルケニレン基、炭素数3〜20の分岐アルキレン基または分岐アルケニレン基が挙げられる。
【0025】
アルキレングリコール類としては炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルキレングリコール、ジアルキレングリコール、トリアルキレングリコール、ポリアルキレングリコール等が挙げられる。
【0026】
ポリカプロラクトン類としては、ラクトンモノマーの開環重合体であり、数平均分子量は200から10,000が好ましい。ラクトンモノマーとしては、β−プロピオラクトン、β−メチルプロピオラクトン、L−セリン−β−ラクトン誘導体等の4員環ラクトン、γ−ブチロラクトン、γ−ヘキサノラクトン、γ−ヘプタノラクトン、γ−オクタノラクトン、γ−デカノラクトン、γ−ドデカノラクトン、α−ヘキシル−γ−ブチロラクトン、α−ヘプチル−γ−ブチロラクトン、α−ヒドロキシ−γ−ブチロラクトン、γ−メチル−γ−デカノラクトン、α−メチレン−γ−ブチロラクトン、α , α−ジメチル−γ−ブチロラクトン、D−エリスロノラクトン、α−メチル−γ−ブチロラクトン、γ−ノナノラクトン、DL−パントラクトン、γ−フェニルγ−ブチロラクトン、γ−ウンデカノラクトン、γ−バレロラクトン、2,2−ペンタメチレン−1,3−ジオキソラン−4−オン、α−ブロモ−γ−ブチロラクトン、γ−クロトノラクトン、α−メチレン−γ−ブチロラクトン、α−メタクリロイルオキシ−γ−ブチロラクトン、β−メタクリロイルオキシ−γ−ブチロラクトン等の5員環ラクトン、δ−バレロラクトン、δ−ヘキサノラクトン、δ−オクタノラクトン、δ−ノナノラクトン、δ−デカノラクトン、δ−ウンデカノラクトン、δ−ドデカノラクトン、δ−トリデカノラクトン、δ−テトラデカノラクトン、DL−メバロノラクトン、4−ヒドロキシ−1−シクロヘキサンカルボン酸δ−ラクトン等の6員環ラクトン、ε−カプロラクトン等の7員環ラクトン、ラクチド、1,5−ジオキセパン−2−オン等を挙げることができる。ラクトンモノマーとしてε−カプロラクトン、γ−ブチルラクトン、α−メチル−γ−ブチルラクトン、δ−バレロラクトン、ラクチド等が挙げられる。
【0027】
ポリカーボネート類としては、ジオール成分とカルボニル成分からなるポリカーボネートであり、数平均分子量は200から10,000が好ましい。カルボニル成分としてホスゲン、クロロギ酸エステル、ジアルキルカーボネート、ジアリールカーボネート及びアルキレンカーボネート等が挙げられ、ジオール成分としてはエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,9−ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール等が挙げられる。
【0028】
ポリエステル類としては、ジオール成分と多価カルボン酸が重縮合して得られた化合物であり、数平均分子量は200から10,000が好ましい。多価カルボン酸成分として、テレフタル酸、イソフタル酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸等が挙げられ、ジオール成分としては、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,9−ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール等が挙げられる。
【0029】
ポリアミド類としては、ジアミン成分と多価カルボン酸が重縮合して得られた化合物またはラクタムモノマーの開環重合体であり、多価カルボン酸成分として、テレフタル酸、イソフタル酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸等が挙げられ、ジアミン成分としては、エチレンジアミン、1,2−プロピレンジアミン、1,3−プロピレンジアミン、1,4−ブタンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、1,4−シクロヘキサンジアミン等が挙げられ、ラクタムモノマーとしては、β−プロピオラクタム、γ−ブチロラクタム、ε-カプロラクタム、ウンデカラクタム、ラウリルラクタム等が挙げられる。また、数平均分子量は200から10,000が好ましい。
【0030】
ポリウレタン類としては、ジオールと、1分子内に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物との付加反応で得られる化合物であり、数平均分子量は200から10,000が好ましい。ジオール成分としては、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,9−ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール等が挙げられ、2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物として、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、1,2−プロピレンジイソシアネート、1,2−ブチレンジイソシアネート、2,3−ブチレンジイソンアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族イソシアネート類、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等の芳香族イソシアネート類、シクロペンチレンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4'−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、2,5−ノルボルナンジイソシアネート、2,6−ノルボルナンジイソシアネート等の脂環族イソシアネート類、又は、これらのアダクトタイプ、イソシアヌレートタイプ、ビュレットタイプ等の多量体が挙げられる。
【0031】
本発明に用いられるポリロタキサン(A)の合成方法としては、特に限定することがなく、前記の各種原料化合物を用いて公知の方法により得ることができる。詳細は特許文献6〜9の記載が参考にできる。例えば、第一に環状分子の開口部が直鎖状分子により串刺し状に包接され、直鎖状分子の両端に環状分子が脱離しないように封鎖基を配置し、未修飾のポリロタキサン(a1)を得る。第二にポリロタキサン(a1)の環状分子に有する水酸基の一部又は全部を用いて、公知の合成反応によりエーテル結合、エステル結合、ウレタン結合、カーボネート結合等を介して鎖状分子を導入し、修飾ポリロタキサン(a2)を得る。第三に修飾ポリロタキサン(a2)の鎖状分子に有する水酸基等の反応性基を利用して不飽和基を導入し、ポリロタキサン(A)を得ることが出来る。
【0032】
また、上記反応工程を経ずに、未修飾のポリロタキサン(a1)に不飽和基と環状分子をエーテル結合、エステル結合、ウレタン結合、シリルエーテル結合等を介して直接導入することができる。
【0033】
ポリロタキサン(A)に不飽和基を導入するために、不飽和基とその他の反応性基を併せ持つ化合物を使用することができる。具体的には、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸2−カルボキシエチル、(メタ)アクリルアミド2−カルボキシエチル、マレイン酸、イタコン酸等の不飽和基を有するカルボン酸類、無水マレイン酸、無水(メタ)アクリル酸等の不飽和基を有するカルボン酸無水物類、(メタ)アクリル酸クロライド、3−(アクリロイルオキシ)プロピオン酸クロライド等の不飽和基を有するカルボン酸ハライド類、(メタ)アクロイロキシエチルイソシアネート等の不飽和基を有するイソシアネート類、グリシジル(メタ)アクリレート、ビニルグリシジルエーテル、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル等の不飽和基を有するエポキシ類、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、p−スチリルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン等の不飽和基を有するアルコキシシラン類、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド等の不飽和基を有するアルコール類、2−ビニル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−アリル−2−オキサゾリン、2−[2−(アクリロイルアミノ)フェニル]−4−メチル−2−オキサゾリン等の不飽和基を有するオキサゾリン類等が挙げられる。
【0034】
また、本発明に用いられるポリロタキサン(A)は、上記反応工程の前後に、環状分子に直接または鎖状分子を介して、不飽和基以外の官能基を結合させる工程を設けることができる。
【0035】
本発明に用いられるポリロタキサン(A)を製造する際には有機溶媒を用いることが一般的であり、有機溶剤の種類としては、直鎖状分子、封鎖基、導入する鎖状分子や不飽和基の種類と量などに依存するが、例としてトルエン、キシレン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸エチル、酢酸ブチル、塩化メチレン、N,N'−ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等を挙げることができる。
【0036】
本発明に用いられるエチレン性不飽和基を有する化合物(B)(不飽和基を有するポリロタキサン(A)を除く)は、ホモポリマーのガラス転移温度(Tg)10℃以上の単官能不飽和化合物(b1)、ホモポリマーのガラス転移温度(Tg)10℃未満の単官能不飽和化合物(b2)および2官能以上の多官能不飽和化合物(b3)から構成される。単官能不飽和化合物(b1)と(b2)が一定な比例で配合することによって活性エネルギー線照射で得られるモデル材の強度と柔軟性が良好であり、さらに、多官能性不飽和化合物(b3)の併用により、優れた柔軟性と強靭性を有するモデル材を取得することができる。
【0037】
エチレン性不飽和基を有する化合物(B)を構成する三種の化合物(b1)、(b2)と(b3)を合計した含有量が、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(E)全体に対して80.0〜99.0質量%であることが好ましい。この範囲内である場合には、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(E)の液粘度が低く、優れるインクジェット吐出適性を提供できると同時に、活性エネルギー線照射により重合して得られるモデル材の強度、弾性が良好である。さらに、85.0〜94.0質量%であることがより好ましい。
【0038】
本発明のホモポリマーのガラス転移温度(Tg)10℃以上単官能不飽和化合物(b1)としては、(メタ)アクリレート基、(メタ)アクリルアミド基、ビニル基、アリル基、スチレン基およびアセチレン基等を含有する化合物が挙げられ、これらは1種類単独で使用してもよいし、また2種類以上併用してもよい。
【0039】
単官能性不飽和化合物(b1)の使用量は、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(E)全体に対して10.0〜80.0質量%であることが好ましい。10.0質量%以上である場合には、得られるモデル材の引張強度、弾性等が良く、80.0質量%以下である場合には、モデル材の伸びや柔軟性が維持できる。さらに、20.0〜60.0質量%であることがより好ましい。
【0040】
ホモポリマーのガラス転移温度(Tg)10℃未満の単官能不飽和化合物(b2)としては、(メタ)アクリレート基、(メタ)アクリルアミド基、ビニル基、アリル基、スチレン基およびアセチレン基等を含有する化合物等が挙げられ、また1種類単独で使用してもよいし、2種類以上併用してもよい。
【0041】
単官能性不飽和化合物(b2)の使用量は、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(E)全体に対して0〜65.0質量%であることが好ましい。(b2)の配合により硬化後モデル材の引張伸びや柔軟性を改善される効果があるが、使用量を65.0質量%超える場合には、モデル材のゴム硬度が低下し、満足できる強度や硬度が得られなくなる。さらに、30.0〜60.0質量%であることがより好ましい。
【0042】
本発明に用いられる単官能性不飽和化合物(b1)、(b2)のうち、(メタ)アクリレート基を含む化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸、炭素数が1〜22の直鎖、分岐、環状のアルキル基を導入したアルキル(メタ)アクリレート類、炭素数が1〜18の直鎖、分岐、環状のヒドロキシアルキル基を導入したヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類、(メタ)アクリル酸とヒドロキシアルキルカルボン酸類からなる(メタ)アクリル酸エチルカルボン酸、(メタ)アクリル酸エチルコハク酸、(メタ)アクリル酸エチルフタル酸、(メタ)アクリル酸エチルヘキサヒドロフタル酸等の(メタ)アクリル酸アルキルカルボン酸類、炭素数が1〜18の直鎖、分岐、環状のアルキルスルホン酸基を導入した(メタ)アクリル酸アルキルスルホン酸類、炭素数が1〜18の直鎖、分岐、環状のアルキルリン酸基を導入した(メタ)アクリル酸アルキルリン酸類、炭素数が1〜18のアルキル基と炭素数1〜4のアルキレングリコール基からなる官能基を導入したアルコキシアルキレングリコール(メタ)アクリレート類、アルコキシジアルキレングリコール(メタ)アクリレート類、アルコキシトリアルキレングリコール(メタ)アクリレート類、アルコキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート類や、フェノキシ基と炭素数1〜4のアルキレングリコール基からなる官能基を導入したフェノキシアルキレングリコール(メタ)アクリレート類、フェノキシジアルキレングリコール(メタ)アクリレート類、フェノキシトリアルキレングリコール(メタ)アクリレート類、フェノキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートや、炭素数が1〜6のアミノアルキル基を導入したN−アルキルアミノ(メタ)アクリレート類や、炭素数が1〜6のアミノアルキル基と炭素数1〜6のアルキル基からなるN−アルキルアミノアルキル基を導入したN−アルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート類や、炭素数が1〜6のアミノアルキル基と炭素数1〜6のアルキル基からなるN,N−ジアルキルアミノアルキル基を導入したN,N−ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート類や、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、2−メチル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート等の環状構造を導入した(メタ)アクリレート類、グリシジル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル等のエポキシ基を導入した(メタ)アクリレート類が挙げられる。
【0043】
本発明に用いられる単官能性不飽和化合物(b1)、(b2)のうち、(メタ)アクリルアミド基を含む化合物としては、(メタ)アクリルアミド、モノ又はジ置換(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクロイルモルホリン等が挙げられ、また、モノ又はジ置換(メタ)アクリルアミドとしては、例えば、炭素数1から18の直鎖、分岐、環状のアルキル基を導入したN−アルキル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド、炭素数が1〜6のヒドロキシアルキル基を導入したN−ヒロドキシアルキル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジ(ヒロドキシアルキル)(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシアルキル−N−(4−ヒドロキシフェニル)(メタ)アクリルアミド、炭素数が1〜6のヒドロキシアルキル基および炭素数1〜6のアルキル基を導入したN−アルキル−N−ヒロドキシアルキル(メタ)アクリルアミド、N−アルキル−N−(4−ヒドロキシフェニル)(メタ)アクリルアミドや、4−ヒドロキシフェニル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジ(4−ヒドロキシフェニル)(メタ)アクリルアミド、炭素数が1〜6のアルコキシ基と炭素数1〜6のアルキレン基からなるアルコキシアルキル基を導入したN−アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジ(アルコキシアルキル)(メタ)アクリルアミド、炭素数が1〜6のアルコキシ基と炭素数1〜6のアルキレン基からなるアルコキシアルキル基、炭素数が1〜6のアルキル基を導入したN−アルキル−N−アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミド、炭素数が1〜6のアルキルスルホン酸基を導入したN−スルホアルキルアクリルアミド、炭素数が1〜6のアミノアルキル基を導入したN−アルキルアミノ(メタ)アクリルアミド、炭素数が1〜6のアミノアルキル基と炭素数1〜6のアルキル基からなるN−アルキルアミノアルキル基を導入したN−アルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド、炭素数が1〜6のアミノアルキル基と炭素数1〜6のアルキル基からなるN,N−ジアルキルアミノアルキル基を導入したN,N−ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
【0044】
本発明に用いられる単官能性不飽和化合物(b1)、(b2)のうち、ビニル基を含む化合物としては、炭素数が1〜22のカルボン酸を導入したカルボン酸ビニルエステル、炭素数が1〜22の直鎖、分岐、環状のアルキル基を導入したアルキルビニルエーテル、ビニルクロライド、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルオキサゾリン、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、イタコン酸無水物、炭素数が1〜22の直鎖、分岐、環状のアルキル基を導入したマレイン酸モノアルキルエステル、マレイン酸ジアルキルエステル、マレイン酸モノアルキルアミド、マレイン酸ジアルキルアミド、マレイン酸アルキルイミド、フマル酸モノアルキルエステル、フマル酸ジアルキルエステル、フマル酸モノアルキルアミド、フマル酸ジアルキルアミド、イタコン酸モノアルキルエステル、イタコン酸ジアルキルエステル、イタコン酸モノアルキルアミド、イタコン酸ジアルキルアミド、イタコン酸アルキルイミド、ビニルカルボン酸、ビニルスルホン酸、ビニルリン酸等が挙げられる。
【0045】
本発明に用いられる単官能性不飽和化合物(b1)、(b2)のうち、アリル基を含む化合物としては、炭素数が1〜22のカルボン酸を導入したカルボン酸アリルエステル、炭素数が1〜22の直鎖、分岐、環状のアルキル基を導入したアルキルアリルエーテル類、フェニルアリルエーテル、アルキルフェニルアリルエーテル、アリルアミン、分岐、環状のアルキル基を導入したモノまたはジアルキルアリルアミン等が挙げられる。
【0046】
本発明に用いられる単官能性不飽和化合物(b1)、(b2)のうち、スチレン基を含む化合物としては、スチレン、炭素数1〜18のアルキル基をα位に導入したα−アルキルスチレン、αメチルスチレンダイマー、炭素数1〜18のアルキル基をフェニル基に導入したo−アルキルスチレン、m−アルキルスチレン、p−アルキルスチレン、スルホン酸機を導入したp−スチレンスルホン酸等が挙げられる。
【0047】
本発明に用いられる単官能性不飽和化合物(b1)、(b2)のうち、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基等の酸基を含む単官能性不飽和化合物は、中和して用いることもできる。中和の際に用いるカチオンとしては、Li
+、Na
+、K
+等のアルカリ金属イオン、Ca
2+、Mg
2+等のアルカリ土類金属イオン、アンモニウム塩、アルキルアミン塩、ジアルキルアミン塩、トリアルキルアミン塩、テトラアルキルアミン塩等の無機カチオン又は有機カチオンから選ばれる少なくとも1種のイオンである。
【0048】
本発明に用いられる単官能性不飽和化合物(b1)、(b2)のうち、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基を含む単官能性不飽和化合物は、中和して用いることもできる。中和の際に用いるアニオンとしては、アニオンとしては、Cl
−、Br
−、I
−等のハロゲンイオン又はOH
−、CH
3COO
−、NO
3−、ClO
4−、PF
6−、BF
4−、HSO
4−、CH
3SO
3−、CF
3SO
3−、CH
3C
6H
4SO
3−、C
4F
9SO
3−、(CF
3SO
2)
2N
−,SCN
−等の無機酸アニオン又は有機酸アニオンから選ばれる少なくとも1種のイオンである。
【0049】
本発明に用いられる単官能性不飽和化合物(b1)、(b2)のうち、3級アミノ基を含む単官能性不飽和化合物は、炭素数が1〜22の直鎖、分岐、環状のアルキル基、アルケニル基、アリール基を付加して4級化した不飽和基を有するアンモニウムイオン、例えばトリメチルアンモニウムエチルアクリレート、ジメチルベンジルアンモニウムエチルアクリレート、トリメチルアンモニウムプロピルアクリルアミド、ジメチルプロペニルアンモニウムプロピルアクリルアミド等として用いることもできる。不飽和基を有するアンモニウムイオンは、前項に記載された無機酸アニオン又は有機酸アニオンから選ばれる少なくとも1種のイオンを任意に選択し、アニオンとカチオンを組み合わせることで構成されるオニウム塩として用いることができる。
【0050】
本発明に用いられる多官能性不飽和化合物(b3)としては、アリル(メタ)アクリレート、ジアリルアミン、炭素数1〜18のアルキル基を導入したアルキルジアリルアミン、炭素数1〜18のアルキル基を導入し、前項に記載された無機酸アニオン又は有機酸アニオンから選ばれる少なくとも1種のイオンを任意に選択し、アニオンとカチオンを組み合わせることで構成されるオニウム塩として用いられるジアルキルジアリルアンモニウムクロライドやジアルキルジアリルアンモニウムp−トルエンスルホン酸塩等のジアルキルジアリルアンモニウム塩、アルキレングリコールジ(メタ)アクリレート類、ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート類、ポリエステルジ(メタ)アクリレート類、ポリカーボネートジ(メタ)アクリレート類、ポリウレタンジ(メタ)アクリレート類、ポリウレタンジ(メタ)アクリルアミド類が挙げられ、また、3官能以上の多官能性不飽和化合物としては、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリ(メタ)アクリロイルオキシエトキシトリメチロールプロパン、グリセリンポリグリシジルエーテルポリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、コハク酸変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの多官能性不飽和化合物(b3)は1種類単独で使用してもよいし、また2種類以上併用してもよい。
【0051】
前記多官能性不飽和化合物(b3)の数平均分子量が400〜20,000であることが好ましい。数平均分子量が400以上である場合には、不飽和結合当量が高すぎず、得られるモデル材の柔軟性が十分に満足でき、また数平均分子量が20,000以下では、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(E)の液粘度を低めに制御でき、インクジェット吐出適性に優れるため好ましい。さらに、数平均分子量が1,000〜10,000であることがより好ましい。
【0052】
前記多官能性不飽和化合物(b3)の不飽和基としては(メタ)アクリレート基、(メタ)アクリルアミド基を用いると硬化性が良好のためより好ましい。特にポリウレタンジ(メタ)アクリルアミド類を用いる場合には、活性エネルギー線硬化性組成物(E)の硬化性が更に向上されるだけではなく、硬化して得られるモデル材の柔軟性も向上される。またウレタン結合やアミド結合由来の水素結合によりモデル材の引張強度、弾性等も向上され、バランスの良い成形品を得られるため、特に好ましい。
【0053】
多官能性不飽和化合物(b3)の使用量は、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(E)全体に対して0〜25.0質量%であることが好ましい。多官能性不飽和化合物(b3)を添加することにより得られるモデル材の引張強度、弾性等が向上し、また、25.0質量%以下である場合には、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(E)の液粘度が低く、優れるインクジェット吐出適性を提供できる。さらに、2.0〜20.0質量%であることがより好ましい。
【0054】
前記のアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート類としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、3-メチル−1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート類は1種を単独、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0055】
前記のポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート類としては、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジ(ネオペンチルグリコール)ジ(メタ)アクリレート、トリ(ネオペンチルグリコール)ジ(メタ)アクリレート、ポリ(ネオペンチルグリコール)ジ(メタ)アクリレート、ジ(3-メチル−1,5−ペンタンジオール)ジ(メタ)アクリレート、トリ(3-メチル−1,5−ペンタンジオール)ジ(メタ)アクリレート、ポリ(3-メチル−1,5−ペンタンジオール)ジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート類は1種を単独、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0056】
前記のポリエステルジ(メタ)アクリレート類としては、分子中にポリエステル骨格を含む両末端又は側鎖に水酸基を有するポリエステルポリオールと(メタ)アクリル酸がエステル結合したものである。ポリエステルポリオールの多価カルボン酸成分として、テレフタル酸、イソフタル酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸などが挙げられ、ジオール成分としては、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,9−ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール等が挙げられる。これらポリエステルジ(メタ)アクリレート類は1種を単独、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0057】
前記のポリカーボネートジ(メタ)アクリレート類としては、分子中にカーボネート骨格を含む両末端又は側鎖に水酸基を有するポリカーボネートポリオールと(メタ)アクリル酸がエステル結合したものである。ポリカーボネートポリオールのカルボニル成分としてホスゲン、クロロギ酸エステル、ジアルキルカーボネート、ジアリールカーボネート及びアルキレンカーボネート等が挙げられ、ジオール成分としてはエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,9−ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール等が挙げられる。これらポリカーボネートジ(メタ)アクリレート類は1種を単独、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0058】
前記のポリウレタンジ(メタ)アクリレート類としては、分子中に1個以上の水酸基を有するアルコール化合物と、1分子内に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物と、水酸基を有する(メタ)アクレート化合物との付加反応で得られる化合物であり、合成方法は特に限定することがなく、公知のウレタン化反応技術により合成することができる。これらポリウレタンジ(メタ)アクリレート類は1種を単独、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0059】
前記のポリウレタンジ(メタ)アクリルアミド類としては、分子中に1個以上の水酸基を有するアルコール化合物と、1分子内に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物と、水酸基を有する(メタ)アクリルアミド化合物との付加反応で得られる化合物であり、合成方法は特に限定することがなく、公知のウレタン化反応技術により合成することができる。これらポリウレタンジ(メタ)アクリルアミド類は1種を単独、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0060】
前記の分子中に1個以上の水酸基を有するアルコール化合物は主鎖骨格の末端又は側鎖に1個以上の水酸基を有するエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,5−ペンタングリコール、2−メチル−1,3−プロピレングリコール、2−メチル−1,4−ブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,9−ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、グリセリン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリメチルペンタングリコール、ポリヘキサメチレングリコール、ポリグリセリン、ポリブタジエンポリオール、水添ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオール、水添ポリイソプレンポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、末端カルビノール変性ポリジメチルシロキサン等が挙げられる。これらのポリオールは、1種を単独、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0061】
前記の1分子内に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物としては、例えば、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、1,2−プロピレンジイソシアネート、1,2−ブチレンジイソシアネート、2,3−ブチレンジイソンアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族イソシアネート類、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等の芳香族イソシアネート類、シクロペンチレンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4'−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、2,5−ノルボルナンジイソシアネート、2,6−ノルボルナンジイソシアネート等の脂環族イソシアネート類、又は、これらのアダクトタイプ、イソシアヌレートタイプ、ビュレットタイプ等の多量体が挙げられる。これらのポリイソシアネートは、1種を単独、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0062】
前記の水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物および水酸基を有する(メタ)アクリルアミド化合物としては、例えば、炭素数が1〜6のヒドロキシアルキル基を導入したヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシフェニル(メタ)アクリレート、炭素数が1〜6のアルキレングリコール基を導入したジアルキレングリコール(メタ)アクリレート、トリアルキレングリコール(メタ)アクリレート、ポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、炭素数が1〜6のヒドロキシアルキル基を導入したN−ヒロドキシアルキル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジ(ヒロドキシアルキル)(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシアルキル−N−(4−ヒドロキシフェニル)(メタ)アクリルアミド、炭素数が1〜6のヒドロキシアルキル基および炭素数1〜6のアルキル基を導入したN−アルキル−N−ヒロドキシアルキル(メタ)アクリルアミド、N−アルキル−N−(4−ヒドロキシフェニル)(メタ)アクリルアミドや、4−ヒドロキシフェニル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジ(4−ヒドロキシフェニル)(メタ)アクリルアミド等が挙げられ、水酸基を有する(メタ)アクリルアミド化合物は硬化性が高いため好ましく、特にN−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミドが、皮膚刺激性(PII=0)が低いので安全性が高くて取り扱い易く、さらに好ましい。
【0063】
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(E)は活性エネルギー線照射により硬化するが、本発明の活性エネルギー線とは、電磁波または荷電粒子線の中でエネルギー量子を有するもの、すなわち、可視光、電子線、紫外線、赤外線、X線、α線、β線、γ線等の光エネルギー線などを指す。例えば、高圧水銀ランプ、ハロゲンランプ、キセノンランプ、メタルハライドランプ、LEDランプ、電子線加速装置、放射性元素などの線源が挙げられる。活性エネルギー線源として電子線を用いた場合は、通常、光開始剤を含有する必要はないが、その他の活性エネルギー線源を用いた場合は、光重合開始剤(C)を添加することが好ましい。照射する活性エネルギー線としては、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(E)の保存安定性と硬化速度および有害性の低さから紫外線が好ましい。
【0064】
本発明で用いる光重合開始剤(C)としては、アセトフェノン系、ベンゾイン系、ベンゾフェノン系、αアミノケトン系、キサントン系、アントラキノン系、アシルフォスフィンオキサイド系、高分子光開始剤系等の通常のものから適宜選択すればよい。例えば、アセトフェノン類としては、ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルホリノプロパン−1、ベンゾイン類としては、ベンゾイン、α−メチルベンゾイン、α−フェニルベンゾイン、α−アリルベンゾイン、α−ベンゾイルベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、ベンゾフェノン類としては、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、αアミノケトン類としては、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−(4−モルホリニル)−1−プロパノン、2−ベンジル−2−(ジメチルアミノ)−1−(4−(4−モルホリニル)フェニル)−1−ブタノン、2−(ジメチルアミノ)−2−(4−メチルフェニル)メチル−1−(4−(4−モルホリニル)フェニル)−1−ブタノン、キサントン類としては、キサントン、チオキサントン、アントラキノン類としては、アントラキノン、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、アシルフォスフィンオキサイド類としては、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、高分子光開始剤としては、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(4−(1−メチルビニル)フェニル)プロパン−1−オンのポリマーなどが挙げられる。これらの光重合開始剤は1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0065】
電子線以外の活性エネルギー線源を用いた場合、光重合開始剤(C)の含有量は、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(E)全体に対して0.1〜5.0質量%が好ましい。0.1質量%以上である場合には、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(E)を活性エネルギー線照射により十分に重合反応を起こし、得られるモデル材中の残存モノマー量が少なく、硬化物の引張強度、弾性等が良好である。5.0質量%以下である場合には、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(E)のポットライフが長く、保管中のゲル化などのトラブルが発生しないものである。さらに、0.5〜3.0質量%がより好ましい。
【0066】
活性エネルギー線照射量(積算光量)は、特に制限するものではない。活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(E)に用いられる不飽和基を有するポリロタキサン(A)、エチレン性不飽和基を有する化合物(B)、および光重合開始剤(C)の種類と使用量によって変動するが、50〜2000mJ/cm
2であることが好ましい。積算光量が50mJ/cm
2以上であると、十分な硬化が進行し、硬化物の引張強度、弾性等が良好であり、また、積算光量が2000mJ/cm
2以下であると、活性エネルギー線の照射時間が短く、付加製造における生産性向上につながり、得られる成形品の経時的着色が生じにくく、100〜1000mJ/cm
2であることがより好ましい。
【0067】
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(E)は、必要に応じてその他成分(D)として、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリ酢酸ビニル、エポキシ樹脂、ポリアクリルアミド、でんぷん、カルボキシメチルセルロース等のポリマーや各種添加剤等を混合して使用できる。添加剤としては、熱重合禁止剤、老化防止剤、酸化防止剤、紫外線増感剤、防腐剤、リン酸エステル系およびその他の難燃剤、界面活性剤、湿潤分散材、帯電防止剤、着色剤、可塑剤、表面潤滑剤、レベリング剤、軟化剤、顔料、有機フィラー、無機フィラー等を添加することができる。これらその他成分(D)の添加量は、本発明による活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(E)が発現する特性に悪影響を与えない程度であれば特に限定されず、(E)全体に対して5質量%以下の範囲が好ましい。
【0068】
熱重合禁止剤としては、例えば、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル、フェノチアジン、ピロガロール、β−ナフトールなどが挙げられる。
【0069】
老化防止剤としては、例えば、ブチル化ヒドロキシトルエン及びブチルヒドロキシアニソール等のヒンダードフェノール系、ベンゾトリアゾール系、及びヒンダードアミン系の化合物が挙げられる。
【0070】
界面活性剤としては、例えばノニルフェノールのポリエチレンオキサイド付加物、ラウリン酸ポリエチレンオキサイド付加物、ステアリン酸ポリエチレンオキサイド付加物等のアルキレンオキサイド付加型非イオン界面活性剤、ソルビタンパルミチン酸モノエステル、ソルビタンステアリン酸モノエステル、ソルビタンステアリン酸トリエステル等の多価アルコール型非イオン界面活性剤、アセチレン系グリコール化合物型非イオン界面活性剤、アセチレン系ポリアルキレングリコール化合物型非イオン界面活性剤、パーフルオロアルキルポリエチレンオキサイド付加物、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルベタイン等のフッ素含有界面活性剤、ポリエーテル変性シリコーンオイル、(メタ)アクリレート変性シリコーンオイル等の変性シリコーンオイル、両性の高分子界面活性剤(ビッグケミージャパン株式会社製、BYKJET−9150、BYKJET−9151等)が挙げられる。
【0071】
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(E)は光造型法による三次元造形に使用することが好ましく、インクジェット方式により吐出し、活性エネルギー線照射により硬化させる三次元光造型法に用いることがより好ましい。活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(E)の安定吐出を行う観点から、液粘度は25℃において1〜100mPa・sが好ましく、吐出温度は20〜80℃の範囲が好ましい。吐出温度を高温に設定すると活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(E)の液粘度が低下し、高粘度の樹脂組成物を吐出できるが、熱による変性や重合が起こりやすくなる。そのため、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(E)の25℃の液粘度が80mPa・s以下、70℃より低温での吐出がより好ましい。活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(E)の吐出後の液滴の着弾時の広がりを抑えるために、25℃の液粘度は10mPa・s以上がより好ましい。
【0072】
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(E)の硬化物が三次元光造型用モデル材として好適に用いることができる。硬化物の硬度ショアAは0〜90であり、破断伸度は100%以上を有し、また破断強度は3MPa以上を有することが好ましい。ショアA硬度は0以上であればモデル材として十分な強度が得られ、また90以下の場合、柔軟性に富んだゴム特性が得られるため好ましい。100%以上の破断伸度を有する場合、柔軟なモデル材として屈曲や伸長が可能となり好ましく、3MPa以上の破断強度有する場合、屈曲や伸長する際に破断しにくいため好ましく、200%以上の破断伸度と5MPa以上の破断強度を有することがより好ましい。
【0073】
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(E)のインクジェット方式による三次元光造型は、(E)の微小液滴をインク吐出ノズルから所定の形状パターンを描画し、活性エネルギー線を照射して硬化薄膜を形成する方式が好ましい。また、硬化薄膜上にさらに積層と硬化を繰り返して行うことにより、三次元の造型物を取得できる。
【0074】
本発明の三次元光造形方法による立体造形物の製造において、本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(E)からなるモデル材をサポートするために、サポート材を用いることができる。使用するサポート材は特に限定せず、熱溶融可能なワックスや樹脂、または光硬化性樹脂が挙げられるが、モデル材と同時にインクジェット方式による造型できる観点から、光硬化性樹脂が好ましい。さらに、サポート材として、硬化物が水溶性、水分散性または水膨潤性のものがモデル材から剥離しやすく、より好ましい。
【0075】
熱溶融性のワックスや樹脂として、例えばパラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、カルバナワックス、エステルワックス、アミドワックス等のワックス類、ポリエチレングリコール、低融点結晶性ポリエステル樹脂等のポリマー類が挙げられるが、特に限定されない。
【0076】
光硬化性で水溶性、水分散性または水膨潤性の硬化物として、例えばキーエンス社製AGLISTAで使用されるサポート材AR−S1(株式会社キーエンス製)、ストラタシス社製Objetで使用されるサポート材SUP707やSUP705(Stratasys Ltd.製)等が挙げられるが、特に限定されない。
【実施例】
【0077】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。また、以下において「部」及び「%」は特記しない限りすべて質量基準である。
【0078】
ポリロタキサン(A−1)〜(A−4)は、セルムスーパーポリマー(アドマンスト・ソフトマテリアル社製)の市販品から溶剤を留去し、乾燥させてから使用した。それらの物性値を表1に示す。
【0079】
【0080】
単官能性不飽和化合物(b1)は、(b1−1)としてイソボルニルアクリレート(Tg 94℃)、(b1−2)として1,4−シクロヘキサンジメタノールモノアクリレート(Tg=18℃)、(b1−3)としてアクロイルモルホリン(Tg=145℃)、(b1−4)としてジエチルアクリルアミド(Tg=81℃)、(b1−5)としてシクロヘキシルアクリレート(Tg=15℃)、(b1−6)としてN−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド(Tg=98℃)を使用した。
【0081】
単官能性不飽和化合物(b2)は、(b2−1)としてメトキシジプロピレングリコールアクリレート(Tg=−44℃)、(b2−2)としてメトキシトリエチレングリコールアクリレート(Tg=−50℃)、(b2−3)としてメトキシポリエチレングリコールアクリレート(ポリエチレングリコールの平均分子量400)(Tg=−71℃)、(b2−4)としてフェノキシエチルアクリレート(Tg=−22℃)、(b2−5)としてメチルアクリレート(Tg=8℃)、(b2−6)としてイソステアリルアクリレート(Tg=−18℃)を使用した。
【0082】
多官能性不飽和化合物(b3−1)としてトリシクロデカンジメタノールジアクリレート(商品名「A−DCP」新中村化学工業株式会社製)、(b3−3)としてジトリメチロールプロパンテトラアクリレート(商品名「AD-TMP」新中村化学工業株式会社製)、(b3−4)として1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(商品名「A−HD−N」新中村化学工業株式会社製)を使用した。
【0083】
製造例1 多官能性不飽和化合物(b3−2)の製造
攪拌機、温度計、還流冷却器を備えた300mLセパラフラスコに水酸基価120mgKOH/g、数平均分子量930の末端水酸基を有するポリジメチルシロキサン(商品名 信越シリコーンKF−6000:信越化学工業株式会社製)100.0g、トリレンンジイソシアネート27.9gおよび触媒としてジブチルスズジラウレート0.04gを添加し、窒素雰囲気中で攪拌しながら、60℃で3時間反応させた。更に、この反応物にN−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド13.5g、重合禁止剤としてメチルハイドロキノン0.20gおよび触媒としてジブチルスズジラウレート0.02gを添加し、60℃で2時間反応させた。その後、反応容器を冷却し、IR測定で2230cm
−1のイソシアネート基の吸収ピークが消失したことを確認し、数平均分子量2,800のポリウレタンジアクリルアミドである多官能性不飽和化合物(b3−2)を得た。
【0084】
製造例2 多官能性不飽和化合物(b3−5)の製造
攪拌機、温度計、還流冷却器を備えた300mLセパラフラスコに水酸基価112mgKOH/g、数平均分子量1,000の末端水酸基を有するポリテトラメチレングリコール100.0g、イソホロンジイソシアネート33.3gおよび触媒としてジブチルスズジラウレート0.04gを添加し、窒素雰囲気中で攪拌しながら、80℃で4時間反応させた。更に、この反応系に2−ヒドロキシエチルアクリレート11.6g、重合禁止剤としてメチルハイドロキノン0.01gおよび触媒としてジブチルスズジラウレート0.02gを添加し、80℃で3時間反応して、IR測定で2230cm
−1のイソシアネート基の吸収ピークが消失したことを確認した。その後、反応容器を冷却し、数平均分子量1,800のポリウレタンジアクリレートである多官能性不飽和化合物(b3−5)を得た。
【0085】
製造例3 多官能性不飽和化合物(b3−6)の製造
攪拌機、温度計、還流冷却器を備えた300mLセパラフラスコに水酸基価112mgKOH/g、数平均分子量1,000の末端水酸基を有するポリプロピレングリコール100.0g、トリレンンジイソシアネート26.1gおよび触媒としてジブチルスズジラウレート0.04gを添加し、窒素雰囲気中で攪拌しながら、60℃で3時間反応させた。更に、この反応物にN−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド12.2g、重合禁止剤としてメチルハイドロキノン0.20gおよび触媒としてジブチルスズジラウレート0.02gを添加し、60℃で2時間反応して、IR測定で2230cm
−1のイソシアネート基の吸収ピークが消失したことを確認した。その後、反応容器を冷却し、数平均分子量2,500のポリウレタンジアクリルアミドである多官能性不飽和化合物(b3−6)を得た。
【0086】
製造例4 多官能性不飽和化合物(b3−7)の製造
攪拌機、温度計、還流冷却器を備えた300mLセパラフラスコに水酸基価224mgKOH/g、数平均分子量500の末端水酸基を有するポリカーボネートジオール(商品名 クラレポリオールC−590:株式会社クラレ製)100.0g、イソホロンジイソシアネート88.8gおよび触媒としてジブチルスズジラウレート0.04gを添加し、窒素雰囲気中で攪拌しながら、60℃で3時間反応させた。更に、この反応物にN−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド48.8g、重合禁止剤としてメチルハイドロキノン0.20gおよび触媒としてジブチルスズジラウレート0.02gを添加し、60℃で2時間反応して、IR測定で2230cm
−1のイソシアネート基の吸収ピークが消失したことを確認した。その後、反応容器を冷却し、数平均分子量1,200のポリウレタンジアクリルアミドである多官能性不飽和化合物(b3−7)を得た。
【0087】
製造例5 多官能性不飽和化合物(b3−8)の製造
攪拌機、温度計、還流冷却器を備えた300mLセパラフラスコにカプロラクトン変性ヒドロキシエチルアクリレート(商品名 プラクセルFA4D:ダイセル化学工業株式会社製)100.0g、重合禁止剤としてメチルハイドロキノン0.01g、イソシアヌレート型イソホロンジイソシアネート(商品名 VESTANAT T1890:デグサジャパン株式会社製)64.0gおよび触媒としてジブチルスズジラウレート0.02gを添加し、窒素雰囲気中で攪拌しながら、80℃で12時間反応させた。IR測定で2230cm
−1のイソシアネート基の吸収ピークが消失したことを確認した。その後、反応容器を冷却し、3官能化合物(b3−8)を得た。
【0088】
分子量測定
得られた多官能不飽和化合物(b3−2)、(b3−5)、(b3−6)、(b3−7)の数平均分子量は、高速液体クロマトグラフィー(株式会社島津製作所製のLC−10Aを用いて、カラムはShodex GPC KF−806L(排除限界分子量:2×10
7、分離範囲:100〜2×10
7、理論段数:10,000段/本、充填剤材質:スチレン−ジビニルベンゼン共重合体、充填剤粒径:10μm)、溶離液としてテトラヒドロフランを使用した。)により測定し、標準ポリスチレン分子量換算により算出した。
【0089】
実施例1 活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(E−1)の調製
アクリル基導入のポリロタキサン(A1−1)19.5質量部、イソボルニルアクリレート(b1−1)40.0質量部、メトキシジプロピレングリコールアクリレート(b2−1)40.0質量部、IRGACURE184(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(BASFジャパン株式会社製))(C−1)0.5質量部をそれぞれ容器に仕込み、25℃で1時間攪拌することにより、均一透明な実施例1の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(E−1)を得た。
【0090】
実施例2〜9 活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(E−2)〜(E−9)の調製
表2に示す組成で、実施例1と同様の操作を行うことにより、実施例2〜9に相当する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(E−2)〜(E−9)を得た。
【0091】
比較例1〜9 活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(F−1)〜(F−9)の調製
表2に示す組成で、実施例1と同様の操作を行うことにより、比較例1〜9に相当する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(F−1)〜(F−9)を得た。ここにおいて、比較例8は特許文献3(特開2015-078255号公報)に記載の実施例7、比較例9は特許文献2(特開2012−111226号公報)に記載の実施例1−6を参考にした。
【0092】
【表2】
【0093】
表2中の略号の説明
C:光重合開始剤
C−1:1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(IRGACURE184、BASFジャパン株式会社製)
C−2:2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド(IRGACURE−TPO、BASFジャパン株式会社製)
C−3:1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン/ベンゾフェノン=1/1混合物(IRGACURE−500、BASFジャパン株式会社製)
D:その他成分
D−1:数平均分子量2,000のポリエチレングリコール(PEG2000、東邦化学工業株式会社社製)
D−2:水酸基価22mgKOH/gの末端水酸基を有するポリジメチルシロキサン(商品名 信越シリコーンKF−6003:信越化学工業株式会社製)
D−3:ポリエーテル変性シリコーンオイル(商品名 TSF−4452:モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製)
【0094】
実施例1〜9および比較例1〜9で得られたサポート材形成用の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を用いた評価を以下の方法で実施し、結果を表3に示す。
【0095】
粘度測定
コーンプレート型粘度計(装置名:RE550型粘度計 東機産業株式会社製)を使用し、JIS K5600−2−3に準じて、25℃にて、各実施例と比較例で得られた活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の液粘度を測定した。
【0096】
硬化物のゴム硬度測定
水平に設置したガラス板上に厚さ75μmの重剥離PETフィルム(東洋紡株式会社製、ポリエステルフィルムE7001)を密着させ、厚さ1mm、内部が60mm×90mmのスペーサーを設置し、スペーサーの内側に各実施例と比較例で得られた活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を充填した後、更にその上に厚さ50μmの軽剥離PETフィルム(東洋紡株式会社製、ポリエステルフィルムE7002)を重ね、紫外線を照射(装置:アイグラフィックス製、インバーター式コンベア装置ECS−4011GX、メタルハライドランプ:アイグラフィックス製M04−L41、紫外線照度300mW/cm
2、積算光量1000mJ/cm
2)し、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を硬化させた。その後、両側の剥離PETフィルムを取り除いて作成した硬化物を6枚重ねにして、JIS K6253「ゴムの硬さ試験方法」によりショアA硬度を測定した。また、ショアA硬度が90より大きい場合はショアD硬度にて測定した。
【0097】
硬化物の破断伸び率、破断強度の測定
水平に設置したガラス板上に厚さ75μmの重剥離PETフィルム(東洋紡株式会社製、ポリエステルフィルムE7001)を密着させ、厚さ2mm、内部が60mm×100mmのスペーサーを設置し、スペーサーの内側に各実施例と比較例で得られた活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を充填した後、更にその上に厚さ50μmの軽剥離PETフィルム(東洋紡株式会社製、ポリエステルフィルムE7002)を重ね、紫外線を照射(装置:アイグラフィックス製、インバーター式コンベア装置ECS−4011GX、メタルハライドランプ:アイグラフィックス製M04−L41、紫外線照度300mW/cm
2、積算光量1000mJ/cm
2)し、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を硬化させた。その後、両側の剥離PETフィルムを取り除いて作成した硬化物の伸びおよび強度をJIS K6732に従って測定した。硬化物をJIS K6732に準拠してダンベル型に打ち抜いて試験片とし、この試験用片の破断伸び率、破断強度を、引張圧縮試験機(オリエンテック(株)製 テンシロンRTC−1250A)を用い、25℃の温度環境下にて、引張速度50mm/分、チャック間距離100mmの条件で測定した。
硬化物の破断伸び率
◎:200%以上の破断伸び率
○:100%以上200%未満の破断伸び率
△:50%以上100%未満の破断伸び率
×:50%未満の破断伸び率
硬化物の破断強度
◎:5MPa以上の破断強度
○:3MPa以上5MPa未満の破断強度
△:1MPa以上3MPa未満の破断強度
×:1MPa未満の破断強度
【0098】
表3
【0099】
表3の結果から明らかなように、実施例1〜9の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(E)は、25℃において100mPa・s以下の液粘度を有し、操作性に優れ、良好なインクジェット適性を示した。また空気中においても積算光量1000mJ/cm
2以下で硬化可能であり、優れた硬化性を示した。活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(E)を硬化して得られた硬化物はいずれもショアA0以上90以下のゴム硬度、100%以上の良好な伸び率と3MPa以上の良好な破断強度を示し、柔軟性と強靭性が両立するモデル材として好適な樹脂であった。
【0100】
不飽和基を有するポリロタキサン(A)を含まない場合、多官能性不飽和化合物(b3)は低分子量架橋剤を用いた比較例1では、樹脂組成物の液粘度は低く、良好なインクジェット適性を示したが、硬化物の伸び率が低かった。一方、多官能性不飽和化合物(b3)は高分子量架橋剤を用いた比較例2では、硬化物の硬度、伸び率と破断強度は良好であったが、液粘度が高く、インクジェット印刷には適用しなかった。また、不飽和基を有するポリロタキサン(A)を過剰に含む比較例3では、硬化物の硬度、伸び率と破断強度は満足できたが、液粘度が高かった。ポリロタキサン(A)の含有量が不十分な場合、多官能性不飽和化合物(b3)を含まない比較例4では、液粘度は低かったが、得られた硬化物の伸びと破断強度と共に低かった。そこで、比較例4の組成物をベースにし、多官能性不飽和化合物(b3)を添加したが(比較例5)、破断強度が改善を見られたが、伸びと破断強度は依然として不十分な状態であった。Tgが10℃以上の単官能不飽和化合物(b1)の含有量が少ない比較例6では、柔らかい硬化物を得たが、硬化物の伸び率も破断強度も低かった。逆に、(b1)が過剰に含有する比較例7では、硬化物の伸び率が不十分であった。また、特許文献3(特開2015−078255号公報)記載の実施例7に相当する本発明の比較例8では、液粘度が10mPa・sと良好なインクジェット適性を示し、柔軟なゴム状の硬化物が得られたが、不飽和基を有するポリロタキサン(A)を含まず、また架橋剤に相当する多官能性不飽和化合物(b3)の添加量も低く、またTgが10℃以上の単官能不飽和化合物(b1)が5%しか含まれていないため、硬化物の凝集力が低く、破断強度および伸び率の低い硬化物しか取得できなかった。特許文献2(特開2012−111226号公報)記載の実施例1−6に相当する本発明の比較例9は、インクジェット適性と硬化性が良好であったが、硬化物の硬度が高く、ほぼ伸張しないため柔軟性に欠けていた。
【0101】
これらのことから不飽和基を有するポリロタキサン(A)を1.0〜20.0質量%含有することで、液粘度の上昇を抑え、インクジェット印刷において良好な操作性を有する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(E)を取得できる。また、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(E)の硬化物は導入したポリロタキサンの架橋点可動性により高い伸び率と高い破断強度を示し、従来にない柔軟性かつ強靭性を示す付加製造用のモデル材を得ることができた。