【文献】
片野田 洋,外2名,“超音速プラグノズルの流れの解析”,九州大学大学院総合理工学報告,平成13年6月,第23巻,第1号,p.31−34
【文献】
J. Conrad Crown ,“SUPERSONIC NOZZLE DESIGN”,NATIONAL ADVISORY COMMITTEE FOR AERONAUTICS TECHNICAL NOTE NO. 1651,1948年6月
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記駆動ノズルが駆動ノズルピースに設けられており、前記駆動ノズルピースが前記エジェクタの駆動ノズル受容構造部の中に取り付けられる、請求項1に記載のエジェクタ。
前記出口流セクションの断面形状が、前記駆動ノズルを通過する流体流の方向に対して直交する方向から見たときに、広がりが実質的に無い、前記駆動ノズルの出口における実質的に直線の部分を備える、請求項1から4のいずれか一項に記載のエジェクタ。
前記入口流セクションは、前記駆動ノズルを通過する流体流の方向から見たときの断面形状が実質的に一定のものである、請求項1から5のいずれか一項に記載のエジェクタ。
前記入口流セクションの断面形状は、前記駆動ノズルを通過する流体流の方向に対して直交する方向から見たときに、実質的に直線で平行な壁部を備える、請求項1から6のいずれか一項に記載のエジェクタ。
前記駆動ノズルの出口は、前記駆動ノズルの出口の端部にて、前記駆動ノズルが形成された材料の端面に対して実質的に90°の角度を形成する、請求項1から7のいずれか一項に記載のエジェクタ。
前記入口流セクションへの入口には、前記駆動ノズルの入口の端部にて、前記駆動ノズルが形成された材料の端面と連結する、面取りされた又はアールが付けられたエッジが設けられている、請求項1から8のいずれか一項に記載のエジェクタ。
前記駆動ノズルが、前記駆動ノズルを通過する流体流の方向に平行な軸周りに実質的に回転対称になっており、好ましくは、前記駆動ノズルを通過する流体流の方向から見たときに、前記駆動ノズルの長さに沿って、断面が実質的に円形である、請求項1から9のいずれか一項に記載のエジェクタ。
前記入口流セクションの出口端部における内径(di)と前記駆動ノズルの出口における内径(do)との比が、1:1.2と1:2.2との間である、請求項1から10のいずれか一項に記載のエジェクタ。
前記入口流セクションへの入口には、面取りされた、丸められた、又はアールが付けられたエッジが設けられている、請求項1から14のいずれか一項に記載のエジェクタ。
【背景技術】
【0002】
周囲空間に負圧または真空を発生させるために圧縮空気源(または他の高圧流体源)を使用する真空ポンプが知られている。圧縮空気駆動エジェクタは、駆動ノズルを通して高圧空気を加速させることによって、駆動ノズルと出口流路または出口ノズルとの間の間隙にわたってそれを高速で空気ジェットとして噴出させることにより動作する。駆動ノズルと出口ノズルとの間の周囲空間内の流体媒体は圧縮空気の高速流の中に取り込まれ、同伴媒体および圧縮空気源からの空気のジェット流は出口ノズルを通って噴出される。駆動ノズルと出口ノズルとの間の空間内の流体がこのように噴出されることで、この流体または媒体が以前占めていた空気ジェットの周囲の空間内に負圧または真空が生成される。
【0003】
任意の所与の圧縮空気源(駆動流体とも呼ばれる場合がある)に関して、真空エジェクタのノズルは、高体積流量を生成するが高い負圧を得ない(すなわち絶対圧がそれに応じて低下しない)ように適合させたり、またはより高い負圧を得る(すなわち絶対圧がより低くなる)が高い体積流量を実現することがないように適合させたりすることがある。そのため、駆動ノズルおよび出口ノズルの任意の個々の対は、高体積流量を生成するようにまたは高い負圧を達成するように適合させるだろう。
【0004】
高い負圧は、例えばリフト用途の場合など、大気圧との間で最大圧力差を発生させそれにより負圧によって印加され得る最大吸引力を発生させるためには望ましい。また同時に、高体積流量は、真空コンベヤ用途において、排気させようとする空間が、関連する真空デバイスの反復作動を可能にするのに十分な迅速さで、または十分な体積の材料を搬送するため等しく空にされ得るのを確保するためには必要となる。
【0005】
高い極限真空レベルおよび高い合計体積流量の両方を実現するために、いわゆる多段エジェクタが考案されており、これは、ハウジング内に直列に配置された3つ以上のノズルを備え、一連の各隣接対のノズルは、隣接する2つのノズル間の間隙で負圧を発生させるための各段を画定する。また、一般的には、この一連の任意の各ノズル対は、所与の圧縮空気源に関して、高体積流量を生成するようにまたは高い負圧を達成するように調整され得る。
【0006】
かかる多段エジェクタにおいて、最前段は、最高レベルの負圧をすなわち最低絶対圧を生成する一方で、後段は、連続的により低くなる負圧レベルをすなわちより高い絶対圧をもたらすが、エジェクタデバイスの体積スループット全体を増加させる。所望の真空デバイスに対して、または、排気させようとする空間に対して多段間で発生した真空をかけるために、連続段が、典型的には共通収集チャンバに連結され、その一方で弁が、少なくとも第1の駆動段の後の各連続段に対して設けられることによって、後段は、収集チャンバ内の負圧が第2のおよび後の段により発生し得る負圧未満に低下すると、収集チャンバから遮断され得る。
【0007】
駆動段は、圧縮流体(圧縮空気)源に連結された唯一の段であり、そのため、駆動流体および同伴流体が真空エジェクタから噴出される前に一連の後の段およびノズルの全てに圧縮流体流を運ぶことからそう呼ばれる。
【0008】
各連続段間において流体の取り込みを実現するために、一連のノズルは、断面開口面積が漸次増大する貫通チャネルを備えており、周囲空間内の空気または他の媒体を高速ジェット流に取り込むために、貫通チャネルを通して高速流体流が送られる。各段の間のノズルは、ある段の出口ノズルと次の段の入口ノズルとを形成し、各連続段にわたり流体の高速ジェットを向かわせるために空気および他の媒体の流れを連続的に加速させるように構成される。
【0009】
様々な圧縮流体が駆動流体として使用され得るが、このタイプの多段エジェクタは、典型的には圧縮空気により駆動され、最も一般的には、ジェット流の周囲の空間から排出されることとなる媒体としての空気を、一連のノズルの各間隙を通して各段にわたって取り込むために使用される。
【0010】
商業的成功を収めている多段エジェクタの1つの設計は、エジェクタの各段と連通状態にある一連の吸気ポートを組み込んだ実質的に円筒状のハウジング内に、軸方向配置にある一連のノズルを有することである。これらの吸気ポートは、周囲空間の空気との間で各段を選択的に連通させるのに適した弁部材を備える。かような構成により、円筒体は、いわゆるエジェクタカートリッジとして形成され、このエジェクタカートリッジは、ハウジングモジュール内部にまたは適切に寸法設定されたボア穴内に設置された場合に、周囲チャンバの排気を行うために使用され得る。この周囲チャンバは、さらに真空デバイスに流体結合され、この真空デバイスに対して、負圧が印加されることになる。
【0011】
そのようなデバイスは、PIAB AB名義の下記の特許文献1において開示されており、本願の
図14および
図15に示される。
【0012】
図14に示すように、エジェクタカートリッジ1は、漸増的な断面開口面積を有する貫通チャネル6を画定する4つのジェット形状ノズル2、3、4、および5を備える。これらのノズルは、間に各スロット7、8、および9を備えつつ終端間を繋げて直列に配置される。
【0013】
ノズル2、3、4、および5は、共に組み合わされることにより一体型ノズル本体1を形成するように設計された各ノズル本体の形に形成される。貫通開口10が、外方周囲空間との流体連通をもたらすために、ノズル本体の壁部中に配置される。
【0014】
図15を参照すると、エジェクタカートリッジ1がボア穴またはハウジング内にどのように取り付けられ得るかが示される。外方周囲空間は、排気対象のチャンバVに相当する。各貫通開口10は、弁部材11を備えることにより、周囲空間Vからの空気流または他の流体をノズルの各隣接対同士の間の空間またはチャンバ内に選択的に流し得る。
図15に示すように、エジェクタカートリッジ1は、ボア穴が穿孔または他の方法で形成されたマシン構成要素20内に取り付けられている。エジェクタカートリッジ1は、入口チャンバiから出口チャンバuまで延在し、外方周囲空間Vを構成する3つの別個のチャンバの排気を行うために配置される。その各チャンバは、Oリング22により隣接するチャンバから隔離される。図示しないが、外方周囲空間Vを構成する各チャンバは、吸気カップなどの関連付けられた真空被動デバイスに対して発生させた負圧を印加するために、共通収集チャンバまたは吸気ポートに連結される。
【0015】
かかる多段エジェクタ装置は、高体積流量および高レベルの負圧の両方をもたらす点において有利であるが、多段エジェクタ全体に対して全体的な所望の性能特性を実現するために、このエジェクタの各連続段の設計については依然として幾分かの妥協が必然的に存在する。したがって、多段エジェクタの駆動ノズルと並列に設けられたいわゆるブースタノズルをさらに備えることも提案されている。このブースタノズルは、可能な最高レベルの真空を実現するように特に設計されるが、多段エジェクタを構成する一連の同軸配置ノズルの一部を形成しない。このようにすることで、ブースタノズルは、可能な最高レベルの真空を実現するように構成され得る一方で、一連の並置多段エジェクタノズルは、高い負圧(低絶対圧)を許容し得る短期間内に、排気させようとする空間内で実現させ得る高体積スループットを実現するように配置され得る。
【0016】
かかる構成は、本願の
図13に示すように、下記の特許文献2において開示されている。この構成では、各ポート18、19、および20を通して真空収集コンパートメント16と相互連通状態にある関連付けられたチャンバ5、6、7を排気するように連続的に配置されたエジェクタノズル12、13、14、15のセットが設けられる。弁21、22、および23は、それぞれポート18、19、および20に対して設けられる。
【0017】
追加の対のノズル24および25が、多段エジェクタの駆動ノズル12と並列に設けられ、ポート17を介して収集チャンバ16に連結された別個のブースタチャンバ4に配置される。ブースタ段は、一対のノズル24および25から構成され、入口ノズル24は、多段エジェクタの駆動ノズル12と共に、圧縮空気を供給される入口チャンバ3に連結される。ブースタ段間のノズル対24および25は、ブースタチャンバ4内に可能な最高真空(最低負圧)を発生させる役割を果たす。ノズル24により発生した圧縮空気ジェットは、ブースタ段からノズル25を通り同じチャンバ5内に噴出され、このチャンバ5において、駆動ノズル12が、圧縮空気の駆動ジェットを推進させる。このようにすることで、ブースタ段から放出される空気は、多段エジェクタから放出されることとなる駆動ジェット流の中に取り込まれる。さらに、多段エジェクタの駆動段により発生した真空は、ノズル25の出口にかけられ、それによりブースタ段間の圧力差が増大することによって、ブースタ段により発生し得る真空レベルが上昇され得る、すなわち実現され得る絶対圧が低下する。
【0018】
真空エジェクタの動作において、多段エジェクタの一連のノズル12、13、14、および15は、各チャンバ5、6、および7ならびに収集チャンバ16からの流体をエジェクタの各連続段により形成されるジェット流に取り込むことにより、短期間内で収集チャンバ16内にて低絶対圧へと真空を迅速に発生させるために、高体積流量を生成することが可能である。ブースタ段は、多段エジェクタと並行して機能するが、典型的には低体積流量をもたらし、そのため初期真空形成プロセスには大きくは寄与しない。収集チャンバ16内の真空レベルが上昇すると(すなわち絶対圧が低下すると)、関連付けられる弁部材23、22、および21は、真空収集チャンバ16内の圧力が関連付けられた各チャンバ7、6、および5内の圧力未満に低下することにより、順に閉じる。最終的に、収集チャンバ16内の圧力は、多段エジェクタのいずれかの段が発生させ得る最低圧力未満に低下することになり、それにより全ての弁が閉じ、次いで全てのさらなる排気が吸気ポート17を介して収集チャンバ16に吸引力を与えるブースタ段によって行われる。
【0019】
上述のような多段エジェクタおよびエジェクタカートリッジは、複数の種々の産業において、および特に、かかる真空エジェクタが吸気カップに連結され、組立プロセス時に構成要素を取り上げ配置するために使用され得る製造業において商業的成功を収めてきた。
【0020】
脱ガス、除湿、油圧系統の充填、強制濾過等のプロセスにおいて高い真空レベル(低絶対圧)の需要が高まり続けていることにより、上記のおよび他のプロセスを実施するために高レベルの負圧(すなわち低絶対圧)を繰り返し供給し得る真空エジェクタに対する需要が高まっている。
【0021】
これに関連して、マシンの全体寸法に負の影響を及ぼすことなく機械上の遠隔位置にて(すなわち機械アームの端部にておよび圧縮空気の最終的な供給源から著しい距離を置いて)所望の排気性能を実現し得る、より小型のエジェクタに向かう傾向が増加している。特に、設置面積の小さい、およびそれによりますますコンパクト化が進む作業エリアに真空をかけ得るエジェクタデバイスに対する要望が存在する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
以下、本発明のさらに良好な理解を促すために、および本発明を実施し得る方法を示すために、添付の図面を専ら例として参照する。
【
図1A】エジェクタカートリッジを通過する空気流の方向に対して垂直な方向に見た場合の、本発明によるエジェクタカートリッジの第1の実施形態の長手方向軸方向断面図である。
【
図2】エジェクタカートリッジを通過する空気流の方向に対して垂直な方向に見た場合の、
図1Aの実施形態と同様であるが、
図1Aの単体弁部材の代わりに個別のフラップ弁を有する、本発明によるエジェクタカートリッジの第2の実施形態の長手方向軸方向断面図である。
【
図3A】エジェクタカートリッジを通過する空気流の方向に対して垂直な方向に見た場合の、
図1Aおよび
図2のエジェクタカートリッジの第2の段および出口ノズルを画定する単体エジェクタハウジング本体の長手方向軸方向断面図である。
【
図3B】エジェクタカートリッジを通過する空気流の方向に対して垂直な方向に見た場合の、
図1Aおよび
図2の第2の段ノズルを備える単体駆動段ハウジングピースの長手方向軸方向断面図である。
【
図3C】エジェクタカートリッジを通過する空気流の方向に対して垂直な方向に見た場合の、
図1Aおよび
図2の駆動ノズルピースの長手方向軸方向断面図である。
【
図4】駆動ノズルを通過する空気流の方向に対して垂直な方向に見た場合の、本明細書において開示されるエジェクタの駆動ノズルアレイにおいて使用され得る駆動ノズルの一形態を詳細に示す拡大部分長手方向軸方向断面図である。
【
図5A】
図5Bの分割線A−Aに沿って示される、本発明によるエジェクタカートリッジの第2の実施形態の長手方向軸方向断面図である。
【
図5B】カートリッジの出口端部から見た
図5Aのエジェクタカートリッジの軸方向端面図である。
【
図6】エジェクタアレイノズルグループと第2の段の尻窄まり−末広がりノズルの内径との間の関係を示す、エジェクタを通過する空気流の方向に対して垂直な方向に見た場合の、
図5Aのエジェクタカートリッジを同様に詳細に示す長手方向軸方向断面図である。
【
図7A】エジェクタを通過する空気流の方向に対して垂直な方向に見た場合の、
図5Aのエジェクタカートリッジの、駆動段、第2の段、および出口ノズルを画定する単体エジェクタハウジング本体の長手方向軸方向断面図である。
【
図7B】通過する空気流の方向に対して垂直な方向に見た場合の長手方向軸方向断面図、および一体型弁部材を組み込んだ
図5Aの第2の段のノズルピースの出口端部からの軸方向端面図である。
【
図7C】通過する空気流の方向に対して垂直な方向に見た場合の長手方向軸方向断面図、および
図5Aのエジェクタカートリッジの駆動ノズルピースの出口端部からの軸方向端面図である。
【
図8】第2の段のノズルピースおよび駆動ノズルピースがエジェクタハウジング本体内にどのように取り付けられるかを詳細に示す、
図5Aのエジェクタカートリッジの、通過する空気流の方向に対して平行な長手方向軸を含む平面を通る等角断面図である。
【
図9】
図5Aの単体エジェクタハウジング本体と同様であるが
図5Aのエジェクタハウジングの代わりに使用され得る変更された末広がりノズルセクションを有する単体エジェクタハウジング本体の代替的な実施形態の、エジェクタを通過する空気流の方向に対して垂直な方向に見た場合の長手方向軸方向断面図である。
【
図10】単一の駆動ノズルを有する一連の多段ノズルを通過する流れの発達と4つの駆動ノズルを備える駆動ノズルアレイを有する一連の多段ノズルを通過する流れの発達との概略的な比較を示す図である。
【
図11A】エジェクタハウジングモジュール内に取り付けられ、取付プレートに連結された、
図1Aのエジェクタカートリッジを有するエジェクタの一実施形態を示す図であり、入口ポート、出口ポート、および吸気ポートを詳細に示すエジェクタハウジングモジュールの底面図である。
【
図11B】エジェクタハウジングモジュール内に取り付けられ、取付プレートに連結された、
図1Aのエジェクタカートリッジを有するエジェクタの一実施形態を示す図であり、
図1Aのカートリッジがハウジングモジュール内にどのように取り付けられるかを詳細に示す、エジェクタを通過する空気流の方向に対して垂直な方向に見た場合の、エジェクタハウジングモジュールの長手方向軸方向断面図である。
【
図11C】エジェクタハウジングモジュール内に取り付けられ、取付プレートに連結された、
図1Aのエジェクタカートリッジを有するエジェクタの一実施形態を示す図であり、取付プレートにハウジングモジュールを連結するための取付穴の位置を含む、エジェクタハウジングモジュールの上面平面図である。
【
図12】
図11A〜
図11Cと同様のエジェクタハウジングモジュールを有するが、
図5Aのエジェクタカートリッジが
図1Aのエジェクタカートリッジの代わりに取り付けられ、取付プレートとエジェクタハウジングモジュールとの間に取り付けられたブースタエジェクタモジュールをさらに有するエジェクタの、エジェクタカートリッジを通過する空気流の方向に対して垂直な方向に見た場合の長手方向軸方向断面図である。
【
図13】一列に並んだ一連の多段エジェクタノズルと平行に共通ハウジングに組み込まれたブースタ段を備える先行技術のエジェクタユニットを示す図である。
【
図14】先行技術のエジェクタカートリッジの断面図である。
【
図15】先行技術のエジェクタカートリッジの断面図であり、エジェクタのハウジングユニット内に取り付けられたカートリッジを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、添付の図面を参照として本発明の実施形態を説明する。同様の参照数字が、様々な実施形態の説明全体を通して同様の特徴を指すために使用されている。
【0028】
図1Aおよび
図1Bは、本発明によるエジェクタの第1の実施形態を示す。
図1Aおよび
図1Bの実施形態は、エジェクタカートリッジ100として構成される。かかるカートリッジは、エジェクタカートリッジによって排気させようとする空間を画定するエジェクタハウジングモジュール内または設備の関連ピースに形成されたボアもしくはチャンバ内に設置されるように意図される。
【0029】
図に示すようなエジェクタの最も好ましい実施形態は、駆動流体としてのおよび排気対象の流体としての空気で作動するように設計されるが、このエジェクタは、駆動流体としての任意のガスおよび排気対象の流体としての任意のガスに対して適用可能となる。駆動流体は、エジェクタを通過する移動または流れの主要方向を有する。この方向は、図で水平に示され入口114を起点とするエジェクタの長手方向軸に対して平行である。以下においては、この方向は空気流方向と呼ばれる。
【0030】
エジェクタカートリッジ100は、各段間で各真空を発生させるための、第1の駆動段100Aおよび第2の段100Bを有する多段エジェクタである。
【0031】
駆動段は、駆動ノズルアレイ110を備え、これは、駆動ノズルアレイ110の入口114に供給される圧縮空気を加速させることにより第2の段のノズル132の入口内に高速空気ジェット流を向かわせるように配置される。第2の段のノズル132は、同様にエジェクタカートリッジの出口ノズル146内に空気ジェット流を発射するように配置される。
【0032】
単一駆動ノズルを有する本願の
図14および
図15に示すエジェクタカートリッジとは異なり、エジェクタカートリッジ100は、複数の駆動ノズル120を有する駆動ノズルアレイ110を備える。駆動ノズル120は、エジェクタカートリッジ100の駆動段にわたり高速空気の空気ジェットを発生させるようにそれぞれ構成され、各駆動ノズル120により発生した各ジェット流がいずれも第2の段のノズル132の入口131内に共に共通して送られるようにグループ化される。
【0033】
図1Aにおいて、111は、第2の段の駆動ノズル132から見た場合のノズルアレイ110の視図を示す。視
図111は、第2の段のノズル132内に図示されるが、これは、専ら図示を目的としてなされたに過ぎない。
図1Aに概略的に示すように、駆動ノズルアレイ110は、4つの駆動ノズル120を備え、これらは、4つの駆動ノズルの出口が、エジェクタカートリッジ100の中心軸CLに沿って軸方向に見た場合に、いずれも第2の段のノズル132の最小内径に実質的に等しい境界外周部内に位置するように、2×2行列において共にグループ化される。これは、
図1Aで、第2の段のノズル132の長さ部分に部分的に沿って描かれた円により示され、この円は、中心軸CLに対して垂直な第2の段のノズルの内方断面に相当し、その外周部内に描かれた4つのより小さな円を有し、これらの小円は、4つの駆動ノズル120の出口位置が中心軸CLの方向において第2の段のノズルの入口といずれも整列するようにどのように配置され得るかを示す。このより大きな円および4つのより小さな円は、第2の段のノズル132に部分的に沿った構造的特徴を表すのではなく、第2の段のノズルの断面に対してグループ化された駆動ノズルアレイの投影図であり、中心軸CLに沿ったこれらの構成要素の相対的な同心状および同軸状の整列を示すために作成されたものである点が理解されよう。同じことが、
図2および
図6の第2の段のノズルに部分的に沿って示される同様の円グループに関しても当てはまる。
【0034】
エジェクタを通過する空気流の方向における駆動ノズルアレイの後には、第2の段のノズル132および出口ノズル146が存在する。これらのノズルは、中心軸CLに沿って駆動ノズルアレイ110と直列に設けられた単一の尻窄まり−末広がりノズルとしてそれぞれ設けられる。したがって、圧縮空気が、エジェクタカートリッジ100の入口にて駆動ノズルピース112の入口114に供給されると、高速空気ジェットが、各ノズル120により生成されて、駆動空気ジェットが第2の段のノズル132の入口131内へと共に共通して向かうジェット流を形成する。このようにすることで、駆動ノズルアレイ110と第2の段のノズル132の入口131との間の空間内の、特に各駆動ノズル120により発生する各駆動ジェットの周囲の空間内の空気または他の流体媒体は、ジェット流の中に取り込まれ、第2の段のノズル132内に追いやられる。
【0035】
供給される圧縮空気の消費量および送給圧力は、エジェクタのサイズおよび所望の排気特徴によって変化し得る。より小型のエジェクタの場合には、約0.1〜約0.25MPaの送給圧力における約0.1〜約0.2Nl/s(正規化リットル/秒)の消費量範囲が、通常は十分なものとなり、大型のエジェクタは、典型的には約0.4〜約0.6MPaにて約1.25〜約1.75Nl/sを消費する。中間サイズに関する中間範囲は、可能かつ一般的である。これらの特定の範囲に縛られることを望むものではないが、本明細書において使用されるような圧縮空気は、かかる特性を有するものとして理解されたい。
【0036】
次いで、駆動段から出るジェット流中の流体が、第2の段の尻窄まり−末広がりノズル132において加速されて、第2の段100Bにわたって空気ジェットを発生させ、次いでこの空気ジェットは、出口ノズル146の入口内に向かう。これと同様に、第2の段のノズル132により発生した空気ジェットの周囲の空間内の空気または他の流体媒体が、ジェット流の中に取り込まれ、出口ノズル146を通してエジェクタカートリッジ100から噴出される。
【0037】
流体が、第1の段100Aおよび第2の段100Bにおいて各ジェット流の中に取り込まれると、第1の段100Aおよび第2の段100Bのそれぞれに関連付けられたそれぞれエジェクタカートリッジ100の本体の周囲に配設された吸気ポート142および144を通して周囲環境からエジェクタカートリッジ100内にさらなる流体媒体を引き込む傾向を有する吸引力が、発生する。上述のように、駆動段100Aは、第2の段100Bよりも高い数値の負圧(すなわちより低い絶対圧)を発生させる。したがって、弁部材135が、第2の段100Bの吸気ポート144を選択的に開閉するために設けられる。弁部材
135は、周囲空間内で発生した負圧が第2の段100Bにおいて発生させられ得る負圧を超過した場合に、吸気ポート144を遮断する。これらのポートを閉じることにより、駆動段100Aによって排気される空気の逆流が防止される。逆流は、この空気が、逆流条件下において吸気ポート144を通して第2の段100Bから、排気させようとする空間に再進入する結果として生ずる。
【0038】
図1Aの実施形態においては、弁部材135は、真空エジェクタカートリッジ100の第2の段100Bの内周全体にわたり延在する単体体として設けられて、第2の段100Bにおいて発生する負圧と周囲空間内の外部真空条件との圧力差にしたがって吸気ポート144を選択的に開閉する。代替形態としては、
図2に示すように、複数の個別のフラップ弁部材または複数の個別の弁フラップ135を有する1つの部材が、それぞれが各吸気ポート144に関連付けられる状態で設けられ得る。
【0039】
図1Bから明らかなように、エジェクタカートリッジ100は、駆動ノズルアレイ110ならびに吸気ポート142および144を除いては、中心軸CLを中心とする回転体を形成する実質的に回転対称の本体として形成される。駆動ノズルアレイ110ならびに吸気ポート142および144を備える部分は、厳密に言えば回転体を形成しないが、これらは、前記回転軸CLを中心とする回転対称で配設され得るため、したがって中心軸CLを中心とする回転体となるべきものにごく軽微な不連続部分を有するに過ぎない。
【0040】
図1Aおよび
図1Bに示すように、エジェクタカートリッジ100は、中心軸CLに対して垂直な、すなわちエジェクタカートリッジ100を通過する空気流の方向に対して垂直な平面内の長さ部分に沿って実質的に円形の断面形状を有する実質的に円筒状のエジェクタカートリッジである。しかし、エジェクタカートリッジ100またはその構成要素が円形断面で形成されることは、必須ではなく、特に様々なノズルは、特定の用途に適する場合に正方形または他の非円形断面で形成され得る点が理解されよう。しかし、実質的な円筒状または管状の形状が、エジェクタカートリッジ100には好ましい。なぜならば、これにより、エジェクタカートリッジ100は、
図1Aおよび
図1Bに示すOリング112aおよび140aなどの適切なシールを使用しつつ、ボア穴または他のエジェクタハウジングモジュール内に最も容易に設置され得るからである。
【0041】
図1Aおよび
図1Bのエジェクタカートリッジ100の特定の構成を参照すると、エジェクタカートリッジは、第2の段のハウジングピース140および駆動段ハウジングピース130から構成される2部分のハウジングにより構成されることが分かる。駆動ノズルアレイ110を画定する駆動ノズルピース112が、駆動段ハウジングピース130の入口端部内に取り付けられる。この実施形態において、弁部材135は、別個の部材として形成され、駆動段ハウジングピース130に対してハウジング内に形成された対応するおよび好ましくは円周方向の溝内に取り付けられることにより、駆動段ハウジングピース130が第2の段のハウジングピース140の入口端部に挿入された場合に、エジェクタカートリッジ100に組み付けられる。
【0042】
また、
図3A〜
図3Cを参照すると、エジェクタカートリッジ100の構成要素がさらに詳細に説明される。
【0043】
第2の段のハウジングピース140は、駆動段ハウジングピース130を受けるように構成された受容構造部145を有する入口部分を備え、さらに、駆動段ハウジングピース130は、駆動ノズルアレイ110を受ける。
図1Aから理解されるように、弁部材135は、受容構造部145に係合し、駆動段ハウジングピース130が第2の段のハウジングピース140の入口端部内に取り付けられた場合に、第2の段のハウジングピース140と駆動段ハウジングピース130との間にシールを形成する役割を果たす。
【0044】
第2の段のハウジングピース140は、エジェクタカートリッジ100の出口ノズルを構成する尻窄まり−末広がりノズル146を画定する。この尻窄まり−末広がりノズル146は、尻窄まり入口セクション147、直線セクション148、および末広がりセクション149を備える。直線セクション148もまた若干末広がり状であることが可能である。また、第2の段のハウジングピース140は、第2の段の吸気ポート144を画定する。この吸気ポート144を通して、周囲空間内の空気または他の流体媒体が第2の段に吸入されて、出口ノズル146を通してエジェクタカートリッジ100から噴出される。
【0045】
出口ノズル146の特別な特徴は、末広がりセクション149が、この例では末広がりセクション149の入口よりもノズル146の出口端部により近い位置にて末広がりセクション149に部分的に沿って形成された直径方向段状拡張部150を備える点である。図示された実施形態において、この拡張部は、出口ノズル146の出口端部の付近に位置する。末広がりノズルセクション149の第1のセクション149aは、直径方向段状拡張部が鋭角部151にて形成される点まで、実質的に一定であり得る広がり角で直線セクション148から延在する。好ましくは、鋭角部151は、ノズル146の末広がりセクション149中のアンダーカット部により画定される。直径方向段状拡張部150において、末広がりセクションの壁部は、鋭角部151を形成するように方向転換し、壁部は、エジェクタカートリッジ100の出口端部に向かって軸方向に延在しつつ末広がりとなる状態から、短距離にわたりエジェクタカートリッジ100の入口端部に向かって軸方向に延在しつつ末広がりとなりつつある状態へと変化し、さらにその後カートリッジ100の出口端部に向かって軸方向に延在しつつ再び末広がり状態に戻る。図に示すような第2の部分149bは、初期部分にてすなわち鋭角部のすぐ下流において円筒状直線壁部形状へと戻って続き、その後カートリッジ100の出口端部の少し手前にて末広がり形状で続いてもよいため、末広がり形状への最終反転は任意である。ノズル146の形状は、その形状がノズル内の流れ条件および圧力条件からさほど急激ではない大気圧中への流れの膨張への変化をもたらす役割を果たす点を留意しつつ、エジェクタの所望の特徴にしたがって選択されることとなる。このようにすることで、カートリッジ100の出口端部の設計は、駆動ノズルにおける圧力条件および流量条件に影響を及ぼすために有利に利用され得る。結果として、当業者は、駆動ノズルの設計においてより高い自由度を得ることとなる。
【0046】
図3Aに示すように、直径方向段状変化は、鋭角部151における段状拡張直前の直径Diと、点151とラジアル方向に一列に並ぶが末広がりセクション149の第2の末広がり部分149b上の点152における段状拡張の直後の直径Doとを比較することにより測定され得る。直径方向段状変化は、ノズル146の末広がりセクション149bにおいて流体流にトリップを加えることによりノズル壁部に沿って乱流出口流を発生させ、それによってノズル146の出口における摩擦を軽減し、それに対応してエジェクタカートリッジ100が所与の圧縮空気源から真空を発生させ得る効率を向上させる役割を果たす。
【0047】
好ましくは、Di対Doの比率は、6対7〜20対21の間であり、最も好ましくは約94対105である。
【0048】
図3Bを参照すると、吸気ポート142が形成された入口セクションを画定する駆動段ハウジングピース130が図示される。この吸気ポート142を通して、空気または他の流体媒体は、エジェクタカートリッジ100の第2の段のノズルおよび出口ノズルを通して噴出されることとなる駆動段内に吸入され得る。駆動段ハウジングピース130は、弁本体135を受けるための環状溝139を備える。一方で、環状溝139は、各吸気開口144について各弁部材135を受けるための一連の個別の溝として設けられ得る。
【0049】
また、駆動段ハウジングピース130は、尻窄まり入口セクション136、直線中間セクション137、および末広がり出口セクション138を有する、尻窄まり−末広がり型の第2の段のノズル132を画定するノズル本体を形成する。第2の段のノズルは、入口131および出口133を画定する。さらに、第2の段のノズルピース130は、駆動段ハウジングピース130の入口端部内に駆動ノズルピース112を取り付けるための、環状溝の形態などの受容構造部134を画定する。このようにすることで、切欠部または同等の係合構造部が、溝134に係合するために駆動ノズルピース112上に設けられてもよく、または環状Oリングシール112bが、駆動ノズルピース112および駆動段ハウジングピース130がこれらの2つの構成要素の各溝内に相互に受けられることによって共に結合されるように設けられてもよい。
【0050】
図3Cを参照すると、駆動段ハウジングピース130の入口端部の環状溝134などの受容構造部との封止された相互連結を形成するための、そのようなOリング112bを備える駆動ノズルピース112が図示される。駆動ノズルピース112は、駆動ノズルアレイ110を備え、この駆動ノズルアレイ110は、複数の駆動ノズル120を備える。駆動ノズルピース112は、各駆動ノズル120から高速空気の各空気ジェットを発生させるために駆動ノズル120に圧縮空気を供給するための圧縮空気供給源が設けられた入口114を備える。駆動ジェットにより生成される流体流およびそれに取り込まれた任意の流体媒体は、一般的にはジェット流または駆動ジェット流と呼ばれ得る。
【0051】
図4は、駆動ノズル120の拡大断面図を示す。この場合では、駆動ノズル120は、各ノズルの軸方向に見た場合に円形断面を有するように形成されるが、同等の流体動的効果を伴う非円形断面もまた可能である。
【0052】
各駆動ノズル120は、
図4に示すように、直線状壁部入口流セクション122および末広がり出口流セクション124を有するように駆動ノズルピース112内に形成され得る。直線状壁部入口流セクションは、尻窄まりも末広がりもせず、入口121にアールが付けられた、丸められた、または面取りされた1つ又は複数のエッジを備える。末広がり出口流セクション124は、その長さ部分に沿って駆動ノズルの出口端部に向かって漸減的な末広がりを呈するように、直線状壁部セクション122の出口端部から延在する。換言すれば、末広がりセクション124は、直線状壁部部分122から延在する位置である出口流セクション124の入口端部にて最も大きく末広がりとなり、そのセクション124の出口端部にて最も小さく末広がりとなっている。また、末広がりセクション124は、末広がり出口流セクション124の出口端部にさらなる直線状壁部セクション126を備えてもよい。駆動ノズル120を通過する空気流の方向に対して垂直な方向において断面で見た場合に、末広がりセクション124は、直線状壁部入口流セクション122の長手方向中心軸上に焦点を有して位置する楕円の一部分の形状を有し、末広がりノズルセクション124の最大末広がり端部から最小末広がり端部まで延在する。
【0053】
直線状壁部セクション126が、駆動ノズル120の出口に設けられる場合には、好ましくは、このセクションは、駆動ノズル全体の全長LNの12%以下の、好ましくは10%以下の長さleを有する。
【0054】
駆動ノズル120の入口121のアールが付けられた、丸められた、または面取りされた1つ又は複数のエッジとは対照的に、駆動ノズル120の出口は、駆動ノズル120が形成されるノズル本体112の端面に対して実質的に90°の鋭角を成す。これは、圧縮空気が駆動ノズル入口121に供給され駆動ノズル120を通して加速される場合に、駆動ノズル120から出る高速空気のコヒーレントジェットを生成するのを補助する役割を果たす。
【0055】
かかる加速は、入口流セクション122の出口における内径diから末広がり出口流セクション124の出口における内径doへの径の拡張をもたらすノズル120の末広がりセクション124において主に実現される。入口流セクション122の出口端部の内径diとノズル120の出口の内径doとの比率は、エジェクタの所望の特徴にしたがって選択されることになる。エジェクタが、「高流量」と一般的に呼ばれるものに向けて設計される場合には、doは、diに対してより小さくなり、例えばdo≒1.3・diとなる。エジェクタが、「高真空」と一般的に呼ばれるものに向けて設計される場合には、doは、diに対してより大きくなり、例えばdo≒2・diとなる。したがって、入口流セクション122の出口端部の内径diとノズル120の出口の内径doとの間の典型的な範囲は、1対1.2〜1対2.2の間となる(1/1.2≦di/do≦1/2.2)。
【0056】
直線状壁部セクション126が存在するか否かに関わらず、および末広がり出口流セクション124について選択される軸方向長さに関わらず、直線状壁部入口流セクション122の軸方向長さは、好ましくは入口流セクション122の出口端部における内径diの約5倍となり得る。好ましくは、末広がり出口流セクション124の軸方向長さは、それ自体においてかまたは直線状壁部セクション126が設けられる場合にはそれを含む状態のいずれかにおいて、直線状壁部入口流セクション122について選択された軸方向長さとは無関係に、ノズル120の出口の内径doの少なくとも2倍であり得る。代替的には、直線状壁部入口流セクション122の軸方向長さは、入口流セクション122の出口端部の内径diの約5倍であり、直線状壁部セクション126を含む末広がり出口流セクション124の軸方向長さは、ノズル120の出口の内径doの少なくとも2倍であり得る。
【0057】
図1A、
図2、および
図3Cに示すように、駆動ノズル120は、相互に実質的に平行に整列するように、すなわち各ノズル120の長手方向中心軸がエジェクタカートリッジ100の中心軸CLと平行に軸方向に整列されるように、駆動ノズルアレイ110内に設けられる。当然ながら、駆動ノズルアレイ110内の駆動ノズル120は、ノズルアレイ110から第2の段のノズル132の入口131に向かって発射される共形ジェット流の形状を調整するために、若干の末広がりまたは尻窄まりを同様に伴ってもよく、若干の尻窄まりは、若干の末広がりよりも好ましい。
【0058】
同様に、これらの図は、2×2行列に配置された4つの駆動ノズルから構成されるノズルアレイ110を示すが、これは、本発明に対するいかなる限定でもなく、本発明は、駆動ノズルアレイ110内に適切なグループで配置された、具体的には2つ、3つ、4つ、5つ、または6つの駆動ノズルなど、任意の個数の駆動ノズル120を備えてもよい。例えば、3つのノズルが、三角形の点に配置されてもよく、4つのノズルが、図示するように正方形の角に配置されてもよく、5つのノズルが、五角形角にまたは正方形の中心に1つと正方形の各角に配置されてもよく、6つのノズルが、六角形の角を含め様々にグループ化されてもよい。
【0059】
また、当然ながら、さらに多数の駆動ノズル120が、目的に応じて駆動ノズルアレイ110に対して可能であり予期される。また、例えば中心ノズルが複数の周囲ノズルを有するグループなどにおいて、中心ノズルが、各周囲ノズルよりも低い体積流量を有する高速空気ジェットをもたらすように構成され得るなど、各駆動ノズルの設計が、共形駆動ジェット流を制御するために変更され得ることが予期される。
【0061】
エジェクタ200は、エジェクタ100と構成および動作において同様であり、上述のエジェクタ100の特徴、構成要素、動作、および使用は、さらなる特徴または変更が具体的に説明される場合を除けば、エジェクタ200にも同様に当てはまる。また、エジェクタカートリッジ200は、第1の駆動段200Aおよび第2の段200Bを備える。
【0062】
図5Bは、エジェクタ200の出口端部に対面する軸方向端面図であり、第2の段のノズル232および出口ノズル246により画定される軸方向通路内におよびそれに沿って対面するようなグループに配置された駆動ノズル220の出口を明確に示す。
図5Aは、エジェクタカートリッジ200が回転体を実質的に形成するその中心軸CLを含む
図5Bの断面A−Aを示す。また、エジェクタカートリッジ200の本体は、吸気ポート242および244ならびに出口ノズルの末広がりセクションを除いては、実質的に円筒状である。
【0063】
エジェクタカートリッジ200の構造は、エジェクタカートリッジ200が駆動段200Aおよび第2の段200Bの両方を構成する単一のハウジングピース240を有するように形成されるという主要な例外点を除けば、エジェクタカートリッジ100の構造と実質的に同一である。第2の段のノズルは、別個の第2の段のノズルピース230として形成され、これは、駆動ノズル212をハウジングピース240の入口端部に挿入する前に、ハウジング240の入口端部からハウジング240に挿入されるように構成される。
【0064】
第2の段のノズル本体230は、ハウジング240の第2の段200B部分に単純に圧入されるが、駆動ノズルピース212は、ハウジングピース240の入口に受容構造部として設けられた環状溝234内に係合するように構成された相互係合環状リッジ212bを備えることが明らかであろう。
【0065】
図6および
図7Cにおいてより明確に示すように、駆動ノズルピース212は、ロッドまたはポスト216を備え、これらのロッドまたはポスト216は、駆動ノズルピース212のラジアル方向外方フランジセクションから前方に延在し、第2の段のノズルピース230の後方側に当接係合して、エジェクタハウジング240内で軸方向に定位置に第2の段のノズルピース230を保持する。これらのポストまたはロッド216は、エジェクタハウジングピース240内で第2の段のノズルピース230を定位置に固定すると共に、さらにエジェクタノズルアレイ210のエジェクタノズル220の出口と第2の段の尻窄まり−末広がりノズル232への入口231との間に所望の間隔を維持する役割を果たす。
【0066】
また、エジェクタカートリッジ200は、エジェクタカートリッジ100と同様に動作するように構成され、圧縮空気は、エジェクタカートリッジ200の入口にて駆動ノズルアレイ210の入口214に供給され、駆動ノズルアレイ210の駆動ノズル220を通して加速されて、第2の段のノズル232の入口231内に共に共通して向かう各駆動空気ジェットとして出現する点が理解されよう。また、駆動空気ジェットのこのアレイは、周囲空間内の流体を駆動ジェット流の中に取り込むことにより、第1の駆動段200Aのハウジング240に形成された吸気ポート242を通して周囲流体を引き込むことになる吸引力を生成する。次いで、圧縮空気および同伴流体媒体が、第2の段のノズル232内で加速されて、第2の段の空気ジェットとして出現し、これは、次いで出口ノズル246内に向かう。出口ノズル246は、尻窄まり−末広がりノズルとしてハウジングピース240によりやはり画定される。前述同様に、第2の段200Bを通過する高速空気ジェットは、第2の段の空気ジェットの周囲の空間内の空気または他の流体媒体を第2の段のジェット流の中に取り込まれ、それを出口ノズル246を通してエジェクタ200から噴出する。これが、吸気ポート244にて吸引力を生成し、それにより任意の周囲空間から流体媒体を引き込む。弁部材235が、第2の段200Bおよび周囲空間内の相対負圧レベルに関わらず、第2の段の吸気ポート244を選択的に開閉するためにやはり設けられる。この実施形態においては、弁部材235は、第2の段のノズルピースの一体構成要素として形成され、第2の段のノズルピースは、この弁部材235と共に一体成形体を形成する。弁部材235は、第2の段200B内の圧力が周囲空間内の圧力未満である場合に開き、周囲空間内の圧力が第2の段200B内の圧力未満に低下すると閉じる。
【0067】
また、
図6から理解されるように、駆動ノズル220は、全ての駆動ノズル220からの空気ジェットが第2の段のノズル232の入口231内に向かうのを可能にするグループで配置される。これは、
図6において駆動ノズルグループにより概略的に示され、このグループは、第2の段のノズル232の内径に対応する2つの隣接し合う大円のそれぞれの内部の2×2行列で配置された小円として示される。
図6の左手のグループは、
図6に示すような駆動ノズル220の配列に対応するが、右手のグループは、ノズルが、そのグループが45°の角度にわたり回転された場合でも第2の段のノズル232の外周部の範囲内にどのように留まるかを示す。このようにすることで、駆動ノズルアレイ210の複数のノズルが、第2の段のノズル232の共通入口231内に各駆動ジェットをどのように向かわせることができるかが分かる。上記のように、
図6の第2の段のノズルの中間チャネルに描かれた駆動ノズルグループを含む2つの隣接し合う円は、第2の段のノズル132に部分的に沿った構造的特徴を表すものではなく、中心軸CLに沿ったこれらの構成要素の相対配列を図示するために作成された、第2の段のノズルの断面に対する可能な駆動ノズルアレイグループの投影図である。
【0068】
図7Aを参照すると、駆動ノズルピース212を受けるための環状溝の形態の受容構造部234を有する入口端部を有するハウジングピース240が示される。第1の駆動段吸気ポート242および第2の段の吸気ポート244もまた図示され、これらは、それらを除けば実質的に円筒状であるハウジングピース240の本体に開口として設けられる。ハウジングピース240は、その遠位端部に、尻窄まり入口セクション247、直線状壁部セクション248、および末広がり出口セクション249を備えるエジェクタカートリッジ200の尻窄まり−末広がり出口ノズル246を画定する。
図1、
図2、および
図3Aの実施形態と同様に、出口ノズル246の末広がり部分249は、出口端部付近に直径方向段状拡張部250を備え、それにより末広がりセクション249は、それぞれ第1の末広がりセクション249aと第2の末広がりセクション249bとに区分される。直径方向段状拡張部250には、アンダーカット部が形成され、その位置にて、末広がりセクション249の壁部は、出口ノズル246を通過する空気流の方向に対して垂直な方向の断面で見た場合に、エジェクタカートリッジ200の出口に向かって軸方向に延在しつつ末広がりとなる状態から、エジェクタカートリッジ200の入口に向かって軸方向に延在しつつ末広がりとなる状態へと反転し、さらにその後エジェクタカートリッジ200の出口端部に向かって軸方向に延在しつつ再び末広がり状態に戻る。末広がりセクション249の壁部のこの方向転換により、段状拡張部250に鋭角部251が形成される。この直径方向段状拡張部は、上述のエジェクタカートリッジ100に関する出口ノズル146の出口セクション149に対する直径方向段状拡張部150と同一の寸法関係を有してもよい。
【0069】
また、末広がりセクション249が、2つ以上の直径方向段状拡張部を備えることも可能である。
図9を参照すると、エジェクタハウジングピース270が示されるが、これは、エジェクタハウジングピース240の代替形態に相当し、エジェクタカートリッジ200のエジェクタハウジングピース240の代わりに使用され得る。エジェクタハウジングピース240と同様に、エジェクタハウジングピース270は、エジェクタノズルピース212を受けるための入口端部の受容構造部234と、吸気ポート242および244と、第2の段のノズルピース230を受けるための吸気ポート間の受容構造部245とを備える。また、エジェクタハウジングピース270は、その出口端部に尻窄まり−末広がりノズル246を画定して、エジェクタカートリッジ200に出口ノズル246を与える。この出口ノズル246は、尻窄まり入口セクション247、直線状壁部中間セクション248、および末広がり出口セクション249を備える。しかし、この例においては、末広がり出口セクション249は、第1の末広がりセクション249a、第2の末広がりセクション249b、および第3の末広がりセクション249cに区分される。直径方向段状拡張部250および255が、末広がりセクション249の長さ部分に沿って2つの位置に設けられて、それにより末広がりセクションは、第1の末広がりセクション249a、第2の末広がりセクション249b、および第3の末広がりセクション249cに区分される。直径方向段状拡張部250は、
図7Aにおけるのと同様に末広がりセクション249の出口端部付近に形成される。直径方向中間段状拡張部255が、さらに設けられ、出口ノズル246の末広がりセクション249の壁部中のアンダーカット部によってやはり形成される。アンダーカット部は、第1のセクション249aの端部の段状拡張部の位置に鋭角部256を形成し、この位置にて、ノズル壁部は、ノズルを通過する空気流の方向に対して垂直な方向の断面で見た場合に、ノズルの出口に向かって軸方向に延在しつつ末広がりとなる状態から、ノズルの入口に向かって軸方向に延在しつつ末広がりとなる状態へと反転し、さらにその後ノズルの出口に向かって軸方向に延在しつつ再び末広がり状態に戻る。
【0070】
末広がりセクション249の出口ノズル246の末広がり壁部の角度は、3つの全てのセクション249a、249b、および249cにおいて実質的に同一であるが、さらに大きいまたは小さい広がり角がノズルの出口端部に対して使用され得る点が理解されよう。また、出口ノズル246の末広がりセクション249における直径方向段状拡張部250、255の目的は、空気流にトリップを加えることにより乱流空気流をもたらして、出口ノズル246を通過する空気が被るノズル壁部における摩擦を軽減し、それにより全体としてのエジェクタカートリッジ200を通過する空気流に対する抵抗に影響を及ぼすことである。
【0071】
図9に示すように、中間段状拡張部255は、ノズル246の出口端部付近に設けられた段状拡張部250と同様の直径方向増分をもたらすような設計ではない。したがって、鋭角部256と、鋭角部256とラジアル方向に一列に並ぶが第2の末広がりセクション249bに位置するノズル246の内方壁部上の点257との間の直径方向増分は、第2の直径方向段状拡張部250の鋭角部251と、第3の末広がりノズルセクション249cの壁部上の鋭角部251とラジアル方向に一列に並ぶ点252との間の直径方向段差よりも小さい。
【0072】
図7Aを参照すると、エジェクタハウジングピース240は、第2の段のノズルピース230を受けるためのショルダの形態の受容構造部245をさらに備えることが分かる。
図7Bに示すように、第2の段のノズルピース230は、ノズルピース240の受容構造部245に形成された対応するショルダと当接するラジアル方向外方フランジをその入口端部に備える。
【0073】
図7Bに示す第2の段のノズルピース230は、尻窄まり入口セクション236、直線状壁部中間セクション237、および末広がり出口セクション238を備える尻窄まり−末広がり型の第2の段のノズル232をさらに画定する。この第2の段のノズル232は、第2の段のノズル232の入口231と出口233との間に延在する。
図7Bの第2の段のノズルピース230においては、弁部材235は、ノズルピース230と一体的に形成されて、エジェクタカートリッジ200のエジェクタハウジングピース240または270の第2の段の吸気ポート244の選択的な開閉を可能にする。弁部材235の可撓性を助長するために、開口260が、弁部材235のベース付近に設けられてもよく、それにより吸気ポート244に対して弁部材235をより容易に開閉可能にしてもよい。
【0074】
図7Bは、一方の図において、ノズルピース230を通過する空気流の方向に対して垂直な方向におけるノズルピース230の断面図を示し、さらにノズルピース232の出口端部233から見た場合の軸方向端面図において、ノズルピース230を示す。この後者の図においては、複数の歯262がさらに示され、これらは、第2の段のノズル本体230の外部上に弁部材235のベース付近に形成される。歯262は、エジェクタハウジングピース240または270の係合構造部245に設けられ得る対応する歯に係合するように配置される。これらの歯は、エジェクタカートリッジ200のエジェクタハウジングピース240または270に対する第2の段のノズル本体230の回転整列を容易化するために設けられる。かかる整列は、特にエジェクタカートリッジ200が回転対称形状である場合には、しばしば必要とはされない。しかし、いくつかの実施形態においては、エジェクタハウジングピース240または270は、エジェクタハウジングの外周部に沿って均等には分布しない第2の段の吸気ポート244を備えてもよく、または、第2の段のノズルピース230は、各吸気ポート244に対応する個別の弁部材235を備えてもよく、その場合には、弁部材235と弁部材235により選択的に開閉されることとなる各吸気ポート244との間の整列が必要となる。
【0075】
第1の駆動段200Aと第2の段200Bとの間の第2の段のノズルピース230の周囲における空気漏れを防止するためにシール部材が設けられない点が理解されよう。これは、第2の段のノズルピース230が、エジェクタハウジングピース240または270の内方寸法に順応することによりそれとの間に気密シールを形成する比較的軟質および従順なゴムまたはプラスチックから作製されるように意図される点に応じたものである。これは、第2の段のノズルピース230を軸方向において定位置に保持する駆動ノズルピース212上に設けられたポストまたはロッド216と協働することにより、第2の段のノズルピース230の入口端部の周囲にしっかりしたシールをもたらす。
【0076】
図7Cを参照すると、駆動ノズルピース212が、駆動ノズルピース212を通過する空気流の方向に対して垂直な方向に見た断面図において、および駆動ノズル220の出口端部から見た軸方向図においてやはり示される。駆動ノズルピース212は、圧縮空気供給源から圧縮空気を受けるための、および駆動ノズルアレイ210の複数の駆動ノズル220に圧縮空気を供給するための入口214を有する。駆動ノズルアレイ210の駆動ノズル220は、
図4に示す駆動ノズル120と同様に形成され得る。
【0077】
駆動ノズルピース212は、環状リッジ212b(または駆動ノズルピース212の外周部周囲にリング状に配置された一連の突出部)を有して形成され、この環状リッジ212bは、エジェクタハウジングピース240または270の入口端部の受容構造部の環状溝234に係合してエジェクタカートリッジ200のハウジングピース240内に駆動ノズルピース212を固定するようにサイズ設定される。環状リッジ212bの代わりに、駆動ノズルピース212は、環状溝を備えることが可能であり、エラストマーOリングが、駆動ノズルピースの溝内に設けられて、駆動ノズルピース212が嵌入した場合にエジェクタハウジングピース240または270の溝234に係合することにより、2つのピースを共に固定することが可能である点が理解されよう。また、エジェクタカートリッジ200と、排気させようとする外部空間との間の必要な封止が、エラストマーシール212aの使用により得られる(以下でさらに論じることになる
図12を参照して理解され得るように)ことにより、受容構造部234に気密シールを設けることが不要である点が理解されよう。一方で、リッジ212bが、溝として形成され、リッジが、駆動ノズルピース212の溝内に受けられるように、エジェクタハウジングピース240または270の受容構造部234の溝の代わりに設けられてもよい。
【0078】
エジェクタハウジングピース240または270の入口端部内への駆動ノズルピース212のしっかりしたスナップ嵌めにより、第2の段のノズルピース230が定位置にさらに固定される。なぜならば、駆動ノズルピース212から前方軸方向に延在するロッドまたはポスト216が、第2の段のノズルピース230の裏側表面に対して押し付けられることにより、エジェクタハウジングピース240または270の受容構造部245に設けられたショルダに対してロッドまたはポスト216を固定するように配置されるからである。したがって、第2の段のノズルピース230は、軸方向において定位置に固定され、また駆動ノズルアレイ210から所望の軸方向距離だけ離間される。ロッドまたはポスト216の使用は、必要な構造安定性をもたらすことに加えて、エジェクタカートリッジ200の周囲の空気または他の流体媒体が吸気ポート242を通り駆動段200A内へと妨げられることなく流れるのを可能にする点が容易に理解されよう。
【0079】
図
8を参照すると、第2の段のノズルピース230および駆動ノズルピース212が、エジェクタハウジングピース240内にどのように取り付けられ、駆動ノズル220により発生すると共に第2の段のノズル232および出口ノズル246を通って連続的に向かう高速空気の軸方向流をもたらすようにどのように配置されるかの詳細を示した、エジェクタカートリッジ200の断面斜視図が示される。また、
図9は、吸気ポート242および244を通過する空気流が、第1の駆動段200Aおよび第2の段200Bのそれぞれの駆動ノズル220および第2の段のノズル232により生成された空気ジェットにより生成されるジェット流の中にどのように取り込まれ得るかを示す。
【0080】
図10を参照すると、この図は、単一の駆動ノズルにより発生し並列関係にある第2の段のノズルおよび出口ノズルを通過する軸方向連続流へと膨張し得る単一の駆動ジェット流と、各駆動ノズルアレイ110、210に4つの駆動ノズル120、220を有するエジェクタカートリッジ100および200により発生し得るような複数の駆動ジェット流との比較を示す。この代表的な図から理解されるように、複数の駆動ジェット流の例についての第2の段のノズルおよび出口ノズルを通過する流体流の発達は、従来のエジェクタの単一の駆動ジェット流の例の場合と実質的に同一である。
【0081】
そうであるが、複数駆動ノズル構成により、エジェクタカートリッジは、本願の
図14および
図15に示す構成の単一駆動ノズル多段エジェクタの場合よりも、発生する負圧およびエジェクタカートリッジを通過する体積流量に関して優れた性能を発揮することが可能となる点が判明した。換言すれば、
図14および
図15の設計の多段エジェクタと同一性能を実現するために、複数の駆動ノズルを有する本発明による多段エジェクタは、より少量の圧縮空気を使用して同一の性能を発揮し得るため、より高い効率レベルをもたらす。加えて、同等の性能のエジェクタに関して、駆動ノズルアレイに複数の駆動ノズルを有する本発明のエジェクタは、
図14および
図15に示す設計のエジェクタよりも短尺であり、より小さな設置面積を有する。特に、両エジェクタ設計は、同一の性能レベルに関して実質的に均等な径を有し得るが、
図14および
図15のエジェクタカートリッジは、上述した実施形態100および200により例示されるような本発明のエジェクタカートリッジが2段構成だけで達成し得るのと同一の性能レベルを実現するために、3段構成を必要とする。したがって、同等性能について、本発明によるエジェクタカートリッジは、先行技術のエジェクタカートリッジに比べてより小さなサイズでおよび設置面積を削減して作製され得る。
【0082】
エジェクタカートリッジ100および200の上記の実施形態を参照すると、第2の段のノズルピース130、230および駆動ノズルピース112、212は、対応する受容構造部内に受けられ得るが、添付の図面に示すようにそれらが圧入構成またはスナップ嵌め構成によってだけでなく、任意の代替的な対合もしくは螺合の形態によりまたはさらには接着、溶接、もしくは他の方法による定位置への固定によっても同様にそれらが嵌められる対応する受容構造部内に受けられ得る点が理解されよう。
【0083】
エジェクタカートリッジ100および200の構成要素の製造に関して、エジェクタカートリッジハウジングピース130、140、240、または270および駆動ノズルピース112、212は、当業者には既知であるように適切なプラスチック材料を使用してワンショット成形プロセスにより形成されることが好ましい。
【0084】
単体型の一体的に成形された第2の段のノズルピース230の場合には、材料は、弁部材235による吸気ポート244の開閉を可能にするのに必要な可撓性をもたらす一方で、同時に所望の流れ発達が尻窄まり−末広がりノズル232を通して発生するのに十分な構造剛性を有さなければならない。そのため、好ましくは、第2の段のノズルピース230は、プラスチックまたはゴムのいずれかである、および好ましくはBASFよりElastollan(登録商標)S−seriesの商標名で市販される熱可塑性ポリウレタンエラストマー(TPE(U))などの適切な熱可塑性エラストマー配合物から、ExxonMobil Chemical Europeより市販されるようなSantoprene(商標)TPV 8281−65MEDなどの軟質熱可塑性加硫物(TPV)から、NBRから、または他の適切な材料から作製された、比較的従順な材料から形成される。通常のフッ素ゴムまたはFPMゴムが、別の適切な材料である。
【0085】
第2の段のエジェクタピース230を成形するために使用されることとなる具体的な材料は、実際にはエジェクタカートリッジ200の用途により決定される。具体的には、殆どの用途についてはTPE(U)を使用することが、しかし耐化学性が重要である場合にはE. I. du Pont de Nemours and Companyから市販されるような標準タイプのViton(登録商標)A、BまたはFを使用することが予期される。
【0086】
駆動ノズル120および220は、ノズルピース112、212が形成される成形プロセス時に駆動ノズルピース112、212内に形成され得ることが予期される。一方で、駆動ノズル120および220は、十分な寸法精度が駆動ノズルピース112、212の成形時に可能でない場合には、穿孔などにより既に成形済みのノズルピース112、212中に形成されてもよい。第2の段のノズル132、232および出口ノズル146、246に関しては、これらは、後の製造ステップを必要とせずに、各構成要素130、230、140、240が形成される成形プロセスの一部として形成されることが予期される。
【0087】
次に
図11A〜
図11Cを参照すると、真空ポンプまたは同様の物において使用するためにエジェクタカートリッジ100(均等なものとしてエジェクタカートリッジ200)がハウジングモジュール1000内にどのように取り付けられ得るかの一例を示す。
【0088】
図11Bは、ハウジングモジュール1000内に形成された内部ボア1012、1040、1060内に取り付けられたエジェクタ100を示す。Oリングシール112aおよび140bが、それぞれ駆動ノズルピース112とハウジングモジュール1000の入口ボア1012との間におよび第2の段のエジェクタハウジングピース140の外部とハウジングモジュール中に画定されたボアの内部との間にシールを形成することにより、ボアを中間真空チャンバ1040と出口チャンバ1060とに隔てる。ハウジングモジュール1000は、エジェクタカートリッジ100に圧縮空気供給源を与えるために圧縮空気源が連結される入口チャンバ1020を備える。入口ボア1012は、入口チャンバ1020内に連結され、それにより圧縮空気は駆動ノズルピース112の入口114に供給される。動作時には、圧縮空気は、エジェクタ100を通過する高速ジェット流の流れを形成し、これは、エジェクタ100の駆動段および第2の段のそれぞれの吸気ポート142および144にて吸引力を生成し、その後、圧縮空気および周囲空間からの任意の同伴流体が、出口ノズル146を通り出口チャンバ1060内に噴出される。マフラまたは代替的な停止部材1100が、ハウジングモジュールボアの開口内に設けられることにより、出口チャンバ1060を遮断してエジェクタ100から噴出される流体を収容し、エジェクタ100の出口ノズル146から出るこの空気の高速ジェット流により引き起こされる騒音を抑制する。停止部材1100は、ハウジングモジュール1000のボア内に軸方向において定位置にエジェクタカートリッジ100を固定するように配置されたアームまたはロッド1110を備える。停止部材1100は、エラストマーOリング1100aなどの適切なシール部材を使用して定位置に固定されてもよく、またはハウジングモジュール1000のボアを遮断するために封止的に定位置に螺合、固定、溶接、もしくは接着されてもよい。
【0089】
エジェクタ100から噴出される空気は、エジェクタ100から出る際に大気へと放出される代わりに、ハウジングモジュール1000のベースに形成された出口ポート1046を通りハウジングモジュール1000から送出される。このようにすることで、圧縮空気は、入口ポート1014を通してハウジングモジュール内に供給され、圧縮空気および周囲空間から排気された任意の同伴流体は、出口ポート1046を通してハウジングモジュール1000から放出される。ハウジングモジュール1000は、吸気ポート1042および1044をさらに備え、これらのポートは、エジェクタ100の第1の段の吸気ポート142および第2の段の吸気ポート144を囲む真空チャンバ1040内の空間を、排気させようとする空間に連結するように構成される。排気させようとする空間は、例えば1つまたは複数の吸引カップもしくは他の吸引デバイス、または任意の他の真空被動機械などを備えてもよい。
【0090】
図11Bに示す例においては、ハウジングモジュール1000は、そのベース表面に沿って真空被動デバイスの連結プレート1200に対して連結され、連結プレート1200は、ハウジングモジュール1000のベースに形成されたポート1014、1042、1044、および1046に対応するポート1214、1242、1244、および1246を備える。Oリング1014a、1042a、1044a、および1046aなどのエラストマーシールが、ハウジングモジュール1000の対応するポートとコネクタプレート1200のポート1214、1242、1244、および1246との間に設けられる。コネクタプレート1200のポート1214は、入口ポート1014を通してハウジングモジュール1000の入口チャンバ1020内に圧縮空気を供給するために圧縮空気供給源に連結される。同様に、ハウジングモジュール1000の出口1046を通り放出される空気は、コネクタプレート1200の出口通路1246を通して運び去られる。同様に、コネクタプレート1200のポート1242および1244は、エジェクタ100により発生した真空を、排気させようとする空間に連結し、排気させようとする空間内の空気または他の流体媒体は、コネクタプレート1200のポート1242、1244を通り、ハウジングモジュール1000の吸気入口1042および1044を通り、エジェクタカートリッジ100の第1の段100Aおよび第2の段100Bを囲むボア内に形成された真空チャンバ1040内へと引き込まれる。
【0091】
真空発生の初期段階では、大きな差圧が、エジェクタカートリッジ100の第2の段100B間に存在し、弁部材135は、開くことにより、流体媒体が吸気入口144を通り第2の段のジェット流の中に取り込まれ、さらに同時に吸気ポート142を通り駆動セクション100Aの中に取り込まれる。しかし、排気させようとする空間内の真空が上昇することによってより高い負圧(すなわちより低い絶対圧)が発生すると、弁部材135間の圧力差は、これらの弁部材が閉じるまで低下し、弁部材が閉じる時点では、駆動段100Aのみが、吸気ポート142を通してチャンバ1040に対して吸引力を与え、次いでこれにより、ハウジングモジュールの吸気ポート1042および1044を通して連結プレート1200のポート1242、1244に対して吸引力が与えられる。
【0092】
このようにハウジングモジュール内にエジェクタカートリッジを取り付けることにより、エジェクタカートリッジ100により発生する真空は、連結プレート1200を介して所望に応じて関連付けられる連結された真空被動装置へと選択的にかけられ得る。
【0093】
図11Aは、ハウジングモジュール100の入口ポート1014、吸気ポート1042、1044、および出口ポート1046の配置を示す。ハウジングモジュール1000における入口ポート、出口ポート、および吸気ポートの位置は、エジェクタカートリッジ100の入口114、吸気ポート142、144、およびエジェクタ出口ノズル146の位置に必ずしも対応せず、代わりにハウジングモジュール1000が装着されることとなるコネクタプレート1200の入口ポート1214、吸気ポート1242、1244、および出口ポート1246の位置に必ず対応する点が理解されよう。しかし、吸気ポート142、144が、エジェクタカートリッジ100の第1の段100Aおよび第2の段100Bを囲む真空チャンバ1040全体を排気するように配置されるため、エラストマーOリング140bがハウジングモジュールのボアを封止することにより真空チャンバ1040および出口チャンバ1060を形成し得る適切な位置が、ハウジングモジュール1000のボア内に存在する場合には、エジェクタカートリッジ100の吸気ポート142、144とハウジングモジュール1000の吸気ポート1042、1044とを整列させることは必要ではない。
【0094】
図11Cを参照すると、ハウジングモジュール1000に設けられたねじボア1050などのボアを使用して1つまたは複数のモジュール式ハウジングユニットを共に相互連結するためのコネクタの構成が図示される。各ねじボア1050は、上方端部にて開口するボアを囲む凹部エリア1055を備え、それによりねじまたはボルトなどの連結部材は、ハウジングモジュール1000の上方表面に対して引き込まされ得る。また、かかるコネクタ穴は、適宜コネクタプレート1200にハウジングモジュール1000を装着するために使用され得る。
【0095】
かかるモジュール式ハウジング構成についての1つの使用が、
図12に示され、エジェクタ100が、専ら例としてハウジングモジュール1000内のエジェクタカートリッジ200により置き換えられている。しかし、この例では、ハウジングモジュール1000は、コネクタプレート1200に直接的には連結されず、代わりにブースタエジェクタ300を収容するブースタモジュール2000上に連結され、ブースタモジュール2000は、次いでコネクタプレート1200に連結される。この例では、コネクタプレート1200は、入口ポート1214、単一の吸気ポート1242、および出口ポート1246を備える。
【0096】
あるいは、ハウジングモジュール1000は、吸気ポート1042が弁部材1350を備え、これによりハウジングモジュール1000の真空チャンバ1040とブースタエジェクタ300のブースタ段との間で吸気ポート1042の選択的な開閉が可能となるという例外を除けば、
図11に関して説明されたようなものである。
【0097】
ブースタモジュール2000は、コネクタプレート1200の入口ポート1214から対応する入口ポート2014を通して圧縮空気を受けるための入口チャンバ2020を備える。ブースタモジュール2000の入口チャンバ2020は、ブースタエジェクタ300が取り付けられるブースタモジュール2000の入口ボア2012に連結され、それによりブースタエジェクタ300の入口に圧縮空気を供給する。ブースタエジェクタ300が取り付けられるこのボアは、例えば入口チャンバ2020に隣接する側からブースタモジュール2000に穿孔することなどにより形成されてもよく、そのため、停止部材2100が、ボア穴開口を封止するために設けられる。また、入口チャンバ2020は、出口ポート
1015を形成し、これは、ハウジングモジュール1000の入口ポート1014に入口チャンバ2020を連結してそれと同時にエジェクタカートリッジ200の入口に圧縮空気を供給する。
【0098】
ブースタモジュール2000は、真空チャンバ2030からコネクタプレート1200の吸気ポート1242への吸引力を印加するための吸気ポート2042を備える。真空チャンバ2030は、同様にブースタモジュール2000のポート2033およびハウジングモジュール1000の吸気ポート1042を介してハウジングモジュールの真空チャンバ1040に連結される。このようにすることで、エジェクタカートリッジ200により発生する真空は、排気させようとする空気または他の流体媒体を、連結プレート1200の吸気ポート1242を通し、吸気ポート2042を通し、真空チャンバ2030を通し、ポート2033および1042を通し、真空チャンバ1040を通して、エジェクタカートリッジ200の吸気ポート242および244内に引き込むことにより、排気させようとする空間にかけられ得る。実際には、これは、エジェクタカートリッジ200が、ブースタカートリッジ300よりも実質的に多量の空気を駆動段200Aおよび第2の段200Bの中に取り込むことができるため、
図12に示すエジェクタ構成に圧縮空気を供給する初期段階で行われる。しかし、排気させようとする空間内で生成された真空が、エジェクタ200が発生し得る最高負圧値(すなわち最低絶対圧)未満に低下すると、弁1350は、閉じることによりエジェクタ200を囲む排気チャンバ1040からブースタエジェクタ300を囲むチャンバ2030内への空気の逆流を防止する。
【0099】
ブースタエジェクタ300は、高体積(低絶対圧)が得られるブースタ段を共に形成する駆動ノズル320および出口ノズル346である一対のノズルを備える。具体的には、駆動ノズル320は、尻窄まり−末広がりノズル346の入口内に高速空気ジェットを向かわせることにより、空気ジェットの周囲の空間内の空気または他の流体媒体をブースタジェット流の中に取り込み、それにより排気対象のチャンバ2030に連結された吸気ポート342にて真空を生成し、チャンバ2030は、次いでコネクタプレート1200の吸気ポート1242に対して封止されたブースタモジュールの吸気ポート2042に連結されて、排気させようとする連結された空間を排気する。
【0100】
ブースタ駆動ノズル320は、上述のように駆動ノズル120および220と同様の構成を有してもよいが、尻窄まりセクション347、直線状壁部中間セクション348、および末広がり出口セクション349から形成される尻窄まり−末広がりノズル346との組合せにおいて高真空レベル(低絶対圧)を達成するように特に設計される。ブースタエジェクタ300の出口からノズル346により放出される流体は、ブースタモジュール2000内のチャンバ2040内に吐出され、チャンバ2040は、次いで出口ポート2045を介してハウジングモジュール1000の吸気ポート2044に連結される。このようにすることで、ブースタエジェクタ300を通して噴出される空気は、吸気ポート242および/または244を経由してエジェクタカートリッジ200のジェット流の中に実質的に取り込まれ、次いでエジェクタカートリッジ200から噴出チャンバ1060内へと噴出され、出口ポート1046およびブースタモジュールの関連付けられるポート2047を通り、ブースタモジュール2000の出口通路2060を通り、ブースタモジュールの出口ポート2046を通り、コネクタプレート1200の出口ポート2046を通り出る。
【0101】
理解されるように、ブースタ駆動ノズル320は、ブースタモジュール2000に設けられたボア2012内に圧入または他の方法で固定されるノズル本体312の一部として形成される。ブースタ出口ノズル346は、同様にブースタ出口ノズルピース340の一部として形成され、これもまた、出口チャンバ2040を画定するブースタモジュール2000に形成されたボア内に圧入または他の方法で固定される。Oリング340aおよび312aなどの各エラストマーシールは、ブースタエジェクタ300の各端部を封止することにより、ブースタエジェクタ300によって排気させようとする排気チャンバ2030を画定する。
図12に示すように、Oリング1014a、1042a、1044a、1046a、2014a、2042a、および2046aなどのエラストマーシールは、ハウジングモジュール1000およびブースタモジュール2000の各入口ポートおよび出口ポートに設けられて、隣接し合うポートと連結されたチャンバとの間に気密シールを形成する。
【0102】
図12に示す構成により、エジェクタカートリッジ200は、短時間で高レベルの真空を実現することが可能であり、これは、ハウジングモジュール1000およびブースタモジュール2000がコネクタプレート1200のポート1242を介して連結される、排気させようとする空間に印加される負圧をさらに増大させる(すなわち絶対圧をさらに低下させる)ために、ブースタカートリッジ300により補助される。
【0103】
また、エジェクタカートリッジ200により吸気ポート1044に与えられる吸引力は、ブースタエジェクタ300の出口にて出口チャンバ2040内の圧力を低下させて、入口チャンバ2020と出口チャンバ2040との間のブースタエジェクタ300間の圧力差を上昇させる点に、留意されたい。次いで、これは、ブースタエジェクタ300が達成し得る真空レベルのさらなる上昇(すなわち絶対圧のさらなる低下)を実現するために使用され得る。