(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記デューティ比特性は、前記所定輝度を基準として、前記所定輝度以下の第3領域と、前記所定輝度よりも高い第4領域とに分けられ、前記第3領域における前記光源の輝度に対する前記駆動信号のデューティ比の変化率は、前記第4領域における前記光源の輝度に対する前記駆動信号のデューティ比の変化率よりも小さい、
請求項1から6の何れか1項に記載の表示装置。
前記所定輝度における前記駆動信号の前記デューティ比は、前記表示部に書き込まれる所定透過率を示す信号電圧の期間のうち、前記表示部が実際に前記所定透過率になっている期間の割合と等しい、
請求項8に記載の表示装置。
【発明を実施するための形態】
【0028】
まず、実施の形態について説明する前に、液晶表示装置において動画を表示する場合に生じる動画ぼけについて、比較例を用いて説明する。以下では、バックライトの点灯デューティ比と動画ぼけとの関係を分かり易くするため、画像ぼけを二重写りの例で説明する。
【0029】
(比較例1)
最初に、液晶表示装置において生じる動画ぼけの原理について説明する。
【0030】
図15は、比較例1に係る液晶表示装置における、バックライトパネルの点灯及び消灯タイミングと、液晶パネルへの信号電圧の書き込みタイミングとを模式的に示すタイミングチャートである。
【0031】
この液晶表示装置は、複数の液晶画素を行列状に配置してなる液晶パネルと、各々が前記液晶パネルの各異なる部分領域(例えば複数の行からなる領域)を照明するための複数のバックライトと、複数のバックライトに駆動電流を供給するバックライト駆動回路とを備える。
【0032】
液晶画素群への走査信号の書き込みは、液晶パネル上部を駆動するゲートドライバと、液晶パネル中央部を駆動するゲートドライバと、液晶パネル下部を駆動するゲートドライバとにより行われる。各ゲートドライバは、デジタルデータである走査信号に対応する信号電圧を液晶パネルに書き込む。ここで、信号電圧を液晶パネルに書き込むとは、信号電圧を、液晶パネルを構成する液晶画素群に印加することである。
【0033】
複数のバックライトは、例えば、LED(Light Emitting Diode;発光ダイオード)で構成され、液晶パネル上部に対応して設けられたLED(LED上)と、液晶パネル中央部に対応して設けられたLED(LED中央)と、液晶パネル下部に対応して設けられたLED(LED下)とを備える。
【0034】
バックライト駆動回路は、各バックライトを駆動する複数のバックライトドライバを備え、バックライトの点灯期間において当該バックライトを点灯させる駆動電流をバックライトへ供給する。具体的には、パルス信号PWM0がアクティブな期間に、液晶パネル上部に対応して設けられたLEDに駆動電流を供給し、パルス信号PWM1がアクティブな期間に、液晶パネル中央部に対応して設けられたLEDに駆動電流を供給し、パルス信号PWM2がアクティブな期間に、液晶パネル下部に対応して設けられたLEDに駆動電流を供給する。
【0035】
なお、比較例1においては、点灯デューティ比は100%である。つまり、パルス信号PWM0〜PWM2は常時アクティブであり、各バックライトは常時点灯している。
【0036】
以下、比較例1に係る液晶表示装置の動作について説明する。
【0037】
液晶表示装置は、液晶画素群の1行目への走査信号の書き込みタイミングを示す信号であるゲートドライバ開始信号STVが立ち上がると、各ゲートドライバを順に駆動することにより、液晶パネルに信号電圧を書き込む。
【0038】
信号電圧が書き込まれた液晶画素行は、液晶画素の応答速度に応じた時間を要して次のフレームの信号電圧に応じた透過量で光を透過する。つまり、次のフレームの走査信号に応じた画像を表示する。
【0039】
しかしながら、このような液晶表示装置では、前のフレームから次のフレームへと信号電圧を書き換えた場合に、画像が二重に写るという問題や、液晶の応答速度が原因となり、ぼやけが発生するという問題がある。具体的には、点灯デューティ比が100%であることにより複数のバックライトは常時点灯しているので、信号電圧の書き換え後の液晶画素の応答期間にも、当該液晶画素はバックライトからの光を透過する。つまり、信号電圧の書き換え時には、書き換え前のフレームの画像と、書き換え後のフレームの画像とが表示される。言い換えると、画像が二重に写ってしまう。
【0040】
(比較例2)
そこで、このような液晶表示装置における二重写りを抑制するために(すなわち、スキャン効果を得るために)点灯デューティ比を低下させ、信号電圧の書き換え時には、対応するバックライトを消灯させる構成が考えられる。
【0041】
図16は、比較例2に係る液晶表示装置における、バックライトパネルの点灯及び消灯タイミングと、液晶パネルへの信号電圧の書き込みタイミングとを模式的に示すタイミングチャートである。なお、本比較例においては、説明のために液晶画素の応答期間をゼロとして説明する。
【0042】
図16に示されるように、比較例2に係る液晶表示装置は、次の走査信号の書き込みタイミングにおいて、対応するバックライトを消灯させる。具体的には、パルス信号PWM0〜PWM2の点灯デューティを2/3(≒67%)とし、液晶画素の信号電圧の書き換え時にはパルス信号PWM0〜PWM2をインアクティブ(Lレベル)とすることにより、対応するバックライトを消灯させる。
【0043】
これにより、信号電圧の書き換え時における二重写りが抑制され、スキャン効果が得られる。さらに、液晶画素の応答期間においても対応するバックライトを消灯することにより、液晶画素の応答期間における動画ぼけも抑制され、十分なスキャン効果が得られる。
【0044】
図17は、比較例2に係る液晶表示装置の、調整値に対する点灯デューティ比を示すグラフである。ここで、調整値とは、バックライトの目標輝度を輝度の所定の範囲のなかから指定する値であり、調整値が高いほど高い輝度が指定される。本明細書では、調整値と目標輝度とを同じ意味で用いる。
【0045】
図17では、駆動電流の振幅は一定であり、点灯デューティ比の変更によって目標輝度を達成することを前提としている。そうすると、
図17に示されるように、調整値が高くなるほど、バックライトをより高輝度で発光させるために点灯デューティ比は高くなる。一方、調整値が低くなるほど、バックライトをより低輝度で発光させるために、点灯デューティ比は低くなる。
【0046】
一例として、比較例2に係る液晶表示装置のバックライトを3段構成とし、1垂直走査期間をVsとした場合、表示部の応答期間を(1/3)Vsとする。この場合、点灯デューティを1/3(≒33%)とし、液晶画素の信号電圧の書き換え時、及び、液晶画素の応答期間にはバックライトを消灯させることにより、二重写りと動画ぼけの両方を抑制できる。
【0047】
より一般的に言えば、表示部のバックライトで照明される部分領域の透過率が安定している期間(つまり、表示部の透過率が前記書き込まれた信号電圧によって表される前記透過率になる期間であって、例えば、信号電圧の書き込み期間と、表示部の応答時間とを除外した期間)の1垂直走査期間に占める割合(例えば、前述の33%)以下の点灯デューティ比と、比較的大きな駆動電流の振幅との組み合わせによって目標輝度を達成する場合に、十分なスキャン効果が得られる。逆に、当該割合を超えるような点灯デューティ比と、比較的小さな駆動電流の振幅との組み合わせによって前記目標輝度を達成する場合には、十分なスキャン効果を得ることはできない。
【0048】
図17に示した例では、この例で前提とする前記一定の振幅の駆動電流で、かつ33%以下の点灯デューティ比で達成できる目標輝度は、0〜2の範囲の目標輝度のみである。2より高い目標輝度を達成するためには33%より大きい点灯デューティ比が必要となって、得られるスキャン効果は減少する。
【0049】
図17に示した例と比べてより高い(例えば、2より高い)目標輝度においても十分なスキャン効果(例えば、33%以下の点灯デューティ比)を得るためには、例えば、駆動電流をブーストする、つまり、駆動電流の振幅を大きくして点灯デューティ比を小さくすることが有効である。
【0050】
また、液晶画素はホールド駆動であるために、液晶画素の応答速度を短くしても網膜残像により動画ぼけが生じるという問題があるが、この動画ぼけを改善するためにも、駆動電流をブーストすることで点灯デューティ比を小さくすることが有効である。
【0051】
しかしながら、単純に駆動電流をブーストするだけでは、次のような課題が生じ得る。つまり、電流をブーストしたまま点灯デューティ比を上げていくと、バックライトにおいて生じる電力損失が最大許容損失を超える懸念がある。また、ブーストの強度を上げて駆動電流の振幅を大きくするほど、バックライトの発光効率(省電力性)が低下してしまうという問題もある。
【0052】
そこで、このような課題を解決するために、本発明の各実施の形態に係るバックライト駆動回路が提案される。
【0053】
以下、実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも本発明の一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0054】
(実施の形態1)
実施の形態1に係るバックライト駆動回路は、液晶パネルを照明するための複数のバックライトを、所定の範囲のなかから指定される1つの目標輝度で発光させるバックライト駆動回路であり、例えばテレビジョン受信機などで用いられる液晶表示装置に搭載される。
【0055】
<1−1.構成>
以下、実施の形態1に係るバックライト駆動回路の構成について説明する。
【0056】
[液晶表示装置]
図1は、実施の形態1に係るバックライト駆動回路600が搭載される液晶表示装置200の構成を示すブロック図である。
【0057】
図1に示される液晶表示装置200は、実施の形態1に係るバックライト駆動回路600と、バックライトパネル210と、複数の液晶画素221が行列状に配置された液晶パネル220とを備える。ここで、液晶表示装置200は表示装置の一例であり、バックライト駆動回路600は光源駆動部の一例であり、液晶パネル220は表示部の一例である。
【0058】
バックライトパネル210は、液晶パネル220の直下に配置され、複数のバックライト211a〜211cを有する。なお、本実施の形態では、バックライトパネル210は3つのバックライト211a〜211cを有しているが、バックライトの数はこれに限らず、例えば、10個でも20個でもよい。
【0059】
バックライト211a〜211cの各々は、液晶パネル220の各異なる部分領域に対応して設けられ、バックライト駆動回路600から供給される駆動電流によって発光し、各対応する部分領域を照明する。複数の部分領域は、具体的に、液晶パネル220を上部、中央部、下部に3分割して得られる領域であってもよく、各部分領域には、液晶画素221が配置される行列の複数の行が含まれてもよい。ここで、バックライト211a〜211cの各々は光源の一例であり、前記駆動電流は駆動信号の一例である。
【0060】
バックライト211aは液晶パネル220上部領域を照明し、バックライト211bは液晶パネル220の中央部領域を照明し、バックライト211cは液晶パネル220下部領域を照明する。バックライト211a〜211cは、例えばLED等の電流駆動型の発光素子を含む。つまり、バックライトパネル210の各部分領域は、バックライト211a〜211cを流れる電流量に応じた輝度で発光する。
【0061】
なお、
図1では、バックライト211a〜211cは長尺状に描かれているが、バックライトの形状はこれに限らず、略正方形であってもよい。また、本実施の形態では各バックライト211a〜211cは行方向に並んで配置されているが、バックライトの配置はこれに限らず、列方向に並んで配置されていてもよいし、行列状に配置されていてもよい。以下、バックライト211a〜211cの各々を、特に区別せず、バックライト211と表記することがある。
【0062】
液晶パネル220は、複数の液晶画素221を行列状(例えば、1920列、1080行)に配置してなる表示パネルであり、液晶表示装置200の外部から入力された映像信号で表される映像を表示する。
【0063】
この液晶パネル220が有する各液晶画素221は、液晶層、信号電圧が印加される画素電極、及び、画素電極に対向する対向電極を有する液晶素子と、液晶素子の画素電極に信号電圧を印加するTFT(Thin Film Transistor)とを有する。液晶素子は、TFTを介して液晶素子の画素電極に印加された信号電圧に応じて、光の偏光方向を変化させる。TFTはゲートドライバ(不図示)から液晶画素群の行毎に設けられたゲート線に出力されたゲートパルスのハイ及びローに応じたタイミングで、ソースドライバ(不図示)から液晶画素群の列毎に設けられたソース線に出力されている信号電圧を対応する列の液晶画素221の画素電極に印加する。すなわち当該信号電圧を液晶画素221に書き込む。その結果、液晶パネル220は、各液晶画素221に書き込まれた液晶画素221の輝度を示す信号電圧に応じた透過量で、液晶画素221に対応するバックライト211からの光を透過する。
【0064】
バックライト駆動回路600は、バックライトパネル210を目標輝度で発光させるための駆動電流を、バックライト211a、211b、211cに供給する。
【0065】
[バックライト駆動回路の詳細構成]
次に、バックライト駆動回路600の詳細な構成について説明する。
【0066】
図2は、バックライト駆動回路600の詳細な構成を示すブロック図である。
【0067】
図2に示されるバックライト駆動回路600は、タイミング指示部410と、電圧生成部620と、バックライトドライバ130a〜130cと、電流検出部140a〜140cとを備える。なお、
図2には、バックライトドライバ130a〜130cから駆動電流が供給されるバックライトパネル210も図示されている。
【0068】
タイミング指示部410は、目標輝度が高いほど、バックライト211の点灯期間が長くなるように(つまり、パルス幅変調のデューティ比が大きくなるように)、各バックライト211の点灯及び消灯タイミングを指示する部である。タイミング指示部410は、目標輝度を表すバックライト調整パルスを生成するSOC(System−on−a−Chip)411と、各バックライト211の点灯及び消灯タイミングを示すパルス信号PWM0〜PWM2を生成するTCON(Timing Controller)112とを有する。
【0069】
前述したように目標輝度は、所定の範囲(例えば、0から20までの範囲)のなかから指定される1つの輝度である。目標輝度は、例えば、ユーザ操作によって指定されてもよいし、液晶表示装置に取り付けられた照度センサによって測定される周囲の明るさに応じて指定されてもよい。
【0070】
SOC411は、バックライトパネル210の目標輝度を、パルス幅変調のデューティ比によって表すバックライト調整パルスを生成する。SOC411は、生成したバックライト調整パルスを、TCON112及び電圧生成部620に供給する。バックライト調整パルスは、例えば、より高い目標輝度をより大きなデューティ比で表すパルス幅変調信号であってもよい。
【0071】
TCON112は、SOC411から供給されたバックライト調整パルスで表される目標輝度が高いほどデューティ比が大きいパルス信号PWM0〜PWM2を、液晶パネル220に供給される垂直同期信号と同期させて出力する。具体的には、バックライト調整パルスを、垂直同期信号と同期するように変換し、かつ、アクティブな期間を順次遅延させることより、各バックライト211の点灯及び消灯タイミングを示すパルス信号PWM0〜PWM2を生成する。TCONは、例えば、目標輝度とデューティ比との対応を表す参照情報をテーブルや関数式などの形式で保持し、当該参照情報によって前記バックライト調整パルスで表される目標輝度に対応付けられるデューティ比のパルス信号PWM0〜PWM2を生成してもよい。
【0072】
ここで、パルス信号PWM0〜PWM2は、バックライト211a〜211cの点灯及び消灯タイミングをそれぞれ制御する信号である。パルス信号PWM0〜PWM2がアクティブな期間はバックライト211a〜211cの点灯期間にそれぞれ対応し、パルス信号PWM0〜PWM2がインアクティブな期間はバックライト211a〜211cの消灯期間にそれぞれ対応する。
【0073】
TCON112は、バックライト211a〜211cが照明する液晶パネル220の部分領域に配置されている液晶画素221に信号電圧が書き込まれる前に、対応するパルス信号PWM0〜PWM2をインアクティブにする。TCON112は、例えば、垂直同期信号及び水平同期信号を用いて、各バックライト211a〜211cで照明される部分領域に配置された液晶画素221に信号電圧が書き込まれる時点を検出し、検出した時点までに、対応するパルス信号PWM0〜PWM2をインアクティブにしてもよい。
【0074】
電圧生成部620は、SOC411から供給されたバックライト調整パルスで表される目標輝度に応じた電流量を表す指示電圧を生成する。具体的には、電圧生成部620は、目標輝度が所定輝度以下である場合に、前記目標輝度に依らず固定された第1の電流量を表す指示電圧を生成し、前記目標輝度が前記所定輝度より高い場合に、前記目標輝度が高いほど小さくかつ前記第1の電流量を最大値とする第2の電流量を表す指示電圧を生成する。
【0075】
指示電圧は、例えば、より大きな電流量をより高い電圧値によって表す電圧信号であってもよい。そのような指示電圧は、例えば、バックライト調整パルスで表される目標輝度のレベルを反転して表す電圧を、前記第1の電流量に対応する電圧でクリップすることにより生成することができる。そのような指示電圧を生成するための電圧生成部620の詳細な構成について説明する。
【0076】
図3は、電圧生成部620の詳細な構成の一例を示す回路図である。
【0077】
電圧生成部620は、抵抗R21〜R25、コンデンサC21〜C23、トランジスタQ21、及びツェナーダイオードD21を有する。
【0078】
抵抗R21、R22、R23、コンデンサC21、及びトランジスタQ21は、バックライト調整パルスの電圧レベルを反転するインバータ回路を構成する。コンデンサC21は、バックライト調整パルスに含まれる高周波ノイズを除去する。
【0079】
抵抗R24、R25、及びコンデンサC22、C23は、レベルが反転されたバックライト調整パルスのデューティ比を電圧に変換する積分回路を構成する。当該積分回路で得られる電圧は、元のバックライト調整パルスのデューティ比を1(つまり、100%)から減じた値に対応する。ツェナーダイオードD21は、当該電圧を前記第1の電流量に対応する電圧でクリップすることにより、指示電圧を生成する。
【0080】
このようにして電圧生成部620で生成される指示電圧は、目標輝度が前記所定輝度以下である場合に、前記目標輝度に依らず固定された第1の電流量を表し、前記目標輝度が前記所定輝度より高い場合に、前記目標輝度が高いほど小さくかつ前記第1の電流量を最大値とする第2の電流量を表す。生成された指示電圧は、バックライトドライバ130a〜130cに供給される。
【0082】
バックライトドライバ130a〜130cは、バックライト211a〜211cにそれぞれ対応して設けられ、対応するバックライト211a〜211cに駆動電流を供給するドライバである。以下、バックライトドライバ130a〜130cの各々を、特に区別せず、バックライトドライバ130と表記することがある。
【0083】
電流検出部140a〜140cは、バックライト211a〜211cにそれぞれ対応して設けられ、対応するバックライト211a〜211cに流れる駆動電流の電流量を検出し、検出された電流量を表すフィードバック信号を出力するセンサである。以下、電流検出部140a〜140cの各々を、特に区別せず、電流検出部140と表記することがある。
【0084】
バックライトドライバ130は、TCON112から与えられるパルス信号がアクティブな期間に、電流検出部140から与えられるフィードバック信号で表される電流量が、電圧生成部620から与えられる指示電圧で表される電流量と等しくなる量の駆動電流をバックライト211に供給し、前記パルス信号がインアクティブな期間に前記駆動電流の供給を停止する。前記パルス信号のアクティブ及びインアクティブは、例えば、前記パルス信号のHレベル及びLレベルによって表されてもよい。
【0085】
具体的に、バックライトドライバ130a〜130cは、前記指示電圧で表される量の電流を、それぞれパルス信号PWM0〜PWM2に従ってチョッパ制御することによってパルス幅変調された電流を生成し、生成された電流をそれぞれバックライト211a〜211cに駆動電流として供給する。
【0086】
バックライトドライバ130a〜130cは、例えば、可変電流レギュレータ機能及び電流チョッパ機能を有するドライバIC(Integrated Circuit)で構成されてもよく、また、電流検出部140a〜140cは、例えば、シャント抵抗で構成されてもよい。
【0087】
パルス信号PWM0〜PWM2に従ってパルス幅変調された駆動電流により、3つのバックライト211a〜211cは、目標輝度が高いほど大きなデューティ比で、順次点灯及び消灯する。
【0088】
これにより、各バックライト211a〜211cは、バックライト211a〜211cに対応する行の液晶画素群への前記信号電圧が書き込まれる前に消灯する。したがって、信号電圧の書き込み時にバックライト211が点灯することによる二重写りを抑制できる。
【0089】
また、駆動電流の振幅は、前記目標輝度が所定輝度以下である場合に前記目標輝度に依らず固定された第1振幅であり、前記目標輝度が前記所定輝度より高い場合に前記目標輝度が高いほど小さくかつ前記第1振幅を最大値とする第2振幅である。
【0090】
つまり、前記駆動電流の振幅は、前記目標輝度が最大のときの振幅を通常振幅とすると、前記目標輝度が前記所定輝度以下である場合に前記第1振幅にブーストされ、前記目標輝度が前記所定輝度を超えて高くなるにつれて前記第1振幅から前記通常振幅まで連続的に小さくなる。
【0091】
これにより、電流ブーストを行わない場合、つまり、一定振幅の駆動電流でデューティ比の変更によって目標輝度を達成する場合と比べて、同じデューティ比でより高い目標輝度を達成できるので、スキャン効果が得られる目標輝度の上限が引き上げられる。
【0092】
しかも、前記駆動電流は前記第1振幅を上限としてブーストされるので、駆動電流の振幅の増大に伴うバックライトの発光効率の低下は、前記第1振幅の駆動電流で得られる発光効率までで抑えられる。
【0093】
このようにして、バックライト駆動回路600によれば、画面の動きの速さとは無関係に、スキャン効果とバックライトの発光効率との間の良好なトレードオフを得ることができる。
【0094】
また、前記駆動電流の振幅は、前記第1振幅から前記通常振幅まで、目標輝度の変更につれて連続的に変化するので、目標輝度の切り替え時における駆動電流の振幅の不連続性によって生じるフリッカーを抑制することができる。
【0095】
また、前記所定輝度を超える目標輝度に応じて、駆動電流の振幅を前記第1振幅から減少させるので、駆動電流を前記第1振幅に維持したままデューティ比を上げていく場合に懸念される、バックライト211での電力損失が最大許容損失を上回る不都合が回避される。
【0096】
<1−2.動作>
次に、本実施の形態における液晶表示装置200の動作について、図面を用いて説明する。
【0097】
図4は、バックライトパネル210の点灯及び消灯タイミングと、液晶パネル220への信号電圧の書き込みタイミングとを、模式的に示すタイミングチャートである。
【0098】
図4には、上から順に、バックライト調整パルスと、垂直同期信号STVと、バックライト211aに対応するパルス信号PWM0、及び、バックライト211aに対応する画素行の液晶画素221への信号電圧の書き換えタイミングと、バックライト211bに対応するパルス信号PWM1、及び、バックライト211bに対応する画素行の液晶画素221への信号電圧の書き換えタイミングと、バックライト211cに対応するパルス信号PWM2、及び、バックライト211cに対応する画素行の液晶画素221への信号電圧の書き換えタイミングとが、模式的に示されている。
【0099】
図4に示されるように、SOC411で生成されたバックライト調整パルスと、各パルス信号PWM0〜PWM2とは、デューティ比が同じである。具体的には、パルス信号PWM0〜PWM2は、バックライト調整パルスと同じデューティ比を有するパルス信号が、1表示期間(Display period)内に、所定時間ずつずらして遅延された信号である。
【0100】
まず、時刻t0において、垂直同期信号STVが立ち上がると、バックライト211aに対応する液晶パネル220上部の各液晶画素221に対して、行順次に信号電圧の書き込みが開始される。このとき、時刻t0までにパルス信号PWM0はインアクティブ(Lレベル)になっている。つまり、液晶パネル220上部の各液晶画素221に対して書き込みが開始されるまでに、バックライト駆動回路600は、液晶パネル220上部に対応するバックライト211aを消灯させる。
【0101】
以降、時刻t1まで、液晶パネル220上部の各液晶画素221に対して、信号電圧の書き込みが行われる。ここで、液晶画素221に信号電圧を書き込んでから、液晶画素が書き込まれた信号電圧に対応する光量を透過させるまでに要する時間を、表示部の応答速度Trsとする。この表示部の応答速度は、各液晶画素221の構成や材料等によって決定される。よって、各液晶画素221は、信号電圧が書き込まれてTrs経過した後に、書き込まれた信号電圧に対応する光量を透過させるようになる。
【0102】
また、時刻t0において、パルス信号PWM1はアクティブ(Hレベル)に立ち上がる。つまり、バックライト駆動回路600は、液晶パネル220中央部に対応するバックライト211bを消灯から点灯へと切り替える。よって、液晶パネル220中央部には前のフレームで書き込まれた信号電圧に応じた画像が表示される。
【0103】
以降、時刻t1直前まで、バックライト駆動回路600は、バックライト211bを点灯させる。よって、時刻t0〜t1直前まで、液晶パネル220中央部には前のフレームで書き込まれた信号電圧に応じた画像が表示されている。
【0104】
次に、時刻t1において、バックライト211bに対応する液晶パネル220中央部の各液晶画素221に対して、行順次に信号電圧の書き込みが開始される。このとき、時刻t1直前にパルス信号PWM1はインアクティブ(Lレベル)になっている。つまり、液晶パネル220中央部の各液晶画素221に対して書き込みが開始されるまでに、バックライト駆動回路600は、液晶パネル220中央部に対応するバックライト211bを消灯させる。以降、時刻t2まで、液晶パネル220中央部の各液晶画素221に対して、信号電圧の書き込みが行われる。
【0105】
また、時刻t1において、パルス信号PWM2はアクティブ(Hレベル)に立ち上がる。つまり、バックライト駆動回路600は、液晶パネル220下部に対応するバックライト211cを消灯から点灯へと切り替える。よって、液晶パネル220下部には前のフレームで書き込まれた信号電圧に応じた画像が表示される。
【0106】
以降、時刻t2直前まで、バックライト駆動回路600は、バックライト211cを点灯させる。よって、時刻t1〜t2直前まで、液晶パネル220下部には前のフレームで書き込まれた信号電圧に応じた画像が表示されている。
【0107】
次に、時刻t2において、バックライト211cに対応する液晶パネル220下部の各液晶画素221に対して、行順次に信号電圧の書き込みが開始される。このとき、時刻t2直前にパルス信号PWM2はインアクティブ(Lレベル)になっている。つまり、液晶パネル220下部の各液晶画素221に対して書き込みが開始されるまでに、バックライト駆動回路600は、液晶パネル220下部に対応するバックライト211cを消灯させる。以降、時刻t4まで、液晶パネル220下部の各液晶画素221に対して、信号電圧の書き込みが行われる。
【0108】
次に、時刻t3において、パルス信号PWM0はアクティブ(Hレベル)に立ち上がる。つまり、バックライト駆動回路600は、液晶パネル220上部に対応するバックライト211aを消灯から点灯へと切り替える。よって、液晶パネル220上部には直前(時刻t0〜t1)に書き込まれた信号電圧に応じた画像が表示される。
【0109】
以降、時刻t5直前まで、バックライト駆動回路600は、バックライト211aを点灯させる。よって、時刻t3〜t5直前まで、液晶パネル220下部には前のフレームで書き込まれた信号電圧に応じた画像が表示されている。
【0110】
その後、時刻t5において、時刻t0と同様に、垂直同期信号STVが立ち上がり、以降は、上記動作が繰り返される。すなわち、時刻t0〜t5は、液晶パネル220の1フレーム期間(1 Frame)である。
【0111】
ここで、時刻t4〜t5は、垂直ブランキング期間(Blank period)であり、時刻t3は、時刻t2から垂直ブランキング期間経過後の時刻である。したがって、バックライト211aの点灯期間(時刻t3〜t5)の時間と、バックライト211bの点灯期間(時刻t0〜t1)の時間と、バックライト211cの点灯期間(時刻t1〜t2)の時間とは、同一である。
【0112】
このように、本実施の形態に係るバックライト駆動回路600が搭載された液晶表示装置200は、時刻t0(=t5)においてバックライト211aに対応する液晶パネル220上部の液晶画素群への信号電圧が書き込まれる前に、バックライト211aを消灯させる。さらに、時刻t1においてバックライト211bに対応する液晶パネル220中央部の液晶画素群への信号電圧が書き込まれる前に、バックライト211bを消灯させる。さらに、時刻t3においてバックライト211cに対応する液晶パネル220下部の液晶画素群への信号電圧が書き込まれる前に、バックライト211cを消灯させる。
【0113】
これにより、信号電圧の書き換え時における二重写りを抑制できる。また、液晶画素221の応答期間においても対応するバックライト211a〜211cを消灯することにより、液晶画素221の応答期間における動画ぼけについても抑制できる。
【0114】
なお、上記説明では、各バックライト211a〜211cの点灯期間は重ならなかったが、バックライト211a〜211cの点灯期間はこれに限らない。例えば、各パルス信号PWM0〜PWM2の立ち上がりを、
図4中の点線で示すように早めることにより、各バックライト211a〜211cの点灯開始時刻を早くしてもよい。
【0115】
これにより、1フレーム期間における各バックライト211a〜211cに点灯期間を長く確保することができ、各バックライト211a〜211cに供給する単位時間当たりの電流を少なくしても、同一の輝度を確保することができる。ここで、各パルス信号PWM0〜PWM2の立ち上がりを早める場合には、パルス信号PWM0〜PWM2の立ち上がりが、当該パルス信号PWM0〜PWM2に対応する液晶画素群の書き込み期間及び応答期間と重ならないようにすることで、上記の効果を奏する。つまり、信号電圧の書き換え時、及び、液晶画素221の応答期間における二重写りを抑制できる。
【0116】
<1−3.駆動電流の振幅及びデューティ比の具体例>
バックライト駆動回路600が、各バックライト211に供給する駆動電流の振幅及びデューティ比の具体例について説明する。
【0117】
図5は、目標輝度に対する駆動電流の振幅特性(つまり、バックライト211の点灯期間に供給される駆動電流の量)の一例を、上述の比較例2、並びに本実施の形態の実施例1及び実施例2について示すグラフである。
【0118】
図6は、目標輝度に対する駆動電流のデューティ比特性(つまり、バックライト211の点灯デューティ比)の一例を、上述の比較例2、並びに本実施の形態の実施例1及び実施例2について示すグラフである。
【0119】
図5及び
図6のグラフには、比較例2、実施例1及び実施例2において、同じ目標輝度が指定されたときにバックライト211を略同じ輝度で発光させるための駆動電流の振幅及びデューティ比の組み合わせが示されている。
【0120】
バックライト駆動回路600は、例えば、
図5に示される振幅特性や、
図6に示される振幅特性に従って、各バックライト211の駆動信号としての駆動電流を出力する。
【0121】
図5に示されるように、比較例2での駆動電流の振幅は、目標輝度に依らず一定の350[mA]である。
【0122】
これに対し、駆動電流をブーストする実施例1の振幅特性では、所定輝度10を基準として、所定輝度10以下の第1領域と、所定輝度10よりも高い第2領域とに分けられ、前記第1領域において目標輝度に対する前記駆動電流の振幅の変化率は所定変化率0と等しく、前記第2領域において目標輝度に対する前記駆動信号の振幅の変化率は前記所定変化率よりも大きくなる。前記振幅特性の前記第1領域及び前記第2領域は、何れも直線で示され、前記第1領域において、駆動電流の振幅は、目標輝度に依らず固定された第1振幅650[mA]である。
【0123】
また、駆動電流をブーストする実施例2の振幅特性では、所定輝度14を基準として、所定輝度14以下の第1領域と、所定輝度14よりも高い第2領域とに分けられ、前記第1領域において目標輝度に対する前記駆動電流の振幅の変化率は所定変化率0と等しく、前記第2領域において目標輝度に対する前記駆動信号の振幅の変化率は前記所定変化率よりも大きくなる。前記振幅特性の前記第1領域及び前記第2領域は、何れも直線で示され、前記第1領域において、駆動電流の振幅は、目標輝度に依らず固定された第1振幅815[mA]である。
【0124】
実施例1、実施例2の何れにおいても、駆動電流の振幅は、目標輝度の変更につれて連続的に変化し、駆動電流の振幅は、前記第2領域において目標輝度が高いほど小さい第2振幅であり、目標輝度の最大値において比較例2と同じ350[mA]である。
【0125】
このように、実施例1及び実施例2の何れの振幅特性も、前記所定輝度以下の第1領域と、前記所定輝度よりも高い第2領域とに分けられ、前記第1領域において輝度に対する前記駆動信号の振幅の変化率は所定変化率以下であり、前記第2領域において輝度に対する前記駆動信号の振幅の変化率は前記所定変化率よりも大きい。
【0126】
図6に示されるように、比較例2での駆動電流のデューティ比は、目標輝度に対して一定の傾きで変化する。
【0127】
これに対し、実施例1のデューティ比特性では、所定輝度10を基準として、所定輝度10以下の第3領域と、所定輝度10よりも高い第4領域とに分けられ、前記第3領域における輝度に対する前記駆動信号のデューティ比の変化率は、前記第4領域における輝度に対する前記駆動信号のデューティ比の変化率よりも小さい。
【0128】
また、実施例2のデューティ比特性では、所定輝度14を基準として、所定輝度14以下の第3領域と、所定輝度14よりも高い第4領域とに分けられ、前記第3領域における輝度に対する前記駆動信号のデューティ比の変化率は、前記第4領域における輝度に対する前記駆動信号のデューティ比の変化率よりも小さい。
【0129】
実施例1及び実施例2のデューティ比特性の第4領域では、それぞれ対応する振幅特性の第2領域において駆動電流がブーストされることで、駆動電流のデューティ比は第3領域での変化率よりも大きな変化率で変化する。
【0130】
そのため、実施例1及び実施例2では、比較例2と比べて同じデューティ比でより高い目標輝度を達成できる(逆に言えば、同じ目標輝度をより小さなデューティ比で達成できる)ので、スキャン効果が得られる目標輝度範囲(以下、スキャン効果領域と言う)の上限が引き上げられる。具体的には、比較例2のスキャン効果領域が、目標輝度0〜2の範囲に限られるのに対し、実施例1のスキャン効果領域は、駆動電流をブーストすることによって、目標輝度0〜10の範囲に拡大される。さらに、実施例2のスキャン効果領域は、駆動電流を実施例1より大きくブーストすることによって、目標輝度0〜14の範囲に拡大される。
【0131】
駆動電流の振幅及びデューティ比の組み合わせを考える上で、目標輝度の最大値に対応してバックライト211での最大の発光輝度が得られること、及びバックライト211において生じる電力損失が最大許容損失を超えないことは重要である。
【0132】
そのような要件を満たすために、例えば、目標輝度の最大値に対応してデューティ比が100%で、かつバックライト211において最大許容損失の電力損失が生じる量(一例として、
図5に示される350[mA])の直流電流を駆動電流としてバックライト211に供給してもよい。これにより、目標輝度の最大値に対応して、バックライト211は最大定格で連続点灯するので、最大の発光輝度が得られる。
【0133】
また、例えば、駆動電流をブーストする実施例1及び実施例2では、前記所定輝度においてバックライト211の電力損失を管理してもよい。具体的には、目標輝度が前記所定輝度である場合に、振幅が前記第1振幅であり、かつバックライト211において最大許容損失より小さい電力損失が生じるデューティ比の電流を、前記駆動電流としてバックライト211に供給してもよい。これにより、前記所定輝度における駆動電流に、バックライト211の電力損失に関する余裕を持たせることができる。
【0134】
前記所定輝度における駆動電流は、振幅が前記第1振幅である駆動電流のなかで最大のデューティ比を有しており、バックライト211の電力損失に関する余裕が最も小さい。そのような駆動電流に電力損失に関する余裕を意図的に持たせることは、例えば、回路特性のばらつきや動作温度のばらつきの下で、電力損失が最大許容損失を上回らないように管理するために有効である。
【0135】
また、
図5及び
図6に示されるように、前記所定輝度以下の輝度領域(つまり、前記輝度特性の第1領域及び前記デューティ比特性の第3領域)でスキャン効果を得るために、前記所定輝度における前記駆動信号のデューティ比を、前記表示部の応答速度に基づいて設定してもよい。
【0136】
前述したように、バックライト211をバックライト211a、211b、211cの3段構成とし、1垂直走査期間をVs、信号電圧の書き込み期間を(1/3)
×Vs、表示部の応答期間を(1/3)
×Vsとする。この場合、前記所定輝度におけるデューティ比を、前記表示部の透過率が安定している期間の前記周期に占める割合と等しい1/3(≒33%)とし、前記表示部の信号電圧の書き換え時、及び、前記表示部の応答期間にはバックライトを消灯させることにより、二重写りを抑制できる。
【0137】
より一般的には、表示部のバックライトで照明される部分領域に配置されている全ての液晶画素の透過率が安定している期間(つまり、表示部の透過率が前記書き込まれた信号電圧によって表される前記透過率になる期間であって、例えば、信号電圧の書き込み期間と、表示部の応答期間とを除外した期間)の1垂直走査期間に占める割合以下のデューティ比を、前記デューティ比特性の前記第3領域におけるデューティ比して設定する。そして、前記設定されたデューティ比との組み合わせによって目標輝度を達成する前記駆動電流の振幅を、前記振幅特性の前記第1領域における振幅として設定する。
【0138】
前記第1領域における前記駆動電流の振幅は、第1振幅に固定されていてもよい。前記第1領域での振幅を固定することは、必須ではないが、次のような副次的な効果を生じる。すなわち、スキャン効果領域に含まれる全ての目標輝度が、目標輝度に依らず固定された前記第1振幅の駆動電流で達成されるので、スキャン効果領域内で駆動電流の振幅を増大させることでバックライトの発光効率の無用な低下を招く事態が回避できる。
【0139】
(実施の形態1の変形例)
次に、実施の形態1の変形例に係るバックライト駆動回路について説明する。
【0140】
実施の形態1に係るバックライト駆動回路600では、SOC411及びTCON112を用いて、各バックライトドライバ130a〜130cに対応するパルス信号PWM0〜PWM2を生成したが、TCON112を用いずに、SOCがパルス信号PWM0〜PWM2を構成してもよい。
【0141】
図7は、実施の形態1の変形例に係るバックライト駆動回路700の詳細な構成を示すブロック図である。
【0142】
図7に示されるバックライト駆動回路700は、実施の形態1に係るバックライト駆動回路600と比べて、タイミング指示部410に代えて、SOC511からなるタイミング指示部510を備える点が異なる。
【0143】
SOC511は、SOC411とTCON112との機能を有する。すなわち、目標輝度に応じてパルス信号PWM0〜PWM2を生成し、生成したパルス信号PWM0〜PWM2をバックライトドライバ130a〜130cにそれぞれ供給する。また、目標輝度をパルス幅変調のデューティ比によって表すバックライト調整パルスを生成し、生成したバックライト調整パルスを電圧生成部620に供給する。
【0144】
このように構成されるバックライト駆動回路700においても、実施の形態1に係るバックライト駆動回路600と同様の効果が得られる。
【0145】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2に係るバックライト駆動回路について説明する。
【0146】
実施の形態1に係るバックライト駆動回路600では、バックライトドライバ130a〜130cは、指示電圧で表される電流量の駆動電流を生成する可変電流レギュレータを用いて構成される。これに対し、実施の形態2に係るバックライトドライバは、定電流レギュレータを用いて構成される。ここで、定電流レギュレータとは、出力電流の測定量があらかじめ定められた固定の電流量に近づくように、出力電流を調整する回路を言う。
【0147】
図8は、実施の形態2に係るバックライト駆動回路800の詳細な構成を示すブロック図である。
【0148】
図8に示されるバックライト駆動回路800は、実施の形態1に係るバックライト駆動回路600と比べて、バックライトドライバ130a〜130cに代えてバックライトドライバ131a〜131cを備え、電流検出部140a〜140cに代えて電流検出部141a〜141cを備える点が異なる。
【0149】
バックライトドライバ131a〜131cは、バックライト211a〜211cにそれぞれ対応して設けられ、対応するバックライト211a〜211cに駆動電流を供給するドライバである。以下、バックライトドライバ131a〜131cの各々を、特に区別せず、バックライトドライバ131と表記することがある。
【0150】
電流検出部141a〜141cは、バックライト211a〜211cにそれぞれ対応して設けられ、対応するバックライト211a〜211cに流れる駆動電流の電流量を検出し、検出された電流量から前記指示電圧に応じた電流量を減じた電流量を表すフィードバック信号を出力するセンサである。以下、電流検出部141a〜141cの各々を、特に区別せず、電流検出部141と表記することがある。
【0151】
図9は、電流検出部141a〜141cの詳細な構成の一例を示す回路図である。電流検出部141a〜141cは、何れも
図9に示される構成を有する。
【0152】
電流検出部141a〜141cは、抵抗R30〜R34、及びオペアンプOPAを有する。
【0153】
抵抗R30は、対応するバックライト211a〜211cに流れる駆動電流の電流量を検出するシャント抵抗である。
【0154】
抵抗R31〜R34、及びオペアンプOPAは、減算回路を構成する。当該減算回路は、指示電圧をV1と表記し、抵抗R30によって測定された駆動電流の電流量を表す電圧をV2と表記するとき、V0=((R31+R34)/(R31
×(R32/R33+1))
)×V2−(R34/R31)
×V1なる出力電圧V0を生成する。出力電圧V0は、駆動電流の実際の電流量から、指示電圧V1で表される電流量を、抵抗R31〜R34に応じて定まる比率で減じて得た補正後電流量を表す。
【0155】
電流検出部141a〜141cは、生成された出力電圧V0を、フィードバック信号として、バックライトドライバ131a〜131cに供給する。
【0157】
バックライトドライバ131は、TCON112から与えられるパルス信号がアクティブな期間に、電流検出部141から与えられるフィードバック信号で表される電流量が、あらかじめ定められた固定の電流量と等しくなる目標量の駆動電流をバックライト211に供給し、前記パルス信号がインアクティブな期間に前記駆動電流の供給を停止する。
【0158】
具体的に、バックライトドライバ131a〜131cは、前記目標量の電流を、パルス信号PWM0〜PWM2に従ってそれぞれチョッパ制御することによってパルス幅変調された電流を生成し、生成された電流をそれぞれバックライト211a〜211cに駆動電流として供給する。
【0159】
バックライトドライバ131a〜131cは、例えば、定電流レギュレータ機能及び電流チョッパ機能を有するドライバIC(Integrated Circuit)で構成されてもよい。
【0160】
このように構成されたバックライト駆動回路800によれば、バックライトドライバ131には、指示電圧V1で表される電流量が大きいほど、駆動電流の実際の測定量よりも小さい補正後電流量がフィードバックされる。その結果、バックライトドライバ131は、指示電圧V1で表される電流量に応じた大きさで、駆動電流をブーストする。
【0161】
例えば、バックライトドライバ131において、駆動電流のブーストされていない通常振幅を表す電流量が、前記固定の電流量としてあらかじめ定められてもよい。電圧生成部620は、目標輝度が最大のときに0[V]であり、かつ所定輝度における駆動電流のブースト量を表す電圧を上限として目標輝度が小さいほど高い指示電圧V1を出力してもよい。駆動電流を目標輝度に応じた所望の大きさでブーストするための必要に応じて、抵抗R31〜R34の値を適宜選択し、また、図示していないレベルシフタや分圧回路を用いて指示電圧V1のレベルを適宜変更してもよい。
【0162】
このように構成されるバックライト駆動回路800によれば、可変電流レギュレータに代えて、定電流レギュレータと減算回路とを用いて、実施の形態1に係るバックライト駆動回路600と同様の効果を得ることができる。
【0163】
(実施の形態3)
上述の実施の形態1及び実施の形態2に係るバックライト駆動回路では、駆動電流の振幅が、第1領域において第1振幅に固定されたが、目標輝度に対する駆動電流の振幅特性は、このような例には限られない。
【0164】
実施の形態3では、目標輝度に対する駆動電流の振幅の上述とは異なる特性に従って動作するバックライト駆動回路について説明する。
【0165】
そのようなバックライト駆動回路は、例えば、
図3の電圧生成部620を次のように変更して構成される。
【0166】
図10は、電圧生成部の詳細な構成の一例を示す回路図である。
図10に示される電圧生成部621は、
図3の電圧生成部620と比べて、ツェナーダイオードD21と直列に接続された抵抗R26が追加されている点が異なる。抵抗R26は、意図的に挿入された抵抗素子であってもよく、また配線などの等価的な抵抗成分であってもよい。
【0167】
電圧生成部621からバックライトドライバ130a〜130cに供給される指示電圧がツェナーダイオードD21の降伏電圧を超えると、抵抗R26に電流が流れて電圧降下が生じる。その結果、電圧生成部621では、電圧生成部260とは異なり、前記指示電圧は、ツェナーダイオードD21の降伏電圧に、抵抗R26で生じる電圧降下を加えた電圧まで上昇する。
【0168】
図11は、電圧生成部621が生成する前記指示電圧によって示される、目標輝度に対する駆動電流の振幅の一例を、実施例3として示すグラフである。
【0169】
図11に示されるように、実施例3の駆動電流の振幅特性は、
図5に示される実施例1の駆動電流の振幅特性と比べて、第1領域での振幅が、目標輝度が低いほど大きい第3振幅となる点で相違している。
【0170】
実施例3における第3振幅の目標輝度に対する変動は、電圧生成部621に追加された抵抗R26によって生じる。そのため、前記第1領域における第3振幅の目標輝度に対する変化率は、前記第2領域における第2振幅の前記目標輝度に対する変化率よりも小さく、かつ抵抗R26の大きさに応じた変化率に設定される。
【0171】
このような構成によれば、前記第3振幅の目標輝度に対する変化率が、前記第2振幅の目標輝度に対する変化率よりも小さいことから、電流ブーストによって拡大される駆動電流の振幅の拡大幅を縮小し、その結果、バックライトの発光効率の低下を抑制することができる。
【0172】
実施例3では、目標輝度が所定輝度である場合の第1振幅を、実施例1の第1振幅と等しい650[mA]としているが、第1振幅は、650[mA]よりも小さくても構わない。目標輝度の前記所定輝度におけるより小さな駆動電流によって、バックライト211の電力損失に、より大きな余裕を持たせることができる。
【0173】
さらに、目標輝度に対する駆動電流の振幅の上述とは異なる特性に従って動作する別のバックライト駆動回路について説明する。
【0174】
そのようなバックライト駆動回路は、例えば、
図9の電流検出部141a〜141cを、次のように変更して構成される。
【0175】
図12は、電流検出部の詳細な構成の一例を示す回路図である。
図12に示される電流検出部142a〜142cは、
図9に示される電流検出部141a〜141cと比べて、乗算器MULが追加される。電流検出部142a〜142cは、オペアンプOPAの出力電圧V0と抵抗R30によって測定された駆動電流の電流量を表す電圧V2とを乗算器MULにより乗じた出力電圧を生成する。
【0176】
図13は、電流検出部142a〜142cが生成する前記出力電圧によって制御される、目標輝度に対する駆動電流の振幅の一例を、実施例4として示すグラフである。
【0177】
図13に示されるように、実施例4の駆動電流の振幅特性は、
図5に示される実施例1の駆動電流の振幅特性と比べて、第2領域における第2振幅が、目標輝度に対して非線形に変動する点(つまり、振幅特性の前記第2領域が曲線で示される点)で相違している。
【0178】
実施例4における第2振幅の目標輝度に対する非線形の変動は、電流検出部142a〜142cに追加された乗算器MULにより電圧V0と電圧V2とを乗じた電圧を用いてバックライトドライバ131a、131b、131cを制御することによって生じる。そのため、第2振幅の目標輝度に対する変化率は、電圧V2が大きいほど、つまり目標輝度が大きいほど大きい率で変動する。
【0179】
このような構成によれば、前記所定輝度の近傍における第2振幅の目標輝度に対する変化率を、実施例1と比べて小さくできるので、前記目標輝度の切り替え時における駆動電流の振幅の変化率の不連続性によって生じるフリッカーを低減することができる。
【0180】
さらに、別のバックライト駆動回路では、
図10の電圧生成部621と、
図12の電流検出部142a〜142cとが組み合わされる。
【0181】
図14は、そのようなバックライト駆動回路での、目標輝度に対する駆動電流の振幅の一例を、実施例5として示すグラフである。
【0182】
図14に示されるように、実施例5の駆動電流の振幅特性は、第1領域における第3振幅に関する特性が実施例3と等しく、第2領域における第2振幅に関する特性が実施例4と等しい。
【0183】
このような構成によれば、前記所定輝度の近傍において、前記第2振幅の目標輝度に対する変化率と、前記第3振幅の目標輝度に対する変化率との差をさらに小さくすることができるので、前記目標輝度の切り替え時における駆動電流の振幅の変化率の不連続性によって生じるフリッカーを低減することができる。
【0184】
以上、実施の形態に係るバックライト駆動回路について説明したが、本発明は、この実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本発明の一つまたは複数の態様の範囲内に含まれてもよい。
【0185】
例えば、実施の形態では、駆動電流の振幅が、振幅特性の第1領域において、目標輝度に依らず第1振幅に固定される例と、目標輝度が低いほど大きい第3振幅である例について説明したが、前記駆動電流の振幅は、振幅特性の前記第1領域において目標輝度が低いほど小さくても構わない。
【0186】
このような構成によれば、振幅特性の第2領域において電流ブーストによって拡大された駆動電流の振幅が、前記振幅特性の第1領域では縮小されることで、バックライトの発光効率の低下が抑制される。
【0187】
また、例えば、実施の形態では、振幅特性の第1領域は直線で示されているが、振幅特性の第1領域は曲線で示されても構わない。