(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
EV(Electric Vehicle)やPHV(Plug in Hybrid Vehicle)などの車両には、原動機となる電動機への供給電力を蓄える電池モジュールが搭載されている。電池モジュールは、蓄電装置としての二次電池同士をバスバーで電気的に接続して構成されている。例えば、特許文献1のバッテリ装置(二次電池)は、
図7に示すように、電池モジュールから延出する金属端子(端子接続部材)81と、金属端子81を貫通するボルト(外部接続端子)82と、金属端子81と電池モジュールの筐体83との間を絶縁する絶縁体(絶縁部材)84とを備える。絶縁体84は、筐体83に向けて突出した係合突起84bを備え、この係合突起84bは、筐体83の表面から凹む凹部83aに挿入されている。
【0003】
金属端子81は、クランク状である。金属端子81は、固定片81aを備え、この固定片81aは、絶縁体84を介してリベット(引出端子)86によって筐体83に固定される。なお、リベット86には、図示しない端子が接続され、この端子は電池セルに電気的に接続されている。また、金属端子81は、固定片81aよりも筐体83から離れた位置にある端子片81bを備える。
【0004】
ボルト82は、六角形状の拡大部82aと、ボルト82の径方向に沿って拡大部82aより外側に突出した状態の鍔部82bと、ボルト82の軸方向に沿って拡大部82aから突出した形状の軸部82cとを備える。絶縁体84は、ボルト82の鍔部82bに下方から当接して金属端子81からのボルト82の脱落を防止する脱落防止部85を備える。脱落防止部85は、ボルト82の拡大部82aを囲む形状である。
【0005】
特許文献1の電池モジュールでは、電池セルとボルト82とが、図示しない端子と、リベット86と、金属端子81を介して導通され、電気の授受が行われる。そして、バスバー88に設けられた貫通孔88aにボルト82を挿入し、バスバー88を端子片81b上に載せる。ボルト82の軸部82cにナット89を螺合することで、バスバー88が、ボルト82の端子片81bとナット89の間に挟持されるとともに、バスバー88と金属端子81が電気的に接続される。その結果、バスバー88を介して電池モジュール同士が電気的に接続される。
【0006】
また、特許文献1では、ボルト82の軸部82cにナット89を螺合する際のボルト82の共回りを抑制するため、絶縁体84に脱落防止部85を備えており、この脱落防止部85は拡大部82aを取り囲み、かつ拡大部82aの外側面に接触している。そして、特許文献1では、ナット89の螺合時、ボルト82の拡大部82aは脱落防止部85の内面に係止する。このとき、絶縁体84の係合突起84bと、筐体83の凹部83aとの係合により、絶縁体84の回転が規制されるため、その絶縁体84に一体の脱落防止部85によって、ボルト82の回転が規制され、ナット89螺合時のボルト82の共回りが抑制される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1において、ナット89螺合時のトルクは、ボルト82から絶縁体84の脱落防止部85及び係合突起84bを介して筐体83に受け止められる。しかし、ナット89螺合時のトルクによって係合突起84bと凹部83aとの係合が維持できなくなった場合には、絶縁体84が共回りしてしまう。すると、絶縁体84の共回りによって、リベット86と金属端子81との通電部に応力が発生し、その通電部に通電不良が発生する虞がある。
【0009】
本発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものであり、その目的は、ナット螺合時に、端子接続部材と引出端子との通電部に応力が発生することを抑制することができる蓄電装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記問題点を解決するための蓄電装置は、異なる極性の電極同士が互いに絶縁された状態で積層された電極組立体と、前記電極組立体を収容したケースと、前記ケースの壁部の外側でバスバーを固定可能とするため前記壁部の外側に配置され、かつ前記バスバーの軸部挿通孔に挿通可能な外部接続端子と、前記ケース内で前記電極組立体と電気的に接続され、かつ前記壁部から外部に突出した状態の引出端子と、前記壁部の外側に配置され、かつ前記引出端子と前記外部接続端子とを接続した端子接続部材と、前記端子接続部材と前記壁部とを絶縁する第1絶縁部材と、前記外部接続端子と前記壁部とを絶縁し、かつ前記壁部の外面に沿う方向への移動が規制された第2絶縁部材と、を有し、前記外部接続端子は前記バスバーの締結のためのナットが螺合可能な雄ねじ部と、第1係合部と、を有するとともに、前記第2絶縁部材は前記外部接続端子の前記第1係合部に係合した第2係合部を有し、前記第1係合部と前記第2係合部とは前記外部接続端子の周方向への凹凸の係合関係で係合していることを要旨とする。
【0011】
これによれば、引出端子を壁部から絶縁する第1絶縁部材と、外部接続端子を壁部から絶縁する第2絶縁部材とが別体である。そして、ナット螺合時のトルクは、外部接続端子の周方向への第1係合部と第2係合部の凹凸の係合関係により、第2絶縁部材に受け止められ、第2絶縁部材では外部接続端子が回り止めされる。外部接続端子を回り止めした第2絶縁部材は、壁部の外面に沿う方向への移動が規制されていることから、ナット螺合による外部接続端子の共回りが抑制される。したがって、ナット螺合時のトルクが、第2絶縁部材とは別体の第1絶縁部材に伝わることが抑制される。よって、第1絶縁部材によって絶縁された引出端子には、ナット螺合時のトルクを原因とした応力が発生せず、引出端子と端子接続部材との通電部に応力が発生することもない。
【0012】
また、蓄電装置について、前記壁部は、外面から凹む係止凹部を備え、前記第2絶縁部材は、前記係止凹部の内側面に係止することで前記外面に沿う方向への移動が規制された基板と、該基板に存在する前記第2係合部と、を備え、前記第1絶縁部材は、前記第2絶縁部材の基板を前記壁部の外面側から覆う被覆部と、前記被覆部を貫通し、前記第1係合部及び前記第2係合部のいずれか一方が挿通された貫通孔とを備えていてもよい。
【0013】
これによれば、第1係合部及び第2係合部のいずれか一方が第1絶縁部材の貫通孔に挿通され、外部接続端子の周方向への凹凸の係合が成立する。この係合によって、第2絶縁部材に対し外部接続端子が回り止めされる。この状態で第2絶縁部材の基板は、貫通孔を囲む第1絶縁部材の被覆部によって覆われる。このため、第1絶縁部材によって、壁部から離れる方向への第2絶縁部材の移動を規制することができる。
【0014】
また、蓄電装置について、前記第1絶縁部材は、高温特性及び耐食性を有する合成樹脂製であり、前記第2絶縁部材は剛性を有する合成樹脂製であってもよい。
これによれば、引出端子は壁部を貫通することから、ケース内の電解液に曝される可能性がある。この引出端子を絶縁した第1絶縁部材に耐食性を持たせることで、電解液による第1絶縁部材の劣化を抑制できる。また、引出端子は通電に伴って温度上昇する。第1絶縁部材に高温特性を持たせることで通電に伴う劣化も抑制できる。第2絶縁部材は、ナット螺合時のトルクを受け止めるため、第2絶縁部材に剛性を持たせることで、トルクを受け止める際に第2絶縁部材が損傷を受けることを抑制することができる。よって、第1絶縁部材と第2絶縁部材で材質を異ならせることで、配置場所に応じた機能を発揮させることができる。
【0015】
また、前記蓄電装置は二次電池である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ナット螺合時に、端子接続部材と引出端子との通電部に応力が発生することを抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、蓄電装置を二次電池に具体化した一実施形態を
図1〜
図6にしたがって説明する。
図1又は
図2に示すように、蓄電装置としての二次電池10はケース11を備え、ケース11には電極組立体12が収容されている。ケース11は、四角箱状のケース本体14と、このケース本体14の開口部14aを閉塞する矩形平板状の蓋部材15とを有している。蓋部材15は、ケース本体14の開口端に溶接によって接合されている。なお、本実施形態の二次電池10はリチウムイオン電池である。二次電池10は、電極組立体12と電気の授受を行う正極端子構造16及び負極端子構造17を備える。
【0019】
図3に示すように、電極組立体12は、シート状の正極電極21とシート状の負極電極31とを備える。正極電極21は、正極金属箔(本実施形態ではアルミニウム箔)22と、その両面に正極活物質を塗布して構成された正極活物質層23とを有する。負極電極31は、負極金属箔(本実施形態では銅箔)32と、その両面に負極活物質を塗布して構成された負極活物質層33とを有する。そして、電極組立体12は、正極電極21と負極電極31の間にこれらを絶縁するセパレータ24を介在させて層状とした積層構造を有する。
【0020】
正極電極21は、正極金属箔22の一辺22aに沿って正極活物質が塗布されていない正極未塗工部22bを有している。正極電極21は、一辺22aの一部から突出する形状のタブ25を有する。負極電極31は、負極金属箔32の一辺32aに沿って負極活物質が塗布されていない負極未塗工部32bを有している。負極電極31は、一辺32aの一部から突出する形状のタブ35を有する。
【0021】
図1に示すように、正極のタブ25及び負極のタブ35は、正極電極21及び負極電極31が積層された状態で、正極のタブ25と負極のタブ35とが重ならない位置にそれぞれ設けられている。電極組立体12を構成する各正極電極21は、それぞれのタブ25が積層方向Lに沿って列状に配置されるように積層される。同様に、電極組立体12を構成する各負極電極31は、それぞれのタブ35が積層方向Lに沿って列状に配置されるように積層される。
【0022】
二次電池10は、正極のタブ群36を有する。正極のタブ群36は、全ての正極のタブ25を電極組立体12における積層方向Lの一端側に寄せ集め、積層して構成されている。また、二次電池10は、負極のタブ群36を有する。負極のタブ群36は、全ての負極のタブ35を電極組立体12における積層方向Lの一端側に寄せ集め、積層して構成されている。
【0023】
正極のタブ群36には、電極組立体12と、後述の正極端子構造16とを電気的に接続するための正極の導電部材51が接合されている。また、負極のタブ群36には、電極組立体12と、後述の負極端子構造17とを電気的に接続するための負極の導電部材51が接合されている。各導電部材51は、矩形板状である。導電部材51は、長辺の延びる方向に沿った一端部に挿通孔52aを有し、この挿通孔52aには後述の引出端子61が挿通可能である。
【0024】
次に、二次電池10が備える内側絶縁カバー55について説明する。
二次電池10は、ケース11内に内側絶縁カバー55を備え、内側絶縁カバー55は、負極の導電部材51及び正極の導電部材51と、蓋部材15との間に介在している。内側絶縁カバー55は、長辺の延びる方向の両端部に挿通孔56を有している。
【0025】
次に、正極端子構造16及び負極端子構造17を説明する。なお、
図6には負極端子構造17を図示しているが、正極端子構造16は負極端子構造17と同じであるため、その図示を省略する。
【0026】
まず、正極端子構造16及び負極端子構造17を設けるための蓋部材15の構成について説明する。蓋部材15は、ケース11の外側に臨む外面15c及びケース11の内側に臨む内面15dを有し、蓋部材15において、外面15cと内面15dを最短距離で結ぶ方向を厚み方向とする。
【0027】
図1に示すように、蓋部材15は、長辺の延びる方向に沿った両端側に係止凹部15fを備える。各係止凹部15fは、外面15cから厚み方向に沿って凹む。蓋部材15を外面15cから見て、係止凹部15fは多角形のうちの四角形状である。係止凹部15fは蓋部材15をプレスして形成されている。また、蓋部材15は、長辺の延びる方向において、各係止凹部15fより内側に挿通孔15bを備える。蓋部材15は、挿通孔15bの周囲に係止凸部15gを備える。各係止凸部15gは、外面15cから厚み方向に沿って突出した形状である。蓋部材15を外面15cから見て、係止凸部15gは多角形のうちの四角形状である。係止凸部15gは蓋部材15をプレスして形成されている。
【0028】
正極端子構造16及び負極端子構造17は、蓋部材15の外面15cに配置される第1絶縁部材57を備える。第1絶縁部材57は、電解液に対する耐食性、及び高温特性を有する合成樹脂製であり、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)製である。
【0029】
図5(a)、
図5(b)又は
図6に示すように、第1絶縁部材57は、その表面57c及び裏面57aから見て矩形状である。第1絶縁部材57は、蓋部材15に対峙する裏面57aから凹む回り止め凹部57bを備える。回り止め凹部57bは、第1絶縁部材57の長辺の延びる方向に沿った一端側に位置する。そして、
図6に示すように、回り止め凹部57bには、蓋部材15の係止凸部15gが挿入されている。回り止め凹部57bの四つの内側面は、係止凸部15gの四つの内側面に接触し、係止している。この接触により、第1絶縁部材57は、蓋部材15の外面15cに沿う方向への移動が規制され、特に、外面15c上での回転が規制されている。加えて、第1絶縁部材57は、長辺の延びる方向に沿った一端側に挿通孔57kを備える。挿通孔57kは、第1絶縁部材57の表面57cと裏面57aとを結ぶ方向に貫通するとともに、蓋部材15の挿通孔15b、内側絶縁カバー55の挿通孔56及び導電部材51の挿通孔52aと合致する位置にある。
【0030】
また、第1絶縁部材57は、表面57cの四側縁部から立設した形状の係止リブ57eを備える。係止リブ57eは、蓋部材15の外面15cから見て四角枠状である。第1絶縁部材57は、長辺の延びる方向に沿った他端側に収容凹部57hを備える。収容凹部57hは、表面57cから裏面57aに向けて凹む。また、第1絶縁部材57は、収容凹部57hの底部57fを貫通する円孔状の貫通孔57dを備える。よって、収容凹部57hの底部57fは、貫通孔57dを囲む枠状である。
【0031】
図1又は
図6に示すように、正極端子構造16及び負極端子構造17は、矩形平板状の端子接続部材53を有している。端子接続部材53は、第1絶縁部材57に対峙する裏面53aと、裏面53aと平行な表面53bを有し、裏面53aと表面53bを最短距離で結ぶ直線の延びる方向を端子接続部材53の厚み方向とする。端子接続部材53は、長辺の延びる方向の一端に挿通孔53cを有し、長辺の延びる方向の他端に貫通孔54を有している。挿通孔53c及び貫通孔54は、端子接続部材53を厚み方向に貫通する。挿通孔53cは、蓋部材15の挿通孔15b、第1絶縁部材57の挿通孔57k、内側絶縁カバー55の挿通孔56、及び導電部材51の挿通孔52aと合致する位置にある。
【0032】
図6に示すように、正極端子構造16及び負極端子構造17は、電極組立体12の各タブ群36と導電部材51を介して電気的に接続された引出端子61を備える。引出端子61は、端子接続部材53と電気的に接続される第1接続部61aと、導電部材51と電気的に接続される第2接続部61bと、第1接続部61aと第2接続部61bを繋ぐ連結部61cとを備える。第1接続部61a及び第2接続部61bは、引出端子61を中心軸線の延びる方向にかしめることによって形成されている。
【0033】
引出端子61の第1接続部61aは、端子接続部材53の表面53bに係止するとともに、この係止によって引出端子61と端子接続部材53が電気的に接続されている。連結部61cは、端子接続部材53の挿通孔53c、第1絶縁部材57の挿通孔57k、蓋部材15の挿通孔15b、内側絶縁カバー55の挿通孔56、及び導電部材51の挿通孔52aを貫通している。また、引出端子61の第2接続部61bは、導電部材51において、各タブ群36の接合された面に係止し、この係止によって引出端子61と導電部材51が電気的に接続されている。よって、引出端子61は、導電部材51と端子接続部材53とを電気的に接続するとともに、端子接続部材53と、第1絶縁部材57と、蓋部材15と、内側絶縁カバー55と、導電部材51とを一体化している。
【0034】
そして、本実施形態では、端子接続部材53と第1接続部61aとがカシメによって接続された部分と、導電部材51と第2接続部61bとがカシメによって接続された部分に通電部Mが形成されている。
【0035】
正極端子構造16及び負極端子構造17は、端子接続部材53に接続された外部接続端子66を備える。正極の外部接続端子66は、端子接続部材53、引出端子61、及び導電部材51を介して、正極電極21の正極のタブ群36と電気的に接続されている。また、負極の外部接続端子66は、端子接続部材53、引出端子61、及び導電部材51を介して、負極電極31のタブ群36と電気的に接続されている。
【0036】
外部接続端子66は、蓋部材15の外側でバスバー60を固定可能とするため蓋部材15の外面に配置されている。なお、
図1又は
図2に示すように、バスバー60は、矩形板状である。バスバー60は長辺の延びる方向の両端に軸部挿通孔60aを備える。
【0037】
外部接続端子66は金属製である。この外部接続端子66は、円柱状の頭部67と、この頭部67から突出した形状の雄ねじ部68とを、外部接続端子66の中心軸線の延びる方向に連続した状態で備える。雄ねじ部68には、バスバー締結用のナット70が螺合可能である。そして、雄ねじ部68は、第1絶縁部材57の表面57cよりも外側に向けて突出している。
【0038】
図4に示すように、頭部67は、雄ねじ部68の突出した面と平行な底面67aから凹む第1係合部69を備える。また、外部接続端子66の中心軸線の延びる方向に沿って底面67aを見た場合、第1係合部69は六角形状である。そして、
図6に示すように、外部接続端子66の頭部67は、第1絶縁部材57の収容凹部57hに収容されるとともに、収容凹部57hの底部57fに支持されている。
【0039】
図1又は
図6に示すように、正極端子構造16及び負極端子構造17は、第1絶縁部材57と共に外部接続端子66を蓋部材15から絶縁する第2絶縁部材40を備える。この第2絶縁部材40は、蓋部材15の外面15c上に回り止めされている。第2絶縁部材40は、蓋部材15を外面15cから見て四角形状の基板41と、この基板41に存在し、基板41から突出した第2係合部42とを備える。第2絶縁部材40は所要の剛性を有する合成樹脂製であり、基板41と第2係合部42は一体成形されている。なお、所要の剛性とは、第2絶縁部材40に対しナット70螺合時のトルクが作用しても損傷を受けない剛性のことである。
【0040】
基板41の形状は、蓋部材15における係止凹部15fの四角形と相似形状であり、基板41は係止凹部15fに収容されている。そして、基板41の四つの側面は、係止凹部15fの四つの内側面に係止可能であり、この係止によって、第2絶縁部材40は蓋部材15の外面15cに沿う方向への移動が規制され、第2係合部42の軸線を中心とした回転が規制されている。第2係合部42の軸線に沿う方向への基板41の寸法(厚み)は、係止凹部15fの外面15cからの深さと同じである。このため、基板41において、蓋部材15の外面15cからの露出面は、その外面15cと面一である。
【0041】
第2係合部42は、基板41から突出した六角柱状である。第2係合部42は、第1絶縁部材57の貫通孔57dを貫通し、収容凹部57h内に突出している。基板41は、第1絶縁部材57の貫通孔57dを囲む底部57fによって被覆されており、底部57fが被覆部を構成する。収容凹部57h内に突出した第2係合部42は、外部接続端子66の第1係合部69に挿入されている。また、第2係合部42の六つの側面は、第1係合部69の六つの内側面に接触して係合し、この係合により、第2絶縁部材40に対して外部接続端子66が回り止めされている。よって、外部接続端子66の周方向への第2係合部42と第1係合部69との凹凸の係合関係により、外部接続端子66が回り止めされている。
【0042】
第2絶縁部材40の基板41と、外部接続端子66の頭部67との間には、第1絶縁部材57の底部57fが挟持されるとともに、基板41と底部57fによって外部接続端子66が蓋部材15から絶縁されている。
【0043】
次に、二次電池10の作用を記載する。
図2に示すように、異なる二次電池10同士は、バスバー60によって電気的に接続される。そして、二次電池10同士は、バスバー60の一方の軸部挿通孔60aに、正極の外部接続端子66における雄ねじ部68が挿通され、他方の軸部挿通孔60aに別の二次電池10の負極の外部接続端子66における雄ねじ部68が挿通される。バスバー60は、端子接続部材53の表面53bに支持される。
【0044】
図6に示すように、各雄ねじ部68にナット70が螺合されることにより、ナット70と、端子接続部材53との間にバスバー60が挟持されるとともに、バスバー60が端子接続部材53と電気的に接続される。ナット70を螺合するためのトルクは、外部接続端子66の第1係合部69に係合した第2絶縁部材40の第2係合部42に受け止められる。ここで、第2絶縁部材40は、その基板41が蓋部材15の係止凹部15fに係止して回り止めされている。この結果、回り止めされた第2絶縁部材40に係合した外部接続端子66は回り止めされる。
【0045】
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)二次電池10は、端子接続部材53を蓋部材15から絶縁する第1絶縁部材57と、外部接続端子66を蓋部材15から絶縁する第2絶縁部材40とを別々に備える。そして、第2絶縁部材40を蓋部材15に回り止めし、その第2絶縁部材40が備える第2係合部42と、外部接続端子66が備える第1係合部69との係合により、ナット70螺合時の外部接続端子66の共回りを抑制するようにした。よって、外部接続端子66の共回りを抑制するために外部接続端子66を第1絶縁部材57に係合させた場所がない。その結果、ナット70螺合時のトルクが第1絶縁部材57に伝わらず、第1絶縁部材57で絶縁された引出端子61の共回りや変位が抑制される。したがって、ナット70螺合時のトルクによって、引出端子61と端子接続部材53の通電部Mに応力が発生することが抑制され、通電不良が引き起こされることが抑制される。
【0046】
(2)ナット70螺合時のトルクは、外部接続端子66及び第2絶縁部材40を介して金属製の蓋部材15で受け止められる。そして、第2絶縁部材40を、剛性を有する合成樹脂製とした。このため、ナット70のトルクを受けて、第2絶縁部材40が変形することが抑制され、外部接続端子66の共回りを抑制することができる。
【0047】
(3)第1絶縁部材57は、第2絶縁部材40の第2係合部42が貫通する貫通孔57dを備えるとともに、貫通孔57dの周囲に底部57fを備える。この底部57fは、蓋部材15に配置された第2絶縁部材40の基板41を被覆している。このため、蓋部材15の係止凹部15fに収容された第2絶縁部材40を第1絶縁部材57によって覆うことができ、外面15cから離れる方向への第2絶縁部材40の移動を規制することができる。すなわち、第2絶縁部材40を蓋部材15に位置決めすることができる。
【0048】
(4)第1絶縁部材57は、引出端子61を蓋部材15から絶縁するが、蓋部材15での引出端子61の貫通部には電解液が浸入する虞がある。このため、第1絶縁部材57を電解液に対する耐食性を有する合成樹脂製とした。また、引出端子61は、通電経路を構成するため、この引出端子61を絶縁する第1絶縁部材57を、高温特性を有する合成樹脂製とした。これに対し、第2絶縁部材40は、トルクを受け止めることから剛性を有する合成樹脂製とした。よって、第1絶縁部材57と第2絶縁部材40の2部品を備えながら、第1絶縁部材57及び第2絶縁部材40の配置場所に応じて材料を設定することで、配置場所に適した機能を発揮させることができる。
【0049】
(5)第1絶縁部材57は、外部接続端子66と蓋部材15との間に介在して外部接続端子66を蓋部材15から絶縁する底部57fを備える。よって、第1絶縁部材57は、引出端子61を蓋部材15から絶縁するだけでなく、外部接続端子66も蓋部材15から絶縁することができる。
【0050】
(6)第1絶縁部材57は回り止め凹部57bを備え、この回り止め凹部57bと、蓋部材15の係止凸部15gとの係止によって、蓋部材15の外面15cに沿う方向への第1絶縁部材57の移動を規制することができる。
【0051】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
○ 外部接続端子66の第1係合部69を、頭部67から第2絶縁部材40に向けて突出する角柱状とし、第2絶縁部材40の第2係合部42を、基板41の厚み方向に凹む角穴状としてもよい。
【0052】
○ 第1絶縁部材57の長辺に沿う長さを短くし、収容凹部57h側の部分を備えない構造として、第1絶縁部材57を、引出端子61だけを蓋部材15から絶縁する構造としてもよい。この場合、外部接続端子66の頭部67は、第2絶縁部材40の基板41上に直接支持され、外部接続端子66は、第2絶縁部材40によって蓋部材15から絶縁される。
【0053】
○ 蓋部材15の外面15cから見て、蓋部材15の係止凹部15f及び第2絶縁部材40の基板41を四角形状としたが、これらの形状は、三角形状、五角形状、六角形状、八角形状と、他の多角形状であってもよい。又は、係止凹部15f及び基板41の平面形状は、互いに平行に延びる一対の辺を有する形状であってもよく、実施形態の六角形状の他に、四角形状であってもよいし、楕円状や長円状であってもよい。
【0054】
○ 第1絶縁部材57に、端子接続部材53の全体を囲む四角枠状の係止リブ57eを設け、この係止リブ57eによって端子接続部材53を回り止めしたが、端子接続部材53を回り止めできれば、係止リブ57eは、四角枠状でなくてもよい。例えば、端子接続部材53の長辺に沿う一対の側縁部に係止可能な2本の係止リブ57eでもよいし、第1絶縁部材57の四つ角に沿うように四箇所に設けられたL字状の係止リブ57eでもよい。
【0055】
○ 引出端子61と導電部材51とを接続する通電部M、及び引出端子61と端子接続部材53とを接続する通電部Mはかしめでなく、溶接や螺子止めであってもよい。
○ 壁部は、ケース本体14の側壁であってもよい。
【0056】
○ 実施形態では、正極電極21は、正極金属箔22の両面に正極活物質層23を有するとしたが、正極金属箔22の片面のみに正極活物質層23を有していてもよい。同様に、負極電極31は、負極金属箔32の両面に負極活物質層33を有するとしたが、負極金属箔32の片面のみに負極活物質層33を有していてもよい。
【0057】
○ 実施形態では、電極組立体12を積層型としたが、電極組立体は捲回型であってもよい。
○ 実施形態では、二次電池10はリチウムイオン二次電池であったが、これに限られず、他の二次電池であってもよい。要は、セパレータ24及び電解液を介して正極活物質層23と負極活物質層33との間をイオンが移動するとともに電荷の授受を行うものであればよい。
【0058】
○ 蓄電装置は電気二重層コンデンサ等の他の蓄電装置に適用してもよい。
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について以下に追記する。
(イ)前記第1絶縁部材は前記壁部に対峙した面から凹む形状の回り止め凹部を備えるとともに、前記壁部は前記回り止め凹部に係止する係止凸部を備え、前記回り止め凹部と前記係止凸部との係止によって、前記壁部の外面に沿う方向への前記第1絶縁部材の移動が規制されている蓄電装置。