(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記加圧部は、前記蓋部の裏面側に周方向に沿って形成され、前記中空室の端面に対向する部位に形成されることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の吸気ポート構造。
前記蓋部は、蓋部の全周縁を前記本体部の軸方向に折り返した折返し部を有し、該折返し部は、前記本体部の端部外周に形成された段差部にインロー嵌合することを特徴とする請求項1または2に記載の内燃機関の吸気ポート構造。
前記本体部の肉厚部分に形成された前記中空室には、外周壁と内周壁と繋いで本体部の軸方向に延びる仕切リブが設けられ、複数の中空室に仕切られることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の内燃機関の吸気ポート構造。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1は、樹脂材料を挿入する断熱構造であるため、断熱性能は樹脂材料が有する断熱性能に左右される。このため、断熱性能向上には断熱構造の改良が必要である。
また、特許文献2は、中空粒子を利用した断熱構造であり、樹脂材料による断熱構造とは異なる構造であり、断熱性能を高めることが期待されるが、中空粒子が離脱ないし剥離しないように被覆で覆う必要がある。このため、中空粒子が密に充填された状態で被覆によって覆い、その被覆で覆われた中空粒子を吸気ポート内壁面に装着しなければならず、被覆で覆う作業及び吸気ポートへの装着作業等、製造が煩雑化する。
【0007】
そこで、前述の課題に鑑み、本発明の少なくとも一つの実施形態の目的は、中空粒子等の粉末状断熱材を利用して吸気を断熱する吸気ポート構造であって、粉末状断熱材による断熱効果を高めるとともに、吸気ポート内への粉末状断熱材の装着を容易に達成できる内燃機関の吸気ポート構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明の少なくとも一実施形態は、内燃機関の吸気ポート構造であって、シリンダヘッド内にシリンダヘッドの壁面側から挿入されて内周面によって、吸気ポートの上流側の内周面を形成する断熱挿入部材を備え、該断熱挿入部材は、筒形状に形成された本体部と、筒形状の肉厚部分が中空状に形成された中空室と、前記本体部の端部に装着され前記中空室の端面を閉塞する蓋部とを含み、前記中空室の内部には、粉末状断熱材が充填され、前記蓋部は蓋部の装着によって充填された前記粉末状断熱材を加圧する加圧部を有することを特徴とする。
【0009】
前記(1)の構成によれば、断熱挿入部材は、筒形状によって形成され、筒形状の肉厚部分を中空状に中空室を形成してその中空室内に粉末状断熱材が充填される構成であるため、粉末状断熱材を用いた吸気ポートの断熱構造を簡単な構造で達成できる。
また、中空室内に充填される粉末状断熱材は、蓋部の装着時に蓋部に設けられた加圧部によって加圧されることで、粉末状断熱材を中空室内に均一に分布して密度のむらを抑制でき、さらに中空室内での空気の対流を抑制でき、空気室だけの場合に比べてより低い熱伝導率を達成可能となる。
【0010】
(2)幾つかの実施形態では、前記(1)の構成において、前記加圧部は、前記蓋部の裏面側に周方向に沿って形成され、前記中空室の端面に対向する部位に形成されることを特徴とする。
【0011】
前記(2)の構成によれば、蓋部の裏面に中空室の端面に対向する部位に周方向に加圧部が形成されるので、中空室内に粉末状断熱材を充填して本体部の端部に蓋部を装着する際に、蓋部によって加圧できるので、中空室内での粉末状断熱材を均一に分布させ、さらに加圧状態に保持した状態で封入できる。
【0012】
(3)幾つかの実施形態では、前記(2)の構成において、前記加圧部は、前記中空室の内部に挿入される凸形状部からなることを特徴とする。
前記(3)の構成によれば、加圧部は中空室内に挿入される凸形状部からなるため、中空室内の粉末状断熱材の加圧を確実に行うことができる。
【0013】
(4)幾つかの実施形態では、前記(1)から(3)のいずれかの構成において、前記蓋部は、蓋部の全周縁を前記本体部の軸方向に折り返した折返し部を有し、該折返し部は、前記本体部の端部外周の肉厚が一段薄く形成された段差部にインロー嵌合することを特徴とする。
【0014】
前記(4)の構成によれば、蓋部が装着されると、蓋部の外周縁に形成された折返し部内周面が、本体部の端部外周の肉厚が一段薄く形成された段差部の外周面に摺接して、その接触面でシール面を形成する。このため、蓋部の折返し部の先端が完全に段差部の段部に達する位置まで押し込まれて嵌合していなくても、すなわち、蓋部の装着が不完全でもシール面が形成されるため、投入した粉末状断熱材の漏れを確実に防止できる。
【0015】
(5)幾つかの実施形態では、前記(4)の構成において、前記折返し部の先端と前記段差部の段部とにそれぞれ設けられ、前記折返し部と前記段差部との間の位置決めを行う凹凸状の係合部を周方向に少なくとも1箇所設けられることを特徴とする。
【0016】
前記(5)の構成によれば、凹凸状の係合部を係合させることで、蓋部の段差部への嵌合位置を正確に決めることができる。
【0017】
(6)幾つかの実施形態では、前記(4)または(5)の構成において、前記折返し部の外周部と、前記断熱
挿入部材が挿入される前記シリンダヘッドに形成された挿入穴の内壁との間は嵌め合い構造に形成され、前記嵌め合いによって前記断熱挿入部材の前記シリンダヘッド内での位置決めが行われることを特徴とする。
【0018】
前記(6)の構成によれば、蓋部の折返し部の外周部とシリンダヘッドの挿入穴の内壁との間で嵌め合い構造となっているため、挿入穴の内壁寸法に合わせて、例えば、すきま嵌め関係の外径を有する蓋部を装着することによって、この蓋部をシリンダヘッド内での断熱挿入部材の位置決め手段とすることができる。
【0019】
(7)幾つかの実施形態では、前記(1)から(6)のいずれかの構成において、前記本体部の肉厚部分に形成された前記中空室には、外周壁と内周壁と繋いで本体部の軸方向に延びる仕切リブが設けられ、複数の中空室に仕切られることを特徴とする。
前記(7)の構成によれば、仕切リブによって、本体部の剛性を低下させずに、肉厚部分の内部に中空室を形成できる。
【0020】
(8)幾つかの実施形態では、前記(1)から(7)のいずれかの構成において、前記本体部は樹脂材料によって形成され、前記蓋部は金属材料によって形成されることを特徴とする。
前記(8)の構成によれば、蓋部が剛性の強い金属材料で、本体部が剛性の弱い樹脂材料で構成されるので、蓋部を本体部に対して装着する際に、本体部に対して加圧しやすい。また、蓋部を本体部に対して位置決めするための係合部の係合が容易である。
【0021】
(9)幾つかの実施形態では、前記(1)から(8)のいずれかの構成において、前記粉末状断熱材は、中空粒子状の断熱材から構成されることを特徴とする。
前記(9)の構成によれば、粉末状断熱材は、中空粒子状の断熱材であることによって、断熱材封入時に圧力をかけることで、断熱作用が効果的に発揮される。
すなわち、圧力をかけることで、粉末状断熱材を中空室内に均一に分布でき、中空室内での対流を抑制することができる。また、圧力をかけることで、粒子同士が点接触するようになり、例えば、粒子の素材自体を低熱伝導率の材料で形成することによって、粒子の殻を伝わる固体熱伝導が抑えられる。また、粒子内に気体が封入されるので粒子内の気体の対流による伝熱も抑えられる。これらによって、単に中空室だけとして空気層の空間を形成するよりも低い熱伝導率を達成可能となる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の少なくとも一実施形態によれば、中空粒子等の粉末状断熱材を利用して吸気を断熱する吸気ポート構造において、粉末状断熱材による断熱効果を高めるとともに、吸気ポート内への粉末状断熱材の装着を容易に達成できる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付図面を参照して、本発明の幾つかの実施形態について説明する。ただし、これらの実施形態に記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状及びその相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一つの構成要素を「備える」、「具える」、「具備する」、「含む」、又は「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
【0025】
本発明の幾つかの実施形態に係る内燃機関の吸気ポート構造は、
図1に示すように、エンジン(内燃機関)1のシリンダヘッド3の壁面側から挿入穴4内に挿入されて内周面7によって、吸気ポート5の上流側の内周面を形成する断熱挿入部材9を備えている。
断熱挿入部材9は、筒形状によって形成された本体部11と、筒形状の肉厚部分が中空状に形成された中空室13と、本体部11の端部に装着され中空室13の端面を閉塞する蓋部15とを含み、中空室13の内部には、粉末状断熱材17が充填され、蓋部15の裏面には蓋部15の装着によって充填された粉末状断熱材17を加圧する加圧部19を有している。
【0026】
エンジン1は、シリンダヘッド3に取り付けられた吸気ポートインジェクタ21によって吸気ポート5内に燃料を噴射するポート噴射式エンジンについて示しており、インテークマニホールド23の吸気通路25を介して吸気ポート5内に吸入された吸入空気と、吸気ポートインジェクタ21の噴口から噴射された燃料とが吸気ポート5内で混合されて混合気となり、図示しない吸気カムによって所定のタイミングで開閉作動される吸気弁27を介して、ピストン29とシリンダヘッド3とシリンダブロック30のシリンダ31との間に形成される燃焼室33内へ供給されるようになっている。そして、所定のタイミングで点火プラグ35を点火させて燃焼させるようになっている。
【0027】
燃焼後の排ガスは、図示しない排気カムによって所定のタイミングで開閉作動される排気弁37を介して排気通路39へ排出されるようになっている。
また、インテークマニホールド23には、吸気量を制御する図示しないスロットルバルブが設けられている。また、燃料噴射装置を構成する吸気ポートインジェクタ21には図示しない燃料レールが連結して吸気ポートインジェクタ21へ燃料を供給している。
【0028】
断熱挿入部材9は、シリンダヘッド3の熱伝導率より低い熱伝導率を有する材料、例えば、樹脂材料によって構成されており、さらに、粉末状断熱材17は、中空粒子状の断熱材から構成されている。
この中空粒子状の断熱材は、例えば、内部は空気層から成り、殻の主成分はシリカ等の断熱材料で形成されている。
【0029】
以上の
図1に示した実施形態の構成によれば、断熱挿入部材9は、筒形状によって形成され、筒形状の肉厚部分を中空状に中空室13を形成してその中空室13内に粉末状断熱材17が充填される構成であるため、粉末状断熱材を用いた吸気ポート5の断熱構造を簡単な構造で達成できる。
【0030】
また、中空室13内に充填される粉末状断熱材17は、蓋部15の装着時に蓋部15に設けられた加圧部19によって加圧されることで、粉末状断熱材17を中空室13内に均一に分布して密度のむらを抑制でき、さらに中空室13内での空気の対流を抑制でき、空気室だけの場合に比べてより低い熱伝導率を達成可能となる。
【0031】
また、粉末状断熱材17は、中空粒子状の断熱材であることによって、断熱材封入時に蓋部15の装着によって圧力をかけることで、中空粒子を中空室13内に均一に分布でき、中空室13内の空気の対流を抑制することができる。さらに、粒子同士が点接触するようになるため、粒子の素材自体をシリカ等の断熱材料で形成することによって、粒子の殻を伝わる固体熱伝導が抑えられる。さらに、粒子内に気体が封入されるので粒子内の気体の対流による伝熱も抑えられる。
これらによって、単に中空室だけとして空気層の空間を形成するよりも低い熱伝導率を達成可能となる。
【0032】
幾つかの実施形態では、
図2、3に示すように、加圧部19は、蓋部15(45a、45b)の裏面側に周方向に沿って形成され、中空室13(49a、49b)の端面に対向する部位に形成されるとともに、中空室49a、49bの内部に挿入される凸形状部41a、41bから構成されている。
【0033】
図2は、断熱挿入部材43を示す分解斜視説明図であり、吸気の流れに沿って入口側蓋部45a、入口側本体部47a、出口側本体部47b、出口側蓋部45bによって構成され、これら各部は、樹脂材料によって形成されている。
入口側本体部47aは、筒形状で入口側から出口側へ向かって径が細くなるようにテーパ状の筒形状をなしている。また、断面形状は長円形に形成されている。入口側本体部47aの入口側の端面には、入口側蓋部45aが装着され、入口側本体部47aの出口側の端面は閉塞状態に一体成形される。
【0034】
出口側本体部47bは、筒形状の上壁部が除去された形状をしており、断面形状は入口側から出口側まで均一断面の長円形の上部が除去された形状である。この除去された部分に、吸気ポートインジェクタ21が配置されるようになっている。また、出口側本体部47bの出口側の端面には、出口側蓋部45bが装着され、出口側本体部47bの入口側の端面は閉塞状態に一体成形される。
そして、入口側本体部47aの出口側端面と、出口側本体部47bの入口側端面とは接合面Pで接着剤によって接合される。
【0035】
また、入口側蓋部45aは、
図2に示すように、入口側本体部47aの入口側の端面と同形状の長円形状のリング形状をしており、裏面側に入口側本体部47aの中空室49a内に挿入される凸形状部41aが、中空室49aの開口に沿って周方向に設けられている。出口側蓋部45bも、入口側蓋部45aと同様に、出口側本体部47bの中空室49b内に挿入される凸形状部41bが形成されている。これら凸形状部41a、41bによって、加圧部19を構成している。
【0036】
また、
図2、3に示す実施形態における粉末状断熱材17の封入工程は、粉末状断熱材17を、入口側本体部47aの入口側の端面から中空室49b内に投入し、端面から所定の位置、すなわち、凸形状部41aが挿入可能で挿入時に加圧できる位置まで投入する。その後、入口側蓋部45aののり面に接着剤を塗布し、入口側蓋部45aを入口側本体部47aの入口側の端面に組み付ける。出口側本体部47bにおいても同様の工程によって、粉末状断熱材17を封入する。なお、入口側本体部47aと出口側本体部47bとを接合してから粉末状断熱材17を封入しても、接合する前に別々の本体部に封入してその後接合してもよい。
【0037】
かかる
図2、3に示す実施形態によれば、加圧部19は中空室49a、49b内に挿入される凸形状部41a、41bからなるため、中空室49a、49b内の粉末状断熱材17の加圧を確実に行うことができる。
【0038】
また、入口側本体部47aと出口側本体部47bとを別々に製造して、接合して断熱挿入部材43を製造するので、吸気ポート5に吸気ポートインジェクタ21が配置される吸気ポート構造においても、簡単な構造によって、粉末状断熱材を充填した断熱挿入部材43を製造できる。
【0039】
幾つかの実施形態では、
図4、5、6に示すように、蓋部15(51a、51b)の全周縁を本体部11(53a、53b)の軸方向に折り返した折返し部55a、55bを有し、該折返し部55a、55bは、本体部53a、53bの端部外周に形成された段差部57a、57bにインロー嵌合する構成を有している。
【0040】
図4は、断熱挿入部材50を示す分解斜視説明図であり、
図2に示した、断熱挿入部材43と同様に、入口側蓋部51a、入口側本体部53a、出口側本体部53b、出口側蓋部51bによって構成されている。
図5は、
図4の断熱挿入部材50の出口側蓋部51b及び入口側蓋部51aが装着されていない状態を示す斜視説明図である。また、
図6(a)は、入口側蓋部51aの裏側から見た正面図であり、
図6(b)は、(a)のA−A線断面図である。
【0041】
入口側蓋部51aは、入口側本体部53aの中空室59aの開口部を覆うように周方向にリング状に形成された底面部61aと、入口側蓋部51aの全周縁を入口側本体部53aの軸方向に折り返した折返し部55aとを有し、該折返し部55aは、入口側本体部53aの入口側端部外周の肉厚が一段薄く形成された入口段差部57aにインロー嵌合している。
【0042】
同様に、出口側蓋部51bは、出口側本体部53bの中空室59bの開口部を覆うように長円形の上部が除去されたリング形状に形成された底面部61bと、出口側蓋部51bの周縁を出口側本体部53bの軸方向に折り返した折返し部55bとを有し、該折返し部55bは、出口側本体部53bの出口側端部外周の肉厚が一段薄く形成された出口段差部57bにインロー嵌合している。
【0043】
また、入口側蓋部51aの底面部61a及び出口側蓋部51bの底面部61bは、平板形状に形成され、その部分によって加圧部19を構成しているが、凸形状部63a、63bを形成して加圧部19とすることで、加圧を確実にしてもよい。
また、入口側本体部53a及び出口側本体部53bは樹脂材料によって形成され、入口側蓋部51a及び出口側蓋部51bは金属材料によって形成されている。
【0044】
かかる
図4、5、6の構成によれば、入口側蓋部51aが装着されると、入口側蓋部51aの外周縁に形成された折返し部55aの内周面は、入口側本体部53aの端部外周の肉厚が一段薄く形成された入口段差部57aの外周面に摺接して、その接触面でシール面を形成する。
このため、折返し部55aの先端が完全に入口段差部57aの段部に達する位置まで押し込まれて嵌合していなくても、すなわち、入口側蓋部51aの装着が不完全でもシール面が形成されるため、投入した粉末状断熱材の漏れを確実に防止できる。また、出口側蓋部51bの装着においても同様のことがいえる。
【0045】
さらに、入口側本体部53a及び出口側本体部53bは樹脂材料によって形成され、入口側蓋部51a及び出口側蓋部51bは金属材料によって形成されているので、すなわち、蓋部側が剛性の強い金属材料で、本体部側が剛性の弱い樹脂材料で構成されるので、入口側蓋部51aを入口側本体部53aに対して、さらに出口側蓋部51bを出口側本体部53bに対して装着する際に、本体部側に対して加圧力を作用しやすく、確実に加圧することができる。
【0046】
幾つかの実施形態では、
図4、5、6に示す断熱挿入部材50は、
図7(a)〜(d)に示すような工程を有して製造される。
かかる実施形態の説明では、出口側本体部53bについては、既に粉末状断熱材17が充填されて出口側蓋部51bが装着され、入口側本体部53aに粉末状断熱材を充填する工程について説明する。
【0047】
まず、
図7(a)のように、入口側本体部53aの中空室59aの開口を上方に向け、その中空室59a内に、粉末状断熱材17を開口端面より盛り上がるまで投入する。その後、
図7(b)のように、盛り上がり部分をすり切り用薄板(へら等)65によって除去する。これによって、開口端面の位置に揃えて粉末状断熱材17の量を一定にすることができるため、投入される粉末状断熱材の量のばらつきが防止されるとともに、入口側蓋部51aの装着によって加圧される圧力を一定にすることができる。
【0048】
次に、
図7(c)のように、接着剤67を入口段差部57aののり面に塗布する。のり面は、入口側本体部53aの端部外周の肉厚が一段薄く形成された入口段差部57aの外周面と段差部の端面である。
その後、
図7(d)のように、入口側蓋部51aを嵌合して、入口側蓋部51aを図示F方向に押込み力を加えて粉末状断熱材17に圧力を加えつつ、接着剤で入口側蓋部51aを固定する。この時、加圧部19の凸形状部63aによって加圧される。
なお、加圧部19が、凸形状部63aがない平板の底面部61aの場合には、
図7(b)の切り用薄板(へら等)65での除去の際に、開口端面から加圧分若干盛り上がった状態とすることで、平板状態でも加圧できるようにする。
【0049】
以上のように製造することで、粉末状断熱材17を中空室59aに均一端面に投入でき、均一に圧力を掛けることができるので、断熱挿入部材50の断熱性能の均一化を簡単な製造方法で達成できる。
【0050】
幾つかの実施形態では、
図4、5、6に示す断熱挿入部材50において、
図8(a)、(b)、(c)に示すように、入口側蓋部51aの折返し部55aと入口側本体部53aとの間の位置決めを行う凹凸状の係合部69が設けられる。この係合部69は入口側蓋部51aの周方向に少なくとも1箇所設けられればよい。また、図示しないが出口側蓋部51bにおいても同様の構造が設けられている。
【0051】
図8(a)は、係合部69が、入口側蓋部51aの周方向に1箇所設けられる例を示し、
図8(b)には、係合部69の一例とて、入口側蓋部51aの折返し部55aの先端に凸形状の突起部69aが形成され、入口側本体部53aの入口段差部57aの底面には凹形状の溝69bが形成される。また、
図8(c)には、凸形状の先端に爪71を有した突起部71aと溝71bが形成された例を示す。爪71によって係合状態の抜け止めとなるため入口側蓋部51aの位置決めが確実に行われる。
【0052】
かかる構成によれば、係合部69を係合させることによって、入口側蓋部51aの入口側本体部53aへの嵌合位置を正確に決めることができる。また、図示しないが、出口側蓋部51bにおいても同様の効果を有する。
【0053】
幾つかの実施形態では、
図4、5、6に示す断熱挿入部材50において、
図9に示すように、入口側蓋部51aの外周部と、断熱挿入部材50が挿入されるシリンダヘッド3の挿入穴4の内壁との間は、嵌め合い構造に形成され、その嵌め合いによって断熱挿入部材50がシリンダヘッド3内での位置決めが行われる。
【0054】
入口側蓋部51aの折返し部55aの外周部と、シリンダヘッド3に形成された挿入穴4の内壁との間で嵌め合い構造となっているため、挿入穴4の内壁寸法、すなわち、吸気ポート5が形成される断熱挿入部材50が挿入されるシリンダヘッド3の入口部分の内壁寸法に合わせて、例えば、すきま嵌め関係になる外径を有した入口側蓋部51aを装着する。これによって、入口側蓋部51aがシリンダヘッド3内での断熱挿入部材50の位置決めを行うことができる。
【0055】
例えば、
図9に示すように、入口側蓋部51aの長径側の寸法Lが、シリンダヘッド3の挿入穴4の内壁寸法に対して、シリンダヘッドの熱伸びを考慮しても、すきま嵌め関係が成立する金属製の入口側蓋部51aを装着する。これによって、シリンダヘッド3内に挿入される断熱挿入部材50は、組付け時にシリンダヘッド3に対して位置決めされて固定でされるので断熱挿入部材50の組付け性が向上する。
締り嵌め関係とすると圧入による入口側蓋部51aの歪みや、熱膨張差による入口側蓋部51aの歪みにより、粉末状断熱材17や断熱挿入部材50に悪影響が生じる可能性があることから、すきま嵌め関係として位置決め手段として機能させている。
また、入口側蓋部51aの短径側の寸法についても、すきま嵌め関係とするとさらに位置きめが確実となる。
【0056】
幾つかの実施形態では、
図2〜6に示すように、断熱挿入部材43、50を構成する入口側本体部47a、53aの中空室49a、59aには、外周壁と内周壁と繋いで入口側本体部47a、53aの軸方向に延びて、複数の中空室49a、59aに仕切る仕切リブ73a、75aが設けられる。
同様に、出口側本体部47b、53bの中空室49b、59bには、外周壁と内周壁と繋いで出口側本体部47b、53bの軸方向に延びて、複数の中空室49b、59bに仕切る仕切リブ73b、75bが設けられている。
【0057】
入口側本体部47a、53aの仕切リブ73a、75aは、
図2、3の実施形態では、
図3に示すように長円形の断面形状の短径方向の両側に2箇所設けられている。
図4から6の実施形態では、
図5に示すように、長円形の断面形状の長径方向及び短径方向のそれぞれの径方向の両側に計4箇所設けられている。
【0058】
また、出口側本体部47b、53bの仕切リブ73b、75bは、
図2、3の実施形態では、
図2に示すように長円形の断面形状の短径方向の一側に1箇所設けられている。
図4から6の実施形態では、
図4に示すように、長円形の断面形状の長径方向の両側と短径方向の一方側の計3箇所設けられている。
これら仕切リブ73a、73b、75a、75bの位置に対応して、
図2、4、6に示すように、加圧部の凸形状部41a、41b、63a、63bにはスリットSが切られて仕切リブの端部が挿入されるようになっている。
【0059】
かかる実施形態の仕切リブ73a、73b、75a、75bの構成によれば、これら仕切リブによって、入口側本体部47a、53a及び出口側本体部47b、53bの剛性を低下させずに、これら本体部の肉厚部分の内部に中空室49a、49b、59a、59bを形成できる。
また、仕切リブ73a、73b、75a、75bを介して隣り合う中空室49a、49b、59a、59bの間を連通するように貫通孔を設けてもよく、このようにすることで、中空室間での粉末状断熱材17の充填量の均一化が一層図れる。